特許第6208503号(P6208503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6208503ワイヤレス受電装置、その制御回路および制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208503
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】ワイヤレス受電装置、その制御回路および制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170925BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20170925BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20170925BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H02J7/00 301D
   H02J50/10
   H02J50/80
   H04B5/02
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-188721(P2013-188721)
(22)【出願日】2013年9月11日
(65)【公開番号】特開2015-56959(P2015-56959A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】内本 大介
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 竜也
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/015416(WO,A1)
【文献】 特開2013−038854(JP,A)
【文献】 特開2010−028934(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/132507(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00−7/12、
7/34−7/36、
50/00−50/90
H04B5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信コイル、前記受信コイルに接続され、整流電圧を生成する整流回路、前記整流電圧を受け、電池を充電する充電回路、前記受信コイルに接続され、制御値にもとづいて前記受信コイルの電圧または電流を変調し、ワイヤレス送電装置に前記制御値を含む制御パケットを送信する変調器、を備えるワイヤレス受電装置に使用される制御回路であって、
前記制御回路は、
前記充電回路から前記電池に供給される充電電流を制御する充電制御部と、
現在の前記整流電圧とその目標値の誤差にもとづいて前記ワイヤレス送電装置からの送信電力量を指示する制御エラー値を生成し、前記制御値として前記変調器に出力する電力制御部と、
を備え、
前記充電制御部は、前記誤差の絶対値が所定のしきい値より小さいときに、前記充電電流を変化させることを特徴とする制御回路。
【請求項2】
前記充電制御部は、前記充電電流を初期値から最終値まで変化させるとき、
前記初期値から前記最終値に向かって、それらの間に設けられた複数の中間値を経てステップ状に前記充電電流を変化させ、
かつ、前記充電電流を1ステップ分、変化させるたびに、前記誤差の絶対値が前記しきい値より小さくなるまで待機し、前記充電電流を次のステップの値に変化させることを特徴とする請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記複数の中間値の間隔は、前記充電回路に設定可能な充電電流の最小ステップと等しいことを特徴とする請求項2に記載の制御回路。
【請求項4】
Qi規格に準拠したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の制御回路。
【請求項5】
ひとつの半導体基板に一体集積化されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の制御回路。
【請求項6】
受信コイルと、
前記受信コイルに接続され、整流電圧を生成する整流回路と、
前記整流電圧を受け、電池を充電する充電回路と、
前記受信コイルに接続され、制御値にもとづいて前記受信コイルの電圧または電流を変調し、ワイヤレス送電装置に前記制御値を含む制御パケットを送信する変調器と、
請求項1から5のいずれかに記載の制御回路と、
を備えることを特徴とするワイヤレス受電装置。
【請求項7】
受信コイルと、
前記受信コイルに接続され、整流電圧を生成する整流回路と、
前記整流電圧を受け、電池を充電する充電回路と、
前記受信コイルに接続され、制御値にもとづいて前記受信コイルの電圧または電流を変調し、ワイヤレス送電装置に前記制御値を含む制御パケットを送信する変調器と、
