(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ニッケル−チタン合金加工物は、少なくとも1.0時間、800℃〜950℃の範囲の温度および10,000psi〜17,000psiの範囲の圧力で稼動するHIP炉内で熱間等方圧加圧(HIP)される、請求項1に記載のプロセス。
前記ニッケル−チタン合金加工物は、少なくとも1.0時間、800℃〜950℃の範囲の温度および10,000psi〜17,000psiの範囲の圧力で稼動するHIP炉内で熱間等方圧加圧(HIP)される、請求項7に記載のプロセス。
前記冷間加工は、鍛造、据込み、引抜き、圧延、押出し、ピルガリング、搖動、スウェージング、圧造、コイニング、および任意のこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの冷間加工技術を含む、請求項12に記載のプロセス。
【背景技術】
【0002】
等原子およびほぼ等原子ニッケル−チタン合金は、「形状記憶」および「超弾性」特性の両方を有する。より具体的には、「ニチノール」合金と一般に称されるこれらの合金は、合金のマルテンサイト開始温度(「M
s」)未満の温度まで冷却するとき、母相(オーステナイト相と一般に称される)から少なくとも1つのマルテンサイト相へのマルテンサイト変態を受けることは既知である。この変態は、合金のマルテンサイト仕上げ温度(「M
f」)まで冷却するときに完了する。さらに、この変態は、材料がそのオーステナイト仕上げ温度(「A
f」)を超える温度まで加熱されるときに可逆性である。
【0003】
この可逆性マルテンサイト変態は、合金の形状記憶特性を生じさせる。例えば、ニッケル−チタン形状記憶合金は、オーステナイト相の間(すなわち、合金のA
fを超える温度で)第1の形状に成形され、その後、M
f未満の温度まで冷却され、第2の形状に変形され得る。材料が合金のオーステナイト開始温度(「A
s」)(すなわち、オーステナイトへの遷移が始まる温度)未満のままである限り、合金は、第2の形状を保持する。しかしながら、形状記憶合金がA
fを超える温度まで加熱される場合、合金は、物理的に制約されない場合、または制約されたものが別の物品に応力を及ぼし得るとき、第1の形状に戻る。可逆性オーステナイトからマルテンサイトへの熱誘導遷移により、最高8%の回復可能なひずみがニッケル−チタン合金で概して達成可能であり、それ故に用語「形状記憶」である。
【0004】
オーステナイト相とマルテンサイト相との間の変態はまた、形状記憶ニッケル−チタン合金の「擬弾性」または「超弾性」を生じさせる。形状記憶ニッケル−チタン合金が合金のA
fを超えるが、いわゆるマルテンサイト変形温度(「M
d」)未満の温度でひずませられるとき、合金は、オーステナイト相からマルテンサイト相への応力誘導変態を受ける可能性がある。したがって、M
dは、マルテンサイトが応力誘導され得ないより高い温度として定義される。応力がA
fとM
dとの間の温度でニッケル−チタン合金に加えられるとき、小さい弾性変形後、合金は、オーステナイトからマルテンサイトへの変態によって加えられた応力に降伏する。転位の発生なしに双晶境界の移動によって加えられた応力下で変形するマルテンサイト相の能力と組み合わせられたこの変態により、ニッケル−チタン合金は、塑性的に(すなわち、恒久的に)変形せずに弾性変形によって大量のひずみエネルギーを吸収することが可能となる。ひずみが除去されると、合金は、ひずみのない状態に戻ることができ、それ故に用語「擬弾性」である。可逆性オーステナイトからマルテンサイトへの応力誘導遷移により、最高8%の回復可能なひずみがニッケル−チタン合金で概して達成可能であり、それ故に用語「超弾性」である。したがって、超弾性ニッケル−チタン合金は、他の合金に対して非常に弾性であるように巨視的に見える。用語「擬弾性」および「超弾性」は、ニッケル−チタン合金に関連して使用されるとき同義的であり、用語「超弾性」は、本明細書に使用される。
【0005】
形状記憶および超弾性ニッケル−チタン合金の特異的特性を商業的に利用する能力は、これらの変態、すなわち、合金のA
s、A
f、M
s、M
f、およびM
dが生じる温度に一部依存する。例えば、血管ステント、血管フィルタ、および他の医療機器等の用途では、ニッケル−チタン合金が体内温度、すなわち、A
f≦約37℃≦M
dの範囲内の超弾性特性を示すことが概して重要である。ニッケル−チタン合金の変態温度は、組成物に大きく依存していることが認められている。例えば、ニッケル−チタン合金の変態温度は、合金の組成物の1原子パーセント変化に対して100K超、変化し得ることが認められている。
【0006】
加えて、例えば、アクチュエータ、移植可能なステント、および他の医療機器等のニッケル−チタン合金の種々の用途は、疲労が決定的なことであると見なされ得る。疲労は、材料が繰り返し荷重に供されるときに生じる進行性かつ局所的な構造的損傷を指す。反復的な荷重および除荷は、材料が材料の降伏強度または弾性限界をはるかに下回る応力レベルの繰り返し荷重にさらに供されるにつれて、寸法が増加し得る微視的亀裂の形成を引き起こす。疲労亀裂は、最終的に限界寸法に達し、繰り返し荷重に供された材料の突発破壊をもたらす。疲労亀裂はニッケル−チタン合金内の非金属介在物および他の第2の相で開始する傾向があることが認められている。したがって、例えば、アクチュエータ、移植可能なステント、および他の疲労限界機器等のニッケル−チタン合金の種々の用途は、介在物および第2の相が決定的なことであると見なされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に開示され、記載される非限定的および非包括的実施形態の種々の特性および特徴は、以下の添付の図面を参照してさらに理解され得る。
【0012】
【
図1】二元ニッケル−チタン合金の平衡相図である。
【
図2】AおよびBは、ニッケル−チタン合金微細構造内の非金属介在物および
気孔率に作用する影響を図示する概略図である。
【
図3】ニッケル−チタン合金内の非金属介在物および関連した気孔を示す走査電子顕微鏡(SEM)像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図4A】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図4B】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図4C】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図4D】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図4E】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図4F】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図4G】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図5A】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図5B】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図5C】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図5D】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図5E】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図5F】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図5G】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図6A】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図6B】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図6C】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