(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筒部の上部内壁は、前記口部に向かって先細りになっており、前記ロッドの先端部は前記上部内壁の形状に倣った形状になっている請求項1又は2に記載の気泡低減装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、温度変化等により溶液中に発生した気泡は、脱気装置では十分に取り除くことができない。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、液中の気泡を低減できる気泡低減装置、クロマトグラフィ装置、気泡低減方法、及び気泡低減プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る気泡低減装置は、吸着部に吸着した試料中の分析成分を溶離する液を収容する液収容部と、ロッドの押し上げ或いは引き下げ操作で、上方を向いた筒部の口部から液を吸引排出する送液装置と、前記筒部に空気層を形成する空気層形成手段と、前記送液装置と前記液収容部とを接続する第1流路と、前記第1流路へ第1切替弁を介して接続され、前記第1流路から前記空気層を排気する排気部と、を有する。
【0007】
本発明の第1態様に係る気泡低減装置では、吸着部に吸着した試料中の分析成分を溶離する液は、液収容部に収容されている。また、液収容部は、第1流路で送液装置と接続されており、ロッドを押し上げ或いは引き下げることで、上方を向いた筒部の口部から液を吸引排出できる。ここで、送液装置の筒部には、空気層形成手段により空気層が形成される。これにより、送液装置へ吸引された液中の気泡が空気層と接触して空気層に取り込まれ、液中の気泡を低減できる。
【0008】
また、第1流路には、第1切替弁を介して空気層を排気する排気部が接続されている。これにより、第1切替弁を排気部側へ切替え、溶離液中の気泡を取り込んだ筒部内の空気層をロッドの押し上げ操作で排気部から排気することができる。
【0009】
本発明の第2態様に係る気泡低減装置は、第1態様に係る気泡低減装置であって、前記空気層形成手段は、前記第1流路に設けられた大気開放弁であり、前記大気開放弁を開いた状態で前記ロッドの押し上げ或いは引き下げ操作で、前記第1流路を通じて前記空気層を前記筒部へ導入する。
【0010】
本発明の第2態様に係る気泡低減装置では、第1流路には、大気開放弁が設けられている。また、この大気開放弁を開いた状態でロッドの押し上げ或いは引き下げ操作により、第1流路を通じて空気層を筒部へ導入する。これにより、簡単な操作で筒部に空気層を形成できる。
【0011】
本発明の第3態様に係る気泡低減装置は、第1態様又は第2態様に係る気泡低減装置であって、前記筒部の上部内壁は、前記口部に向かって先細りになっており、前記ロッドの先端部は前記上部内壁の形状に倣った形状になっている。
【0012】
本発明の第3態様に係る気泡低減装置では、筒部の上部内壁は、口部に向かって先細りになっている。これにより、筒部内の空気層をスムーズに排出することができ、筒部内に空気層が残留するのを抑制できる。また、ロッドの先端部は、筒部の上部内壁の形状に倣った形状となっているので、筒部内の空気層及び液を全て排出できる。
【0013】
本発明の第4態様に係るクロマトグラフィ装置は、第1態様〜第3態様の何れか1つの態様に係る気泡低減装置と、前記第1流路へ第2切替弁を介して接続され、前記送液装置から排出された液を前記吸着部へ送液する第2流路と、前記吸着部を通過した液中の分析成分を分析する分析手段と、を有する。
【0014】
本発明の第4態様に係るクロマトグラフィ装置では、気泡低減装置により気泡が低減された溶離液は、第2切替弁を介して第1流路に接続された第2流路を通じて吸着部へ送液される。そして、吸着部を通過した液中の分析成分は、分析手段により分析される。これにより、液中の気泡が分析手段に影響を与えるのを抑制できる。
【0015】
本発明の第5態様に係る気泡低減方法は、液収容部から送液装置の筒部へ液を吸引させる液吸引工程と、前記筒部へ空気層を形成させて該液中の気泡を前記空気層に取り込む空気層形成工程と、前記筒部の空気層を前記排気部から排気する排気工程と、を有する。
【0016】
