(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208460
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】音波送受信器用遮音構造、およびこれを備える地中探査装置並びに地中掘削機
(51)【国際特許分類】
G01V 1/00 20060101AFI20170925BHJP
E21D 9/06 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
G01V1/00 B
G01V1/00 C
E21D9/06 301Z
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-89386(P2013-89386)
(22)【出願日】2013年4月22日
(65)【公開番号】特開2014-214418(P2014-214418A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】松本 三千緒
【審査官】
神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−297219(JP,A)
【文献】
特開平10−142343(JP,A)
【文献】
特開平10−246781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00
E21D 9/04−9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波を送信または受信する面が自身の装着対象に対して外方に向けて装着される音波送受信器本体と、該音波送受信器本体の全体を前記音波を送信または受信する面を含めて被覆する高分子材料製のモールド層と、該モールド層の外周面に付設されて前記音波送受信器本体の側面と前記装着対象との間を囲繞する多層構造とを備え、
前記多層構造は、相互に異なる音響インピーダンスを有するとともに相互の端部が縁切りされた同心円状の遮音材料が、前記音波送受信器本体の側面から遠ざかる方向に交互に配置されていることを特徴とする音波送受信器用遮音構造。
【請求項2】
前記多層構造は、前記モールド層の外周面を囲繞する第一の金属層と、該第一の金属層の外周面を囲繞する第一の高分子材料層と、該第一の高分子材料層の外周面を囲繞する第二の金属層とを有することを特徴とする請求項1に記載の音波送受信器用遮音構造。
【請求項3】
前記多層構造は、前記第二の金属層の外周面を囲繞する第二の高分子材料層と、該第二の外周面を囲繞する第三の金属層とを更に有することを特徴とする請求項2に記載の音波送受信器用遮音構造。
【請求項4】
音波を送信または受信する音波送受信器本体と、該音波送受信器本体との間で地中探査に必要な信号を授受可能に電気的に接続されるとともに取得された反射音に基づいて地中の状況を探査する制御部とを備える地中探査装置であって、
前記音波送受信器本体に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の音波送受信器用遮音構造を備えることを特徴とする地中探査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の地中探査装置を備えることを特徴とする地中掘削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中探査などに好適に用い得る音波送受信器に係り、特に、音波送受信器の周辺部材から伝わってくる目的外の音響を低減するための音波送受信器用遮音構造、およびこれを備える地中探査装置並びに地中掘削機に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に各種のトンネルを形成する工法としてシールド掘削工法が知られている。シールド掘削工法に使用されるシールドマシンなどの地中掘削機は、通常、その内部に人が立って作業できる程度に大型であり、その掘削速度も毎分10cm程度と低速である。
ところで、このような地中掘削機には、その先端に設置されるカッタヘッドの中央部分や側面部分に、地質変化や障害物などを監視するために、地中探査装置が設置される(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の地中探査装置は、地中掘削機に音波送受信器を取り付け、反射音から地中掘削機周辺の地中の状況を探査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000ー282778号公報(段落0009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような音波送受信器を有する地中探査装置を用いる場合に、(1)鋼製の掘削機本体を伝わってくる掘削音や電動機の振動、あるいは、(2)音波送信器から発信された音が、地中の反射ではなく地中掘削機本体を直接伝わって音波受信器に戻ってくると、音波探査の障害となる。
