(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、ウェハを搬送する際にウェハの位置や角度を正確に合わせるため、ウェハの中心位置や角度を算出することが行われていた(例えば、特許文献1参照)。また、そのウェハの位置や角度の算出において、ウェハの周縁部に設けられたオリフラやノッチ等の目印が用いられることもあった。ウェハの位置や角度が算出されると、それに応じてアライメント装置がウェハの位置や角度を調整することにより、搬送ロボットは、あらかじめ決められた位置及び角度でウェハを取得できていた。
【0003】
図8は、従来のアライメント方法の一例を示す図である。そのアライメント方法では、アライメント装置がウェハ8を回転させると共に、搬送ロボット3のアプローチ方向である図中の上下方向にウェハ8を移動させることによってアライメントを行うものとする。また、
図8における破線の円は、搬送ロボット3がアプローチするウェハ8のあらかじめ決められた位置を示すものである。以下、その位置を「正規の位置」と呼ぶことがある。その破線の円の中心が、アライメント装置におけるウェハ8の回転中心であるとする。また、搬送ロボット3がアプローチするウェハ8のあらかじめ決められた角度を「正規の角度」と呼ぶことがある。すなわち、搬送ロボット3がウェハ8を取得する際には、そのウェハ8は、正規の位置及び角度でアライメント装置に載置されていなくてはならない。
【0004】
図8(a)は、アライメント装置に載置されたウェハ8の初期位置を示す図である。その初期位置において、例えば、特許文献1の方法などを用いてウェハ8の中心位置や角度を算出する。そして、そのウェハ8の中心位置等を用いて、アライメント装置は、
図8(b)で示されるように、ウェハ8を回転し、ウェハ8の移動方向に直角な方向におけるウェハ8と、正規の位置とのずれをなくす。次に、アライメント装置は、
図8(c)で示されるように、ウェハ8を移動方向に移動させ、ウェハ8を正規の位置に合わせる。また、アライメント装置は、
図8(d)で示されるように、正規の角度となるようにウェハ8を回転させる。その後、
図8(e)で示されるように、搬送ロボット3があらかじめ決められた長さだけアームを延ばすことによって、正規の位置及び角度のウェハ8にアプローチする。その結果、搬送ロボット3は、あらかじめ決められた位置及び角度で、ウェハ8を取得できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による搬送ロボットシステムについて、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0016】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による搬送ロボットシステムについて、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による搬送ロボットシステムは、ウェハの回転角度やウェハへのアプローチ角度等を算出し、それに応じてウェハを回転させたり、ウェハにアプローチする方向を変更したりすることによって、短時間でのアライメントを実現できるものである。
【0017】
図1は、本実施の形態による搬送ロボットシステム10の構成を示す図である。本実施の形態による搬送ロボットシステム10は、算出装置1と、アライメント装置2と、搬送ロボット3とを備える。算出装置1は、ウェハの回転角度、搬送ロボット3がウェハにアプローチする方向の角度であるアプローチ角度、その回転角度に応じた回転後のウェハと搬送ロボット3との距離を算出する。アライメント装置2は、ウェハのアライメントを行うための装置である。搬送ロボット3は、ウェハを搬送する装置であり、例えば、アライメント装置2、ウェハ搬出入口4、及び処理室5の間でウェハを搬送する。搬送ロボット3は、通常、水平多関節ロボットである。なお、
図1では、マニピュレータの部分のみを示しているが、搬送ロボット3は、マニピュレータを制御する図示しない制御部やサーボコントローラ等を有していてもよい。また、搬送ロボット3の軸数は問わない。
【0018】
図2は、本実施の形態による算出装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態による算出装置1は、取得部11と、記憶部12と、算出部13とを備える。
取得部11は、アライメント装置2に載置されたウェハ8の中心位置であるウェハ中心位置を取得する。そのウェハ8は、ウェハ8の角度を取得するための目印8aを有する。その目印8aは、例えば、
