(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、ネットワーク合唱を行う場合には、相手となる歌唱者のプロフィールを知ることも必要であるが、さらに、お互いに音域(音高の範囲)がほぼ一致していることが必要である。すなわち、お互いの音域が異なると、音程が合った歌唱を行うことができず、いずれか一方の歌唱者の音域に合わせると、他方の歌唱者が歌唱を行うことができない場合もある。
【0007】
これでは、せっかくネットワーク合唱を行うために歌唱相手を選択したとしても、実際にはネットワーク合唱を行うことができず、ネットワーク合唱機能を十分に利用することができなかった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、複数のカラオケ演奏端末がネットワーク接続されたカラオケシステムでネットワーク合唱を行う際に、各カラオケ演奏端末における演奏キーの設定の違いを補正して、各歌唱者が好みの演奏キーで歌唱を行えるようにしたネットワーク合唱における演奏キーのマッチングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のネットワーク合唱における演奏キーのマッチングシステムは、上述した目的を達成するために提案されたもので、以下の特徴を有している。すなわち、本発明のネットワーク合唱における演奏キーのマッチングシステムは、ネットワーク接続された複数のカラオケ演奏端末において、同一のカラオケ楽曲を同時に演奏するとともに、各カラオケ演奏端末で入力された歌唱音声を
互いに他のカラオケ演奏端末へ送信して
再生することによりネットワーク合唱を行う機能を有し、各カラオケ演奏端末で
楽曲予約時に設定した演奏キーが異なる場合に、各カラオケ演奏端末における歌唱音声のピッチを一致させて出力するためのシステムであって、演奏キー設定手段と、演奏キー情報送信手段と、ピッチ変更手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
各手段は、それぞれ各カラオケ演奏端末が備える手段である。演奏キー設定手段は、各カラオケ演奏端末において、ネットワーク合唱を行うカラオケ楽曲の演奏キーを設定するための手段である。演奏キー情報送信手段は、各カラオケ演奏端末において、設定した演奏キーを他のカラオケ演奏端末に送信するための手段である。ピッチ変更手段は、一のカラオケ演奏端末で設定した演奏キーと、他のカラオケ演奏端末から受信した演奏キーとの差分に基づき、当該一のカラオケ演奏端末で入力され、当該他のカラオケ演奏端末で出力する歌唱音声のピッチを、当該他のカラオケ演奏端末にて設定した演奏キーに一致するように変更するための手段である。
【0011】
このような構成からなるネットワーク合唱における演奏キーのマッチングシステムでは、予め、ネットワーク接続された複数のカラオケ演奏端末の利用者同士でネットワーク合唱を行う旨の設定を行い、ネットワーク合唱を行うための機能を利用して、各カラオケ演奏端末において同一のカラオケ楽曲の演奏を同時に開始する。そして、各カラオケ演奏端末で入力された歌唱音声を他のカラオケ演奏端末へ送信することにより、ネットワーク合唱を行うことができる。なお、ネットワーク合唱では、二人の利用者がデュエットを行う機能だけではなく、三人以上の利用者が同時に歌唱できるような機能を持たせてもよい。
【0012】
ネットワーク合唱の設定が行われた各カラオケ演奏端末では、演奏キー設定手段の機能により、利用者の所望に応じて、ネットワーク合唱を行うカラオケ楽曲の演奏キーを設定する。各カラオケ演奏端末で設定された演奏キーは、演奏キー情報送信手段の機能により、通信ネットワークを介して他のカラオケ演奏端末に送信される。
【0013】
そして、ネットワーク合唱を行う際に、ピッチ変更手段の機能により、自ら設定した演奏キーと、他のカラオケ演奏端末から受信した演奏キーとの差分に基づいて、一のカラオケ演奏端末で入力され、他のカラオケ演奏端末で出力する歌唱音声のピッチを、当該他のカラオケ演奏端末にて設定した演奏キーに一致するように変更する。
