(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
溶解クラフトパルプを叩解してカナダ標準濾水度を50〜150ml低下させることを含む、カナダ標準濾水度が550〜650mlである溶解クラフトパルプの製造方法。
溶解クラフトパルプを叩解してカナダ標準濾水度を50〜150ml低下させてカナダ標準濾水度を550〜650mlに調整することを含む、溶解クラフトパルプから調製したビスコース溶液の濾過性を改善する方法。
【背景技術】
【0002】
レーヨンの製造に用いられる溶解パルプは、一般に88〜98%の高α−セルロース含有率を有する。α−セルロースは、パルプを17.5%の水酸化ナトリウムで処理したときに溶解しない部分であり、セルロースが主成分である。この程度の純度を得るには、例えば、クラフトパルプの蒸解前の蒸気予備加水分解(前加水分解)、または、漂白プロセスにおける冷苛性アルカリ抽出によって、パルプからヘミセルロースを除去しなければならず、それによりかなりの製造コストがかかる。
【0003】
一般に、高率のペントサンおよび他のヘミセルロースが含まれる溶解パルプは、レーヨン用途においては好ましくない。なぜなら、濾過、紡糸、繊維特性において問題が生じたり、望ましい反応性を得られる程にパルプの形態学的構造が十分に変わっていないためである。
【0004】
また、ビスコースレーヨンは、ビスコース溶液(セルロースザンテートをアルカリ溶液に溶解したもの)を細孔から押し出して紡糸して製造する。従って、ビスコースレーヨン用途に溶解パルプを使用する場合、溶解パルプから調製したビスコース溶液の濾過性が重要である。濾過性に影響する因子としては、α−セルロース含有率、異物(樹脂分、灰分)などである(非特許文献1)。
【0005】
また、特開2010−202793号公報(特許文献1)には、ジクロロメタン抽出物量が0.1ppm以上30ppm以下である溶解パルプを原料とするセルロースエステルが開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において溶解パルプとは、化学的に精製されたセルロース純度の高いパルプを意味し、好ましい態様においてα−セルロース含有率(含量)が90%以上であり、より高いα−セルロース含量とすることもできる(例えば、93%以上、96%以上、98%以上)。ここで、パルプのα−セルロース含有率とは、パルプを17.5%の水酸化ナトリウムで処理したときに溶解しない部分である。一般に木材はセルロース、リグニン、ヘミセルロースの三大成分と少量の樹脂分、灰分などを含んでいるが、溶解パルプはセルロース純度が高く、化学繊維、セロハン、プラスチック、合成糊料、その他いろいろなセルロース系誘導体の原料として広く利用されている。
【0013】
本発明の溶解パルプは、亜硫酸(サルファイト)パルプおよび/またはクラフトパルプである。溶解亜硫酸パルプ(DSP)とは、サルファイト法によって製造される溶解パルプ、溶解クラフトパルプ(DKP)とは、クラフト蒸解法(KP法)によって製造される溶解パルプである。
【0014】
本発明の溶解パルプは、離解カナダ標準濾水度が550〜650mlである。離解カナダ標準濾水度とは、パルプシートあるいは乾燥させた状態のパルプを再度水で離解した際に測定したカナダ標準濾水度(CSF)である。カナダ標準濾水度の測定方法はJIS P 8121に規定されている。溶解パルプの離解カナダ標準濾水度が550〜650mlとなるように叩解処理を施すと、パルプ繊維に適度なダメージを与えることになるため薬品浸透性が向上し、結果的にビスコース溶液にした場合、濾過性が改善する。離解カナダ標準濾水度が650mlを超えた場合では薬品浸透性の向上が十分でなく、離解カナダ標準濾水度が550ml未満では微細繊維分が増加して濾過性が悪化する。
【0015】
また、本発明においては、カナダ標準濾水度が50〜150ml低下するような叩解処理を行って、溶解パルプの離解カナダ標準濾水度が550〜650mlの範囲とすることが好ましい。このような叩解処理によりパルプ繊維に対して適度なダメージを与えることが可能となる。
