(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(ホイール式作業車両の全体構造)
以下、本発明のホイール式作業車両の一実施の形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明のホイール式作業車両の一実施の形態を示す外観図であり、
図2は、
図1のホイール式作業車両に設けられたアウトリガ装置を示す側面図である。また、
図3は、
図1のホイール式作業車両に設けられたアウトリガ装置におけるアウトリガが格納状態の外観図である。
なお、以下の説明では、ホイール式作業車両としてホイール式油圧ショベルを一実施の形態として説明する。
図1に示すように、ホイール式油圧ショベルは、走行体100と、走行体100上に、旋回装置(図示省略)によって旋回可能に搭載された旋回体102とを有する。旋回体102には運転室104および作業用フロントアタッチメント106が設けられ、作業用フロントアタッチメント106は、ブーム108、アーム110、バケット112を備える。ブーム108およびアーム110は、ブームシリンダ114、アームシリンダ116によってそれぞれ駆動されて起伏し、バケット112は、バケットシリンダ118によって駆動され、クラウドまたはダンプの動作をする。
図1には図示しないが、運転室104内には、モニター装置130(
図10参照)が設置されている。
【0011】
走行体100には、走行のための複数(たとえば4輪)の車輪120と、車輪120を駆動するための油圧駆動走行モータが設けられ、油圧駆動走行モータの駆動力は、プロペラシャフト、アクスル(図示省略)を介して車輪120に伝達される。走行体100には4つのアウトリガ装置200A〜200Dが取り付けられている。詳細には、走行体100の車両後端には2つのアウトリガ装置200A、200Bが、また車両前方には2つのアウトリガ装置200C、200Dが設けられている。
【0012】
図2、
図3は、走行体100の後端に設けられたアウトリガ装置200A、200Bを示す。
アウトリガ装置200A、200Bは、走行体100に設けられた支持部202に取り付けられ、
図2において走行体100の左側部にアウトリガ装置200A(運転室104側)が、右側部にアウトリガ装置200B(運転室104と反対側)が設けられている。アウトリガ装置200A、200Bは、それぞれ、支持部202に回動軸204によって回動可能に支持されているアウトリガ201と、支持部202に収容され、回動軸204を揺動軸としてアウトリガ201を回動するアウトリガシリンダ206a(または206b)とを備えている。アウトリガ201は接地板208を有する。アウトリガ201が張り出されると、接地板208は地面の傾斜に追従して傾動しつつ接地する。
【0013】
図示はしないが、運転室104は、アウトリガ装置200Aと同じ車体左側部側に設けられている。オペレータは、運転室104内から走行体100の後方に設けられたアウトリガ装置200A、200Bのアウトリガ201を視認するのは困難であり、特に、運転室104とは反対側の右側後方に設けられたアウトリガ装置200Bのアウトリガ201を視認するのは難しい。
走行体100の前方に設けられたアウトリガ装置200C、200Dの一方は、アウトリガ装置200Aと同じ左側部に設けられ、他方はアウトリガ装置200Bと同じ右側部に設けられている。アウトリガ装置200C、200Dも、アウトリガ装置200A、200Bと同様な構造を有する。
【0014】
(アウトリガ装置)
図4は、
図3に示す収納状態のアウトリガ装置を示す図であり、とくに支持部202を構成する側板を取り除いて支持部内部を示す図である。また、
図5は、アウトリガシリンダ206をストロークエンドまで伸長してアウトリガ201を張出した状態を示す図であり、
図6(a)は
図5の上方からの平面図であり、
図6(b)は、
図6(a)の側面図である。接地板208は図示を省略した。
なお、以下においては、アウトリガ200A、200Bを代表して、アウトリガ200とし、アウトリガシリンダ206a、206bを代表してアウトリガシリンダ206として説明する。
【0015】
アウトリガ装置200は、上述した通り、アウトリガ201とアウトリガシリンダ206とを備える。