前記充電回路から前記電池に供給される充電電流を制御する充電制御部と、
現在の前記整流電圧とその目標値の誤差にもとづいて前記ワイヤレス送電装置からの送信電力量を指示する制御エラー値を生成し、前記制御値として前記変調器に出力する電力制御部と、
を備え、
前記充電制御部は、前記誤差の絶対値が所定の許容値を超えないよう前記充電電流を変化させるよう構成されることを特徴とするワイヤレス受電装置。
【請求項8】
前記充電制御部は、前記充電電流を初期値から最終値まで変化させるとき、
前記充電電流を所定量変化させるステップと、
前記誤差の絶対値が所定のしきい値より小さくなるまで待機するステップと、
を繰り返すことを特徴とする請求項7に記載のワイヤレス受電装置。
【請求項9】
前記所定量は、前記充電回路に設定可能な前記充電電流の最小ステップと等しいことを特徴とする請求項8に記載のワイヤレス受電装置。
【請求項10】
Qi規格に準拠したことを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のワイヤレス受電装置。
【請求項11】
ワイヤレス受電装置の制御方法であって、
前記ワイヤレス受電装置は、受信コイル、前記受信コイルに接続され、整流電圧を生成する整流回路、前記整流電圧を受け、電池を充電する充電回路、前記受信コイルに接続され、前記受信コイルの電圧または電流を変調し、ワイヤレス送電装置にパケットを送信する変調器、を備え、
前記制御方法は、
前記充電回路から前記電池に供給される充電電流を制御するステップと、
現在の前記整流電圧とその目標値の誤差にもとづいて、前記ワイヤレス送電装置からの送信電力量を指示する制御エラー値を生成するステップと、
前記制御エラー値にもとづいて前記変調器を制御し、前記制御エラー値を含む制御パケットを前記受信コイルから前記ワイヤレス送電装置に送信せしめるステップと、
を備え、
前記充電電流は、前記誤差の絶対値が所定のしきい値より小さいときに変化することを特徴とする制御方法。
【請求項12】
ワイヤレス受電装置の制御方法であって、
前記ワイヤレス受電装置は、受信コイル、前記受信コイルに接続され、整流電圧を生成する整流回路、前記整流電圧を受け、電池を充電する充電回路、前記受信コイルに接続され、前記受信コイルの電圧または電流を変調し、ワイヤレス送電装置にパケットを送信する変調器、を備え、
前記制御方法は、
現在の前記整流電圧とその目標値の誤差にもとづいて、前記ワイヤレス送電装置からの送信電力量を指示する制御エラー値を生成するステップと、
前記制御エラー値にもとづいて前記変調器を制御し、前記制御エラー値を含む制御パケットを前記受信コイルから前記ワイヤレス送電装置に送信せしめるステップと、
前記誤差が所定の許容値を超えないように、前記充電回路から前記電池に供給される充電電流を制御するステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項13】
前記充電電流を制御するステップは、前記充電電流を初期値から最終値まで変化させるとき、
前記充電電流を所定量変化させるステップと、
前記誤差の絶対値が前記しきい値より小さくなるまで待機するステップと、
を繰り返すことを特徴とする請求項11に記載の制御方法。
【請求項14】
前記所定量は、前記充電回路に設定可能な前記充電電流の最小ステップと等しいことを特徴とする請求項13に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス給電技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器に電力を供給するために、無接点電力伝送(非接触給電、ワイヤレス給電ともいう)が普及し始めている。異なるメーカーの製品間の相互利用を促進するために、WPC(Wireless Power Consortium)が組織され、WPCにより国際標準規格であるQi(チー)規格が策定された。
【0003】
図1は、Qi規格に準拠したワイヤレス給電システム100の構成を示す図である。給電システム100は、送電装置200(TX、Power Transmitter)と受電装置300(RX、Power Receiver)と、を備える。受電装置300は、携帯電話端末、スマートホン、オーディオプレイヤ、ゲーム機器、タブレット端末などの電子機器に搭載される。
【0004】
送電装置200は、送信コイル(1次コイル)202、ドライバ204、コントローラ206、復調器208を備える。ドライバ204は、Hブリッジ回路(フルブリッジ回路)あるいはハーフブリッジ回路を含み、送信コイル202に駆動信号S1、具体的にはパルス信号を印加し、送信コイル202に流れる駆動電流により、送信コイル202に電磁界の電力信号S2を発生させる。コントローラ206は、送電装置200全体を統括的に制御するものであり、具体的には、ドライバ204のスイッチング周波数、あるいはスイッチングのデューティ比を制御することにより、送信電力を変化させる。