【0016】
叩解処理は、一般的に叩解機と呼ばれる機械による処理によって行われる。叩解機として具体的には、リファイナー、ビーター、PFIミル、ニーダー、ディスパーザーなど回転軸を中心として金属または刃物とパルプ繊維を作用させるもの、あるいはパルプ繊維同士の摩擦によるものである。その他にも、湿式条件下でセルロース繊維を叩解するために、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、各種ミル、石臼型磨砕機等の装置を使用することができる。
【0017】
本発明において、溶解パルプから調製したビスコース溶液の濾過性(Kr)は、RP JIS 改訂懇談会『溶解パルプ試験方法(案)』(昭和32年1月発行、付2、p1〜10)に従って測定することができる。具体的には、溶解パルプから『溶解パルプ試験方法(案)』に準じて調製したビスコース溶液について、実施例で後述する方法で粘度を測定し、その粘度から、以下の式で濾過性を求めることができる。濾過性は、数字が小さいほど良好である。
【0018】
Kr=10
5×k×濾過面積/(粘度)
0.4
ここで、kは目づまり係数であり、次式により求めることができる。
t/v=k/2*t+1/S
0
[式中、t:濾過時間、v:濾過量、S
0:最初の濾過速度]
本発明の原料は木材チップである。本発明において原料となる木材チップは、針葉樹材、広葉樹材のいずれのチップを含んでいれば、そのサイズや樹種は特に制限されず、単一種類の木材のチップでも2種以上の木材が混合されたチップでもよい。本発明においては、針葉樹などの比較的、蒸解や漂白が難しいとされる樹種であっても、高品質な溶解パルプを効率良く製造することができる。本発明において使用される針葉樹材のチップとしては、例えば、カラマツ属やマツ属の木材チップを好適に使用することができる。カラマツ属に関しては、例えば、Larix(以下、L.と略す)leptolepis(カラマツ)、L.laricina(タマラック)、L.occidentalis(セイブカラマツ)、L.decidua(ヨーロッパカラマツ)、L.gmelinii(グイマツ)などが挙げられる。また、カラマツ属以外の針葉樹としては、例えば、マツ属に関しては、Pinus radiata(ラジアータマツ)など、トガサワラ属に関しては、Pseudotsuga(以下、P.と略す)menziesii(ダクラスファー)、P.japonica(トガサワラ)など、スギ属に関しては、Cryptomeria japonicaなどを挙げることができる。
【0019】
溶解クラフトパルプの製造
上述したように、好ましい態様において本発明の溶解パルプは、クラフト蒸解法(KP法)によって製造される溶解クラフトパルプである。これに限定されるものではないが、本発明の溶解クラフトパルプの製造について以下に説明する。
【0020】
(1)前加水分解工程
本発明ではクラフト蒸解を行う前の前処理として、チップに対して加水分解処理を行って、木材チップ中のヘミセルロース分を水溶性の糖に分解して、除去することができる。前処理としての加水分解処理(前加水分解)は、木材チップを高温の水で処理することによって実施される。添加する水は、熱水でも水蒸気の状態でもよい。加水分解の進行によって有機酸等が生成するので、処理液のpHは2〜5となるのが一般的である。
【0021】
前加水分解処理は、150〜180℃の温度範囲で行うことが好ましい。温度が150℃未満であれば、ヘミセルロースの除去が不十分となり、180℃を超えると加水分解が過剰となりα−セルロース分も低下してしまう。処理時間は特に制限されないが、30〜400分が好ましく、35〜250分がより好ましく、40〜150分がさらに好ましい。処理時間が短すぎると、ヘミセルロースの除去が不十分となり、ヘミセルロースを除去したことによる脱リグニン性の向上効果も少なくなる。一方、処理時間が長すぎると、加水分解が過剰となりα−セルロース分が減少してパルプ収率の低下を招くとともに、リグニンの縮合により、後に続くクラフト蒸解工程における蒸解性の悪化を招いてしまう。
