特許第6208526号(P6208526)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6208526生体情報表示装置及び生体情報表示用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208526
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】生体情報表示装置及び生体情報表示用プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20170925BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   A61B5/02 A
   A61B5/02 635A
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-214509(P2013-214509)
(22)【出願日】2013年10月15日
(65)【公開番号】特開2015-77165(P2015-77165A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 丈仁
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 貴志
(72)【発明者】
【氏名】矢出 雅洋
【審査官】 伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−092556(JP,A)
【文献】 特開2004−016746(JP,A)
【文献】 特開平11−318841(JP,A)
【文献】 特開2010−122901(JP,A)
【文献】 特開2004−081621(JP,A)
【文献】 特開平06−215011(JP,A)
【文献】 特開2002−230174(JP,A)
【文献】 特開2006−320701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 − 5/01
A61B 5/02 − 5/03
A61B 5/04 − 5/053
A61B 5/06 − 5/22
A61B 8/00 − 8/15
G06Q 50/22 − 50/24
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の生体信号を取得するための取得手段から得られた生体信号に基づきパラメータの計測値を算出する演算手段と、
情報を表示するための表示部と、
動脈の硬化に関する硬化パラメータと動脈の狭窄/閉塞に関する狭窄/閉塞パラメータの異なるレーダチャートを作成すると共に、前記パラメータの計測値をレーダチャート上に、中心から放射状に延びる異なるそれぞれの線分上に臨床上の値が悪くなるに連れて中心から遠方の位置にプロットして、前記異なるレーダチャートを前記表示部の同一画面または異なる画面に表示する表示制御手段と
を具備する生体情報表示装置。
【請求項2】
表示制御手段は、各パラメータにおける正常範囲が対応するそれぞれの線分上において、等距離となるようにスケール調整して表示する請求項1に記載の生体情報表示装置。
【請求項3】
表示制御手段は、各パラメータにおいて、少なくとも正常範囲と異常範囲とに範囲分けし、範囲毎に色またはテクスチャを変えて表示する請求項1または2に記載の生体情報表示装置。
【請求項4】
パラメータを指示入力する入力手段を備え、
表示制御手段は、前記入力手段により指示入力されたパラメータについてのみレーダチャートに表示する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の生体情報表示装置。
【請求項5】
表示制御手段は、レーダチャートに重ねて生体図を表示し、パラメータの測定部位に対応する前記表示した生体図の位置に当該パラメータの線分を表示する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生体情報表示装置。
【請求項6】
表示制御手段は、レーダチャートにおける線分上のプロット点を結ぶ線分を表示する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の生体情報表示装置。
【請求項7】
生体情報表示装置に備えられるコンピュータを、
生体に関する動脈の硬化に関する硬化パラメータと動脈の狭窄/閉塞に関する狭窄/閉塞パラメータの異なるレーダチャートを作成する作成手段、
前記パラメータの計測値を前記レーダチャート上に、中心から放射状に延びる異なるそれぞれの線分上に臨床上の値が悪くなるに連れて中心から遠方の位置にプロットして、前記異なるレーダチャートを表示部の同一画面または異なる画面に表示する表示制御手段
として機能させる生体情報表示用プログラム。
【請求項8】