【0005】
Qi規格では、送電装置200と受電装置300の間で通信プロトコルが定められており、受電装置300から送電装置200に対して、制御信号S3による情報の伝達が可能となっている。この制御信号S3は、後方散乱変調(Backscatter modulation)を利用して、AM(Amplitude Modulation)変調された形で、受信コイル302(2次コイル)から送信コイル202に送信される。この制御信号S3には、たとえば、受電装置300に対する電力供給量を指示する電力制御データ(パケットともいう)、受電装置300の固有の情報を示すデータなどが含まれる。復調器208は、送信コイル202の電流あるいは電圧に含まれる制御信号S3を復調する。コントローラ206は、復調された制御信号S3に含まれる電力制御データにもとづいて、ドライバ204を制御する。
【0006】
受電装置300は、受信コイル302、整流回路304、コンデンサ306、変調器308、2次電池310、コントローラ312、充電回路314を備える。受信コイル302は、送信コイル202からの電力信号S2を受信するとともに、制御信号S3を送信コイル202に対して送信する。整流回路304およびコンデンサ306は、電力信号S2に応じて受信コイル302に誘起される電流S4を整流・平滑化し、直流電圧に変換する。
【0007】
充電回路314は、送電装置200から供給された電力を利用して2次電池310を充電する。
【0008】
コントローラ312は、受電装置300が受けている電力供給量をモニタし、それに応じて、電力供給量を指示する電力制御データ(コントロールエラー値)を生成する。変調器308は、電力制御データを含む制御信号S3を変調し、受信コイル302のコイル電流を変調することにより、送信コイル202のコイル電流およびコイル電圧を変調する。
【0009】
以上が給電システム100の構成である。図2は、給電システム100の動作シーケンスを示すフローチャートである。送電装置200の状態は大きく、選択フェーズ(Selection Phase)φ1と送電(Power Transfer)フェーズφ2と、認証・設定フェーズ(Identification&Configuration Phase)φ3、に分けられる。
【0010】
はじめに送電フェーズφ2を説明する。送電装置200(TX)が受電装置300(RX)への送電を開始する(S100)。送電装置TXには、受電装置RXからの現在の送電状態を示す制御信号S3がフィードバックされる(S102)。送電装置TXは、制御信号S3にもとづいて、送電量を調節する(S104)。
【0011】
送電装置TXは、受電装置RXから充電完了を示す制御信号S3を送信する(S106)か、あるいは、通信のタイムアウトエラーにもとづいて、送電装置TXの給電範囲から受電装置RXが取り外されたことを検知すると(S108)、送電装置TXは送電を停止し選択フェーズφ1となる。
【0012】
続いて選択フェーズφ1について説明する。送電装置TXは、所定の時間間隔(Object detection interval、たとえば500msec)ごとに、電力信号S2を送信し、受電装置RXの有無を確認する(S200)。これをアナログピンフェーズ(Analog Ping Phase)と称する。
【0013】
受電装置RXが検出されると(S202)、認証・設定フェーズφ3に移行し、デジタルピンフェーズ(Digital Ping Phase)が実行される(S204)。続く認証・設定フェーズ(Identification&Configuration Phase)において、送電装置TXは、受電装置RXの個体情報を受信する(S206)。続いて送電条件に関する情報が受電装置RXから送電装置TXに送信され(S208)、送電フェーズφ2に移行する。以上が送電装置200の動作シーケンスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2013−38854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明者らは、このような給電システム100について検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
【0016】
充電回路314は、2次電池310の状態に応じて、定電流(CC:Constant Current)充電、定電圧(CV:Constant Voltage)充電が切りかえ可能であり、またCC充電時には、電池残量に応じて、2次電池310に供給する充電電流の量を変化させる。
【0017】
図3は、図1の受電装置300の動作波形図である。定常状態では、整流回路304からコンデンサ306に供給される電流と、コンデンサ306から充電回路314に供給される電流つまり充電電流Ibatとがバランスしており、コンデンサ306に生ずる整流電圧Vrectは、目標レベルに安定化されている。
【0018】
