(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タッチパネルやタッチパッドは、一般に多数のセンサを平面上に密に配置する必要がある。そのため、製造コストが上昇するとともに、複雑な制御が必要であった。ここで少数のセンサを用いて複数のジェスチャ入力を行うことも可能である。しかし、少数であっても複数のセンサが必要となるため、相変わらず製造コストが上昇する傾向にある。
【0006】
例えば、フォトリフレクタをタップすると入力として受け付けるなど、1つのセンサのみで入力を行うこともできる。しかし、きわめて少数のジェスチャ入力しか行えず、所望の入力を行うのに時間がかかっていた。
【0007】
また、特許文献1のようにフォトリフレクタとユーザの指との距離をフォトリフレクタの出力信号から検出し、それにより入力を行うことも可能であるが、入力が難しく、さらに入力に時間がかかっていた。特許文献2に記載の装置は、センサが測定した密度の変化に応じた入力を行う入力装置への適用が考えられるが、複数のフォトリフレクタを内蔵するものであるため、構造が複雑で製造コストの上昇を招く。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、複数のジェスチャ入力を簡易な構成で効率的に行うことができる入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る入力装置は、ユーザのジェスチャを認識する入力装置であって、ユーザの指の動作を検出し、指の動作に応じた信号を発生する1つの検出センサと、発生した信号に対応するジェスチャを認識するジェスチャ認識手段と、ジェスチャ認識手段が認識したジェスチャに対応する操作信号を他のデバイスに通知する通知手段と、を備える。
【0010】
本発明の入力装置は、ユーザによって所定の指の動作をすると、1つの検出センサが、ユーザの指の動きを感知し、ユーザの指の動きに応じた信号を出力する。ジェスチャ認識手段は、発生した信号により、信号に対応するジェスチャを認識する。通知手段は、ジェスチャ認識手段が認識したジェスチャに対応する操作信号を他のデバイスへ通知する。このような構成により、本発明に係る入力装置は、複数の検出センサを用いることなく、1つの検出センサを用いた簡易な構成で効率的な複数のジェスチャ入力を実現することができる。
【0011】
また、本発明に係る入力装置は、ジェスチャ認識手段が、動作する指の本数を認識する構成とすることが望ましい。指の本数を認識することで、多くのジェスチャを効率的に認識することができる。
【0012】
また、より具体的には、本発明に係る入力装置は、ジェスチャ認識手段は、画面に接触または近接した状態で指を滑らせる操作であるスワイプが為されるとき、検出センサが発生する信号の変化から指と指の間の間隙の数を検出し、間隙の数から指の本数を認識することが望ましい。上記構成によれば、精度良く指の本数を認識することができる。
【0013】
また、本発明に係る入力装置は、ジェスチャ認識手段は、検出センサの信号の変化によりスワイプの向きを認識することが望ましい。スワイプの向きを認識することで、多くのジェスチャを効率的に認識することができる。
【0014】
また、より具体的には、本発明に係る入力装置は、検出センサは、スワイプの向きに沿って感度が変化するように構成され、ジェスチャ認識手段は、検出センサが発生する信号の波形の立ち上がり及び立ち下がりの感度の変化を検出し、波形の変化に対応したスワイプの向きを認識することが望ましい。上記構成によれば、精度良くスワイプの向きを認識することができる。
【0015】
また、検出センサの一部にNDフィルタを配置し、検出センサが一方向に沿って感度が変化するように構成することが望ましい。
【0016】
また、ジェスチャ認識手段は、検出センサが発生する信号の強度のピークに近い期間の継続時間及び、信号の波形の立ち上がり及び立ち下がりの信号の変化に基づき、画面を指で短くたたく操作であるタップを認識することが望ましい。
【0017】
また、より具体的には、前記検出センサは、フォトリフレクタ、静電容量式のタッチセンサ、感圧センサであることが望ましい。上記検出センサによれば、精度良くユーザの指の動作を感知することができる。
【0018】