アウトリガシリンダ206は、一端、すなわち、チューブの基端が支持ブラケット221に固定された支軸222に回動可能に枢支され、他端、すなわち、シリンダロッドの先端がアウトリガ201を貫通して取り付けられた軸231に枢支されている。アウトリガ201は、支持部202に取り付けられた回動軸204を中心として回動可能に枢支されている。
【0016】
図5、
図6に図示された状態からアウトリガシリンダ206が収縮すると、アウトリガ201は回転軸204を中心に反時計方向に回動して
図4に図示される収縮状態となる。
図4に図示された状態からアウトリガシリンダ206が伸長すると、アウトリガ201は回転軸204を中心に時計方向に回動して、
図5、
図6に示すように、接地状態またはジャッキアップ状態となる。接地状態は、
図2の実線で示すように、接地板208が接地した状態をいう。接地板208は、軸部232によりアウトリガ201の先端側に回動可能に軸支されており、その平坦部の面全体が地面に追従するように回動する。アウトリガシリンダ206が接地状態以上に伸長すると、アウトリガ201は、
図2に一点鎖線で示すように、さらに、回動する。アウトリガ201が接地状態からさらに回動すると、車輪120が地面から浮き上がる、つまり、ホイール式作業車両がジャッキアップされる。以下では、アウトリガシリンダ206が伸長側のストロークエンドに達したときを、ジャッキアップ状態という。
【0017】
以上のとおり、アウトリガ201は、アウトリガシリンダ206の伸縮に応じて下記の5つの張出し状態となる。
(1)収縮状態
(2)収縮状態と接地状態の間の第1空中状態
(3)接地状態
(4)接地状態とジャッキアップ状態の間の第2空中状態
(5)ジャッキアップ状態。
【0018】
一実施の形態として示すホイール式作業車両は、アウトリガ201が上記いずれの張出し状態であるかを検出するためのアウトリガ張出し状態検出機構、すなわち、アウトリガ張出し状態検出部300を備えている。
【0019】
次に、アウトリガ張出し状態検出機構300について説明する。
(アウトリガ張出し状態検出機構)
図7は、アウトリガ張出し状態検出機構を有するアウトリガ装置の斜視図であり、
図8は、アウトリガシリンダの軸芯と直交する面で切断したアウトリガ装置の断面図であり、
図9は、
図7の要部拡大図である。
アウトリガ張出し状態検出機構300は、シリンダカバー、すなわち、移動部材310と、移動部材310の直進案内部も兼用する角度検出器320とを備えている。
【0020】
移動部材310は、水平な本体部と、その両側に傾斜して設けられた案内部311a、311b(
図8参照)とを有する板状のシリンダカバーである。移動部材310の一端はアウトリガシリンダ206のシリンダロッド251の先端部251Sの外周にボルト等の締結部材261により固定されている。移動部材310の他端は、
図8に示すように、アウトリガシリンダ206のチューブ252の周面に設置した角度検出器320と案内ローラ315のガイド機構により移動可能にガイドされている。アウトリガシリンダ206が収縮すると、
図5に矢印で図示するように、アウトリガ201は回動軸204を中心に回動する。その際、移動部材310は、シリンダロット251の収縮に連動してアウトリガシリンダ206のチューブ252側に直進移動する。
【0021】
移動部材310の一方の案内部311aには、アウトリガシリンダ206のロッド251の延在方向に延出された貫通孔313が形成されている。
図9に示すように、貫通孔313の内周縁にはラック歯車314(
図9参照)が設けられている。他方の案内部311bには、貫通孔313と同様にアウトリガシリンダ206のロッド251の延在方向に延出された案内孔316が設けられている。但し、この案内孔316にはラック歯車314は形成されていない。案内孔316内には、アウトリガシリンダ206のチューブ252の外周に設けられたボス部271に回転可能に取り付けられた案内ローラ315が嵌合されている。案内ローラ315は、移動部材310が移動する際、案内孔316内を転動して移動部材310の移動のガイド機能を果たす。
【0022】
図8を参照して説明する。角度検出器320は、外周に歯車が形成されたピニオンギア321と、ピニオンギア321の回転に連動して回転し、回転角度を検出するロータリ型のポテンショメータ322とを備える。ピニオンギア321は、ポテンショメータ322の回転軸にボルト263により締結される。ポテンショメータ322は、アウトリガシリンダ206のチューブ252に設けられたボス部272に取り付けられる。ピニオンギア321は、貫通孔313内に嵌入されてラック歯車314に噛合する。移動部材310が移動すると、貫通孔313のラック歯車314に噛合するピニオンギア321が回転し、ポテンショメータ322から、ピニオンギア321の回転角度に対応した回転角度検出信号が発生される。この角度検出信号はアウトリガシリンダ206の伸縮量、すなわち、アウトリガ210の姿勢、すなわち、張出し状態を示す信号である。
