(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
光学用途向けフィルムの利用が増えている。多種多様な光学フィルムは、ポリエステル表面を含む。ポリエステル表面を含む光学フィルムとして、ポリエステルフィルム、外側ポリエステルフィルム層を有する多層フィルム、及び外面(片面又は両面)にポリエステルのコーティング又は層を有するフィルムが挙げられる。多くの場合、フィルムのポリエステル表面に対する接着剤層などの機能性コーティング層の接着能を助けるために、フィルムのポリエステル表面を表面処理することが望ましい。この表面処理は、コロナ処理、火炎処理、その他同種のものなどの物理的表面処理法を含んでよく、又は、例えばプライマーコーティングの適用などの化学的処理を含んでよい。フィルムは、光学用途で使用されることが多いため、表面処理が、実質的にフィルムの光学的性質を変えないことが望ましい。上記技術の全てがポリエステル表面での利用に成功しているわけではないため、光学フィルムなどのフィルムのポリエステル表面に対する、新たな表面処理のニーズが依然として残っている。
【0009】
加熱活性化された接着剤は、光学フィルムと共に幅広く使われている。一部の種類の加熱活性化された接着剤は、ポリエステル表面への接着が特に難しい。光学フィルムと共に幅広く使われる加熱活性化された接着剤である、ポリビニルブチラール(PVB)などの加熱活性化された接着剤では特に当てはまる。表面処理(例えばコロナ処理又は火炎処理)の利用、並びに従来のプライマーの利用といった従来の接着増強技術の利用は、接着を改善できる場合もあるが、常に有用ではない。特に、様々な従来のプライマーの非適合性については、以下に詳述し、並びに実施例の項で説明する。したがって、加熱活性化された接着剤のポリエステル表面への接着を増強できるプライマーに対するニーズが残っている。本開示では、様々なポリエステル表面及び加熱活性化された接着剤との使用に適する種類のポリウレタン系プライマーが記載される。加えて、本明細書に記載のポリウレタン系プライマーは非常に便利にポリエステル表面に適用できるため、活性化された接着剤が適用されていないポリエステル表面にも適用されて、別の種類のコーティングの接着の強化、又はその他特性のいずれかをもたらすことができる。プライマーコーティングは、ローラー上の滑りの強化、並びにフィルムロールの巻き取り及び巻き戻しの容易化を提供できるため、追加コーティングを適用しなくても有利な場合がある。
【0010】
特に断りがないかぎり、本明細書及び「特許請求の範囲」で使用される構造のサイズ、量、及び物理的特性を表わすすべての数字は、いずれの場合においても「約」なる語によって修飾されているものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の「特許請求の範囲」で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。終点による数の範囲の記述は、その範囲内(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)及びその範囲内の任意の範囲に包含される全ての数を含む。
【0011】
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用するとき、その内容に別段の明確な指示がない限り、「a」、「an」、及び「the」という単数形には、複数の指示物を有する実施形態が包含される。例えば、「層」は、1つ又は2つ又はそれ以上の層を有する実施形態を包含する。本明細書及び添付の「特許請求の範囲」で使用されるとき、用語「又は」は、その内容によって別段の明確な指示がなされていない場合は、一般に「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0012】
用語「接着剤」は、本明細書で使用するとき、2つの被着体をともに接着するのに有用なポリマー組成物を指す。接着剤の例は、加熱活性化された接着剤及び感圧性接着剤である。
【0013】
加熱活性化された接着剤は、室温で非粘着性であるが、高温で粘着性になり、基材に結合できるようになる。これらの接着剤は、通常、室温より高いT
g(ガラス転移温度)又は融点(T
m)を有する。温度がT
g又はT
mより高い場合に、貯蔵弾性率は通常低下し、接着剤が粘着性になる。
【0014】
感圧性接着ポリマーは、当業者には、(1)攻撃的及び永久的粘着力、(2)指圧以下の圧力による接着力、(3)被着体を保持する十分な能力、及び(4)被着体からきれいに取り外すのに十分な貼着力を含む特性を有することが周知である。感圧接着剤として充分な機能を有することが示されている材料は、粘着力、剥離接着力、及び剪断保持力の望ましいバランスを得るうえで必要な粘弾性を示すように設計及び配合されたポリマーである。特性の適正なバランスを得ることは単純なプロセスではない。
【0015】
