(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208448
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】建物の自然換気システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/10 20060101AFI20170925BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20170925BHJP
F24F 7/04 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
F24F7/10 Z
E04B1/70 B
F24F7/04 B
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-72160(P2013-72160)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-196858(P2014-196858A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2016年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 寿幸
(72)【発明者】
【氏名】竹内 淳二
(72)【発明者】
【氏名】護摩堂 淳
(72)【発明者】
【氏名】加藤 昭
(72)【発明者】
【氏名】篠ヶ瀬 恵市
(72)【発明者】
【氏名】永井 裕之
(72)【発明者】
【氏名】磯部 滝夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寿
(72)【発明者】
【氏名】村江 行忠
(72)【発明者】
【氏名】栗木 茂
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優
(72)【発明者】
【氏名】崎村 雄一
(72)【発明者】
【氏名】松岡 明彦
(72)【発明者】
【氏名】森田 慧
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−523695(JP,A)
【文献】
特開2002−194826(JP,A)
【文献】
特開2005−009840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/10
E04B 1/70
F24F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の窓側の外壁に、
外部から室内へ外気を取り入れるため天井裏から吹出口を介して室内へ給気する給気用装置と、前記室内と室内側排気口を介して接続され当該室内の空気を排気するために前記外壁に水平方向で間隔を置いて上下方向に並置される排気用装置と、
前記排気用装置に水平方向で隣接し上下方向に並置されるソーラーチムニーとが設けられてなり、
前記ソーラーチムニーは、その上部に前記室内の空気を外部に排気する排気口が設けられるとともに、その下部において前記排気用装置の室内側排気口よりも上位置で接続用開口部を介して前記排気用装置の上部に接続されていること、
を特徴とする建物の自然換気システム。
【請求項2】
室内側排気口若しくは接続用開口部には、開閉自在なダンパーが設けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の自然換気システム。
【請求項3】
ソーラーチムニーは、建物の複数階分の高さであって、その最下階部分には換気スリットが設けられるとともに排気用装置と接続される接続用開口部が設けられ、その最上階部分には排気口が設けられた1ユニットに形成されてなること、
を特徴とする請求項1または2に記載の建物の自然換気システム。
【請求項4】
建物の窓側の外壁に、
外部から室内へ外気を取り入れる給気用装置と、
前記室内と室内側排気口を介して接続されるとともに、前記室内側排気口よりも上位置に前記室内の空気を外部に排気する排気口を有してなり、前記外壁に間隔を置いて上下方向に並置されるソーラーチムニーとが設けられてなること、
を特徴とする建物の自然換気システム。
【請求項5】
建物の窓側の外壁は、
ガラスの二枚組によって中間領域を形成するダブルスキン構造であって、
前記窓側の外壁に、前記中間領域において外部から室内へ外気を取り入れる給気用装置と、
前記室内と前記ダブルスキン構造の中間領域を介して接続されるとともに前記室内と前記中間領域とを接続する室内側排気口の位置よりも高い位置に排気口を有してなるソーラーチムニーとが設けられてなること、
