(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般的に、油性成分を用いて水中油型の乳化を行う場合には、親油性界面活性剤と親水性界面活性剤の両者を組み合わせ、被乳化物の所要HLB(Hydrophile‐Lipophile Balance)に合わせて乳化するという方法が採用されている。しかしながら、この方法では、乳化に最適な活性剤を選択するために非常に煩雑かつ多分な労力を必要とし、さらに多種類の油性成分が混在する場合や、シリコーン油、極性油等の配合割合が多い場合には、乳化安定性が悪く、それゆえ安定性の良い水中油型化粧料を得ることは困難であった。また、大量の油性成分を乳化する際は界面活性剤を大量に用いる必要があり、使用感や皮膚に対する安全性の面に問題がある。また、界面活性剤を用いた乳化物は、水との接触時に再乳化が起こるために、化粧持ちを高めることが難しい。
【0003】
この問題を解決する手段として、高分子化合物を用いた乳化技術を応用することが有効であると考えられる。高分子化合物を用いることで、被乳化物の所要HLBを考慮する必要性がなくなり、処方検討の効率化がはかれる。また、高分子化合物はその分子量ゆえに皮膚に対する安全性が高いこと、また再乳化が起きにくいために耐水性を高められるなど、製剤に様々な機能性を付与できることが期待できる。しかし、高分子化合物は、乳化力が弱いことや感触の調整が難しいなどの問題点があり、高分子化合物を用いて安定で感触のよい乳化物を得るに至っていないのが実情である。
【0004】
特許文献1では、両親媒性高分子化合物を用いた乳化化粧料が開示されている。50℃で1ヶ月間安定性を保つことのできる製剤が調製可能ではあるが、べたつきがあり使用感に優れるとは言いがたく、満足な化粧料を得ることが出来ない。
【0005】
特許文献2では、使用感・安定性が良好で、比較的耐水性のある乳化物が記載されている。高分子化合物と界面活性剤を併用しているため、使用感や安定性に優れた製剤の調製は可能ではあるが界面活性剤を使用しているために耐水性は十分とは言えず、満足な化粧料を得ることが出来ない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本発明の水中油型化粧料は、成分として、(A)(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、(B)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(C)ポリメタクリル酸メチル、(D)油性成分、および(E)水、を含有する。成分(A)、成分(B)、および成分(C)は、成分(D)の油性成分と成分(E)の水をエマルションにして乳化する高分子化合物である。これらの3種類の高分子化合物の混合物を乳化剤として採用することにより、水中油型化粧料の使用性、耐水性、乳化安定性、安全性を満足することができる。
【0012】
本発明に用いられる成分(A)の(アクロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマーは、アクリルアミド・ビニルピロリドン共重合体の1種であり、本発明の使用性、安定性、耐水性を高めた水中油型化粧料を得るための必須の成分である。(アクロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマーは、下記の式(1)で示されるコポリマーであり、CAS.No.は、335383−60−3である。例えば、ARISTFLEX AVCの商品名でクラリアント社より市販されている。
【0014】
本発明に用いられる成分(B)の(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーは、アクリル酸・アクリルアミド共重合体の1種であり、本発明の使用性、安定性、耐水性を高めた水中油型化粧料を得るために必須の成分である。(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーは、CAS.No.が77019−71−7である。後述するポリメタクリル酸メチルを含む(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーとして、SEPISOFTの商品名でSEPPIC社より市販されている。
【0015】
本発明に用いられる成分(C)のポリメタクリル酸メチル(−[C(COOCH
3)(CH
3)CH
2]
n−)は、上記成分(A)、および成分(B)と共に、本発明の使用性、安定性、耐水性を高めた水中油型化粧料を得るために必須の成分である。CAS.No.は、9011―14―7である。
【0016】
本発明に用いられる成分(D)の油性成分としては、特に制限は無く、一般的に水中油型化粧料に使用されているものを用いることができる。例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸等の脂肪酸、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリル、トリ‐2‐ヘプチルウンデカン酸グリセリル、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、スクワラン、イソヘキサデカン、イソデカン、水添ポリイソブテン、オレフィンオリゴマー等の炭化水素、ラノリン、還元ラノリン、液状ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、セレシン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス等のロウ、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム油、ツバキ油、ゴマ油、マカデミアナッツ油、メドウホーム油、ホホバ油、ヒマシ油、オリーブ油等の油脂及び植物油、メチルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、フルオロアルキル・ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、アモジメチコーン、アミノ変性オルガノオポリシロキサン、シリコーンゲル、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンPTVゴム等のシリコーン化合物、ポリエチレンワックス、エチレン・α‐オレフィン・コオリゴマー、エチレンプロピレンポリマー等が挙げられる。これら油性成分を1種または2種以上組み合わせて使用することができる。化粧料中の油性成分の配合量は、化粧料全量に対する0.1〜50.0質量%であることが必要である。