本発明の第5態様に係る気泡低減方法では、液吸引工程で液収容部から送液装置の筒部へ液を吸引し、空気層形成工程で筒部に空気層を形成して液中の気泡と筒部内の空気層とを接触させ、気泡を空気層に取り込む。次に、排気工程で、気泡が取り込まれた空気層を排気部から排気することで、液中の気泡を低減できる。
【0017】
本発明の第6態様に係る気泡低減方法は、第5態様に係る気泡低減方法であって、前記液吸引工程において、前記溶離液の移動速度より速い速度で前記ロッドを引き下げることを特徴とする。
【0018】
本発明の第6態様に係る気泡低減方法では、液吸引工程において、液の移動速度より速い速度でロッドを引き下げるので、減圧雰囲気で液の吸引が行われる。これにより、液中の溶存酸素が気化されて気泡となり、筒部内の空気層に取り込まれる。よって、脱気装置を設けることなく液中の溶存酸素を取り除くことができる。
【0019】
本発明の第7態様に係る気泡低減プログラムは、コンピュータに、送液装置で液収容部から第1流路を通じて筒部へ液を吸引させる液吸引手順、空気層形成手段で、液が吸引された前記筒部に空気層を形成させて該液中の気泡を前記空気層に取り込ませる空気層形成手順、及び第1切替弁を介して前記第1流路に接続された排気部から該気泡が取り込まれた前記空気層を排気させる排気手順、を実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上記の構成としたので、液中の気泡を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
<全体構成>
図を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る気泡低減装置80を備えたクロマトグラフィ装置1について説明する。本実施形態に係るクロマトグラフィ装置1は、分析成分を容離する液(溶離液)を用いて全血中のグリコヘモグロビン濃度を測定する高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を全自動で行う装置である。また、
図1に示すように、クロマトグラフィ装置1は、筐体としての装置本体2を備えている。装置本体2には、後述する気泡低減装置80、検体調製ユニット4、及び分析ユニット5等が収容されている。
【0023】
装置本体2の下部には、テーブル3が設けられている。テーブル3には、採血管11を保持しているラック10がセットされている。採血管11には、試料13が収容されている。ここで、試料は、例えば、血液等の検体である。なお、本実施形態では、1回の測定で1本の採血管11の分析を行う構成としているが、これに限らず、複数の採血管11を保持できるラックを用いて、連続して測定を行ってもよい。
【0024】
装置本体2の幅方向一端側(図中右側)の上部には、複数の凹部からなるホルダ部21が形成されている。ホルダ部21にはそれぞれ、溶離液Aが収容された液収容部としての溶離液パック12A、溶離液Bが収容された溶離液パック12B、及び溶離液Cが収容された溶離液パック12Cがセットされている。各溶離液パック12A、12B、12Cに収容された溶離液はそれぞれ、pHや塩濃度が異なっており、後述するカラム60の充填材に吸着した各々の分析成分を溶離させる。また、ホルダ部21には、溶離液パック12の他に、配管を洗浄する洗浄液が収容された洗浄液ボトル等をセットしてもよい。
【0025】
装置本体2の幅方向他端側(図中左側)の上部には、操作パネル30が設けられている。操作パネル30は、複数の操作ボタン32と、表示画面31とを含んで構成されており、操作ボタン32を操作することで、分析条件等の設定を行うことができる。表示画面31には、分析結果やエラー、又は操作状況等が表示される。
【0026】
図2に示すように、クロマトグラフィ装置1は、主として、検体調製ユニット4、分析ユニット5、及び気泡低減装置80を含む溶離液送液ユニット6で構成されている。検体調製ユニット4は、分析ユニット5へ送液する試料13を調製するユニットであり、検体(血液)13を吸引するノズル51、及び血液試料を調製する希釈液槽52を備えている。そして、適宜のタイミングで、検体調製ユニット4から、スイッチングバルブ61を介して、血液試料がカラム60へ送液される。
【0027】
