特許第6208478号(P6208478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208478
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】製造方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20170925BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20170925BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170925BHJP
【FI】
   B25J15/08 C
   F21S8/10 150
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-132405(P2013-132405)
(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-6707(P2015-6707A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2016年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 大
(72)【発明者】
【氏名】立花 泰男
(72)【発明者】
【氏名】山内 博之
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−228096(JP,A)
【文献】 特開平2−88929(JP,A)
【文献】 特開2010−238605(JP,A)
【文献】 特開昭60−135193(JP,A)
【文献】 特表平3−505306(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0125994(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0176900(US,A1)
【文献】 特開昭60−249585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
F21S 8/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部で第1部品を保持する保持工程と、
第1方向に延びる係合部と前記保持部支持する支持部材の当該第1方向と交差する平面内での変位を許容しつつ、第2部品に形成されて当該第1方向に延びる被係合部に当該係合部を係合させて位置決めをする位置決め工程と、
前記係合部が前記被係合部に係合された状態で前記支持部材の前記平面内での変位を規制しつつ、前記保持部に保持された前記第1部品を前記第2部品に装着する装着工程と、
前記第2部品に装着された前記第1部品の保持を解消する解放工程とを備える、製造方法。
【請求項2】
前記第1部品は、車両に搭載される照明装置が備える半導体発光装置であり、
前記第2部品は、前記半導体発光装置を支持する支持体である、請求項に記載の製造方法。
【請求項3】
前記係合部は、前記第2部品に形成された丸孔に挿入可能とされたピンである、請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1部品を第2部品に装着する工程に用いられる製造装置および製造方法に関する。特に、車両に搭載される照明装置が備える半導体発光装置を支持体に装着する製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像認識技術を用いることにより、第1部品の第2部品への装着精度を高めた製造装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−140945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に車両に搭載される照明装置においては、光学系を構成する各要素部品の位置決めについて高い精度が要求される。しかしながら当該精度を実現するために画像認識技術を用いると、設備コストの上昇を招く。
【0005】
よって本発明は、設備コストを抑制しつつ、第1部品を高い位置決め精度で第2部品に装着しうる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる第1の態様は、第1部品を、第1方向に延びる被係合部が形成された第2部品に装着する製造装置であって、
前記第1部品を保持可能な構成とされた保持部と、
前記第1方向に延び、前記被係合部と係合可能な構成とされた係合部と、
前記保持部と前記係合部を支持する支持部と、
前記支持部を前記第1方向に変位させる第1機構と、
前記第1方向と交差する平面内で前記支持部の変位を許容する第2機構とを備える。
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる第2の態様は、製造方法であって、
保持部で第1部品を保持する保持工程と、