また、本発明に係る入力装置は、検出センサに隣接して凹凸が設けられていることが望ましい。検出センサに隣接して凹凸が設けられていることで、ユーザは目視することなく容易に、ジェスチャによる入力をすることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数のジェスチャ入力を簡易な構成で効率的に行うことができる入力装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】
図1は、入力装置100の概略構成を示す図である。なお、同図では、入力装置100の構成要素であるフォトリフレクタ13の周辺を拡大して示している。入力装置100はユーザによる指Fの動きを基にユーザの行ったジェスチャを判断することにより、他のデバイスへの操作入力を可能とする装置である。同図に示すように、入力装置100は、単一のフォトリフレクタ13と、ND(Neutral Density)フィルタ14と、ICチップ20とがケース1内に配置されて構成されている。
【0023】
フォトリフレクタ13、NDフィルタ14、及びICチップ20を収容するケース1は、例えば長方形等の長尺状の形状をしている。少なくともフォトリフレクタ13の上部は赤外線透過性を有する材料で構成されている。
【0024】
以下の説明では、ケース1の表面1aの長手方向に沿った方向をX軸方向とし、ケース1の表面1aの短手方向に沿った方向をY軸方向とする。
【0025】
フォトリフレクタ13は、1つのフォトトランジスタ11と1つの赤外線LED12とが一体化された検出センサである。詳細には、フォトリフレクタ13は、ケース1の内部においてフォトトランジスタ11と赤外線LED12とがY軸方向に沿って並んで配置されるように構成されている。このようなフォトリフレクタ13としては様々なサイズのものが使用され得るが、例えば、5mm四方の大きさ以下のものが好ましい。
【0026】
上記構成のフォトリフレクタ13においては、赤外線LED12が赤外光をケース1の表面1a(画面)上の赤外線LED12とフォトトランジスタ11との間の領域Sに向けて放出し、それに応じてフォトトランジスタ11が表面1a上の領域S近傍で反射された赤外光を受光して光電流を生成し、光電流に応じて出力信号を出力する。すなわち、フォトリフレクタ13は、指Fが表面1a上の領域Sに接触または接近した際には、強度の高い出力信号を生成し、指Fが表面1a上の領域Sから離れている際には、強度の低い出力信号を生成するように構成されている。これにより、フォトリフレクタ13は、ユーザの指の動作を検出して、その動作に応じた出力信号を発生させることが可能となる。これは、指Fが領域Sに接触又は接近した場合には赤外線LED12からの赤外光が指Fによってフォトトランジスタ11に向けて反射されるため、フォトリフレクタ13の出力信号の強度が高くなる一方、指Fが領域Sから遠ざかっている場合には赤外線LED12からの赤外光が指Fによって反射されないため、フォトリフレクタ13の出力信号の強度が低くなるためである。
【0027】
NDフィルタ14は、光のエネルギーの相対分光分布を変えることなく光の強度を減衰させるフィルタである。このNDフィルタ14は、ケース1の表面1aに沿ってフォトリフレクタ13の一部分をケース1の内側あるいは外側から覆うように配置されている。例えば、NDフィルタ14は、表面1a上の領域SのX軸方向の半分を少なくとも覆っている。これにより、フォトリフレクタ13の感度をX軸方向に沿って変化させることができる。
【0028】
ICチップ20は、ケース1の内部に収容され、ケース1の内部でフォトトランジスタ11及び赤外線LED12に電気的に接続されている。このICチップ20は、フォトリフレクタ13からの出力信号を信号処理する。
図2に示すように、ICチップ20は、物理的には、1又は複数のCPU201、主記憶装置であるRAM202及びROM203、有線或いは無線により外部と信号を送受信するデータ送受信デバイスである通信モジュール204、半導体メモリ等の補助記憶装置205などを含むコンピュータシステムとして構成されている。
図2におけるICチップ20の各機能は、
図2に示されるCPU201、RAM202等のハードウェア上に1又は複数の所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU201の制御のもとで通信モジュール204を動作させるとともに、RAM202や補助記憶装置205におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0029】
次に、ICチップ20の機能構成について詳述する。
