(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子(Organic Luminescence Emitting Device:OLED)は、蛍光性有機化合物に電流が流れると光を発する電界発光現象を利用して自ら光を発する自発光素子であって、非発光素子に光を加えるためのバックライトが必要ではないため軽量であり、薄形の平板表示装置を製造することができる。
【0003】
このような有機電界発光素子を用いた平板表示装置は、応答速度が速くて、視野角が広いため、次世代の表示装置として頭をもたげている。
【0004】
特に、製造工程が単純であるため、生産コストを既存の液晶表示装置より大幅節減できることが長所である。
【0005】
有機電界発光素子は、アノード及びカソード電極を除いた他の構成層である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層などが有機薄膜からなっていて、このような有機薄膜は真空熱蒸着方法によって基板上に蒸着するようになる。
【0006】
真空熱蒸着方法は真空のチャンバー内に基板を移送させ、一定パターンが形成されたシャドーマスク(shadow mask)を移送された基板に整列した後、有機物が入っているるつぼに熱を加え、るつぼから昇華される有機物を基板上に蒸着する方法でなる。
【0007】
従来の技術による真空熱蒸着方法は一つのチャンバー内で一つの基板に対する蒸着工程が行われるため、基板の移送工程とシャドーマスクアラインメント工程中には基板に対する蒸着工程が中断となり、タクトタイム(tack time)が増加する問題点があった。
【0008】
また、基板の移送工程とシャドーマスクアラインメント工程中にもるつぼから持続的に有機物が昇華されているので、有機物材料が損失される問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は一つのチャンバー内で複数の基板に対して蒸着工程を進めるが、一つの基板の蒸着工程中に他の基板に対する移送工程またはアラインメント工程を進めてタクトタイム(tact time)を減らすことができ、基板に対する移送工程またはアラインメント工程中に発生する有機物材料の損失を減らすことができる蒸発源移送ユニット、蒸着装置及びこれを用いた蒸着方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によると、蒸着チャンバー内に配置されて線形の蒸発源を移送する蒸発源移送ユニットであって、一つの中心点で前記蒸着チャンバーを横切る仮想の第1放射方向に垂直を成す線形の第1レールと、前記中心点で前記蒸着チャンバーを横切る仮想の第2放射方向に垂直を成す線形の第2レールと、前記第1レールと前記第2レールを繋ぐ曲線の第3レールを含む下側レールと;前記第1レールと離隔されて平行を成す線形の第4レールと、前記第2レールと離隔されて平行を成す線形の第5レールと、前記第4レールと前記第5レールを繋ぐ曲線の第6レールを含む上側レールと;前記線形の蒸発源が前記下側レールと前記上側レールに対して垂直になるように結合され、前記下側レールと前記上側レールに沿って往復移動する移送部を含む、蒸発源移送ユニットが提供される。
【0011】
前記移送部は、前記下側レールと前記上側レールに沿って移動するように前記下側レールと前記上側レールに対向してそれぞれ結合される一対の第1スライダーと;前記一対の第1スライダーにそれぞれ離隔され、前記下側レールと前記上側レールに沿って移動するように前記下側レールと前記上側レールに対向してそれぞれ結合される一対の第2スライダーを含み、前記第1スライダーは、前記下側レールまたは前記上側レールに沿って移動する移動ブロックと、前記移動ブロックの上側に水平方向に回転できるように結合される回転ブロックを含み、前記第2スライダーは、前記下側レールまたは前記上側レールに沿って移動する移動ブロックと、前記移動ブロックの上側に水平方向に回転できるように結合される回転ブロックと、前記回転ブロックに対してスライディングするように前記回転ブロックに結合されるスライディングバーを含むことができる。
【0012】