【0014】
このピッチ変更処理では、自らのカラオケ演奏端末に入力された歌唱音声を、他のカラオケ演奏端末から受信した演奏キーとの差分に基づきピッチを変更して、当該他のカラオケ演奏端末の演奏キーに一致させて、当該他のカラオケ演奏端末へ送信してもよい。また、他のカラオケ演奏端末から受信した歌唱音声を当該他のカラオケ演奏端末の演奏キーとの差分に基づきピッチを変更して、自らのカラオケ演奏端末の演奏キーに一致させて、自らのカラオケ演奏端末で出力してもよい。すなわち、ピッチ変更処理は、送信前の歌唱音声に対して行ってもよいし、受信後の歌唱音声に対して行ってもよい。
【0015】
例えば、カラオケ演奏端末(1)では、原曲キーに対して「+2」の設定がなされており、カラオケ演奏端末(2)では、原曲キーに対して「−1」の設定がなされていると仮定する。
【0016】
この場合には、カラオケ演奏端末(1)では、原曲キーに対して「+2」の演奏キーで演奏を行い、利用者は当該演奏キーで歌唱を行う。ここで、カラオケ演奏端末(2)からカラオケ演奏端末(1)に対して送信されてきた歌唱音声は、原曲キーに対して「−1」であるため、当該歌唱音声のピッチを両者の差分である「+3」変更して、原曲キーに対して「+2」の歌唱音声として出力する。なお、ピッチ変更はカラオケ演奏端末(2)で行ってもよい。
【0017】
一方、カラオケ演奏端末(2)では、原曲キーに対して「−1」の演奏キーで演奏を行い、利用者は当該演奏キーで歌唱を行う。ここで、カラオケ演奏端末(1)からカラオケ演奏端末(2)に対して送信されてきた歌唱音声は、原曲キーに対して「+2」であるため、当該歌唱音声のピッチを両者の差分である「−3」変更して、原曲キーに対して「−1」の歌唱音声として出力する。なお、ピッチ変更はカラオケ演奏端末(1)で行ってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のネットワーク合唱における演奏キーのマッチングシステムによれば、ネットワーク合唱を行う各カラオケ演奏端末において、それぞれ歌唱者の好みに応じて演奏キーを設定することができるので、歌唱者は無理なく自らの音域で歌唱を行うことができる。そして、ネットワーク合唱の相手の歌唱音声は、これを受信した各カラオケ演奏端末において設定された演奏キーにピッチ変更して出力されるので、違和感なくネットワーク合唱を行うことができる。
【0019】
このように、各カラオケ演奏端末における演奏キーの設定の違いを補正して、各歌唱者が好みの音域で歌唱を行うことができるので、ネットワーク合唱の相手の選択範囲が広がり、ネットワーク合唱の楽しさをより一層高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明のネットワーク合唱における演奏キーのマッチングシステム(以下、演奏キーのマッチングシステムと略記する)の実施形態について説明する。
図1〜
図4は本発明の実施形態に係る演奏キーのマッチングシステムを示すもので、
図1は演奏キーのマッチングシステムを適用したカラオケ演奏端末の構成を示すブロック図、
図2は演奏キー情報の交換手順を示すタイミングチャート、
図3及び
図4は歌唱音声のピッチ変更手順を示すタイミングチャートである。
【0022】
<システムの概要>
本発明の実施形態に係る演奏キーのマッチングシステムは、ネットワーク接続された複数のカラオケ演奏端末において、同一のカラオケ楽曲を同時に演奏するとともに、各カラオケ演奏端末で入力された歌唱音声を他のカラオケ演奏端末へ送信してネットワーク合唱を行う機能を有し、各カラオケ演奏端末で設定した演奏キーが異なる場合に、各カラオケ演奏端末における歌唱音声のピッチを一致させて出力するためのシステムである。
【0023】
なお、本実施形態で説明するカラオケ楽曲とは、楽曲識別情報(例えば、楽曲ID)で特定されるカラオケ楽曲のことである。すなわち、同じ名称のカラオケ楽曲であっても、アーティスト、歌詞、アレンジ等により、複数のバージョンが存在する場合があり、本実施形態では、これらのカラオケ楽曲を区別して扱っている。