そのため、現状では、音波送受信器を用いた地中探査装置を地中掘削機に設置する例は少なく、また、仮にこの種の地中探査装置で音波探査を行う場合には、掘削を一旦停止するなどして余分な音源を極力少なくして音波探査が行われている。しかし、現状では、上記(1)、(2)のような音波探査の障害があるため、掘削部周辺の地中探査を常時行うことが困難である。また、工程上は地中探査のための掘削中断を極力減らすことが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、周辺部材から伝わってくる目的外の音響を低減するとともに、地中掘削機の地中探査装置に用いた場合であっても、大深度での水圧や掘削に伴う周辺地山との摩擦による摩耗に耐えられる、音波送受信器用遮音構造、およびこれを備える地中探査装置並びに地中掘削機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明者は、材料固有の音響インピーダンスに着目した。つまり、
図3に示すように、音響インピーダンスZ1、Z2が相互に異なる材料が接触している場合に、材料相互の境界面Bに音波が進んだとき、境界面Bでは音波の反射や屈折が生じる。仮に音波が進行方向と垂直な境界面Bに進んだときの反射率(R)は、以下の式で表され、透過する音波は反射分を引いたものとなる。なお、Z1およびZ2は、各材料固有の音響インピーダンス(N・s/m
3)である。
反射率(R)=(Z2−Z1)
2/(Z2+Z1)
2
【0007】
ここで、音響インピーダンスは、材料固有の値を持っており、例えば鉄やステンレスなどの金属材料では、40(×10
6N・s/m
3)以上の値であるのに対し、アクリルやポリプロピレンなどの高分子材料では、鉄やステンレスなどの金属材料よりも一桁小さい数値となっている。一方、音波送受信器が音波を授受する方向に対しては、例えば地中掘削機の地中探査装置に用いる場合、地中(水を含む)との音響インピーダンスが近い材質が望ましい。つまり、音波送受信器の音波を授受する方向に対しては、例えば塩化ビニールなどの高分子材料を使用することが好ましい。
【0008】
そこで、セラミック素子などの音波送受信器を高分子材料でモールドするとともに、その外周面を、音波を授受する方向を除いて金属材料と高分子材料とにより交互に囲めば、音響インピーダンスが相互に異なる材料の境界面で反射(透過)が効率良く繰り返される。これにより、層の数に応じて各境界面での遮音効果を得ることができる。また、高分子材料は、金属材料に比べて脆弱であるものの、層の厚みを薄くしても各境界面での遮音効果が得られることから、地中の土圧や水圧および掘進に伴う摩耗の影響に耐える構造にすることができる。
【0009】
すなわち、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る音波送受信器用遮音構造は、音波を送信または受信する
面が自身の装着対象に対して外方に向けて装着される音波送受信器本体と、該音波送受信器本体の全体を
前記音波を送信または受信する面を含めて被覆する高分子材料製のモールド層と、該モールド層の外周面に付設されて前記音波送受信器本体の側面
と前記装着対象との間を囲繞する多層構造とを備え、前記多層構造は、相互に異なる音響インピーダンス
を有するとともに相互の端部が縁切りされた同心円状の遮音材料が
、前記音波送受信器本体の側面から遠ざかる方向に交互に配置されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、本発明の一態様に係る音波送受信器用遮音構造において、前記多層構造は、前記モールド層の外周面を囲繞する第一の金属層と、該第一の金属層の外周面を囲繞する第一の高分子材料層と、該第一の高分子材料層の外周面を囲繞する第二の金属層とを有することは好ましい。さらに、前記多層構造が、前記第二の金属層の外周面を囲繞する第二の高分子材料層と、該第二の外周面を囲繞する第三の金属層とを更に有することは好ましい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る地中探査装置は、音波を送信または受信する音波送受信器本体と、該音波送受信器本体との間で地中探査に必要な信号を授受可能に電気的に接続されるとともに取得された反射音に基づいて地中の状況を探査する制御部とを備える地中探査装置であって、前記音波送受信器本体に、本発明の一態様に係る音波送受信器用遮音構造を備えることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る地中掘削機は、本発明の一態様に係る地中探査装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る音波送受信器用遮音構造によれば、音波送受信器本体は、音波を送信または受信する面が、音波を伝えやすい材質である高分子材料製のモールド層で覆われているので、音波を放出する方向へは音波を伝え易い。
そして、音波送受信器本体
の全体を被覆するモールド層に対して、モールド層の外周面に付設されて音波送受信器本体の側面
と装着対象との間を囲繞する多層構造を設け、この多層構造が、相互に異なる音響インピーダンスの材料を遮音材料として音波送受信器本体の側面から遠ざかる方向に