【0023】
たとえば、アウトリガ収納状態の回転角度検出信号の電圧レベルを最小値、アウトリガジャッキアップ状態の回転角度検出信号の電圧レベルを最大値とすると、回転角度検出信号の電圧レベルにより、アウトリガ出力206の伸縮位置、すなわち、アウトリガ張出し状態を判別することができる。アウトリガシリンダ206が最も収縮した位置から最も伸長した位置までの間にピニオンギア321が一回転以上回転駆動される場合でも、ポテンショメータ322から出力される回転角度検出信号に基づいて、所定のアルゴリズムにより、コントローラ401はアウトリガシリンダ206の伸縮位置を判別することができる。
【0024】
(アウトリガ装置の回路構成)
図10を参照して、アウトリガ装置の一実施の形態としての回路について説明する。
本実施の形態によるホイール式油圧ショベルでは、上述したように4つのアウトリガ装置200A〜200Dを備えている。ホイール式油圧ショベルの後方側の左右側部に設けられたアウトリガ装置200A、200Bは、それぞれ、アウトリガ張出し状態検出機構300を備えている。
図10は、アウトリガ装置200A、200Bに対応する回路図である。
アウトリガ装置200A、200Bは、アウトリガシリンダ206a、206bを有している。アウトリガシリンダ206a、206bは、例えば、後左車輪、後右車輪に対応して配置され、電磁弁410、412および切換弁411によって、駆動制御される。
【0025】
アウトリガシリンダ206a、206bのボトム室206ab、206bbおよびロッド室206ar、206brには、切換弁411を介して油圧ポンプ424の圧油が導入される。また、切換弁411を介してボトム室206ab、206bbおよびロッド室206ar、206brから圧油がタンク418へ排出される。切換弁411の切替えにより、油圧ポンプ424から吐出される圧油によりアウトリガシリンダ206a、206bが伸縮動作する。油圧ポンプ425の圧油は、電磁弁410または412を介して切換弁411に供給され、切換弁411を動作させる。
【0026】
アウトリガ張出し状態検出機構300は、アウトリガ装置200Aのアウトリガ201の位置を検出するための角度検出器320Lと、アウトリガ装置200Bのアウトリガ201の位置を検出するための角度検出器320Rとを備える。また、ホイール式油圧ショベルは、運転室104内に装備されたアウトリガ操作レバー430と、アウトリガ装置200A、200Bのアウトリガ206の張出し状態を表示するモニター装置130とを備える。
【0027】
電磁弁410、412と、角度検出器320Lと320Rの各ポテンショメータ322L、322Rとは、コントローラ401に接続されている。コントローラ401には、アウトリガ操作レバー430も接続され、アウトリガ操作レバー430はアウトリガ制御信号をコントローラ401に供給する。アウトリガ操作レバー430は、4つのアウトリガーを協調して駆動するものであり、たとえば、中立位置から収納操作位置と張出操作位置の2方向に操作される。
【0028】
アウトリガ操作レバー430が収納操作位置または張出操作位置へ操作されると、アウトリガ操作を指示するアウトリガ制御信号、すなわちアウトリガ操作指示信号がコントローラ401へ出力され、コントローラ401から電磁弁410、412に駆動信号が出力される。これにより、アウトリガシリンダ206a,206bが伸縮する。アウトリガ操作レバー430を中立位置に戻すと、コントローラ401は、アウトリガシリンダ206a、206bの駆動を停止させる。
【0029】
アウトリガシリンダ206a、206bを伸張させる場合には、アウトリガ操作レバー430を張出操作位置側に操作する。これにより、コントローラ401は電磁弁410へ駆動信号を出力して電磁弁410を駆動させる。電磁弁410が駆動すると、油圧ポンプ425から供給された圧油により切換弁411が位置bに駆動されて、油圧ポンプ424から圧油がボトム室206ab、206bbへ流入するとともに、ロッド室206ar、206brの圧油がタンクへ排出される。その結果、アウトリガシリンダ206a、206bが伸張駆動する。