図3は、ICチップ20の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、ICチップ20は、信号受信部21と、ジェスチャ認識部(ジェスチャ認識手段)22と、通知部(通知手段)23とを含んで構成されている。
【0030】
信号受信部21は、フォトリフレクタ13が生成した受光の強度を表す出力信号を受信する手段である。さらに、信号受信部21は、受信した出力信号をジェスチャ認識部22に通知する。
【0031】
ジェスチャ認識部22は、信号受信部21が受信した出力信号に対応するジェスチャを認識する。ジェスチャ認識部22は、フォトリフレクタ13が出力した出力信号を信号受信部21から受信して解析する。具体的には、複数のジェスチャに対応して予め定められた信号の波形と比較して、特定のジェスチャとして認識できるかどうかを判断する。さらに、ジェスチャ認識部22は判断したユーザのジェスチャに対応する操作信号を通知部23に通知する。通知部23は、入力装置100の外部の他のデバイス200に、有線通信或いは無線通信を利用して、操作信号を通知する。
【0032】
まず、ジェスチャ認識部22は7種類のジェスチャが認識可能に構成されている。7種類のジェスチャとは、ケース1の表面1a上で指を短くたたく操作であるタップ、1本〜3本指を表面1a上に接触又は近接させた状態でそれらの指をX軸の正の向きに滑らせる操作である右スワイプ、及び1本〜3本指を表面1a上に接触又は近接させた状態でそれらの指をX軸の負の向きに滑らせる操作である左スワイプである。ただし、ジェスチャ認識部22は、1〜3本指によるジェスチャを認識する場合には限定されず、4本以上の指によるジェスチャを認識可能としていてもよい。
【0033】
すなわち、ジェスチャ認識部22は、タップのジェスチャを次のようにして認識する。
図4は、信号受信部21の受信する出力信号の特性の一例を示し、横軸に指Fの動作時間(経過時間)、縦軸に出力信号の強度を示している。既に述べたように、出力信号の強さは、フォトリフレクタ13上の領域Sと指Fとの距離によって変化する。詳細には、ジェスチャ認識部22は、
図4の特性T11に示すような出力信号を受信した場合にはタップとしてジェスチャを認識する。すなわち、ジェスチャ認識部22は出力信号の描く波形が、予め定められたタップのジェスチャに対応する特定の波形(
図4の特性T11の波形)と近似するかどうかを解析する。具体的には、ジェスチャ認識部22は、特性T11の波形のように、立ち上がり及び立ち下がりが急峻な1つのピークを有しており、強度のピークに近い期間が一定時間(例えば50ms)継続しているような波形を認識した場合は、タップのジェスチャであると判断する。なお、ジェスチャ認識部22は、フォトリフレクタ13の出力信号のピーク値を検出し、立ち上がり時間及び立ち下がり時間の双方を、強度のピーク値の10%の経過時間と強度のピーク値の90%の経過時間との間の時間として検出し、検出した時間が所定の時間より短い場合に、立ち上がり及び立ち下がりが急峻であると判断してもよい。ここで、ジェスチャ認識部22は、立ち上がり時間及び立ち下がり時間を検出する際には、ピーク値の10%と90%との間を変化する時間を検出することには限定されず、ピーク値の20%と80%との間を変化する時間等、他の強度の割合を変化する時間を検出してもよい。もしくは、立ち上がり及び立ち下がりが急峻であるかを判断する代わりに、フォトリフレクタ13の出力信号が予め定められた値を超えている時間を検出してもよい。さらに、立ち上がり及び立ち下がりが急峻であるかを判断する代わりに、立ち上がりおよび立ち下がりに要した時間と、立ち上がりから立ち下がりまでの時間の比率を検出するようにしてもよい。さらに、ジェスチャ認識部22は、タップ動作に対応する操作信号を通知部23に通知する。
【0034】
一方、ジェスチャ認識部22は、1本指のスワイプのジェスチャを次のようにして認識する。すなわち、ジェスチャ認識部22は、
図4の特性T12に示すような出力信号を受信した場合には、1本指によるスワイプとしてジェスチャを認識する。詳細には、ジェスチャ認識部22は、出力信号の描く波形が、予め定められた1本指によるスワイプに対応する特定の波形と近似するかどうかを解析する。具体的には、ジェスチャ認識部22は、特性T12の波形のように、立ち上がり及び立ち下がりがタップと比べて比較的緩やかで、かつ明瞭な1つのピークを有しており、強度のピークに近い期間が比較的短時間であるような波形を認識した場合は、1本指によるスワイプと判断する。さらに、ジェスチャ認識部22は、1本指によるスワイプ動作に対応する操作信号を通知部23に通知する。