図6D】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図6E】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図6F】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図6G】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図6H】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図7A】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図7B】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図7C】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図7D】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図8A】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図8B】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図8C】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図8D】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【
図8E】本明細書に記載される実施形態に従って処理されたニッケル−チタン合金の走査電子顕微鏡像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【0013】
読者は、本明細書に従う種々の非限定的および非包括的実施形態の以下の詳細な説明を考慮することによって、上述の詳細ならびにその他を理解するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ニッケル−チタン合金
工場生産品の生成のための開示されるプロセスの機能、作業、および実施の全体的理解を提供するために種々の実施形態が本明細書に記載および図示される。本明細書に記載および図示された種々の実施形態は、非限定的および非包括的であることが理解される。したがって、本発明は、本明細書に開示される種々の非限定的および非包括的実施形態の記載により必ずしも限定されない。種々の実施形態と合わせて図示かつ/または記載される特性および特徴を、他の実施形態の特性および特徴と組み合わせることができる。かかる修正および変更は、本明細書の範囲内に含まれることが意図される。したがって、本明細書に明らかに、もしくは本質的に記載され、またはそうでなければ、本明細書により明らかに、もしくは本質的に支持される任意の特性または特徴を記載するよう、特許請求の範囲を補正することができる。さらに、本出願者(複数可)は、従来技術に存在し得る、肯定的に権利放棄した特性または特徴に対して、特許請求の範囲を補正する権利を有する。それゆえ、任意のかかる補正は、合衆国法典第35編の第112条(a)および第132条(a)の要件に準拠する。本明細書に開示および記載される種々の実施形態は、本明細書に種々に記載される特性および特徴を含み、構成され、または本質的に構成されることができる。
【0015】
同様に、本明細書に列挙する任意の数値範囲は、列挙された範囲に包含される同じ数値精度の全ての部分範囲を含むよう意図される。例えば、「1.0〜10.0」の範囲は、列挙された最小値の1.0と列挙された最大値の10.0との間(および境界値を含む)の全ての部分範囲を含む、すなわち、1.0に等しいか、またはそれを超える最小値と、10.0に等しいか、またはそれより小さい最大値、例えば、2.4〜7.6とを有するよう意図される。本明細書に列挙されるあらゆる最大数値限定は、その中に包含されるそれよりも低い全ての数値限定を含むよう意図され、また本明細書に列挙されるあらゆる最小数値限定は、その中に包含されるそれよりも高い全ての数値限定を含むよう意図される。したがって、本出願者(複数可)は、特許請求の範囲を含む本明細書を、本明細書に明記される範囲内に包含される任意の部分範囲を明記するよう補正する権利を有する。全てのかかる範囲は、任意のかかる部分範囲を明記する補正が、合衆国法典第35編の第112条(a)および第132条(a)の要件に準拠するであろうように、本明細書に本質的に記載されるよう意図される。
【0016】
本明細書に特定される任意の特許、刊行物、または他の開示資料は、別途指定されない限り、その全体が本明細書に参照により組み込まれるが、組み込まれた資料が本明細書に明記される既存の記述、定義、または他の開示資料と矛盾しない範囲にのみ組み込まれる。したがって、必要な程度に、本明細書に記載されるような明示的な開示は、本明細書に参照により組み込まれる任意の矛盾する資料にとって代わる。本明細書に参照により組み込まれるとされるが、本明細書に記載される既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾する任意の資料またはその一部は、その組み込まれる資料と既存の開示資料との間に生じる矛盾がない範囲に組み込まれるに過ぎない。本出願者らは、本明細書に参照により組み込まれる任意の主題またはその一部を明示的に列挙するように本明細書を補正する権利を有する。
【0017】
本明細書で使用するとき、文法的冠詞「1つの(one)」、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、別途指定されない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を含むよう意図される。したがって、冠詞は、本明細書において、1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)のその冠詞の文法的目的語を指すために使用される。例として、「構成要素」は、1つ以上の構成要素を意味し、したがって、場合により複数の構成要素が企図され、また記載の実施形態の実施に採用または使用されてもよい。さらに、使用する文脈が別途要求しない限り、単数名詞の使用は複数を含み、複数名詞の使用は単数を含む。
【0018】
本明細書に記載される種々の実施形態は、例えば、非金属介在物および気孔の減少された面積率および寸法等の改善された微細構造を有するニッケル−チタン合金
工場生産品を生成するためのプロセスを対象とする。本明細書に使用されるとき、用語「
工場生産品」は、合金インゴットの熱機械処理によって生成される合金物品を指す。
工場生産品としては、これらに限定されないが、ビレット、
棒、ロッド、ワイヤ、管、スラブ、プレート、シート、および箔が挙げられる。また、本明細書に使用されるとき、用語「ニッケル−チタン合金」は、合金組成物の総重量に基づいて少なくとも35%のチタンおよび少なくとも45%のニッケルを含む合金組成物を指す。種々の実施形態において、本明細書に記載されるプロセスは、ほぼ等原子ニッケル−チタン合金に適用可能である。本明細書に使用されるとき、用語「ほぼ等原子ニッケル−チタン合金」は、45.0原子パーセント〜55.0原子パーセントのニッケル、
残部チタン、および残留不純物を含む合金を指す。ほぼ等原子ニッケル−チタン合金は、原子ベースで50%のニッケルおよび50%のチタンから本質的になる等原子二元ニッケル−チタン合金を含む。
【0019】
ニッケル−チタン合金
工場生産品は、例えば、真空誘導溶解(VIM)および/または真空アーク再溶解(VAR)等の溶解技術を用いて合金化学を策定することと、ニッケル−チタン合金インゴットを鋳造することと、鋳造されたインゴットをビレットに鍛造することと、このビレットを
工場用素材形態に熱間加工することと、
工場用素材形態を
工場生産品形態に冷間加工(任意の中間焼なましとともに)することと、この
工場生産品形態をミル焼なましして、最終
工場生産品を生成することとを含むプロセスから作製され得る。これらのプロセスは、微細洗浄度等の可変微細構造特質を有する