第1方向に延びる係合部を、第2部品に形成されて当該第1方向に延びる被係合部と係合させて位置決めをする位置決め工程と、
前記保持部に保持された前記第1部品を、前記第2部品に装着する装着工程と、
前記第2部品に装着された前記第1部品の保持を解消する解放工程とを備え、
前記位置決め工程において、前記保持部と前記係合部を支持する支持部材の、前記第1方向と交差する平面内での変位を許容する。
【0008】
上記の構成によれば、係合部の被係合部に対する係合が、支持部の第1方向への変位に伴って進行する。係合の開始時において両者の間に多少の位置ずれがあったとしても、位置ずれを解消するような支持部の上記平面内における変位が、第2機構によって許容される。係合部の被係合部に対する係合が確実になされることにより、ともに支持部に支持されている保持部の第2部品に対する位置が精度よく定まる。したがって、設備コストの上昇を伴う画像認識技術などを用いずとも、第1部品を第2部品に精度よく装着することができる。また位置ずれが発生したまま係合部の被係合部に対する係合が進行することがないため、これらの部材の破損などが回避されうる。
【0009】
上記の製造装置は、第3機構と制御部を備える構成としてもよい。第3機構は前記平面内での前記支持部の変位を規制する。制御部は、前記係合部が前記被係合部と係合されるときには前記第2機構を有効とし、前記保持部が前記第1部品を前記第2部品に装着するときには前記第3機構を有効とする。
【0010】
すなわち上記の製造方法において、前記装着工程では前記支持部材の前記平面内での変位が規制される。
【0011】
すなわち、少なくとも保持部の第2部品に対する位置決めの際において、支持部は上記平面内における変位を許容される。一方、少なくとも保持部が第1部品を第2部品に装着する際において、支持部の上記平面内における変位が規制される。これにより、保持部による第1部品の装着動作を安定した状態で行なうことができる。したがって、第1部品を第2部品に精度よく装着することができる。
【0012】
例えば、前記保持部は、第1把持部材と第2把持部材を備える。ここで前記第1把持部材と前記第2把持部材は、前記平面に沿う第2方向に配列され、当該第2方向における相対距離を変化させることにより、前記第1部品を把持可能な構成とされている。この場合、簡易な構成で確実かつ正確に光源を保持することができる。
【0013】
前記係合部は、第1係合部材と第2係合部材を備える構成としてもよい。ここで前記第1係合部材は、前記第2部品に形成された第1被係合部材と係合可能とされており、前記第2係合部材は、前記第2部品に形成された第2被係合部材と係合可能とされている。この場合、2つの係合部材により支持部の上記平面内における回転が防止され、保持部の第2部品に対する位置決めをより確実に行なうことができる。
【0014】
前記第1係合部材と前記第2係合部材は、前記保持部に保持された前記第1部品の中央部が配置される位置を通る直線に対して線対称となるように配置されている構成としてもよい。この場合、位置決め動作の安定性を高めることができる。
【0015】
前記第1係合部材と前記第2係合部材は、前記保持部に保持された前記第1部品の中央部が配置される位置に対して点対称となるように配置されている構成としてもよい。この場合、位置決め動作の安定性を最も高めることができる。
【0016】
上記の製造装置および製造方法が対象とする前記第1部品は、例えば車両に搭載される照明装置が備える半導体発光装置であり、前記第2部品は、前記半導体発光装置を支持する支持体である。
【0017】
この場合、前記係合部は、前記第2部品に形成された丸孔に挿入可能とされたピンであることが好ましい。最終製品としての照明装置において装着された半導体発光装置から出射される光が、ピン状の被係合部によって阻害される事態を回避しうる。また支持体の成形コストを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る製造装置により製造された部品を備える照明装置の外観を示す斜視図である。
図2】上記照明装置が備えるヒートシンクの外観を示す斜視図である。
図3】上記製造装置の構成を模式的に示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る製造方法を示すフローチャートである。
図5】上記製造方法の保持工程における製造装置の動作を説明する図である。
図6】上記製造方法の位置決め工程における製造装置の動作を説明する図である。
図7】上記製造方法の装着工程および解放工程における製造装置の動作を説明する図である。
図8】上記製造装置が備える係合部の変形例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付の図面を参照しつつ本発明に係る実施形態の例について以下詳細に説明する。なお以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0020】
図1は、車両に搭載される照明装置の一例としての灯具ユニット10を示す。灯具ユニット10は、光源11、ヒートシンク12、リフレクタ13、投影レンズ14、およびレンズホルダ15を備えている。
【0021】