複数のパラメータの計測値は、複数の生体信号を取得するための取得手段から得られた生体信号に基づき、算出して得たものである請求項7に記載の生体情報表示用プログラム。
【請求項9】
表示制御手段は、
各パラメータにおける正常範囲が対応するそれぞれの線分上において、等距離となるようにスケール調整して表示する請求項7乃至8のいずれか1項に記載の生体情報表示用プログラム。
【請求項10】
表示制御手段は、
各パラメータに対して、少なくとも正常範囲と異常範囲とに範囲分けし、範囲毎に色またはテクスチャを変えて表示する請求項7乃至9のいずれか1項に記載の生体情報表示用プログラム。
【請求項11】
表示制御手段は、
生体情報表示装置に備えられたパラメータを指示入力する入力手段により指示入力されたパラメータについてのみレーダチャートに表示する請求項7乃至10のいずれか1項に記載の生体情報表示用プログラム。
【請求項12】
表示制御手段は、
レーダチャートに重ねて生体図を表示し、パラメータの測定部位に対応する前記表示した生体図の位置に当該パラメータの線分を表示する請求項7乃至11のいずれか1項に記載の生体情報表示用プログラム。
【請求項13】
表示制御手段は、
レーダチャートにおける線分上のプロット点を結ぶ線分を表示する請求項7乃至12のいずれか1項に記載の生体情報表示用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動脈の状態及び/または心機能に関する複数のパラメータの計測値を適切に表示する生体情報表示装置及び生体情報表示用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動脈の状態として、動脈の伸展性及び血流障害の程度を示す計測値のパラメータとして、ABI、%MAP、UT、平均血圧、脈圧、Stiffness Parameter β、API、AVI、AI、TBI、PWVなどがあり、血管疾患の診断に用いられている。また、心機能の程度を示す計測値のパラメータとしては、EF、SV、CO、%FS、mVef、TMF、Vp、Ea、Tei indexなどが用いられている。
【0003】
上記パラメータの計測値は、一つの計測値のみを表示することが行われている。また、上記パラメータの計測値は個別に診断に用いられている。このような取り扱いでは、動脈の伸展性/血流障害、心機能の異常においては、生体における発症箇所やその程度により計測値に偏りが発生することが多く、適切に診断を行うことができない。
【0004】
原点から右上、左上、右下、左下に延びる線分上に四肢で測定した血圧をプロットし、生体部位と測定値とを直観的に捕らえられることができるようにした生体情報レポートが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−320701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記生体情報レポートはPWVなどの測定値についても合わせて表示しても良いとされている。しかし、基本的には血圧が測定されるだけであり、多種のパラメータを同時に比較できるものとはなっていない。
【0007】
本発明は上記のような従来の生体情報表示装置の現状に鑑みてなされたもので、その目的は、多種のパラメータの計測値を適切に表示し、一つのパラメータによっては偏りが多い計測を補完し、的確な診察を可能とする生体情報表示装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る生体情報表示装置は、複数の生体信号を取得するための取得手段から得られた生体信号に基づきパラメータの計測値を算出する演算手段と、情報を表示するための表示部と、動脈の硬化に関する硬化パラメータと動脈の狭窄/閉塞に関する狭窄/閉塞パラメータの異なるレーダチャートを作成すると共に、前記パラメータの計測値をレーダチャート上に、中心から放射状に延びる異なるそれぞれの線分上に臨床上の値が悪くなるに連れて中心から遠方の位置にプロットして、前記異なるレーダチャートを前記表示部の同一画面または異なる画面に表示する表示制御手段とを具備する。
【0010】
本発明に係る生体情報表示装置では、表示制御手段は、各パラメータにおける正常範囲が対応するそれぞれの線分上において、等距離となるようにスケール調整して表示する。
【0011】
本発明に係る生体情報表示装置では、表示制御手段は、各パラメータにおいて、少なくとも正常範囲と異常範囲とに範囲分けし、範囲毎に色またはテクスチャを変えて表示する。
【0012】
本発明に係る生体情報表示装置では、パラメータを指示入力する入力手段を備え、表示制御手段は、前記入力手段により指示入力されたパラメータについてのみレーダチャートに表示する。
【0013】
本発明に係る生体情報表示装置では、表示制御手段は、レーダチャートに重ねて生体図を表示し、パラメータの測定部位に対応する前記表示した生体図の位置に当該パラメータの線分を表示する。
【0014】
本発明に係る生体情報表示装置では、表示制御手段は、レーダチャートにおける線分上のプロット点を結ぶ線分を表示する。
