(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面(
図1ないし
図5)を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1ないし
図4を参照して、本発明の実施の形態1に係る筆記補助具1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る筆記補助具1の平面視での状態を示す平面図である。
図2は、
図1に示した筆記補助具1の部分を拡大して示す部分拡大平面図である。
図3は、
図1に示した筆記補助具1を筆記具WTに取り付けた状態と人差し指Fn2および中指Fn3の挿入方向の概略を説明的に示す概略斜視図である。
図4は、
図1に示した筆記補助具1を筆記具WTに取り付けて人差し指Fn2および中指Fn3を挿入した状態の概略を示す概略斜視図である。
なお、
図4では、親指Fn1および人差し指Fn2を筆記具WTから浮かせて第1閉路部24に対する人差し指Fn2の配置関係および第3閉路部44に対する中指Fn3の配置関係を示す。
【0012】
筆記補助具1は、第1球体10、第1輪状弾性体20、第2球体30、および第2輪状弾性体40を備える。
筆記補助具1は、第1開口14から第2開口16にわたる第1貫通孔12を有する第1球体10と、第1貫通孔12に挿入された2本の第1中間部22、2本の第1中間部22が第1開口14からそれぞれ延びて一体として閉路する第1閉路部24、および2本の第1中間部22が第2開口16からそれぞれ延びて一体として閉路する第2閉路部26を有する第1輪状弾性体20とを有する。
また、筆記補助具1は、第3開口34から第4開口36にわたる第2貫通孔32を有する第2球体30と、第2貫通孔32に挿入された2本の第2中間部42、2本の第2中間部42が第3開口34からそれぞれ延びて一体として閉路する第3閉路部44、および2本の第2中間部42が第4開口36からそれぞれ延長して一体として閉路する第4閉路部46を有する第2輪状弾性体40と、を有する。
第1貫通孔12と第1中間部22は、相互可動性を有し、第2貫通孔32と第2中間部42は、相互可動性を有し、第2閉路部26は、第2開口16に隣接して第3閉路部44が結ばれた結合部50を有する。
【0013】
第1貫通孔12は、第1中間部22を保持し、第2貫通孔32は、第2中間部42を保持する。第1貫通孔12と第1中間部22は、相互可動性を有し、第2貫通孔32と第2中間部42は、相互可動性を有するので、第2閉路部26は筆記具WTの中間位置Ps1を保持する大きさに調整され、第4閉路部46は筆記具WTの先端傾斜位置Ps2を保持する大きさに調整される。
つまり、第2閉路部26に筆記具WTの中間位置Ps1が挿入されて位置決めされる。また、第4閉路部46に筆記具WTの先端傾斜位置Ps2が挿入されて位置決めされる。
第1球体10(第1貫通孔12)に対する第1中間部22(第1輪状弾性体20)の位置、第2球体30(第2貫通孔32)に対する第2中間部42(第2輪状弾性体40)の位置は、それぞれ移動させて調整される。これにより、第2閉路部26は筆記具WTの中間位置Ps1を保持し、第4閉路部46は筆記具WTの先端傾斜位置Ps2を保持できる。また、第2閉路部26は結合部50を介して第1球体10に隣接し、第4閉路部46は第2球体30に隣接する。結合部50は、締め付けにより大きさをほとんど無視できる程度にされる。
第1球体10は、第1閉路部24および第2閉路部26のそれぞれが第1球体10の外側で広げられることから容易に位置決めされ固定される。第2球体30は、第3閉路部44および第4閉路部46のそれぞれが第2球体30の外側で広げられることから容易に位置決めされ固定される。
【0014】
第1閉路部24は、人差し指Fn2の基節Ppが挿入され位置決めされる。第3閉路部44は、中指Fn3の末節Pt3が挿入され位置決めされる。第3閉路部44は、第1球体10(結合部50)と第2球体30との間、つまり、筆記具WTの中間位置Ps1と先端傾斜位置Ps2との間(間隔)を確保する長さを有する。
第3閉路部44は、人差し指Fn2の基節Pp(第1球体10の第2開口16)から中指Fn3の末節Pt3(第2球体30の第3開口34)にかけて配置される。
【0015】
