(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、定期点検時や蒸気タービンの故障時に加え、試運転から発電所運用開始までの期間においても、出来る限り早急に作業を行うために、停止後の蒸気タービンの冷却時間の短縮が求められる。そこで、外気を利用して蒸気タービンを熱応力や熱歪が生じないように冷却を図ることになるが、上述の技術は以下の問題を有する。
【0006】
特許文献1に記載の技術では、復水器を真空にする既設の真空ポンプを利用している。したがって、冷却空気は既設の真空ポンプによって吸引されるため、蒸気タービンに導入される冷却空気量は、真空ポンプの容量および吸引能力によって限定される。そのため、冷却空気量増加による冷却能力の向上が難しいという問題があった。
【0007】
また、蒸気タービン冷却後の空気は高温となるため通常運転での真空ポンプの使用温度を超過してしまう。このために、真空ポンプへ空気を導入する前に空気冷却器による冷却を行う必要があった。そのため、空気冷却器自体の納期や、冷却水を供給する軸冷水配管との接続のための工程数増加により、設置までに時間を要しまうという問題がある。さらに、空気冷却器および空気冷却器据付のコストや据付スペースが必要となってしまう。
【0008】
また、上述した特許文献1の技術において、復水器にエゼクタを接続する場合、起動用エゼクタ、通常運転用エゼクタ、熱交換器から構成されるエゼクタ(以下、復水器常設エゼクタと記載)を用いる。
【0009】
この復水器常設エゼクタに設けられた起動用エゼクタおよび通常運転用エゼクタのエゼクタ種類は蒸気エゼクタであり、駆動流体として補助蒸気を利用している。
【0010】
この復水器常設エゼクタでは、プラント起動時は復水器内の大量の空気を排出するために、容量の大きい起動用エゼクタを用いて復水器の真空引きを行う。この際、ボイラは運転していないため、補助蒸気源は補助ボイラ又は他ユニットを用いる必要がある。また、ボイラ運転していないことから、復水への熱回収を行っても意味は無いため、起動用エゼクタからの排気は大気開放される。
また、プラント通常運転時は、起動時と比較して空気の排出量が多くないため、通常運転用エゼクタを用いて復水器の真空度を維持する運転となる。この通常運転用エゼクタの補助蒸気源は、サイクル内から抽気する。通常運転用エゼクタからの排気はエゼクタに付設された熱交換器を用いて復水へ熱回収される。
【0011】
ここで、復水器常設エゼクタが蒸気式である理由は、蒸気サイクル内に既存の高圧蒸気を利用した方が圧縮機で圧縮空気を生成するより効率的であること、蒸気の熱エネルギーは復水へ熱回収可能であること、圧縮空気でのエゼクタの駆動を考慮すると圧縮機の容量が大きくなってしまうこと、等の理由が挙げられる。
【0012】
しかしながら、この復水器常設エゼクタを強制冷却に利用する場合、以下に示すような問題点がある。
【0013】
例えば、起動用エゼクタを強制冷却に用いることにすると、エゼクタを駆動して排気される高温蒸気(≒補助蒸気)は大気開放となるため、熱エネルギーを大量に捨ててしまうことになる。
また、通常運転用エゼクタを用いることにすると、エゼクタ排気の高温蒸気(≒補助蒸気)は熱交換器へと導入されるので、熱交換器保護のために冷却側の復水を流す必要がある。つまり、停止している復水ポンプを強制冷却のためだけに起動しなければならない。その上、復水ポンプを起動し高温蒸気と復水を熱交換してもボイラは停止中なので熱エネルギーの有効利用とはならないことから、捨てているのと同じ結果を招くことになる。
【0014】
このように、復水器常設エゼクタを強制冷却に利用するためには、駆動流体として補助蒸気を別途準備した上で用いる必要がある。そのため、エゼクタの排気は高温蒸気で大量の熱エネルギーを持っているにもかかわらず、大気へ捨てなければならない。また、たとえ復水へ熱回収しても、ボイラが停止しているため捨てているのと同じである。
【0015】
従って、強制冷却はプラント停止期間を短縮して経済効果を得るものだが、復水器常設エゼクタを用いると、燃料を無駄に利用する、すなわち熱エネルギーを捨てることになるため、経済効果がなくなり、電力の安定供給に寄与しきれないとの問題があった。
【0016】