【0022】
また、本発明における前加水分解処理は、Pファクター(Pf)を指標として、処理温度及び処理時間を設定することができる。Pファクターとは、前加水分解処理で反応系に与えられた熱の総量を表す目安であり、本発明では下記式によって表わされ、チップと水が混ざった時点から蒸解終了時点まで時間積分することで算出する。
【0023】
Pf=∫ln
−1(40.48−15106/T)dt
[式中、Tはある時点の絶対温度を表す]
本発明における前加水分解処理は、Pファクター(Pf)が350〜800となる範囲で行うことが好ましい。Pfが350未満であれば、ヘミセルロースの除去が不十分となり、ヘミセルロースを除去したことによる脱リグニン性の向上効果も少なくなる。また、Pfが800を超えると、加水分解が過剰となりα−セルロース分が減少してパルプ収率の低下を招くとともに、リグニンの縮合により、後に続くクラフト蒸解工程における蒸解性の悪化を招いてしまう。
【0024】
前加水分解工程は、木材チップと水を耐圧性容器(前加水分解釜)に入れて行うことができるが、容器の形状や大きさは特に制限されない。
前加水分解釜に木材チップと水を供給する際の比率(動的液比)は1〜2.3L/kgとすることが好ましい。前加水分解釜に供給する木材チップと水の比率は動的液比とも呼ばれ、木材チップ1kgあたりの水の量として示される。動的液比が1.0L/kg未満であると、木材チップに対して水が少なすぎるために加水分解が不十分となり、液比が2.3L/kgを超えると前加水分解釜の頂部において気相部が十分に確保できないので好ましくない。なお、水には木材チップと共に供給する水だけではなく、木材チップに含まれる水分、ドレン水等も含まれる。
【0025】
また、前加水分解工程において木材チップと水の液比は、例えば、1.0〜5.0L/kgとすることができ、1.5〜4.5L/kgが好ましく、2.0〜4.0L/kgがさらに好ましい。液比が1.0L/kg未満であると、木材チップに対して水が少なすぎるために加水分解が不十分となり、液比が5.0L/kgを超えると容器の大きさが過大となるので好ましくない。また、必要に応じて、少量の鉱酸を添加してもよい。
【0026】
(2)チップの洗浄・回収工程
次いで、前加水分解処理後の木材チップは、前加水分解液を除去し、チップを十分に水で洗浄して回収することができる。不十分な洗浄では、後続の蒸解工程において悪影響が生じる場合がある。
【0027】
加水分解液の洗浄、除去は、一般的な固液分離装置などを用いることによって行うことができる。例えば、前加水分解に用いる容器に抽出スクリーンを設け、容器下部から洗浄水を導入してスクリーンから抽出して向流洗浄することができる。
【0028】
(3)クラフト蒸解工程
洗浄後のチップは、蒸解液と共に蒸解釜へ投入され、一般的な条件でクラフト蒸解に供することができる。蒸解釜は連続蒸解釜、バッチ式蒸解釜のいずれも使用できるが、連続蒸解釜の方がエネルギー効率がよいので、好ましい。また、MCC、EMCC、ITC、Lo−solidなどの修正クラフト法の蒸解に供しても良い。また、1ベッセル液相型、1ベッセル気相/液相型、2ベッセル液相/気相型、2ベッセル液相型などの蒸解型式なども特に限定はない。すなわち、本願のアルカリ性水溶液を含浸し、これを保持する工程は、従来の蒸解液の浸透処理を目的とした装置や部位とは別個に設置してもよい。好ましくは、蒸解を終えた未晒パルプは蒸解液を抽出後、ディフュージョンウォッシャーなどの洗浄装置で洗浄する。洗浄後の未晒パルプのカッパー価は、針葉樹の場合、10〜22にすることが好ましく、12〜20としてもよい。広葉樹の場合、5〜20にすることが好ましく、6〜16としてもよい。
【0029】
