(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の冷却液組成物は特定の粘度特性改良剤を含み、これにより低温時及び高温時において特定の動粘度を有するものである。尚、本発明において、低温とは25℃を意味し、高温とは100℃を意味する。
【0016】
上記粘度特性改良剤は、ベタイン及びイオン性物質から選択される少なくとも1種と、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤とからなるイオン会合体(イオン会合性剤)である。尚、本発明において、ベタインとは、正電荷と負電荷を同一分子内の隣り合わない位置に持つ化合物を意味する。また、本発明において、イオン性物質とは、水中で解離し得る化合物を意味する。
【0017】
本発明の粘度特性改良剤を構成するベタインは、下記式(1)で表されるベタイン:
【化8】
(式中、R
1はC
8〜C
18のアルキル基である)
又は下記式(2)で表されるベタイン:
【化9】
(式中、R
2はC
7〜C
17のアルキル基である)
を含む。
【0018】
上記式(1)において、R
1はC
8〜C
18のアルキル基であり、好ましくは直鎖状又は分岐状のC
12〜C
18のアルキル基であり、特に好ましくはn−ドデシル基又はn−オクタデシル基である。式(1)で表される化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
上記式(1)で表される化合物の具体例としては、R
1がn−ドデシル基であるアンヒトール20BS(花王社製)及びR
1がn−オクタデシル基であるアンヒトール86B(花王社製)等の市販品を挙げることができる。
【0019】
上記式(2)において、R
2はC
7〜C
17のアルキル基であり、好ましくはC
9〜C
13のアルキル基であり、特に好ましくはn−ノニル基である。式(2)で表される化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
上記式(2)で表される化合物の具体例としては、R
2がn−ノニル基であるアンヒトール20AB(花王社製)等の市販品を挙げることができる。
【0020】
また、粘度特性改良剤を構成するイオン性物質は、下記式(3)で表される化合物:
【化10】
(式中、R
3はC
8〜C
18のアルキル基である)
を含む。
【0021】
上記式(3)において、R
3はC
8〜C
18の飽和又は不飽和アルキル基であり、好ましくはC
10〜C
16の飽和又は不飽和アルキル基である。式(3)で表される化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
上記式(3)で表される化合物の具体例としては、アセタミン24(花王社製)等の市販品を挙げることができる。
【0022】
一方、粘度特性改良剤を構成するアニオン性界面活性剤は、下記式(4)で表される化合物:
【化11】
(式中、R
4はC
6〜C
13のアルキル基である)
、下記式(5)で表される化合物:
(式中、
R
5はC
8〜C
14のアルキル基であり、
nは1〜10の整数であり、
MはNa又はNH(CH
2CH
2OH)
3である)
、下記式(6)で表される化合物:
【化13】
(式中、R
6はC
10〜C
14のアルキル基である)
又は下記式(7)で表される化合物:
【化14】
(式中、R
7はC
4アルキル基である)
を含む。
【0023】
上記式(4)において、R
4はC
6〜C
13のアルキル基であり、好ましくはn−オクチル基、分岐状オクチル基及びn−トリデシル基であり、特に好ましくは、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基及びn−トリデシル基である。式(4)で表される化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0024】
上記式(4)で表される化合物の具体例としては、R
4が2−エチルヘキシル基であるペレックスOT−P(花王社製)、R
4がn−トリデシル基であるペレックスTR(花王社製)等の市販品やペレックスOT−PのR
4をn−オクチル基に変更して合成したもの(花王試作品)を挙げることができる。
【0025】
上記式(5)において、R
5はC
8〜C
14のアルキル基であり、特にn−ドデシル基が好ましい。
上記式(5)において、nは1〜10、好ましくは2〜8の整数であり、特に好ましくは3である。
上記式(5)において、MはNa又はNH(CH
2CH
2OH)
3である。
上記式(5)で表される好ましい化合物として、R
5がn−ドデシル基であり、
nが3であり、MがNaである下記式(5−1)の化合物:
【化15】
を挙げることができる。この化合物は、エマール20C(花王社製)として市販されている。
【0026】
また、上記式(5)で表される別の好ましい化合物として、R
5がn−ドデシル基であり、nが3であり、MがNH(CH
2CH
2OH)
3である下記式(5−2)の化合物:
【化16】
を挙げることができる。この化合物は、エマール20T(花王社製)として市販されている。
【0027】
式(5)で表される化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
上記式(6)において、R
6はC
10〜C
14のアルキル基である。式(6)で表される化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0028】
上記式(7)において、R
7はC
4アルキル基であり、例えばn−ブチル、sec−ブチル、イソブチル及びtert−ブチル基を挙げることができ、特にtert−ブチル基が好ましい。式(7)で表される化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0029】