本発明の目的は、入手し易い機器を用いて、低コストかつ簡易的な機器構成で冷却効果を向上させた蒸気タービン強制冷却装置およびそれを備えた蒸気タービン装置ならびに蒸気タービン強制冷却方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、蒸気タービンの停止後にこの蒸気タービンを強制的に冷却するための蒸気タービン強制冷却装置であって、前記蒸気タービンへ蒸気を供給するための蒸気入口側配管から分岐された分岐配管と、この分岐配管に設けられた非蒸気駆動式エゼクタと、前記非蒸気駆動式エゼクタよりも前記蒸気入口側配管に近い位置の前記分岐配管に設けられた止め弁とを備え
、前記非蒸気駆動式エゼクタによって大気解放した前記蒸気タービンの低圧部側から高圧部側である蒸気入口側に向けて冷却空気を吸引して前記蒸気タービンを冷却する際に、前記蒸気タービンの排気部側に設置される大気開放板を破損しない範囲で、蒸気タービン排気部から空気を送風するための開口部およびこの開口部に接続された送風機を更に備えたことを特徴とする。前記非蒸気駆動式エゼクタは、既設の真空ポンプ(或いは蒸気駆動式エゼクタ)とは別置の装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、蒸気タービンを強制冷却する際に、入手し易い機器を用いて、低コストかつ簡易的な機器構成で冷却効果を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の蒸気タービン強制冷却装置およびそれを備えた蒸気タービン装置ならびに蒸気タービン強制冷却方法の実施例を、図面を用いて説明する。
【0021】
<第1の実施例>
本発明の蒸気タービン強制冷却装置およびそれを備えた蒸気タービン装置ならびに蒸気タービン強制冷却方法の第1の実施例を、
図1および
図2を用いて説明する。なお、
図1および
図2においては、高圧タービン,中圧タービン,低圧タービンを備えた蒸気タービン装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
図1は本発明の第1の実施例における蒸気タービン強制冷却装置を備えた蒸気タービン装置の系統の概略を示す図、
図2は本発明の第1の実施例における蒸気タービンメタル温度と冷却空気量の関係を示すグラフである。
【0022】
図1に示すように、蒸気タービン装置は、高圧タービン4と中圧タービン9と低圧タービン11といった、圧力に応じたタービン数種類を備えている。
【0023】
このような蒸気タービン装置では、ボイラAから発生した蒸気は主蒸気管1、主蒸気止め弁2、蒸気加減弁3を介して高圧タービン4に導入され仕事をする。また、高圧タービン4の排気は低温再熱管5を通り再熱器Bにて再熱され、高温再熱管7、組み合わせ再熱弁8を介して中圧タービン9に導入され仕事をする。さらに、中圧タービンの排気はクロスオーバー管10を介して低圧タービン11に導入され低圧タービン11で仕事をし、復水器12に回収される。
【0024】
次に、本実施例の蒸気タービン強制冷却装置を
図1を用いて説明する。
【0025】
図1において、蒸気タービン強制冷却装置は、蒸気加減弁3と高圧タービン4の蒸気導入部との間で主蒸気管1から分岐する分岐配管21、組み合わせ再熱弁8と中圧タービン9の蒸気導入部との間で高温再熱管7から分岐する分岐配管22、分岐配管21,22に設置される止弁(止め弁,蒸気の流れを止めるための弁)23,24、エゼクタ27,28およびこのエゼクタ27,28から排出された気体を排気する排気配管31とから構成されている。
【0026】
このエゼクタ27,28は、蒸気以外の圧縮媒体を駆動源とする非蒸気駆動式エゼクタであり、本実施例では、圧縮機Dからの圧縮空気によって駆動するエゼクタを用いている。なお、空気駆動式エゼクタの他に、窒素などのガス駆動式エゼクタ、水駆動式エゼクタ等が挙げられる。
【0027】
また、圧縮空気の供給源は圧縮機Dに限るものではなく、所内空気やボンベなどを用いることができる。
【0028】
このエゼクタ27,28は、蒸気タービンのメタル温度と空気温度の差に応じて、吸引力を調整して冷却空気量を増加または減少させるよう調整される。なお、冷却速度に応じた空気量調整は、冷却空気流路に設置された各弁の開度の調整、エゼクタ駆動空気の圧力による調整、冷却途中でのエゼクタの追設による調整のいずれかの方法等で行う。
【0029】
次いで、上述のような蒸気タービンの強制冷却装置を用いた蒸気タービンの強制冷却方法について説明する。
【0030】
定期点検時や蒸気タービンの故障時、試運転から発電所運用開始までの期間において蒸気タービンを冷却する際に、まず、主蒸気止弁2、組み合わせ再熱弁8および真空ポンプ入口弁13を全閉にする。一方、冷却装置として付設された止め弁23,24およびベンチレータ弁13を全開にするとともに、真空破壊弁15を全開にして復水器12を大気解放する。
