(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の外観構成を示す図である。
図1に示すように、表示装置10は、ウェアラブルコンピュータの一種である腕時計型の表示装置である。表示装置10は、表示部13と、表示部13と物理的に接続された装着部50とを備える。表示部13は、画像を表示するための表示面131を有する。表示面131は、ここでは矩形(正方形を含む。)の領域である。装着部50は、時計バンドに相当するバンド状(帯状)の部材である。表示部13は、ユーザの身体の部位として腕100(
図1では、左手の前腕部)に装着部50が巻かれることにより、腕100に装着される。ユーザが表示装置10を使用するとき、表示部13は、腕100の手の甲がある側の面に位置する。
【0015】
図2は、表示装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2に示すように、表示装置10は、制御部11と、センサ部12と、表示部13と、通信部14と、操作部15と、記憶部16とを備える。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を含む演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含むメインメモリとを有するマイクロコンピュータを備える。CPUは、ROMや記憶部16に記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより、表示装置10の各部を制御する。
【0016】
センサ部12は、表示装置10の状態を検出するセンサを含む。センサ部12は、ここでは3軸方式の加速度センサを含む。加速度センサは、表示装置10に作用した3軸方向の加速度を検出するセンサ(検出部)である。加速度センサは、表示装置10の移動や姿勢の変化を検出するために使用される。
なお、表示装置10の移動や姿勢の変化を検出可能であれば、センサ部12は、加速度センサ以外のセンサを含んでいてもよい。
【0017】
表示部13は、例えば液晶ディスプレイを用いて構成され、表示面131に画像を表示する。通信部14は、例えば無線通信回路及びアンテナを有し、外部装置と通信するためのインタフェースである。通信部14は、例えばBluetooth(登録商標)に準拠した無線通信を行うが、他方式の通信を行ってもよい。操作部15は、例えば操作子としての物理キーを備え、ユーザが行った操作を受け付ける操作手段である。
【0018】
記憶部16は、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)やフラッシュメモリ等の記憶装置である。記憶部16は、例えば、制御部11により実行される制御プログラムやコンテンツデータ、範囲設定情報161を記憶する。コンテンツデータは、表示部13にコンテンツ(視覚コンテンツ)を表示するためのデータで、例えば、文書コンテンツやwebコンテンツを表すデータである。範囲設定情報161は、ユーザの腕100の可動範囲を特定する設定情報である。範囲設定情報161の詳細については、後で説明する。
【0019】
図3は、表示装置10が行うコンテンツの表示動作の概要を説明する図である。
図3(a)は、コンテンツの一例であるコンテンツCを説明する図である。コンテンツCは、文章(罫線部で図示。)や、イラストや写真等の画像要素e1,e2を含む。コンテンツCは、仮想空間に配置した矩形のコンテンツであり、ここでは、横方向のサイズが「X0」、縦方向のサイズが「Y0」である。コンテンツCの縦横のサイズは、表示面131の縦横のサイズよりも大きい。コンテンツの各方向のサイズは、例えば、表示部13における画素数によって特定される。
【0020】
表示装置10は、表示部13にコンテンツCを表示する場合に、表示部13の移動に従って(即ち連動して)、コンテンツCの表示範囲を移動させる。表示範囲は、表示部13に表示されている、コンテンツの一部の範囲である。
図3(b)に示す位置Iに表示装置10がある場合、表示面131には、画像要素e1を含む表示範囲に決定される。位置Iから水平方向(第1方向)である矢印A方向に表示部13が移動させられて、表示位置IIに表示装置10がある場合、表示面131には、画像要素e2を含む表示範囲に決定される。即ち、表示装置10は、表示部13の水平方向における移動に従って、コンテンツの表示範囲を移動させる。