【0035】
また、ジェスチャ認識部22は、スワイプのジェスチャを認識する際には、出力信号の波形に基づいて、右方向(X軸の正の向き)へのスワイプ(右スワイプ)と左方向(X軸の負の向き)へのスワイプ(左スワイプ)とを判別する。
図5は、信号受信部21の受信する出力信号の特性の一例を示し、横軸に指Fの動作時間(経過時間)と縦軸にフォトリフレクタ13の出力信号の強度を示している。同図において、出力信号の特性T21は右スワイプに対応した出力信号を示し、出力信号の特性T22は左スワイプに対応した出力信号を示している。このように、右スワイプの特性T21は、立ち上がりが急峻であり、立ち下がりが緩やかである。言い換えると、特性T21は立ち上がりの時間(T21u)よりも立ち下がりの時間(T21d)の方が長い。これに対して、左スワイプの特性T22は、立ち上がりが緩やかであり、立ち下がりが急峻である。言い換えると、特性T22は立ち上がりの時間(T22u)の方が立ち下がりの時間(T22d)よりも長い。これは、フォトリフレクタ13の感度がX軸方向に沿って変化していることによる。ジェスチャ認識部22は、この立ち上がり及び立ち下がりの傾きを検出することにより、その違いに対応したスワイプの向きを認識する。
【0036】
詳細には、ジェスチャ認識部22は、フォトリフレクタ13の出力信号のピーク値を検出し、立ち上がり時間及び立ち下がり時間の双方を、強度のピーク値の10%の経過時間と強度のピーク値の90%の経過時間との間の時間として検出する。そして、ジェスチャ認識部22は、立ち上がり時間と立ち下がり時間とを比較して、立ち上がり時間が立ち下がり時間よりもある程度長い場合には左スワイプと判断し、立ち上がり時間が立ち下がり時間よりもある程度短い場合には右スワイプと判断する。ここで、ジェスチャ認識部22は、立ち上がり時間及び立ち下がり時間を検出する際には、ピーク値の10%と90%との間を変化する時間を検出することには限定されず、ピーク値の20%と80%との間を変化する時間等、他の強度の割合を変化する時間を検出してもよい。また、ジェスチャ認識部22は、所定の強度割合を変化する時間を検出する代わりに、立ち上がり及び立ち下がりの強度の時間に対する変化率(傾き)を検出し、その変化率を基にスワイプの向きを認識してもよい。
【0037】
また、ジェスチャ認識部22は、スワイプのジェスチャを認識する際には、出力信号の波形に基づいて、ユーザによって動作された指Fの本数を認識する。すなわち、ジェスチャ認識部22は、ユーザによるスワイプが何本の指Fで行われたかの判断を、フォトリフレクタ13の出力信号の変化により判断する。この判断は、ユーザによるスワイプが複数の指Fで行われた場合には、出力信号に複数のピークがあることを利用している。これは、ユーザの複数の指Fの間隙部分がフォトリフレクタ13上の領域Sを連続して通過する時、ある一本の指Fが領域Sを通過するとフォトリフレクタ13の出力信号が弱まり、その直後に隣の指Fが領域Sに近づくことにより再度出力信号が強くなるためである。これにより、スワイプする複数の指Fの間隙の数を、出力信号の波形のピークの間隙の数から把握することができる。そして、出力信号のピークの数は指Fの本数に一致するので、ジェスチャ認識部22は、出力信号のピークの数から指Fの本数を判断する。なお、ジェスチャ認識部22は、複数の指F同士が接触した状態でスワイプの動作が行われた場合にも、複数の指Fの間にはわずかな間隙ができるので、その間隙に起因した出力信号の変化を基にスワイプの指の本数を認識できる。
【0038】
より具体的には、ジェスチャ認識部22は、
図4の特性T13に示すような出力信号を受信した場合には、その波形が2つのピークを有しているので、2本の指によるスワイプとしてジェスチャを認識する。そして、ジェスチャ認識部22は2本の指のスワイプ動作に対応する操作信号を通知部23に通知する。また、ジェスチャ認識部22は、
図4の特性T14に示すような出力信号を受信した場合には、その波形が3つのピークを有しているので、3本の指によるスワイプとしてジェスチャを認識する。そして、ジェスチャ認識部22は3本の指のスワイプ動作に対応する操作信号を通知部23に通知する。
【0039】
引き続いて、
図6を参照して、入力装置100によるジェスチャ認識手順について説明する。
図6は、入力装置によるジェスチャ認識処理の手順を示すフローチャートである。
【0040】
