【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するために、本発明は、蓄電池と交流モータとの間を流れる電流を変換するための電力モジュールであって、交流モータへの給電、および/または蓄電池の充電を可能にするように制御しうるスイッチング手段と、スイッチング手段に接続されており、スイッチング手段に開信号、および/または閉信号を送ることができる
デジタルタイプ内部制御ユニットとを備えている電力モジュールを提供するものである。
デジタルタイプ内部制御ユニットは、さらに、遠隔制御ユニットとデータ交換することができ、このデータ交換に、少なくとも1つの電位障壁が利用される。データ交換は、特に、少なくとも1つの電位障壁を経て行なわれる。
【0017】
交流モータへの給電は、いくつかの給電モードによって行うことができ、交流モータへの、それらのいくつかの給電モードを可能にするように、スイッチング手段を制御することができる。
【0018】
本発明によれば、従来、主制御ユニット(
図1における制御ユニット4)によって行われてきた知的機能が、個々の電力モジュールの内部に移されている。したがって、各電力モジュールは、
デジタルタイプ内部制御ユニット、およびそれに伴う論理機能を、それ自身で備えている。この
デジタルタイプ内部制御ユニットは、一方では、電力モジュールのスイッチング手段へ制御信号を供給するために、そのスイッチング手段に接続されており、他方では、遠隔制御ユニットとのデータの送受信のために、遠隔制御ユニットと連絡されている。
【0019】
スイッチング手段と
デジタルタイプ内部制御ユニットとの間の信号交換は、高電圧環境において行うことができ、いかなる電位障壁も必要としない。そのような電位障壁は、遠隔制御ユニットとのリンクに依然として必要であるだけである。したがって、本発明によれば、この電位障壁による減結合は、データを移動させる媒体だけに限定して適用され、減結合のための部品の使用数は低減する。
【0020】
言い換えると、このように構成されている電力モジュール同士は、互いに独立して動作することができ、遠隔制御ユニットから伝達されたデータに基づいて、自身で、高電圧信号による制御を行う。
【0021】
ガルバニック絶縁によって、例えば減結合のために、変成器および/または光結合器を用いることにより、電位障壁を得ることができる。
【0022】
さらに、例えばいくつかの電力モジュールから出力されたデータ信号を、多重化することができるデータ通信バスを用いることも可能である。この場合には、各
デジタルタイプ内部制御ユニットは、電力モジュールごとに、スイッチング手段と高電圧で情報交換し、また遠隔制御ユニットとデータ形式で情報交換することができる。データ通信バスに、電位障壁を配置することができ、このデータ通信バスの電位障壁を経て、データ交換を行うことができる。
【0023】
遠隔制御ユニットは、電力モジュールの一部ではないことが好ましい。
【0024】
本発明の別の1つの利点は、電力モジュールを、インバータの内部にも、DC/DCコンバータの内部にも、同じように用いることができるということである。実際、例えば通信ポートを介して、対象の電力モジュールのパラメータを設定し、その電力モジュールを、インバータとDC/DCコンバータとのどちらかとして動作させるように、その電力モジュールの
デジタルタイプ内部制御ユニットをプログラムするだけで、電力モジュールをそのように用いることができる。したがって、電力モジュールを大量生産することができる。電力モジュールをインバータに利用するか、DC/DCコンバータに利用するかは、製造後のプログラミングによって定めることができる。
【0025】
本発明の電力モジュールの、いくつかの実施形態においては、次の特徴の1つ以上を組み合わせて、または単独で備えている場合がある。
− スイッチング手段は、互いに直列に組み合わされており、
デジタルタイプ内部制御ユニットによって制御される2つのスイッチを有するアームを、少なくとも1つ備えている。
− スイッチング手段は、スイッチを駆動するために、一方では
デジタルタイプ内部制御ユニットに、他方ではスイッチに接続されている駆動手段を有しており、この駆動手段は、
デジタルタイプ内部制御ユニットからの開信号、および/または閉信号に基づいて、スイッチを開くための電流、および/または閉じるための電流を供給することができる。
− 電力モジュールは、
デジタルタイプ内部制御ユニットに接続されている測定手段を、さらに備えている。
− 電力モジュールは、少なくとも、
デジタルタイプ内部制御ユニット、および/またはスイッチング手段に接続されており、また場合によっては、測定手段に接続されている給電手段を、さらに備えている。
− スイッチング手段は、交流モータの1つの相に接続可能なHブリッジ構造を形成するように構成されており、したがって、スイッチング手段は、2つのスイッチをそれぞれに有する2つのアームを備えており、2つのスイッチの間に、交流モータのその相の1つの端子が接続される。
− 電力モジュールは、Hブリッジの領域の電圧を平滑化するために配置されている、少なくとも1つの減結合キャパシタを備えている。
− 電力モジュールは、
デジタルタイプ内部制御ユニットに接続されているデータ通信バスを備えており、このデータ通信バス上の電位障壁を経て、遠隔制御ユニットとデータ交換することができる。
− 電力モジュールは、データ通信バス上にガルバニック絶縁手段を備えている。
【0026】
したがって、特定の一実施形態によれば、各電力モジュールは、電流、電圧、および温度を測定するための手段、および減結合キャパシタ、非絶縁型高電圧電源を備えている。これによって、本発明の電力モジュールは、自立性が完全になり、少数の連結部しか備えていない。
【0027】
電力モジュールのインターフェイスを、次のものに限定することができる。
− 電力モジュールに高電圧を供給するための2つの電力インターフェイス、
− Hブリッジから出た電流を送出するための2つの電力インターフェイス、
− データ通信バスのための制御インターフェイス。
【0028】