【0015】
本発明に係る生体情報表示用プログラムは、生体情報表示装置に備えられるコンピュータを、生体に関する動脈の硬化に関する硬化パラメータと動脈の狭窄/閉塞に関する狭窄/閉塞パラメータの異なるレーダチャートを作成する作成手段、前記パラメータの計測値を前記レーダチャート上に、中心から放射状に延びる異なるそれぞれの線分上に臨床上の値が悪くなるに連れて中心から遠方の位置にプロットして、前記異なるレーダチャートを表示部の同一画面または異なる画面に表示する表示制御手段として機能させる。
【0016】
本発明に係る生体情報表示用プログラムでは、複数のパラメータの計測値は、複数の生体信号を取得するための取得手段から得られた生体信号に基づき、算出して得たものである。
【0018】
本発明に係る生体情報表示用プログラムでは、表示制御手段は、各パラメータにおける正常範囲が対応するそれぞれの線分上において、等距離となるようにスケール調整して表示する。
【0019】
本発明に係る生体情報表示用プログラムでは、表示制御手段は、各パラメータに対して、少なくとも正常範囲と異常範囲とに範囲分けし、範囲毎に色またはテクスチャを変えて表示する。
【0020】
本発明に係る生体情報表示用プログラムでは、表示制御手段は、生体情報表示装置に備えられたパラメータを指示入力する入力手段により指示入力されたパラメータについてのみレーダチャートに表示する。
【0021】
本発明に係る生体情報表示用プログラムでは、表示制御手段は、レーダチャートに重ねて生体図を表示し、パラメータの測定部位に対応する前記表示した生体図の位置に当該パラメータの線分を表示する。
【0022】
本発明に係る生体情報表示用プログラムでは、表示制御手段は、レーダチャートにおける線分上のプロット点を結ぶ線分を表示する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、パラメータの計測値を、中心から放射状に延びる異なるそれぞれの線分上において、臨床上の値が悪くなるに連れて中心から遠方の位置にプロットしたレーダチャートとして表示部に表示するので、一つのパラメータによっては偏りが多い計測を補完し、的確な診察が可能となる。また、本発明によれば、レーダチャートに重ねて生体図を表示し、パラメータの測定部位に対応する前記表示した生体図の位置に当該パラメータの線分を表示するので、複数のパラメータの計測値が測定部位に対応するように表示されており、動脈状態・心機能について直観的に生体位置との関係において診断が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る生体情報表示装置における一実施形態の構成図。
図2】本発明に係る生体情報表示装置における一実施形態の動作を示すフローチャート。
図3】本発明に係る生体情報表示装置における一実施形態の記憶部に記憶された位置情報とパラメータ分類データベースの一例を示す図。
図4】本発明に係る生体情報表示装置における一実施形態により作成された完成前の硬化系レーダチャートの一例を示す図。
図5】本発明に係る生体情報表示装置における一実施形態により作成された完成前の狭窄/閉塞系レーダチャートの一例を示す図。
図6】本発明に係る生体情報表示装置における一実施形態により作成された完成前の硬化系レーダチャートの図4とは異なる一例を示す図。
図7】本発明に係る生体情報表示装置における一実施形態により作成され表示された、一画面に2種のレーダチャートを含む表示例を示す図であり、健常者について計測した例を示す図。
図8】本発明に係る生体情報表示装置における一実施形態により作成され表示された、一画面に2種のレーダチャートを含む表示例を示す図であり、動脈硬化の兆候が認められる被験者について計測した例を示す図。
図9】本発明に係る生体情報表示装置における一実施形態により作成され表示された、一画面に2種のレーダチャートを含む表示例を示す図であり、末梢動脈に狭窄疾患のある被験者について計測した例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下添付図面を参照して本発明に係る生体情報表示装置及び生体情報表示用プログラムの実施形態を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に、本発明に係る生体情報表示装置における一実施形態の構成図を示す。この装置においては、動脈の状態及び/または心機能に関するパラメータの計測値を得るためのセンサ、つまり生体信号の取得を行う取得手段としてのセンサを具備する。センサとして、右上腕カフ11、左上腕カフ21、右下肢カフ31、左下肢カフ41、右手心電図電極51、左手心電図電極52、アース用心電図電極53、心音マイクロフォン61が設けられている。センサは一例であり、これより多くても良く、また、これより少なくても良い。更に本実施形態とは異なる生体信号を取得できるセンサを設けても良い。図1には、生体信号の取得を行う取得手段としてデータ入力部67が備えられ、このデータ入力部67から心エコーの情報が入力され、該心エコーの情報は各波形・血圧記憶部70に記憶される。心エコーの情報を取得する取得手段としては、探触子であってもよい。