前記第1スライダーと前記第2スライダーに支持されるソース支持台をさらに含むことができ、前記蒸発源は前記ソース支持台に結合されることができる。
【0013】
前記下側レール及び上側レールの外側に一定間隔離隔されて前記上側レール及び前記下側レールに沿ってそれぞれ配置されるラックレールと;前記ラックレールに歯合されるピニオンと;前記ピニオンに回転力を与え、前記ソース支持台に結合されるモーター部をさらに含むことができる。
【0014】
本発明の他の側面によると、第1蒸着領域と第2蒸着領域に区画され、一つの中心点から第1放射方向に第1基板が前記第1蒸着領域に引出または引込されるし、前記中心点から第2放射方向に第2基板が前記第2蒸着領域に引出または引込される蒸着チャンバーと;前記第1基板が前記第1放射方向にローディングされて安着される第1基板ローディング部と;前記第2基板が前記第2放射方向にローディングされて安着される第2基板ローディング部と;前記第1基板または前記第2基板に対向して蒸発物質を噴射する線形の蒸発源と;前記 線形の蒸発源を移送する蒸発源移送ユニットを含み、前記蒸発源移送ユニットは、前記第1放射方向に垂直を成す線形の第1レールと、前記第2放射方向に垂直を成す線形の第2レールと、前記第1レールと前記第2レールを繋ぐ曲線の第3レールを含む下側レールと;前記第1レールと離隔され平行を成す線形の第4レールと、前記第2レールと離隔され平行を成す線形の第5レールと、前記第4レールと前記第5レールを繋ぐ曲線の第6レールを含む上側レールと;前記線形の蒸発源が前記下側レールと前記上側レールに対して垂直を成すように結合され、前記下側レールと前記上側レールに沿って往復移動する移送部を含む蒸着装置が提供される。
【0015】
前記移送部は、前記下側レールと前記上側レールに沿って移動するように前記下側レールと前記上側レールに対向してそれぞれ結合される一対の第1スライダーと;前記一対の第1スライダーにそれぞれ離隔され、前記下側レールと前記上側レールに沿って移動するように前記下側レールと前記上側レールに対向してそれぞれ結合される一対の第2スライダーを含み、前記第1スライダーは、前記下側レールまたは前記上側レールに沿って移動する移動ブロックと、前記移動ブロックの上側に水平方向に回転できるように結合される回転ブロックを含み、前記第2スライダーは、前記下側レールまたは前記上側レールに沿って移動する移動ブロックと、前記移動ブロックの上側に水平方向に回転できるように結合される回転ブロックと、前記第1放射方向に垂直方向にスライディングするように前記回転ブロックに結合されるスライディングバーを含むことができる。
【0016】
前記蒸着装置は、前記第1スライダーと前記第2スライダーに支持されるソース支持台をさらに含むことができ、前記蒸発源は前記ソース支持台に結合されることができる。
【0017】
前記蒸着装置は、前記上側レールの外側へ一定間隔離隔されて前記上側レールに沿って配置されるラックレールと;前記ラックレールに歯合されるピニオンと;前記ピニオンに回転力を提供して、前記ソース支持台に結合されるモーター部をさらに含むことができる。
【0018】
本発明の他の側面によると、前記蒸着装置を利用して蒸発物質を蒸着する方法であって、前記第1蒸着領域の前記上側レール及び前記下側レールの端部に前記移送部を移動させる段階と;前記第1基板を前記第1放射方向にローディングして前記第1基板ローディング部に安着させる段階と;前記移送部を前記第1レール及び前記第3レールに沿って移動させて前記第1基板に前記蒸発物質を蒸着させる段階;前記第1基板に蒸発粒子を蒸着させる段階と、同時に前記第2基板を前記第2放射方向にローディングして前記第2基板ローディング部に安着させる段階と;前記移送部を曲線の前記第3レール及び前記第5レールを通過させ、前記第2レール及び前記第4レールに沿って移動させて前記第2基板に蒸発粒子を蒸着させる段階を含む蒸着方法が提供される。
【0019】
