特許第6208511号(P6208511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208511
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】車両用光センサ
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/12 20060101AFI20170925BHJP
   H03K 17/78 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   G01V9/04 J
   H03K17/78 R
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-196898(P2013-196898)
(22)【出願日】2013年9月24日
(65)【公開番号】特開2015-63804(P2015-63804A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(74)【代理人】
【識別番号】100128864
【弁理士】
【氏名又は名称】川岡 秀男
(72)【発明者】
【氏名】小野 高志
(72)【発明者】
【氏名】雷 俊
(72)【発明者】
【氏名】田中 和也
(72)【発明者】
【氏名】平井 航
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−167703(JP,A)
【文献】 特開2008−092218(JP,A)
【文献】 特開昭59−170375(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0041084(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 8/12
H03K 17/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外壁部から車両外部に設定される検出領域に向けて所定間隔をおいて検出光を投光する発光部と、
検出光に対する検出領域からの受光部での受光光量により検出領域内への検出対象の進入を検出する判定部とを有し、
前記発光部は、受光部での受光光量にかかわりなく、発光光量の異なる複数種のパルスからなるパルス群を単位とする検出光を投光するとともに、
前記判定部は、各パルスに対する受光光量を発光光量比を基準とする増幅率により増幅補正して評価対象とする車両用光センサ。
【請求項2】
前記パルス群内の高発光量パルスと後続パルスとの間の発光間隔を他のパルス間間隔に比して長くした請求項1記載の車両用光センサ。
【請求項3】
前記低発光量パルスに対する判定部における判定は、当該パルスに対する増幅補正値と、先行する適数のパルスに対する評価値とで定義される統計的代表値を評価対象として実行される請求項1または2記載の車両用光センサ。
【請求項4】
請求項1から3に記載の車両用光センサと、
車両用光センサにおける検出対象の検出確認信号を条件としてアクチュエータを作動させて車両ドアを開放操作するドア制御部とを有する車両ドア開閉制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用光センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
検出精度を高めた光センサとしては、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、光センサは発光素子と受光素子とを有して構成され、受光素子における受光強度が低下した場合には発光素子の発光強度を上げることにより、受光強度が高い場合には発光素子の発光強度を下げるように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-133550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来例は、受光強度の低下に対して発光強度を上げることにより検出精度を高めるものであるために、受光強度の低下が発光素子の汚れ等、比較的長期にわたる原因に起因する場合には、高発光状態が恒常化し、バッテリ消費量が著しく増加する上に、バッテリ消費量を予め想定することができない。
【0005】
このために、商用電源等からの給電を受けない自家用車の停車中の状態を監視する用途に使用される光センサには適しないという問題がある。
【0006】
この問題を解決するためには、受光強度が低下した場合に受光側の増幅率を高めることも可能であるが、増幅率を受光強度に対応させて変化させるためには、複雑な回路構成を要するばかりでなく、SN比も低くなるために、検出精度も低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、消費電力が少なく、かつ、検出精度の高い車両用光センサ、およびこれを使用した車両ドア開閉制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば上記目的は、