ここで、整流回路304からコンデンサ306に供給される電流は、送電装置200から受電装置300に供給される電力に応じており、つまり制御信号S3にもとづいて制御される。充電回路314が充電電流Ibatを増大させると、コンデンサ306から大電流が引き抜かれる。これにより整流電圧Vrectが低下すると、制御信号S3に含まれるコントロールエラー値が増大し、送電装置200から受電装置300への供給電力が増大するようにフィードバックがかかる。このフィードバックの速度は、制御信号S3の通信速度や送電装置200が新たな動作点に安定化するまでの時間の制約を受けるため、充電電流Ibatが急峻に変動すると、フィードバックが追従できずに、整流電圧Vrectがその目標値から著しく逸脱するおそれがある。整流電圧Vrectの変動量が大きかったり、あるいは変動波形が急峻であると、後方散乱変調を利用した制御信号S3のAM変調に支障をきたし、送電装置200がコントロールエラー値を正しく受信できなくなる。つまり充電電流Ibatの急峻な変化は、フィードバックループの遮断を引き起こすおそれがある。送電装置200と受電装置300の通信の遮断が所定のタイムアウト時間、持続すると、送電装置TXは送電を停止し、選択フェーズφ1に戻ってしまう。
【0019】
なお、かかる課題を当業者の共通の技術認識ととらえてはならない。
【0020】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、送電装置との通信を安定化可能な受電装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明のある態様は、ワイヤレス受電装置に使用される制御回路に関する。ワイヤレス受電装置は、受信コイルと、受信コイルに接続され、整流電圧を生成する整流回路と、整流電圧を受け、電池を充電する充電回路と、受信コイルに接続され、制御値にもとづいて受信コイルの電圧または電流を変調し、ワイヤレス送電装置に制御値を含む制御パケットを送信する変調器と、を備える。制御回路は、充電回路から電池に供給される充電電流を制御する充電制御部と、現在の整流電圧とその目標値の誤差にもとづいてワイヤレス送電装置からの送信電力量を指示する制御エラー値を生成し、制御値として変調器に出力する電力制御部と、を備える。充電制御部は、誤差の絶対値が所定のしきい値より小さいときに、充電電流を変化させる。
【0022】
この態様によると、誤差の絶対値がしきい値より大きいときには、充電電流の設定値を維持することにより、整流電圧が目標値から著しく逸脱したり、整流電圧が急峻な波形で変化するのを防止でき、これにより送電装置と受電装置の間の通信を安定化できる。
【0023】
充電制御部は、充電電流を初期値から最終値まで変化させるとき、初期値から最終値に向かって、それらの間に設けられた複数の中間値を経てステップ状に充電電流を変化させ、かつ、充電電流を1ステップ分、変化させるたびに、誤差の絶対値がしきい値より小さくなるまで待機し、充電電流を次のステップの値に変化させてもよい。
【0024】
充電制御部は、所定の最小ステップを単位として、充電電流を変化させてもよい。
【0025】
制御回路は、Qi規格に準拠してもよい。
【0026】
制御回路は、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。
「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのICとして集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0027】
本発明の別の態様は、ワイヤレス受電装置に関する。ワイヤレス受電装置は、受信コイルと、受信コイルに接続され、整流電圧を生成する整流回路と、整流電圧を受け、電池を充電する充電回路と、受信コイルに接続され、制御値にもとづいて受信コイルの電圧または電流を変調し、ワイヤレス送電装置に制御値を含む制御パケットを送信する変調器と、上述のいずれかに記載の制御回路と、を備えてもよい。
【0028】
本発明の別の態様もまた、ワイヤレス受電装置である。ワイヤレス装置は、受信コイルと、受信コイルに接続され、整流電圧を生成する整流回路と、整流電圧を受け、電池を充電する充電回路と、受信コイルに接続され、制御値にもとづいて受信コイルの電圧または電流を変調し、ワイヤレス送電装置に制御値を含む制御パケットを送信する変調器と、充電回路から電池に供給される充電電流を制御する充電制御部と、現在の整流電圧とその目標値の誤差にもとづいてワイヤレス送電装置からの送信電力量を指示する制御エラー値を、制御値として変調器に出力する電力制御部と、を備える。充電制御部は、誤差の絶対値が所定の許容値を超えないように、充電電流を変化させる。
【0029】
この態様によると、整流電圧の誤差を監視しながら充電電流を変化させることにより、整流電圧が目標値から著しく逸脱したり、整流電圧が急峻な波形で変化するのを防止でき、これにより送電装置と受電装置の間の通信を安定化できる。