前記第1基板に蒸発物質を蒸着させる段階の後、蒸着が完了された前記第1基板を前記蒸着チャンバーから引出し、新しい第1基板を前記第1放射方向にローディングして前記第1基板ローディング部に安着させる段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施例によると、一つのチャンバー内で複数の基板に対して蒸着工程を進めるが、一つの基板の蒸着工程中に他の基板に対する移送工程またはアラインメント工程を行うことでタクトタイム(tact time)を減らすことができ、基板に対する移送工程またはアラインメント工程中に発生する有機物材料の損失を減らすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は多様に変換することができ、様々な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示して詳細な説明で詳しく説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むものとして理解しなければならない。本発明を説明するに当たり、関連する公知技術に対する具体的説明が本発明の要旨を曖昧にすることがあると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0023】
以下、本発明による蒸発源移送ユニット及び蒸着装置の実施例を添付図面を参照して詳しく説明し、添付図面を参照して説明するに当たり、同一または対応する構成要素には同じ図面番号を付与し、これに対して重複する説明は省略する。
【0024】
図1は本発明の一実施例による蒸着装置の構成を説明するための横断面図であり、
図2は本発明の一実施例による蒸着装置の構成を説明するための縦断面図である。そして、
図3は本発明の一実施例による蒸発源移送ユニットを手短に図示した平面図である。
【0025】
図1ないし
図3には、蒸発源移送ユニット10、蒸着チャンバーー12、第1蒸着領域14、第2蒸着領域16、中心点18、第1放射方向20、第2放射方向22、トランスファーチャンバー24、ロボットアーム26、第1基板ローディング部28、第2基板ローディング部30、第1基板32、マスク33、第2基板34、下側レール36、上側レール38、蒸発源40、第1レール42、第2レール44、第3レール46、第4レール48、第5レール50、第6レール52、移送部54、第1スライダー56、第2スライダー58、ソース支持台60が図示されている。
【0026】
本実施例による蒸着装置は、第1蒸着領域14と第2蒸着領域16に区画され、一つの中心点18から第1放射方向20に第1基板32が前記第1蒸着領域14に引出または引込されるし、前記中心点18から第2放射方向22に第2基板34が前記第2蒸着領域16に引出または引込される蒸着チャンバー12と;前記第1基板32が前記第1放射方向20にローディングされて安着される第1基板ローディング部28と;前記第2基板34が前記第2放射方向22にローディングされて安着される第2基板ローディング部30と;前記第1基板32または前記第2基板34に対向して蒸発物質を噴射する蒸発源40と;前記蒸発源40を移送させる蒸発源移送ユニット10を含む。そして、前記蒸発源移送ユニット10は、前記第1放射方向20に垂直を成す線形の第1レール42と、前記第2放射方向22に垂直を成す線形の第2レール44と、前記第1レール42と前記第2レール44を繋ぐ曲線の第3レール46を含む下側レール36と;前記第1レール42と離隔され平行を成す線形の第4レール48と、前記第2レール44と離隔され平行を成す線形の第5レール50と、前記第4レール48と前記第5レール50を繋ぐ曲線の第6レール52を含む上側レール38と;前記線形の蒸発源40が前記下側レール36と前記上側レール38に対して垂直を成すように結合され、前記下側レール36と前記上側レール38に沿って往復移動する移送部54を含む。
【0027】
蒸着チャンバー12は、第1蒸着領域14と第2蒸着領域16に区画され、一つの中心点18から第1放射方向20に第1基板32が第1蒸着領域14に引出または引込され、中心点18から第2放射方向22に第2基板34が第2蒸着領域16に引出または引込されるように構成されることができる。
【0028】