図2で示されるノッチであってもよく、オリフラであってもよく、または、その他の色や突起、凹み、マーク等による目印であってもよい。また、取得部11は、ウェハ8の目印8aに応じた角度であるウェハ角度を取得する。このように、目印8aは、ウェハ8の角度を取得するために用いられるため、ウェハ8の周縁部に設けられることが好適である。なお、ウェハ中心位置は、ある点を基準とする座標値であってもよい。その基準となる点は、例えば、アライメント装置2の回転中心であってもよい。また、ウェハ角度は、ある方向を基準とする角度であってもよい。その基準となる方向は、例えば、アライメント装置2の回転中心と同心となるように載置されているウェハ8に搬送ロボット3がアプローチする際のアプローチ方向であってもよい。なお、取得部11が、ウェハ中心位置とウェハ角度を取得する方法は問わない。例えば、取得部11は、(1)ウェハ8を撮影することによってウェハ中心位置等を取得してもよく、(2)ウェハ8のエッジ位置を検出することによってウェハ中心位置等を取得してもよく、または、その他の方法によってウェハ中心位置等を取得してもよい。以下、上記(1)(2)によって取得部11がウェハ中心位置等を取得する場合について説明する。
【0019】
(1)撮影によるウェハ中心位置等の取得
この場合には、
図2で示されるように、取得部11は、撮影手段21と、取得手段22とを備える。撮影手段21は、アライメント装置2に載置されたウェハを撮影する。撮影手段21が撮影するウェハ8の領域は、例えば、ウェハ8の全体であってもよく、または、ウェハ8の一部であってもよい。撮影手段21がウェハ8の一部を撮影する場合には、撮影手段21は、ウェハ8の周縁部を含む領域を撮影することが好適である。ウェハ8の中心位置を取得できるためである。また、撮影手段21がウェハ8の一部を撮影する場合には、ウェハ8の目印8aを含む領域が撮影されるように、ウェハ8を回転させながら複数回の撮影を行ってもよい。ウェハ角度を取得できるためである。その回転は、アライメント装置2によって行われる。
【0020】
なお、ウェハ8を撮影する撮影手段21の個数は問わない。例えば、
図2で示されるように、1個の撮影手段21によって撮影を行ってもよく、
図3Aで示されるように、4個の撮影手段21−1〜21−4によってアライメント装置2に載置されたウェハ8の異なる領域の撮影を行ってもよく、その他の個数の撮影手段によってそのウェハ8の異なる領域の撮影を行ってもよい。なお、ウェハ8の異なる領域とは、同じ領域ではないという意味であり、重複している範囲があってもよく、または、なくてもよい。複数の撮影手段によってウェハ8を撮影する場合には、各撮影手段は、ウェハ8の周縁部をそれぞれ撮影することが好適である。例えば、撮影手段21−1〜21−4によって撮影を行う場合には、各撮影手段21−1〜21−4は、
図3Bで示される撮影領域30−1〜30−4をそれぞれ撮影してもよい。なお、複数の撮影手段によって撮影を行う場合であっても、撮影された複数の撮影画像によって、ウェハ8の周縁部の全体をカバーできてもよく、または、そうでなくてもよい。後者の場合には、目印8aを含む領域がいずれかの撮影画像に含まれるように、ウェハ8を回転させながら複数回の撮影を行ってもよい。なお、
図3Aで示されるように、複数の撮影手段21−1〜21−4を用いて撮影する場合には、ウェハ8の法線方向における撮影手段21−1〜21−4とウェハ8との距離を短くすることができ、装置を小型化できる。また、複数の撮影手段21−1〜21−4を用いる場合には、単数の撮影手段21を用いた場合よりも拡大した撮影画像を取得でき、ウェハ中心位置等の精度を向上させられる。なお、複数の撮影手段21−1〜21−4と、撮影手段21との画角や画素数は同じであるとしている。また、
図3Bにおいて、撮影領域が円形である場合について示しているが、撮影領域は矩形であってもよい。
【0021】
また、撮影手段21がウェハ8を撮影する方向は問わない。例えば、撮影手段21の光軸は、
図2で示されるように、撮影対象のウェハ8の法線方向であってもよく、または、
図3Cで示されるように、その法線方向と異なっていてもよい。前者の場合には、アライメント装置2がウェハ8を回転させる回転軸と、撮影手段21の光軸とが同軸であることが好適であるが、そうでなくてもよい。撮影手段21の光軸がウェハ8の法線方向である場合には、撮影画像におけるウェハ8の形状は、略円形状になる。一方、
図3Cで示されるように、撮影手段21がウェハ8の法線方向と異なる光軸を有する場合には、撮影画像におけるウェハ8の形状は、略楕円状になるが、ウェハ8の法線方向における撮影手段21とウェハ8との距離を短くすることができ、装置を小型化できる。なお、ウェハ8を斜めに撮影する場合にも、複数の撮影手段を用いて撮影を行うようにしてもよい。