工場生産品を生成することができる。本明細書に使用されるとき、用語「微細洗浄度」は、本明細書に参照により組み込まれる、ASTM F 2063−12の9.2項、Standard Specification for Wrought Nickel−Titanium Shape Memory Alloys for Medical Devices and Surgical Implantsに定義されるようなニッケル−チタン合金の非金属介在物および
気孔率特質を指す。ニッケル−チタン合金
工場生産品の生産者にとって、ASTM F 2063−12仕様等の業界標準の微細洗浄度および他の要件を一貫して満たすニッケル−チタン合金
工場生産品を生成することが商業的に重要であり得る。
【0020】
本明細書に記載されるプロセスは、ニッケル−チタン合金加工物を、500℃未満の温度で冷間加工することと、冷間加工されたニッケル−チタン合金加工物を熱間等方圧加圧することとを含む。冷間加工は、ニッケル−チタン合金加工物内の非金属介在物の寸法および面積率を減少させる。熱間等方圧加圧は、ニッケル−チタン合金加工物内の
気孔率を減少させるか、または除去する。
【0021】
一般的に、用語「冷間加工する」は、材料の流動応力が大幅に減少されるものより低い温度で合金を加工することを指す。開示されるプロセスに関連して本明細書に使用されるとき、「冷間加工する」、「冷間加工された」、「冷間成形する」、「冷間圧延する」、および同様の用語(または、例えば、「冷間引抜きする」等の特定の加工もしくは成形技術に関連して使用される「冷間」)は、場合によって、500℃未満の温度で加工すること、または加工された状態を指す。冷間加工作業は、加工物の内部および/または表面温度が500℃未満であるときに実施され得る。冷間加工作業は、500℃未満、例えば、400℃未満、300℃未満、200℃未満、または100℃未満等の任意の温度で実施されてもよい。種々の実施形態において、冷間加工作業は、周囲温度で実施され得る。所定の冷間加工作業では、ニッケル−チタン合金加工物の内部および/または表面温度は、断熱昇温により加工中に所定の限度(例えば、500℃または100℃)を超えて上昇するが、本明細書に記載されるプロセスのために、この作業はなおも、冷間加工作業である。
【0022】
一般的に、熱間等方圧加圧(HIPまたはHIPすること)は、HIP炉内の加工物の外表面への高圧かつ高温ガス、例えばアルゴン等の等方圧(すなわち、均一)適用を指す。開示されるプロセスに関連して本明細書に使用されるとき、「熱間等方圧加圧する」、「熱間等方圧加圧された」、および同様の用語または頭字語は、冷間加工状態でのニッケル−チタン合金加工物への高圧かつ高温ガスの等方圧適用を指す。種々の実施形態において、ニッケル−チタン合金加工物は、700℃〜1000℃の範囲の温度および3,000psi〜50,000psiの範囲の圧力で稼動するHIP炉内で熱間等方圧加圧され得る。いくつかの実施形態において、ニッケル−チタン合金加工物は、750℃〜950℃、800℃〜950℃、800℃〜900℃、または850℃〜900℃の範囲の温度、および7,500psi〜50,000psi、10,000psi〜45,000psi、10,000psi〜25,000psi、10,000psi〜20,000psi、10,000psi〜17,000psi、12,000psi〜17,000psi、または12,000psi〜15,000psiの範囲の圧力で稼動するHIP炉内で熱間等方圧加圧され得る。種々の実施形態において、ニッケル−チタン合金加工物は、温度および圧力で、少なくとも0.25時間、いくつかの実施形態において、少なくとも0.5時間、0.75時間、1.0時間、1.5時間、または少なくとも2.0時間、HIP炉内で熱間等方圧加圧され得る。
【0023】
本明細書に使用されるとき、用語「非金属介在物」は、炭素および/または酸素原子等の非金属成分を含むNiTi金属マトリクスにおける二次相を指す。非金属介在物は、Ti
4Ni
2O
x酸化物の非金属介在物ならびに炭化チタン(TiC)および/またはチタンオキシ炭化物(Ti(C,O))の非金属介在物の両方を含む。非金属介在物は、Ni
4Ti
3、Ni
3Ti
2、Ni
3Ti、およびTi
2Ni等の離散的金属間相を含まず、これはまた、ほぼ等原子ニッケル−チタン合金内に生じ得る。
【0024】
原子ベースで50%のニッケルおよび50%のチタンから本質的になる等原子ニッケル−チタン合金(約55重量%のNi、45重量%のTi)は、NiTiのB2の立方晶構造(すなわち、塩化セシウム型構造)から本質的なるオーステナイト相を有する。形状記憶効果および超弾性と関連付けられたマルテンサイト変態は拡散せず、マルテンサイト相は、B19'の単斜晶構造を有する。NiTi位相場は、非常に狭く、約650℃未満の温度で等原子ニッケル−チタンに本質的に相当する。
図1を参照されたい。Tiリッチ側のNiTi位相場の境界は、周囲温度から最高約600℃まで本質的に垂直である。Niリッチ側のNiTi位相場の境界は、温度の低下とともに減少し、B2のNiTi内のニッケルの溶解度は、約600℃以下でごくわずかである。したがって、ほぼ等原子ニッケル−チタン合金は概して、金属間の第2の相(例えば、Ni
4Ti
3、Ni
3Ti
2、Ni
3Ti、およびTi
2Ni)を含み、ほぼ等原子ニッケル−チタン合金がTiリッチまたはNiリッチであるかどうかに依存する化学的同一性を含む。
【0025】
前述のように、ニッケル−チタン合金インゴットは、真空誘導溶解(VIM)を用いて溶解された溶融合金から鋳造され得る。チタン投入材料およびニッケル投入材料は、VIM炉内で黒鉛るつぼ内に配置され、溶融ニッケル−チタン合金を生成するために溶解され得る。溶解中、黒鉛るつぼからの炭素は、溶融合金の中に溶解し得る。ニッケル−チタン合金インゴットの鋳造中、炭素は、溶融合金と反応して、鋳造されたインゴット内に非金属介在物を生じる立方晶炭化チタン(TiC)および/または立方晶チタンオキシ炭化物(Ti(C,O))粒子を生成し得る。VIMインゴットは概して、100〜800重量ppmの炭素および100〜400重量ppmの酸素を含み、これは、ニッケル−チタン合金マトリクス内に比較的大きい非金属介在物を生成し得る。
【0026】
ニッケル−チタン合金インゴットはまた、真空アーク再溶解(VAR)を用いて溶解された溶融合金から生成され得る。これに関して、用語VARは、チタン投入材料およびニッケル投入材料がVAR炉内で第1の例における合金組成物を形成するようにともに溶解され得るために誤った名称であり得、この場合、この作業は、真空アーク溶解とより正確に呼ばれ得る。一貫性のために、用語「真空アーク再溶解」および「VAR」は、所定の作業の場合によっては、元素投入材料または他の供給材料からの合金の再溶解および合金の最初の溶解両方を指すために本明細書に使用される。
【0027】
チタン投入材料およびニッケル投入材料は、VAR炉内で水冷銅るつぼに真空アーク再溶解される溶接棒を機械的に形成するために使用され得る。水冷銅るつぼの使用は、黒鉛るつぼを必要とするVIMを用いて溶解されたニッケル−チタン合金に対して炭素ピックアップのレベルを大幅に減少させ得る。VARインゴットは概して、100重量ppm未満の炭素を含むことができ、これは、炭化チタン(TiC)および/またはチタンオキシ炭化物(Ti(C,O))の非金属介在物の形成を大幅に減少させるか、または除去する。しかしながら、VARインゴットは概して、例えば、スポンジチタン投入材料から生成されるとき、100〜400重量ppmの酸素を含むことができる。酸素は、溶融合金と反応して、Ti
4Ni
2O
x酸化物の非金属介在物を生成することができ、これは、例えば、Tiリッチのほぼ等原子ニッケル−チタン合金内に一般に存在するTi
2Ni金属間の第2の相としてほぼ同じ立方晶構造(空間群Fd3m)を有する。これらの非金属酸化物介在物は、低酸素(<60重量ppm)のヨウ化物還元チタン結晶棒から溶解された高純度VARインゴットに認められている。
【0028】
鋳造されたニッケル−チタン合金インゴットおよびこのインゴットから成形された物品は、ニッケル−チタン合金マトリクス内に比較的大きい非金属介在物を含むことができる。これらの大きい非金属介在物粒子は、ニッケル−チタン合金物品、具体的には、ほぼ等原子ニッケル−チタン合金物品の疲労寿命および表面品質に悪影響を与え得る。実際に、業界標準仕様は、例えば、アクチュエータ、移植可能なステント、および他の医療機器等の疲労が決定的なことである、および表面品質が決定的なことである用途に使用することを目的とするニッケル−チタン合金内の非金属介在物の寸法および面積率に厳しい制限を課す。本明細書に参照により組み込まれる、ASTM F 2063−12:Standard Specification for Wrought Nickel−Titanium Shape Memory Alloys for Medical Devices and Surgical Implantsを参照されたい。したがって、ニッケル−チタン合金