用語「(メタ)アクリレート」は、アルコールのモノマー性アクリル酸又はメタクリル酸エステルを指す。アクリレート及びメタクリレートモノマー又はオリゴマーは、本明細書で「(メタ)アクリレート」と総称される。「(メタ)アクリレート系」として記載されるポリマーは、主として(50重量%超の)(メタ)アクリレートモノマーから調製されるポリマー又はコポリマーであり、追加のエチレン性不飽和モノマーを含んでよい。
【0016】
特に断らないかぎり、「光学的に透過性」とは、可視光スペクトル(約400〜約700nm)の少なくとも一部にわたって高い光透過率を有する物品、フィルム又は接着剤組成物のことを指す。用語「透過フィルム」は、厚さを有するフィルムを指し、フィルムが基材上に配置されるとき、(基材上に又は基材に隣接して配置された)画像は、透過フィルムの厚さを通して目に見える。多くの実施形態では、透過フィルムは、画像透明度を実質的に損失せず、画像をフィルムの厚さを通して見ることを可能にする。いくつかの実施形態において、透過フィルムはマット又は光沢仕上げを有する。
【0017】
特に指示がない限り、「光学的に透明」は、可視光線スペクトル(約400〜約700nm)の少なくとも一部において高い光透過性を有し、低い曇り度を呈する、接着剤又は物品を指す。
【0018】
本明細書で用いられる用語「ウレタン系」とは、少なくとも1つのウレタン結合を有するコポリマー又はセグメント化コポリマーである巨大分子をいう。ウレタン基は、一般構造(−O−(CO)−NR−)を有し、式中、(CO)は、カルボニル基C=Oを定義し、Rは、水素又はアルキル基である。用語「セグメント化コポリマー」は、連結したセグメントのコポリマーを指し、それぞれのセグメントは主に、単一構造単位又はある種の繰り返し単位を構成する。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「隣接する」は、それが2つの層を指すときには、それら2層が互いの間に介在する開いた空間を有さずに互いに近接していることを意味する。それらは互いに直接接触している場合もあり(例えばラミネートされている)、介在層がある場合もある。
【0020】
本明細書に開示されるのは、第1ポリエステル表面及び第2ポリエステル表面を備える基材と、第1ポリエステル表面上にコーティングされた架橋されたポリウレタン系プライマーと、架橋されたポリウレタン系プライマーに隣接する光学的に透明な加熱活性化された接着剤と、を含む、物品である。
【0021】
第1及び第2ポリエステル表面を備える様々な基材が好適である。いくつかの実施形態において、基材は、単一のポリエステルフィルムを含む。別の実施形態において、基材は、ポリエステルの外側コーティング又は層を備えるフィルムを含む。更に別の実施形態において、フィルムは、ポリエステル層である外側フィルム層を備える多層フィルムを含む。
【0022】
好適なポリエステルフィルムの例として、ポリエステル含有ポリマーを組み込む多様なフィルムが挙げられる。有用なポリエステルポリマーとして、例えば、テレフタレート、イソフタレート、及び/又はナフタレートコモノマー単位を有するポリマー、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)並びにこれらのコポリマー及びブレンドが挙げられる。その他好適なポリエステルコポリマーの例は、国際公開第99/36262号及び同第99/36248号に記載される。非晶質ポリエステル樹脂などの多種多様な好適なポリエステル材料が、Bostik(Middleton,MA)から、VITEL 1070B、1750B、及び3300Bなど、商標名VITELで、並びにEvonik Degussa Corp.(Parsippany,NJ)から、DYNAPOL S1313、S1421、S1420、S1606、及びS1611など、商標名DYNAPOLで市販されている。他の好適なポリエステル材料として、ポリカーボネート、ポリアリレート、並びに、例えば、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンナフタレート(PPN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、及び上記任意のものの互いの、別のポリエステルとの、又は非ポリエステルポリマーとのブレンド及びコポリマーなどの、他のナフタレート及びテレフタレート含有ポリマーが挙げられる。ポリマーフィルムは、同じ又は異なるポリエステル材料の多層を含んでよく、1つ以上の非ポリエステル層(以下に記載)から構成されてもよい。
【0023】
