特許第6208675号(P6208675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6208675電力モジュール、およびモータへの給電および蓄電池の充電に共用しうる電気装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208675
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】電力モジュール、およびモータへの給電および蓄電池の充電に共用しうる電気装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 11/18 20060101AFI20170925BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20170925BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   B60L11/18 A
   H02J7/00 L
   B60L9/18 J
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-539386(P2014-539386)
(86)(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公表番号】特表2015-501631(P2015-501631A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】FR2012052515
(87)【国際公開番号】WO2013064780
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2015年10月26日
(31)【優先権主張番号】1159907
(32)【優先日】2011年11月2日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517209363
【氏名又は名称】ヴァレオ シーメンス エーオートモーティヴ フランス ソシエテ・パ・アクシオンス・シンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ボリス ブーシェ
(72)【発明者】
【氏名】リュイ ドゥ スーザ
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト シルベストル
【審査官】 武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−252445(JP,A)
【文献】 特開2006−300038(JP,A)
【文献】 特開2010−081786(JP,A)
【文献】 特開2007−306709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00−3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
H02J 7/00−7/36
H02M 7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池(20)と交流モータ(50)との間を流れる電流を変換するための個々の電力モジュール(9、9’、9’’)であって、前記交流モータ(50)への給電および/または前記蓄電池(20)の充電を可能にするように制御可能なスイッチング手段(10)を備えている電力モジュール(9、9’、9’’)において、
イ.前記スイッチング手段(10)は、互いに直列に組み合わされており、2つのスイッチ(11)から形成された少なくとも1つのアームを備えていること、
ロ.前記スイッチング手段(10)は、一方ではデジタルタイプ内部制御ユニット(13)に接続されていて、他方では前記スイッチ(11)に接続されている前記スイッチを駆動するための駆動手段(22)を有しており、前記駆動手段(22)は、前記デジタルタイプ内部制御ユニット(13)からの開信号および/または閉信号に基づいて、前記スイッチ(11)を開くための電流および/または閉じるための電流を供給することができること、
ハ.前記個々の電力モジュール(9、9’、9’’)は、前記デジタルタイプ内部制御ユニット(13)を備えていて、前記デジタルタイプ内部制御ユニット(13)は、前記スイッチ(11)を駆動するための駆動手段(22)へ開信号および/または閉信号を供給することができること、及び遠隔制御ユニット(12)とデータ交換することができること、及び
ニ.前記個々の電力モジュール(9、9’、9’’)は、更に、デジタルタイプ内部制御ユニット(13)に接続されていて前記遠隔制御ユニット(12)とデータ交換することができ、ガルバニック絶縁手段を備えているデータ通信バス(14)を備えていること、を特徴とする電力モジュール。
【請求項2】
前記デジタルタイプ内部制御ユニット(13)に接続されている測定手段(24)を、さらに備えている、請求項1に記載の電力モジュール。
【請求項3】
少なくとも、前記デジタルタイプ内部制御ユニット(13)および/または前記スイッチング手段(10)に接続されている給電手段(26)を、さらに備えている、請求項1又は2に記載の電力モジュール。
【請求項4】
前記スイッチング手段(10)は、前記交流モータ(50)の1つの相(60)に接続可能なHブリッジ構造を形成するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の電力モジュール。