なお、
図3(b)において、破線で示した領域は表示範囲外の領域である。この領域は、当該領域に重なる位置に表示部13が移動させられたときに、表示範囲に含まれる。
【0021】
次に、表示装置10で実現される表示動作に関わる機能を説明する。
図4は、表示装置10の制御部11の機能構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、表示装置10の制御部11は、制御プログラムを実行することにより、算出部111と、取得部112と、表示制御部113とに相当する機能を実現する。
算出部111は、腕100の可動範囲を算出するための表示部13の移動の検出結果に基づいて、腕100の可動範囲を算出する。算出部111は、センサ部12による加速度の検出結果を取得及び解析して、腕100の可動範囲を算出する。算出部111は、算出した可動範囲を特定する範囲設定情報161を、記憶部16に記憶させる。
取得部112は、範囲設定情報161を記憶部16から読み出して、これを取得する。
【0022】
表示制御部113は、表示部13にコンテンツを表示する制御を司る。具体的には、表示制御部113は、センサ部12による加速度の検出結果に基づいて、表示部13の移動に従ってコンテンツの表示範囲を移動させながら、表示面131にコンテンツを表示する。この際に、表示制御部113は、取得部112が取得した範囲設定情報161に基づいて、表示範囲を決定する。例えば、表示制御部113は、腕100の可動範囲内の表示部13の移動によって、コンテンツの全体を表示するように、コンテンツの表示又は表示範囲の移動を制御する。また、表示制御部113は、鉛直方向(第2方向)における腕100の移動に応じて、コンテンツの表示倍率を変更する。
【0023】
次に、表示装置10の動作を説明する。表示装置10の特徴的な動作は、(A)腕100の可動範囲の設定動作と、(B)腕100の可動範囲に基づくコンテンツの表示動作と、(C)コンテンツの変倍動作とに大別される。
【0024】
(A)腕100の可動範囲の設定動作
図5は、表示装置10が行う可動範囲の設定動作を示すフローチャートである。
図6は、可動範囲の設定動作の具体例を説明する図である。
表示装置10の制御部11は、センサ部12から加速度の検出結果を取得し、記憶部16又はRAMに蓄積させる(ステップSA1)。ユーザが表示装置10を装着中であるときに、制御部11は、加速度センサの検出結果を繰り返し(例えば周期的に)取得する。
図6(a)に示すように、ユーザは歩行する際に、表示装置10を装着した腕100を振る動作をする。制御部11は、この歩行の際の腕100の動作を検出するために、加速度の検出結果を取得する。
【0025】
次に、制御部11は、腕100の可動範囲を算出するかどうかを判断する(ステップSA2)。制御部11は、加速度の検出結果が一定量蓄積されるまで、ステップSA2の処理で「NO」と判断し、ステップSA1の処理を繰り返し行う。
そして、制御部11は、ステップSA2の処理で「YES」と判断すると、腕100の可動範囲を算出する(ステップSA3)。制御部11は、可動範囲を算出すると、算出した可動範囲を特定する範囲設定情報161を生成し、記憶部16に記憶させる(ステップSA4)。
【0026】
図6(b)に示すように、ユーザが表示装置10を装着して歩行したとき、左手を前方に振り上げたときの位置である点P1と、左手を後方に振り上げたときの位置である点P2との間で、表示装置10が往復移動する。そして、ユーザの腕100の付け根に対応する位置を点P0とすると、点P0,P1,P2を頂点とする三角形が描かれる。制御部11は、この三角形における点P1と点P2との直線距離を、腕100の可動範囲Lとして算出する。
なお、点P1,P2はそれぞれ一点に定まらない場合があるが、制御部11は、複数点が近似する位置に、点P1,P2をそれぞれ設定すればよい。また、ユーザによっては、腕100をあまり振らない場合がある。この場合、制御部11は、点P1と点P2との直線距離を角度θに応じて補正して、可動範囲Lを算出してもよい。この場合、制御部11は、角度θが小さいほど点P1と点P2との直線距離を大きくする補正をして、可動範囲Lを算出する。また、制御部11は、センサ部12による加速度の検出結果に基づいて、ユーザが歩行中かどうかを判断し、歩行時の加速度の検出結果を取得してもよい。
【0027】