【0017】
本発明に係る水中油型化粧料において、前記(A)成分と、前記(B)成分、および前記成分(C)の質量比は2:0.1:0.9〜1:0.2:18であることが好ましい。この範囲であることにより、より優れた使用性、耐水性、安定性が得られるからである。
【0018】
本発明に係る水中油型化粧料において、前記成分(A)の含有量が、0.01質量%〜1.0質量%であり、前記成分(B)の含有量が、0.01質量%〜0.5質量%であり、前記成分(C)の含有量が、0.09質量%〜4.5質量%であり、前記成分(D)の含有量が、0.1質量%〜50.0質量%であることが好ましい。これらの含有量であれば、より優れた使用性、耐水性、安定性が得られるからである。
【0019】
本発明に係る水中油型化粧料において、乳化安定性向上のために界面活性剤を、0.1質量%未満含有することができる。
【0020】
本発明に係る水中油型化粧料には、紫外線吸収剤、多価アルコール、保湿剤、エタノールなどの低級アルコール、糖類、防腐剤、抗菌剤、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子のような高分子増粘剤、中和剤、pH調整剤、粉体成分等をさらに含有させることができる。また、ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、抗炎症剤、美白剤等の他の化粧料成分及び薬効成分、生理活性成分、香料、色素をさらに含有させることもできる。これらの成分としては、化粧料に一般的に使用されているものを用いることができ、その配合量は、本発明の化粧料の使用性に悪影響を与えない限り、当業者が適宜決定することができる。
【0021】
紫外線吸収剤としてはケイ皮酸誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、トリアゾン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、サリチル酸誘導体、4‐tert‐ブチル‐4‐メトキシジベンゾイルメタンなどを用いることができる。
【0022】
多価アルコールとしては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジグリセリン等が挙げられる。
【0023】
保湿剤として、例えば、キシリトール、マルチトール、マルトース、ソルビトール、ブドウ糖、果糖、加水分解エラスチン、乳酸ナトリウム、シクロデキストリン、ピロリドンカルボン酸及びその塩、セラミド類等が挙げられる。
【0024】
防腐剤及び抗菌剤としては、例えば、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0025】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩を挙げることができる。
【0026】
粘剤、樹脂の例としては、ポリアクリル酸ナトリウム、セルロースエーテル、アルギン酸塩、カルボキシビニルポリマー、エチレン/アクリル酸共重合体、ビニルピロリドン系ポリマー、ビニルアルコール/ビニルピロリドン共重合体、窒素置換アクリルアミド系ポリマー、カチオン性ガーガム等のカチオン性ポリマー、POE/POP共重合体、ポリビニルアルコール、プルラン、デオキシリボ核酸及びその塩、コンドロイチン硫酸等の酸性ムコ多糖類及びその塩、タマリンド種子多糖類、チューベロース多糖類、寒天、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、ガーガム、アラビアゴム、ローカストビーンガム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、ヒアルロン酸及びその塩、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストリン、シクロデキストリン、デキストラン、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンイミン、高重合ポリエチレングリコール、カチオン化シリコーン重合体、合成ラテックス等が挙げられる。
【0027】
中和剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム等が挙げられる。pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl‐リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
【0028】
粉体の例としては、赤色104号、赤色102号、赤色226号、赤色201号、赤色202号、黄色4号、青色1号、黒色401号の色素、黄色4号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニウムレーキ、黄色203号バリウムレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(商標)パウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン粉末等の高分子、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等が挙げられ、またこれらを従来公知の表面処理、例えば、N‐アシル化リジン処理、アミノ酸処理、親水性高分子処理、油剤処理、シリコーン処理、金属石鹸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等を施したものを使用することも可能である。これらの粉体形状としては、例えば、球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等が挙げられるが、特に形状の制限は無い。粉体の大きさとしては、平均粒子径(D