蒸着チャンバー12はその内部で基板に対して蒸発物質が蒸着される所であって、真空ポンプによって内部が真空状態で維持されることができる。大気圧状態で蒸発物質が生じる場合は、内部が大気圧状態で維持されることも可能である。一つの蒸着チャンバー12内で複数の基板に対して蒸着されるように、蒸着チャンバー12は複数の蒸着領域に区画されることができる。ここで、蒸発物質はソース物質を加熱すると気化されたり、昇華されて発生する気相の物質を意味するもので、有機物を加熱して得られる気相の有機物を含むことができる。
【0029】
蒸着領域は蒸発源40の移動によって一つの基板に対して蒸発物質が蒸着されることができる仮想の空間を意味するものであって、
図1を参照すれば、
図1の1点鎖線で示した中心線によって蒸着チャンバー12が第1蒸着領域14と第2蒸着領域16に区画されることができる。第1蒸着領域14では、第1基板32に対する蒸発物質が蒸着されるし、第1蒸着領域14に接した第2蒸着領域16では第2基板34に対する蒸発物質が蒸着される。
【0030】
第1基板32は一つの中心点18から第1放射方向20に蒸着チャンバー12の第1蒸着領域14に引込されたり引出されるし、第2基板34は前記中心点18から第2放射方向22に蒸着チャンバー12の第2蒸着領域16に引込されたり引出される。つまり、第1基板32と第2基板34は蒸着チャンバー12に一定した傾斜を有して引込又は引出される。
【0031】
クラスタータイプ(cluster type)の蒸着システムにおいて、基板は蒸着チャンバー12と繋がったトランスファーチャンバー24内のロボットアーム26によって蒸着チャンバー12内に引込されたり引出されることができるが、この場合、ロボットアーム26の回転中心から放射方向へと基板が蒸着チャンバー12に引出または引込されるため、基板が蒸着チャンバー12に一定の傾斜を有して引出または引込されることができる。よって、ロボットアーム26によって第1基板32と第2基板34が蒸着チャンバー12に引込されたり引出される場合、中心点18を構成するロボットアーム26の回転中心に対して第1放射方向20へ第1基板32が蒸着チャンバー12に引出または引込され、第2基板34は中心点18を構成するロボットアーム26の回転中心に対して第1放射方向20とは違う第2放射方向22へと蒸着チャンバー12に引出または引込されることができる。よって、第1放射方向20と第2放射方向22は中心点18を中心にして一定の角度を成すようになる。
【0032】
ただし、ロボットアーム26によって蒸着チャンバー12に第1基板32と第2基板34が引出または引込されることに限定されず、蒸着チャンバー12に第1基板32と第2基板34が互いに傾斜を有して引出または引込される場合には、本実施例による蒸着装置が適用されることができる。例えば、2個のロボットアーム26によって第1基板32と第2基板34が蒸着チャンバー12に引出または引込される場合には、ロボットアーム26の回転中心が前述した中心点18を構成せずに、第1基板32と第2基板34の傾斜方向が成す仮想の二つの傾斜線が会う点が中心点18を構成するようになる。
【0033】
第1基板ローディング部28及び第2基板ローディング部30には第1基板32と第2基板34がそれぞれローディングされて安着される。本実施例では、蒸発源40で蒸発物質が上向きに噴出されて基板に蒸発物質が蒸着されるよう、第1基板ローディング部28及び第2基板ローディング部30の下部に第1基板32及び第2基板34がそれぞれ附着される。
【0034】
第1基板ローディング部28及び第2基板ローディング部30に第1基板32と第2基板34がそれぞれローディングされて安着されると、各基板ローディング部ではマスク33が基板の表面に配置され、基板とマスク33は互いにアラインメントが行われる。
【0035】
蒸発源移送ユニット10には線形の蒸発源40が結合され、蒸発源移送ユニット10によって蒸発源40が第1蒸着領域14と第2蒸着領域16の間を移動しながら基板に対して蒸発物質が蒸着される。
【0036】
蒸発源移送ユニット10は、第1放射方向20に垂直を成す線形の第1レール42と、第2放射方向22に垂直を成す線形の第2レール44と、第1レール42と第2レール44を繋ぐ曲線の第3レール46を含む下側レール36と、第1レール42と離隔され平行を成す線形の第4レール48と、第2レール44と離隔され平行を成す線形の第5レール50と、第4レール48と第5レール50を繋ぐ曲線の第6レール52を含む上側レール38を含む。