光源11は、白色発光ダイオード(LED)や有機EL素子などの半導体発光素子が高放熱回路基板に実装されてなる発光素子パッケージである。当該発光素子パッケージは、ヒートシンク12に対して固定されている。ヒートシンク12は、光源11から発する熱を発散させるのに適した材質および形状とされている。
【0022】
光源11から出射された光は、リフレクタ13によって反射され前方に向かう。その光の少なくとも一部は、リフレクタ13の前方に配置された投影レンズ14を通過する。投影レンズ14の周縁部はレンズホルダ15により保持され、ヒートシンク12に対して固定されている。
【0023】
図2は、上記灯具ユニット10が備えるヒートシンク12のみの外観を示す斜視図である。ヒートシンク12は、背板12aを備えている。背板12aの後面からは複数の放熱板12bが後方に延びている。背板12aの前方には、基台12cが設けられている。基台12cの上面には光源搭載部12dが設けられている。基台12cの前部からは複数の放熱板12eが前方に延びている。基台12cにおける背板12aと光源搭載部12dの間の部分には、第1丸孔12fと第2丸孔12gが形成されている。第1丸孔12fと第2丸孔12gは、それぞれ基台12cの上面に開口している。
【0024】
図3の(a)は、本発明の一実施形態に係る製造装置20の構成を模式的に示す正面図である。製造装置20は、上記の光源(発光素子パッケージ)11を、ヒートシンク12の光源搭載部12dに装着する装置である。製造装置20は、保持部30、係合部40、支持部50、第1機構60、第2機構70、第3機構80、および制御部90を備えている。
【0025】
保持部30は、第1把持部材31と第2把持部材32を備えている。第1把持部材31と第2把持部材32は、その間に光源11を把持可能な構成とされている。係合部40は、第1ピン41と第2ピン42を備えている。
【0026】
第1ピン41の径は、ヒートシンク12の基台12cに形成された第1丸孔12fの径と略同一とされている。また第1ピン41の先端部41aは先細り形状とされている。第2ピン42の径は、ヒートシンク12の基台12cに形成された第2丸孔12gの径と略同一とされている。また第2ピン42の先端部42aは先細り形状とされている。
【0027】
図3の(b)は、第1把持部材31、第2把持部材32、第1ピン41、第2ピン42、および光源搭載部12dの位置関係を模式的に示す平面図である。
【0028】
第1把持部材31と第2把持部材32は、X方向に沿って配列され、それぞれ同方向に沿って変位可能とされている。当該変位により第1把持部材31と第2把持部材32の間隔が変化する。図3の(b)においては、第1把持部材31と第2把持部材32の初期位置を実線で示し、光源11を把持するときの第1把持部材31と第2把持部材32の位置を二点鎖線で示している。すなわち、第1把持部材31と第2把持部材32は、初期位置からX方向に沿って間隔を狭めるように変位することにより、両者の間に光源11を把持する。
【0029】
第1ピン41と第2ピン42はZ方向に延びており、X方向に沿って配列されている。第1ピン41と第2ピン42は、第1把持部材31と第2把持部材32の可動域をY方向に避けるように配置されている。また第1ピン41と第2ピン42は、保持部30に保持される光源11の中央部が配置される位置Cを通り、光源11の短手方向に延びる直線L1に対し、線対称となるように配置されている。
【0030】
第1機構60は、支持部50をZ方向に沿って変位させる機構である。また第1機構60は、第1把持部材31と第2把持部材32をX方向に沿って変位させる機構も備えている。
【0031】
第2機構70は、XY平面内で支持部50の変位を許容するように、第1機構60と連結されている。第3機構80は、XY平面内における支持部50の変位を許容する状態(実線で示す状態)と、当該変位を規制する状態(二点鎖線で示す状態)をとりうるように構成されている。
【0032】
制御部90は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM等を備え、少なくとも保持部30、第1機構60、および第3機構80の動作を制御する。
【0033】
なお図示しない適宜の移動機構により、製造装置20全体もXY平面内で移動可能されている。制御部90は、当該移動機構を制御して、実装前の光源11(発光素子パッケージ)が配置されている場所と、光源11の装着を待機するヒートシンク12が配置されている場所との間で、製造装置20を移動可能とされている。
【0034】
次に図4から図7を参照しつつ、上記の製造装置20を用いて光源11をヒートシンク12の光源搭載部12dに装着する製造方法について説明する。図4に示すように、本実施形態に係る製造方法は、保持工程S1、位置決め工程S2、装着工程S3、および解放工程S4を備える。
【0035】
図5は、保持工程S1における製造装置20の各部の状態を模式的に示す正面図である。まず制御部90は、移動機構を制御して、実装前の光源11が配置されている場所の上方へ製造装置20を移動させる。次いで制御部90は、第3機構80を制御して、支持部50のXY平面内における変位が規制される状態とする。
【0036】