(B)腕100の可動範囲に基づくコンテンツの表示動作
図7は、表示装置10が行うコンテンツの表示動作を示すフローチャートである。
図8は、コンテンツの表示動作の具体例を説明する図である。
まず、制御部11は、表示対象とするコンテンツのコンテンツデータを、例えば操作部15を用いて受け付けた操作に従って、記憶部16からRAMに読み出す(ステップSB1)。次に、制御部11は、範囲設定情報161を記憶部16から読み出して、これを取得する(ステップSB2)。ここでは、制御部11は、可動範囲Lを示す範囲設定情報161を取得する。
【0028】
次に、制御部11は、コンテンツの表示サイズを、範囲設定情報161に基づいて設定する(ステップSB3)。ステップSB3の処理を、
図8を参照して、コンテンツCを表示する場合を例に挙げて説明する。ユーザが例えば大人であり、可動範囲Lが比較的大きく「L1」であった場合を考える。この場合、制御部11は、コンテンツCの横方向のサイズを「L1」とするように、コンテンツデータに対して変倍処理(ここでは拡大処理)を施す。ここにおいて、制御部11は、縦横のサイズを同じ倍率で変倍する。例えば、制御部11は、横方向のサイズX0にL1/X0を乗じてX1とし、縦方向のサイズY0にL1/X0を乗じてY1とする。次に、ユーザが例えば子供であり、可動範囲Lが比較的大きく「L2」であった場合を考える。この場合、制御部11は、コンテンツCの横方向のサイズを「L2」とするように、コンテンツデータに対して変倍処理(ここでは縮小処理)を施す。例えば、制御部11は、横方向のサイズX0にL2/X0を乗じてX2とし、縦方向のサイズY0にL2/Y0を乗じてY2とする。
なお、変倍処理は他の計算式に基づいて行われてもよい。
【0029】
図7に戻り、ステップSB3の処理でコンテンツの表示サイズを設定すると、制御部11は、当該コンテンツの表示部13への表示を開始する(ステップSB4)。次に、制御部11は、表示部13の水平方向の移動を検出したかどうかを判断する(ステップSB5)。制御部11は、水平方向の移動を検出しない場合には(ステップSB5;NO)、コンテンツの表示範囲を移動させず、水平方向の移動を検出した場合には(ステップSB5;YES)、その移動に従ってコンテンツの表示範囲を移動させる(ステップSB6)。ステップSB6の処理では、制御部11は、
図3で説明した手順で表示範囲を移動させる。コンテンツの横方向のサイズは、可動範囲Lに一致するように設定されているので、制御部11は、ユーザの腕100の可動範囲内での移動によって、コンテンツの全体を表示範囲とすることができる。よって、元のコンテンツのサイズに関わらず、ユーザは、自身の腕100を可動範囲内で移動させることにより、コンテンツの全体を観察することができる。
【0030】
そして、制御部11は、コンテンツの表示を終了するかどうかを判断する(ステップSB7)。制御部11は、コンテンツの表示を継続する場合には(ステップSB7;NO)、ステップSB5の処理に戻す。制御部11は、コンテンツの表示を終了する場合には(ステップSB7;YES)、表示部13でのコンテンツの表示を終了する。
【0031】
<コンテンツの表示動作の他の例>
制御部11は、ステップSB3の処理に代えて、範囲設定情報161に基づいて表示範囲の単位移動量を設定してもよい(
図9のステップSB3a)。単位移動量は、表示部13が所定量だけ移動したときの表示範囲の移動量である。制御部11は、可動範囲Lが大きいほど単位移動量を小さくし、可動範囲Lが小さいほど単位移動量を大きくする。ステップSB3aの処理を、
図9を参照して、コンテンツCを表示する場合を例に挙げて説明する。可動範囲Lが比較的大きく「L1」であった場合、制御部11は、標準の単位移動量(標準量)にX0/L1を乗じることによって、単位移動量を設定する。標準の単位移動量は、例えば、可動範囲Lがコンテンツの横方向のサイズであるX0に一致する場合の単位移動量である。可動範囲Lが比較的小さく「L2」であった場合、制御部11は、標準の単位移動量にX0/L2を乗じることによって、単位移動量を設定する。
なお、単位移動量の設定は他の計算式に基づいて行われてもよい。
【0032】
そして、制御部11は、ステップSB3aで設定した単位移動量に従って、ステップSB6の処理でコンテンツの表示範囲を移動させる。制御部11は、ユーザの腕100が水平方向に所定量だけ移動したときに、腕100の可動範囲Lが大きいほど表示範囲の移動量を小さくし、可動範囲Lが小さいほど表示範囲の移動量を大きくすることになる。よって、制御部11は、ユーザの腕100の可動範囲内の移動によって、コンテンツの全体を表示範囲とすることができる。