【0031】
その後、エゼクタ27,28に圧縮機Dからの圧縮空気を導入することによってエゼクタ27,28を駆動し、高圧タービン4或いは中圧タービン9の蒸気導入部から吸引を行い、高圧タービン4または中圧タービン9内の気体の吸引力を発生させる。
【0032】
すると、この発生した吸引力によって真空破壊弁15から冷却用の空気が復水器12内に流れ込む。復水器12内に流入した空気は、低圧タービン11の排気部へ流入し、低圧タービン11を冷却しながら低圧タービン11を通過し、クロスオーバー管10を介して、中圧タービン9の排気部へと流入する。そして中圧タービン9内に流入した空気によって中圧タービン9が冷却される。中圧タービン9を冷却した後の空気は分岐配管22へ流れ、エゼクタ28および排気配管31を介して大気へ放出される。
【0033】
その一方で、復水器12内に流入した空気は、ベンチレータ弁13を介して高圧タービン4の排気部へも流入し、高圧タービン4を冷却する。冷却した後の空気は分岐配管21へ流れ、エゼクタ27および排気配管31を介して大気へ放出される。
【0034】
このように、本発明の蒸気タービン強制冷却装置およびそれを備えた蒸気タービン装置ならびに蒸気タービン強制冷却方法の第1の実施例では、蒸気以外の圧縮媒体を駆動源とする冷却空気吸引用のエゼクタ27,28によって、高圧タービン4或いは中圧タービン9の蒸気導入側から吸引を行い、冷却空気を蒸気タービンの蒸気排出部からタービン内部へ導入し、エゼクタ27,28から大気放出する。このため、非蒸気駆動式エゼクタによって吸引された空気はまず蒸気タービンの蒸気排出部を冷却し、昇温した空気が高温側の蒸気導入部を冷却する。従って蒸気タービンは均一に冷却され、熱応力や熱歪は発生せず、効率的な蒸気タービンの冷却が可能となる。
【0035】
また、従来のように、復水器を真空にする既設の真空ポンプを利用して空気の吸引を行い、復水器真空破壊弁から蒸気タービン蒸気導入部へ外気を流し、蒸気タービンを冷却する蒸気タービン強制冷却装置では、冷却空気は既設の真空ポンプによって吸引されるため、蒸気タービンに導入される冷却空気量は、真空ポンプの容量および吸引能力によって限定され、冷却空気量増加による冷却能力の向上が難しいという問題があった。
例えば、
図2の(b)に示すように、真空ポンプを用いる場合、蒸気タービンのメタル温度が250℃程度まで下がると冷却空気との温度差が小さくなり、冷却速度が遅くなってしまっていた。
【0036】
しかし、本実施例のように既設の真空ポンプ(或いは蒸気駆動式エゼクタ)とは別置の冷却空気吸引用のエゼクタを利用することによって、冷却空気量が既設の真空ポンプの容量および吸引力に限定されず、冷却空気吸引用のエゼクタの容量・吸引力を向上させることによって、冷却空気量の増加を図ることが出来る。これにより、蒸気タービンが許容できる最大の冷却速度で冷却することが可能となる。
例えば、
図2の(a)に示すように、常に最大許容冷却速度程度近くで冷却することが可能となる。
【0037】
さらに、非蒸気駆動式エゼクタを用いることにより、復水器常設エゼクタを用いる場合に生じる、燃料を無駄に利用する、すなわち熱エネルギーを捨てることになって経済効果がなくなる、との問題が生じず、蒸気タービンの強制冷却によって得られるプラント停止期間を短縮して経済効果を得る、との効果を最大限に発揮させることができ、電力の安定供給にも寄与することが可能となる。
【0038】
また、停止直後の蒸気タービンは500℃を超える高温であるが、排出される空気は200〜300℃程度である。このため、既設の真空ポンプによって冷却空気の吸引を行う場合は蒸気タービン冷却後の高温空気を真空ポンプに導入する前に空気冷却装置が必要であった。しかし、非蒸気駆動式エゼクタはアルミ製の汎用品でも十分に利用可能であり、空気冷却装置が不要となる。
【0039】
また、復水器の真空ポンプを用いらないため、万が一エゼクタが故障した場合でも、蒸気タービン装置の通常運転への影響は無い、との利点を有している。
【0040】
これにより、空気冷却装置および冷却水を供給する軸冷水系統との接続が不要となるため、機器納期・コスト、据付工程・コストを低減できる。また、非蒸気駆動式のエゼクタは数kg程度であるため、蒸気タービンの通常運転の際は容易に取り外し可能であり、据付スペースも不要となる。
【0041】
<第2の実施例>