【0022】
ここで、撮影手段21は、例えば、CCDやCMOSなどのイメージセンサによって実現することができる。また、撮影手段21は、撮影対象からの光をイメージセンサの受光平面に結像させるための光学系を有していてもよい。また、撮影画像のデータ形式等は問わない。
【0023】
取得手段22は、撮影手段21等が撮影したウェハ8の画像を用いて、ウェハ8のウェハ中心位置及びウェハ角度を取得する。取得手段22は、例えば、撮影画像におけるウェハ8の輪郭を輪郭抽出等によって特定し、その特定した輪郭である円や円弧の中心点を特定することにより、ウェハ中心位置を特定することができる。なお、そのウェハ中心位置は、あらかじめ決められた座標系の位置として特定されてもよい。例えば、その座標系は、アライメント装置2の回転中心を原点とし、正規の位置に存在するウェハ8に搬送ロボット3がアプローチする際のアプローチ方向をY軸とし、そのY軸に直角な方向をX軸とする直交座標系であってもよく、または、その他の座標系であってもよい。本実施の形態では、前者の場合について説明する。すなわち、
図1において、図中の右向きにY軸が設定され、図中の下向きにX軸が設定されているものとする。なお、ウェハ中心位置のXY直交座標系における座標値を取得するために、取得手段22は、例えば、撮影画像におけるウェハ中心位置の座標をまず特定し、その撮影画像におけるウェハ中心位置の座標を、XY直交座標系のウェハ中心位置の座標に変換することによって、XY直交座標系におけるウェハ中心位置を取得してもよい。また、取得手段22は、例えば、撮影画像におけるウェハ8の目印8aの位置を特定し、その目印8aの位置と、ウェハ中心位置とを結ぶ直線を特定することにより、ウェハ角度を特定できる。そのウェハ角度は、例えば、目印8aの位置及びウェハ中心位置を結ぶ直線と、あらかじめ決められた方向との角度であってもよい。そのあらかじめ決められた方向は、例えば、前述したXY直交座標系におけるX軸やY軸であってもよく、または、その他の方向であってもよい。本実施の形態では、あらかじめ決められた方向が、XY座標系におけるY軸の方向である場合について主に説明する。ここで、取得手段22は、例えば、特定したウェハ8の輪郭のうち、ウェハ中心位置に最も近い位置を特定することによって目印8aであるノッチやオリフラ等の位置を特定してもよく、パターンマッチングによって目印8aの位置を特定してもよく、特定したウェハ8の輪郭における接線方向の不連続な変化を検出することによって目印8aであるノッチやオリフラ等の位置を特定してもよく、または、その他の方法によって目印8aの位置を特定してもよい。また、取得手段22は、撮影画像上でウェハ角度を取得してもよく、XY直交座標系等のあらかじめ決められた座標系においてウェハ角度を取得してもよい。
【0024】
なお、撮影手段21等が斜めからウェハ8を撮影した場合には、取得手段22は、
図3Dで示されるように、ウェハ8の輪郭が円になるように撮影画像を補正した補正画像を生成し、その補正画像を用いて上述のようにウェハ中心位置の取得等を行ってもよく、または、撮影画像そのものを用いて、ウェハ中心位置の取得等を行ってもよい。
【0025】
また、複数の撮影手段21を用いて撮影が行われた場合には、取得手段22は、その複数の撮影手段21が撮影したウェハ8の複数の画像のうち、目印8aを含む画像を少なくとも用いてウェハ中心位置及びウェハ角度を取得してもよい。すなわち、取得手段22は、目印8aの撮影されている画像のみを用いてウェハ中心位置等を算出してもよく、または、その他の画像をも用いてウェハ中心位置等を算出してもよい。後者の場合には、例えば、複数の画像を用いてウェハ中心位置を算出し、その平均を最終的なウェハ中心位置としてもよい。また、ウェハ8を回転させながら複数の画像を取得する場合には、取得部11は、適宜、ウェハ8を回転するようにアライメント装置2に指示を行ってもよい。
【0026】
(2)エッジ位置によるウェハ中心位置等の取得
この場合には、
図2とは異なり、取得部11は、図示しないエッジ位置検出器と、そのエッジ位置検出器が検出したウェハ8のエッジ位置を用いてウェハ中心位置及びウェハ角度を算出する図示しない算出手段とを備えてもよい。そのエッジ位置検出器は、例えば、ある箇所においてウェハ8のエッジ位置を検出してもよい。そして、アライメント装置2が載置されているウェハ8を回転させることにより、エッジ位置検出器は、ウェハ8の全周または一部の周囲のエッジ位置を検出してもよい。なお、ウェハ8の周囲の一部のエッジ位置を検出する場合には、その検出したエッジ位置に目印8aの位置が含まれていることが好適である。また、そのエッジ位置を検出した範囲で、ウェハ中心位置を取得できることが好適である。また、エッジ位置を用いてウェハ中心位置等を算出する方法は、前述の特許文献1等に記載されているため、詳細な説明を省略する。