相互の端部が縁切りされた同心円状で交互に配置されているので、地中掘削機の地中探査装置に用いた場合であっても、外部の水圧・土圧・摩擦に耐えることができるとともに、隣接する材料相互の境界面に音波が進んだときに反射や屈折を複数の境界面で効果的に生じさせ、周辺部材から音波送受信器本体に伝わってくる目的外の音響を低減することができる。よって、例えば地中掘削機の地中探査装置に用いた場合、上記(1)、(2)のような音波探査の障害となる音を効果的に遮音(抑制)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る地中探査装置を備える地中掘削機の一実施形態であるシールドマシンを説明する模式的側面図である。
【
図2】本発明の一態様に係る遮音構造を備える音波送受信器の一実施形態を説明する図であり、同図(a)は、音波送受信器の軸線に沿った断面図、(b)は音波送受信器の斜視図である。
【
図3】音響インピーダンスが相互に異なる材料が接触している場合に、材料相互の境界面に音波が進んだときの境界面で音波の反射や屈折が生じる状態のイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、本実施形態の例は、本発明に係る遮音構造を備えた音波送受信器を地中探査装置に適用した例であり、
図1は、本発明に係る地中探査装置を備える地中掘削機の一実施形態であるシールドマシンを説明する模式的側面図である。
同図に示すように、このシールドマシン1は、円筒形状の掘進機本体2を有する。掘進機本体2の内部は、自身前端に設けたバルクヘッド3により外部と隔離されている。バルクヘッド3には、その中央部に回転軸4が取付けられ、この回転軸4の先端部に、カッタヘッド5が回転自在に装着されている。カッタヘッド5の前面及び外周側面には、多数のカッタ(不図示)が取り付けられている。
【0015】
ここで、本実施形態の例では、カッタヘッド5の外周側面に、地中探査装置10を構成する音波送信器11および音波受信器12(以下、併せて「音波送受信器11,12」ともいう)がそれぞれの送受信面を外方に向けて装着されている。これら音波送受信器11,12は、回転軸4の内部を経由して掘進機本体2側に設けられた制御部20に、地中探査に必要な信号を授受可能に、アンプを介して電気的に接続されている。そして、制御部20は、取得された反射音から地中掘削機1周辺の地中の状況を探査可能に構成されている。なお、音波受信器12は、探査条件に合せて一または複数設置される。
【0016】
次に、上記音波送受信器11,12の遮音構造について
図2を適宜参照しつつ詳しく説明する。
図2に示すように、上記音波送受信器11,12は、セラミック型やマグネチック型の音波送受信器本体13を有する。なお、セラミック型の音波送受信器本体13としては、市販されているハイドロフォンを採用でき、また、マグネチック型の音波送受信器本体13としては、発振器に準じた材質と構造を有するものを採用することができる。音波送受信器本体13のリード線13a,13bは、上記制御部20に接続される。
【0017】
音波送受信器本体13は、その全体が高分子材料製のモールド層14によって被覆されている。本実施形態の例では、モールド層14の音波を授受する方向(
図2(a)に示す上下を向く矢印の方向、以下同じ)に対して地中側を向く側(以下、「上方側」ともいう)の外周面に、円環状に張り出すつば部14tが形成されている。そして、モールド層14の外側は、音波送受信器本体13の音波を授受する方向を除く外周面(音波を授受する方向とは交差する方向を向く外周面)であって、音波送受信器本体13の側面に、複数の層(符号15、16、18、17、19)によって囲繞する多層構造が同心円状に設けられている。ここで、この多層構造(15、16、18、17、19)は、相互に異なる音響インピーダンスをもつ遮音材料が前記音波送受信器本体13の側面から遠ざかる方向(本実施形態では音波送受信器本体13の径方向)に交互に配置されている。
【0018】
より詳しくは、この多層構造(15、16、18、17、19)は、径方向内側から順に、第一の金属層15、第一の高分子材料層16、第二の金属層18、第二の高分子材料層17、および第三の金属層19を有する。なお、第一の金属層15、第二の金属層18、および第三の金属層19を形成する金属材料としては、例えば鉄やステンレスなどを好適に用いることができる。また、モールド層14、第一の高分子材料層16、および第二の高分子材料層17を形成する高分子材料としては、アクリルやポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ニューライト(登録商標)などを用いることができる。
【0019】
第一の金属層15は、モールド層14に対して音波送受信器本体13の側面を囲繞して円筒状に設けられている。本実施形態の例では、音波を授受する方向とは交差する方向が、音波を授受する方向と直交方向とされている。そして、本実施形態の例では、上方側の端部に、円環状の凹部15uが形成されており、この凹部15uが上記モールド層14のつば部14tに嵌め込まれている。第一の金属層15の外周面の略中央部には、円環状に凹部15dが形成されている。
【0020】
また、第一の高分子材料層16は、第一の金属層15に対して音波送受信器本体13の側面を囲繞して円筒状に設けられている。本実施形態の例では、第一の高分子材料層16の内周面の略中央部には、円環状に凸部16tが形成されており、この凸部16tが上記第一の金属層15の凹部15dに嵌め込まれている。また、第二の金属層18は、第一の高分子材料層16に対して音波送受信器本体13の側面を囲繞して円筒状に設けられている。