【請求項5】
前記スイッチング手段(10)を保護するために配置されている、少なくとも1つの減結合キャパシタ(130)を備えている、請求項1〜4のいずれか1つに記載の電力モジュール。
【請求項6】
−少なくとも1つの、請求項1〜のいずれか1つに記載の電力モジュール(9、9’、9’’)と、
−電位障壁を経て、前記電力モジュール(9、9’、9’’)のデジタルタイプ内部制御ユニット(13)とデータ交換するように構成されている遠隔制御ユニット(12)とを備えてなる電圧コンバータ。
【請求項7】
複数の前記電力モジュール(9、9’、9’’)、および各電力モジュール(9、9’、9’’)のデジタルタイプ内部制御ユニット(13)と、単一の電位障壁を経てデータ交換するように構成されている単一の遠隔制御ユニット(12)を備えている、請求項に記載の電圧コンバータ。
【請求項8】
交流モータ(50)への給電および蓄電池(20)の充電に共用されるインバータ(40)である、請求項またはに記載の電圧コンバータ。
【請求項9】
前記交流モータ(50)は多相交流モータであり、前記インバータ(40)は、前記交流モータ(50)の相(60)の数に等しい数だけの電力モジュール(9、9’、9’’)を有しており、該電力モジュール(9、9’、9’’)の各々は、前記交流モータ(50)の相(60)のうちの1つに接続される、請求項に記載の電圧コンバータ。
【請求項10】
交流モータ(50)への給電および蓄電池(20)の充電に共用されるDC/DCコンバータ(30)である、請求項またはに記載の電圧コンバータ。
【請求項11】
前記蓄電池(20)とインバータ(40)との間に、電圧レベルの調整のために配置される、請求項10に記載の電圧コンバータ。
【請求項12】
交流モータ(50)と、蓄電池(20)と、請求項1〜のいずれか1つに記載の電力モジュール(9、9’、9’’)を少なくとも1つ有しているインバータ(40)とを備えている、給電および充電に共用される電気装置(1)であって、各電力モジュール(9、9’、9’’)のデジタルタイプ内部制御ユニット(13)とデータ交換することができる遠隔制御ユニット(12)を、さらに備えている電気装置。
【請求項13】
前記蓄電池(20)と前記インバータ(40)との間に配置されているDC/DCコンバータ(30)を備えている、請求項12に記載の電気装置。
【請求項14】
複数の電子層を、
−第1の電子層が、インバータ(40)を構成し、
−第2の電子層が、遠隔制御ユニット(12)を構成し、
−第3の電子層が、DC/DCコンバータ(30)を構成するように、重ね合わせることによって、請求項13に記載の電気装置を実現する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池と交流モータとの間を流れる電流を変換するための電力モジュールに関する。本発明は、さらに、このような電力モジュールを用いるインバータ、コンバータ、および電気装置、またこのような電気装置を使用する給電および充電の方法に関する。
【0002】
本発明は、バッテリからインバータを介して交流モータに給電することができ、また停車時にバッテリを再充電することができる電気自動車の分野に、特に好ましく応用しうるものである。しかし、本発明による電力モジュールは、このような分野への応用のために特別に構成されてはいるが、他の分野にも適用することが可能である。
【背景技術】
【0003】
通常、電気自動車には、インバータに直流電流を送る高電圧バッテリが積載されている。インバータは、この直流電流を、電気自動車を駆動する交流モータに給電するための交流電流に変換する。
【0004】
この高電圧バッテリを再充電するために、配電網の交流電力を整流して、高電圧バッテリを充電することができる、交流/直流コンバータを有する車載充電装置を、自動車に積載することは、よく知られている。さらに、この車載充電装置は、配電網の電圧レベルを、バッテリの電圧レベルに一致させるように変換するための直流/直流(DC/DC)コンバータを有している場合がある。
【0005】
しかしながら、上述の給電システムおよび充電システムの各電子部品は高価である。また、交流モータへの電力供給と高電圧バッテリの充電とは、互いに異なるステージにおいてなされる。さらに、特許文献1および特許文献2には、交流モータの一部と、交流モータへの給電に用いられる部品の一部とを利用して、バッテリの充電装置を形成することが提案されている。
【0006】
そのために、インバータおよびDC/DCコンバータは、可逆的に設計されることがある。特に、バッテリの充電装置としての交流/直流コンバータを形成するためにインバータを、組み合わされるインダクタを形成するために、交流モータの巻線を用いることができる。
【0007】
図1は、従来技術によるコンバータの動作原理を示す。このコンバータには、スイッチ2を備えている1つ以上の制御アーム1が用いられている。公知のように、スイッチ2の開/閉によって、電流の変換を行うことができる。
【0008】
スイッチの開/閉は、駆動ユニット3が、スイッチの開/閉を行うための電流を発生させることによってなされる。駆動ユニット3は、制御ユニット4と情報を交換する。制御ユニット4は、スイッチ2の開/閉を指示する指令を、駆動ユニット3に伝達する
【0009】