分析ユニット5は、血液試料中のグリコヘモグロビンの濃度を測定するユニットであり、カラム60、及び分析手段としての測光部7を備えている。カラム60は、血液試料中の特定の成分(グリコヘモグロビン)を吸着する充填材(不図示)が充填された筒体であり、ガラス、ステンレス、又は樹脂で形成されている。本実施形態では一例として、ステンレス製のカラム60を用いている。測光部7は、カラム60を通過した溶離液に光を当てて、溶離液を透過した光の波長からヘモグロビンを光学的に検出して分析する部分であり、光源や受光部等で構成されている。
【0028】
溶離液送液ユニット6は、溶離液パック12A、12B、12Cから溶離液を吸引し、分析ユニット5のカラム60へ送液するユニットである。また、溶離液送液ユニット6は、溶離液パック12A、12B、12C、送液装置としてのプランジャポンプ63、スイッチングバルブ41、43及び配管で構成されている。
【0029】
プランジャポンプ63は、溶離液パック12Aから溶離液Aを吸引し、一定の速度で送液する。また、溶離液パック12B、12Cには、スイッチングバルブ41、43が接続されており、さらに、それぞれのスイッチングバルブ41、43には、ポンプ48が接続されている。ここで、
図2の状態でポンプ48を作動させると、ループ管42、44へそれぞれ溶離液B、Cが送液される。また、適宜スイッチングバルブ41、43を切替えることで、プランジャポンプ63から送液された溶離液Aにより溶離液Bおよび溶離液Cがカラム60へ送液される。
【0030】
ここで、
図11に示すように、クロマトグラフィ装置1は、制御部100を備えている。制御部100は、装置全体を制御するCPU、プログラム等を記憶したROM、測定結果を一次的に格納するRAM、及び入出力ポートを含んで構成されたコンピュータであり、操作ボタン32やキーボード(不図示)から入力された命令に基づいてプログラムを実行する。また、制御部100は、検体調製ユニット4、分析ユニット5、気泡低減装置80を含む溶離液送液ユニット6、及び表示画面31と電気的に接続されており、実行されたプログラムに基づいて各ユニットへ命令を行い自動分析を実施する。
【0031】
なお、本実施形態に係るクロマトグラフィ装置1は、筐体としての装置本体2の内部に、検体調製ユニット4、分析ユニット5、及び気泡低減装置80を含む溶離液送液ユニット6が設けられているが、これに限らず、それぞれ別体のユニットで構成してもよい。この場合、各ユニットを連結することで、一つのシステムとして機能させることができる。
【0032】
<気泡低減装置の構成>
次に、本実施形態に係る気泡低減装置80の構成について説明する。
図4に示すように、気泡低減装置80は、プランジャポンプ63、溶離液パック12A、プランジャポンプ63と溶離液パック12Aとを接続する第1流路14、第1流路14に設けられた空気層形成手段としての大気開放弁72、及び第1流路14へ第1切替弁74を介して接続された排気部としての排気管76とを含んで構成されている。
【0033】
プランジャポンプ63は、筒部としてのシリンジ65を備えている。シリンジ65は、上下端部が開口したステンレス製の筒体であり、シリンジ65の下端側の開口65Aから上部まで同一の径で内壁が形成されている。また、シリンジ65の上部内壁65Cは、上方を向いた口部65Bに向かって先細りとなりテーパ面を形成しており、口部65Bは、配管14Dに接続されている。なお、ここでいう上方とは、垂直上向きに限らない。例えば、シリンジ65を傾けて配置し、斜め上方に口部65Bが形成された態様も含む。また、シリンジ65は、ステンレス以外の金属で形成してもよく、樹脂で形成してもよい。
【0034】
シリンジ65の内側には、上下方向に移動可能なロッドとしてのプランジャ66が設けられている。プランジャ66の外径は、シリンジ65の内径とほぼ同じ径で形成されており、シリンジ65の内周面に沿って摺動する。また、プランジャ66の上端部は、シリンジ65の上部内壁65Cに倣った円錐形状となっており、プランジャ66を上端側まで押し上げた際にシリンジ65とプランジャ66とが隙間無く密着するように設計されている。さらに、プランジャ66には、Oリング(不図示)が取り付けられており、シリンジ65の内部の流体が開口65Aから漏れないようになっている。
【0035】
プランジャ66の下端部には、環状溝66Aが形成されており、環状溝66Aには、プランジャ保持部材68の上面に形成された取付孔68Aの口縁が係合している。また、プランジャ保持部材68の下面には、ボールネジ70が螺合されており、ボールネジ70はモータ78の回転軸に連結されている。