【0033】
更に、制御部11は、範囲設定情報161に基づいて、コンテンツの表示サイズと単位移動量との両方を制御してもよい。この場合の制御は、以上の説明から類推可能であるが、表示サイズ及び単位移動量の変更量を、どちらか一方のみを変更する場合に比べて小さくすることができる。
【0034】
(C)コンテンツの変倍動作
図11は、表示装置10が行うコンテンツの変倍動作を示すフローチャートである。
図12〜
図15は、コンテンツの変倍動作の具体例を説明する図である。表示装置10の制御部11は、コンテンツの表示動作を行っている期間に、コンテンツの変倍動作を並行して行う。以下で説明する動作の前においては、
図12(a)に示すように、ユーザが胸の高さあたりに腕100を配置して、鉛直上向きにした表示面131を観察しているものとする。
まず、制御部11は、表示部13の鉛直方向(鉛直上方向又は鉛直下方向)の移動を検出したかどうかを判断する(ステップSC1)。制御部11は、表示部13の鉛直方向の移動を検出していない場合(ステップSC1;NO)、コンテンツの表示倍率を変更せずに待機する。このとき、制御部11は、コンテンツの表示倍率を初期値、即ち、100%にしているものとする。
なお、表示倍率の初期値は、例えば、仮想空間に配置したコンテンツをカメラ等で撮影したときの当該コンテンツの大きさに対応してもよいし、ユーザが観察しやすいと推測されるコンテンツの大きさに対応してもよい。即ち、コンテンツの大きさと表示倍率の初期値との関係は任意に決められてよい。
【0035】
表示部13の鉛直方向の移動を検出したと判断した場合(ステップSC1;YES)、制御部11は、この移動に従って、コンテンツの表示倍率を変更する(ステップSC2)。制御部11は、表示部13の鉛直下方向への移動を検出した場合には、コンテンツの表示倍率を大きくし、表示部13の鉛直上方向への移動を検出した場合には、コンテンツの表示倍率を小さくする。
図12(b)に示すように、ユーザが表示部13を鉛直下方向(矢印A1方向)に移動させた場合、制御部11は、コンテンツの表示倍率を大きく(拡大する)方向に変更する。
なお、表示部13の移動量と表示倍率の変更量との関係については、予め決められていればよい。
【0036】
次に、制御部11は、表示面131が鉛直下向きかどうかを判断する(ステップSC3)。
図12(b)に示す動作が行われている期間には、制御部11は、ステップSC3の処理で「NO」と判断し、ステップSC1の処理に戻す。即ち、制御部11は、ユーザが表示部13を鉛直下方向に移動させるのに従って、コンテンツの表示倍率を大きくする。
【0037】
そして、
図12(c)に示すように、ユーザが表示部13(即ち表示装置10)の移動を停止させたとする。この時点の表示倍率は、ここでは200%である。ユーザにとって、自身の前に机等の障害物がある場合、その障害物の位置よりも表示部13を下げることが困難である。障害物がない場合であっても、ユーザにとって、腕100(表示部13)を下げられる量にも限界がある。そこで、ユーザは、
図12(d)に示すように、腕100の手の甲がある側を下向きとするように姿勢を変化させ、表示面131を鉛直下向きにする。この姿勢の変化を検出すると、制御部11は、ステップSC3の処理で「YES」と判断し、ステップSC4の処理に進める。
【0038】
次に、制御部11は、表示面131が鉛直下向きの場合には、表示部13の鉛直方向の移動に関わらず、コンテンツの表示倍率を一定とする(即ち、表示倍率を変更しない)(ステップSC4)。これにより、
図13(a)に示すように、ユーザが表示部13を鉛直上方向(矢印A2方向)に移動させた場合であっても、制御部11は、コンテンツの表示倍率を一定(ここでは、200%のまま)とする。制御部11は、ステップSC3の処理で「YES」と判断する期間は、ステップSC3;YES→ステップSC4→ステップSC3;YES→・・・の処理を繰り返すことにより、表示倍率を一定とする。
【0039】
ユーザは、
図13(b)に示すように、例えば胸の高さまで表示部13を上げて、表示部13の移動を停止させる。そして、ユーザは、