車両1外壁部から車両1外部に設定される検出領域2に向けて所定間隔をおいて検出光を投光する発光部3と、
検出光に対する検出領域2からの受光部4での受光光量により検出領域2内への検出対象5の進入を検出する判定部6とを有し、
前記発光部3は、受光部4での受光光量にかかわりなく、発光光量の異なる複数種のパルスからなるパルス群を単位とする検出光を投光するとともに、
前記判定部6は、各パルスに対する受光光量を発光光量比を基準とする増幅率により増幅補正して評価対象とする車両用光センサを提供することにより達成される。
【0009】
車両用光センサ(A)は、発光部3の検出領域2への検出光の照射タイミングに合わせて検出領域2からの反射光を受光部4により受光し、受光レベルの変化により検出領域2への検出対象5の進入を検出するように構成される。
【0010】
発光部3からの検出光は、発光光量の異なる複数種のパルスを含むパルス群として発射され、判定部6は、パルス群内の各構成パルスに対応する受光部4における受光光量を概ね構成パルスの発光光量比に基づく増幅率で増幅した値を判定対象とすることにより、同一光量による受光光量として擬制して検出対象5の検出動作を行う。
【0011】
したがって本発明において、図3(a)に示すように、センサの汚れ等により受光光量が低下した場合、発光光量の増加により受光光量の低下を補う場合には、汚れの状態により消費電力が変化してその予想が困難であり、さらに、汚れの長期化することによる消費電力の増加が避けられないのに対し、発光部3での発光光量は、受光光量の変化にかかわらず一定であるために、センサの汚れの程度如何にかかわらず、消費電力が一定であり、消費電力量の正確な把握が可能になる上に、低発光量パルスを含むために、全体の消費電力も低く抑えることができる。
【0012】
また、受光光量の変化にかかわらず一定の増幅率で受光パルスの受光光量を増幅するために、汚れ等による受光光量の変化にともなって増幅量を変化させる場合に比して、信号処理を簡略化することが可能になり、演算部への負担が小さくなる。
【0013】
また、
前記パルス群内の高発光量パルスと後続パルスとの間の発光間隔を他のパルス間間隔に比して長くした車両用光センサを構成すると、より消費電力を低くすることが可能になる。
【0014】
さらに、車両用光センサは、
前記低発光量パルスに対する判定部6における判定は、当該パルスに対する増幅補正値と、先行する適数のパルスに対する評価値とで定義される統計的代表値を評価対象として実行されるように構成することができる。
【0015】
前記増幅補正は、低発光光量パルスの発光光量の差分を増幅により補うものであるが、これら増幅補正値にさらに統計的処理を施することにより、増幅に際して混入するノイズ成分を統計的に除去することが可能になり、検出精度をより高めることができる。
【0016】
評価対象のパルスに対する統計的代表値には、先行する適数のパルスと評価対象パルスとを要素とする移動平均、あるいはメディアン(中央値)等が使用できる。
【0017】
また、これら車両用光センサ(A)を使用した車両ドア開閉制御装置は、
車両用光センサ(A)と、
車両用光センサ(A)における検出対象5の検出確認信号を条件としてアクチュエータ7を作動させて車両ドア8を開放操作するドア制御部9とを有して構成することができる。
【0018】
本発明において、ドア制御部9は検出確認信号を受領すると、適宜の認証手段により解錠操作権限が認証されていること等の所定の他の条件が充足していることを条件に施錠状態の解除、および車両ドア8の開放操作信号をアクチュエータ7に出力し、ドアの開放操作が行われる。この結果、解錠条件が充足した状態で荷物、手等を検出領域2に差し出すだけで、ドアを開放することができるために、利便性が向上する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、低発光光量パルスを含むパルス群を受光光量の変化にかかわらず検出光として使用するために、センサの汚れた状態が長期に渡った場合であっても、発光光量の増加に伴う消費電力の増加が発生しないために、全体として消費電力を低く抑えることができ、低発光光量に対する受光光量を増幅して評価するために、検出精度の低下も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】車両ドア開閉制御装置が使用された車両を示す図で、(a)は背面図、(b)は側面図、(c)は(a)の1C-1C線断面図である。
図2】本発明を示す機能ブロック図である。
図3】検出光の照射状態を横軸に時間、縦軸に照射光量をとって示す図で、(a)は従来例を示すず、(b)は本発明による検出光の商社状態を示す図、(c)は(b)の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に車両ドア開閉制御装置が使用された車両1を示す。本例において車両ドア開閉制御装置は、ダンパ装置等のアクチュエータ7により駆動されるパワーバックドアの開閉動作を制御するためのバックドア制御装置として構成されるもので、車両1のバックドア(車両ドア8)に固定される車両用光センサ(A)と、アクチュエータ7を制御するためのドア制御部9とを有する。