【0036】
ここで、
図3に示すように、モータ78は制御部100と電気的に接続されており、制御部100がモータ78を駆動させると、
図4に示すように、ボールネジ70が回転して、プランジャ保持部材68が上下方向に移動し、プランジャ66を移動させ、シリンジ65内の空間を増減させる。なお、本実施形態ではモータ78の一例として、ステッピングモータを用いているが、これに限らず、サーボモータ等を用いてもよい。
【0037】
溶離液パック12Aとプランジャポンプ63とを接続する第1流路14は、配管14A、14B、14C、14Dで構成されており、配管14Aと配管14Bの間には、大気開放弁72が設けられている。また、大気開放弁72には、大気に開放された通気管16が接続されている。
【0038】
ここで、本実施形態では、大気開放弁72として、ソレノイドで駆動する電磁弁(三方弁)を用いており、配管で構成される流路を切替えることができる。また、配管14Bと配管14Cの間には、大気開放弁72と同じ構成の電磁弁からなる第1切替弁74が設けられており、第1切替弁74には、排気管76が接続されている。排気管76は、廃液槽17へ延びている(
図2参照)。
【0039】
配管14Cと配管14Dとは、第2切替弁45で連結されており、配管14Dは、シリンジ65の口部65Bへ接続されている。また、第2切替弁45には、カラム60へ延びる第2流路を構成する配管64が接続されている。
【0040】
ここで、大気開放弁72、第1切替弁74、及び第2切替弁45は、制御部100と電気的に接続されており、制御部100からの命令により駆動する(
図3参照)。
【0041】
<自動分析手順>
次に、本実施形態のクロマトグラフィ装置1による自動分析の手順を
図11のブロック図及び
図12のフローチャートに基づいて説明する。以下の自動分析は、血液等の検体中に含まれる分析成分を分析するクロマトグラフィである。初めに、ユーザが操作パネル30を操作して、あるいは装置の外部のキーボードから制御部100へクロマトグラフィ装置1のスタートを命令すると、制御部100が自動分析プログラムを実行する。そして、初めのステップ202では、制御部100が気泡低減装置80を制御して脱気処理を行う。本実施形態では測定を行う前に脱気処理を行うことで、溶離液中の溶存酸素が除去され、測光部7でノイズが発生するのを抑制できる。脱気処理の詳細については後述する。
【0042】
次に、ステップ204では、制御部100が溶離液送液ユニット6を制御してカラム60の平衡化を行う(
図2参照)。ここでは、カラム60の充填材が馴染むまで溶離液Aをカラム60へ流すことで平衡化を行う。具体的には、溶離液送液ユニット6のプランジャポンプ63で吸引した脱気処理後の溶離液Aを押し出してカラム60へ送液する。なお、溶離液Aを流す時間は、カラム60の種類に応じて予め設定されている。
【0043】
カラム60の平衡化が終了すると、ステップ204に進む。ステップ204では、制御部100が検体調製ユニット4を制御して検体の調製を行う。具体的には、
図2に示すように、検体調製ユニット4のノズル51が採血管11から試料13を吸引して、希釈液槽52へ滴下する。試料13は、希釈液槽52内で調製液タンク53の調製液に溶血、希釈され、ポンプ48によりスイッチングバルブ61のループ管62へ送液される。
【0044】
次に、ステップ208では、制御部100が分析ユニット5を制御して測定を行う。ここでは、測光部7が制御部100の命令により分析を開始する。また、溶離液Aをカラム60へ一定時間送液した後、スイッチングバルブ61を操作して溶離液Aの流路を切替え、溶離液Aでループ管62内の試料13を押し出してカラム60へ送液する。
【0045】
試料中の分析成分は、カラム60の充填材に吸着され、残りは測光部7を通過して廃液槽17へ廃液される。その後、溶離液Aがカラム60の充填材に吸着された分析成分の一部を溶離させ、測光部7へ送液される。ここで、測光部7は、溶離液A中の分析成分を検出し、データが制御部100へ送信される。
【0046】
溶離液Aによる分析成分の溶離が終了したら、スイッチングバルブ43を切替えて、溶離液Aの流路を変更させる。これにより、ポンプ48でループ管44に送液された溶離液Cは、溶離液Aに押し出されカラム60へ送液される。溶離液Cは、溶離液Aで溶離されなかった分析成分を溶離させ、測光部7を通過する。