図13(c)に示すように、腕100の手の甲がある側を上向きにするように姿勢を変化させ、再び表示面131を鉛直上向きにする。この姿勢の変化を検出すると、制御部11は、ステップSC3の処理で「NO」と判断し、ステップSC1の処理に進める。そして、制御部11は、
図14(a)に示すように、表示部13の鉛直下方向(矢印A1方向)の移動を検出したと判断した場合(ステップSC1;YES)には、コンテンツの表示倍率を大きく(拡大)する(ステップSC2)。ここでは、制御部11は、表示倍率を200%から更に表示倍率を大きくする。そして、
図14(b)に示す位置にユーザが表示部13を下げると、コンテンツの表示倍率は、例えば400%となる。
ユーザは、更に表示倍率を拡大したい場合には、
図12(d)〜
図14(a)で説明した動作を再び行えばよい。この動作に応じて、制御部11は、コンテンツの表示倍率を更に大きくする。
【0040】
コンテンツの表示倍率を小さくする場合の表示装置10の動作は、
図11〜
図14に関する説明から容易に類推可能であるが、
図15を参照して簡単に説明しておく。
図15(a)に示すように、ユーザは、表示面131を鉛直上きにしたまま、表示部13を鉛直上方向(矢印A2方向)へ移動させる。ここでは、制御部11は、表示倍率を100%から、表示部13の移動に従って表示倍率を小さくする。
図15(b)に示すように、ユーザが胸の高さあたりに表示部13を上げて停止させたとき、コンテンツの表示倍率が50%であるとする。更に表示倍率を小さくする場合には、ユーザは、
図15(c)に示すように、表示面131を鉛直下向きにするように腕100の姿勢を変化させて、表示部13を鉛直下方向(矢印A1方向)へ移動させる。
図15(d)に示すように、ユーザは表示部13を下げると、
図15(a)で説明したように表示面131を鉛直上向きにしてから、再び表示部13を鉛直上方向(矢印A2方向)へ移動させる。これにより、制御部11は、表示倍率を50%から更に小さくする。
【0041】
制御部11は、表示部13の鉛直方向における移動量と表示倍率の変更量との関係を、表示倍率に応じて変更してもよい。例えば、制御部11は、表示倍率が小さいほど、表示部13の移動量に対する表示倍率の変更量を小さくする補正をする。これにより、表示部13の僅かな移動によってコンテンツのサイズが大幅に変更するのを防ぐことができる。
コンテンツの変倍動作において、表示面131の法線方向が鉛直上向き又は鉛直下向きに厳密に一致している必要はない。例えば、表示面131をユーザが観察可能な程度に、表示面131が傾いている場合も、表示面131が鉛直上向きとみなしてよい。
【0042】
また、表示装置10は、表示倍率を変更した場合には、変更後の表示倍率に応じて表示範囲の移動を制御してもよい。具体的には、表示装置10は、表示倍率の変更後であっても、表示部13の可動範囲内でコンテンツの全体を表示するように、単位移動量を再計算し、再設定する。
これとは逆に、表示装置10は、少なくともコンテンツの変倍動作により表示倍率を変更していない場合(即ち、表示倍率が100%の場合)に、腕100の可動範囲内の移動によって、コンテンツの全体を表示するように表示範囲の移動を制御してもよい。この場合、表示装置10は、表示倍率を100%よりも大きくした場合には、腕100の可動範囲内の移動で、コンテンツの一部が表示範囲に含まれなくてもよい。
【0043】
以上説明した表示装置10は、ユーザの腕100の可動範囲を算出すると、その可動範囲内での腕100(表示部13)の水平方向の移動によって、コンテンツの全体を表示するように、コンテンツの表示範囲を決定する。このため、コンテンツのサイズが大きい場合であっても、表示装置10によれば、表示部13が移動可能な範囲によって、コンテンツの表示範囲が同様に制限されてしまうことがない。よって、ユーザにとっては、表示装置10を用いてコンテンツを観察するための負担が小さくなる。
更に、表示装置10は、腕100(表示部13)の鉛直方向の移動によって、コンテンツの表示倍率を変更する。このため、ユーザにとっては、実空間にあるコンテンツを手にとって目視するときのような直感的な動作で、コンテンツの表示倍率を変更することができる。更に、表示装置10によれば、鉛直方向の腕100の可動範囲の制約を受けないで、表示倍率を変更することができる。
【0044】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態と異なる形態で実施することが可能である。本発明は、例えば、以下のような形態で実施することも可能である。また、以下に示す変形例は、各々を適宜に組み合わせてもよい。