【0037】
下側レール36と上側レール38は互いに一定間隔離隔されて設けられるが、下側レール36と上側レール38で線形の蒸発源40を安定的に支持することができる。蒸着がなされるガラス基板が大型化されることによって、線形の蒸発源40もまた大型化されていて、これによって蒸発源40の重さが増加している。したがって、重量の蒸発源40を安定的に支持しながら移動を円滑にガイドするために、下側レール36と上側レール38を一対に構成したのである。
【0038】
下側レール36の第1レール42と上側レール38の第4レール48は第1蒸着領域14で直線区間を形成し、下側レール36の第2レール44と上側レール38の第5レール50は第2蒸着領域16で直線区間を形成する。第1蒸着領域14の直線区間は第1放射方向20に対して垂直を成し、第2蒸着領域16の直線区間は第2放射方向22に対して垂直を成す。これにより第1蒸着領域14の直線区間と第2蒸着領域16の直線区間が第1放射方向20、中心点18、第2放射方向22が形成する角度だけそれるようになる。したがって、直線区間を繋ぐための曲線区間が必要となる。すなわち、下側レール36の第1レール42と第2レール44は曲線の第3レール46が繋がるし、上側レール38の第4レール48と第5レール50は曲線の第6レール52が繋ぐようになる。この時、下側レール36と上側レール38の離隔距離によって、第3レール46に比べて第6レール52が大きい曲率半径で第4レール48と第5レール50を繋ぐようになる。
【0039】
ここで、垂直の意味は、幾何学的又は数学的垂直を意味することではなく、加工誤差または移送誤差を考慮した実質的垂直を意味する。
【0040】
移送部54は、下側レール36と上側レール38に沿って往復移動するが、線形の蒸発源40が下側レール36と上側レール38とが垂直を成すように移送部54に結合される。よって、線形の蒸発源40が直線区間に垂直を成すよう、移送部54に結合された状態で直線区間に沿って移動すれば、基板の一辺方向から対向する他辺方向に移動しながら基板全体に対して蒸着される。
【0041】
移送部54は、第1蒸着領域14の下側レール36と上側レール38の直線区間を移動し、下側レール36と上側レール38の曲線区間を通過した後、第2蒸着領域16の下側レール36と上側レール38の直線区間を移動する。また、反対方向に第2蒸着領域16の下側レール36と上側レール38の直線区間を移動し、下側レール36と上側レール38の曲線区間を通過した後、第1蒸着領域14の下側レール36と上側レール38の直線区間を移動する。このように、移送部54は下側レール36と上側レール38に沿って往復運動を繰り返すようになる。
【0042】
蒸発源移送ユニット10の各構成については、以下で詳細に説明する。
【0043】
前記のような蒸着装置を用いて基板に対する蒸発物質の蒸着過程を説明すると、先ず、第1蒸着領域14の上側レール38及び下側レール36の端部に移送部54を移動させる。移送部54が第1蒸着領域14から第2蒸着領域16に移動することにつれ基板に対する蒸着がなされるので、移送部54を第1蒸着領域14の上側レール38及び下側レール36の端部(
図3を参照すれば、第1蒸着領域14の右側端部)に移動させることである。
【0044】
次に、第1基板32を第1放射方向20にローディングして第1基板ローディング部28に安着させる。ロボットアーム26によって第1基板32が蒸着チャンバー12の第1基板ローディング部28に安着される場合、中心点18を構成するロボットアーム26の回転中心に対して第1放射方向20に第1基板32が第1基板ローディング部28に安着される。本段階で第1基板32が第1基板ローディング部28に安着されると、マスク33を第1基板32の表面に配置して第1基板32とシャドーマスク33のアラインメントが行われる。第1基板32のローディング過程で第1蒸着領域14の上側レール38及び下側レール36の端部に移送部54を移動することも可能である。