【0027】
記憶部12には、算出部13による回転角度等の算出で用いられる情報が記憶される。具体的には、記憶部12には、正規の位置に載置されたウェハ8と搬送ロボット3との距離や、正規の角度で載置されたウェハ8の基準となる方向からの角度が記憶されてもよい。その角度は、例えば、正規の位置及び角度におけるウェハ中心位置から目印8aまでの線分と、前述のY軸との角度であってもよい。
記憶部12に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が記憶部12で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報が記憶部12で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報が記憶部12で記憶されるようになってもよい。記憶部12での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、あるいは、長期的な記憶でもよい。記憶部12は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
【0028】
算出部13は、記憶部12で記憶されている情報と、ウェハ中心位置及びウェハ角度とを用いて、アライメント装置2によるウェハ8の回転角度、ウェハ8を搬送する搬送ロボット3がウェハ8にアプローチする方向の角度であるアプローチ角度、及び回転角度に応じた回転後のウェハ8と搬送ロボット3との距離を算出する。なお、具体的な算出方法については後述する。搬送ロボット3がウェハ8にアプローチする方向とは、搬送ロボット3がウェハ8にアプローチする際に、ハンド3aを移動させる方向である。
【0029】
なお、算出部13が算出する回転角度、アプローチ角度、及び距離は、次のようなものである。すなわち、アライメント装置2がウェハ8を算出された回転角度に応じて回転させ、搬送ロボット3が、算出されたアプローチ角度に応じた方向で、算出された距離に応じて回転後のウェハ8にアプローチすることにより、あらかじめ決められた位置及び角度でアライメント装置2からウェハ8を取得できるように、回転角度、アプローチ角度、及び距離が計算される。
【0030】
次に、算出装置1が回転角度等を算出した後のアライメント装置2及び搬送ロボット3の動作について、
図4を用いて説明する。
図4(a)は、アライメント装置2及び搬送ロボット3の初期状態を示す図である。その
図4(a)において、実線で示されるウェハ8は、アライメント装置2に載置されたウェハを示している。また、破線で示されるウェハ8は、正規の位置及び角度でアライメント装置2に載置されたウェハを示している。なお、直線31は、搬送ロボット3がウェハ8にアプローチする際のアプローチ方向を示すものである。
【0031】
図4(b)において、アライメント装置2は、算出装置1が算出した回転角度に応じて、アライメント装置2に載置されたウェハ8を回転させる。その結果、ウェハ8は、回転角度だけ回転する。また、搬送ロボット3は、回転後のウェハ8にアプローチする方向を、算出装置1が算出したアプローチ角度に応じた方向とする。搬送ロボット3がアプローチ角度に応じた方向で回転後のウェハ8にアプローチするために、例えば、
図4(b)で示されるように、搬送ロボット3自体が、旋回軸を中心に旋回することによって、ウェハ8へのアプローチ方向がアプローチ角度の示す方向となってもよく、または、搬送ロボット3のハンド3aの移動方向をアプローチ角度の示す方向に設定することによって、ウェハ8へのアプローチ方向がアプローチ角度の示す方向となってもよい。後者の場合には、搬送ロボット3自体は旋回せず、マニピュレータにおけるハンド3aの移動方向のみが変更されてもよい。なお、
図4(b)において、搬送ロボット3がアプローチ角度に応じて旋回することによって、回転後のウェハ8へのアプローチ方向が、直線31で示される方向となる。また、