本発明は、さらに、次のものを備えている電圧コンバータにも関する。
− 少なくとも1つの、上述の電力モジュールと、
− 電位障壁を経て、電力モジュールの
デジタルタイプ内部制御ユニットとデータ交換するように構成されている遠隔制御ユニット。
【0029】
この電圧コンバータは、複数の電力モジュール、および各電力モジュールの
デジタルタイプ内部制御ユニットとデータ交換するように構成されている単一の遠隔制御ユニットを備えている場合がある。このデータ交換は、単一の電位障壁を経なければ行われない場合がある。
【0030】
電圧コンバータは、下記のインバータ、またはDC/DCコンバータである場合がある。
【0031】
本発明は、さらに、交流モータへの給電および蓄電池の充電に共用されるインバータを提供するものである。このインバータは、上述の電力モジュールを、少なくとも1つ備えている。
【0032】
このインバータは、多相交流モータのためのインバータである場合がある。この場合には、インバータは、多相交流モータの相の数に等しい数だけの電力モジュールを有しており、各電力モジュールは、多相交流モータの相のうちの1つに接続されている。
【0033】
本発明は、さらに、交流モータへの給電、および蓄電池の充電に共用されるDC/DCコンバータを提供するものである。
【0034】
このDC/DCコンバータは、上述のインバータと組み合わされて用いられている場合もあり、そうでない場合もある。それらが組み合わされて用いられている場合には、DC/DCコンバータは、蓄電池とインバータとの間に、電圧レベルの調整のために配置されている。この電圧レベルの調整のために、DC/DCコンバータは、上述の電力モジュールを、少なくとも1つ備えている。
【0035】
本発明は、さらに、交流モータと、蓄電池と、上述の電力モジュールを少なくとも1つ有しているインバータとを備えている、給電および充電に共用される電気装置を提供するものである。この電気装置は、例えばデータ通信バスを介して、各電力モジュールの
デジタルタイプ内部制御ユニットとデータ交換することができる遠隔制御ユニットを、さらに備えている。したがって、遠隔制御ユニットは、各
デジタルタイプ内部制御ユニットと連絡されている。
【0036】
給電および充電に共用されるこの電気装置は、本発明による電力モジュールによってもたらされる上述の利点を備えている。さらに、この電気装置によれば、故障が生じたときに、データ通信バスのいずれのポートが故障しているかを特定することができ、したがって、実際に故障している電力モジュールを取り出すことができる。したがって、この故障している電力モジュールだけを交換することができる。それによって、アフターサービスの経費が低減する。
【0037】
本発明の別の1つの利点は、複数の、本発明による電力モジュールを、限られた数のリンクを介して遠隔制御ユニットと連絡している、単一の遠隔通信バスに連結することができるということである。さらに、個々の連結部のそれぞれを個々に減結合するのではなく、遠隔通信バスを介して、包括的かつ多重的に減結合を行うことができる。したがって、コネクタおよびアイソレータの数が減り、結果として、電気装置の価格が低下する。
【0038】
本発明の別の1つの利点は、例えばインバータ、および/またはDC/DCコンバータを形成するために用いる、本発明による電力モジュールの数を任意に選択することによって、給電および充電に共用される電気装置を、特注品として製造することができるということである。
【0039】
この電気装置は、さらに、蓄電池とインバータとの間に、それらの電圧レベルの調整のために配置されているDC/DCコンバータを備えていることが好ましい。このDC/DCコンバータも、複数の、本発明による電力モジュールを備えている場合、すなわち、
デジタルタイプ内部制御ユニットをそれぞれに有する複数の電力モジュールを備えている場合がある。電気装置の遠隔制御ユニットが、これらの電力モジュールの
デジタルタイプ内部制御ユニットを介して、少なくとも部分的に、これらの電力モジュールのスイッチング手段を制御することができるように、遠隔制御ユニット、およびこれらの電力モジュールの
デジタルタイプ内部制御ユニットは、同じ単一の遠隔通信バスに連結されている。
【0040】
したがって、単一の遠隔制御ユニットが、電気装置の各
デジタルタイプ内部制御ユニットと、その
デジタルタイプ内部制御ユニットがインバータの電力モジュールに属しているか、DC/DCコンバータの電力モジュールに属しているかにかかわらず、データ交換をすることができる。
【0041】
電気装置の熱調節を行うために、電気装置を、少なくとも1つの面が、その少なくとも1つの面を冷却することができるように、水熱交換器に接しているハウジング内に組み込むことができる。さらに、この冷却のための面に、熱交換面積を増大させるために、複数の歯状突起が設けてある場合がある。
【0042】
当然ながら、本発明は、蓄電池から交流モータへの給電だけ、または交流モータから蓄電池への充電だけを行う電気装置としても活用しうるものであり、本発明によるインバータおよび/またはDC/DCコンバータは、必ずしも可逆的ではない。
【0043】
本発明は、さらに、給電および充電に共用される、上述の電気装置の使用方法を提供するものである。この使用方法は、交流モータへの給電モードから蓄電池の充電モードへの切り替え、およびその逆の切り替えを可能にするように、電力モジュールのうちの少なくとも1つのスイッチング手段を制御するステップを含んでいる。
【0044】
本発明は、さらに、複数の機能的な電子層を、次のように重ね合わせることによって、給電および充電に共用しうる、電気装置を提供する方法をも提供するものである。
− 第1の電子層が、インバータを構成し、
− 第2の電子層が、遠隔制御ユニットを構成し、
− 第3の電子層が、DC/DCコンバータを構成する。
【0045】
本発明の方法は、第1の電子層と第2の電子層とが、第1のデータ通信バスで連結されるステップ、および第2の電子層と第3の電子層とが、第2のデータ通信バスで連結されるステップを含んでいる場合がある。