50)が5nm〜100μmの範囲に入るものが好ましく、さらに好ましくは10nm〜25μmである。これらの粉体は単独で処理しても、混合物を形成し、それらをまとめて処理しても構わない。また、混合物の色を肌色等に調整したものを処理することも可能である。さらに微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等の紫外線散乱成分を使用することで紫外線防御機能を有する処理粉体とすることも可能である。
【0029】
アミノ酸類としては、L‐グルタミン酸、L‐ロイシン、L‐セリン、L‐アスパラギン酸ナトリウム、L‐スレオニン、DL‐アラニン、L‐イソロイシン、L‐フェニルアラニン、L‐アルギニン、L‐プロリン、L‐チロシン、塩酸L‐ヒスチジン、塩酸リジン、グリシン、N‐アセチル‐L‐グルタミン酸、PCAナトリウム、トリメチルグリシン、γ‐ポリグルタミン酸等が挙げられる。
【0030】
天然物抽出成分の例としては、アシタバエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オリーブリーフエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コラーゲン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、加水分解ヒアルロン酸、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅藻エキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、スサビノリエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒアルロン酸、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0031】
抗炎症成分としては、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン、酢酸トコフェロール、トコフェロール、アズレン等が挙げられる
【0032】
薬効成分としては、ビタミンA油、レチノール、リボフラビン、ピリドキシン塩酸塩、L‐アスコルビン酸、L‐アスコルビン酸リン酸マグネシウム、L‐アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L‐アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L‐アスコルビン酸‐2‐グルコシド、パントテン酸塩、ビタミンD2、コレカルシフェロール、ユビキノン等を挙げることができる。
【0033】
本発明に係る乳化化粧料は、ジェル乳液、乳液、クリーム、日焼け止め、メイクアップベースローション、メイクアップベースクリーム、乳液状ファンデーション、ジェル状ファンデーション、クリーム状ファンデーション等の製品形態で提供できる。
【実施例】
【0034】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。
【0035】
[水中油型(O/W型)日焼け止め化粧料の調製]
表1に示す組成の乳化化粧料を、次の方法で調製した。
実施例1〜3及び比較例1、2は次のように調製した。真空乳化攪拌装置 PVQ−5UN(みづほ工業製)を用い、常温で(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、およびポリメタクリル酸メチルを含有する(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー(1)、および(2)を水相(11)〜(14)に添加し、パドルミキサーで30rpm、10分間攪拌した。次に、あらかじめ加温溶解した油性成分(5)〜(10)を加え、減圧下ホモミキサーにて3000rpm、10分間充分に乳化し、乳化化粧料を得た。比較例3については、80℃にて水相(11)、(13)、および(14)をパドルミキサーで30rpm、10分間攪拌した。水相にあらかじめ80℃にて溶解した(3)〜(10)を加え、減圧下ホモミキサー3000rpm、10分間充分に乳化した後、室温まで冷却し、ジェル状の日焼け止め化粧料を得た。
【0036】
【表1】
【0037】
[実使用テスト]
20〜40才の女性パネラー計10名に、実施例1〜3及び比較例1〜3の乳化化粧料をブラインドにて使用させ、塗布後の「みずみずしさ」「伸びのよさ」「べたつき感」について官能評価させた。「みずみずしさ」については「非常にみずみずしい」「みずみずしい」「みずみずしくない」、「伸びのよさ」については「非常に伸びがよい」「伸びがよい」「伸びが悪い」、「べたつき感」については「べたつかない」「べたつきが感じられる」「べたつく」で評価させた。結果は、下記の評価基準にしたがって区分した。
【0038】
(みずみずしさの評価基準)
◎・・「非常にみずみずしい」又は「みずみずしい」の評価をした人が9名以上
○・・「非常にみずみずしい」又は「みずみずしい」の評価をした人が7〜8名
△・・「非常にみずみずしい」又は「みずみずしい」の評価をした人が4〜6名
×・・「非常にみずみずしい」又は「みずみずしい」の評価をした人が3名以下
【0039】
(伸びのよさの評価基準)
◎・・「伸びがよい」と評価した人が9名以上
○・・「伸びがよい」と評価した人が7〜8名
△・・「伸びがよい」と評価した人が4〜6名
×・・「伸びがよい」と評価した人が3名以下
【0040】
(べたつきの評価基準)
◎・・「べたつかない」と評価した人が9名以上
○・・「べたつかない」と評価した人が7〜8名
△・・「べたつかない」と評価した人が4〜6名
×・・「べたつかない」と評価した人が3名以下
【0041】
[耐水性試験]
実施例1〜3、比較例1〜3の乳化化粧料の再乳化による化粧落ちを確認するため、耐水性試験にて評価した。各乳化化粧料を上腕内側部に25mg/cm
2塗布し、10分放置後、流水に20分さらした後に塗布部の状態を観察した。