【0021】
また、第二の高分子材料層17は、第二の金属層18に対して音波送受信器本体13の側面を囲繞して円筒状に設けられている。本実施形態の例では、第二の高分子材料層17の外周面の略中央部には、円環状に凸部17tが形成されている。さらに、第三の金属層19は、第二の高分子材料層17に対して音波送受信器本体13の側面を囲繞して略円筒状に設けられている。本実施形態の例では、上方側の端部に、円環状のつば部が形成されるとともに、外周面の中央部には、カッタヘッド5の外周側面に装着用のおねじ19nが形成され、おねじ19n下部が掘削機内部側に延びる円筒部19eとされている。また、第三の金属層19の内周面の略中央部には、円環状に凹部19dが形成されており、この凹部19dが上記第二の高分子材料層17の凸部17tに嵌め込まれ、相互の部材の結合状態をより強固としている。
【0022】
次に、上記シールドマシン1および地中探査装置10の動作、並びに音波送受信器11,12の遮音構造の作用・効果について説明する。
上記シールドマシン1は、その先端に設置されるカッタヘッド5を回転駆動し、毎分10cm程度の掘削速度でシールド掘削工法により地中を掘削する。掘削中は、上記地中探査装置10によりシールドマシン1周辺の地中の状況を探査する。地中探査装置10は、上記音波送受信器11,12により音波を送受信し、制御部20は、取得された反射音から地中掘削機1周辺の地中の状況を探査する。
【0023】
ここで、上記音波送受信器11,12は、音波送受信器本体13が、音波を送信または受信する面が高分子材料製のモールド層14で覆われているので、音波を送信または受信する方向へは音波を伝え易い。そして、音波送受信器本体13を被覆するモールド層14に対して、音波送受信器本体13の側面を囲繞するように多層構造(15、16、18、17、19)を設け、この多層構造(15、16、18、17、19)が、相互に異なる音響インピーダンスの材料を遮音材料として音波送受信器本体の側面から遠ざかる方向に交互に配置されているので、シールドマシン1の地中探査装置10に用いた場合であっても、外部の水圧・土圧・摩擦に耐えることができるとともに、隣接する材料相互の境界面(B)に音波が進んだときに反射や屈折を複数の境界面(B)で効果的に生じさせ、シールドマシン1本体等の周辺部材から音波送受信器本体13に伝わってくる目的外の音響を低減することができる。よって、本実施形態のように、シールドマシン1の地中探査装置10に用いた場合に、掘削中であっても、「発明が解決しようとする課題」で述べた(1)、(2)のような音波探査の障害となる音を効果的に遮音(抑制)することができる。
【0024】
以上説明したように、上記音波送受信器11,12の遮音構造は、(1)音波送信器11または音波受信器12を設置するときに有効であり、特に、(2)大深度地下での水圧や土砂との摩耗に強く、また、(3)上記マグネチック型や、セラミック型などの市販の音波送受信器に好適であり、また、(4)シールドマシンなどの地中掘削機での掘削中であっても音波の良好な送受を行うことができる。なお、本発明に係る音波送受信器用遮音構造は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
【0025】
例えば、上記実施形態の遮音構造では、多層構造として、音波送受信器本体13の径方向内側から順に、第一の金属層15、第一の高分子材料層16、第二の金属層18、第二の高分子材料層17、および第三の金属層19を有する例で説明したが、これに限定されず、本発明に係る遮音構造の多層構造は、音波送受信器本体の側面を囲繞する多層構造であって、相互に異なる音響インピーダンスの遮音材料が音波送受信器本体の側面から遠ざかる方向に交互に配置されていれば種々の態様をとることができる。
【0026】
例えば、多層構造を、モールド層14の外周面を囲繞する第一の金属層15と、第一の金属層15の外周面を囲繞する第一の高分子材料層16と、第一の高分子材料層16の外周面を囲繞する第二の金属層18とを有する構成とし、第二の高分子材料層18および第三の金属層19を設けない構成とすることができる。
【0027】
なお、この場合にあっては、第三の金属層19に形成している、カッタヘッド5の外周側面に装着用のおねじ19n等の構造を第二の金属層18の外周面に形成する。このような構成であっても、隣接する材料相互の境界面(B)が径方向に少なくとも3面形成されるので、上記本発明の作用効果を奏する。しかし、上記実施形態のように、更に第二の高分子材料層18および第三の金属層19を設ける構成とすれば、隣接する材料相互の境界面(B)が径方向に少なくとも5面形成されるので、上記本発明の作用効果を奏する上でより好適である。
【符号の説明】
【0028】
1 シールドマシン(地中掘削機)
2 掘進機本体
3 バルクヘッド
4 回転軸
5 カッタヘッド
10 地中探査装置
11 音波送信器
12 音波受信器
13 音波送受信器本体
14 モールド層
15 第一の金属層
16 第一の高分子材料層
17 第二の高分子材料層
18 第二の金属層
19 第三の金属層
20 制御部