【0030】
アウトリガシリンダ206a、206bを収縮させる場合には、アウトリガ操作レバー430を収納操作位置側に操作する。これにより、コントローラ401は電磁弁412へ駆動信号を出力して電磁弁412を駆動させる。電磁弁412が駆動すると、油圧ポンプ425から供給された圧油により切換弁411が位置Rに駆動されて、油圧ポンプ424から圧油がロッド室206ar、206brへ流入するとともに、ボトム室206ab、206bbの圧油がタンク418へ排出される。その結果、アウトリガシリンダ206a、206bが収縮駆動する。なお、位置Rにおいてボトム室206ab、206bbがタンクと連通する通路には絞りが介装されており、ジャッキアップ中に位置Rに切り替わったときに、車体がゆっくり降下して車輪120が接地するように構成されている。
【0031】
コントローラ401には、ポテンショメータ322L、322Rから、アウトリガ装置200A、200Bのそれぞれのアウトリガ201の張出し状態検出信号が供給される。
コントローラ401は、張出し状態検出信号に基づいて、アウトリガ201の下記5つの状態を判別して、状態に応じた表示をモニタ装置130が行うように表示指令を出力する。
(1)収縮状態
(2)収縮状態と接地状態の間の第1空中状態
(3)接地状態
(4)接地状態とジャッキアップ状態の間の第2空中状態
(5)ジャッキアップ状態
ポテンショメータ322による角度検出信号と上記(1)〜(5)の関係は次の通りである。
【0032】
図4において、収縮側ストロークエンド(収納状態)でのピニオンギア321の位置を(a)、伸長側ストロークエンド(ジャッキアップ状態)でのピニオンギア321の位置を(c)、接地状態でのピニオンギア321の位置を(b)とする。ピニオンギア321の位置が(a)と(b)の間では、収納状態と接地状態との間の第1空中状態であり、ピニオンギア321の位置が(b)と(c)の間では、接地状態とジャッキアップ状態との間の第2空中状態である。したがって、ポテンショメータ320の角度検出信号をこれらの位置に対応づけたテーブルをコントローラ401にあらかじめ記憶しておけば、角度検出信号に基づいてアウトリガ201の張出し状態を判別することができる。
【0033】
モニター装置130はコントローラ401からの表示指令により、アウトリガ201の張出し状態を表示する。表示は、イラストが好ましいが、文字でもよい。イラストと文字の両方で表示してもよい。
【0034】
次に、アウトリガ201の張出し状態検出の処理について説明する。
(アウトリガの張出し状態検出)
図11は、アウトリガの張出し状態検出の処理を示すフローチャートである。
この処理は、たとえばアウトリガ201のアウトリガ操作レバー430が操作されることによりスタートする。
【0035】
以下では、アウトリガ装置200A、200Bを代表してアウトリガ装置200とし、アウトリガシリンダ206a、206bを代表としてアウトリガシリンダ206とし、ポテンショメータ322L、322Rを代表してポテンショメータ322として説明する。
【0036】
図4は、アウトリガシリンダ206が収縮側のストロークエンドに収縮した状態であり、アウトリガ201は収縮状態に設定されている。このときのピニオンギア321の位置(a)に対応するポテンショメータ322の角度をPn_aとする。また、ピニオンギア321の位置(b)に対応するポテンショメータ322の角度をPn_bとし、ピニオンギア321の位置(c)に対応するポテンショメータ322の角度をPn_cとする。なお、
図5と
図7には、アウトリガ201がジャッキアップ状態のときのピニオンギア321の位置が図示されている。
【0037】
ステップS1において、ポテンショメータ322から張出し状態検出信号がコントローラ401に供給され、検出角度Pndetectが収納状態を示す角度Pn_aより小さいか否かが判断される。ステップS1が肯定されれば、アウトリガ201は収納状態であると判断され、ステップ11において、収納状態である表示指令をモニタ装置130に出力する。ステップS1が否定されれば、ステップS2の処理を行う。
【0038】
同様に、ステップS2では、ポテンショメータ322からの検出角度Pndetectが角度Pn_aより大きく、かつ、角度Pn_bより小さいかが判断される。ステップS2が肯定されれば、アウトリガ201は、収納状態と接地状態の間の第1空中状態であると判断され、ステップ21において、第1空中状態である表示指令をモニタ装置130に出力する。ステップS2が否定されれば、ステップS3の処理を行う。