【0042】
(耐水性の評価基準)
○・・塗布面に水弾きがあり、水滴が残っていない
△・・塗布面に水弾きがあり、水滴がほとんど残っていない
×・・塗布面に水弾きがなく、非塗布面と同様な濡れ方をしている
【0043】
[安定性試験]
実施例1〜3及び比較例1〜3の各ジェル状皮膚化粧料を製造して1日後、室温でTVB−10M形粘度計(東機産業製)(ローターNo.4)にて各化粧料の粘度を測定し、初期粘度とした。続いて、各化粧料を50℃の恒温槽に一ヶ月保管した後に室温まで冷却し、一ヵ月後の外観状態を観察すると共に、粘度測定をして保管後の粘度を初期粘度と比較した。評価は、以下の判定基準を用いて行った。
【0044】
(安定性の評価基準)
○・・変化なし
△・・やや粘度変化がみられる
×・・分離している
【0045】
実使用テスト、耐水性試験、および安定性試験の結果を、表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
実使用テストの結果は、表2より明らかなように、実施例1〜実施例3は全ての項目について良好な結果が得られた。対して、比較例1は「べたつき感のなさ」が、比較例2は「みずみずしさ」の項目で劣る結果となった。また、比較例3は全ての項目で実施例より顕著に劣る結果となった。
【0048】
耐水性評価の結果としては、実施例1〜3について、再乳化が認められず高い耐水性があることが明らかとなった。比較例1は耐水性が無く、比較例2では実施例よりも耐水性が劣る結果となった。比較例3は水と接触した際に再乳化が起こり、耐水性が無いことが確認された。
【0049】
安定性評価の結果としては、実施例1〜3、比較例3については乳化状態の変化が認められず、安定性に優れることが示された。比較例1はやや乳化状態の悪化が認められ、比較例2については分離が認められた。
【0050】
以上のように、本発明の実施例1〜3は使用性、耐水性、安定性全ての項目において優れる結果となった。これに対して比較例1はみずみずしさ、伸びのよさなどは良好であったが、べたつき感のなさ、安定性にやや劣り、耐水性が認められない結果となった。また、比較例2はみずみずしさ、耐水性にやや劣り、さらに安定性が悪い結果となった。比較例3は、安定性は良好であるが使用性、耐水性が悪く、化粧持ちも悪くなることが推察される。すなわち、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、およびポリメタクリル酸メチルを併用して水中油型乳化化粧料を調製することで、使用性、耐水性、および安定性に優れた化粧料を得ることができることが明らかとなった。
【0051】
続いて、本発明の他の実施例の処方を示す。配合量は、特記しない限り質量%で示す。
【0052】
[実施例4]乳液
(1)(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー
0.4
(2)ポリメタクリル酸メチルを含有する(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 2.0
(3)エチルヘキサン酸セチル 1.0
(4)トリエチルヘキサノイン 1.0
(5)スクワラン 3.0
(6)ジメチコン 0.5
(7)グリセリン 5.0
(8)フェノキシエタノール 0.3
(9)水 86.8
製法:上記(7)〜(9)に上記(1)、(2)を加え均一分散したものに、上記(3)〜(6)をあらかじめ混合したものを加えてホモミキサーにて乳化した。
【0053】
[実施例5]スキンクリーム
(1)(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー
0.8
(2)ポリメタクリル酸メチルを含有する(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 1.0
(3)ベヘニルアルコール 1.0
(4)トリエチルヘキサノイン 5.0
(5)スクワラン 15.0
(6)ジメチコン 0.5
(7)グリセリン 5.0
(8)フェノキシエタノール 0.3
(9)水 71.4
製法:上記(7)〜(9)に上記(1)、(2)を加え均一分散したものに、上記(3)〜(6)をあらかじめ混合したものを加えてホモミキサーにて乳化した。
【0054】
[実施例6]ジェルファンデーション
(1)(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー
0.8
(2)ポリメタクリル酸メチルを含有する(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 1.0
(3)ジメチコン 11.0
(4)シリカ 1.0
(5)タルク 4.0
(6)酸化チタン 5.0
(7)ベンガラ 3.0
(8)黄酸化鉄 2.5
(9)黒酸化鉄 0.5
(10)ブチレングリコール 3.0
(11)グリセリン 5.0
(12)フェノキシエタノール 0.3
(13)水 62.9
製法:上記(10)〜(13)に上記(1)、(2)を加え均一分散したものに、上記(3)〜(9)をあらかじめ混合したものを加えてホモミキサーにて乳化した。
【0055】
[実施例7]メイクアップベース
(1)(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー
0.4
(2)ポリメタクリル酸メチルを含有する(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 2.0
(3)ジメチコン 10.0
(4)メトキシケイ皮酸オクチル 2.5
(5)イソノナン酸イソノニル 3.0
(6)酸化チタン 5.0
(7)酸化亜鉛 2.5
(8)ベンガラ 0.05
(9)黄酸化鉄 0.4
(10)ブチレングリコール 3.0
(11)グリセリン 5.0
(12)フェノキシエタノール 0.3
(13)水 65.85
製法:上記(8)〜(11)に上記(1)、(2)を加え均一分散したものに、上記(3)〜(7)をあらかじめ混合したものを加えてホモミキサーにて乳化した。
【0056】
上記実施例4〜7の水中油型化粧料においても、良好な使用感、耐水性、安定性を得ることが可能であった。