【0045】
次に、移送部54を第1レール42及び第3レール46に沿って移動させ、第1基板32に蒸発物質を蒸着させる。直線区間に垂直に配置される線形の蒸発源40を第1蒸着領域14の下側レール36と上側レール38の直線区間に沿って移動させることによって、第1基板32の一辺方向から対向する他辺方向に移動しながら基板全体に対して蒸着される。
【0046】
第1基板32に蒸発物質の蒸着が完了されれば、蒸着が完了された第1基板32を蒸着チャンバー12から引出し、新しい第1基板32を第1放射方向20にローディングして第1基板ローディング部28に安着させる。
【0047】
次に、第1基板32に蒸発粒子を蒸着させる段階と同時に第2基板34を第2放射方向22にローディングして第2基板ローディング部30に安着させる。第1基板32に対する蒸着工程中に第2基板34を第2基板ローディング部30に安着させてタクトタイムを減らすことができ、第1基板32に対する蒸着工程中に第2基板34のローディングが行われ、蒸発物質材料の損失を減らすことができる。本段階で第2基板34が第2基板ローディング部30に安着されれば、マスク33を第2基板34の表面に配置して第2基板34とマスク33のアラインメントが行われる。
【0048】
本実施例における‘同時に’という意味は、時間的に同一であるという意味だけでなく、第1基板32に対する蒸着工程と第2基板34のローディング工程が重なってなるという意味を含む。
【0049】
次に、移送部54を曲線の第3レール46及び第5レール50を通過させ、第2レール44及び第4レール48に沿って移動させて第2基板34に蒸発粒子を蒸着させる。移送部54が第1蒸着領域14の直線区間を通過して曲線区間を通過しながら第2蒸着領域16の直線区間へ進入し、第2直線区間に進入した移送部54を第2蒸着領域16の下側レール36と上側レール38の直線区間に沿って移動させることによって、第2基板34の一辺方向から対向する他辺方向に移動しながら基板全体に対して蒸着される。
【0050】
第2基板34に対する蒸着工程が完了されると、蒸発物質の蒸着が完了された第2基板34を蒸着チャンバー12から第2放射方向22へ引出し、新しい第2基板34を第2基板ローディング部30にローディングして安着させる。新しい第2基板34が第2基板ローディング部30に安着されると、マスク33とアラインメントして次の蒸着工程のために待機する。
【0051】
前述の方法によって、一つのチャンバー内で複数の基板に対して蒸着工程を進めるが、一つの基板の蒸着工程中に他の基板に対する移送工程またはアラインメント工程を進めることでタクトタイム(tact time)を減らすことができ、基板に対する移送工程またはアラインメント工程中に発生する蒸発物質材料の損失を減らすことができる。
【0052】
以下では、蒸発源移送ユニット10の各構成について説明する。
図4は
図2のA部分を拡大した図面であり、
図5は本発明の一実施例による蒸発源移送ユニット10を手短に図示した側面図であり、
図6ないし
図8は本発明の一実施例による蒸発源移送ユニット10の作動過程を説明するための図面である。
【0053】
図4ないし
図8には下側レール36、上側レール38、第1レール42、第2レール44、第3レール46、第4レール48、第5レール50、第6レール52、移送部54、第1スライダー56、第2スライダー58、ソース支持台60、移動ブロック62、68、回転ブロック64、70、スライディングバー66、ラックレール72、ピニオン74、モーター部76が図示されている。
【0054】
下側レール36は、一つの中心点18で蒸着チャンバー12を横切る仮想の第1放射方向20に垂直を成す線形の第1レール42と、中心点18で蒸着チャンバー12を横切る仮想の第2放射方向22に垂直を成す線形の第2レール44と、第1レール42と第2レール44を繋ぐ曲線の第3レール46で構成される。
【0055】
上側レール38は、第1レール42と離隔されて平行を成す線形の第4レール48と、第2レール44と離隔されて平行を成す線形の第5レール50と、第4レール48と第5レール50を繋ぐ曲線の第6レール52で構成される。
【0056】
