【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。本発明における測定方法を以下に示す。
(1)繊維径(μm)
セルロース繊維不織布を、走査型電子顕微鏡、日本電子製JSM−6380を用いて10000倍の倍率で観察し、任意の50本を選び繊維径を測定し、平均値を求めた。
(2)目付(g/m
2)
0.05m
2以上の面積のセルロース繊維不織布を、105℃で一定重量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置してその重量を測定し、不織布のm
2当たりの重量(g)を求めた。
【0024】
(3)厚み(mm)
セルロース繊維不織布を、JIS−L1096準拠の厚み試験にて荷重を1.96kPaとして測定した。
(4)密度(g/cm
3)
セルロース繊維不織布の厚みと目付をそれぞれ10回測定し、その平均値となる厚み(mm)Aと目付B(g/m
2)を用いて次式により密度を算出した。
密度 = ( B / A ) / 1000
【0025】
(5)未交絡部の不織布全体に対する面積比率(%)
マイクロスコープ(10倍)を用いた画像解析より、未交絡部が50点入るような不織布面積A(mm
2)において、未交絡部の合計面積B(mm
2)を測定し、全体の面積A(mm
2)とから、次式により未交絡部の面積比率を求めた。
未交絡部の面積比率=( B / A ) ×100
【0026】
(6)50gf/cm一定荷重下での伸度(%)
カトーテック株式会社製のKES-FB1引張り試験機を用いて評価した。20cm×20cmの試験片を蒸留水に浸漬させて、1分後、液垂れがしない程度に軽く絞り、引張り試験機にて、不織布の伸長性を有する方向において、荷重50gf/cm下での伸度を3回測定し、平均して求めた。
【0027】
(7)ヤング率(mPa)
JIS L 1096に準拠して、幅5cm、長さ15cmの試験片を把握長10cmとなる様に把持し、定速伸長型引張り試験機(商品名:テンシロンUCT−1t(オリエンテック株式会社製))を用いて不織布の伸長性を有する方向に、引っ張り速度が30cm±3cm/minの条件で伸長させ、試料が破断するときのヤング率を測定した。
【0028】
(8)着用感
被験者20人でフェイスマスク着用感の官能評価を行った。評価方法および判定基準は以下のとおりであり、20人の平均値をそのサンプルの肌触りの官能評価の値とした。
評価方法:各素材の試験用不織布をフェイスマスク型にカットし、ドライ状態で4つ折にしたフェイスマスク型のサンプルを純水を用いて、各素材毎の吸水倍率量を含浸させる。1分間放置後、フェイスマスク型サンプルを展開して、顔に装着する。この際、取り扱い性・密着性・柔軟性等を評価する。装着後、5分間放置状態で、鏡越しに見て密着感の程度を評価する。
判定基準:国立大学法人 信州大学大学院と旭化成せんい株式会社の共同研究結果より得られた、官能検査 SD法(−3点以上+3点以下)に準拠して、下記表1記載の判定基準に従って評価した。
【0029】
【表1】
【0030】
(実施例1)
コットンリンター(重合度900〜1000)を銅アンモニア溶液で溶解し(コットンリンター10wt%、アンモニア7wt%、銅3wt%)紡糸原液を準備した。原液吐出孔が直径0.6mm、45個/cm
2である紡糸口金を用い1ホール当たりの吐出量が0.09cc/minにて、流下緊張下で連続してネット上に5層重ねで紡糸してセルロース連続長繊維ウエブを得た。得られたセルロース連続長繊維ウエブを希硫酸で再生し、水洗後得られた再生セルロース連続長繊維ウエブを40メッシュのコンベアーネット(支持体)上で、列数が2列、列の間隔が8mm、CD方向に4mmピッチの柱状流ノズル孔を有する3本のノズルヘッダー(ノズルヘッダー間隔は100mm)を用いて、3mPaの高圧水流で水流交絡処理を行い、シートを交絡させた後、100℃の熱風乾燥を行い、水流交絡部と未交絡部が表面に形成された再生セルロース連続長繊維不織布を得た。なお、ノズルヘッダーをウエブの進行方向と直角に往復運動させることにより、交絡部を蛇行させた。
【0031】
得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、目付が40.0g/m
2、厚みが0.25mmであり、未交絡部の不織布全体に対する面積比率が49.3%であった。得られた不織布の平面図を