【0047】
溶離液Cによる分析成分の溶離が終了したら、スイッチングバルブ41を切替えて、溶離液Aの流路を変更させる。これにより、ポンプ48でループ管42に送液された溶離液Bは、溶離液Aに押し出されカラム60へ送液される。溶離液Bは、溶離液A、Cで溶離されなかった分析成分を溶離させ、測光部7を通過する。
【0048】
以上のようにして、血液試料中の分析成分を分離して定性、定量分析を行う。なお、本実施形態では、クロマトグラフィ装置1をスタートさせると、自動分析を行う構成であったが、これに限らず、手動で分析を行ってもよい。この場合、任意のタイミングでユーザが命令を出してバルブの切替え等の操作を行う。
【0049】
測定が終了すると、ステップ210へ進む。ステップ210では、制御部100が溶離液送液ユニット6を制御してカラム60の洗浄を行う。具体的には、カラム60へ溶離液Aを送液してカラム60の充填材に吸着された分析成分を洗い流して平衡化する。
【0050】
最後に、ステップ210では、測定部7から制御部100へ送信された分析データがまとめられ、分析結果として出力される。分析結果は、表示画面31や別のモニタへ表示される。なお、連続して検体の分析を行う場合は、ステップ202の脱気処理から同様の手順で分析が行われる。
【0051】
<脱気及び送液の手順>
次に、気泡低減装置80による溶離液Aの気泡低減方法、及び送液手順について、
図9のフローチャートに基づいて説明する。なお、
図4〜8において、説明の便宜上、開いている電磁弁を白抜きで表示し、閉じている電磁弁を黒で塗りつぶして表示している。初めに、
図9のステップ102では、制御部100が大気開放弁72を閉弁させて配管14Aと配管14Bとを連通させる(
図4参照)。
【0052】
次に、ステップ104では、
図4に示すように、制御部100がプランジャポンプ63のモータ78を駆動させ、プランジャ66を引き下げてシリンジ65内に溶離液Aを吸引させる(液吸引工程、液吸引手順)。このとき、制御部100は、モータ78の駆動速度を制御して、プランジャ66を溶離液Aの移動速度より早く引き下げる。これにより、プランジャポンプ63内の体積が増加し、ボイルの法則により、体積の増加分だけ圧力が下がり、減圧雰囲気となる。このため、溶離液A中の溶存酸素が気化して気泡となる。
【0053】
次に、
図9のステップ106では、制御部100が大気開放弁72を開弁させ、
図5に示すように、通気管16と配管14Bとを連通させる。そして、ステップ108で、通気管16、配管14B、配管14C、配管14Dを通じて空気を吸引し、シリンジ65内に空気層Oを形成する(空気層形成工程、空気層形成手順)。ここで、配管14B、14C、14Dが溶離液Aで満たされている場合は、空気と共に一部の溶離液Aも吸引されるが、空気層Oを形成する上で問題ない。
【0054】
なお、シリンジ65内に形成する空気層Oの量は特に制限せず、液中の気泡が空気層Oに適切に取り込まれる量であればよい。また、本実施形態では、プランジャ66を引き下げて空気を吸引するが、プランジャ66の押し上げ操作により空気を吸引する構成でもよい。
【0055】
以上のようにして、溶存酸素が気化した気泡、及び溶離液A中に初めから存在していた気泡は、シリンジ65内に形成された空気層Oに取り込まれる。一定の量の溶離液Aを吸引した後、プランジャ66の引き下げ動作を止めると、溶離液Aの吸引が止まり、気泡がシリンジ65の上部に集められ、空気層Oと一体となる。次に、ステップ110では、
図6に示すように、制御部100が第1切替弁74を操作して配管14Cと排気管76とを連通させる。
【0056】
ステップ112では、
図7に示すように、制御部100がプランジャポンプ63のモータ78を駆動させ、プランジャ66を押し上げて、シリンジ65内の空気層Oを配管14D、配管14C、排気管76を通じて廃液槽へ排気する(排気工程、排気手順)。このとき、プランジャ66を押し上げる速度が速ければ、空気層Oが加圧され、溶離液A中に気泡が取り込まれる虞があるので、プランジャ66を引き下げる速度より、遅い速度で押し上げるのが好ましい。
【0057】