を特徴とする建物の自然換気システム。
【請求項6】
ソーラーチムニーと中間領域とは、共に上下方向に複数階にわたって連通して形成されてなり、前記中間領域の最下階部分に換気スリットが設けられるとともに、前記ソーラーチムニーの最下階部分と前記中間領域の最上階部分とが連通孔で接続されていること、
を特徴とする請求項5に記載の自然換気システム。
【請求項7】
室内と中間領域とを接続する室内側排気口には、開閉自在なダンパーが設けられていること、
を特徴とする請求項5または6に記載の自然換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中高層ビルディング等の建物における自然換気システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、事務所等として多く使用される中高層ビルディング等の建物における室内の換気は、建物の省エネルギー化として春秋の中間期に、自然換気を行うことが提案されている。吹抜けを有するビルで、各室に室外空気を給気する機構を持たせて、吹抜けを排気経路とし、ビルの内圧を一定に保持することができる換気設備を組み込んだものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−139118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来の建物の温度差を利用する自然換気システムにおいては、アトリウムやソーラーチムニーの頂部、エコボイドの開口などから排気するのが一般的である。しかしながら、アトリウムや吹抜け、エコボイド、屋上設置のソーラーチムニーを設けることができない建物、若しくは、窓を開放すると外部騒音の問題が生じる建物などでは自然換気の導入が困難となる。更に、前記アトリウムや吹抜け、エコボイドを設けることは、建物の平面計画に制約を与えることになる。本発明に係る建物の自然換気システムは、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る建物の自然換気システムの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、建物の窓側の外壁に、外部から室内へ外気を取り入れる
ため天井裏から吹出口を介して室内へ給気する給気用装置と、前記室内と室内側排気口を介して接続され当該室内の空気を排気するために前記外壁に
水平方向で間隔を置いて上下方向に並置される排気用装置と、前記排気用装置に
水平方向で隣接し上下方向に並置されるソーラーチムニーとが設けられてなり、前記ソーラーチムニーは、その上部に前記室内の空気を外部に排気する排気口が設けられるとともに、
その下部において前記排気用装置の室内側排気口よりも上位置で接続用開口部を介して前記排気用装置
の上部に接続されていることである。
【0006】
前記室内側排気口若しくは接続用開口部には、開閉自在なダンパーが
設けられていることである。
また、前記ソーラーチムニーは、建物の複数階分の高さであって、その最下階部分には換気スリットが設けられるとともに排気用装置と接続される接続用開口部が設けられ、その最上階部分には排気口が設けられた1ユニットに形成されてなることである。
【0007】
本発明に係る建物の自然換気システムの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、建物の窓側の外壁に、外部から室内へ外気を取り入れる給気用装置と、前記室内と室内側排気口を介して接続されるとともに、前記室内側排気口よりも上位置に前記室内の空気を外部に排気する排気口を有してなり、前記外壁に間隔を置いて上下方向に並置されるソーラーチムニーとが設けられてなることである。
【0009】
本発明に係る建物の自然換気システムの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、建物の窓側の外壁は、ガラスの二枚組によって中間領域を形成するダブルスキン構造であって、前記窓側の外壁に、前記中間領域において外部から室内へ外気を取り入れる給気用装置と、前記室内と前記ダブルスキン構造の中間領域を介して接続されるとともに前記室内と前記中間領域とを接続する室内側排気口の位置よりも高い位置に排気口を有してなるソーラーチムニーとが設けられてなることである。
【0010】
前記ソーラーチムニーと中間領域とは、共に上下方向に複数階にわたって連通して形成されてなり、前記中間領域の最下階部分に換気スリットが設けられるとともに、前記ソーラーチムニーの最下階部分と前記中間領域の最上階部分とが連通孔で接続されていることである。
【0011】