また制御部90は、第1機構60を制御して、支持部50をZ方向に沿って下方に変位させる(二点鎖線は変位前の位置を示す)。次いで制御部90は、保持部30を制御して、第1把持部材31と第2把持部材32の間隔を狭め、両者の間に光源11を把持させる。光源11が把持された後、制御部90は、第1機構60を制御して、支持部50をZ方向に沿って上方に変位させる。
【0037】
図6は、位置決め工程S2における製造装置20の各部の状態を模式的に示す正面図である。まず制御部90は、移動機構を制御して、光源11の実装を待機するヒートシンク12が配置されている場所の上方へ製造装置20を移動させる。なおヒートシンク12は、基台12cに形成された第1丸孔12fと第2丸孔12gがZ方向に延びるように配置される。
【0038】
次いで制御部90は、第1機構60を制御して、支持部50をZ方向に沿って下方に変位させる。これにより、第1ピン41の先端部41aと第2ピン42の先端部42aが、それぞれヒートシンク12の基台12cに形成された第1丸孔12fと第2丸孔12gに接近する。
【0039】
このとき制御部90は、第3機構80を制御して、XY平面内で支持部50の変位を許容する状態とする。
【0040】
第1ピン41の先端部41aと第2ピン42の先端部42aの先細り形状がセンタリング機能を果たし、支持部50が、XY平面内で変位しながら、第1ピン41と第1丸孔12f、第2ピン42と第2丸孔12gが係合する。これにより、ヒートシンク12上の光源搭載部12dに対する光源11の位置が一義的に定まる。
【0041】
図7は、装着工程S3および解放工程S4における製造装置20の各部の状態を模式的に示す正面図である。光源搭載部12dに対する光源11の位置が定まると、まず装着工程S3が実行される。制御部90は、第3機構80を制御して、再び支持部50のXY平面内における変位が規制された状態とする。
【0042】
この状態で制御部90は、第1機構60を制御し、支持部50をZ方向に沿ってさらに下方に変位させる。第1ピン41と第2ピン42は、それぞれ第1丸孔12fと第2丸孔12gにさらに深く挿入されるとともに、光源11が光源搭載部12d上に装着される。
【0043】
次いで解放工程S4が実行される。制御部90は、保持部30を制御して、第1把持部材31と第2把持部材32の間隔を広げ、両者による光源11の把持を解除する。その後、制御部90は、第1機構60を制御して、第1ピン41と第2ピン42が第1丸孔12fと第2丸孔12gから離脱するまで、支持部50をZ方向に沿って上方に変位させる。これをもって、光源11の光源搭載部12dへの装着が完了する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の製造装置20は、光源11(第1部品の一例)をZ方向(第1方向の一例)に延びる第1丸孔12fと第2丸孔12g(被係合部の一例)が形成されたヒートシンク12の光源搭載部12d(第2部品の一例)に装着する。保持部30は、光源11を保持可能な構成とされている。係合部40は、第1丸孔12fおよび第2丸孔12gと係合可能な構成とされた第1ピン41および第2ピン42を備えている。第1ピン41と第2ピン42は、Z方向に延びている。支持部50は、保持部30と係合部40を支持する。第1機構60は、支持部50をZ方向に変位させる。第2機構70は、Z方向と交差するXY平面内で支持部50の変位を許容する。
【0045】
上記の構成によれば、係合部40の第1丸孔12fと第2丸孔12g(被係合部)に対する係合が、支持部50のZ方向への変位に伴って進行する。係合の開始時において両者の間に多少の位置ずれがあったとしても、位置ずれを解消するような支持部50のXY平面内における変位が、第2機構70によって許容される。
【0046】
係合部40の被係合部に対する係合が確実になされることにより、ともに支持部50に支持されている保持部30の光源搭載部12dに対する位置が精度よく定まる。したがって、設備コストの上昇を伴う画像認識技術などを用いずとも、光源11を光源搭載部12dに精度よく装着することができる。また位置ずれが発生したまま係合部40の被係合部に対する係合が進行することがないため、これらの部材の破損などが回避されうる。
【0047】
本実施形態において、第3機構80は、XY平面内での支持部50の変位を規制する。制御部90は、係合部40が被係合部と係合されるときには第2機構70を有効とし、保持部30が光源11を光源搭載部12dに装着するときには第3機構80を有効とする。
【0048】
すなわち、少なくとも保持部30の光源搭載部12dに対する位置決めの際において、支持部50はXY平面内における変位を許容される。一方、少なくとも保持部30が光源11を光源搭載部12dに装着する際において、支持部50のXY平面内における変位が規制される。これにより、保持部30による光源11の装着動作を安定した状態で行なうことができる。したがって、光源11を光源搭載部12dに精度よく装着することができる。
【0049】
係合部40は、第1ピン41(第1係合部材の一例)と第2ピン42(第2係合部材の一例)を備えている。第1ピン41は、ヒートシンク12に形成された第1丸孔12f(第1被係合部材の一例)と係合可能とされている。第2ピン42は、ヒートシンク12に形成された第2丸孔12g(第2被係合部材の一例)と係合可能とされている。