【0024】
また、利用者を識別するための利用者識別情報(例えば、利用者ID)は、利用者がカラオケ演奏端末を含むシステムにログインする際に取得するようになっている。すなわち、本実施形態の演奏キーのマッチングシステムでは、利用者が所持するIDカードをカラオケリモコン装置の受信部に近接させて利用者識別情報を受信したり、携帯情報端末の無線通信網及びネットワーク回線を介してカラオケ演奏端末に利用者識別情報を送信したり、携帯情報端末から直接、カラオケ演奏端末に情報を送信したりすることにより、システムログインした利用者の利用者識別情報を取得することができる。なお、会員登録していない利用者であっても、仮の利用者識別情報(例えば、仮利用者ID)を発行して、システムログインできるようにしてもよい。
【0025】
また、以下の説明において、プログラムとは、RAM等に記憶され、CPU等のハードウェアで実行されることにより、その機能を発揮するソフトウェアだけではなく、同等の機能を発揮することが可能な論理回路も含む概念である。
【0026】
本発明の実施形態に係る演奏キーのマッチングシステムは、ネットワーク接続された複数のカラオケ演奏端末で、同一のカラオケ楽曲を同時に演奏すると共に、各カラオケ演奏端末で入力された歌唱音声を他のカラオケ演奏端末へ送信してネットワーク合唱を行う機能を有することを前提としている。
【0027】
例えば、このネットワーク合唱の機能では、合唱を希望する利用者がシステムログインしたカラオケ演奏端末において、カラオケリモコン装置等を利用して、合唱を希望する旨の指示入力を行う。利用者による合唱希望指示があると、合唱を希望した利用者の利用者識別情報(例えば、利用者IDやハンドルネーム)と、合唱を希望するカラオケ楽曲の楽曲識別情報(例えば、楽曲ID)とからなる合唱希望情報が管理サーバに送信される。
【0028】
管理サーバでは、受信した合唱希望情報をデータベースにて管理する。また、このデータベースは、所定のタイミングで更新される。管理サーバでは、データベースにて管理された合唱希望情報に含まれる楽曲識別情報に基づいて、合唱希望楽曲リストを作成する。そして、利用者がカラオケ楽曲を選曲する際に、楽曲検索手段の機能により、入力した検索条件(曲名、アーティスト名、流行時期等)に基づいてカラオケ楽曲を検索する。検索結果は、例えば、カラオケリモコン装置の入出力表示部に一覧表示される。
【0029】
この際、合唱希望楽曲リストを参照して、検索結果となったカラオケ楽曲に関連付けられている楽曲識別情報が、合唱希望楽曲リストに含まれているカラオケ楽曲と、含まれていないカラオケ楽曲とを識別可能に表示する。検索結果に含まれるカラオケ楽曲の楽曲識別情報が合唱希望楽曲リストに存在する場合には、該当するカラオケ楽曲の表示欄にデュエットアイコンを表示したり、該当するカラオケ楽曲の表示を強調したり、該当するカラオケ楽曲の表示色を変更したりすることにより、その旨が報知される。
【0030】
合唱に応募する利用者が合唱希望楽曲リストに含まれているカラオケ楽曲を選曲していて、合唱を行う旨の指示入力を行い、合唱を募集した利用者が承諾すると、両者がシステムログインしているカラオケ演奏端末同士が合唱モード(単曲モード)に移行し、所定の演奏開始信号に基づいて、各カラオケ演奏端末において当該カラオケ楽曲の演奏が開始する。
【0031】
これに伴い、各カラオケ演奏端末に入力された歌唱音声信号が、合唱相手のカラオケ演奏端末に送信され、合唱を行うことができる。なお、合唱に参加するカラオケ演奏端末は2台に限られず、3台以上のカラオケ演奏端末を用いて合唱できるようなシステムとしてもよい。
【0032】
なお、ネットワーク合唱の機能は、上述した形態に限られるものではなく、ネットワーク接続された複数のカラオケ演奏端末で、同一のカラオケ楽曲を同時に演奏すると共に、各カラオケ演奏端末で入力された歌唱音声を他のカラオケ演奏端末へ送信してネットワーク合唱を行うことができれば、他の構成を有するシステムによりネットワーク合唱の機能を構築してもよい。また、本発明の実施形態に係る演奏キーのマッチングシステムでは、各カラオケ演奏端末において、合唱相手のカラオケ演奏端末から受信し、または送信する歌唱音声について、所定のピッチ変更が行われる。