(変形例1)
表示装置10を腕100に装着した場合に、
図16(a)に示すように、ユーザの目からは、表示面131の天地方向がやや傾いて観察されることがある。この場合、表示面131の天地方向とコンテンツの天地方向とが一致していると、ユーザがコンテンツを観察しづらい場合がある。例えば、コンテンツが文字を所定量以上含む文書コンテンツである場合、ユーザの目から見て文字列が傾いて観察されてしまう。
そこで、表示装置10は、コンテンツの属性に応じて、表示面131の天地方向とコンテンツの天地方向とを所定角度だけずらして表示してもよい。
【0045】
図17は、この変形例の表示装置10の制御部11が行うコンテンツの回転表示動作を示すフローチャートである。
まず、制御部11は、表示対象のコンテンツの属性が、特定条件を満たすかどうかを判断する(ステップSD1)。この特定条件は、コンテンツが文書コンテンツであるという条件で、例えば、コンテンツに含まれる文字が所定量(例えば、所定文字数)以上であるという条件である。制御部11は、コンテンツの属性が特定条件を満たすと判断した場合(ステップSD1;YES)、コンテンツデータに対して回転処理を施す(ステップSD2)。この回転処理は、表示面131の天地方向とコンテンツの天地方向とを所定角度(例えば時計回りに10度)だけずらすための回転処理で、コンテンツの天地方向を腕100が伸びている方向に近づける回転処理である。回転処理後のコンテンツデータが表すコンテンツは、前述したステップSB4の処理で表示が開始される。
図16(b)は、表示装置10における文書コンテンツの表示例を示す図である。
図16(b)に示すように、表示面131の天地方向とコンテンツの天地方向とをずらすように回転処理(ここでは右方向の回転処理)が施されたことで、ユーザにとっては、文書コンテンツの文字が傾かない又は傾きが小さい状態で、これを観察することができる。
【0046】
他方、制御部11は、コンテンツの属性が、特定条件を満たさないと判断した場合(ステップSD1;NO)、コンテンツデータに回転処理を施さない。
図16(c)は、表示装置10における文書コンテンツでないコンテンツ(ここでは、地図コンテンツ)の表示例を示す図である。
図16(c)に示すように、地図コンテンツ等のように文字を中心としたコンテンツでない場合には、ユーザがコンテンツを観察しづらくなる可能性が低いので、回転処理が行われない。
【0047】
以上のコンテンツの属性と回転処理の有無との関係は、あくまで一例である。例えば、制御部11は、文字が1文字でも含まれていればコンテンツデータに回転処理を施してもよいし、文字に関する条件以外の条件で回転処理の有無を判断してもよい。
また、制御部11は、コンテンツの属性以外の条件で、回転処理の有無を判断してもよい。例えば、表示装置10がユーザの目を撮影可能な撮影部を備えるとする。この場合、制御部11は、撮影部の撮影画像からユーザの目を検出し、検出した目の位置に基づいて、回転処理の有無を判断してもよい。即ち、制御部11は、ユーザの目からは、表示面131の天地方向がやや傾いて観察されると判断した場合に、回転処理を施し、それ以外の場合は、回転処理を施さない。更に、制御部11は、検出した目の位置に基づいて、コンテンツの回転方向や回転角度を特定してもよい。
なお、制御部11は、全てのコンテンツデータに回転処理を施してから表示してもよい。
【0048】
(変形例2)
表示装置10は、可動範囲の設定動作で算出した可動範囲Lに基づいて、ユーザが大人か子供かを推定して、その推定結果に応じた範囲設定情報161を生成してもよい。即ち、表示装置10は、2段階以上に分類された可動範囲の中のいずれかを特定する範囲設定情報161を取得して、コンテンツの表示サイズや単位移動量を設定する。
また、表示装置10は、可動範囲の設定動作を行わずに、ユーザが操作部15を用いて指定した可動範囲L又は範囲設定情報161を用いて、コンテンツの表示サイズや単位移動量を設定してもよい。
【0049】
(変形例3)
表示装置10は、範囲設定情報161に基づいて、コンテンツの変倍動作での表示部13の移動量に対する表示倍率の変更量を設定してもよい。腕100が鉛直方向に移動可能な範囲も、ユーザの体格等によって異なるからである。具体的には、表示装置10の制御部11は、可動範囲Lが大きいほど表示部13の移動量に対する表示倍率の変更量を小さくし、可動範囲Lが小さいほど表示部13の移動量に対する表示倍率の変更量を大きくするとよい。