第1球体10は、人差し指Fn2の基節Ppに位置決めされ、第2球体30は、中指Fn3の末節Pt3に位置決めされる。したがって、第4閉路部46に保持された先端傾斜位置Ps2(筆記具WT)は、第2球体30を介して中指Fn3の末節Pt3に位置決めされ、第2閉路部26に保持された中間位置Ps1(筆記具WT)は、第1球体10を介して人差し指Fn2の基節Ppに位置決めされる。
つまり、筆記具WTは、人差し指Fn2の基節Ppから末節Pt2に沿う状態とされ、正しい位置に配置された状態となる。すなわち、筆記具WTは、正しい持ち方がなされた状態となる。
なお、先端傾斜位置Ps2は、中間位置Ps1に比較して、先端に向けて細くなっている傾斜部であり、中間位置Ps1は、人差し指Fn2の基節Ppで支えられるべき位置である。
人差し指Fn2は、挿入方向Df2(
図3)が示す経路において、手前から第1閉路部24に挿入され、筆記具WTの側部を通って筆記具WTの上側に抜けて位置する。つまり、第1閉路部24は、人差し指Fn2の基節Pp(
図4)に配置される。
中指Fn3は、挿入方向Df3(
図3)において筆記具WTの下側で筆記具WTを支えた状態で第3閉路部44に挿入され、中指Fn3の末節Pt3(
図4)は、筆記具WTを支える。
【0016】
第2閉路部26は、差し込まれた筆記具WTの中間位置Ps1を位置決めする。また、第4閉路部46は、差し込まれた筆記具WTの先端傾斜位置Ps2を位置決めする。
第1輪状弾性体20および第2輪状弾性体40は、いずれも弾性体で伸び縮みするので、厳密な大きさの調整は不要である。つまり、第2閉路部26は、筆記具WTの中間位置Ps1を位置決めして保持する大きさであれば良く、第4閉路部46は、筆記具WTの先端傾斜位置Ps2を位置決めして保持する大きさであれば良い。
すなわち、第2閉路部26の大きさ(内周長)は、中間位置Ps1の大きさ(外周長)より若干小さいことが好ましい。また、第4閉路部46の大きさ(内周長)は、先端傾斜位置Ps2の大きさ(外周長)より若干小さいことが好ましい。
人差し指Fn2の基節Ppは、第1閉路部24に挿入されるので、人差し指Fn2(基節Pp)、第1閉路部24、第1球体10、結合部50、および筆記具WTの中間位置Ps1は、相互に位置決めされる。つまり、筆記具WTの中間位置Ps1は、人差し指Fn2の基節Ppに位置合わせされる。
【0017】
中指Fn3の末節Pt3は、第3閉路部44に挿入される。結合部50は、中間位置Ps1にあるので、第3閉路部44は、筆記具WTに沿う形態で位置し、第2球体30は、先端傾斜位置Ps2から中指Fn3の末節Pt3に向き合うように配置される。すなわち、中指Fn3の末節Pt3は、第2球体30に当たる位置に挿入される。したがって、筆記具WTの先端傾斜位置Ps2、第4閉路部46、第2球体30、中指Fn3(末節Pt3)は、相互に位置決めされる。つまり、筆記具WTの先端傾斜位置Ps2は、中指Fn3の末節Pt3に位置合わせされる。
また、第1輪状弾性体20(第1閉路部24)は筆記具WTの中間位置Ps1、つまり、人差し指Fn2の基節Ppに位置決めされ、第2輪状弾性体40(第3閉路部44)は筆記具WTの先端傾斜位置Ps2、つまり、中指Fn3の末節Pt3に位置決めされる。
すなわち、筆記補助具1が位置決めされた状態は、筆記具WTの下側に位置する中指Fn3の末節Pt3に対して筆記具WTの上側から親指(末節Pt1)と人差し指Fn2(末節Pt2)を添えることで人差し指Fn2は筆記具WTに沿う状態となる。つまり、筆記補助具1が位置決めされた状態は、そのまま、筆記具WTに対する正規の保持状態(筆記具WTの正しい持ち方)を実現できる。
【0018】
第2閉路部26は、結合部50を介して筆記具WTの中間位置Ps1に位置決めされる。また、第1球体10は、結合部50に合わせて第2閉路部26の大きさを画定し、人差し指Fn2と大きさの異なる筆記具WTを人差し指Fn2に固定するストッパーとして作用する。
つまり、第1閉路部24は、筆記具WTの中間位置Ps1を人差し指Fn2の正しい位置(基節Pp)に配置する。また、第1開口14の側で第1閉路部24に続き、第2開口16の側で結合部50を介して第2閉路部26に続く第1球体10は、筆記具WTの位置が人差し指Fn2の基節Ppに位置することを正確に表示できる。これにより、筆記具WTが正しい位置に配置されていることを容易に認識できる。