【0039】
同様に、ステップS3では、ポテンショメータ322からの検出角度Pndetectが接地状態を示す角度Pn_bに一致するか否か判断する。ステップS3が肯定されれば、アウトリガ201は接地状態であると判断され、ステップ31において、コントローラ401は接地状態である表示指令をモニタ装置130に出力する。次いで、ステップS32において、不図示の前後進レバーを中立位置から前進または後進に切り替えた場合には、コントローラ401からの指令により、警報報知をするか、またはホイール式油圧ショベルの走行を不能にする。警報報知は、コントローラ401により図示しない警報装置に警報報知指令を出力することにより行う。走行を不能にするには、コントローラ401の指令により、アクセルペダルを踏み込んでも、ホイール式油圧ショベルが走行できないようにする。ステップS3が否定されれば、ステップS4の処理を行う。
【0040】
同様に、ステップS4では、ポテンショメータ322からの検出角度Pndetectが角度Pn_bより大きく、かつ、角度Pn_cより小さいかが判断される。ステップS4が肯定されれば、アウトリガ201は、接地状態とジャッキアップ状態の間の第2空中状態であると判断され、ステップ41において、コントローラ401は第2空中状態である表示指令をモニタ装置130に出力する。次いで、ステップS42において、コントローラ401からの指令により、警報報知をするか、またはホイール式油圧ショベルの走行を不能にする。ステップS42は、ステップS32と同様の制御により行われる。ステップS4が否定されれば、ステップS5の処理を行う。
【0041】
同様に、ステップS5では、ポテンショメータ322からの検出角度Pndetectがジャッキアップ状態を示す角度Pn_cに一致するか否か判断する。ステップS5が肯定されれば、アウトリガ201はジャッキアップ状態であると判断され、ステップ51において、コントローラ401はジャッキアップ状態である表示指令をモニタ装置130に出力する。次いで、ステップS52において、コントローラ401からの指令により、警報報知をするか、またはホイール式油圧ショベルの走行を不能にする。ステップS52は、ステップS32と同様の制御により行われる。ステップS5が否定されれば、ステップS1に戻る。
【0042】
図11に図示されるように、本実施形態では、ステップS11、S21、S31、S41、S51において、アウトリガ201の張出し状態が、モニター装置130に表示される。
また、ステップS32、S42、S52において、換言すれば、アウトリガ201の張出し状態が、接地状態、第2空中状態およびジャッキアップ状態のときに、つまり、収納状態または第1空中状態以外の状態のときに、前後進レバーを中立位置から前進または後進に切り替えた場合には、警報報知されるかまたはホイール式油圧ショベルの走行が不能にされる。
【0043】
以上のように、アウトリガ201の上記5つの状態のそれぞれがコントローラ401で判別されると、コントローラ401からモニター装置130に、その判別結果に対応する表示の指令が出され、モニター装置130に表示される。このため、オペレータは、運転室104内において、アウトリガ装置200A、200Bそれぞれのアウトリガ201の張出し状態を、モニターの表示により判別することができる。
【0044】
上記一実施の形態によれば下記の効果を奏する。
(1)ホイール式作業車両の後方側の左右側部に設けられたアウトリガ装置200A、200Bにアウトリガシリンダ206の伸縮状態を検出するアウトリガ張出し状態検出機構300を設け、運転室104内に設置したモニター装置130に張出し状態を表示するようにした。このため、オペレータは、従来では、アウトリガ張出し状態を、運転室内において、視認により確認することが困難であった後方側のアウトリガ装置200A、200B(特に、運転室104と反対側のアウトリガ装置200B)の張出し状態を判別することができる。特に、従来では、運転室104が設けられた側部とは反対側の側部後方に設けられたアウトリガ装置200Bのアウトリガ201の張出し状態を視認による確認することは難しかったが、上記一実施の形態に示すホイール式作業車両により、アウトリガ張出し状態の判別を運転室内で確実に行うことができるようになった。そのため、場内でホイール式作業車両を移動させる場合に、運転室104と反対側のアウトリガ装置200Bが上がり切っていない状態で車両を移動することや運転室104と反対側のアウトリガ装置200Bが十分に接地していない状態で作業を行うことを防止することができる。その結果、作業の能率を向上することができる。