ポリエステルの外側コーティング又は層を有する好適なフィルムの例として、外側ポリエステルフィルム層を有する多層光学フィルムが挙げられる。ポリエステル材料である外側フィルム層を有する多種多様な多層光学フィルムが好適である。これらの多層光学フィルムは、外面がポリエステルフィルム層を備える限りは、ポリエステル並びにポリエステルではない層を含む、任意の様々な材料を含んでよい。好適な材料例として、ポリエステル類、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ナフタレンジカルボン酸系のコポリエステル又はポリエステルブレンド;ポリカーボネート;ポリスチレン;スチレン−アクリロニトリル;セルロースアセテート;ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレートなどのポリ(メタ)アクリレート;ポリウレタン;ポリ塩化ビニル;ポリシクロ−オレフィン;ポリイミド;ガラス;紙;又はこれらの組み合わせ若しくはブレンドが挙げられる。特定の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル及び三酢酸セルロースが挙げられる。いくつかの実施形態において、多層光学フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルローストリアセテート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、又はこれらのブレンドを含む。一般に、多層光学フィルムは、物品の性能が時間とともに損なわれることがないように温度及びエイジングに対する充分な耐性を示す。多層光学フィルムの厚さは典型的に約2.5mm未満である。多層光学フィルムは更に、幅出し操作における配向に先立ってコーティングされるキャストウェブ基材などの配向性フィルムであってもよい。
【0024】
多層光学フィルムは、光学用途における使用に適している。有用な多層光学フィルムは、光の流れを調節するように設計されている。これらは、約90%を超える透過率を有し、約5%未満、例えば2%未満、又は1%未満のヘイズ値を有してもよい。適当な多層光学フィルムを選択する際に考慮すべき性質には、可撓性、寸法安定性、自己支持性、及び耐衝撃性などの機械的性質がある。例えば、多層光学フィルムは、物品をディスプレイデバイスの一部として組み立てることができるように、構造的に十分に強い必要がある場合がある。
【0025】
多層光学フィルムは、グラフィックアート及び光学用途のような多種多様な用途で使用されてもよい。有用な多層光学フィルムは、反射フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、転向フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせとして述べることができる。多層光学フィルムは、すべてが複屈折性光学層、一部が複屈折性光学層、又はすべてが等方性光学層のものの所定の組み合わせからなる10以下の層、数百、又は数千の層を有し得る。一実施形態では、多層光学フィルムは交互に積層された第1及び第2の光学層を有し、第1及び第2の光学層は少なくとも1つの軸に沿って少なくとも0.04だけ異なる屈折率を有する。屈折率が適合しない多層光学フィルムは、下記に引用する参照に記載されている。別の実施形態では、多層光学フィルムは上記の多層光学フィルムのいずれかの1以上の層を含んでよく、これによりそれらの層のいずれか1つの中にプライマー層が埋め込まれることによって、物品自体を反射フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、転向フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせとすることができる。光学フィルムは、微細構造化表面を含有してもよい。いくつかの実施形態において、光学フィルムは、可視光の方向を変えるために微細構造化表面を含有してよい。
【0026】
有用な多層光学フィルムとして、VIKUITI Dual Brightness Enhanced Film(DBEF)、VIKUITI Brightness Enhanced Film(BEF)、VIKUITI Diffuse Reflective Polarizer Film(DRPF)、VIKUITI Enhanced Specular Reflector(ESR)、及びVIKUITI Advanced Polarizing Film(APF)として販売されている市販の光学フィルムが挙げられ、いずれも3M Company(St.Paul,MN)から入手可能である。有用な光学フィルムは、米国特許第5,825,543号、同第5,828,488号(Ouderkirkら)、同第5,867,316号、同第5,882,774号、同第6,179,948(B1)号(Merrillら)、同第6,352,761(B1)号、同第6,368,699(B1)号、同第6,927,900(B2)号、同第6,827,886号(Neavinら)、同第6,972,813(B1)号(Toyooka)、同第6,991,695号、米国特許出願公開第2006/0084780(A1)号(Hebrinkら)、同第2006/0216524(A1)号、同第2006/0226561(A1)号(Merrillら)、同第2007/0047080(A1)号(Stoverら)、国際公開第95/17303号、同第95/17691号、同第95/17692号、同第95/17699号、同第96/19347号、同第97/01440号、同第99/36248号、及び同第99/36262号にも記載されている。これらの多層光学フィルムは単に例証のためのものであり、用いることのできる好適な多層光学フィルムの完全なリストと意図されたものではない。