第4閉路部46は、筆記具WTの先端傾斜位置Ps2に位置決めされる。第3閉路部44は、結合部50から離れた側に中指Fn3の末節Pt3が挿入される。中指Fn3の末節Pt3は、第2球体30を介して筆記具WTを支持する。これにより、筆記具WTの先端傾斜位置Ps2は、中指Fn3の正しい位置(末節Pt3)に配置される。
【0019】
第2輪状弾性体40は、第1球体10の第2開口16の側で第2閉路部26にひばり結びされ、結合部50として第1輪状弾性体20に固定される。つまり、結合部50は、第2閉路部26に対して第3閉路部44がひばり結びされている。
筆記補助具1は、結合部50にひばり結びが適用されているので、第2閉路部26に対して第3閉路部44が簡単な結び方で確実に結合され、第2閉路部26の大きさを精度良く調整できるので、筆記具WTの中間位置Ps1の保持が確実となる。
結合部50は、人差し指Fn2と筆記具WTを留める第1輪状弾性体20を位置決めする第1球体10を固定する。つまり、第2輪状弾性体40は、第1球体10を固定する結合部50を形成する第3閉路部44と、筆記具WTの先端傾斜位置Ps2を中指Fn3の正しい位置である末節Pt3に配置する第4閉路部46とを有する。
また、第2球体30は、筆記具WTの先端傾斜位置Ps2に第4閉路部46を止める作用と、中指Fn3の末節Ptに第4閉路部46が正しく配置されていることを表示する作用とを生じる。
【0020】
なお、各部材の具体的な寸法例は次のとおりである。
第1輪状弾性体20の寸法は例えば次のようにするのが好ましい。
成人では、折り径が60mm(番手#16。内径38mm、切幅1.1mm、厚さ1.1mm)。実際に人差し指Fn2に装着したときの基節Ppに対する内径は略20mmとなった。
小学生では、折り径が50mm(番手#14。内径32、切幅1.1mm、厚さ1.1mm)。実際に人差し指Fn2に装着したときの基節Ppに対する内径は略15mmとなった。小学生〜幼児については、指(手)の大きさに応じて、番手#12、番手#10を使用しても良い。
第2輪状弾性体40は、第1輪状弾性体20を適用した使用者の指(手)の大きさに応じて適宜の大きさを組み合わせるのが好ましい。基本的には、成人で番手#16、小学生で番手#14が適用される。
第1球体10と第2球体30は同一の大きさで良く、第1貫通孔12と第2貫通孔32は同一の大きさで良い。第1球体10および第2球体30の実際の寸法は、外径が略5mm〜7mm、第1貫通孔12および第2貫通孔32は、内径が約1mmである。
第1球体10および第2球体30は、球体と規定しているが、「球体」との文言に限られず、一般に流通しているビーズであれば良く、例えば、花型など外形のバリエーションを備えた変形ビーズであっても適用される。
筆記具WTとしては、鉛筆の他に例えば細長いボールペンなどが適用される。
【0021】
各部材の具体的な実施例として、本実施の形態では、第1球体10および第2球体30は、それぞれビーズであり、第1輪状弾性体20および第2輪状弾性体40は、それぞれ輪ゴムであり、筆記具WTは、鉛筆であることが好ましい。筆記補助具1は、ビーズおよび輪ゴムという日用品が適用されるので、効率良く製造される。なお、第1球体10および第2球体30は、真球である必要は無い。
また、人の指の大きさの個人差に対しては、輪ゴム(第1輪状弾性体20および第2輪状弾性体40)をサイズの異なる輪ゴムに入れ替えることにより、幅広くほとんどの人の指に対応できる。また、第1輪状弾性体20および第2輪状弾性体40は、適宜の弾性を有するので、寸法についての一定の許容範囲を確保できる。
【0022】
なお、
図4では、中指Fn3(末節Pt3)、第3閉路部44の相関を明示するため、親指Fn1および人差し指Fn2は、筆記具WTから浮かせた状態で示されている。
筆記具WTの使用時において、親指Fn1および人差し指Fn2は、中指Fn3が筆記具WTを支持する位置とは反対側の筆記具WTの上部で筆記具WTを押さえて保持する。これにより、親指Fn1、人差し指Fn2、および中指Fn3の三本は、正しく筆記具WTを持つことになり、筆記具WTの中心軸(不図示)は、紙面(不図示)に対して約55度から60度までの間になる。また、例えば右利きの場合は、右に約20度傾けて人差し指Fn2に沿わせて持つ保持状態が実現され、より正しい保持状態となる。
【0023】
第1球体10を中間に配置した状態で、第1開口14の側では第1閉路部24を介して人差し指Fn2の基節Ppを位置決めし、第2開口16の側では第2閉路部26を介して筆記具WTの中間位置Ps1を位置決めできる。また、第2球体30を中間に配置した状態で、第3開口34の側では第3閉路部44を介して中指Fn3の末節Pt3に位置決めし、第4開口36の側では第4閉路部46を介して筆記具WTの先端傾斜位置Ps2を位置決めできる。