【0050】
(変形例4)
表示装置10は、コンテンツの変倍動作において、鉛直方向における表示部13の移動に関わらず表示倍率を一定とする条件を、上述した実施形態で説明した条件以外としてもよい。
例えば、表示装置10は、特定のパターンの振動又は腕周り方向の回転動作等の、三次元空間において特定の動き(例えば、表示装置10の位置又は姿勢の変化)を検出した場合に、表示倍率を一定とするか変更するかを判定してもよい。また、表示装置10は、操作部15により所定の操作を受け付けた場合に、表示倍率を一定とするか変更するかを判定してもよい。
【0051】
上述した実施形態では、表示装置10は、水平方向における表示部13の移動が検出された場合には、表示範囲を移動させ、鉛直方向における表示部13の移動が検出された場合には、コンテンツの表示倍率を変更していた。表示範囲を移動させる条件となる表示部13の移動方向や、コンテンツの表示倍率を変更する条件となる表示部13の移動方向は、互いに交差する方向であれば、他の方向であってもよい。
【0052】
(変形例5)
上述した実施形態では、仮想空間に配置されるコンテンツが矩形であったが、他の形状であってもよい。この場合であっても、表示装置10は、腕100の可動範囲内の移動によって、コンテンツの全体を表示するように、コンテンツの表示や単位移動量を制御することが可能である。
【0053】
(変形例6)
表示装置10がコンテンツを表示する場合に、オリジナルのコンテンツと、表示装置10が表示に用いる表示コンテンツとで、コンテンツのサイズが異なることがある。この種のコンテンツとして、例えば、Webから取得されるコンテンツがある。この場合、表示装置10は、可動範囲内の表示部13の移動により、表示コンテンツの全体を表示するように表示部13の単位移動量を算出してもよいし、オリジナルのコンテンツの全体を表示するように表示部13の単位移動量を算出してもよい。
【0054】
(変形例7)
本発明の表示装置は、腕時計型の表示装置に限られず、ユーザの腕(又は手)に装着して使用される、他の形態の着用型の表示装置(ウェアラブルコンピュータ)であってもよい。この表示装置の一例として、ユーザの腕に装着されるリストバンド型の表示装置がある。リストバンド型の表示装置は、ユーザの腕に装着されるバンド状(帯状)の表示装置であって、そのバンド部分に表示面を有している。この表示面は、例えば、ユーザの腕回り方向に伸張方向を有する。
【0055】
また、本発明の表示装置は、ユーザの腕に装着される表示装置に限られず、ユーザによって把持(即ち、手に保持)して使用される表示装置であってもよい。この種の表示装置の一例として、スマートフォンやタブレット端末等の表示装置(端末装置)がある。この種の表示装置の他の例として、ルーペ型(虫眼鏡型)の表示装置がある。ユーザに把持して使用される表示装置であっても、ユーザの手が移動可能な範囲は制限される。よって、表示装置は、手の可動範囲に基づいて表示範囲を決定することで、コンテンツを観察するときのユーザの負担が減る。
【0056】
また、本発明の表示装置は、ユーザの身体の部位として、腕等の手以外の部位(例えば脚)に装着又は保持される表示装置であってもよい。人間の身体の部位のうちの可動部には可動範囲が存在する。このため、身体の部位の可動範囲に基づいて表示範囲が決定されることにより、コンテンツを観察するときのユーザの負担が減る。
【0057】
(変形例8)
上述した実施形態の構成の一部が省略されてもよい。例えば、表示装置10において、コンテンツの変倍動作が省略されてもよい。
【0058】
(変形例9)
上述した各実施形態において、表示装置10の制御部11が実現する各機能は、複数のプログラムの組み合わせによって実現され、又は、複数のハードウェア資源の連係によって実現されうる。制御部11の機能がプログラムを用いて実現される場合、このプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))等)、光記録媒体(光ディスク等)、光磁気記録媒体、半導体メモリ等のコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよいし、ネットワークを介して配信されてもよい。また、本発明は、表示方法として把握することも可能である。