スイッチ2および駆動ユニット3は、この装置の動作モードにしたがって、直流電流への電流変換も、また交流電流への電流変換も行うことができるように、高電圧で動作する。制御ユニット4は、低電圧(約12ボルト)で制御する。さらに、高電圧回路(駆動ユニット3およびスイッチ2)と、低電圧回路(制御ユニット4)との減結合のために、例えば光結合器、および/または変成器タイプの減結合器5を用いて、高電圧/低電圧連結部の各々を、個々に減結合することが公知となっている。
【0010】
さらに、電気自動車に対する標準化として、車体に接触しがちないかなる人間も感電死しないようにするために、車体に対してバッテリを電気的絶縁することが義務付けられている。この電気的絶縁のために、高電圧バッテリは浮遊状態とされ、そのいずれの電極の電位も、シャーシに印加されない。高電圧バッテリをシャーシから切り離すことができるように、高電圧回路の部品と制御ユニット4との間の各連結部に対して、絶縁ケーブルが設けられている。
【0011】
また、測定ユニット6や、特に駆動ユニット3に給電する給電ユニット7などの、高電圧下で動作する他の部品も用いられている。測定ユニット6は、制御ユニット4と情報を交換する。給電ユニット7は、電流供給のために低電圧回路を用いている。したがって、これらの部品と制御ユニット4との間にも、減結合器5が設けられる。
【0012】
これらの理由の全てによって、従来の電気装置は、接続技術、価格、および信頼性の点で欠点を有している。価格および信頼性は、用いられる部品の数に関連する。
【0013】
さらに、従来の電気装置は、特に、数個の制御アーム1に対して、ただ1つの制御ユニット4しか用いられていない場合に、信頼性の点で、大きな問題を有している。実際、現在までのところ、故障が生じたときに、その故障の原因を特定する方法は提案されておらず、したがって、全てのDC/DCコンバータ、および/またはインバータを交換しなければならないことは明白である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】ヨーロッパ特許公開第0603778号公報
【特許文献2】国際公開第WO97/009009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上述の欠点を解消することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するために、本発明は、蓄電池と交流モータとの間を流れる電流を変換するための電力モジュールであって、交流モータへの給電、および/または蓄電池の充電を可能にするように制御しうるスイッチング手段と、スイッチング手段に接続されており、スイッチング手段に開信号、および/または閉信号を送ることができるデジタルタイプ内部制御ユニットとを備えている電力モジュールを提供するものである。デジタルタイプ内部制御ユニットは、さらに、遠隔制御ユニットとデータ交換することができ、このデータ交換に、少なくとも1つの電位障壁が利用される。データ交換は、特に、少なくとも1つの電位障壁を経て行なわれる。
【0017】
交流モータへの給電は、いくつかの給電モードによって行うことができ、交流モータへの、それらのいくつかの給電モードを可能にするように、スイッチング手段を制御することができる。
【0018】
本発明によれば、従来、主制御ユニット(図1における制御ユニット4)によって行われてきた知的機能が、個々の電力モジュールの内部に移されている。したがって、各電力モジュールは、デジタルタイプ内部制御ユニット、およびそれに伴う論理機能を、それ自身で備えている。このデジタルタイプ内部制御ユニットは、一方では、電力モジュールのスイッチング手段へ制御信号を供給するために、そのスイッチング手段に接続されており、他方では、遠隔制御ユニットとのデータの送受信のために、遠隔制御ユニットと連絡されている。
【0019】
スイッチング手段とデジタルタイプ内部制御ユニットとの間の信号交換は、高電圧環境において行うことができ、いかなる電位障壁も必要としない。そのような電位障壁は、遠隔制御ユニットとのリンクに依然として必要であるだけである。したがって、本発明によれば、この電位障壁による減結合は、データを移動させる媒体だけに限定して適用され、減結合のための部品の使用数は低減する。
【0020】
言い換えると、このように構成されている電力モジュール同士は、互いに独立して動作することができ、遠隔制御ユニットから伝達されたデータに基づいて、自身で、高電圧信号による制御を行う。
【0021】
ガルバニック絶縁によって、例えば減結合のために、変成器および/または光結合器を用いることにより、電位障壁を得ることができる。
【0022】
さらに、例えばいくつかの電力モジュールから出力されたデータ信号を、多重化することができるデータ通信バスを用いることも可能である。この場合には、各デジタルタイプ内部制御ユニットは、電力モジュールごとに、スイッチング手段と高電圧で情報交換し、また遠隔制御ユニットとデータ形式で情報交換することができる。データ通信バスに、電位障壁を配置することができ、このデータ通信バスの電位障壁を経て、データ交換を行うことができる。
【0023】
遠隔制御ユニットは、電力モジュールの一部ではないことが好ましい。
【0024】
本発明の別の1つの利点は、電力モジュールを、インバータの内部にも、DC/DCコンバータの内部にも、同じように用いることができるということである。実際、例えば通信ポートを介して、対象の電力モジュールのパラメータを設定し、その電力モジュールを、インバータとDC/DCコンバータとのどちらかとして動作させるように、その電力モジュールのデジタルタイプ内部制御ユニットをプログラムするだけで、電力モジュールをそのように用いることができる。したがって、電力モジュールを大量生産することができる。電力モジュールをインバータに利用するか、DC/DCコンバータに利用するかは、製造後のプログラミングによって定めることができる。