クラフト蒸解工程は、前加水分解処理した木材チップをクラフト蒸解液とともに耐圧性容器に入れて行うことができるが、容器の形状や大きさは特に制限されない。木材チップと薬液の液比は、例えば、1.0〜5.0L/kgとすることができ、1.5〜4.5L/kgが好ましく、2.0〜4.0L/kgがさらに好ましい。
【0030】
クラフト蒸解は、120〜220℃の温度範囲で行うことが好ましく、150〜180℃がより好ましい。温度が低すぎると脱リグニン(カッパー価の低下)が不十分である一方、温度が高すぎるとセルロースの重合度(粘度)が低下する。また、本発明における蒸解時間とは、蒸解温度が最高温度に達してから温度が下降し始めるまでの時間であるが、蒸解時間は、60分以上10時間が好ましく、120分以上240分以下が好ましい。蒸解時間が60分未満ではパルプ化が進行せず、10時間を超えるとパルプ生産効率が悪化するために好ましくない。
【0031】
また、本発明におけるクラフト蒸解は、Hファクター(HF)を指標として、処理温度及び処理時間を設定することができる。Hファクターとは、蒸解過程で反応系に与えられた熱の総量を表す目安であり、下記の式によって表わされる。Hファクターは、チップと水が混ざった時点から蒸解終了時点まで時間積分することで算出する。
【0032】
HF=∫exp(43.20−16113/T)dt
[式中、Tはある時点の絶対温度を表す]
本発明においては、蒸解後得られた未漂白パルプは、必要に応じて、種々の処理に供することができる。
【0033】
一つの態様において、クラフト蒸解で得られたパルプに酸素脱リグニン処理を行うことができる。本発明に使用される酸素脱リグニンは、公知の中濃度法あるいは高濃度法がそのまま適用できる。中濃度法の場合はパルプ濃度が8〜15質量%、高濃度法の場合は20〜35質量%で行われることが好ましい。酸素脱リグニンにおけるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。
【0034】
酸素脱リグニン処理の反応条件は、特に限定はないが、酸素圧は3〜9kg/cm
2、より好ましくは4〜7kg/cm
2、アルカリ添加率は0.5〜4質量%、温度は80〜140℃、処理時間は20〜180分とすることができ、この他の条件は公知のものが適用できる。なお、本発明において、酸素脱リグニン処理は、複数回行ってもよい。
【0035】
酸素脱リグニン処理が施されたパルプは、例えば、次いで洗浄工程へ送られ、洗浄後、多段漂白工程へ送られ、多段漂白処理を行うことができる。本発明の多段漂白処理は、特に限定されるものではないが、酸(A)、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤を組み合わせるのが好適である。例えば、多段漂白処理の初段は二酸化塩素漂白段(D)やオゾン漂白段(Z)を用い、二段目にはアルカリ抽出段(E)や過酸化水素段(P)、三段目以降には、二酸化塩素や過酸化水素を用いた漂白シーケンスが好適に用いられる。三段目以降の段数も特に限定されるわけではないが、エネルギー効率、生産性等を考慮すると、合計で三段あるいは四段で終了するのが好適である。また、多段漂白処理中にエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレート剤処理段を挿入してもよい。
【0036】
本発明によって製造された溶解クラフトパルプ(DKP)は、ヘミセルロースや各種フェノール類が除去されているため、通常の酸素脱リグニン処理や漂白処理により高品質の溶解クラフトパルプを容易に製造することができる。
【実施例】
【0037】
次に実施例に基づき、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に記載しない限り、本発明において、%などは重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとする。
【0038】
[実施例1]