【0033】
<システムの具体的構成>
本発明の実施形態に係る演奏キーのマッチングシステム10は、
図1に示すように、演奏キー設定手段80cと、演奏キー情報送信手段71と、ピッチ変更手段72とにより実現される。本実施形態では、演奏キー設定手段80cはカラオケリモコン装置80の機能手段として実現し、演奏キー情報送信手段71及びピッチ変更手段72はカラオケ演奏端末30(カラオケ本体60)の機能手段として実現する。
【0034】
本発明の実施形態に係る演奏キーのマッチングシステム10は、
図1に示すように、管理サーバ20と複数のカラオケ演奏端末30とが、ルータ50及び通信ネットワーク(本実施形態では、インターネット40)を介して相互に接続されている。通信ネットワークは、公衆電話回線、専用電話回線、光通信回線、LAN等を用いることができるが、ネットワークに対する第三者の侵入やデータの傍聴及び改竄が困難であるとともに、帯域を独占せずに安価な通信網であるという点で、インターネット40により構成されるVPNを利用することが好ましい。
【0035】
<管理サーバ>
管理サーバ20は、通信ネットワーク(インターネット40)を介して、複数のカラオケ演奏端末30との間でデータの送受信を行い、ネットワーク合唱の機能を実現するためのサーバで、サーバ制御手段21、データ送受信手段22、種々のデータを記憶するデータ記憶手段23を備えている。なお、ネットワーク合唱の機能を実現するための専用の管理サーバ20を備えるのではなく、他のサーバに管理サーバ20の機能を兼ね備えさせてもよい。また、仮想化技術により、一つのサーバを複数の機能を有するサーバとして機能させ、仮想化サーバの一つとして管理サーバ20を構築することができる。
【0036】
<サーバ制御手段/データ送受信手段>
サーバ制御手段21は、管理サーバ20を統括的に制御するための手段であり、CPU及びその周辺機器を含んで構成され、CPU等がROM等に格納されたプログラムに従って動作することにより制御機能を発揮するようになっている。データ送受信手段22は、各カラオケ演奏端末30との間で、歌唱映像等の各種データの送受信を行うための手段であり、通信ネットワーク(インターネット40)における通信方式の整合性を保つための通信回路やプログラムにより構成される。
【0037】
<データ記憶手段>
データ記憶手段23は、各カラオケ演奏端末30にシステムログインしている利用者の利用者識別情報(利用者ID)や、各利用者の歌唱履歴データ等を記憶するための装置であり、例えばHDDにより構成される。本実施形態では、ネットワーク合唱に必要な各種のデータが記憶されている。
【0038】
<カラオケ演奏端末>
本発明の実施形態に係る演奏キーのマッチングシステム10を適用するカラオケ演奏端末30は、
図1に示すように、カラオケ本体60、カラオケリモコン装置80、スピーカ81、マイクロホン82、表示装置83、ミキシングアンプ84を備えている。
【0039】
<マイクロホン/スピーカ>
マイクロホン82は、歌唱音声の入力を行うための装置である。マイクロホン82から入力された歌唱音声信号は、ミキシングアンプ84により、音楽再生制御手段68から送出される演奏音声信号とミキシングされると共に増幅され、スピーカ81へ出力される。なお、マイクロホン82からの音声入力信号は、A/Dコンバータ69によりデジタル変換されて、ネットワーク合唱の相手となるカラオケ演奏端末30に対する歌唱音声信号の送信等に使用される。
【0040】
<表示装置>
表示装置83は、カラオケ楽曲に関連した背景映像や歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0041】
<カラオケ本体>
カラオケ本体60は、
図1に示すように、ネットワーク送受信手段61、中央制御手段62、ROM63、RAM64、HDD65、ローカル送受信手段66、予約管理手段67、音楽再生制御手段68、A/Dコンバータ69、映像再生制御手段70、演奏キー情報送信手段71、ピッチ変更手段72を備えている。