【0025】
本発明の電力モジュールの、いくつかの実施形態においては、次の特徴の1つ以上を組み合わせて、または単独で備えている場合がある。
− スイッチング手段は、互いに直列に組み合わされており、デジタルタイプ内部制御ユニットによって制御される2つのスイッチを有するアームを、少なくとも1つ備えている。
− スイッチング手段は、スイッチを駆動するために、一方ではデジタルタイプ内部制御ユニットに、他方ではスイッチに接続されている駆動手段を有しており、この駆動手段は、デジタルタイプ内部制御ユニットからの開信号、および/または閉信号に基づいて、スイッチを開くための電流、および/または閉じるための電流を供給することができる。
− 電力モジュールは、デジタルタイプ内部制御ユニットに接続されている測定手段を、さらに備えている。
− 電力モジュールは、少なくとも、デジタルタイプ内部制御ユニット、および/またはスイッチング手段に接続されており、また場合によっては、測定手段に接続されている給電手段を、さらに備えている。
− スイッチング手段は、交流モータの1つの相に接続可能なHブリッジ構造を形成するように構成されており、したがって、スイッチング手段は、2つのスイッチをそれぞれに有する2つのアームを備えており、2つのスイッチの間に、交流モータのその相の1つの端子が接続される。
− 電力モジュールは、Hブリッジの領域の電圧を平滑化するために配置されている、少なくとも1つの減結合キャパシタを備えている。
− 電力モジュールは、デジタルタイプ内部制御ユニットに接続されているデータ通信バスを備えており、このデータ通信バス上の電位障壁を経て、遠隔制御ユニットとデータ交換することができる。
− 電力モジュールは、データ通信バス上にガルバニック絶縁手段を備えている。
【0026】
したがって、特定の一実施形態によれば、各電力モジュールは、電流、電圧、および温度を測定するための手段、および減結合キャパシタ、非絶縁型高電圧電源を備えている。これによって、本発明の電力モジュールは、自立性が完全になり、少数の連結部しか備えていない。
【0027】
電力モジュールのインターフェイスを、次のものに限定することができる。
− 電力モジュールに高電圧を供給するための2つの電力インターフェイス、
− Hブリッジから出た電流を送出するための2つの電力インターフェイス、
− データ通信バスのための制御インターフェイス。
【0028】
本発明は、さらに、次のものを備えている電圧コンバータにも関する。
− 少なくとも1つの、上述の電力モジュールと、
− 電位障壁を経て、電力モジュールのデジタルタイプ内部制御ユニットとデータ交換するように構成されている遠隔制御ユニット。
【0029】
この電圧コンバータは、複数の電力モジュール、および各電力モジュールのデジタルタイプ内部制御ユニットとデータ交換するように構成されている単一の遠隔制御ユニットを備えている場合がある。このデータ交換は、単一の電位障壁を経なければ行われない場合がある。
【0030】
電圧コンバータは、下記のインバータ、またはDC/DCコンバータである場合がある。
【0031】
本発明は、さらに、交流モータへの給電および蓄電池の充電に共用されるインバータを提供するものである。このインバータは、上述の電力モジュールを、少なくとも1つ備えている。
【0032】
このインバータは、多相交流モータのためのインバータである場合がある。この場合には、インバータは、多相交流モータの相の数に等しい数だけの電力モジュールを有しており、各電力モジュールは、多相交流モータの相のうちの1つに接続されている。
【0033】
本発明は、さらに、交流モータへの給電、および蓄電池の充電に共用されるDC/DCコンバータを提供するものである。
【0034】
このDC/DCコンバータは、上述のインバータと組み合わされて用いられている場合もあり、そうでない場合もある。それらが組み合わされて用いられている場合には、DC/DCコンバータは、蓄電池とインバータとの間に、電圧レベルの調整のために配置されている。この電圧レベルの調整のために、DC/DCコンバータは、上述の電力モジュールを、少なくとも1つ備えている。
【0035】
本発明は、さらに、交流モータと、蓄電池と、上述の電力モジュールを少なくとも1つ有しているインバータとを備えている、給電および充電に共用される電気装置を提供するものである。この電気装置は、例えばデータ通信バスを介して、各電力モジュールのデジタルタイプ内部制御ユニットとデータ交換することができる遠隔制御ユニットを、さらに備えている。したがって、遠隔制御ユニットは、各デジタルタイプ内部制御ユニットと連絡されている。
【0036】
給電および充電に共用されるこの電気装置は、本発明による電力モジュールによってもたらされる上述の利点を備えている。さらに、この電気装置によれば、故障が生じたときに、データ通信バスのいずれのポートが故障しているかを特定することができ、したがって、実際に故障している電力モジュールを取り出すことができる。したがって、この故障している電力モジュールだけを交換することができる。それによって、アフターサービスの経費が低減する。
【0037】