上記式(7)で表される化合物の具体例としては、R
7がtert−ブチル基であるペレックスNB−L(花王社製)等の市販品を挙げることができる。
【0030】
本発明の粘度特性改良剤におけるベタイン又はカチオンとアニオン性界面活性剤との組み合わせとしては、式(1)で表される化合物と式(4)で表される化合物、式(1)で表される化合物と式(7)で表される化合物、式(2)で表される化合物と式(4)で表される化合物及び式(3)で表される化合物と式(5)で表される化合物の組み合わせが好ましい。
【0031】
本発明の粘度特性改良剤におけるアニオン性界面活性剤:ベタイン及びイオン性物質の合計の比は、好ましくは5:5〜1:9である。冷却液組成物におけるアニオン性界面活性剤:ベタイン及びイオン性物質の合計の比がこの範囲であると相乗的な増粘効果を得ることができ、特に、低温時において十分な増粘効果が得られるので、暖機性に優れる冷却液組成物が得られる。
【0032】
上記粘度特性改良剤の配合量は、低温時及び高温時の冷却液組成物の動粘度を上記所定の範囲とすることが可能であれば特に制限されないが、2.0mmol/組成物100g〜10.0mmol/組成物100gであることが好ましく、4.0mmol/組成物100g〜9.0mmol/組成物100gであることが特に好ましい。粘度特性改良剤の配合量が2.0mmol/組成物100g以上であると冷却液組成物が低温時において十分な増粘効果を有することができ、また、粘度特性改良剤の配合量が10.0mmol/組成物100g以下であると冷却液組成物が十分な冷却性能を有することができる。また、上記各種粘度特性改良剤は組み合わせて用いることもできる。
【0033】
本発明の冷却液組成物は、動粘度が、25℃で8.5mm
2/秒以上であり、かつ100℃で2.0mm
2/秒以下である。
【0034】
本発明の冷却液組成物は、25℃における動粘度が8.5mm
2/秒以上、好ましくは8.5〜3000mm
2/秒、特に好ましくは10〜2000mm
2/秒、さらに特に好ましくは17.5〜1000mm
2/秒と高いため、低温時における放熱性が低く冷却損失が低い。本発明の冷却液組成物は、25℃における動粘度が3000mm
2/秒以下である場合、ウォーターポンプへの負荷を回避し、内燃機関の燃費悪化を防ぐことが可能である点で好ましい。また、本発明の冷却液組成物は、25℃における動粘度が8.5mm
2/秒以上であることから、従来の80%エチレングリコール冷却液よりも動粘度が高い。尚、エチレングリコール冷却液は、エチレングリコール濃度が80%を超える場合、引火点が発生するため冷却液として使用することができない。
【0035】
本発明の冷却液組成物は、100℃における動粘度が2.0mm
2/秒以下、好ましくは0.3〜2.0mm
2/秒、特に好ましくは0.3〜1.5mm
2/秒と低いため、高温時の冷却能力が維持され、オーバーヒートを防ぐことが可能である。冷却液組成物の冷却能力は、例えばラジエータ熱透過率を測定することにより評価することができる。尚、水100%の冷却液の100℃における動粘度は0.3mm
2/秒である。
【0036】
本発明の冷却液組成物は不凍性を有する基剤を含む。基剤の配合量は、組成物100質量部(粘度特性改良剤を除く)に対して75〜100質量部であることが好ましく、80〜100質量部であることが特に好ましい。
【0037】
上記基剤としては、例えば、一価アルコール、二価アルコール、三価アルコール及びグリコールモノアルキルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類を挙げることができる。
【0038】
一価アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなるものを挙げることができる。
【0039】
二価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコールの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなるものを挙げることができる。
【0040】
三価アルコールとしては、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、5−メチル−1,2,4−ヘプタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなるものを挙げることができる。
【0041】
グリコールモノアルキルエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなるものを挙げることができる。
【0042】
上記基剤の中でもエチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−プロパンジオールが、取り扱い性、価格、入手容易性の観点から好ましい。
【0043】
上記アルコール類の配合量は、不凍性を考慮し、組成物100質量部(粘度特性改良剤を除く)に対して8.0〜100質量部であることが好ましく、20.0〜100質量部であることが特に好ましい。
【0044】
基剤は水を含んでいてもよく、水としてはイオン交換水が好ましい。水の配合量は、組成物100質量部(粘度特性改良剤を除く)に対して1.6〜90質量部であることが好ましく、8.0〜75質量部であることが特に好ましい。基剤が水とアルコール類を含む場合、水とアルコール類の配合割合については不凍性・引火性を考慮し、任意に調整できる。基剤中の水とアルコール類の割合は、引火点を発生するのを回避する観点から、20:80〜90:10であることが好ましく、40:60〜75:25であることが特に好ましい。
【0045】
本発明の冷却液組成物には、必要に応じて、上記粘度特性改良剤以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の添加剤を基剤に配合することができる。