下側レール36の第1レール42と上側レール38の第4レール48は直線区間を形成し、下側レール36の第2レール44と上側レール38の第5レール50は第2蒸着領域16で直線区間を形成する。
【0057】
第1レール42と第4レール48が形成する直線区間は仮想の第1放射方向20に対して垂直を成し、第2レール44と第5レール50が形成する直線区間は仮想の第2放射方向22に対して垂直を成す。これにより、第1放射方向20に垂直である直線区間と第2放射方向22に垂直である直線区間は、第1放射方向20、中心点18、第2放射方向22が形成する角度だけそれるようになる。したがって、直線区間を繋ぐための曲線区間が必要となる。すなわち、下側レール36の第1レール42と第2レール44は曲線の第3レール46が繋がるし、上側レール38の第4レール48と第5レール50は曲線の第6レール52が繋ぐようになる。この時、下側レール36と上側レール38の離隔距離によって、第3レール46に比べて第6レール52が大きい曲率半径で第4レール48と第5レール50を繋ぐようになる。
【0058】
曲線の第3レール46及び第6レール52は、完全な曲線レールからなるか、いくつかの直線レールを順次に繋いで曲線状に配置することも可能である。
【0059】
移送部54は、下側レール36と上側レール38の第1放射方向20に垂直である直線区間、曲線区間、第2放射方向22に垂直である直線区間に沿って往復移動する。
【0060】
移送部54は、下側レール36と上側レール38に沿って移動するように、下側レール36と上側レール38に対向してそれぞれ結合される一対の第1スライダー56と、一対の第1スライダー56にそれぞれ離隔されるし、下側レール36と上側レール38に沿って移動するように下側レール36と上側レール38に対向してそれぞれ結合される一対の第2スライダー58を含む。
【0061】
第1スライダー56は、下側レール36または上側レール38に沿って移動する移動ブロック68と、移動ブロック68の上側に水平方向に回転できるように結合される回転ブロック70を含み、第2スライダー58は、下側レール36または上側レール38に沿って移動する移動ブロック62と、移動ブロック62の上側に水平方向に回転できるように結合される回転ブロック64と、前記回転ブロック64に対してスライディングするように前記回転ブロック64に結合されるスライディングバー66を含む。
【0062】
本実施例においては、
図3に図示されたように、各レールごとに第1スライダー56を中心にして2個の第2スライダー58が両側に配置された形態を示す。
【0063】
第1スライダー56及び第2スライダー58の移動ブロック62、68は、下側レール36と上側レール38に結合されて各レールに沿って移動する。移動ブロック62、68にはレールの形状に相応して凹溝が形成されることがあり、移動ブロック62、68の凹溝にレールが挿入されて移動ブロック62、68の離脱を防止することができる。
【0064】
第1スライダー56の回転ブロック70は、第1スライダー56の移動ブロック68の上側に結合されて水平方向に回転される。移動ブロック68と回転ブロック70の間には円形軸受けが結合され、移動ブロック68に対して回転ブロック70の回転が円滑になることができる。
【0065】
第2スライダー58の回転ブロック64もまた第2スライダー58の移動ブロック62の上側に結合されて水平方向に回転される。
【0066】
第2スライダー58のスライディングバー66は第2スライダー58の回転ブロック64に結合されるが、回転ブロック64に対して水平方向に往復スライディングが可能である。回転ブロック64とこれに対してスライディングするスライディングバー66の間には、水平方向に直線移動を円滑に誘導する軸受けが介在されて安定的なスライディングをさせることができる。
【0067】
下側レール36と上側レール38に配置された第1スライダー56と第2スライダー58には、線形の蒸発源40が下側レール36と上側レール38に対して垂直をなすように結合される。本実施例では、別途のソース支持台60を備え、ソース支持台60に蒸発源40が結合される形態を示す。すなわち、下側レール36と上側レール38に配置された第1スライダー56と第2スライダー58にソース支持台60を結合し、ソース支持台60に線形の蒸発源40を結合した形態である。