工場生産品内の非金属介在物の寸法および面積率を最小限にすることが重要であり得る。
【0029】
鋳造されたニッケル−チタン合金内に生じる非金属介在物は、概して砕けやすく、材料の加工中に粉砕および移動する。加工作業中の非金属介在物の粉砕、伸長、および移動は、ニッケル−チタン合金内の非金属介在物の寸法を減少させる。しかしながら、加工作業中の非金属介在物の粉砕および移動はまた、バルク材料内の
気孔率を増加させる微視的空隙の形成を同時に引き起こし得る。この現象は、
図2Aおよび2Bに示され、これは、ニッケル−チタン合金の微細構造内の非金属介在物および
気孔率に作用する反作用を概略的に図示する。
図2Aは、非金属介在物10を含むが気孔がないニッケル−チタン合金の微細構造を図示する。
図2Bは、非金属介在物10’に作用する影響を図示し、これは、より小さい粒子に粉砕され、分離されるが、より小さい介在粒子を相互接続する気孔20の増加とともに示される。
図3は、ニッケル−チタン合金内の非金属介在物および関連した気孔空隙を示す実際の走査電子顕微鏡(SEM)像(後方散乱電子モードで500倍率)である。
【0030】
非金属介在物のように、ニッケル−チタン合金内の
気孔率は、ニッケル−チタン合金
生産品の疲労寿命および表面品質に悪影響を与え得る。実際に、業界標準仕様はまた、アクチュエータ、移植可能なステント、および他の医療機器等の疲労が決定的なことである、および表面品質が決定的なことである用途に使用することを目的とするニッケル−チタン合金内の非金属介在物内の
気孔率に厳しい制限を課す。ASTM F 2063−12:Standard Specification for Wrought Nickel−Titanium Shape Memory Alloys for Medical Devices and Surgical Implantsを参照されたい。
【0031】
具体的には、ASTM F 2063−12仕様に従って、30℃以下のA
sを有するほぼ等原子ニッケル−チタン合金の場合、気孔および非金属介在物の最大許容長さ寸法は、39.0マイクロメートル(0.0015インチ)であり、この長さは、隣接粒子および空隙ならびに空隙によって分離された粒子を含む。加えて、気孔および非金属介在物は、任意の視野において400倍〜500倍率で見られるように、2.8%(面積パーセント)を超えるニッケル−チタン合金微細構造を構成することができない。これらの測定は、本明細書に参照により組み込まれる、ASTM E1245−03(2008)−Standard Practice for Determining the Inclusion or Second−Phase Constituent Content of Metals by Automatic Image Analysis、または同等の方法に従って行われ得る。
【0032】
図2Aおよび2Bを参照すると、ニッケル−チタン合金を加工することは、非金属介在物の寸法を減少させ得るが、最終結果は、気孔と組み合わされた非金属介在物の全体の寸法および面積率を増加させることであり得る。したがって、ASTM F 2063−12仕様等の業界標準の厳しい制限を満たすニッケル−チタン合金材料の一貫した効率的な生成は、ニッケル−チタン合金
工場生産品の生産者への課題であることが分かる。本明細書に記載されるプロセスは、非金属介在物および気孔の両方の減少された寸法および面積率を含む、改善された微細構造を有するニッケル−チタン合金
工場生産品を提供することによってその課題を満たす。例えば、種々の実施形態において、本明細書に記載されるプロセスによって生成されたニッケル−チタン合金
工場生産品は、冷間加工後にのみ測定されたASTM F 2063−12標準仕様の寸法および面積率要件を満たす。
【0033】
前述のように、ニッケル−チタン合金
工場生産品の生成のためのプロセスは、ニッケル−チタン合金加工物を冷間加工および熱間等方圧加圧することを含むことができる。例えば、周囲温度など、500℃未満の温度でのニッケル−チタン合金加工物の冷間加工は、適用された冷間加工の方向に沿って非金属介在物を効果的に粉砕し、移動させ、ニッケル−チタン合金加工物内の非金属介在物の寸法を減少させる。冷間加工は、任意の最終熱間加工作業が完了した後、ニッケル−チタン合金加工物に適用され得る。一般的に、「熱間加工する」は、材料の流動応力が大幅に減少される温度を超える温度で合金を加工することを指す。記載されるプロセスに関連して本明細書に使用されるとき、「熱間加工する」、「熱間加工された」、「熱間鍛造する」、「熱間圧延する」、および同様の用語(または特定の加工もしくは成形技術に関連して使用される「熱間」)は、場合によって、500℃以上の温度で加工すること、または加工された状態を指す。
【0034】
種々の実施形態において、ニッケル−チタン合金
工場生産品の生成のためのプロセスは、冷間加工作業前の熱間加工作業を含むことができる。上述されるように、ニッケル−チタン合金は、ニッケル−チタン合金インゴットを生成するためにVIMおよび/またはVARを用いてニッケルおよびチタン投入材料から鋳造され得る。鋳造されたニッケル−チタン合金インゴットは、熱間加工されて、ビレットを生成することができる。例えば、種々の実施形態において、10.0インチ〜30.0インチの範囲の直径を有する鋳造されたニッケル−チタン合金インゴット(加工物)は、熱間加工されて(例えば、熱間回転鍛造によって)、2.5インチ〜8.0インチの範囲の直径を有するビレットを生成することができる。ニッケル−チタン合金ビレット(加工物)は、熱間
棒圧延されて、例えば、0.218インチ〜3.7インチの範囲の直径を有するロッドまたは
棒状素材を生成することができる。ニッケル−チタン合金ロッドまたは
棒状素材(加工物)は、熱間引抜きされて、例えば、0.001インチ〜0.218インチの範囲の直径を有するニッケル−チタン合金ロッド、
棒、またはワイヤを生成することができる。任意の熱間加工作業後、ニッケル−チタン合金
工場生産品(中間形態における)は、本明細書に記載される実施形態に従って冷間加工されて、ニッケル−チタン合金
工場生産品の最終マクロ構造形態を生成することができる。本明細書に使用されるとき、用語「マクロ構造」または「マクロ構造の」は、合金材料(介在物および気孔を含む)の微視的粒状構造および位相構造を指す「微細構造」とは対照的に、合金加工物または
工場生産品の巨視的形状および寸法を指す。
【0035】
種々の実施形態において、鋳造されたニッケル−チタン合金インゴットは、これらに限定されないが、鍛造、据込み、引抜き、圧延、押出し、ピルガリング、揺動、スウェージング、圧造、コイニング、および任意のこれらの組み合わせを含む成形技術を用いて熱間加工され得る。1つ以上の熱間加工作業は、鋳造されたニッケル−チタン合金インゴットを半仕上げまたは中間
工場生産品(加工物)に変換するために使用され得る。その後、中間
工場生産品(加工物)は、1つ以上の冷間加工作業を用いて
工場生産品のための最終マクロ構造形態に冷間加工され得る。冷間加工は、これらに限定されないが、鍛造、据込み、引抜き、圧延、押出し、ピルガリング、揺動、スウェージング、圧造、コイニング、および任意のこれらの組み合わせを含む成形技術を含むことができる。種々の実施形態において、ニッケル−チタン合金加工物(例えば、インゴット、ビレット、または他の
工場生産品の素材形態)は、少なくとも1つの熱間加工技術を用いて熱間加工され、その後、少なくとも1つの冷間加工技術を用いて冷間加工され得る。種々の実施形態において、熱間加工することは、500℃〜1000℃の範囲、または例えば、600℃〜900℃もしくは700℃〜900℃等の本明細書に組み込まれる任意の部分範囲の初期内部または表面温度でニッケル−チタン合金加工物に実施され得る。種々の実施形態において、冷間加工は、例えば、周囲温度など、500℃未満の初期内部または表面温度でニッケル−チタン合金物品に実施され得る。
【0036】