最初に、フォトリフレクタ13が指のジェスチャ動作を検出し、その動作に応じた出力信号を生成する(ステップS11)。次に、フォトリフレクタ13から信号受信部21に出力信号が送信され、それに応じて、ジェスチャ認識部22が、フォトリフレクタ13からの出力信号のピークが1つであるかどうかを判断する(ステップS12)。その結果、出力信号のピークが1つであると判断した場合には(ステップS12;YES)、ジェスチャ認識部22は、さらに出力信号の強度のピークに近い期間が一定時間(本実施形態では50ms以上とする)であるかどうかを判断する(ステップS13)。その結果、強度のピークに近い期間が50ms以上であると判断した場合には(ステップS13;YES)、ジェスチャ認識部22はジェスチャをタップ動作と判断する(ステップS14)。一方、強度のピークに近い期間が50ms以下であると判断した場合には(ステップS13;NO)、ジェスチャ認識部22はジェスチャを1本指スワイプと判断する(ステップS15)。
【0041】
次に、フォトリフレクタ13の出力信号のピークが1つでないと判断した場合には(ステップS12;NO)、ジェスチャ認識部22はフォトリフレクタ13の出力信号のピークが2つであるかどうかを判断する(ステップS16)。その結果、フォトリフレクタ13の出力信号のピークが2つであると判断した場合には(ステップS16;YES)、ジェスチャ認識部22はジェスチャを2本指スワイプと判断する(ステップS17)。
【0042】
一方、出力信号のピークが2つでないと判断した場合には(ステップS17;NO)、ジェスチャ認識部22はさらにフォトリフレクタ13の出力信号のピークが3つであるかどうかを判断する(ステップS18)。その結果、フォトリフレクタ13の出力信号のピークが3つであると判断した場合には(ステップS18;YES)、ジェスチャ認識部22はジェスチャを3本指スワイプと判断する(ステップS19)。フォトリフレクタ13の出力信号のピークが3つでないと判断した場合には(ステップS18;NO)、ジェスチャ認識部22はエラーと判断する。
【0043】
続いて、ジェスチャ認識部22がジェスチャを1本指スワイプ、2本指スワイプ及び3本指スワイプと判断した場合(ステップS15、ステップS17、ステップS19)には、ジェスチャ認識部22は、さらにスワイプの向きを判別する(ステップS30)。ジェスチャ認識部22は、タップ動作と判断した後(ステップS14)に、その動作に対応する操作信号の出力を行う(ステップS21)。また、ジェスチャ認識部22は、スワイプ動作と判断した場合にはスワイプの向きを判別(ステップS30)した後に、判断したジェスチャに対応する操作信号の出力を行う(ステップS21)。
【0044】
次に、
図7を参照して、ジェスチャ認識部22によるスワイプの向きの判別の方法について説明する。
図7は、
図6のステップS30の詳細の手順を示すフローチャートである。
【0045】
スワイプの向きの判別が開始されると、ジェスチャ認識部22が、立ち上がり及び立ち下がりの信号の変化を検出する(ステップS31)。ジェスチャ認識部22は、スワイプ方向の信号の変化の検出結果に基づいて、出力信号の傾きが立ち上がり及び立ち下がりのどちらが大きいかを判断する(ステップS32)。その結果、立ち上がりの方が立ち下がりよりも傾きが大きいと判断した場合には(ステップS32;YES)右スワイプと判断する(ステップS33)。一方、立ち上がりよりも立ち下がりの方の傾きが大きいと判断した場合には(ステップS32;NO)左スワイプと判断する(ステップS34)。
【0046】
上述した入力装置100によれば、フォトリフレクタ13がユーザによるジェスチャを検出して出力信号を発生させ、ジェスチャ認識部22が、フォトリフレクタ13の出力する出力信号の波形を定められた波形と比較してジェスチャを判断することにより、他のデバイス200にユーザのジェスチャに基づく操作信号を送信する。これにより、センサの出力波形に基づきジェスチャを判断することで、フォトリフレクタ13が1つであっても容易かつ効率的に複数のジェスチャによる入力操作を行うことが可能となる。
【0047】
また、フォトリフレクタ13が1つで済むので、構造が複雑となることや、製造コストが上昇するという問題は生じない。
【0048】
また、フォトリフレクタ13の出力する出力信号の波形に基づきジェスチャの指の本数をジェスチャ認識部22が判断することができる。これにより、複数のジェスチャを効率的に入力することができ、さらに所望の入力を素早く確実に行うことができるようになる。