図4(c)で示されるように、搬送ロボット3は、算出された距離に応じて回転後のウェハ8にアプローチする。ここで、搬送ロボット3が、算出された距離に応じて回転後のウェハ8にアプローチするとは、搬送ロボット3がウェハ8にアプローチするためにハンド3aを移動させる距離を、正規の位置のウェハ8にアプローチするときと比較してL2−L1だけ長くすることを意味する。ここで、L1は、正規の位置のウェハ8と搬送ロボット3との距離であり、L2は、算出された距離である。このように、ウェハ8が回転角度だけ回転し、搬送ロボット3が、算出装置1が算出したアプローチ角度の示す方向で、算出装置1が算出した距離に応じて、回転後のウェハ8にアプローチすることによって、搬送ロボット3は、あらかじめ決められた位置及び角度でアライメント装置2からウェハ8を取得できる。すなわち、搬送ロボット3は、正規の位置及び角度のウェハ8を取得する場合と同様に、あらかじめ決められた位置及び角度でウェハ8を取得できる。
【0032】
ここで、算出部13が回転角度等を算出する方法について説明する。まず、角度や座標値、距離等に関する定義について説明する。
図5Aは、取得部11がウェハ中心位置等を取得する際におけるウェハ8の位置を示す図である。
図5Aにおいて、前述のようにXY直交座標系が設定されている。また、その座標系におけるウェハ8の中心の座標が(X
c,Y
c)であるとする。本実施の形態では、その座標(X
c,Y
c)が、取得部11によって取得されるウェハ中心位置であるとする。また、原点からウェハ中心位置までの距離がr
cであるとする。また、原点とウェハ中心位置とを結ぶ線分から、Y軸に平行な直線までの角度をθ
cとする。また、X軸から、原点とウェハ中心位置とを結ぶ線分までの角度をθ
a1とする。また、Y軸に平行な直線から、ウェハ中心位置と目印8aの位置とを結ぶ線分までの角度をθ
dとする。本実施の形態では、その角度θ
dが、取得部11によって取得されるウェハ角度であるとする。また、Y軸に平行な直線から、破線で示される正規の位置及び角度のウェハ8の中心位置と目印8aの位置とを結ぶ線分までの角度をθ
nとする。この角度θ
nは、あらかじめ決められている値であり、記憶部12で記憶されているものとする。
図5Bは、算出部13が算出した回転角度だけ回転した後のウェハ8の位置を示す図である。ここで、
図5A,
図5Bでは、原点がアライメント装置2の回転中心と一致しているため、回転角度に応じた回転は、XY直交座標系の原点を中心に行われる。
図5Bにおいても、前述のように、XY直交座標系が設定されている。また、回転後のウェハ8の中心の座標を(X
c',Y
c')とする。また、回転後のウェハ8の中心位置と原点とを結ぶ線分から、回転後のウェハ8の中心位置と搬送ロボット3の基準位置とを結ぶ線分までの角度をθ
c'とする。本実施の形態では、搬送ロボット3の基準位置を、搬送ロボット3のマニピュレータの基端の軸中心としている。また、X軸から、回転後のウェハ8の中心位置と原点とを結ぶ線分まで角度をθ
a2とする。また、回転後のウェハ8の中心位置から搬送ロボット3の基準位置までの距離をh
cとする。本実施の形態では、この距離h
cが、算出部13によって算出される、搬送ロボット3から回転後のウェハ8までの距離であるとする。また、搬送ロボット3の基準位置の座標を(0,h
r)とする。この値h
rは、あらかじめ決められている値であり、記憶部12で記憶されているものとする。また、Y軸から、回転後のウェハ8の中心位置と搬送ロボット3の基準位置とを結ぶ線分までの角度をθ
rとする。その線分の方向が、搬送ロボット3が回転後のウェハ8にアプローチする方向、すなわち、アプローチ角度に応じた方向となる。本実施の形態では、この角度θ
rが、算出部13によって算出されるアプローチ角度であるとする。なお、図示していないが、回転前のウェハ8の中心位置と原点とを結ぶ線分から、回転後のウェハ8の中心位置と原点とを結ぶ線分までの角度をθ
aとする。この角度θ
aが、算出部13によって算出される回転角度である。また、搬送ロボット3が旋回可能な場合には、上述した基準位置は、搬送ロボット3の旋回軸と一致していることが好適である。また、各角度は、反時計回りが正であり、時計回りが負であるとする。すなわち、
図5A,
図5Bのような場合は、θ
n、θ
a2、θ
r、θ
aが負の値であり、それ以外が正の値である。
【0033】
図6は、XY直交座標系において、
図5A,
図5Bを用いて説明した角度や距離、座標を示す図である。算出部13は、X
c、Y
c、θ
dが取得部11によって取得され、θ
n、h
rが記憶部12で記憶されている場合に、ウェハ8の回転角度θ
aと、アプローチ角度θ
rと、距離h
cとを次のようにして算出する。まず、θ
c、θ
a1、r
cは、次のようになる。
【数1】
【0034】
また、θ
c'は、θ
c、θ
n、θ