本発明の別の1つの利点は、複数の、本発明による電力モジュールを、限られた数のリンクを介して遠隔制御ユニットと連絡している、単一の遠隔通信バスに連結することができるということである。さらに、個々の連結部のそれぞれを個々に減結合するのではなく、遠隔通信バスを介して、包括的かつ多重的に減結合を行うことができる。したがって、コネクタおよびアイソレータの数が減り、結果として、電気装置の価格が低下する。
【0038】
本発明の別の1つの利点は、例えばインバータ、および/またはDC/DCコンバータを形成するために用いる、本発明による電力モジュールの数を任意に選択することによって、給電および充電に共用される電気装置を、特注品として製造することができるということである。
【0039】
この電気装置は、さらに、蓄電池とインバータとの間に、それらの電圧レベルの調整のために配置されているDC/DCコンバータを備えていることが好ましい。このDC/DCコンバータも、複数の、本発明による電力モジュールを備えている場合、すなわち、デジタルタイプ内部制御ユニットをそれぞれに有する複数の電力モジュールを備えている場合がある。電気装置の遠隔制御ユニットが、これらの電力モジュールのデジタルタイプ内部制御ユニットを介して、少なくとも部分的に、これらの電力モジュールのスイッチング手段を制御することができるように、遠隔制御ユニット、およびこれらの電力モジュールのデジタルタイプ内部制御ユニットは、同じ単一の遠隔通信バスに連結されている。
【0040】
したがって、単一の遠隔制御ユニットが、電気装置の各デジタルタイプ内部制御ユニットと、そのデジタルタイプ内部制御ユニットがインバータの電力モジュールに属しているか、DC/DCコンバータの電力モジュールに属しているかにかかわらず、データ交換をすることができる。
【0041】
電気装置の熱調節を行うために、電気装置を、少なくとも1つの面が、その少なくとも1つの面を冷却することができるように、水熱交換器に接しているハウジング内に組み込むことができる。さらに、この冷却のための面に、熱交換面積を増大させるために、複数の歯状突起が設けてある場合がある。
【0042】
当然ながら、本発明は、蓄電池から交流モータへの給電だけ、または交流モータから蓄電池への充電だけを行う電気装置としても活用しうるものであり、本発明によるインバータおよび/またはDC/DCコンバータは、必ずしも可逆的ではない。
【0043】
本発明は、さらに、給電および充電に共用される、上述の電気装置の使用方法を提供するものである。この使用方法は、交流モータへの給電モードから蓄電池の充電モードへの切り替え、およびその逆の切り替えを可能にするように、電力モジュールのうちの少なくとも1つのスイッチング手段を制御するステップを含んでいる。
【0044】
本発明は、さらに、複数の機能的な電子層を、次のように重ね合わせることによって、給電および充電に共用しうる、電気装置を提供する方法をも提供するものである。
− 第1の電子層が、インバータを構成し、
− 第2の電子層が、遠隔制御ユニットを構成し、
− 第3の電子層が、DC/DCコンバータを構成する。
【0045】
本発明の方法は、第1の電子層と第2の電子層とが、第1のデータ通信バスで連結されるステップ、および第2の電子層と第3の電子層とが、第2のデータ通信バスで連結されるステップを含んでいる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】従来技術による電気装置の概略的な回路図である。
図2】本発明による電力モジュールの例示的な一実施形態の回路図である。
図3】本発明による、給電および充電に共用される電気装置の例示的な一実施形態の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
添付図面を参照することによって、本発明をよりよく理解することができると思う。
【0048】
図2に示すように、本発明は、第一に、蓄電池と交流モータ(ともに、図2には示さず)との間を流れる電流を変換するための電力モジュール9を提供するものである。電力モジュール9は、この例においては、次のものを備えている。
− 交流モータへの給電、および/または蓄電池の充電を可能にするように制御可能なスイッチング手段10と、
− スイッチング手段10に接続されており、スイッチング手段10に開信号および/または閉信号を送ることができ、さらに、電位障壁を経て、遠隔制御ユニット(図2には示さず)とデータ交換することができるデジタルタイプ内部制御ユニット13。
【0049】
用語「接続されている」は、デジタルタイプ内部制御ユニット13が、ガルバニック絶縁なしで、スイッチング手段10に電気的につなげられていることを意味している。より一般的には、本発明の任意の部品に対して、「接続されている」という記載がなされている場合にも同じである。
【0050】
本発明における内部制御ユニット13は、本質的にデジタルタイプである。これは、デジタルタイプ内部制御ユニット13が、その入力においても出力においても、デジタル形式でデータを処理することができるということを意味している。したがって、デジタルタイプ内部制御ユニット13は、例えば電力モジュール9におけるデジタルコアを構成している。
【0051】