前記室内と中間領域とを接続する室内側排気口には、開閉自在なダンパーが設けられていることを含むものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る建物の自然換気システムによれば、アトリウムやエコボイドを設けられない中高層の建物、若しくは、屋上に設けるソーラーチムニーによる排気が期待できない中高層の建物でも、本発明により温度差による自然換気が行えるようになる。また、換気システムにおいて、上下のユニットとの組み合わせを考慮した上で、ソーラーチムニーの設置位置をその居室よりも上部に設け、外気流入口と排気口の高さの差を十分に確保することで、換気量の増加が見込めるものである。更に、排気経路にダブルスキンやソーラーチムニーを採用することで、日射受熱量に応じて換気量の増加が見込めると言う優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る建物の自然換気システム1の実施例であり、窓側の外壁2aに自然換気システム1を適用した一部正面図(A),同一部平面図(B)である。
【
図2-A】同建物の自然換気システム1の実施例を示すもので、
図1(A)中の符号断面01で示す位置の断面図(A)、同符号断面02で示す位置の断面図(B)、同符号断面03で示す位置の断面図(C)である。
【
図2-B】同
図1(A)中の符号断面04で示す位置の縦断面図である。
【
図2-C】
図2−Bの外気導入ダクト4bが天井裏で開放され、天井裏を介して天井に設けた吹出口から室内へ吹出されることを示す縦断面図である。
【
図2-D】
図2−Bの外気導入ダクト4bが天井裏に設けた吹出口と連結され、天井裏を介して天井に設けた吹出口から室内へ吹出されることを示す縦断面図である。
【
図3】本発明に係る建物の自然換気システム1の他の実施例であり、窓側の外壁2aに自然換気システム1を適用した一部正面図(A),同一部平面図(B)である。
【
図4】同
図3(A)中の符号断面01で示す位置の断面図(A)、同符号断面02で示す位置の断面図(B)、同符号断面03で示す位置の断面図(C)である。
【
図5】本発明に係る建物の自然換気システム1の更に他の実施例であり、窓側の外壁2aに自然換気システム1を適用した一部正面図(A),同一部平面図(B)である。
【
図6】同
図5(A)中の符号断面01で示す位置の断面図(A)である。
【
図7】同本発明に係る建物の自然換気システム1を、窓側の外壁2aがダブルスキン構造である場合に適用した状態の一部正面図(A)、一部平面図(B)である。
【
図8-A】同
図7(A)中の符号断面01で示す位置の断面図(A)、同符号断面02で示す位置の断面図(B)である。
【
図8-B】同
図7(A)中の断面03で示す位置の縦断面図である。
【
図8-C】
図8−Bのダブルスキン構造において、外気導入ダクト4bが天井裏で開放され、天井裏を介して天井に設けた吹出口から室内へ吹出されることを示す縦断面図である。
【
図8-D】
図8−Bのダブルスキン構造において、外気導入ダクト4bが天井裏に設けた吹出口と連結され、天井裏を介して天井に設けた吹出口から室内へ吹出されることを示す縦断面図である。
【
図9】同本発明に係る建物の自然換気システム1において、自然換気時またはハイブリット換気時のダンパーの開閉状態を示す建物2の縦断面図である。
【
図10】同本発明に係る建物の自然換気システム1において、冷房時または暖房時のダンパーの開閉状態を示す建物2の縦断面図である。
【
図11】同本発明に係る建物の自然換気システム1を、窓側の外壁2aがダブルスキン構造の建物2に適用した状態で、システムユニットの内部を透視して示す外観斜視図である。
【
図12】同本発明に係る建物の自然換気システム1を、窓側の外壁2aがダブルスキン構造の建物2に適用した状態における排気経路を示す一部正面図である。
【
図13】同本発明に係る建物の自然換気システム1を、窓側の外壁2aがダブルスキン構造の建物2に適用した場合における、そのダブルスキンの内側の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る建物2の自然換気システム1は、
図1に示すように、窓側の外壁2aに,室内3への外気の給気構造と、ソーラーチムニーによる室内空気の排気構造とを設けるようにしたものである。
【実施例1】
【0015】
前記自然換気システム1は、
図1乃至
図2−Bに示すように、中高層ビルディングである建物2の窓側の外壁2aに、外部から室内3へ外気を取り入れる筒状の給気用装置4がある。
【0016】
前記給気用装置4は、
図2−Bに示すように、建物2の各室内3に給気する外気導入ダクト4bと、前記外壁2a側の外気導入チャンバー4aと、該外気導入チャンバー4aに穿設された給気用開口部4cとでなる。前記外気導入ダクト4bは、天井裏で開放される場合(