【0030】
充電制御部は、充電電流を初期値から最終値まで変化させるとき、充電電流を所定量変化させるステップと、誤差の絶対値が所定のしきい値より小さくなるまで待機するステップと、を繰り返してもよい。
【0031】
充電制御部は、所定の最小ステップを単位として、充電電流を変化させてもよい。
【0032】
ワイヤレス受電装置は、Qi規格に準拠してもよい。
【0033】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0034】
本発明のある態様によれば、送電装置との通信を安定化できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】Qi規格に準拠したワイヤレス給電システムの構成を示す図である。
図2図1の給電システムの動作シーケンスを示すフローチャートである。
図3図1の受電装置の動作波形図である。
図4】実施の形態に係るワイヤレス受電装置の構成を示す回路図である。
図5図4の受電装置の動作を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0037】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0038】
図4は、実施の形態に係るワイヤレス受電装置(以下、単に受電装置と称する)300の構成を示す回路図である。受電装置300は、図1のQi規格に準拠した給電システム100に使用される。
【0039】
受電装置300は、受信コイル302、整流回路304、コンデンサ306、変調器308、充電回路314、2次電池310、制御回路320、を備える。
【0040】
受信コイル302は、送電装置200から送信された電力信号S2を受信するとともに、制御信号(制御パケット)S3を送信するために設けられる。整流回路304は、受信コイル302に接続され、整流電圧Vrectを生成する。整流回路304の出力には、平滑用のコンデンサ306が接続される。
【0041】
充電回路314は、整流電圧Vrectを受け、2次電池310を充電する。充電回路314は、後述する制御回路320により指示されたモードで動作可能であり、また充電電流Ibatも制御回路320からの指令値にもとづいて調節可能となっている。
【0042】
変調器308は、受信コイル302に接続され、制御値S5にもとづいて受信コイル302の電圧または電流を変調し、ワイヤレス送電装置(不図示)に制御値S5を含む制御信号S3を送信する。
【0043】
制御回路320は、充電制御部322および電力制御部324を備え、ひとつの半導体基板に一体集積化される。充電回路314は、充電回路314を制御し、2次電池310に供給される充電電流Ibatを調節する。具体的には、2次電池310の状態、たとえば電池電圧Vbat、2次電池310の残量等にもとづいて、最適な充電電流Ibatを決定し、充電電流Ibatを指示する電流制御データS6を充電回路314に出力する。
【0044】
電力制御部324は、現在の整流電圧Vrectとその目標値Vrefの誤差dV=Vref-Vrectにもとづいて、ワイヤレス送電装置からの送信電力量を指示する制御エラー値CEを生成し、制御値S5として変調器308に出力する。制御エラー値CEは、たとえば誤差dVを、-128〜+128の256階調(8ビット)で量子化した値である。
【0045】
充電制御部322は、誤差dVの絶対値|dV|が所定のしきい値Vthより小さいときに、充電電流Ibatを変化させる。誤差dVの絶対値|dV|がしきい値Vthより大きいときには、充電電流Ibatを維持する。
【0046】
より好ましくは、充電制御部322は、充電電流Ibatを初期値(現在地)Istartから最終値Iendまで変化させるとき、初期値Istartから最終値Iendの間に、複数n個の中間値Im1,Im2,…Imnを設定する。そして充電制御部322は、充電電流Ibatを、初期値Istartから最終値Iendに向かって、それらの間に設けられた複数の中間値Im1,Im2,…,Imnを経てステップ状に変化させる。充電制御部322は、充電電流Ibatを1ステップ分、変化させるたびに、誤差dVの絶対値|dV|がしきい値Vthより小さくなるまで待機し、その後、充電電流Ibatを次のステップの値に変化させる。
【0047】
複数の中間値Im1〜Imnの間隔は、充電回路314に設定可能な充電電流Ibatの最小ステップ(分解能)と等しくてもよい。たとえば、充電電流Ibatが、最小値0Aと最大値2Aの間でdI=100mA刻みで選択可能である場合、中間値Imの間隔は、100mAとなる。
【0048】
別の観点から見ると、充電制御部322は、誤差dVの絶対値|dV|が所定の許容値を超えないよう定められたパターンで充電電流Ibatを変化させる。
【0049】
以上が受電装置300の構成である。続いてその動作を説明する。図5は、図4の受電装置300の動作を示す波形図(実線)である。図5には、図3に対応する波形が一点鎖線で示される。