【0049】
また、フォトリフレクタ13の出力する出力信号の波形に基づきジェスチャのスワイプの向きをジェスチャ認識部22が判断することができる。これにより、複数のジェスチャを効率的に入力することができ、さらに所望の入力を素早く確実に行うことができるようになる。
【0050】
結果として、フォトリフレクタ13が1つであっても、ケース1の表面1a上で指を短くたたく操作であるタップ、1本〜3本指を表面1a上に接触又は近接させた状態でそれらの指をX軸の正の向きに滑らせる操作である右スワイプ、及び1本〜3本指を表面1a上に接触又は近接させた状態でそれらの指をX軸の負の向きに滑らせる操作である左スワイプの複数のジェスチャを、誤認識なく確実に判断することができる。
【0051】
また、フォトリフレクタ13の検出領域の一部にNDフィルタ14を配置した構成を採用することで、スワイプのジェスチャの向きの判別の精度を向上させることができる。
図8は、本実施形態及び比較例における検出信号の立ち上がりの傾きと立ち下がりの傾きの分布を示す図である。同図では、本実施形態において右スワイプ及び左スワイプを複数回行った際の分布と、及びNDフィルタ14が配置されていない比較例において右スワイプ及び左スワイプを複数回行った際の分布を示している。比較例のようにNDフィルタ14を配置しない場合は、検出信号のピークの値が大きくなるとともに必然的に傾きも大きくなるが、フォトリフレクタ13の感度がX軸方向に沿って変化しないので右スワイプと左スワイプとで分布が分かれない。その一方で、本実施形態のようにNDフィルタ14を配置した場合には、右スワイプと左スワイプとで分布が分かれるので、立ち上がりの傾きと立ち下がりの傾きのとの間の変化を基に、右スワイプと左スワイプを容易に判別することが可能となる。
【0052】
また、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0053】
また、
図9に示す本発明の変形例に係る入力装置100Aのように、フォトリフレクタ13に隣接して凹凸が設けられていてもよい。同図は、凸部15を表面1a上のフォトリフレクタ13の近傍に設けた例を示している。凸部15に代わりに凹部を設けてもよい。このように、フォトリフレクタ13に隣接して凹凸が設けられていれば、ユーザは触覚によりフォトリフレクタ13を認識することができる。よって、ユーザは目視することなく容易に、ジェスチャを入力することが可能となる。
【0054】
また、入力装置100に内蔵する検出センサはフォトリフレクタ13に限られない。一方向に沿って誘電率が異なっている静電容量式のタッチセンサや一方向に沿って硬度が異なっている感圧センサであってもよい。
図10には、検出センサがX軸方向に沿って誘電率が異なっている静電容量式のタッチセンサ13Bを含む入力装置100Bの構成を示している。この場合、入力装置100Bを構成するタッチセンサ13Bは、X軸に沿って配置された誘電率の異なる部材15a,15bを含んで構成される。また、タッチセンサ13Bは、感圧センサであってもよく、その場合は、感圧センサは、X軸に沿って配置された硬度が異なる複数の部材を含んで構成される。これらの検出センサであっても、検出センサの感度をX軸に沿って変化させることができ、ジェスチャの種類によって異なる出力信号を発生させることが可能となる。
【0055】
また、NDフィルタを配置することでフォトリフレクタ13の感度を変化させず、フォトリフレクタ13の感度を変化させる他の方法を用いてもよい。例えば、フォトリフレクタ13自体がスワイプ方向に対して透過率が変化するように作られていてもよい。また、LED12やフォトトランジスタ11の指向性をレンズによって変化させることにより、フォトリフレクタ13の感度を変化させるように構成されていてもよい。
【0056】
また、タップ動作を判断する場合に、出力信号のピークに近い期間の継続期間の判断(
図6のステップ13の動作)の後にジェスチャ認識部22が信号の波形の立ち上がり及び立ち下がりの信号の変化を判断してもよい。
【0057】
また、入力装置100で認識するジェスチャは指Fによるものには限定されず、タッチペンやバーコード等の他の種類の操作子によるものであってもよい。
【0058】
このような本実施形態の入力装置の応用の1つに、腕時計型デバイスや眼鏡型デバイスなどの小型のデバイスへの適用がある。このようなデバイスに、眼鏡のツルの部分に本実施形態の入力装置を埋め込めば、様々な種類のジェスチャ入力を実現することができる。