本発明の蒸気タービン強制冷却装置およびそれを備えた蒸気タービン装置ならびに蒸気タービン強制冷却方法の第2の実施例を
図3および
図4を用いて説明する。
図3は本発明の第2の実施例における蒸気タービン強制冷却装置を備えた蒸気タービン装置の系統の概略を示す図、
図4は本発明の第2の実施例における蒸気タービン装置各部の圧力を示すグラフである。
【0042】
図3に示すように、本実施例の蒸気タービン強制冷却装置は、実施例1の蒸気タービン強制冷却装置に、復水器12に備えられている座、例えばメンテナンス用マンホール座34,35から分岐する分岐配管41,42、この分岐配管41,42に設置される弁39,40および送風機36、図示しない大気放出板設置部付近に設置された圧力検出器37,38およびコントローラ60を更に付設したものである。
【0043】
送風機36は圧縮機の圧縮空気や所内空気、或いはこれらを組合せた空気を復水器12を介して蒸気タービン装置内に送風するものである。
【0044】
コントローラ60は、圧力検出器37,38で検出される低圧タービン11の大気放出板設置部付近の圧力を検出して、大気放出板設置部付近の圧力が大気放出板の作動圧力の30〜40kPa.g程度を超えないよう、弁39,40の開度を制御する。
【0045】
これ以外の構成は第1の実施例の蒸気タービン強制冷却装置と略同じであり、詳細は省略する。
【0046】
本実施形態では、蒸気タービン装置を冷却する際には、エゼクタ27,28による冷却空気吸引操作を行うことに加えて、弁39,40を開き、送風機36から蒸気タービン装置内に冷却用空気の送風を行う。
【0047】
本発明の蒸気タービン強制冷却装置およびそれを備えた蒸気タービン装置ならびに蒸気タービン強制冷却方法の第2の実施例においても、前述した蒸気タービン強制冷却装置およびそれを備えた蒸気タービン装置ならびに蒸気タービン強制冷却方法の第1の実施例とほぼ同様な効果が得られる。
【0048】
第1の実施例では、
図4の(a)に示すように、エゼクタ27,28の吸引力のみで冷却空気を導入するため、低圧タービン11の排気口側では大気圧まで圧力が上昇し、中圧タービン9の高圧側(組み合わせ再熱弁8側)までの圧力差、すなわち冷却用空気の送風力が[(大気圧)−(エゼクタ28による到達圧力)]分となる。
【0049】
これに対し、本実施例では、エゼクタ27,28の吸引力に送風機36による押込力が加わるため、
図4の(b)に示すように、低圧タービン11の排気口側を大気解放板作動圧力付近まで圧力を上昇させることができ、冷却用空気の方風力が[(大気圧)+(送風機36による圧力上昇分)−(エゼクタ28による到達圧力)]となり、第1の実施例と比較して送風力が向上し、蒸気タービンを通過する冷却空気量を増加させることができ、より早期に蒸気タービン装置を強制冷却することができる。
【0050】
なお、圧力検出器37,38からの信号を用いてコントローラ60により送風機36の容量・押込力を選定する倍意を例示したが、送風を復水器12に備えられている座等の低圧タービン11の排気部から行う場合、低圧タービン11の排気室に設置されている大気放出板の破損が懸念される。しかし、クロスオーバー管の直径、復水器12及び低圧タービン11の排気室の容量と送風機36の容量の関係から大気開放板の作動圧力を考慮する必要が無い場合もある。この場合、コントローラ60は不要である。
【0051】
また、送風機よる送風を導入する箇所は、復水器12のメンテナンス用マンホール座34,35に限るものでは無く、低圧タービン11の車室や上述したクロスオーバー管から送風を導入しても良い。
【0052】
<第3の実施例>
本発明の蒸気タービン強制冷却装置およびそれを備えた蒸気タービン装置ならびに蒸気タービン強制冷却方法の第3の実施例を
図5を用いて説明する。
図5は本発明の第3の実施例における蒸気タービン強制冷却装置を備えた蒸気タービン装置の系統の概略を示す図である。
【0053】
図5に示すように、本実施例の蒸気タービン強制冷却装置は、実施例1の蒸気タービン強制冷却装置に、高圧タービン4に設けられた抽気管43分岐する分岐配管45および中圧タービン9に設けられた抽気管44から分岐する分岐配管46と、これら分岐配管45,46に設置された止め弁32,33およびエゼクタ29,30が更に付設されたものである。
【0054】
これ以外の構成は第1の実施例の蒸気タービン強制冷却装置と略同じであり、詳細は省略する。
【0055】