例として、鋳造されたニッケル−チタン合金インゴットは、熱間鍛造されて、ニッケル−チタン合金ビレットを生成することができる。ニッケル−チタン合金ビレットは、熱間
棒圧延されて、例えば、
棒またはロッド
工場生産品のために特定の最終直径より大きい直径を有するニッケル−チタン合金丸棒
素材を生成することができる。より大きい直径のニッケル−チタン合金丸棒
素材は、半仕上げ
工場生産品または中間加工物であり得、これは、その後、冷間引抜きされて、例えば、最終の特定直径を有する
棒状またはロッド
工場生産品を生成する。ニッケル−チタン合金加工物の冷間加工は、引抜き方向に沿って非金属介在物を粉砕し、移動させ、加工物内の非金属介在物の寸法を減少させることができる。冷間加工はまた、ニッケル−チタン合金加工物内の
気孔率を増加させる場合があり、前の熱間加工作業から生じる加工物内に存在する任意の気孔を増やす。後続の熱間等方圧加圧作業は、ニッケル−チタン合金加工物内の
気孔率を減少させるか、または完全に除去することができる。後続の熱間等方圧加圧作業はまた、ニッケル−チタン合金加工物を同時に再結晶させ、および/または加工物に応力緩和焼なましを提供することができる。
【0037】
ニッケル−チタン合金は、急速な冷間加工硬化を示し、したがって冷間加工されたニッケル−チタン合金物品は、連続的な冷間加工作業後に焼なましされ得る。例えば、ニッケル−チタン合金
工場生産品を生成するためのプロセスは、第1の冷間加工作業でニッケル−チタン合金加工物を冷間加工することと、冷間加工されたニッケル−チタン合金加工物を焼なましすることと、第2の冷間加工作業で焼なましされたニッケル−チタン合金加工物を冷間加工することと、2回冷間加工されたニッケル−チタン合金加工物を熱間等方圧加圧することとを含むことができる。第2の冷間加工作業後、および熱間等方圧加圧作業前に、ニッケル−チタン合金加工物は、少なくとも1つの追加の焼なまし作業および少なくとも1つの追加の冷間加工作業に供され得る。第1の冷間加工作業と熱間等方圧加圧作業との間の中間焼なましおよび冷間加工の連続サイクルの数は、加工物になされる冷間加工の量および特定のニッケル−チタン合金組成物の加工硬化速度によって決定され得る。連続的な冷間加工作業間の中間焼なましは、700℃〜900℃または750℃〜850℃の範囲の温度で稼動する炉内で実施され得る。連続的な冷間加工作業間の中間焼なましは、材料の寸法および炉のタイプに応じて、少なくとも20秒間〜最高2時間以上の炉時間実施され得る。
【0038】
種々の実施形態において、熱間加工および/または冷間加工作業は、ニッケル−チタン合金
工場生産品の最終マクロ構造形態を生成するように実施されてもよく、後続の熱間等方圧加圧作業は、ニッケル−チタン合金
工場生産品の最終微細構造形態を生成するように冷間加工された加工物に実施されてもよい。冶金粉末の圧密および焼結のための熱間等方圧加圧の使用とは異なり、本明細書に記載されるプロセスでの熱間等方圧加圧の使用は、冷間加工されたニッケル−チタン合金加工物内の巨視的寸法または形状変化を引き起こさない。
【0039】
理論に束縛されるものではないが、冷間加工は、ニッケル−チタン合金内の砕けやすい(すなわち、硬質かつ非延性)非金属介在物を粉砕し、移動させるのに熱間加工するよりも大幅に効率的であり、これは、非金属介在物の寸法を減少させると考えられている。加工作業中、ニッケル−チタン合金材料に投入されるひずみエネルギーは、より大きい非金属介在物をひずみの方向に離れるより小さい介在物に破砕させる。高温での熱間加工中に、ニッケル−チタン合金材料の塑性流動応力は、著しくより低く、したがって材料は、介在物の周囲をより容易に流れ、介在物の中に破砕および移動を引き起こす同程度のひずみエネルギーを付与しない。しかしながら、熱間加工中、介在物に対する合金材料の塑性流動は、介在物とニッケル−チタン合金材料との間に空所をなおも形成し、それにより材料の
気孔率を増加させる。一方、冷間加工中、ニッケル−チタン合金材料の塑性流動応力は、著しくより大きく、材料は、容易に介在物の周囲を塑性的に流れない。したがって、より著しいひずみエネルギーが介在物に付与されて、破砕および移動を引き起こし、これは、介在物の破砕、移動、寸法縮小、および面積縮小の比率を大幅に増加させるが、空隙形成および気孔の比率も増加させる。しかしながら、前述のように、ニッケル−チタン合金を加工することは、非金属介在物の寸法および面積率を減少させ得るが、最終結果は、気孔と組み合わされた非金属介在物の全体の寸法および面積率を増加させることであり得る。
【0040】
本発明者らは、熱間加工および/または冷間加工されたニッケル−チタン合金加工物を熱間等方圧加圧することが熱間加工および/または冷間加工作業中に合金に生じた気孔を効果的に塞ぐ(すなわち、回復する)ことを見出した。熱間等方圧加圧は、合金材料を微視的スケールで塑性的に降伏させ、ニッケル−チタン合金内に内部気孔を生じる空所を塞がせる。このように、熱間等方圧加圧により、空所へのニッケル−チタン合金材料の微細クリープが可能となる。加えて、気孔空隙の内面が大気に曝露されていないため、表面がHIP作業の圧力から一体化するときに金属結合が形成される。これは、非金属介在物の寸法および面積率の減少をもたらし、これは、空所ではなくニッケル−チタン合金材料によって分離される。これは、冷間加工後に測定されるASTM F 2063−12標準仕様の寸法および面積率要件を満たすニッケル−チタン合金
工場生産品の生成に特に有利であり、この仕様は、隣接非金属介在物および気孔空隙(39.0マイクロメートル(0.0015インチ)の最大許容長さ寸法、および2.8%の最大面積率)の総計寸法および面積率に厳しい制限を課す。
【0041】
種々の実施形態において、熱間等方圧加圧作業は、複数の機能を果たすことができる。例えば、熱間等方圧加圧作業は、熱間加工および/または冷間加工されたニッケル−チタン合金内の気孔を減少させるか、または除去することができ、熱間等方圧加圧作業は、ニッケル−チタン合金を同時に焼なましし、それにより前の冷間加工作業によって誘発された任意の内部応力を緩和し、いくつかの実施形態において、合金を再結晶させて、例えば、4以上のASTM結晶粒度(G)(本明細書に参照により組み込まれる、ASTM E112−12:Standard Test Methods for Determining Average Grain Sizeに従って測定されるような)等の所望の粒状構造を達成することができる。種々の実施形態において、熱間等方圧加圧後、ニッケル−チタン合金
工場生産品は、これらに限定されないが、剥離、研磨、芯なし研削、爆破、酸洗い、矯正、サイジング、ホーニング、または他の表面調整作業を含む1つ以上の仕上げ作業に供され得る。
【0042】
種々の実施形態において、本明細書に記載されるプロセスによって生成される
工場生産品は、例えば、ビレット、
棒、ロッド、管、スラブ、プレート、シート、箔、またはワイヤを含むことができる。
【0043】
種々の実施形態において、ニッケル投入材料およびチタン投入材料は、真空アーク再溶解されて、本明細書に記載される実施形態に従って熱間加工および/または冷間加工ならびに熱間等方圧加圧されるニッケル−チタン合金VARインゴットを生成することができる。ニッケル投入材料は、例えば、電解ニッケルまたはニッケル粉を含むことができ、チタン投入材料は、チタンスポンジ、電解チタン結晶、チタン粉、およびヨウ化物還元チタン結晶棒からなる群から選択され得る。ニッケル投入材料および/またはチタン投入材料は、ニッケル投入材料およびチタン投入材料がニッケル−チタン合金を形成するためにともに合金化される前に、例えば、電子ビーム溶解によって精製されたニッケルまたはチタン元素の純度が低い形態を含むことができる。ニッケルおよびチタンに加えて合金化元素は、存在する場合、金属分野において既知の元素投入材料を用いて添加され得る。ニッケル投入材料およびチタン投入材料(ならびに任意の他の意図的な合金化投入材料)は、機械的にともに圧縮されて、初期VAR作業のための投入溶接棒を生成することができる。
【0044】
初期のほぼ等原子ニッケル−チタン合金組成物は、初期VAR作業のための投入溶接棒内のニッケル投入材料およびチタン投入材料の測定された量を含むことによって、所定の組成(例えば、50.8原子パーセント(約55.8重量パーセント)のニッケル、
残部チタン、および残留不純物など)まで可能な限り正確に溶解され得る。種々の実施形態において、初期のほぼ等原子ニッケル−チタン合金組成の精度は、例えば、合金のA