【0050】
この場合、2本のピンにより支持部50のXY平面内における回転が防止され、保持部30の光源搭載部12dに対する位置決めをより確実に行なうことができる。
【0051】
上記の実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは明らかである。
【0052】
上記の実施形態においては、第1機構60による支持部50の変位方向(第1方向;Z方向)は、第2機構70により許容される支持部50の変位方向(XY平面内)に直交している。しかしながら、第1機構60による支持部50の変位方向と、係合部40および被係合部が延びる方向が一致している限りにおいて、当該方向は、第2機構70により許容される支持部50の変位方向に交差していればよい。
【0053】
上記の実施形態においては、係合部40は、被係合部としての第1丸孔12fと第2丸孔12gにそれぞれ挿入される第1ピン41と第2ピン42を備えている。しかしながら、ピンの数は2本に限られない。1本でもよいし、3本以上としてもよい。
【0054】
またヒートシンク12の側にピン状の被係合部を設け、係合部40は、これを受容する孔を有するように構成してもよい。但し、ヒートシンク12の側に被係合部としての孔を形成する構成によれば、最終製品としての灯具ユニット10(照明装置の一例)において装着された光源11から出射される光が、ピン状の被係合部によって阻害される事態を回避しうる。またヒートシンク12の成形コストを抑制可能である。
【0055】
上記の実施形態においては、保持部30は、第1把持部材31と第2把持部材32を備えている。第1把持部材31と第2把持部材32は、XY平面に沿うX方向(第2方向の一例)に配列され、当該方向における両者の間隔を変化させることにより、光源11を把持可能な構成とされている。この場合、簡易な構成で確実かつ正確に光源11を保持することができる。
【0056】
なお上記の間隔を変化させるにあたっては、必ずしも第1把持部材31と第2把持部材32の双方を変位させることを要しない。両者の相対距離が変化する限りにおいて、第1把持部材31と第2把持部材32の一方を変位可能としてもよい。
【0057】
また保持部30は、必ずしも第1把持部材31と第2把持部材32を備えることを要しない。光源11を保持しうる限りにおいて、例えば特許文献1に記載のような吸着機構を用いてもよい。また磁力を利用して光源11を保持する構成としてもよい。
【0058】
上記の実施形態において、第1ピン41と第2ピン42は、保持部30に保持される光源11の中央部が配置される位置Cを通り、光源11の短手方向に延びる直線L1に対し、線対称となるように配置されている。しかしながら、第1ピン41と第2ピン42の配置は、光源搭載部12dの近傍におけるヒートシンク12の形状・構造に応じて適宜に定められうる。
【0059】
例えば図8の(a)に示すように、第1ピン41と第2ピン42は、保持部30に保持される光源11の中央部が配置される位置Cを通り、光源11の長手方向に延びる直線L2に対し、線対称に配置されてもよい。
【0060】
また図8の(b)に示すように、第1ピン41と第2ピン42は、保持部30に保持される光源11の中央部が配置される位置Cに対し、点対称に配置されてもよい。特にこの配置によれば、位置決め動作の安定性を最も高めることができる。
【0061】
なお上記の実施形態においては、第1丸孔12fと第2丸孔12gの径は、第1ピン41と第2ピン42の径と略同一とされている。しかしながら、第1丸孔12fと第2丸孔12gのいずれか一方の径を幾分大きくしてもよい。このような構成によれば位置決め公差の範囲内で係合部40の変位が許容され、位置決め動作を円滑に進めることができる。
【0062】
上記の実施形態においては、車両に搭載される灯具ユニット10が備える光源11(半導体発光装置の一例)が、製造装置20によりヒートシンク12に装着される。しかしながら、半導体発光装置を支持する支持体である限りにおいて、光源11が装着される対象はヒートシンク12に限られない。
【0063】
また本発明に係る製造装置20の用途は、半導体発光装置を支持体に装着する工程に限定されるものではない。第1部品を高い位置決め精度で第2部品に装着する必要があり、かつ設備コストの抑制が要求される適宜の製造装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
11:光源、12:ヒートシンク、12f:第1丸孔、12g:第2丸孔、20:製造装置、30:保持部、31:第1把持部材、32:第2把持部材、40:係合部、41:第1ピン、42:第2ピン、50:支持部、60:第1機構、70:第2機構、80:第3機構、90:制御部、C:保持部に保持された光源の中央部が配置される位置、L1、L2:保持部に保持された光源の中央部を通る直線、S1:保持工程、S2:位置決め工程、S3:装着工程、S4:解放工程
図1
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図8