カラマツを原料とする木材チップを、篩い分け器(ジャイロシフター)を使用して篩い分けし、サイズが9.5〜25.4mmの木材チップを得た。
【0039】
回転型オートクレーブ(容積:約2.5L)を用い、この木材チップに液比3.2L/kgとなるように水を加え、170℃にて約50分間(Pファクター:約500)、前加水分解を行った。
【0040】
前加水分解終了後、チップと前加水分解液とを300メッシュ濾布で分離し、チップの15倍量の60℃温水で30秒間手もみ洗浄を行った。
続いて、再び回転型オートクレーブを用い、150℃で85分間、クラフト蒸解薬液の浸透を行った後、蒸解温度158℃で230分間(Hファクター:約1300)、クラフト蒸解を行って溶解パルプを得た。クラフト蒸解薬液は、活性アルカリ105g/L(Na
2O換算値)、NaOH75.6g/L(Na
2O換算値)、Na
2S29.4g/L(Na
2O換算値)、硫化度28%の組成であり、木材チップと蒸解薬液との液比は3.2L/kgとした。
【0041】
蒸解終了後、得られた未漂白の溶解パルプについて酸素脱リグニン処理を行った。酸素脱リグニン処理は、パルプ濃度23質量%、酸素添加量2.9質量%、酸素圧6kg/cm
2、水酸化ナトリウム添加量2.2%、温度98℃、60分間という条件で行った。
【0042】
酸素脱リグニン処理後の溶解パルプについて、PFIミルを用いて回転数2000で叩解処理を行った。叩解前のパルプの離解カナダ標準濾水度は730ml、叩解後のパルプの離解カナダ標準濾水度は620mlだった。
【0043】
続いて、叩解した溶解パルプを漂白した。具体的には、二酸化塩素処理(D
1)−アルカリ抽出/過酸化水素処理(Ep)−二酸化塩素処理(D
2)というシークエンスで漂白処理を行って漂白溶解クラフトパルプを得た。処理条件は以下のとおりであり、薬品の添加量は対絶乾パルプ重量に対するものである。漂白処理後のαセルロース含量は92.3%だった。
・二酸化塩素処理(D
1):パルプ濃度10質量%、二酸化塩素添加量1.2質量%、温度55℃、60分間
・アルカリ抽出/過酸化水素処理(Ep):パルプ濃度10質量%、水酸化ナトリウム添加量0.93質量%、過酸化水素添加量1.03質量%、温度70℃、90分間
・二酸化塩素処理(D
2):パルプ濃度10質量%、二酸化塩素添加量0.33質量%、温度75℃、240分間
得られた漂白溶解クラフトパルプを水で十分に洗浄した後、漂白溶解クラフトパルプの離解濾水度、α−セルロース含有量を以下の方法にて測定した。
・離解濾水度:風乾した漂白溶解クラフトパルプをJIS P 8220に規定されたパルプ離解法に従って標準離解機で離解して、JIS P 8121(1995年)に規定される方法に従ってカナダ標準濾水度(CSF)を測定した。
・α−セルロース含有量:TAPPI T203に従い、パルプに含まれるαセルロースの量を測定した。
【0044】
また、得られた漂白溶解クラフトパルプからビスコース溶液を調製し、ビスコース溶液の粘度および濾過性(Kr)を以下の方法で測定した。ビスコース溶液の調製は、RP JIS 改訂懇談会『溶解パルプ試験方法(案)』(昭和32年1月発行、付2、1〜10頁)に従った。
・粘度:目盛りつきの透明な管にビスコース溶液を入れ、20±0.1℃の水槽中に立てる。15〜30分放置した後、1/8インチボールベアリングスチールボール(0.1300±0.003g)をピンセットで管の中央部に落とし、管の目盛り20cmの間の落下所要秒数を測定する。
・濾過性(Kr):RP JIS 改訂懇談会、溶解パルプ試験方法(案)(昭和32年1月発行、付2、p1〜10)に従った。
【0045】
[比較例1]
酸素脱リグニン処理後に叩解処理を行わない以外は、実施例1と同様にして漂白溶解クラフトパルプを得た。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示されるように、離解カナダ標準濾水度が550〜650mlの漂白溶解クラフトパルプから調整したビスコース溶液の濾過性(Kr)は良好であった。