s、A
f、M
s、M
f、およびM
dのうちの少なくとも1つで測定することなど、VARインゴットの遷移温度を測定することによって評価され得る。
【0045】
ニッケル−チタン合金の遷移温度は、大部分が合金の化学組成に依存することが認められている。具体的には、ニッケル−チタン合金のNiTi相における溶液中のニッケルの量は、合金の変態温度に強い影響を及ぼすことが認められている。例えば、ニッケル−チタン合金のM
sは概して、NiTi相における固溶体中のニッケルの濃度の増加とともに減少するが、ニッケル−チタン合金のM
sは概して、NiTi相における固溶体中のニッケルの濃度の減少とともに増加する。ニッケル−チタン合金の変態温度は、所定の合金組成物に対してよく特徴付けられる。したがって、変態温度の測定、および合金の対象の化学組成に対応する予測された値と測定値との比較は、合金の対象の化学組成からの任意の偏差を決定するために使用され得る。
【0046】
VARインゴットまたは他の中間もしくは最終
工場生産品の変態温度は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)または同等の熱機械試験方法を用いて測定され得る。種々の実施形態において、ほぼ等原子ニッケル−チタン合金VARインゴットの変態温度は、本明細書に参照により組み込まれる、ASTM F2004−05:Standard Test Method for Transformation Temperature of Nickel−Titanium Alloys by Thermal Analysisに従って測定され得る。VARインゴットまたは他の中間もしくは最終
工場生産品の変態温度はまた、例えば、本明細書に参照により組み込まれる、ASTM F2082−06:Standard Test Method for Determination of Transformation Temperature of Nickel−Titanium Shape Memory Alloys by Bend and Free Recoveryに従う、例えば、曲げ自由回復(BFR)試験を用いて測定され得る。
【0047】
測定された変態温度が対象の合金組成物の予測された変態温度に対して所定の仕様から外れると、初期VARインゴットは、ニッケル投入材料、チタン投入材料、または既知の遷移温度を有するニッケル−チタン母合金の修正添加により第2のVAR作業で再溶解され得る。結果として生じる第2のニッケル−チタン合金VARインゴットの変態温度は、変態温度が対象の合金組成物の予測された変態温度に対して所定の仕様の範囲に入るかどうかを決定するために測定され得る。所定の仕様は、対象の組成物の予測された遷移温度の温度範囲程度であり得る。
【0048】
第2のニッケル−チタンVARインゴットの測定された遷移温度が所定の仕様の範囲外である場合、第2のVARインゴット、および必要な場合、後続のVARインゴットは、測定された変態温度が所定の仕様の範囲に入るまで、修正合金化添加により連続的なVAR作業で再溶解され得る。この反復の再溶解および合金化行為により、ほぼ等原子ニッケル−チタン合金組成物および変態温度に対する正確かつ精密な制御が可能となる。種々の実施形態において、A
f、A
s、および/またはA
pは、ほぼ等原子ニッケル−チタン合金を反復的に再溶解および合金化するために使用される(オーステナイトピーク温度(A
p)は、ニッケル−チタン形状記憶または超弾性合金がマルテンサイトからオーステナイトへの最高変態率を示し、本明細書に参照により組み込まれる、ASTM F2005−05:Standard Terminology for Nickel−Titanium Shape Memory Alloysを参照されたい)。
【0049】
種々の実施形態において、チタン投入材料およびニッケル投入材料は、真空誘導溶解されて、ニッケル−チタン合金を生成し、ニッケル−チタン合金のインゴットは、VIM溶解物から鋳造され得る。VIM鋳造インゴットは、本明細書に記載される実施形態に従って熱間加工および/または冷間加工ならびに熱間等方圧加圧され得る。ニッケル投入材料は、例えば、電解ニッケルまたはニッケル粉を含むことができ、チタン投入材料は、チタンスポンジ、電解チタン結晶、チタン粉、およびヨウ化物還元チタン結晶棒からなる群から選択され得る。ニッケル投入材料およびチタン投入材料は、VIMるつぼに装填され、ともに溶解され、初期VIMインゴットに鋳造され得る。
【0050】
初期のほぼ等原子ニッケル−チタン合金組成物は、VIMるつぼへの装填においてニッケル投入材料およびチタン投入材料の測定された量を含むことによって、所定の組成(例えば、50.8原子パーセント(約55.8重量パーセント)のニッケル、チタン、および残留不純物など)まで可能な限り正確に溶解され得る。種々の実施形態において、初期のほぼ等原子ニッケル−チタン合金組成物の正確性は、VARを用いて調製されたニッケル−チタン合金に関連して上述されるように、VIMインゴットまたは他の中間もしくは最終
工場生産品の遷移温度を測定することによって評価され得る。測定された遷移温度が所定の仕様の範囲外である場合、初期VIMインゴット、および必要な場合、後続のVIMインゴットまたは他の中間もしくは最終
工場生産品は、測定された変態温度が所定の仕様の範囲に入るまで、修正合金化添加により連続的なVIM作業で再溶解され得る。
【0051】
種々の実施形態において、ニッケル−チタン合金は、1つ以上のVIM作業と1つ以上のVAR作業との組み合わせを用いて生成され得る。例えば、ニッケル−チタン合金インゴットは、初期インゴットを調製するためにVIM作業を用いてニッケル投入材料およびチタン投入材料から調製されてもよく、次いでVAR作業で再溶解される。複数のVIMインゴットがVAR溶接棒を構築するために使用される統合されたVAR作業も使用されてもよい。
【0052】
種々の実施形態において、ニッケル−チタン合金は、45.0原子パーセント〜55.0原子パーセントのニッケル、
残部チタン、および残留不純物を含むことができる。ニッケル−チタン合金は、45.0原子パーセント〜56.0原子パーセントのニッケル、または例えば、49.0原子パーセント〜52.0原子パーセントのニッケル等の本明細書に組み込まれる任意の部分範囲を含むことができる。ニッケル−チタン合金はまた、50.8原子パーセントのニッケル(±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、または±0.1原子パーセントのニッケル)、
残部チタン、および残留不純物を含むことができる。
ニッケル−チタン合金はまた、55.04原子パーセントのニッケル(±0.10、±0.05、±0.04、±0.03、±0.02、または±0.01原子パーセントのニッケル)、
残部チタン、および残留不純物を含むことができる。
【0053】
種々の実施形態において、ニッケル−チタン合金は、50.0重量パーセント〜60.0重量パーセントのニッケル、
残部チタン、および残留不純物を含むことができる。ニッケル−チタン合金は、50.0重量パーセント〜60.0重量パーセントのニッケル、または例えば、54.2重量パーセント〜57.0重量パーセントのニッケル等の本明細書に組み込まれる任意の部分範囲を含むことができる。ニッケル−チタン合金は、55.8重量パーセントのニッケル(±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、または±0.1重量パーセントのニッケル)、
残部チタン、および残留不純物を含むことができる。ニッケル−チタン合金は、54.5重量パーセントのニッケル(±2、±1、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、または±0.1重量パーセントのニッケル)、
残部チタン、および残留不純物を含むことができる。
【0054】