【0042】
<中央制御手段>
中央制御手段62は、カラオケ本体60を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM63等に記憶されたプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0043】
<ROM/RAM>
ROM63は、カラオケ本体60を構成する各機器を制御するためのプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM64は、プログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM64を構成するのではなく、HDD等を用いて仮想的なRAM64を構成してもよい。本実施形態では、RAM64に予約待ち行列64a、自らのカラオケ演奏端末30で演奏するカラオケ楽曲について設定された演奏キー(自)64b、ネットワーク合唱の相手となるカラオケ演奏端末30で演奏するカラオケ楽曲について設定された演奏キー(他)64cが記憶されるようになっている。この予約待ち行列64aは、選曲予約されたカラオケ楽曲について、演奏順に楽曲IDを並べて構成したデータテーブルであり、選曲者の利用者ID等、他の識別データが紐付けられている場合もある。
【0044】
<HDD>
HDD65は、大容量記憶装置として機能するもので、楽曲データベース65a、映像データベース65bが格納されている。なお、HDD65に替えて、あるいはHDD65と共に、データを書き替え可能なDVD等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【0045】
<楽曲データベース/映像データベース>
楽曲データベース65aは、複数のカラオケ楽曲について、演奏データ及び歌詞描出データが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ構成されたデータベースである。歌詞描出データは演奏に同期した歌詞文字の表示タイミングデータ及び色変わりデータを含んでいる。映像データベース65bは、演奏されるカラオケ楽曲に対応した背景映像を、当該カラオケ楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0046】
<送受信手段>
ローカル送受信手段66は、カラオケ本体60とカラオケリモコン装置80との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。本実施形態では、赤外線通信により、カラオケ本体60とカラオケリモコン装置80との間でデータの送受信が行われる。また、カラオケリモコン装置80とルータ50との間で、直接、データの送受信を行うようにしてもよい。ネットワーク送受信手段61は、カラオケ本体60と管理サーバ20との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。
【0047】
<予約管理手段>
予約管理手段67は、楽曲検索手段80aの機能を用いて検索され、選曲予約された楽曲IDを演奏順に並べて予約待ち行列64aを生成し、この予約待ち行列64aをRAM64に格納して管理するためのプログラムからなる。
【0048】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段68は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース65aから抽出された演奏データを、ミキシングアンプ84に出力するための電子回路からなる。なお、演奏データがMIDI規格の演奏制御データである場合には、この演奏制御データに基づいて、音源データをデジタル再生すると共にアナログ変換してミキシングアンプ84に出力する。上述したように、ミキシングアンプ84は、マイクロホン82から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段68から送出される演奏音声信号とをミキシングすると共に、アンプ機能により増幅してスピーカ81より出力するための装置である。本実施形態では、ピッチ変更手段72により変更された合唱相手の歌唱音声も、ミキシングアンプ84に入力される。