【0045】
(2)張出し状態検出機構300の角度検出器320を、アウトリガシリンダ206のチューブ252の外周に取り付ける構造であり、新たに支持部材を用いる構造ではないので、構造が簡素になり、安価にすることができる。
(3)移動部材310の両側に傾斜して案内部311a、311bを形成し、一方の案内部311aにはラック歯車314を有する貫通孔313設け、他方の案内部311bには、移動部材310の移動をガイドするための案内孔316を設けた。このため、簡素な構造で、かつ、移動部材310の移動を円滑に行うことができる。
(4)移動部材310はシリンダロッドを保護するカバーとしても機能することができる。
(5)アウトリガ201の張出し状態が、接地状態、第2空中状態およびジャッキアップ状態のときに、前後進レバーを中立位置から前進または後進に切り替えた場合には、警報報知されるかまたはホイール式油圧ショベルの走行が不能にされる。このため、作業の安全性を、一層、向上することができる。
【0046】
上記一実施の形態を以下のように変形して実施することができる。
(1)後方側のアウトリガ装置200A、200Bのみにアウトリガ張出し状態検出機構300を設けたホイール式車両として例示したが、前方側のアウトリガ装置200C、200Dにもアウトリガ張出し状態検出機構300を設けてもよい。アウトリガ張出し状態検出機構300を、運転室104とは反対側の側部に設けられた後方側のアウトリガ装置200Bのみに設けてもよい。
【0047】
(2)以上では、モニタ装置130によりアウトリガ張出し状態を報知するようにしたが、音声による報知でもよい。報知の形態としては、例えば、下記に示す形態がある。下記に示す各形態を組み合わせてもよい。
(イ)収納状態とそれ以外の状態を識別して報知する。
(ロ)左右後方側のアウトリガ装置の両方、または一方、特に、運転室と反対側のアウトリガ装置のジャッキアップが完了していることを報知する。
(ハ)前後のアウトリガ装置の全て、または特に、運転室と反対側の側部に設けたアウトリガ装置のジャッキアップが完了していることを報知する。
(ニ)アウトリガ201の接地状態のみを報知する。この報知は、各アウトリガ201の接地状態、すなわち接地されているか否かについて行うことが好ましい。
【0048】
(3)上記一実施の形態では、アウトリガ張出し状態検出機構300を、移動部材310と角度検出器320により構成するものとして例示した。しかし、アウトリガの張出し状態を検出する形態として、アウトリガ装置200A、200Bそれぞれのアウトリガシリンダ206のロッド251の伸縮位置をストロークセンサにより検出する構造としてもよい。前方側のアウトリガ装置200C、200Dについてアウトリガの張出し状態を検出する場合も、同様な構造とすることができる。
【0049】
(4)上記一実施の形態において、角度検出器320を構成するピニオンギア321を、移動部材310に設けた貫通孔313の内周縁のラック歯車314に噛合して回転する構造として例示した。しかし、移動部材310に貫通孔313を設けず、移動部材310の一側縁部にラック歯車314を設けるようにしてもよい。
【0050】
(5)上記一実施の形態では、角度検出器320を構成する角度検出センサとしてポテンショメータを例示した。しかし、ポテンショメータに代えて、パルスエンコーダあるいはリニアエンコーダを用いてもよい。あるいは、ポテンショメータに代えて、ストロークセンサ内蔵のアウトリガシリンダ206を使用してもよい。
【0051】
上記一実施の形態では、ホイール式作業車両としてホイール式油圧ショベルを例として説明した。しかし、本発明は、ホイールクレーン、ホイール式破砕機等、他のホイール式作業車両にも適用が可能である。
【0052】
その他、本発明のホイール式作業車両は、発明の趣旨の範囲内において、種々、変形することが可能であり、要は、少なくとも、運転室と反対側の側部後方に設けられたアウトリガ装置に、アウトリガシリンダの伸縮量を検出するアウトリガ張出し状態検出部を設けて、アウトリガ張出し状態を報知する報知部を運転室内に設置するようにしたものであればよい。