スイッチング手段10は、デジタルタイプ内部制御ユニット13によって制御される2つのスイッチ11で形成されているアームを、少なくとも1つ有している。これらのスイッチ11は、電力モジュール9のコネクタ(図示せず)を介して、外部電源の端子間に接続されるようになっている2本の導線102と104との間で、互いに直列に接続されている。この例においては、電力モジュール9は、2つのアーム100、100’を備えている。第1のアーム100における2つのスイッチ11の間に、第1の中央タップ106が設けられており、第2のアーム100’における2つのスイッチ11の間に、第2の中央タップ106’を設けられている。中央タップ106、106’は、それぞれ導線108、110を介して、電力モジュール9の対応するコネクタ(図示せず)に接続されている。各コネクタは、後で説明するように、対応する中央タップ106、106’を、交流モータの1つの相の端子に連結することを可能にしている。したがって、スイッチング手段10は、Hブリッジ構造を形成するようになっている。
【0052】
スイッチング手段10は、さらに、一方ではデジタルタイプ内部制御ユニット13に、他方では対応するスイッチ11に接続されており、それらのスイッチ11を駆動する駆動手段22を有している。駆動手段22は、デジタルタイプ内部制御ユニット13からの開信号、および/または閉信号に基づいて、スイッチ11を開くための電流、および/または閉じるための電流を供給することができる。
【0053】
この例においては、スイッチ11は、トランジスタ、特に絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)または金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)によって構成されている。駆動手段22は、導線112を介して、それらのトランジスタのゲートに、それらのトランジスタのオン状態、またはオフ状態を定める電流を送る。
【0054】
電力モジュール9は、さらに、デジタルタイプ内部制御ユニット13に接続されている測定手段24を備えている。この例においては、測定手段24は、通信バス116を介してデジタルタイプ内部制御ユニット13に接続されている測定ユニット114を有している。測定手段24は、さらに、例えばアーム100、100’を流れる電流の測定、アーム100、100’の端子間電圧の測定、または温度の測定を可能にするいくつかの部品を有している。
【0055】
アーム100、100’を流れる電流の測定は、例えばアーム100、100’に直列に設けられた抵抗118を用いて行なわれる。抵抗118の端子間電圧が、測定電流を測定ユニット114に送る演算増幅器120によって変換される。
【0056】
アームの端子間電圧の測定は、例えば測定電流を測定ユニット114に送る演算増幅器124の入力端子と組み合わされている分圧器122を用いて行なわれる。
【0057】
温度の測定は、例えば測定電流を測定ユニット114に送る演算増幅器128と組み合わされているサーミスタ126を用いて行なわれる。
【0058】
電力モジュール9は、さらに、少なくともデジタルタイプ内部制御ユニット13および/またはスイッチング手段10に、また場合によっては測定手段24に、それらへの給電のために、接続されている、例えば給電手段26を備えている。給電手段26は、非絶縁型であり、この例においては、例えばHブリッジに給電するための導線102を介して、高電圧電源に接続されている。
【0059】
本発明による電力モジュール9は、さらに、スイッチング手段10を保護するように配置されている少なくとも1つの減結合キャパシタ130を備えている場合がある。この例においては、減結合キャパシタ130は、Hブリッジに給電するための導線102と104との間に取り付けられている。
【0060】
電力モジュール9は、さらに、デジタルタイプ内部制御ユニット13に接続されており、遠隔制御ユニットとのデータ交換を可能にするデータ通信バス14を備えている場合がある。データ通信バス14上には、電位障壁(図2には示さず)が設けられている。この電位障壁は、変成器および/または光結合器などのガルバニック絶縁手段である場合がある。
【0061】
言い換えると、図2に示す例においては、電力モジュール9のインターフェイスは、次のインターフェイスに限られている。
− 電力モジュール9に高電圧を供給するために、導線102、104に1つずつ接続されている2つの電力インターフェイス、
− Hブリッジから出た電流を送出するために、導線108、110に1つずつ接続されている2つの電力インターフェイス、
− データ通信バス14のための制御インターフェイス。
【0062】
デジタルタイプ内部制御ユニット13は、例えば次の機能を備えている。
遠隔制御ユニットに、遠隔制御ユニットから受け取る指令、特に所望の出力電流に関する指令を、データ通信バス14を介して問い合わせ、
所望の出力電流に関する指令に基づいて、駆動手段22に伝達すべき、スイッチ2の開/閉に関する指令(HS信号、LS信号)を決定し、
データ通信バス14を介して受け取った情報の一貫性を検証し、
電力モジュール9に関する診断を行い、かつ/または
データ通信バス14を介して、遠隔制御ユニットに、電力モジュール9の全状態を伝達する。
【0063】
駆動手段22は、受け取った指令に応答して、デジタルタイプ内部制御ユニット13に、診断情報(Fault信号)を送ることができるように定められている場合がある。
【0064】
図3に示す本発明の図示されている例においては、さらに、蓄電池20、DC/DCコンバータ30、インバータ40、交流モータ50(この例においては三相であり、その巻線60がインダクタとしても働く)、データ通信バス14、遠隔制御ユニット12、およびコネクタ70を備えている、給電および充電に共用される電気装置150を提供するものである。