本明細書に記載される種々の実施形態はまた、ニッケルおよびチタンに加えて、例えば、銅、鉄、コバルト、ニオブ、クロム、ハフニウム、ジルコニウム、白金、および/またはパラジウム等の少なくとも1つの合金化元素を含む形状記憶または超弾性ニッケル−チタン合金に適用可能である。種々の実施形態において、形状記憶または超弾性ニッケル−チタン合金は、ニッケル、チタン、残留不純物、ならびに例えば、銅、鉄、コバルト、ニオブ、クロム、ハフニウム、ジルコニウム、白金、およびパラジウム等の1.0原子パーセント〜30.0原子パーセントの少なくとも1つの他の合金化元素を含むことができる。例えば、形状記憶または超弾性ニッケル−チタン合金は、ニッケル、チタン、残留不純物、ならびに5.0原子パーセント〜30.0原子パーセントのハフニウム、ジルコニウム、白金、パラジウム、または任意のこれらの組み合わせを含むことができる。種々の実施形態において、形状記憶または超弾性ニッケル−チタン合金は、ニッケル、チタン、残留不純物、ならびに1.0原子パーセント〜5.0原子パーセントの銅、鉄、コバルト、ニオブ、クロム、または任意のこれらの組み合わせを含むことができる。
【0055】
以下の非限定的および非包括的実施例は、本明細書に記載の実施形態の範囲を制限することなく、種々の非限定的および非包括的実施形態をさらに記載することを意図する。
【実施例】
【0056】
実施例1:
直径0.5インチのニッケル−チタン合金
棒を7つ(7)の
棒試料に切断した。表1に示されるように、これらの区分をそれぞれ処理した。
【0057】
【表1】
【0058】
熱間等方圧加圧処理後、試料2〜7を試料のほぼ中心線で長手方向に各々区分して、走査電子顕微鏡法(SEM)のために試料を生成した。熱間等方圧加圧処理を全くせずに受け取った状態のままで試料1を長手方向に区分した。隣接非金属介在物および気孔空隙の最大寸法および面積率をASTM E1245−03(2008)−Standard Practice for Determining the Inclusion or Second−Phase Constituent Content of Metals by Automatic Image Analysisに従って測定した。後方散乱電子モードでSEMを用いて全長手方向の断面を検査した。隣接非金属介在物および気孔の3つの最大可視領域を含むSEM視野を各々区分された試料に対して500倍率で撮像した。画像解析ソフトウェアを使用して、区分された試料ごとに3つのSEM画像の各々において非金属介在物および気孔の最大寸法および面積率を測定した。この結果を表2および3に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
この結果は、熱間等方圧加圧作業が概して、非金属介在物および気孔の組み合わせた寸法および面積率を減少させたことを示す。熱間等方圧加圧されたニッケル−チタン合金
棒は概して、ASTM F 2063−12標準仕様の要件(39.0マイクロメートル(0.0015インチ)の最大許容長さ寸法、および2.8%の最大面積率)を満たした。
図4Aと
図4B〜4Gとの比較は、熱間等方圧加圧作業がニッケル−チタン合金
棒内の気孔を減少させ、場合によっては除去したことを示す。
【0062】
実施例2:
直径0.5インチのニッケル−チタン合金
棒を7つ(7)の
棒試料に切断した。表4に示されるように、試料をそれぞれ処理した。
【0063】
【表4】
【0064】
熱間等方圧加圧処理後、試料2〜7を試料のほぼ中心線で長手方向に各々区分して、走査電子顕微鏡法(SEM)のために区分を生成した。熱間等方圧加圧処理を全くせずに受け取った状態のままで試料1を長手方向に区分した。隣接非金属介在物および気孔空隙の最大寸法および面積率をASTM E1245−03(2008)−Standard Practice for Determining the Inclusion or Second−Phase Constituent Content of Metals by Automatic Image Analysisに従って測定した。後方散乱電子モードでSEMを用いて全長手方向の断面を検査した。隣接非金属介在物および気孔の3つの最大可視領域を含むSEM視野を各々区分された試料に対して500倍率で撮像した。画像解析ソフトウェアを使用して、区分された試料ごとに3つのSEM画像の各々において非金属介在物および気孔の最大寸法および面積率を測定した。この結果を表5および6に示す。
【0065】
【表5】
【0066】
【表6】
【0067】
この結果は、熱間等方圧加圧作業が概して、非金属介在物および気孔の組み合わせた寸法および面積率を減少させたことを示す。熱間等方圧加圧されたニッケル−チタン合金
棒は概して、ASTM F 2063−12標準仕様の要件(39.0マイクロメートル(0.0015インチ)の最大許容長さ寸法、および2.8%の最大面積率)を満たした。
図5Aと
図5B〜5Gとの比較は、熱間等方圧加圧作業がニッケル−チタン合金
棒内の気孔を減少させ、場合によっては除去したことを示す。
【0068】
実施例3:
直径0.5インチのニッケル−チタン合金
棒を2時間、900℃および15,000psiで熱間等方圧加圧した。熱間等方圧加圧された
棒を長手方向に区分して、走査電子顕微鏡法(SEM)のために8つ(8)の長手方向の試料区分を生成した。隣接非金属介在物および気孔空隙の最大寸法および面積率をASTM E1245−03 (2008)−Standard Practice for Determining the Inclusion or Second−Phase Constituent Content of Metals by Automatic Image Analysisに従って測定した。後方散乱電子モードでSEMを用いて8つの長手方向の断面の各々を検査した。隣接非金属介在物および気孔の3つの最大可視領域を含むSEM視野を各試料区分に対して500倍率で撮像した。画像解析ソフトウェアを使用して、試料区分ごとに3つのSEM画像の各々において非金属介在物および気孔の最大寸法および面積率を測定した。この結果を表7に示す。
【0069】
【表7】
【0070】
この結果は、熱間等方圧加圧されたニッケル−チタン合金
棒が概して、ASTM F 2063−12標準仕様の要件(39.0マイクロメートル(0.0015インチ)の最大許容長さ寸法、および2.8%の最大面積率)を満たしたことを示す。
図6A〜6Hの調査は、熱間等方圧加圧作業がニッケル−チタン合金
棒内の気孔を除去したことを示す。
【0071】
実施例4:
2つ(2)の直径4.0インチのニッケル−チタン合金ビレット(ビレットAおよびビレットB)を2つ(2)のより小さいビレットに各々切断して、合計4つ(4)のビレット試料、A1、A2、B1、およびB2を生成した。表8に示されるように、これらの区分をそれぞれ処理した。
【0072】
【表8】
【0073】
熱間等方圧加圧処理後、試料A2およびB2を区分のほぼ中心線で長手方向に各々区分して、走査電子顕微鏡法(SEM)のために試料を生成した。熱間等方圧加圧処理を全くせずに受け取った状態のままで試料A1およびB1を長手方向に区分した。隣接非金属介在物および気孔空隙の最大寸法および面積率をASTM E1245−03(2008)−Standard Practice for Determining the Inclusion or Second−Phase Constituent Content of Metals by Automatic Image Analysisに従って測定した。後方散乱電子モードでSEMを用いて全長手方向の断面を検査した。隣接非金属介在物および気孔の3つの最大可視領域を含むSEM視野を各々区分された試料に対して500倍率で撮像した。画像解析ソフトウェアを使用して、区分された試料ごとに3つのSEM画像の各々において非金属介在物および気孔の最大寸法および面積率を測定した。この結果を表9に示す。
【0074】
【表9】
【0075】
この結果は、熱間等方圧加圧作業が概して、非金属介在物および気孔の組み合わせた寸法および面積率を減少させたことを示す。
図7Bおよび7Dと
図7Aおよび7Cとの比較はそれぞれ、熱間等方圧加圧作業がニッケル−チタン合金ビレット内の気孔を減少させ、場合によっては除去したことを示す。
【0076】
実施例5:
ニッケル−チタン合金インゴットを熱間鍛造し、熱間圧延し、冷間引抜きして、直径0.53インチの
棒を生成した。ニッケル−チタン合金
棒を2時間、900℃および15,000psiで熱間等方圧加圧した。熱間等方圧加圧された