図2−C)と、吹出口と連結する場合(
図2−D)がある。
【0017】
そして、
図2−A(A),(B)と
図2−Bとに示すように、前記室内3と室内側排気口5を介して接続されるとともに、隣接するソーラーチムニー6に前記室内側排気口5よりも上位置にある接続用開口部7を介して接続され、前記窓側の外壁2aに、水平方向で間隔を置いて、上下方向に並設される筒状のダクトである排気用装置8がある。
【0018】
このように、建物2の窓側の外壁2aに、前記給気用装置4と、ソーラーチムニー6および排気用装置8の排気構造とを設けたものである。
【0019】
前記室内側排気口5、若しくは、接続用開口部7には、開閉自在な電動ダンパー9が適宜に設けられる。春・秋の自然換気に適した時期において開口させ、冷暖房時には閉口させるために設けられるものである。この第1実施例では、
図2−A(A)に示すように、前記接続用開口部7に電動ダンパー9が設けられている。当該電動ダンパー9は、室内3に設置されるスイッチ(図示せず)により開閉がON/OFFされるものである。また、
図2−A(B)に示すように、前記室内側排気口5には、ガラリが設けられている。
【0020】
前記ソーラーチムニー6は、建物2の複数階分の高さ、例えば3階分の高さであって、その最下階部分には自動開閉可能な換気スリット10が設けられるとともに接続用開口部7が設けられ、その最上階部分には可動ガラリ等を有する排気口11が設けられた1ユニットに形成されてなる。
【0021】
このソーラーチムニー6によって、このソーラーチムニー内部の空気が暖められて上昇気流となって排気量が増大する。なお、ソーラーチムニー6の高さをあまり高くすると、かえって上階の排気能力を低下させる等して不都合となるので、3階分程度の高さにするのが適当である。
【0022】
前記排気用装置8は、建物2の上下方向に間隔を置いて並設される、筒状のチムニー若しくはソーラーチムニーである。この排気用装置8も、その高さを3階分程度にするものである。
図1と
図2−A(A)とに示すように、排気用装置8と前記ソーラーチムニー6とは、排気用装置8の最上部位置(ソーラーチムニー6の最下階位置)において、接続開口部7によって接続されており、排気経路が排気用装置8からソーラーチムニー6へと連通されている。
【0023】
このような自然換気システム1の実施例1により、春・秋の中間期において、
図2−Bに示すように、外部の外気が前記給気用開口部4cから室内3に入り、そして、
図1および
図2−A(B)に示すように、N階〜N+2階の3階分の室内3の空気が、排気用装置8に排気されて上昇する。
【0024】
そして、
図1および
図2−A(A)に示すように、前記接続用開口部7における電動ダンパー9は操作により開状態にされているので、前記空気がN+2階上部の接続用開口部7からソーラーチムニー6に流入する。更に、前記空気がこのソーラーチムニー6内部を上昇して、N+4階上部の排気口11が開状態にされているので、この排気口11から前記外部へと自然に排気される。
【0025】
なお、ソーラーチムニー6の最下部における換気スリット10は、自然換気時には、閉状態にされている。なお、この換気スリット10は、自然換気以外の例えば冷房時には開状態にされ、暖房時には閉状態にされる。このように、春・秋の中間期において、自然換気システム1により、ゼロエネルギーで自然換気されるものである。
【実施例2】
【0026】
自然換気システム1の第2実施例は、
図3乃至
図4に示すように、一つの排気用装置8と一つのソーラーチムニー6とを接続して、排気装置として一ユニット(
図3中の太枠毎に排気経路が独立)にしたものである。前記第1実施例では、一つのソーラーチムニー6の両側に排気用装置8,8を隣接させて接続して、一つのユニット(
図1中の太枠毎に排気経路が独立)にしているので、排気装置全体として横幅が広くなっていたが、この第2実施例では、排気用装置8とソーラーチムニー6とが一つずつで、一つのユニットなので幅が狭くなり、排気装置全体としてコンパクトになる。排気用装置8は、チムニーでも良いしソーラーチムニーでも良い。なお、各装置等の構成・機能・作用などは、第1実施例で説明したのと同じであり、重複した説明を省略する。
【実施例3】
【0027】
自然換気システム1の第3実施例は、
図5(A),(B)乃至
図6に示すように、建物2の窓側の外壁2aに、外部から室内3へ外気を取り入れる筒状の給気用装置4と、前記室内3と室内側排気口5を介して接続されるとともに前記室内側排気口5よりも上位置に設けられる排気口11を有してなり、前記外壁2aに間隔を置いて上下方向に並置されるソーラーチムニー6とを設けたものである。
【0028】