dを用いて示すことができ、上記θcを代入することによって、次のようになる。
【数2】
【0035】
θ
c'、h
r、r
cが分かっているので、余弦定理を用いると次のようになる。
【数3】
ここで、h
c>0であるため、h
cは、次のようになる。
【数4】
【0036】
したがって、式(1)を用いることにより、算出部13は、回転後のウェハ8と搬送ロボット3との間の距離h
cを算出できる。
また、h
r、h
c、r
cが分かっているため、余弦定理を用いることによりθ
rを次のように求めることができる。
【数5】
【0037】
したがって、式(2)のh
cに上記式(1)で算出したh
cを代入することにより、算出部13は、搬送ロボット3が回転後のウェハ8にアプローチする角度であるアプローチ角度θ
rを算出できる。ここで、上述の各角度の定義から分かるように、θ
c'の範囲と、θ
rの正負の関係は、次のようになる。
0°<θ
c'≦180°:θ
r<0
180°<θ
c'≦360°:θ
r>0
【0038】
次に、h
r、h
c、θ
rから、X
c'、Y
c'を求めると、次のようになる。
【数6】
したがって、X
c'、Y
c'を用いてθ
a2を求めると、次のようになる。
【数7】
【0039】
また、θ
a=θ
a2−θ
a1であるため、θ
aは、次のようになる。
【数8】
したがって、式(3)のh
cに上記式(1)で算出したh
cを代入し、θ
rに上記式(2)で算出したθ
rを代入することにより、算出部13は、アライメント装置2がウェハ8を回転させる角度である回転角度θ
aを算出できる。なお、アライメント装置2がウェハ8を回転させるときの回転量を180°以内にするため、θ
aの範囲を、−180°≦θ
a≦180°とする。そのため、θ
aがその範囲内にない場合には、次のようにθ
aを置き換えてもよい。
180°<θ
a≦360°:θ
a←θ
a−360°
−360°≦θ
a<−180°:θ
a←θ
a+360°
【0040】
なお、上述した算出方法は一例であり、算出部13は、上述した方法と異なる方法によって、回転角度、アプローチ角度、及び搬送ロボット3から回転後のウェハ8までの距離を算出してもよい。また、算出部13は、式(1)〜(3)を用いて算出した各値を、図示しない記録媒体で記憶してもよい。また、算出部13は、算出した距離h
cと、アプローチ角度θ
rとを搬送ロボット3に渡し、算出した回転角度θ
aをアライメント装置2に渡す。そして、アライメント装置2が、その回転角度θ
aだけウェハ8を回転させ、搬送ロボット3が、アプローチ角度θ
rの方向で、距離h
cに応じて回転後のウェハ8にアプローチすることによって、搬送ロボット3は、あらかじめ決められた位置及び角度で、ウェハ8を取得できる。なお、この場合には、前述のL1=|h
r|となり、L2=h
cとなる。したがって、搬送ロボット3は、正規の位置にあるウェハ8にアプローチするときと比較して、h
c−|h
r|だけアプローチの長さを長くする。なお、h
c−|h
r|が負の値である場合には、その値の絶対値だけアプローチの長さが短くなる。
【0041】
次に、搬送ロボットシステム10におけるアライメントの動作について
図7のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)撮影手段21は、アライメント装置2に載置されたウェハ8を撮影する。なお、撮影された画像は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
【0042】
(ステップS102)取得手段22は、撮影されたウェハ8の画像を用いて、ウェハ中心位置及びウェハ角度を取得する。なお、取得されたウェハ中心位置等は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
【0043】
(ステップS103)算出部13は、取得部11が取得したウェハ中心位置及びウェハ角度と、記憶部12で記憶されている情報とを用いて、上述の式(1)〜(3)により、回転角度、アプローチ角度、距離を算出する。なお、算出された回転角度等は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
【0044】
(ステップS104)アライメント装置2は、算出装置1で算出された回転角度に応じて、載置されているウェハ8を回転する。
【0045】
(ステップS105)搬送ロボット3は、算出装置1で算出されたアプローチ角度の方向にハンド3aを移動させるようにアプローチ方向を変更する。具体的には、搬送ロボット3は、アプローチ角度に応じて旋回してもよく、または、ハンド3aの移動方向がアプローチ角度となるように設定を行ってもよい。