【0027】
本開示の物品は、第1ポリエステル表面上にコーティングされた架橋されたポリウレタン系プライマーも含む。いくつかの実施形態において、架橋されたポリウレタン系プライマーは、ポリエステル表面の両面上にコーティングされる。別の実施形態において、第2ポリエステル表面は、プライマーコーティングではない表面処理を含む。このような非プライマー表面処理として、例えば、火炎処理、プラズマ処理、及びコロナ処理が挙げられる。
【0028】
第1ポリエステル表面上のプライマーは、ポリエステルフィルム層と光学的に透明な加熱活性化された接着剤層との接着を促進するために存在する。多くの場合、加熱活性化された接着剤層のポリエステルフィルムへの良好な接着は困難であることが観察されている。場合によっては、コロナ、火炎、又はプラズマ処理などの表面処理は、加熱活性化された接着剤がポリエステルフィルムの表面に接着できるようにポリエステルフィルムの表面を十分に改質することができる。しかしながら、しばしば、かかる表面処理が十分な接着を提供するのに十分ではない、又は接着の改善に効果がないことがある。したがって、本開示のポリウレタン系プライマーが開発された。このポリウレタン系プライマーは、ポリウレタン系分散物とポリイソシアネート架橋剤との反応生成物を含む。
【0029】
ポリウレタン系分散物は、溶剤系若しくは水系ポリウレタンからなる、主として溶剤系若しくは水系ポリウレタンからなる、又は少なくとも溶剤系若しくは水系ポリウレタンを含む。いくつかの実施形態において、ポリウレタンは、ポリエステル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン、又はその両方の組み合わせ若しくはブレンドである。水系ポリウレタンは、水系ポリウレタン分散物(すなわち、PUD)から調製でき、溶剤系ポリウレタンは、溶剤系ポリウレタン溶液(すなわち、PUS)から調製できる。PUSの使用に典型的に伴う揮発性溶剤を排除するために、PUDを使用することが望ましい場合がある。特に望ましいPUDは、ポリカーボネート系ポリウレタン及びポリエステル系ポリウレタンである。特に好適なPUDの例は、国際公開第2006/118883号(Hoら)に記載されている。
【0030】
ポリウレタンは、1つ以上のポリオール部分と1つ以上のジイソシアネート部分との反応生成物であり得る。1つ以上のトリイソシアネート部分は、ジイソシアネートと用いられることが望ましい場合がある。反応成分の総重量に基づいて、最大約10%のトリイソシアネート部分をジイソシアネートと用いることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態において、ポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、又はその両方の組み合わせである。例えば、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナト−シクロヘキシル)メタン、又はその両方の組み合わせなどのジイソシアネートの使用が望ましいこともわかっている。
【0031】
本発明のプライマー組成物中での脂肪族材料の使用は、特にプライマー組成物がガラス工事用途などの目的で使用されるとき、一般に望ましい。好適な材料例として、脂肪族水系ポリウレタン、脂肪族ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタン、又はその両方が挙げられる。したがって、ポリウレタン製造において、脂肪族ポリオール、脂肪族ジイソシアネート、及び脂肪族トリイソシアネートのうちの1つ、又はこれらの組み合わせを使用するのが望ましい場合がある。
【0032】
ポリウレタン系プライマーはまた、架橋剤を含む。架橋剤は、多官能性イソシアネート官能性材料、又はメラミンホルムアルデヒド架橋剤、例えばCytec Industries,Inc.(Woodland Park,NJ)から市販されるCYMEL 327であってよい。多くの実施形態において、架橋剤は多官能性イソシアネート官能性化合物である。多官能性イソシアネート官能性化合物は、少なくとも2つのイソシアネート基(ジイソシアネート)を含み、3つ以上のイソシアネート基(トリイソシアネート(triisocyantes)、テトライソシアネートなど)を含んでもよい。