(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ジョーを自動交換するワーク把持装置であって、ワークを把持するチャック部と、該チャック部へ駆動力を伝達するシリンダー部を備え、前記シリンダー部が、チャックのプランジャ部への作用力を発生させる第一シリンダー部と、プランジャ部をチャック後方へ移動させる際に第一シリンダー部の移動範囲を調整する第二シリンダー部を有し、前記チャック部がチャックボディの後方側へ空部を備え、第二シリンダー部の駆動により第一シリンダーの第一ピストンが軸心方向後方へ移動され、該空部が後方へ移動されたプランジャ部を収納し、プランジャ部がマスタージョーから分離可能になされていることを特徴とするワーク把持装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の実施例に係るワーク把持装置を
図1〜4を用いて説明する。
図1に示すように、本発明のワーク把持装置は、ワーク25を把持するチャック部1と、チャック部1の駆動源となるシリンダー部4から構成されている。
【0009】
チャック部1には、チャックボディ7の前方側へワーク25を把持するソフトジョー2とマスタージョー3が着脱可能に設けられている。
ジョーの自動交換の際には、前記ソフトジョー2とマスタージョー3を一体としたジョーを交換することとなる。
マスタージョー3は、図示しない係合溝によって、チャック半径方向へスライド移動可能となされ、外部に自動交換装置により交換可能となる。
【0010】
チャックボディ7の内方には、後述するシリンダー部4の駆動力を受けるプランジャ部9が備えられ、シリンダー部4とチャック部1との間に設けられたドローパイプ26に接続されたドローナット15に係合して設けられている。
シリンダー部4の駆動により軸心方向へ前後動するドローパイプ26の動作に伴い、プランジャ部9は、チャック内部を軸心方向へ前後動する。
このプランジャ部9はドローナット15に係合するプランジャ27と、断面図には示されていないが、プランジャと係合し楔部でマスタージョー3と摺動可能に嵌合されるウエッジプランジャ28で構成されている。
ウエッジプランジャ28の移動により、マスタージョー3が半径方向へ移動可能になされている。
【0011】
チャックボディ7の後側内方には、プランジャ部9がチャック後方へ移動する際に、前述のマスタージョー3との嵌合が解除された後のさらに後方へ移動可能となすために、プランジャ部9を収納する空間を有する空部8が備えられている。
この空部8へプランジャ部9を収納することによりプランジャ部9の後方への移動を大幅に許容することができる。
【0012】
また、マスタージョー3の係合、離脱のためのロックピン10がチャックボディ7に組み込まれている。このロックピン10は、ジョー交換の際に、マスタージョー3とプランジャ部9との係合が解除された場合にマスタージョー3の離脱を防ぐために設けられており、その際にマスタージョー3側の先端部がマスタージョー3に設けられた係止孔16に嵌合されるようになされている。
ロックピン10は、常時マスタージョー側へ押圧されるように付勢手段としてバネ11が設けられている。
【0013】
ロックピン10のバネ11によるマスタージョー側への移動を抑止するために解除ピン12がチャックボディ7に設けられている。
解除ピン12は、ロックピン10に係合されており、解除ピン12に設けられた傾斜面13と、ロックピン10に設けられたテーパ面14が接するように係合され、これら傾斜面13とテーパ面14は解除ピン12の前後及び図中上下の各々の接合部位で構成されている。
【0014】
解除ピン12は、チャック半径方向へ移動可能に設けられ、半径方向内方の端部がプランジャ部9の外周面へ当接して係止されるように設けられている。
プランジャ部9がチャックボディ7の空部8へ収納されると、前述の解除ピン12のプランジャ部9へ当接しなくなり、解除ピン12が半径方向内方へ移動されるようになされ、解除ピン12の移動によりロックピン10のマスタージョー側への移動の抑止を解除されることになる。
【0015】
次に、シリンダー部4について説明する。
シリンダー部4は、チャック部1とはドローパイプ26を介して接続されている。
本発明のシリンダー部4は、2つのシリンダーを組み合わせており、第一シリンダー部5と第二シリンダー部6で構成されている。
シリンダー本体17には、内方の中空部位に中間壁21を備えて、第一ピストン室19と第二ピストン室22が形成されている。
【0016】
第一シリンダー部5として、第一ピストン室19の内方には第一ピストン部20が摺動可能に設けられ、この第一ピストン部20のチャック側前端部がドローパイプ26に接続されている。
第一ピストン部20の後方部位は、軸心方向後方へ延長された軸部18を形成しており、第二ピストン室22を貫通して設けられている。
【0017】
第二シリンダー部6には、第二ピストン室22の内方へ第二ピストン部23が摺動可能に設けられている。
第二ピストン部23は、第一ピストン部20の軸部18に貫通されて摺動可能に設けられており、第二ピストン部23の前端部位はシリンダー本体17の中間壁21を越えて第一ピストン室19内へ突出して設けられるストッパ部24を形成し、第一ピストン部20のつば部29の後部に当接でき、第一ピストン部20の後方への移動を抑止するようになされている。