【0046】
例えば、本発明の冷却液組成物には、エンジン冷却液経路に使用されている金属の腐食を効果的に抑制するため、少なくとも1種以上の防錆剤を動粘度に影響を与えない範囲で含ませることができる。防錆剤としては、リン酸及び/又はその塩、脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、芳香族カルボン酸及び/又はその塩、トリアゾール類、チアゾール類、ケイ酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ホウ酸塩、モリブテン酸塩、及びアミン塩のいずれか1種又は2種以上の混合物を挙げることができる。
【0047】
また、本発明の冷却液組成物には、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のpH調整剤、消泡剤、着色剤、染料又は分散剤等を動粘度に影響を与えない範囲で適宜添加することができる。
【0048】
上記その他の添加剤の合計配合量は、組成物100質量部(粘度特性改良剤を除く)に対して、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下である。
【0049】
本発明は、上記冷却液組成物を得るための濃縮組成物にも関する。本発明の濃縮組成物は、上記粘度特性改良剤及び上記基剤を含む組成物である。本発明の濃縮組成物に残余の基剤及び場合によりその他の添加剤を加えることにより、本発明の冷却液組成物を得ることができる。本発明の濃縮組成物に含まれる基剤は、冷却液組成物を得るためにさらに加える基剤と同一であっても異なっていてもよい。本発明の濃縮組成物は、上記粘度特性改良剤を濃縮組成物100gに対して2.4mmol〜20.0mmol含有することが好ましく、上記基剤を濃縮組成物100質量部(粘度特性改良剤を除く)に対して1〜99.9質量部含有することが好ましい。
【0050】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0052】
[実施例1−4及び比較例1−4]
(実施例1)
エチレングリコール51質量部とイオン交換水47質量部を混合し、これに防錆剤としてのセバシン酸二ナトリウム2質量部を添加して混合した。得られた混合液に、粘度特性改良剤としてのステアリルベタイン(花王社製:アンヒトール86B)4.4mmol/組成物100gを添加した後、撹拌し、均一に混合した。得られた混合液にtert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(花王社製:ペレックスNBL)4.4mmol/組成物100gを添加した後、撹拌冷却して冷却液組成物を得た。
【0053】
(実施例2)
ステアリルベタイン4.4mmol/組成物100gの代わりにステアリルベタイン6.2mmol/組成物100gを使用し、tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム4.4mmol/組成物100gの代わりにtert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム2.6mmol/組成物100gを使用した以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0054】
(実施例3)
ステアリルベタイン4.4mmol/組成物100gの代わりにステアリルベタイン1.4mmol/組成物100gを使用し、tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム4.4mmol/組成物100gの代わりにtert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム0.6mmol/組成物100gを使用した以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0055】
(実施例4)
ステアリルベタイン4.4mmol/組成物100gの代わりにステアリルベタイン7.9mmol/組成物100gを使用し、tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム4.4mmol/組成物100gの代わりにtert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム0.9mmol/組成物100gを使用した以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0056】
(比較例1)
ステアリルベタインを使用せず、tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム4.4mmol/組成物100gの代わりにtert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム8.8mmol/組成物100gを使用した以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0057】
(比較例2)
ステアリルベタイン4.4mmol/組成物100gの代わりにステアリルベタイン3.5mmol/組成物100gを使用し、tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム4.4mmol/組成物100gの代わりにtert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム5.3mmol/組成物100gを使用した以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0058】
(比較例3)