【0022】
後述するように、光センサ(A)は、検出光が投光される所定の検出領域2内への検出対象5の進入を検出すると、検出確認信号を出力するように構成される反射型光センサであり、ライセンスプレートフィニッシャ10に囲まれたライセンスプレート取り付け凹部11の天井壁部に固定される。なお、図1において12はライセンスプレートを示す。
【0023】
また、本例において、光センサの検出領域2の中心をライセンスプレート取り付け凹部11内に位置させるために、検出光の光軸はやや車両1内方側に傾けられる(角度θ)。これにより、ライセンスプレート取り付け凹部11外での検出能が低下するために、車両1に利用者以外のヒト、動物、ゴミ等が接近した状態で光センサが不用意に反応することが防止できる。
【0024】
本例においてドア制御部9は、上記光センサ(A)から検出確認信号が出力されると、まず、利用者が所持する電子キーの認証、バックドア8の状態検出、施解錠動作等の準備動作を行った後、アクチュエータ7を駆動させる。電子キーの認証は、図外の認証装置と交信して電子キーから出力される認証コードを認証することにより行われ、認証が成立すると、バックドア8が閉扉状態にあることを条件にバックドア8を解錠操作した後、アクチュエータ7を駆動させて開扉動作が開始される。
【0025】
したがってこの実施の形態において、荷物等で手がふさがっている状態であっても、検出領域2として設定されたライセンスプレート取り付け凹部11内、あるいはその近傍に検出対象5となる荷物等を近付けるだけでバックドアの開放操作が行えるために、利便性が向上する。
【0026】
図2に示すように、光センサ(A)は、赤外線LEDを発光源とする発光部3と、赤外線受光素子を含む受光回路を備える受光部4と、制御部13とを有し、制御部13には、発光制御部13a、受光制御部13b、増幅部13c、統計処理部13d、および判定部6が含まれる。
【0027】
発光制御部13aは、発光光量の異なる所定数のパルス(p)からなるパルス群(pu)を単位とする検出光を所定の間隔で発射するように発光部3を制御する。本例において、図3(b)に示すように、各パルス群(pu)は、発光光量の高い高発光光量パルス(ph)と発光光量の低い低発光光量パルス(pl)の2種類を含み、各パルスは、センサの汚れ等により受光光量が低下しても、光量、および出力タイミングを変化させることなく、所定の光量、タイミングで照射される。
【0028】
また、発光制御部13aは、発光タイミングを受光制御部13bに、発光タイミングにおける光量情報を増幅部13cに出力する。
【0029】
受光制御部13bは、上記発光部3におけるパルス(p)の出力に同期させて検出領域2からの反射光を受光するように受光部4を制御し、受光部4からの出力は増幅部13cにおいて増幅されて統計処理部13dに出力される。
【0030】
増幅部13cには、発光制御部13aからの光量情報に対応し、概ね発光光量に比例する増幅率が予め決定されており、発光制御部13aから光量情報を受領すると、所定の増幅率を適用して受光部4からの出力に対して増幅補正が行われる。
【0031】
増幅部13cは、いわゆる電子的増幅回路によることも、あるいは受光部4からの出力をデジタル出力し、出力値と増幅率との積として求めることも可能であり、増幅部13cを電子的増幅回路により構成する場合、発光制御部13aからの光量情報は、増幅回路のスイッチ情報として出力される。
【0032】
統計処理部13dは、上記増幅部13cからの出力値を統計的に処理してノイズによる突出値等を除去するもので、上記出力値と、この出力値に先行する予め設定された適数個の出力値との統計的代表値(本例においては中央値)を評価対象値として判定部6に出力する。
【0033】
評価対象値を受領した判定部6は、評価対象値が予め設定されたしきい値を超える場合に検出信号を出力し、制御部13は検出確認信号をドア制御部9に出力する。
【0034】
なお、以上においては、検出光が高低2種類の発光光量のパルス(ph、pl)からなるパルス群(pu)により構成される場合を示したが、3種類以上の発光光量のパルスからパルス群を構成することも可能であり、さらに、図3(c)に示すように、高発光光量パルスと後続のパルスとの間の間隔を大きくとることにより消費電力を抑えることも可能である。
【0035】
また、統計処理部において使用する統計的代表値としては、中央値以外に移動平均値等、デジタルノイズ除去フィルタとして多用される関数を使用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 車両
2 検出領域
3 発光部
4 受光部
5 検出対象
6 判定部
7 アクチュエータ
8 車両ドア
9 ドア制御部
A 車両用光センサ
図1
図2
図3