そのため、第二シリンダー部6の駆動により、第一シリンダー部5の移動範囲を調整するようになっている。
前述の第一シリンダー部5と第二シリンダー部6は、各々別系統の圧力配管に接続されており、夫々独立して駆動できる。
【0018】
以下に本発明の実施例の動作について説明する。
図2に示すように、チャック部1がソフトジョー2によりワーク25の把持、解除を行なう際には、シリンダー部4は、第二シリンダー部6の第二ピストン部23がチャック部側最前方へ移動されており、第二ピストン部23のストッパ部24が第一ピストン室19内へ突出している。
そのため、第一ピストン部20を後方側へ移動するとストッパ部24の突出部分に当接して、ストッパ部24が第一ピストン部20の後方側への移動を抑制することになり、第一シリンダー部5の第一ピストン部20の摺動範囲を小さくする。
この第一ピストン部20の軸心方向の前後移動範囲でドローパイプ26を介してチャック部1のプランジャ部9の駆動力を伝達する。
【0019】
チャック部1のワーク把持の動作は、前述の第二ピストン部23のストッパ部24で抑制された第一ピストン部20の移動範囲で行なわれる。
プランジャ部9に伝達された軸方向の移動は、プランジャ部9の楔作用によりマスタージョー3の半径方向の移動に変換され、ソフトジョー2の半径方向の移動によりワークの把持、解除が行なわれる。
【0020】
マスタージョー3の交換を開始する際には、第二シリンダー部6の動作によって、プランジャ部9をチャックボディ7の空部8へ収納することにより、マスタージョー3のチャック部1からの分離を行なう。
まず、第一ピストン部20を軸心方向最後方へ移動させる。この時第二ピストン部23は軸心方向最前方に移動されている状態にあるため、第一ピストン部20は第二ピストン部23に当接し、後方への移動が抑制されている。
【0021】
図3に示すように、この状態で、第二シリンダー部6を駆動し、第二ピストン部23を軸心方向後方へ移動させる。これに伴って第一ピストン部20がさらに後方へ移動可能となされる。
第一ピストン部20が、後方へ移動すると、ドローパイプ26を介してプランジャ部9がよりチャック後方へ移動される。チャック後方に移動したプランジャ部9は、チャックボディ7の空部8へ収納される。
【0022】
この時、プランジャ部9が後方へ移動するに伴い、解除ピン12のチャック半径方向への移動が行なわれる。
プランジャ部9が後方へ移動すると、プランジャ部9の外周面へ当接することでチャック半径内方への移動を規制されていた解除ピン12は、プランジャ部9との当接がなくなりチャック半径方向内方へ移動を促される。
解除ピン12がチャック半径方向内方へ移動すると、解除ピン12とは傾斜面で係合しているロックピン10はバネ11によってマスタージョー側へ付勢されているので、解除ピンによる移動の抑止が解除されてマスタージョー側へ移動する。
マスタージョー側へ移動したロックピン10は、マスタージョー3に設けられた係止孔16へ嵌合し、ロックピン10を介してチャック部1とマスタージョー3とが係合されマスタージョー3の固定が行なわれる。
【0023】
その後、
図4に示しように、さらに第二ピストン部23を軸心方向後方へ移動させると、プランジャ部9はよりチャック後方へ移動し、図示されないマスタージョー3と嵌合されていた楔部が分離され、プランジャ部9がマスタージョー3との係合が完全に離脱し、プランジャ部9が空部8へ完全に収納される。
【0024】
このようにワーク把持装置による自動ジョー交換準備が行なわれると、別途装置によりジョーの自動交換が行なわれる。
このジョー交換の際には、別途装置による解除ピン12の移動によりロックピン10のチャック後方への移動を行ない、マスタージョー3の係止孔16への嵌合を外し、マスタージョー3とチャック部1との一体化を解除することでジョーの取り外すことを可能とする。
そして別途装置によるジョーの交換を行ない、前述とは逆の動作により、交換後の新たなジョーがチャック部1へ取り付けられ、ワーク25の把持、解除を行なうことが出来る。
【0025】
本発明は、シリンダー部4が、第一シリンダー部5と第二シリンダー部6を備え、第一シリンダー部5は、第二シリンダー部6の駆動により移動範囲を制限されて設けられており、この制限された移動範囲内において、プランジャ部9を介してチャック部1に設けられたソフトジョー2の半径方向の移動が行なわれる。
そして、第二シリンダー部6の駆動により、第一シリンダー部5の移動範囲における最後方部を後方側へ拡大すること及びチャックボディ7の後方へプランジャ部9を収納することができるの空部8を設けることにより、プランジャ部9の移動範囲を大きくでき、プランジャ部9のマスタージョー3との分離をシリンダー部4の駆動と連動して行なうことが可能となる。これにより、ジョーの自動交換作業を安全確実に行なうことが出来る。
なお、本発明の実施において、前述の実施例の構成に必ずしも限定されるものではない。本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。