適切なジイソシアネートの例には、例えば、2,6−トルエンジイソシアネート、2,5−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、メチレンビス(o−クロロフェニルジイソシアネート)、メチレンジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、ポリカルボジイミド−修飾メチレンジフェニレンジイソシアネート、(4,4’−ジイソシアネート−3,3’,5,5’−テトラエチル)ビフェニルメタン、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメトキシビフェニル、5−クロロ−2,4−トルエンジイソシアネート、1−クロロメチル−2,4−ジイソシアネートベンゼンのような芳香族ジイソシアネート、例えば、m−キシレンジイソシアネート、テトラメチル−m−キシレンジイソシアネートのような芳香族−脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,4−ジイソシアネートブタン、1,6−ジイソシアネートヘキサン、1,12−ジイソシアネートドデカン、2−メチル−1,5ジイソシアネートペンタンのような脂肪族ジイソシアネート、並びに、例えば、メチレン−ジシクロヘキシレン−4,4’−ジイソシアネート及び3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)のような脂環式ジイソシアネートが包含されるが、これらに限定されない。
【0033】
好適なトリイソシアネートとして、脂肪族及び芳香族トリイソシアネートが挙げられ、このような化合物の例として、脂肪族トリイソシアネートである1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、及び芳香族トリイソシアネートであるポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PAPI)が挙げられる。
【0034】
更に有用であるのは、ビウレット含有トリイソシアネート(例えば、Bayerから入手可能なDESMODUR N−100)、イソシアヌレート含有トリイソシアネート(例えば、Huls AG(Germany)から入手可能なIPDI−1890)、及びアゼチジンジオン(azetedinedione)含有ジイソシアネート(例えば、Bayerから入手可能なDESMODUR TT)などの、内部にイソシアネート由来部分を含むイソシアネートである。更に好適であるのは、DESMODUR L及びDESMODUR W(両方ともBayerから入手可能)などのその他ジ−又はトリ−イソシアネート、並びにトリ−(4−イソシアナトフェニル)−メタン(BayerからDESMODUR Rとして入手可能)である。
【0035】
典型的には、ポリイソシアネート架橋剤は、脂肪族ジイソシアネート、ブロックイソシアネート、又はこれらの組み合わせを含む。特に好適なポリイソシアネート架橋剤は、Bayer Material Scienceから、商標名「BAYHYDOR」で市販される脂肪族イソシアネート架橋剤、例えばBAYHYDOR 303、BAYHYDOR 305、BAYHYDOR 401−70、BAYHYDOR XP2487/1、及びBAYHYDOR XP7165、並びに、Perstorp Polyols,Inc.(Toledo,OH)から商標名「ESAQUA」で入手可能なもの、例えばESAQUA XD 401及びESAQUA XM 501である。
【0036】
好適なブロックイソシアネートの例として、Bayer Material Scienceから商標名BAYHYDOR VPLS 2310、及びBAYHYDOR BL 5335で市販されるもの、並びにBaxenden Chemicals Limitedから商標名TRIXENE B1 7986、及びTRIXENE B1 7987で市販されるものが挙げられる。
【0037】
多種多様な光学的に透明な加熱活性化された接着剤は、上記ポリウレタン系プライマーと共に使用できる。好適な光学的に透明な加熱活性化された接着剤の例として、ポリアクリレートホットメルト接着剤、ポリビニルブチラール、エチレンビニルアセテート、アイオノマー、ポリオレフィン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
光学的に透明な加熱活性化された接着剤は、(メタ)アクリレート系ホットメルト接着剤であってよい。ホットメルト接着剤は、典型的に、室温を超える、より典型的には約40℃超のガラス転移温度(Tg)を有する(メタ)アクリレートポリマーから調製され、アルキル(メタ)アクリレートモノマーから調製される。有用なアルキル(メタ)アクリレート(すなわち、アクリル酸アルキルエステルモノマー)としては、そのアルキル基が4〜14個まで、とりわけ4〜12個までの炭素原子を有する、非三級アルキルアルコールの直鎖若しくは分枝状一官能性不飽和アクリレート又はメタクリレートが挙げられる。また、ポリ(メタ)アクリルホットメルト接着剤は、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、フマレート、スチレンマクロマー、マレイン酸アルキル及びフマル酸アルキル(それぞれ、マレイン酸及びフマル酸に基づく)、あるいはこれらの組み合わせなどの任意のコモノマー構成成分を含有してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、接着剤層は、少なくとも部分的にポリビニルブチラールから形成される。ポリビニルブチラール層は、既知の水性又は溶媒系アセタール化プロセスを介して形成してもよく、このプロセスでは、ポリビニルアルコールは酸性触媒の存在下でブチルアルデヒドと反応する。いくつかの場合において、ポリビニルブチラール層は、Solutia Incorporated(St.Louis,MO)から商標名「BUTVAR」樹脂として市販されているポリビニルブチラールを包含してもよく、又はこれから形成されてもよい。