【0026】
右上腕カフ11には圧力検出部12が接続され、右上腕カフ11の圧力は圧力検出部12を介して圧力制御部15により制御される。左上腕カフ21には圧力検出部22が接続され、左上腕カフ21の圧力は圧力検出部22を介して圧力制御部25により制御される。右下肢カフ31には圧力検出部32が接続され、右下肢カフ31の圧力は圧力検出部32を介して圧力制御部35により制御される。左下肢カフ41には圧力検出部42が接続され、左下肢カフ41の圧力は圧力検出部42を介して圧力制御部45により制御される。圧力制御部15、25、35、45は、後述するコンピュータによる制御下においてカフの圧力制御を行うようにしても良い。
【0027】
圧力検出部12には脈波検出部13が接続され、圧力検出部22には脈波検出部23が接続され、圧力検出部32には脈波検出部33が接続され、圧力検出部42には脈波検出部43が接続されている。
【0028】
脈波検出部13には、脈波データを得るための脈波演算部14と血圧データを得るための血圧演算部16が接続され、脈波検出部23には、脈波データを得るための脈波演算部24と血圧データを得るための血圧演算部26が接続され、脈波検出部33には、脈波データを得るための脈波演算部34と血圧データを得るための血圧演算部36が接続され、脈波検出部43には、脈波データを得るための脈波演算部44と血圧データを得るための血圧演算部46が接続されている。
【0029】
右手心電図電極51、左手心電図電極52、アース用心電図電極53は心電位検出部54に接続され、心電位検出部54には得られた心電位信号に基づき心電図データを得るための心電図演算部55が接続されている。心音マイクロフォン61には心音検出部62が接続され、心音検出部62には心音信号に基づき心音図データを得るための心音図演算部63が接続されている。
【0030】
脈波演算部14、24、34、44により得られた脈波データ、血圧演算部16、2636、46により得られた血圧データ、心電図演算部55により得られた心電図データ、心音図演算部63により得られた心音図データは、各波形・血圧記憶部70に記憶される。この各波形・血圧記憶部70には、各種パラメータ演算部80が接続されており、演算手段である各種パラメータ演算部80によって動脈の状態及び/または心機能に関する複数のパラメータについて計測値の演算が行われる。各種パラメータ演算部80は、既に示したパラメータの全てを演算して得ることができる。なお、各パラメータの計測値を求める手法は公知の手法を用いることができる。本実施形態においては、各種パラメータ演算部80が後述するレーダチャートなどに示されるパラメータを演算して得るものとして説明を行う。
【0031】
各種パラメータ演算部80による演算結果は、全計測結果処理部90へ送られる。全計測結果処理部90は、各種パラメータ演算部80による演算結果を受け取る他に、各波形・血圧記憶部70からもデータを取り出すことができる。全計測結果処理部90は、各種パラメータ演算部80による演算結果や各波形・血圧記憶部70から取り出したデータを必要に応じて記憶部110へ記憶する。
【0032】
記憶部110には、この装置に使用されるパラメータが、動脈の硬化に関する硬化パラメータと、動脈の狭窄/閉塞に関する狭窄/閉塞パラメータに分けたパラメータ分類データベースが記憶されている。また、正常範囲と異常範囲の情報、各パラメータにおける正常範囲が対応するそれぞれの線分上において、等距離となるようにスケール調整するスケール情報なども記憶部110に記憶されている。
【0033】
また、全計測結果処理部90には、表示部100と入力部120が接続されている。表示部100としては、画面に情報を表示するディスプレイの他、プリンタ等であっても良い。入力部120は、情報やコマンドを入力するキーボード(タッチパネルによるものを含む)の他、マウスなどのポインティングデバイスが備えられていても良い。全計測結果処理部90は、演算手段である各種パラメータ演算部80により算出された複数のパラメータの計測値を、中心から放射状に延びる異なるそれぞれの線分上において、臨床上の値が悪くなるに連れて中心から遠方の位置にプロットしたレーダチャートとして表示部100に表示する表示制御手段として機能する。例えば、ABI値については、正常値は1.0〜1.4、異常値は0.9以下、境界値は0.91〜0.99となる。よってABI値は値が小さくなると、臨床上の値が悪くなることを示している。例えば、%MAP値については、正常値は45%未満、異常値は45%以上となる。よって、%MAP値は値が大きくなると、臨床上の値が悪くなることを示している。
【0034】
上記入力部120は、パラメータを指示入力する入力手段として機能するものである。