すなわち、中間位置Ps1に対して人差し指Fn2の基節Ppを位置決めし、先端傾斜位置Ps2に対して中指Fn3の末節Pt3を位置決めするので、筆記具WTに対する人差し指Fn2(基節Pp)および中指Fn3(末節Pt3)の正しい位置を保持できる。なお、親指Fn1の末節Pt1は、人差し指Fn2および中指Fn3を筆記具WTの反対側から軽く押さえる程度で3本の指の正しい位置が決められ、保持される。
【0024】
上記したとおり、筆記補助具1は、筆記具WTを正しい位置に配置して筆記具WTを正しく保持しやすい。また、筆記補助具1は、美しい文字を記載しやすくして、筆記具WTの使用による疲労を抑制し、姿勢の悪化を抑制しやすい。
更に、筆記補助具1は、筆記具WTを支える位置を第1球体10と第2球体30とで表示して観察しやすくするので、筆記補助具1が正しく使用されているか否かを離れた位置にいる観察者が視認しやすくなる。これにより、筆記補助具1は、筆記具WTの正しい持ち方に対する指導において効果と効率を上げやすくなる。
第1輪状弾性体20は、第1球体10の第1貫通孔12に通されて、第1閉路部24と第2閉路部26に区分される。第1閉路部24は、人差し指Fn2が挿入され、人差し指Fn2の基節Ppに位置決めされる。また、第2閉路部26は、筆記具WTの中間位置Ps1に位置決めされる。人差し指Fn2の基節Ppと中間位置Ps1とは、第1球体10および結合部50を介して略同じ位置に位置決めされる。
したがって、第1輪状弾性体20は、人差し指Fn2の基節Ppを囲み、筆記具WTの中間位置Ps1を囲み、更に第1貫通孔12および結合部50を通る長さがあれば良い。このため、第2輪状弾性体40に比べて多少短い形状が好ましい。
【0025】
第2輪状弾性体40は、第2球体30の第2貫通孔32に通されて、第3閉路部44と第4閉路部46に区分される。第3閉路部44は、中指Fn3が挿入され、中指Fn3の末節Pt3に位置決めされる。第3閉路部44は、先端傾斜位置Ps2から中間位置Ps1の間で第2球体30を介して結合部50に連結される。つまり、第3閉路部44は、中指Fn3が挿入された状態で第2球体30から結合部50までの間に配置される。
また、第4閉路部46は、筆記具WTの先端傾斜位置Ps2に位置決めされる。中指Fn3の末節Pt3と先端傾斜位置Ps2とは、第2球体30を介して略同じ位置に位置決めされる。
したがって、第2輪状弾性体40は、中指Fn3の末節Pt3を囲んだ状態で人差し指Fn2に沿いながら結合部50まで配置される長さと、先端傾斜位置Ps2を囲み、更に第2貫通孔32を通る長さが必要となる。このため、第1輪状弾性体20に比べて多少長い形状が好ましい。
【0026】
[実施の形態2]
図5を参照して、本発明の実施の形態2に係る筆記補助具形成用部材セット1sについて説明する。
本実施の形態に係る筆記補助具形成用部材セット1sは、実施の形態1に係る筆記補助具1の部材をそのままセット部材とするので、実施の形態1に係る筆記補助具1の各部材と同一の符号を付して、適宜説明を省略する。
本実施の形態2に係る筆記補助具形成用部材セット1sは、実施の形態1に係る筆記補助具1を形成する部材を備える。すなわち、筆記補助具形成用部材セット1sは、第1球体10と、第2球体30と、第1輪状弾性体20と、第2輪状弾性体40とを個別部材として備える。
すなわち、筆記補助具形成用部材セット1sは、予め必要な部材が準備されてセットになっているので、本発明に係る筆記補助具1を容易に製作しやすい。
【解決手段】筆記補助具1は、第1貫通孔12を有する第1球体10と、第1貫通孔12に挿入された2本の第1中間部22、2本の第1中間部22が第1開口14からそれぞれ延びて一体として閉路する第1閉路部24、および2本の第1中間部22が第2開口16からそれぞれ延びて一体として閉路する第2閉路部26を有する第1輪状弾性体20と、第2貫通孔32を有する第2球体30と、第2貫通孔32に挿入された2本の第2中間部42、2本の第2中間部42が第3開口34からそれぞれ延びて一体として閉路する第3閉路部44、および2本の第2中間部42が第4開口36からそれぞれ延長して一体として閉路する第4閉路部46を有する第2輪状弾性体40と、を有する。