【0046】
(ステップS106)搬送ロボット3は、算出装置1で算出された距離に応じて回転後のウェハ8にアプローチし、アライメント装置2に載置されているウェハ8を取得する。
【0047】
(ステップS107)搬送ロボット3は、取得したウェハ8を、処理室5等に搬送する。なお、搬送ロボット3は、処理室5等における処理の終了したウェハ8を、アライメントのためにアライメント装置2に搬送してもよい。
なお、ステップS101の処理よりも前に、アライメントを行うウェハ8をアライメント装置2に搬送する処理があってもよい。また、エッジ位置を用いてウェハ中心位置等を取得する場合には、ステップS101,S102に代えて、エッジ位置の検出と、検出されたエッジ位置を用いたウェハ中心位置等の取得を行ってもよい。
【0048】
以上のように、本実施の形態による搬送ロボットシステム10によれば、算出装置1によって回転角度等を算出し、その算出した回転角度等に応じてウェハ8を回転させ、ウェハ8へのアプローチ方向を設定することによって、アライメントにかかる時間を短縮できる。すなわち、従来のアライメント方法では、アライメント装置のみですべての処理を行っていたが、その処理をアライメント装置2と搬送ロボット3とで分担することにより、アライメントにかかる時間を短縮している。具体的には、従来のアライメント方法では、アライメント装置において、ウェハ8の回転を2回行い、ウェハ8の移動を1回行う必要があったが、本実施の形態では、アライメント装置2においてウェハ8の回転を1回行うだけでよいため、時間が短縮される。また、取得部11が、ウェハ8の全周を撮影可能な単数または複数の撮影手段21を備えることにより、ウェハ8を回転させることなくウェハ中心位置及びウェハ角度を取得でき、ウェハ中心位置等を取得する時間を短縮できる。その結果として、アライメントにかかる時間を短縮できる。
【0049】
なお、本実施の形態において、算出装置1は、算出した回転角度等をアライメント装置2や搬送ロボット3に渡す図示しない出力部を備えていてもよい。その出力部は、算出された回転角度をアライメント装置2に出力し、算出されたアプローチ角度及び距離を搬送ロボット3に出力してもよい。
【0050】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。例えば、回転角度の算出と、アプローチ角度及び距離の算出とが別々の装置によって行われてもよい。
【0051】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、あるいは、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0052】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いるしきい値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、あるいは長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、あるいは、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、あるいは、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0053】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いるしきい値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0054】
また、上記実施の形態において、算出装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、あるいは、別々のデバイスを有してもよい。
【0055】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。なお、そのプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、そのプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。また、そのプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0056】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。