本実施形態では、蒸気タービン装置を冷却する際には、エゼクタ27,28による冷却空気吸引操作を行うことに加えて、止め弁32,33を全開とした後にエゼクタ29,30に圧縮機Dからの圧縮空気を導入することによって吸引力を発生させ、蒸気タービン装置内に冷却用空気を導入させる。
【0056】
本発明の蒸気タービン強制冷却装置およびそれを備えた蒸気タービン装置ならびに蒸気タービン強制冷却方法の第3の実施例においても、前述した蒸気タービン強制冷却装置およびそれを備えた蒸気タービン装置ならびに蒸気タービン強制冷却方法の第1の実施例とほぼ同様な効果が得られる。
【0057】
加えて、抽気管43,44に分岐配管45,46およびエゼクタ29,30を付設していることで吸引部を増やすことができ、冷却用空気の吸引力が向上して、蒸気タービンを通過する冷却空気量が増加させることができる。
【0058】
更に、本実施例では、各タービン或いはタービン内部の冷却速度を考慮し、分岐配管を設置する抽気管および接続するエゼクタ容量を選定することにより、実施例1と比較して、冷却速度を向上させ、且つ、冷却空気の流路が増加することにより、蒸気タービン全体を均一に冷却することが可能である。
【0059】
<第4の実施例>
本発明の蒸気タービン強制冷却装置およびそれを備えた蒸気タービン装置ならびに蒸気タービン強制冷却方法の第4の実施例を
図6を用いて説明する。
図6は本発明の第4の実施例における蒸気タービン強制冷却装置を備えた蒸気タービン装置の系統の概略を示す図である。
【0060】
図6に示すように、本実施例の蒸気タービン強制冷却装置は、実施例1の蒸気タービン強制冷却装置に、分岐配管21,22のエゼクタ27,28の下流側に設置されるエゼクタ47,48、分岐配管22から更に分岐する配管49、分岐配管49に設置されるエゼクタ50,51を更に付設したものである。
【0061】
これ以外の構成は第1の実施例の蒸気タービン強制冷却装置と略同じであり、詳細は省略する。
【0062】
本実施形態では、蒸気タービン装置を冷却する際には、エゼクタ27,28による冷却空気吸引操作を行うことに加えて、エゼクタ47,48およびエゼクタ50,51にも圧縮機Dからの圧縮空気を導入することによって吸引力を発生させ、蒸気タービン装置内に冷却用空気を導入させる。
【0063】
本発明の蒸気タービン強制冷却装置およびそれを備えた蒸気タービン装置ならびに蒸気タービン強制冷却方法の第4の実施例においても、前述した蒸気タービン強制冷却装置およびそれを備えた蒸気タービン装置ならびに蒸気タービン強制冷却方法の第1の実施例とほぼ同様な効果が得られる。
【0064】
加えて、エゼクタの総数を増やしたためにエゼクタによる吸引力が増加し、冷却用空気の導入量も増加する。よって、冷却能力のさらなる向上を図ることができる。
【0065】
なお、エゼクタの増設位置、増設数、配置方法については
図6に示したものに限るものではなく、各タービン或いはタービン内部各部の冷却速度を考慮して増設位置、増設数、配置方法を決定することで、出来るだけ冷却速度を向上させ、且つ、蒸気タービン全体を均一に冷却することが可能となる。
例えば、エゼクタの容量増加にはエゼクタを並列配置し、吸引力向上にはエゼクタを直列配置する。
【0066】
また、第3の実施例で説明したように、抽気管43,44からの分岐配管45,46等にもエゼクタを複数台設置することができることは言うまでもない。
【0067】
<その他>
なお、本発明は上記の実施例に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。上述の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではなく、上述の実施例1〜4の各構成を適宜組み合わせることが可能である。
【0068】
例えば、上述した実施例1〜4では、1段再熱蒸気タービン装置の強制冷却装置について述べるが、それに限定するものでは無く、再熱が無い蒸気タービンや2段再熱蒸気タービンにおいても本発明の蒸気タービン強制冷却装置および強制冷却方法は適用することができる。
【0069】
また、ベンチレータ弁13が無い蒸気タービン装置に本発明の蒸気タービン強制冷却装置およびそれを備えた蒸気タービン装置ならびに蒸気タービン強制冷却方法を適用する場合は、低温再熱管5から分岐配管を設けるとともにこの分岐配管に止め弁を設け、大気開放することにより空気の導入を図ることが望ましい。
【0070】
更に、上述の実施例1〜4においては、汽力プラントの蒸気タービンの例を用いて説明したが、C/Cプラント(コンバインドサイクルプラント)の蒸気タービンにも本発明は適用することができる。