【0068】
一方、移送部54の移動のために駆動力を提供する駆動部は、下側レール36と上側レール38の外側に一定間隔離隔され、上側レール38及び前記下側レール36に沿ってそれぞれ配置されるラックレール72と、ラックレール72に歯合されるピニオン74と、ピニオン74に回転力を提供してソース支持台60に結合されるモーター部76から構成される。
【0069】
ラックレール72は下側レール36と上側レール38の外側にそれぞれ上側レール38及び前記下側レール36に沿って配置され、各ラックレール72にはピニオン74が歯合される。ピニオン74に回転力を提供するモーターなどのモーター部76は、ソース支持台60の上端と下端にそれぞれ結合されてピニオン74に回転力を提供する。
【0070】
下側レール36の外側に配置された駆動部はソース支持台60の下端の移動を制御し、上側レール38の外側に配置された駆動部はソース支持台60の上端の移動を制御する。
【0071】
図6ないし
図8を参考して蒸発源移送ユニット10の作動過程を説明すると、右側の直線区間ではソース支持台60の下端と上端で同等の速度で移送部54が移動する。そして、
図6に図示されたように、曲線区間に進入するようになるが、移送部54の先端に位置した第2スライダー58が曲線区間に進入することによって最先端の第2スライダー58の回転ブロック64が回転されながらスライディングバー66が回転ブロック64に対して上向きにスライディングされる。この時、下側レール36の曲線区間は小さい曲率半径で短く形成され、上側レール38の曲線区間は大きい曲率半径で長く形成されているため、ソース支持台60の下端に比べてソース支持台60の上端は速い速度で移動する。次に、移送部54の持続的な移動によって最先端の第2スライダー58の後端に位置した第1スライダー56の回転ブロック70が回転されながら第1スライダー56が曲線区間に進入される。
図7は移送部54が曲線区間の中央に位置した状態を図示した図面であって、移送部54の持続的な移動によって最後端の第2スライダー58が曲線区間に進入するようになり、最後端の第2スライダー58の回転ブロック64が回転されながらスライディングバー66が回転ブロック64に対して上向きにスライディングされる。次に、
図8に図示されたように、移送部54の持続的な移動によって最先端の第2スライダー58が左側の直線区間に進入することによって最先端の第2スライダー58の回転ブロック64が回転され、スライディングバー66が回転ブロック64に対して下向きにスライディングされながら元の位置へ復帰する。そして、移送部54の持続的な移動によって最先端の第2スライダー58の後端に位置した第1スライダー56の回転ブロック70が回転されながら第1スライダー56が直線区間に進入される。そして、移送部54の持続的な移動によって最後端の第2スライダー58が直線区間へ進入し、最後端の第2スライダー58の回転ブロック64が回転されながらスライディングバー66が回転ブロック64に対して下向きにスライディングされて元の位置へ復帰するようになる。左側の直線区間に完全に進入すれば、各回転ブロック64、70とスライディングバー66は元の位置へ復帰され、左側の直線区間に沿って移送部54が移動される。前述したように、移送部54が曲線区間に通過する時には、移送部54の下端と上端の移動速度及び移動距離を異にしなければならないため、移送部54の下端と上端にそれぞれ結合された駆動部が移送部54の下端と上端の移動速度及び移動距離を調節するようになる。
【0072】
前記では本発明の特定の実施例を参照して説明したが、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、下記の特許請求の範囲に記載した本発明の思想及び領域から脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更できることを理解できるはずであろう。
【0073】
前述の実施例の他、多くの実施例が本発明の特許請求の範囲内に存在する。