全計測結果処理部90は表示制御手段として、入力手段である入力部120により指示入力されたパラメータについてのみレーダチャートに表示するように動作することができる。
【0035】
上記における脈波演算部14、24、34、44、血圧演算部16、26、36、46、心電図演算部55、心音図演算部63、各波形・血圧記憶部70、各種パラメータ演算部80、全計測結果処理部90、表示部100、記憶部110及び入力部120の部分は、コンピュータとして構成することができる。
【0036】
上記の生体情報表示装置は、図2に示されるようなフローチャートに対応するプログラムにより動作することができる。計測に先立って、被験者の予め決められた四肢などの所定部位に、右上腕カフ11、左上腕カフ21、右下肢カフ31、左下肢カフ41、右手心電図電極51、左手心電図電極52、アース用心電図電極53、心音マイクロフォン61を取り付ける。装置のオンオフスイッチなどを操作すると、動作が開始される。
【0037】
本発明では、動脈の硬化に関する硬化パラメータのレーダチャートと、動脈の狭窄/閉塞に関する狭窄/閉塞パラメータのレーダチャートに表示する。実施形態では、複数のパラメータを記憶部110のパラメータ分類データベースのデータに基づき、動脈の硬化に関する硬化パラメータと、動脈の狭窄/閉塞に関する狭窄/閉塞パラメータに分けて、異なるレーダチャートに表示する。これにより、硬化パラメータによる硬化系レーダチャートが表示され、動脈の伸展性に関する計測結果を集約させて観測することができ、動脈の硬化状態を容易に把握可能となる。また、狭窄/閉塞パラメータによる狭窄/閉塞系レーダチャートが表示され、狭窄や閉塞に伴う血流障害に関する計測結果を集約させて観測することができ、血流障害の状態把握を容易に行うことが可能となる。
【0038】
そこで全計測結果処理部90(表示制御手段)は、硬化パラメータと狭窄/閉塞パラメータに分けたそれぞれにおいて、予め定めた或いは現時点で入力部120から指示入力されたパラメータの数n(整数)に基づき、正n角形のレーダチャートを決定する(S11)。次に、この正n角形の中心から各頂角へ到る線分上に対応するパラメータの計測値をプロットするとして、各パラメータにおける正常範囲が対応するそれぞれの線分上において、等距離となるようにスケール調整する(S12)。
【0039】
次に、各パラメータにおいて、少なくとも正常範囲と異常範囲とに範囲分けし、範囲毎に色及び/またはテクスチャを変えて表示するように画像を作成する(S13)。更に、各パラメータの計測値を、中心から放射状に延びる異なるそれぞれの線分上において、臨床上の値が悪くなるに連れて中心から遠方の位置にプロットし、レーダチャートにおける線分上のプロット点を結ぶ線分を表示する画像を作成する(S14)。更に、レーダチャートに重ねて生体図(実施例では、人体図)を表示し、パラメータの測定部位に対応する前記表示した人体図の位置に当該パラメータの線分を表示する画像を作成する(S15)。
【0040】
本実施形態では、前述の通り、動脈の硬化に関する硬化パラメータと、動脈の狭窄/閉塞に関する狭窄/閉塞パラメータに分けて、異なるレーダチャートに表示する。この異なるレーダチャートを同一画面または異なる2画面に切換表示することを選択できる。この選択は、入力部120から行うことができ、異なる2画面に表示することを選択した場合には、硬化レーダチャートと狭窄/閉塞系レーダチャートのいずれを表示させるかを入力部120から選択入力することができ、二つのレーダチャートを切り換え表示して目視することが可能である。即ち、ステップS15までに作成した画像を、一つの画面に表示するか、異なる2画面に分けて表示する(S16)。
【0041】
なお、ステップS12からステップS15までの処理順は、上記の順に限定されるものではない。
【0042】
上記の処理においてパラメータとして、例えば、SBP|R−L|、MBP(RB、LB、RA、LA)、UT(RA、LA)、AVI(RB、LB、RA、LA)、PP(RB、LB、RA、LA)、%MAP(RB、LB、RA、LA)、ABI(R、L)が設定する。記憶部110のパラメータ分類データベースには、図3に示すようなデータが記憶されている。この図3において、コロンの右側に示した内容は記憶されていなくとも良い。但し、R、L、RB、LB、RA、LAについて、コロンの右側に示した内容は、レーダチャートにおいて、人体図のいずれの位置に対応させてパラメータの線分を表示するのかに関する位置情報とすることができる。
【0043】
上記設定されたパラメータにおいて、図3のパラメータ分類データベースによれば、MBP、PP、AVIが硬化パラメータであり、SBP|R−L|、%MAP、UT、ABIが狭窄/閉塞パラメータであると判定できる。そこで、(MBP、PP、AVI)と(SBP|R−L|、%MAP、UT、ABI)に分ける。(MBP、PP、AVI)については、表示の位置情報から全体のパラメータ数は12であり、正12角形に表示と決定される。また、(SBP|R−L|、%MAP、UT、ABI)については、表示の位置情報から全体のパラメータ数は9であり、正9角形に表示と決定される。以上がステップS11において行われる。