この第3実施例では、排気用装置8とソーラーチムニー6とを、上下方向に一体にしたものであり、全体で一つの縦ダクトのようになっている。なお、排気用装置8の部分はチムニーでも良いし、ソーラーチムニーにしても良い。また、前述のように一体にしたので、一ユニットにおける排気用装置8の最下部には、自動開閉可能な換気スリット10が設けられる。
【0029】
隣接する一ユニット(ソーラーチムニー6と排気用装置8)同士は、3階分だけ上下方向にずれて配設されている。排気経路も各一ユニット毎に独立しており、各室内3の空気が排気される。この第3実施例では、一ユニットの形状が簡易になるのでコストも低減されて、製作しやすいものである。
【実施例4】
【0030】
自然換気システム1に係る第4実施例は、
図7乃至
図8−Bに示すように、建物2の窓側の外壁2aは、ガラスの二枚組とその間に設置されるブラインドによって中間領域12を形成するダブルスキン構造であり、そのダブルスキン構造に自然換気システムを施工する実施例である。
【0031】
前記窓側の外壁2aに、前記中間領域12において外部から室内3へ外気を取り入れる筒状の給気用装置4(外気導入チャンバー4a+外気導入ダクト4b)と、前記室内3と前記ダブルスキン構造の中間領域12を介して接続されるとともに前記室内3と前記中間領域12とを接続する室内側排気口5の位置よりも高い位置に排気口11を有してなるソーラーチムニー6とを設けた構造である。
【0032】
前記ソーラーチムニー6と中間領域12とは、共に上下方向に複数階、この実施例では3階分にわたって連通して形成されてなり、前記中間領域12の最下階部分に自動開閉可能な換気スリット10が設けられるとともに、前記ソーラーチムニー6の最下階部分(
図7(A)では、N+2階)と前記中間領域12の最上階部分(
図7(A)では、N+2階)とが連通孔7aで接続されている。
【0033】
また、
図8−Bに示すように、前記室内3と中間領域12とを接続する室内側排気口5には開閉自在な電動ダンパー9が設けられている。前記中間領域12には、
図8−A、
図8−Bに示すように、ブラインド13が設けられている。また、このダブルスキン構造における給気用装置4に関しては、実施例1と同様に、外気導入ダクト4bは、天井裏で開放される場合(
図8−C)と、吹出口と連結する場合(
図8−D)がある。
【0034】
このような、ダブルスキン構造における自然換気システム1とすることで、3階分の複数階のフロアを1ユニットとし、ソーラーチムニー6の排気口11に至る排気経路が前記1ユニットの複数階のフロアに共有される。
【0035】
ダンパー等の開閉状態に関しては、
図9に示すように、自然換気時またはハイブリッド換気時においては、ダブルスキン構造における中間領域12の最下階部分の換気スリット10が閉状態、室内側排気口5が電動ダンパー9によって開状態となっている。
【0036】
一方、
図10に示すように、自然換気に適さない夏・冬の冷房時または暖房時には、ダブルスキン構造における中間領域12の最下階部分の換気スリット10が開状態(冷房時)、閉状態(暖房時)、そして、室内側排気口5が電動ダンパー9によっていずれの時も閉状態、ソーラーチムニー6の排気口11が開状態(冷房時)、閉状態(暖房時)となっている。
【0037】
前記ダブルスキン構造の自然換気システム1は、
図11乃至
図13に示すように、ソーラーチムニー6が、上下階の複数階で1ユニットとするフロアーの最上部よりも高い位置にシフトされており、前記ソーラーチムニー6の日射受熱量に応じた排気駆動力によって、換気量の増大が期待できるものである。
【0038】
前記複数階のフロアーの1ユニットと、これに対して上位置で左右に隣接するソーラーチムニー6とによって、
図12乃至
図13に示すように、排気経路がジグソーパズルのように立面図上でかみ合う形状になる。このようにして、ダブルスキン構造においても自然換気システム1を適用することができて、アトリウムやエコボイド等を設けることのできない建物2の自然換気システム1が施工可能となって、その結果、自由度の高い平面計画が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る自然換気システム1は、中高層の建物に広く適用することができるので、建物の設計における平面計画の自由度を増すことができる。
【符号の説明】
【0040】
1 自然換気システム、
2 建物、 2a 窓側の外壁、
3 室内、
4 給気用装置、 4a 外気導入チャンバー、
4b 外気導入ダクト、 4c 給気用開口部、
4d 電動ダンパー、
5 室内側排気口、
6 ソーラーチムニー、
7 接続用開口部、 7a 連通孔、
8 排気用装置、
9 電動ダンパー、
10 換気スリット、
11 排気口、
12 中間領域、
13 ブラインド。