また、空気層Oを排気する際、シリンジ65の上部内壁65Cの形状が口部65Bに向かって先細りの形状となっているので、空気層Oが分断されたり、シリンジ65内に留まることなくスムーズに排気される。空気層Oを排気した後、更にプランジャ66を押し上げ、プランジャポンプ63内の一部の溶離液Aを排出し、プランジャポンプ63内の空気層Oを確実に排気する。なお、本実施形態では、制御部100がプランジャ66を所定位置まで押し上げているが、シリンジ65内の空気層Oが全て排気されたのをセンサ等で検知してプランジャ66を停止させる方法でもよい。
【0058】
以上により、溶離液Aの脱気が完了する。次に、
図9のステップ114では、制御部100が第2切替弁45を操作して、
図8に示すように、配管14Dと配管64とを連通させ、第2流路を開放させる。その後、ステップ116でプランジャポンプ63のモータ78を駆動させ、プランジャ66を押し上げて、シリンジ65内の溶離液Aをカラム60へ送液する。
【0059】
なお、本実施形態に係るクロマトグラフィ装置1では、
図2に示すように、溶離液パック12Aに収容された溶離液Aのみ脱気する構成としたが、これに限らず、適宜、スイッチングバルブを切り替えて、溶離液パック12B、12Cもプランジャポンプ63により同様に脱気してもよいし、また、溶離液パック12B、12Cにもそれぞれプランジャポンプ63と同様のポンプを接続して、全ての溶離液の脱気を行ってもよい。
【0060】
また、本実施形態では、先にシリンジ65内に溶離液Aを吸引し、この後に大気開放弁72を開弁してシリンジ65内に空気層Oを形成したが、これに限らず、先にシリンジ65内に空気層Oを形成し、その後に溶離液Aを吸引してもよい。ただし、先に空気層Oを形成した場合、シリンジ65内の空気層Oが膨張して十分な量の溶離液Aを吸引できない場合がある。また、溶離液Aの吸引時にプランジャポンプ63内の圧力を下げにくくなるので、先に溶離液Aを吸引するのが好ましい。さらに、後で空気層Oを形成すれば、溶離液Aの吸引時にプランジャ66の先端部周辺に付着した細かい気泡を空気層Oに取り込んで除去できる。
【0061】
一方、時間の制約が無い場合は、シリンジ65内に予め空気層Oを形成しておけば、溶離液Aを吸引する際に、気化した溶存酸素が空気層Oと接触して一体となりやすくなるので、排気しやすい。
【0062】
以上のように、本実施形態に係るクロマトグラフィ装置1では、気泡低減装置80を備えているので、溶離液A中の気泡を低減させ、送液できる。また、プランジャ66の引き下げ速度を調整して、減圧雰囲気下で溶離液Aを吸引することで、溶離液A中の溶存酸素を気化して空気層で取り込み易くできる。
【0063】
さらに、一般的な脱気装置では、減圧雰囲気下のスパイラル管に溶離液を流して、溶離液中の溶存酸素をスパイラル管に形成された微小な孔から透過させるため、溶離液中の気泡を十分に除去できないが、本実施形態に係る気泡低減装置80では、シリンジ65内に形成した空気層Oと気泡とを接触させて上部に集めることで、溶離液中の気泡を低減できる。特に、気温が低い場所で溶離液を保管すると、溶離液中の溶存酸素量が常温の時より多くなり、気温の高い場所に溶離液を移動させただけで、温度差により溶離液中の溶存酸素が気化して気泡となるので、一般的な脱気装置を備えたクロマトグラフィ装置では、正確な分析を行うのが困難となる。これに対して、本実施形態に係るクロマトグラフィ装置1は、溶離液中の気泡を低減できるので、気泡が分析結果に与える影響を低減できる。
【0064】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る気泡低減装置150について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。本実施形態に係る気泡低減装置150は、
図10に示すように、配管14Dにバルブ152が設けられている。バルブ152は、第1切替弁74等の電磁弁とは異なり、配管14Dを開閉するだけのものである。また、その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0065】
次に、本実施形態に係るプランジャポンプ63で溶離液Aを脱気及び送液する手順について説明する。第1実施形態と同様に、
図9のステップ102から108に示す手順でシリンジ65内に空気層Oを形成し、溶離液Aを吸引する。これにより、溶離液A中の溶存酸素、及び気泡が空気層Oと接触して上部に集められる。次に、ステップ110で排気管76を開放する前に、