【0049】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段70は、カラオケ楽曲の演奏中に、映像データベース65bから抽出した背景映像データと、演奏データに含まれる歌詞描出データに基づく歌詞文字とを、当該カラオケ楽曲の演奏データに同期させて表示装置83に出力するためのプログラムからなる。
【0050】
<演奏キー情報送信手段>
演奏キー情報送信手段71は、演奏キー設定手段80cにより設定した演奏キーを、合唱相手の利用者がシステムログインしているカラオケ演奏端末30に送信するためのプログラムからなる。すなわち、ネットワーク(インターネット40)を介して合唱を行う際に、演奏キー設定手段80cにより自らの演奏キーを入力すると、当該演奏キーの情報が、合唱相手の利用者がシステムログインしているカラオケ演奏端末30に送信される。なお、演奏キー情報送信手段71をカラオケリモコン装置80の手段として設け、カラオケリモコン装置80から、直接、ルータ50を介して、合唱相手の利用者がシステムログインしているカラオケ演奏端末30に演奏キー情報を送信するような構成としてもよい。
【0051】
<ピッチ変更手段>
ピッチ変更手段72は、一のカラオケ演奏端末30で設定した演奏キーと、他のカラオケ演奏端末30から受信した演奏キーとの差分に基づき、当該一のカラオケ演奏端末30で入力され、当該他のカラオケ演奏端末30で出力する歌唱音声のピッチを、当該他のカラオケ演奏端末30にて設定した演奏キーに一致するように変更するためのプログラムからなる。換言すると、演奏キー設定手段80cにより設定した演奏キーと、合唱相手の利用者がシステムログインしているカラオケ演奏端末30から受信した演奏キーとの差分に基づいて、一のカラオケ演奏端末30で入力され、他のカラオケ演奏端末30で出力する歌唱音声のピッチを、当該他のカラオケ演奏端末30にて設定した演奏キーに一致するように変更する。
【0052】
例えば、カラオケ演奏端末(1)において、演奏キー設定手段80cにより、原曲キーに対して「+2」の演奏キーの設定を行ったとすると、当該カラオケ演奏端末(1)では原曲キーに対して「+2」の演奏キーで演奏が行われる。この演奏キー情報は、合唱相手の利用者がシステムログインしているカラオケ演奏端末(2)送信される。一方、カラオケ演奏端末(2)では、演奏キー設定手段80cにより、原曲キーに対して「−1」の演奏キーの設定を行ったとすると、当該カラオケ演奏端末(2)では原曲キーに対して「−1」の演奏キーで演奏が行われる。この演奏キー情報は、合唱相手の利用者がシステムログインしているカラオケ演奏端末(1)に送信される。
【0053】
そして、カラオケ演奏端末(1)では、ピッチ変更手段72の機能により、カラオケ演奏端末(2)から送信されてきた歌唱音声に対して「+3」のピッチ変更を行い、カラオケ演奏端末(1)で設定された原曲キーに対して「+2」の歌唱音声として出力を行う。一方、カラオケ演奏端末(2)では、ピッチ変更手段72の機能により、カラオケ演奏端末(1)から送信されてきた歌唱音声に対して「−3」のピッチ変更を行い、カラオケ演奏端末(2)で設定された原曲キーに対して「−1」の歌唱音声として出力を行う。
【0054】
なお、上述した例では、歌唱音声を受信した側のカラオケ演奏端末30において、当該歌唱音声が自らのカラオケ演奏端末30で設定した演奏キーと一致するようにピッチ変更を行っているが、ピッチ変更は、歌唱音声を送信する側のカラオケ演奏端末30で行ってもよい。