【0065】
インバータ40は、複数の、上述のような電力モジュール9、9’、および9’’を有している。各電力モジュールは、デジタルタイプ内部制御ユニット13(すなわち局在制御ユニット)、およびHブリッジ構造の形態のスイッチング手段10を備えている。交流モータの1つの相に1つのHブリッジが割り当てられている。このような構造を用いることによって、特に、交流モータの各相を互いに独立に制御することが可能になる。したがって、交流モータの相の巻線をスター結線構造やデルタ結線構造にする必要はない。
【0066】
各Hブリッジは、駆動可能な4つのスイッチ11を有している。これらのスイッチは、符号A〜Fを付してある、次のようなアーム上に分配されている。
− 電力モジュール9のアームAおよびBは、交流モータ50の第1の相に接続されており、
− 電力モジュール9’のアームCおよびDは、交流モータ50の第2の相に接続されており、
− 電力モジュール9’’のアームEおよびFは、交流モータ50の第3の相に接続されている。
【0067】
電気装置150は、さらに、三相配電網の差し込み口に差し込み可能なコネクタ70を備えている。このコネクタ70は、充電モード時の電気装置150への通電中に、三相配電網の差し込み口への接触を阻止するための阻止手段(図示せず)を備えている。コネクタ70は、さらに、給電モード時に、導線(そのときに通電されている)への接触を阻止するための第2の阻止手段(図示せず)が組み合わされている。差し込み口は、さらに、電気装置150を接地させる手段を備えている。
【0068】
コネクタ70は、三相配電網への接続を目的として作られている任意の器具のための公知の保護手段、およびEMCフィルタ(電磁波による障害を防止するためのフィルタ)を備えていることが好ましい。
【0069】
給電モードから充電モードへの移行は、遠隔制御ユニット12によって管理される。遠隔制御ユニット12は、データ通信バス14を介してアームA〜Fのスイッチ11を、またデジタルタイプ内部制御ユニット13を制御する。給電モードにおいては、遠隔制御ユニット12は、アームA〜Fを統合的に制御する。それによって、標準的な制御と同様に、三相電流を発生させることができる。充電モードにおいては、アームB、D、Fだけが、電気機械1の交流モータ50の、インダクタとして働く巻線60を利用して、昇圧器を実現するように制御される。
【0070】
より詳細には、この例においては、遠隔制御ユニット12は、次のようにアームA〜Fのスッチを駆動する。
− 給電モードにおいては、各Hブリッジは、交流モータ50の対応する相に交流電流を流すことができるように制御される。交流モータ50の三相を流れる交流電流は、従来どおりに、交流モータ50が回転するように調和させられる。従来の正弦波PWM(パルス幅変調)制御にしたがって、アームAおよびBのスイッチ11を駆動することができる。他の2つのHブリッジも、互いに位相がずれた(三相交流モータの場合には好ましくは120°だけ)状態で、同じように駆動される。
− 三相の充電モードにおいては、インダクタとして働く各巻線60に交流電流が流れ、PFC(力率補正)機能が全相で遂行されるように、アームA、C、Eの各々の2つのスイッチは開かれ、一方、アームB、D、Fの各々の2つのスイッチは、三相チャージャのための従来の交流制御にしたがって駆動される。
【0071】
遠隔制御ユニット12(すなわち回路)は、さらに、交流モータ50を、劣化モードにおいて作動させることができる。具体的には、交流モータ50またはインバータ40の故障によって、ある相が動作不能になった場合に、遠隔制御ユニット12は、交流モータ50の作動している二相のうちの一方の相の位相を反転させるように制御する。この制御によって、いかなるトルク反転も発生させることのない、一定振幅の単一の回転磁界を発生させ続けることができる。このようなことは、1つの相の動作不能によって、強いトルク変動が引き起こされる、従来の三相ブリッジを用いた装置においては不可能である。
【0072】
上述したように、データ通信バス14は、電気装置150の各機能要素の相互連結、すなわち遠隔制御ユニット12と、電力モジュール9、9’、9’’のデジタルタイプ内部制御ユニット13との相互連結を可能にするインターフェイスを構成している。データ通信バス14は、この相互連結のために、複数の通信ポートを備えている。各通信ポートは、遠隔制御ユニット12またはデジタルタイプ内部制御ユニット13の1つとのリンクを受け入れるように設けられている。データ通信バス14は、その動作周波数、およびデータ通信バス14が同時に伝達することができる情報量に依存して、直列バスである場合も、並列バスである場合もある。
【0073】
したがって、遠隔制御ユニット12とデジタルタイプ内部制御ユニット13とは、データ通信バス14を経由して、データの形式(例えばビット形式)で情報交換する。この情報交換は、双方向で行われる。すなわち、命令が、遠隔制御ユニット12からデジタルタイプ内部制御ユニット13に伝達され、その応答として、測定情報、および/または診断情報が、デジタルタイプ内部制御ユニット13から遠隔制御ユニット12に伝達される。
【0074】
したがって、遠隔制御ユニット12およびデジタルタイプ内部制御ユニット13は、送信装置としての役割と、受信装置としての役割を交互に果たすことができる。いずれの場合においても、送信装置は、自身の通信ポートに対応するデータ通信バスに、全てのビットを同時に配置することができる。適切なとき(例えば制御信号によって定められる)に、受信装置は、全てのビットを同時に読み出す。