ステアリルベタイン4.4mmol/組成物100gの代わりにステアリルベタイン8.36mmol/組成物100gを使用し、tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム4.4mmol/組成物100gの代わりにtert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム0.44mmol/組成物100gを使用した以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0059】
(比較例4)
ステアリルベタイン4.4mmol/組成物100gの代わりにステアリルベタイン8.8mmol/組成物100gを使用し、tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムを使用しない以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0060】
[実施例5−11及び比較例5−11]
(実施例5)
ステアリルベタインの代わりにCl
−が48000ppmのラウリン酸アミドプロピルベタイン(花王社製:アンヒトール20AB)を使用し、tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムの代わりにジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム(花王社製:ペレックスOT−P)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0061】
(実施例6)
ステアリルベタイン4.4mmol/組成物100gの代わりに、Cl
−が1ppm未満のラウリン酸アミドプロピルベタイン(花王社製:アンヒトール20AB)2.2mmol/組成物100gを使用し、tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム4.4mmol/組成物100gの代わりにジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム2.2mmol/組成物100gを使用した以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0062】
(実施例7)
ステアリルベタインの代わりにラウリルベタインを使用し、tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムの代わりにジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムを使用した以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0063】
(実施例8)
ステアリルベタイン4.4mmol/組成物100gの代わりに、ラウリルベタイン2.2mmol/組成物100gを使用し、tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム4.4mmol/組成物100gの代わりにジ−n−オクチルスルホコハク酸ナトリウム(花王社試作品)2.2mmol/組成物100gを使用した以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0064】
(実施例9)
ステアリルベタイン4.4mmol/組成物100gの代わりに、ラウリルベタイン2.2mmol/組成物100gを使用し、tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム4.4mmol/組成物100gの代わりにジトリデシルスルホコハク酸ナトリウム(花王社製:ペレックスTR)2.2mmol/組成物100gを使用した以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0065】
(実施例10)
ステアリルベタインの代わりに、ココナットアミンアセテート(花王社製:アセタミン24)を使用し、tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムの代わりにポリオキシエチレン(POE)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(花王社製:エマール20C)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0066】
(実施例11)
ステアリルベタインの代わりに、ココナットアミンアセテートを使用し、tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムの代わりにポリオキシエチレン(POE)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン(TEA)(花王社製:エマール20T)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0067】
(比較例5)
tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムの代わりにオクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王社製:ビスコトップA)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0068】
(比較例6)
tert−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムの代わりにラウリル硫酸ナトリウム(花王社製:エマール2F−30)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0069】
(比較例7)
ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの代わりにオクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムを使用した以外は、実施例5と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0070】
(比較例8)
ポリオキシエチレン(POE)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムの代わりにオクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムを使用した以外は、実施例10と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0071】
(比較例9)
ポリオキシエチレン(POE)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムの代わりにラウリル硫酸ナトリウムを使用した以外は、実施例10と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0072】
(比較例10)
ココナットアミンアセテートの代わりに、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドを主成分として含むC
16〜C
18アルキルトリメチルアンモニウムクロライド(花王社製:ビスコトップ100B)を使用した以外は、実施例10と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0073】
(比較例11)
ココナットアミンアセテートの代わりに、セチルトリメチルアンモニウムクロライド(花王社製:コータミン60W)を使用した以外は、実施例10と同様の方法で冷却液組成物を得た。
【0074】
実施例1−11及び比較例1−11により得られた冷却液組成物の25℃及び100℃における動粘度を測定し、また熱特性(暖機性能及び冷却性能)を評価した。
【0075】
<動粘度の測定>
冷却液組成物の25℃及び100℃における動粘度は、JIS K 2283又はASTM D445.D446のグラス毛管式粘度計を用いる試験方法に準拠して測定した。具体的には以下の方法で測定した。
【0076】
(1)JIS K 2283規定のウベローデ粘度計を用意し、気泡が入らないように傾けながら試料を規定量充填した。
(2)試料を充填した粘度計を15分間恒温水槽で調温した。
(3)試料を上部の測時標線以上まで吸い上げた後、自然落下させ、メニスカスが測時標線上部から下部を通過する時間を測定した。
(4)測定時間が200秒未満の場合は粘度計を取り替えて(1)−(3)の操作を行った。
(5)測定時間が200秒以上となる粘度計を用いて測定を2回行い、その測定時間の差が平均値の0.2%以内である場合に、その平均測定時間と用いた粘度計の粘度計定数から動粘度を算出した。
【0077】
<暖機性能>
暖機性能は25℃室温における簡易熱特性評価試験装置(
図1参照)を用い、アルミ鋳物が25℃から60℃に昇温するまでの時間を測定した。比較例1の結果(240秒)を基準値1.0とした。
【0078】
<冷却性能>
冷却性能は25℃室温における簡易熱特性評価試験装置(
図1参照)を用い、アルミ鋳物の温度が90℃から80℃に冷却されるまでの時間を測定した。比較例1の結果(300秒)を基準値1.0とした。
表1及び表2に、実施例1−11及び比較例1−11で得られた冷却液組成物の動粘度、暖機性能及び冷却性能の測定結果を示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
表1及び表2より、実施例1−11の冷却液組成物は、比較例1の冷却液組成物と比較して低温時における動粘度が高く、暖機性能が向上し、かつ高温時における動粘度低下も十分であり、同等の冷却性能を示した。アニオン性界面活性剤:ベタインの比が異なる実施例1−4の冷却液組成物と比較例1−4の冷却液組成物を比較すると、実施例1−4の冷却液組成物は、低温時における動粘度が高く、十分な暖機性能を示し、かつ高温時における動粘度低下も十分であり、十分な冷却性能を示したが、比較例1、2の冷却液組成物は、高温時における動粘度低下は十分であり、冷却性能には優れたが、低温時における動粘度が低く、暖機性能が劣り、また、比較例3、4の冷却液組成物は、低温で分離又は不均一な析出が見られた。
【0082】
また、実施例1、5−9の冷却液組成物は、低温時における動粘度が高く、かつ高温時における動粘度低下が十分であり、十分な暖機性能及び冷却性能を示したが、アニオン性界面活性剤をオクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウムに代えた比較例5〜7の冷却液組成物は、低温時における動粘度が低く、暖気性能に劣る(比較例5、7)か、又は低温で分離若しくは不均一な析出が見られた(比較例6)。
【0083】
また、実施例10、11の冷却液組成物は、低温時における動粘度が高く、優れた暖機性能を示し、かつ高温時における動粘度低下も十分であり、十分な冷却性能を示したが、アニオン性界面活性剤をオクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウムに代えた比較例8、9の冷却液組成物では、実施例10、11の冷却液組成物と比較して低温時における動粘度が低く、暖気性能に劣る(比較例8)か、低温で分離又は不均一な析出が見られ(比較例9)、イオン性物質をヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド又はセチルトリメチルアンモニウムクロライドに代えた比較例10、11の冷却液組成物では、実施例10の冷却液組成物と比較して低温時における動粘度が低く、暖気性能に劣り、さらに、低温で分離又は不均一な析出が見られた。