【0055】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置80は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体60のローカル送受信手段66との間で有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっている。また、カラオケリモコン装置80とルータ50との間で、直接、データの送受信を行うことができるようにしてもよい。このカラオケリモコン装置80は、楽曲検索手段80a、楽曲索引データベース80b、演奏キー設定手段80c、データ記憶部80d、入出力表示部80e、データの送受信を行うための電子回路及びプログラム(図示せず)を備えている。
【0056】
<楽曲検索手段/楽曲索引データベース>
楽曲検索手段80aは、利用者が入力した検索条件に基づいてカラオケ楽曲を検索するためのプログラムからなる。すなわち、楽曲検索手段80aは、利用者による検索条件(曲名、歌手名、音楽ジャンル区分、流行時期等)の入力に基づき、楽曲索引データベース80bを参照して楽曲を検索する。楽曲索引データベース80bは、カラオケ演奏端末30で演奏に供されるカラオケ楽曲について、その属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲ID・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・演奏形態・デュエット曲など、種々の属性情報がこれに含まれている。楽曲検索手段80aにより楽曲検索を行うとカラオケリモコン装置80の入出力表示部80eに、検索結果が一覧表示される。
【0057】
<データ記憶部>
データ記憶部80dは、選曲予約の履歴等を記憶するための領域で、図示しないが、選曲予約データ、選曲予約履歴データ等、各種のデータが記憶される。
【0058】
<入出力表示部>
入出力表示部80eは、例えば、タッチパネル式の液晶表示装置からなり、上述したように、楽曲検索手段80aにより検索を行う際の入力表示、検索結果の一覧表示、各種の案内表示等を行うと共に、表示されるアイコン等を操作することにより、入力指示を行うことができる。
【0059】
<演奏キー設定手段>
演奏キー設定手段80cは、カラオケ楽曲の演奏キーを設定するためのプログラムからなる。この演奏キー設定手段80cは、通常の楽曲予約においても機能する手段であり、本実施形態では、ネットワーク合唱を行うカラオケ楽曲の選曲予約を行う際に機能する。演奏キーの設定は、例えば、原曲キーに対して「+」「±0」「−」の数値として設定される。本実施形態では、演奏キー設定手段80cをカラオケリモコン装置80の構成要素としているが、演奏キー設定手段80cはカラオケ演奏端末30(カラオケ本体60)の構成要素としてもよい。
【0060】
<演奏キー情報の交換>
図2を参照して、本実施形態の演奏キーのマッチングシステム10における演奏キー情報の交換について説明する。なお、以下の説明では、演奏キーのマッチングにおいて、利用者間でネットワーク合唱の合意が成立しているものとする。また、ネットワーク合唱を行うカラオケ演奏端末30同士では、予めお互いの演奏端末情報(例えば、演奏端末ID)を認識しているものとする。ここで、ネットワーク合唱を行う各カラオケ演奏端末30において、予めお互いの演奏端末IDを認識していない場合には、管理サーバ20を介して、合唱相手が利用するカラオケ演奏端末30に対して、演奏キー情報と共に、自らのカラオケ演奏端末30の演奏端末IDを付加して送信すればよい。
【0061】
カラオケ演奏端末(1)とペアリングされているカラオケリモコン装置(1)において、ネットワーク合唱を行うカラオケ楽曲の選曲が行われ、演奏キーが設定されると、
図2に示すように、設定した演奏キー情報を、カラオケ演奏端末(1)に送信する(S1)。カラオケ演奏端末(1)では、受信した演奏キー情報を、カラオケ演奏端末(1)の演奏キーとして記憶する(S2)。
【0062】
また、カラオケ演奏端末(1)では、演奏キー情報送信手段71の機能により、設定した演奏キー情報をカラオケ演奏端末(2)に送信する(S3)。カラオケ演奏端末(2)では、カラオケ演奏端末(1)から演奏キー情報を受信すると(S4)、受信した演奏キー情報を、カラオケ演奏端末(1)の演奏キーとして記憶する(S5)。