【0040】
場合によっては、ポリビニルブチラール層は、樹脂と(所望により)可塑剤とを混合して、混合した配合物をシートダイを通して押し出すことにより製造してもよい。可塑剤が包含される場合、ポリビニルブチラール樹脂は、樹脂100部当たり約20〜80部、又はおそらく約25〜60部の可塑剤を包含してよい。好適な可塑剤の例には、多塩基酸又は多価アルコールのエステルが挙げられる。好適な可塑剤は、トリエチレングリコールビス(2−エチルブチラート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジヘキシルアジパート、ジオクチルアジパート、ヘキシルシクロへキシルアジパート、ヘプチル及びノニルアジパートの混合物、ジイソノニルアジパート、ヘプチルノニルアジパート、ジブチルセバケート、油変性セバシン酸アルキドのような高分子可塑剤、米国特許第3,841,890号に開示されているようなホスフェート及びアジパートの混合物、米国特許第4,144,217号に開示されているようなアジパートである。
【0041】
好適なエチレンビニルアセテート(EVA)接着剤の例として、様々な市販のEVAホットメルト接着剤が挙げられる。典型的にこれらのEVAホットメルト接着剤のビニルアセテート含量は、約18〜29重量%ポリマーである。接着剤は、典型的に、大量の粘着付与剤及びワックスを有する。代表的な組成物は、30〜40重量%のEVAポリマー、30〜40重量%の粘着付与剤、20〜30重量%のワックス、及び0.5〜1重量%の安定剤を有するものである。好適なEVAホットメルト接着剤の例は、DuPont(Wilmington,DE)から市販されるBYNEL SERIES 3800樹脂(BYNEL 3810、BYNEL 3859、BYNEL 3860、及びBYNEL 3861など)である。特に好適なEVAホットメルト接着剤は、Bridgestone Corp.(Tokyo,JP)から商標名「EVASAFE」で入手可能な材料である。
【0042】
好適なアイオノマー接着剤の例は、「イオノプラスト樹脂」である。イオノプラスト樹脂は、エチレンと不飽和カルボン酸のコポリマーであり、コポリマー中の酸基の少なくとも一部が酸由来の塩形態に中和されている。本開示での使用に好適な、イオノプラスト樹脂の押し出しシートが、DuPont Chemicals(Wilmington,DE)から商標名「SENTRYGLASS PLUS」で市販されている。
【0043】
好適なポリオレフィン接着剤の例として、エチレン/α−オレフィンコポリマーが挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「エチレン/α−オレフィンコポリマー」は、エチレン及び直鎖α−オレフィンモノマーの、触媒的オリゴマー化(すなわち、低分子量生成物への重合)によって製造された炭化水素のクラスを含むポリマーを指す。エチレン/α−オレフィンコポリマーは、例えば、メタロセン触媒のようなシングルサイト触媒、又はZiegler−Natta及びPhillipsの触媒のようなマルチサイト触媒を用いて作製され得る。直鎖状α−オレフィンモノマーは、典型的には、1−ブテン又は1−オクテンであるが、C3〜C20の範囲の直鎖状、分岐状、又は環状の、α−オレフィンであり得る。α−オレフィンは、分岐していてもよいが、分岐は二重結合に対して少なくともアルファ位である場合のみに限られ、例えば、3−メチル−1−ペンテン等である。C3〜C20の例としては、α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、及び1−オクタデセンが挙げられる。α−オレフィンはまた、3−シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)及びビニルシクロヘキサンなどのα−オレフィンをもたらす、例えばシクロヘキサン又はシクロペンタンなどの環状構造を含むことができる。例えばノルボルネン及び関連オレフィンなどの特定の環状オレフィンは、α−オレフィンという用語の古典的意味合いのα−オレフィンではないが、本開示の目的のためのオレフィンであり、使用され得る。同様に、スチレン及びその関連オレフィン(例えば、α−メチルスチレン)は、本開示の目的のためのα−オレフィンである。しかし、アクリル酸及びメタクリル酸及びそれらのそれぞれのアイオノマー、並びにアクリレート及びメタクリレートは、この開示の目的のためのα−オレフィンではない。