【0044】
次に、角形の中心から各頂角へ到る線分上に対応するパラメータの計測値をプロットするとして、各パラメータにおける正常範囲が対応するそれぞれの線分上において、等距離となるようにスケール調整する(S12)。更に、少なくとも正常範囲と異常範囲とに範囲分けし、範囲毎に色及び/またはテクスチャを変えて表示するように画像を作成し(S13)、各パラメータの計測値をプロットし、プロット点を結ぶ線分を表示する画像を作成する(S14)。これによって、硬化系レーダチャートの画像が図4に示すように作成され、狭窄/閉塞系レーダチャートの画像が図5に示すように作成される。正n角形の頂角の近傍には、位置情報とパラメータ名が図4図5の如く付記表示される。
【0045】
図6は、パラメータとして硬化パラメータであるStiffnessβ、API(RB、LB、RA、LA)が設定された場合の硬化系レーダチャートを示す図である。この例では、パラメータと位置情報とから全体のパラメータ数は5であり、正5角形に表示と決定される。なお、硬化パラメータであるStiffnessβの計測を行うためには、図1の実施例の構成に加えて、頸動脈の血管径を計測する超音波エコーセンサ、超音波送受信部、超音波制御処理部などが具備される。
【0046】
図4図6は、ステップS11からステップS14までの処理による画像である。これに対し、図7図9にステップS11からステップS16までの処理による画像を一画面に表示した例を示す。これら図7図9の例においては、硬化パラメータとして、MBP(RB、LB、RA、LA)、PP(RB、LB、RA、LA)が設定され、狭窄/閉塞パラメータとして、SBP|R−L|、%MAP(RB、LB、RA、LA)、UT(RA、LA)、ABI(R、L)が設定されたものである。この例では、硬化パラメータについてはパラメータと位置情報とから、全体のパラメータ数が8であり、正8角形に表示と決定される。また、狭窄/閉塞パラメータについてはパラメータと位置情報とから、全体のパラメータ数が9であり、正9角形に表示と決定される。
【0047】
図7は、健常者のパラメータを表示したものである。図7(a)に示す硬化系レーダチャートと図7(b)に示す狭窄/閉塞系レーダチャートにおいて、各プロット点を結ぶ線分が正常範囲にあることが一見して明白に分かる。
【0048】
図8は、動脈硬化の兆候が認められる被験者のパラメータを表示したものである。図8(a)に示す硬化系レーダチャートにおいて各プロット点を結ぶ線分が正常範囲から著しく逸脱しており、硬化の問題があることが一見して明白に分かる。一方、図8(b)に示す狭窄/閉塞系レーダチャートにおいて、各プロット点を結ぶ線分が正常範囲にあることが一見して明白に分かる。
【0049】
図9は、末梢動脈に狭窄疾患のある被験者のパラメータを表示したものである。図9(a)に示す硬化系レーダチャートにおいて各プロット点を結ぶ線分が正常範囲にあることが一見して明白に分かる。一方、図9(b)に示す狭窄/閉塞系レーダチャートにおいて、各プロット点を結ぶ線分が正常範囲から著しく逸脱しており、狭窄/閉塞の問題があることが一見して明白に分かる。
【0050】
以上の通り、本実施形態では、硬化系レーダチャートと狭窄/閉塞系レーダチャートにおいてそれぞれ正常範囲にあるか否かが一見して明白に分かり、適切な診断に役立つことが期待できる。
【0051】
なお、上記の実施形態では、生体情報表示装置がセンサを有し、このセンサにより得られた生体情報を用いてリアルタイムで処理を行ったが、これに限定されない。例えば、予め測定した生体情報用いて処理を行っても良い。また、他の装置などにより得られた生体情報を当該生体情報表示装置へ入力或いは転送などしてこの生体情報を処理するようにしても良い。
【0052】
図7から図9の実施形態では、レーダチャートに人体図を重ねて表示したが、これに限定されない。人体図の代わりに、心臓図などの生体図を重ねて表示してもよい。
【0053】
図7から図9の実施形態では、硬化系レーダチャートと狭窄/閉塞系レーダチャートを並べて表示しているが、更に心機能に関するレーダチャートに心臓図を重ねた図を追加してもよい。
【符号の説明】
【0054】
11、21、31、41 カフ
12、22、32、42 圧力検出部
13、23、33、43 脈波検出部
14、24、34、44 脈波演算部
15、25、35、45 圧力制御部
51、52、53 心電図電極
54 心電位検出部
55 心電図演算部
61 心音マイクロフォン
62 心音検出部
63 心音図演算部
70 各波形・血圧記憶部
80 各種パラメータ演算部
90 計測結果処理部
100 表示部
110 記憶部
120 入力部
図1
図2
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図8
図9