【0050】
実施の形態に係る受電装置300の効果を明確とするため、一点鎖線を参照して、従来の受電装置300の動作を再度説明する。時刻t0に、充電電流Ibatの目標値が、現在の値(初期値)Istartから、次の目標値(最終値)Iendに変化する。従来では、一点鎖線で示すように、時刻t0に、充電電流Ibatが初期値Istartから最終値Iendに切りかえられており、これにより、整流電圧Vrectは、その目標値Vrefから急峻に、また大幅に低下することとなり、送電装置200と受電装置300の間の通信が遮断されるなどの問題が生ずることとなっていた。
【0051】
翻って実施の形態に係る受電装置300の動作を、実線を参照して説明する。充電電流Ibatを、初期値Istartから最終値Iendに変化させるとき、複数の中間値Im1,Im2,Im3,…が決定される。たとえばIstart=500mA、Iend=1100mAであるとき、充電電流Ibatは、100mA刻みで6ステップにて段階的に切りかえられる。
【0052】
はじめに充電電流Ibatは、第1中間値Im1(=600mA)に設定される。これにより、整流電圧Vrectはわずかに低下する。整流電圧Vrectの低下によって、誤差dVが増大すると、制御エラー値CEが増大する。これにより送電装置200は送信電力を増大させる。この動作が繰り返されると、整流電圧Vrectが上昇して目標値Vrefに近づき、それらの誤差dVである制御エラー値CEは小さくなる。
【0053】
そして時刻t1に、制御エラー値CEがしきい値電圧Vthに対応するしきい値THまで小さくなると、つまり誤差dVの絶対値|dV|がしきい値電圧Vthより小さくなると、充電電流Ibatが次の中間値Im2(=700mA)に切りかえられる。制御回路320は、この動作を繰り返し、充電電流Ibatを最終値Iendまで変化させる。
【0054】
この受電装置300によれば、誤差dVの絶対値|dV|がしきい値Vthより大きいときには、充電電流Ibatの設定値を維持し、誤差dVの絶対値|dV|が小さくなるまで待機することにより、整流電圧Vrectが目標値Vrefから著しく逸脱したり、整流電圧Vrectが急峻な波形で変化するのを防止でき、これにより送電装置200と受電装置300の間の通信を安定化できる。
【0055】
時刻t3以降には、充電電流Ibatを小さくするときの動作が示される。たとえばIstart=1100mA、Iend=700mAであり、充電電流Ibatは、100mA刻みで4ステップで段階的に切りかえられる。
【0056】
はじめに充電電流Ibatは、第1中間値Im1(=1000mA)に設定される。これにより、整流電圧Vrectはわずかに上昇する。整流電圧Vrectの上昇によって、制御エラー値CEが小さくなる(その絶対値は増大する)。これにより送電装置200は送信電力を減少させる。この動作が繰り返されると、整流電圧Vrectが低下して目標値Vrefに近づき、それらの誤差dVである制御エラー値CEの絶対値は小さくなる。
【0057】
そして時刻t4に、制御エラー値CEがしきい値-THまで上昇すると、つまり誤差dVの絶対値|dV|がしきい値電圧Vthより小さくなると、充電電流Ibatが次の中間値Im2(=900mA)に切りかえられる。制御回路320は、この動作を繰り返し、充電電流Ibatを最終値Iendまで変化させる。
【0058】
これにより、充電電流Ibatを減少させるときにも、送電装置200と受電装置300の間の通信を安定化できる。
【0059】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0060】
(第1の変形例)
実施の形態では、充電電流Ibatを増大させるとき、減少させるときの両方において、充電電流Ibatを緩やかに変化させるものとしたが本発明はそれには限定されない。たとえば、充電電流Ibatを増大させるときのみ緩やかに変化させ、減少させるときには、急峻に変化させてもよい。
【0061】
(第2の変形例)
実施の形態では、Qi規格に準拠するワイヤレス送電装置について説明したが、本発明はそれに限定されず、Qi規格と類似するシステムに使用されるワイヤレス送電装置や、将来策定されるであろう規格に準拠する送電装置200にも適用しうる。
【0062】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0063】
100…給電システム、200,TX…送電装置、201…送信アンテナ、202…送信コイル、203…共振コンデンサ、204…ドライバ、206…コントローラ、208…復調器、300,RX…受電装置、302…受信コイル、304…整流回路、306…コンデンサ、308…変調器、310…2次電池、312…コントローラ、314…充電回路、320…制御回路、322…充電制御部、324…電力制御部、S1…駆動信号、S2…電力信号、S3…制御信号。
図1
図2
図3
図4
図5