【0063】
カラオケ演奏端末(2)とペアリングされているカラオケリモコン装置(2)において、ネットワーク合唱を行うカラオケ楽曲の選曲が行われ、演奏キーが設定されると、設定した演奏キー情報を、カラオケ演奏端末(2)に送信する(S6)。カラオケ演奏端末(2)では、受信した演奏キー情報を、カラオケ演奏端末(2)の演奏キーとして記憶する(S7)。
【0064】
また、カラオケ演奏端末(2)では、演奏キー情報送信手段71の機能により、設定した演奏キー情報をカラオケ演奏端末(1)に送信する(S8)。カラオケ演奏端末(1)では、カラオケ演奏端末(2)から演奏キー情報を受信すると(S9)、受信した演奏キー情報を、カラオケ演奏端末(2)の演奏キーとして記憶する(S10)。
【0065】
<歌唱音声のピッチ変更(1)>
歌唱音声のピッチ変更は、歌唱音声を受信したカラオケ端末30において行うことができる。すなわち、
図3に示すように、カラオケ演奏端末(1)で入力された歌唱音声について、カラオケ演奏端末(1)のピッチ変更手段72により、自ら設定した演奏キーと、他のカラオケ演奏端末(2)から受信した演奏キーとの差分に基づき、歌唱音声のピッチを変更し(S11)、ピッチ変更を行った歌唱音声をカラオケ演奏端末(2)に送信する(S12)。カラオケ演奏端末(2)では、ピッチ変更が行われた歌唱音声を受信すると(S13)、ネットワーク合唱の歌唱音声として出力する(S14)。
【0066】
図示しないが、同様に、カラオケ演奏端末(2)で入力された歌唱音声についても、カラオケ演奏端末(2)のピッチ変更手段72により、自ら設定した演奏キーと、他のカラオケ演奏端末(1)から受信した演奏キーとの差分に基づき、歌唱音声のピッチを変更し、ピッチ変更を行った歌唱音声をカラオケ演奏端末(1)に送信する。カラオケ演奏端末(1)では、ピッチ変更が行われた歌唱音声を受信して、ネットワーク合唱の歌唱音声として出力する。
【0067】
<歌唱音声のピッチ変更(2)>
また、歌唱音声のピッチ変更は、歌唱音声を送信するカラオケ演奏端末30において行ってもよい。すなわち、
図4に示すように、カラオケ演奏端末(1)で入力された歌唱音声に対してピッチ変更を行わずに、そのままカラオケ演奏端末(2)へ送信する(S21)。カラオケ演奏端末(2)は、カラオケ演奏端末(1)から歌唱音声を受信すると(S22)、ピッチ変更手段72により、自ら設定した演奏キーと、他のカラオケ演奏端末(1)から受信した演奏キーとの差分に基づき、歌唱音声のピッチを変更し(S23)、ピッチ変更が行われた歌唱音声をネットワーク合唱の歌唱音声として出力する(S24)。
【0068】
図示しないが、同様に、カラオケ演奏端末(2)で入力された歌唱音声に対してピッチ変更を行わずに、そのままカラオケ演奏端末(1)へ送信する。カラオケ演奏端末(1)は、カラオケ演奏端末(2)から歌唱音声を受信すると、ピッチ変更手段72により、自ら設定した演奏キーと、他のカラオケ演奏端末(2)から受信した演奏キーとの差分に基づき、歌唱音声のピッチを変更し、ピッチ変更が行われた歌唱音声をネットワーク合唱の歌唱音声として出力する。
【0069】
なお、カラオケリモコン装置とルータとの間で直接、データの送受信を可能とした場合には、
図3及び
図4において、カラオケリモコン装置(1)又はカラオケリモコン装置(2)から直接、カラオケ演奏端末(2)又はカラオケ演奏端末(1)に対して、演奏キー情報を送信するように構成してもよい。
【0070】
<他の実施形態>
本発明の演奏キーのマッチングシステム10及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。さらに、ネットワークを介して複数のカラオケ演奏端末30を接続するのではなく、一つの店舗内において、LAN接続された複数のカラオケ演奏端末30と、当該店舗内に設置された管理サーバ20とを利用して、演奏キーのマッチングシステム10を構成してもよい。