図10に示すように、バルブ152を操作して、配管14Dを閉塞する。
【0066】
配管14Dを閉塞した後、制御部100がモータ78を駆動させ、プランジャ66を引き下げる。これにより、シリンジ65内の体積が増加し、ボイルの法則により更に減圧される。このため、溶離液A中に残留している溶存酸素が気化して、空気層Oに取り込まれる。その後、配管14D、排気管76を開放して空気層Oを排気する。
【0067】
以上のように、本実施形態では、溶離液Aの吸引動作とは別に、シリンジ65内を減圧させることで、溶存酸素の脱気効率を高めることができる。
【0068】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るクロマトグラフィ装置160ついて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。本実施形態に係るクロマトグラフィ装置160は、
図13に示すように、恒温槽162を備えている。
【0069】
恒温槽162には、主として、クロマトグラフィ装置160を構成するプランジャポンプ63、大気開放弁72、第1切替弁74、第2切替弁45、モータ78、スイッチングバルブ41、スイッチングバルブ43、スイッチングバルブ61、カラム60、及び測光部7が格納されており、恒温槽162の内部の温度が一定の温度に維持されている。なお、本実施形態では、溶離液パック12A、12B、12C、検体調製ユニット4、及び廃液槽17が恒温槽162の外側に配置されているが、上記の一部又は全てを恒温槽162に格納してもよい。
【0070】
本実施形態に係るクロマトグラフィ装置160では、恒温槽162の温度を分析に最適な温度に維持することで、脱気効果を向上できる。例えば、クロマトグラフィ装置160が設置された室内の温度が低い場合、溶離液中に多くの溶存酸素が存在している。ここで、溶離液を恒温槽162の内部に導入して、脱気処理の前に溶離液を分析温度まで温めることで、事前に溶離液中に気泡を発生させることができ、脱気効果を向上できるだけでなく、分析ユニット5との温度差に起因する気泡発生を回避できる。
【0071】
なお、溶離液パック12Aとプランジャプンプ63との間の流路をループ形状に形成し、溶離液Aがループ形状の流路を流れている間に溶離液Aを十分に温め、その後、プランジャポンプ63へ送液する構成でもよい。恒温槽162の内部の温度は、分析成分やカラム60の種類に応じて自由に設定できる。
【0072】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係るクロマトグラフィ装置170について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。本実施形態に係るクロマトグラフィ装置170は、
図14に示すように、溶離液パック12Aと、大気開放弁72との間の配管14Aに加熱コイル172が配設されている。
【0073】
加熱コイル172は、配管14Aを取り巻いてコイル状に形成されており、図示しない電源に接続されている。ここで、電源から加熱コイル172へ電力が供給されると、誘導加熱の原理によって、配管14Aの内部を流れる溶離液Aが加熱される。
【0074】
上記のように加熱コイル172を用いることで、短時間で溶離液Aを加熱することができる。このため、液吸引工程の中で分析温度まで昇温でき、温調用の流路等を別途設ける必要がない。また、溶離液Aが加熱されることで、溶離液Aに溶存していた酸素が気泡となり、プランジャポンプ63で効率良く気泡を除去できる。
【0075】
なお、本実施形態では加熱コイル172を用いて溶離液Aを加熱したが、これに限らず、他の加熱手段を用いてもよい。例えば、加熱されたヒータープレートを配管14Aに押し付けて加熱してもよい。
【0076】
以上、本発明の第1実施形態及〜第4実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、
図4において、大気開放弁72を配管14Dに設けて、空気の導入経路を短くしてもよい。
【0077】
また、大気開放弁72を設けずに、他の方法でシリンジ65内に空気層Oを形成してもよい。例えば、シリンジ65に通路を形成して大気と連通させてもよい。また、シリンジ65内の溶離液Aを加熱して多量の溶存酸素を気化させて空気層Oを形成してもよい。