棒を長手方向に区分して、走査電子顕微鏡法(SEM)のために5つ(5)の長手方向の試料区分を生成した。隣接非金属介在物および気孔空隙の最大寸法および面積率をASTM E1245−03(2008)−Standard Practice for Determining the Inclusion or Second−Phase Constituent Content of Metals by Automatic Image Analysisに従って測定した。後方散乱電子モードでSEMを用いて5つの長手方向の断面の各々を検査した。隣接非金属介在物および気孔の3つの最大可視領域を含むSEM視野を各試料区分に対して500倍率で撮像した。画像解析ソフトウェアを使用して、試料区分ごとに3つのSEM画像の各々において非金属介在物および気孔の最大寸法および面積率を測定した。この結果を表10に示す。
【0077】
【表10】
【0078】
この結果は、冷間引抜きされ、熱間等方圧加圧されたニッケル−チタン合金
棒が概して、ASTM F 2063−12標準仕様の要件(39.0マイクロメートル(0.0015インチ)の最大許容長さ寸法、および2.8%の最大面積率)を満たしたことを示す。
図6A〜6Hの調査は、熱間等方圧加圧作業がニッケル−チタン合金
棒内の気孔を除去したことを示す。
【0079】
本明細書は、種々の非限定的および非包括的実施形態を参照して記載されている。しかし、当業者であれば、本開示の実施形態(またはその一部)の種々の置換、修正、またはいずれかの組み合わせが、本明細書の範囲内でなされ得ることを認識するだろう。したがって、本明細書が本明細書に明記されない追加の実施形態を支持することが企図され、かつ理解される。かかる実施形態は、例えば、本明細書に記載の種々の非限定的および非包括的実施形態の開示されたステップ、構成要素、要素、特性、態様、特徴、限定などのいずれかを組み合わせ、修正し、または再編成することにより得られ得る。このように、出願者は、本明細書に種々に記載される特徴を追加するために、審査過程において特許請求の範囲を補正する権利を有し、かかる補正は、合衆国法典第35編の第112条(a)および第132条(a)の要件に準拠する。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]
ニッケル−チタン工場生産品の生産のためのプロセスであって、
ニッケル−チタン合金インゴットを、500℃以上の温度で熱間鍛造して、ニッケル−チタン合金ビレットを生成することと、
前記ニッケル−チタン合金ビレットを、500℃以上の温度で熱間棒圧延して、ニッケル−チタン合金加工物を生成することと、
前記ニッケル−チタン合金加工物を、500℃未満の温度で冷間引抜きして、ニッケル−チタン合金棒を生成することと、
前記冷間加工されたニッケル−チタン合金棒を少なくとも0.25時間、700℃〜1000℃の範囲の温度および3,000psi〜50,000psiの範囲の圧力で稼動するHIP炉内で熱間等方圧加圧することと、を含む、プロセス。
[2]
前記ニッケル−チタン合金加工物は、少なくとも1.0時間、800℃〜950℃の範囲の温度および10,000psi〜17,000psiの範囲の圧力で稼動するHIP炉内で熱間等方圧加圧(HIP)される、[1]に記載のプロセス。
[3]
前記熱間鍛造および前記熱間棒圧延は、600℃〜900℃の範囲の初期加工物温度で独立して実施される、[1]に記載のプロセス。
[4]
前記ニッケル−チタン合金加工物は、周囲温度で冷間引抜きされる、[1]に記載のプロセス。
[5]
前記プロセスは、ASTM F 2063−12の寸法および面積率要件を満たす棒状工場生産品を生産する、[1]に記載のプロセス。
[6]
ニッケル−チタン工場生産品の生産のためのプロセスであって、
ニッケル−チタン合金加工物を、500℃以上の温度で熱間加工することと、
前記熱間加工されたニッケル−チタン合金加工物を、500℃未満の温度で冷間加工することと、
前記冷間加工されたニッケル−チタン合金加工物を少なくとも0.25時間、700℃〜1000℃の範囲の温度および3,000psi〜50,000psiの範囲の圧力で稼動するHIP炉内で熱間等方圧加圧することと、を含む、プロセス。
[7]
前記ニッケル−チタン合金加工物は、少なくとも1.0時間、800℃〜950℃の範囲の温度および10,000psi〜17,000psiの範囲の圧力で稼動するHIP炉内で熱間等方圧加圧(HIP)される、[6]に記載のプロセス。
[8]
前記熱間加工は、600℃〜900℃の範囲の初期加工物温度で実施される、[6]に記載のプロセス。
[9]
前記ニッケル−チタン合金加工物は、周囲温度で冷間加工される、[6]に記載のプロセス。
[10]
前記プロセスは、ASTM F 2063−12の寸法および面積率要件を満たす棒状工場生産品を生産する、[6]に記載のプロセス。
[11]
ニッケル−チタン工場生産品の生産のためのプロセスであって、
ニッケル−チタン合金加工物を、500℃未満の温度で冷間加工することと、
前記冷間加工されたニッケル−チタン合金加工物を熱間等方圧加圧することと、を含む、プロセス。
[12]
前記ニッケル−チタン合金加工物は、100℃未満の温度で冷間加工される、[11]に記載のプロセス。
[13]
前記ニッケル−チタン合金加工物は、周囲温度で冷間加工される、[11]に記載のプロセス。
[14]
前記冷間加工は、鍛造、据込み、引抜き、圧延、押出し、ピルガリング、搖動、スウェージング、圧造、コイニング、および任意のこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの冷間加工技術を含む、[11]に記載のプロセス。
[15]
前記ニッケル−チタン合金加工物を周囲温度で第1の冷間加工作業中に冷間加工することと、
前記冷間加工されたニッケル−チタン合金加工物を焼なましすることと、
前記ニッケル−チタン合金加工物を周囲温度で第2の冷間加工作業中に冷間加工することと、
前記2回冷間加工されたニッケル−チタン合金加工物を熱間等方圧加圧することと、を含む、[11]に記載のプロセス。
[16]
前記第2の冷間加工作業後および前記熱間等方圧加圧前に、前記ニッケル−チタン合金加工物を、
少なくとも1つの追加の中間焼なまし作業、および
周囲温度での少なくとも1つの追加の冷間加工作業に、供することをさらに含む、[15]に記載のプロセス。
[17]
前部ニッケル−チタン合金加工物は、700℃〜900℃の範囲の温度で焼なましされる、[15]に記載のプロセス。
[18]
前部ニッケル−チタン合金加工物は、少なくとも20秒の炉内時間、焼なましされる、[15]に記載のプロセス。
[19]
前部ニッケル−チタン合金加工物は、少なくとも0.25時間、700℃〜1000℃の範囲の温度および3,000psi〜50,000psiの範囲の圧力で稼動するHIP炉内で熱間等方圧加圧(HIP)される、[11]に記載のプロセス。
[20]
前部ニッケル−チタン合金加工物は、800℃〜1000℃の範囲の温度および7,500psi〜20,000psiの範囲の圧力で稼動するHIP炉内で熱間等方圧加圧(HIP)される、[11]に記載のプロセス。
[21]
前部ニッケル−チタン合金加工物は、800℃〜950℃の範囲の温度および10,000psi〜17,000psiの範囲の圧力で稼動するHIP炉内で熱間等方圧加圧(HIP)される、[11]に記載のプロセス。
[22]
前部ニッケル−チタン合金加工物は、850℃〜900℃の範囲の温度および12,000psi〜15,000psiの範囲の圧力で稼動するHIP炉内で熱間等方圧加圧(HIP)される、[11]に記載のプロセス。
[23]
前部ニッケル−チタン合金加工物は、少なくとも2.0時間、800℃〜1000℃の範囲の温度および7,500psi〜20,000psiの範囲の圧力で稼動するHIP炉内で熱間等方圧加圧(HIP)される、[11]に記載のプロセス。
[24]
前部冷間加工前に前記ニッケル−チタン合金加工物を熱間加工することをさらに含む、[11]に記載のプロセス。
[25]
前記熱間加工は、600℃〜900℃の範囲の初期加工物温度で実施される、[24]に記載のプロセス。
[26]
前記プロセスは、ビレット、棒、ロッド、ワイヤ、管、スラブ、プレート、およびシートからなる群から選択される工場生産品を生産する、[11]に記載のプロセス。
[27]
前記冷間加工は、前記ニッケル−チタン合金加工物内の非金属介在物の寸法および面積率を減少させ、
前記熱間等方圧加圧は、前記ニッケル−チタン合金加工物内の気孔率を減少させる、[11]に記載のプロセス。
[28]
前記プロセスは、ASTM F 2063−12の寸法および面積率要件を満たす工場生産品を生産する、[1]に記載のプロセス。