図1に、特性及び機能性の評価結果を表2および表3に示す。表2および表3からも判る通り、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、フェイスマスクに加工した場合の装着時の扱い易さ、及び肌との密着感が良好で、化粧用の各種用途に使用する不織布として、極めて良好な不織布であった。
【0032】
(実施例2)
再生セルロース繊維不織布(レーヨン100%繊維)を用いて、実施例1と同様の条件で、40メッシュのコンベアーネット(支持体)上で、列数が2列、列の間隔が8mm、CD方向に4mmピッチの柱状流ノズル孔を有する3本のノズルヘッダー(ノズルヘッダー間隔は100mm)を用いて、3mPaの高圧水流で水流交絡処理を行い、シートを交絡させた後、100℃の熱風乾燥を行った。
得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、目付が38.4g/m
2、厚みが0.27mm、未交絡部の不織布全体に対する面積比率が53.2%であった。特性及び機能性の評価結果を表2および表3に示す。表2および表3からも判る通り、得られた再生セルロース繊維不織布は、フェイスマスクに加工した場合の装着時の扱い易さ、及び肌との密着感が良好で、化粧用の各種用途に使用する不織布として極めて良好な不織布であった。
【0033】
(実施例3)
原液吐出孔が直径0.3mm、180個/cm
2である紡糸口金を用い、1ホール当たりの吐出量が0.02cc/min、交絡処理における列の間隔が15mmとしたこと以外は実施例1と同様の条件にて、5層構造の再生セルロース連続長繊維不織布を得た。得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、目付が29.6g/m
2、厚みが0.28mmであり、未交絡部の不織布全体に対する面積比率が61.6%であった。特性及び機能性の評価結果を表2および表3に示す。表2および表3からも判る通り、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、フェイスマスクに加工した場合の装着時の扱い易さ、及び肌との密着感が良好で、化粧用の各種用途に使用する不織布として、極めて良好な不織布であった。
【0034】
(比較例1)
実施例1において、紡糸口金のホール数を1300個/cm
2、交絡処理における列数を7列、列の間隔を0.4mm、CD方向のノズル孔のピッチを2.5mm、孔径を0.15mmにしたこと以外は、実施例1と同様の条件にて、5層構造の再生セルロース連続長繊維不織布を得た。得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、目付が40.0g/m
2、厚みが0.30mmであり、未交絡部の不織布全体に対する面積比率が19.0%であった。得られた不織布の平面図を
図1に、特性及び機能性の評価結果を表2および表3に示す。表2および表3からも判る通り、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、湿潤時の伸度が高く、取扱い性が著しく低下し、フェイスマスクに加工した場合の装着時の着用感が劣り、本発明の不織布に比べ、各種の用途に使用するには、問題のあるものであった。また、肉眼では未交絡部が独立した空間と確認できず、意匠性にも劣るものであった。
【0035】
(比較例2)
市販のセルロース繊維不織布(三和紙業製、リヨセル/パルプ複合繊維)を用いて、比較例1と同様の交絡処理を行なった。得られたセルロース繊維不織布の目付は34.5g/m
2、厚みは0.38mm、未交絡部の不織布全体に対する面積比率は19.9%であった。特性及び機能性の評価結果を表2および表3に示す。
【0036】
(比較例3)
上記特許文献2の実施例2の記載に準じて、セルロース及び合繊複合不織布(ダイワボウホールディングス株式会社製、パルプ/ポリエステル複合繊維)を用いて、構成繊維が交絡された繊維ウエブの一部が交絡により再配列され、相互に離間したストライプの幅が5mmであるスパンレース不織布を得た。得られた不織布の目付は40.2g/m
2、厚みは0.39mm、未交絡部の不織布全体に対する面積比率は82.3%であった。特性及び機能性の評価結果を表2および表3に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】