【0075】
遠隔制御ユニット12は、例えば光結合器、および/または変成器の挿間によって生じる電位障壁を伴いながら、データ通信バス14を介して、各デジタルタイプ内部制御ユニット13に接続されている。
【0076】
前述のように、各デジタルタイプ内部制御ユニット13は、遠隔制御ユニット12のプログラマブル論理回路から独立した、それ自身のプログラマブル論理回路を有している。具体的には、デジタルタイプ内部制御ユニット13のプログラマブル論理回路は、測定動作、および/または診断動作に加えて、デジタルタイプ内部制御ユニット13自身がスイッチの開/閉動作を行うことを可能にする。
【0077】
このような構成において、ハイレベル信号の命令が、遠隔制御ユニット12から、データ通信バス14の電位障壁を経て、各デジタルタイプ内部制御ユニット13に伝達される。この命令は、低電圧信号として現れる。この命令に基づいて、各デジタルタイプ内部制御ユニット13は、遠隔制御ユニット12によって要求された制御の遂行に適した高電圧信号を送出することができるプログラムを実行する。次に、その高電圧信号に対する応答として、各デジタルタイプ内部制御ユニット13は、高電圧の測定信号を取得し、その測定信号をビット形式の低電圧信号に変換し、次いで、その低電圧信号を、データ通信バス14を介し、電位障壁を経て遠隔制御ユニット12に伝達する。遠隔制御ユニット12は、低電圧信号を受けると、もっぱら、データ形式で直接提供された情報の分析を行う。
【0078】
したがって、この低電圧信号しか、遠隔制御ユニット12まで届かない。したがって、従来技術の解決方法に比して、相当数の高電圧/低電圧コンバータを節約することができる。高電圧動作は、もっぱら、電力モジュールで行われる。
【0079】
この実施形態を示す図2においては、理解しやすくするために、DC/DCコンバータ30の構造を示していない。DC/DCコンバータ30の構造は、あらゆる点で、インバータ40の構造と類似している。より正確には、DC/DCコンバータ30は、3つの電力モジュール(交流モータ50の1つの相当たり1つの)を備えている。それらの各電力モジュールは、Hブリッジ構造を呈している駆動可能な複数のスイッチから成るセル、および1つのデジタルタイプ内部制御ユニットを有している。各デジタルタイプ内部制御ユニットは、一方では対応するHブリッジの各アームに、他方ではデータ通信バスに接続されている。
【0080】
このように、DC/DCコンバータ30と、インバータ40とは、互いに酷似した部品を構成している。したがって、これらの2つの部品は、同一の構造を有する電子層の形態で、同じように製造することができる。この電子層に「インバータ」機能や「DC/DCコンバータ」機能を与えるためには、この部品の製造後に、デジタルタイプ内部制御ユニットに対して適切なプログラミングを行うだけで十分である。したがって、インバータおよびDC/DCコンバータを大量生産することができ、製造費が大幅に節約される。
【0081】
この場合に、データ通信バスは、遠隔制御ユニット12をインバータのデジタルタイプ内部制御ユニットに接続するために用いられるデータ通信バス14である場合もあるし、特に、遠隔制御ユニット12とDC/DCコンバータ30の電力モジュールとの連結に専用される、独立したデータ通信バスである場合もある。
【0082】
本発明による電気装置1を実施する際に、次のように、複数の電子層を重ね合わせることができる。
− インバータ40に相当する第1の電子層、
− 遠隔制御ユニット12に相当する第2の電子層、
− DC/DCコンバータ30に相当する第3の電子層。
【0083】
このようにして、電気装置1の大部分が、電子層の単純な重ね合わせによって製造される。「インバータ40」の電子層と、「遠隔制御ユニット12」の電子層との連結は、第1のデータ通信バスによって供給され、「DC/DCコンバータ30」の電子層と、「遠隔制御ユニット12」の電子層との連結は、第2のデータ通信バスによって供給される。
【0084】
本発明の上述の実施形態は、例示的に示すものであり、何ら本発明を限定するものではない。当業者であれば、上述の実施形態を、別の態様、例えば4相以上の電気機械が用いられる例に適用することができると思う。また当業者であれば、さらに、上述の実施形態を、インバータがHブリッジ構造ではなく、蓄電池の充電モードから交流モータへの給電モードへのスイッチングのために、3相ブリッジおよび電力開閉器タイプのスイッチング手段を有する従来の構造を備えている例に、どのようにして適合させるかを理解していると思う。
【符号の説明】
【0085】
1 制御アーム
2 スイッチ
3 駆動ユニット
4 制御ユニット
5 減結合器
6 測定ユニット
7 給電ユニット
9、9’、9’’ 電力モジュール
10 スイッチング手段
11 スイッチ
12 遠隔制御ユニット
13 デジタルタイプ内部制御ユニット
14 データ通信バス
20 蓄電池
22 駆動手段
24 測定手段
26 給電手段
30 DC/DCコンバータ
40 インバータ
50 交流モータ
60 巻線
70 コネクタ
100、100’ アーム
102、104、108、110、112 導線
106、106’ 中央タップ
114 測定ユニット
116 通信バス
118 抵抗
120、124、128 演算増幅器
122 分圧器
126 サーミスタ
130 減結合キャパシタ
150 電気装置
図1
図2
図3