例示のエチレン/α−オレフィンコポリマーとしては、エチレン/1−ブテン、エチレン/1−オクテン、エチレン/1−ブテン/1−オクテン、エチレン/スチレンが挙げられる。ポリマーは、ブロックでもランダムでもよい。例示的な市販で入手可能な低結晶性エチレン/α−オレフィンコポリマーとしては、Dow Chemical Co.から入手可能な商標名「ENGAGE」のエチレン/1−ブテンコポリマー及びエチレン/1−オクテンコポリマー、及び商標名「FLEXOMER」のエチレン/1−ヘキセンコポリマー、並びに、三井石油化学から入手可能な商標名「TAFMER」及びExxonMobil Corp.から入手可能な商標名「EXACT」のような、均一に分岐した、実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンコポリマーなどの、市販の樹脂類が挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「コポリマー」は、少なくとも2つのモノマーから作られるポリマーを指す。
【0044】
これらの実施形態のいくつかにおいて、エチレン/α−オレフィンコポリマーのα−オレフィン部分は、4個以上の炭素を含む。いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンコポリマーは、低結晶性エチレン/α−オレフィンコポリマーである。本明細書で使用するとき、用語「低結晶性」は、(ASTM F2625−07に開示された方法に従って)50重量%未満の結晶化度を意味する。いくつかの実施形態において、低結晶性エチレン/α−オレフィンコポリマーは、ブテンα−オレフィンである。いくつかの実施形態において、低結晶性エチレン/α−オレフィンコポリマーのα−オレフィンは、4個以上の炭素を有する。
【0045】
いくつかの実施形態において、低結晶性エチレン/α−オレフィンコポリマーは、50℃以下のDSCピーク融点を有する。本明細書で使用するとき、用語「DSCピーク融点」は、窒素パージの下でのDSC(10°/分)により決定される融点を意味し、ピークはDSC曲線の下の最大面積を有する。
【0046】
上記のように、本開示の物品は更に、基材の第2ポリエステル表面上にコーティングされた架橋されたポリウレタン系プライマーも含んでよい。この架橋されたポリウレタン系プライマーは、基材の第1ポリエステル表面上にコーティングされた架橋されたポリウレタン系プライマーと同じであってよく、又は異なっていてもよい。典型的には、適用及び取り扱いを容易にするため、架橋されたポリウレタン系プライマーは同じものである。好適な架橋されたポリウレタン系プライマーは、先に詳細に記載している。
【0047】
基材の第1ポリエステル表面と同様に、基材の第2ポリエステル表面上の架橋されたポリウレタン系プライマーコーティングは、架橋されたポリウレタン系プライマーコーティングに隣接する層を有してもよい。この層は、光学的に透明な加熱活性化された接着剤層、硬化したハードコート層、光学層、又は感圧性接着剤層を含んでよい。
【0048】
光学的に透明な加熱活性化された接着剤は、先に詳細に記載している。基材の第2ポリエステル表面上の架橋されたポリウレタン系プライマーコーティングに隣接する層が光学的に透明な加熱活性化された接着剤である場合、基材の第1ポリエステル表面上の架橋されたポリウレタン系プライマーコーティングに隣接する光学的に透明な加熱活性化された接着剤と同じであっても異なっていてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、第2ポリエステル表面が、硬化したハードコート層、光学層、又は感圧性接着剤層などの、光学的に透明な加熱活性化された接着剤以外の層を含むことが望ましい場合がある。
【0050】
ハードコートは、耐摩耗性、及び落書き防止性など、一般に保護目的で表面に配置されるコーティングである。典型的には、ハードコート表面は光学的に透過性である。ハードコート層は、任意の好適な硬化性高分子材料から作製することができる。本明細書で使用するとき、「高分子材料」は、ポリマー、コポリマー(例えば、2つ又はそれ以上の異なるモノマーを用いて形成されたポリマー)、オリゴマー、及びこれらの組み合わせ、並びに、混和性ブレンドを形成することができるポリマー、コポリマー、又はオリゴマーを含むことが理解されよう。ハードコート層の好適な材料の例は、多官能性又は架橋性モノマーである。好適なハードコート層の例として、米国特許出願公開第2009/0000727号(Kumarら)に記載されるものが挙げられる。
【0051】
架橋性モノマーの例は、多官能性アクリレート、ウレタン、ウレタンアクリレート、シロキサン、及びエポキシを包含する。いくつかの実施形態において、架橋性モノマーは、多官能性アクリレート、ウレタンアクリレート又はエポキシの混合物を含む。
【0052】
有用なアクリレートには、例えば、ジ(メタ)アクリル含有化合物、トリ(メタ)アクリル含有化合物、高官能価の(メタ)アクリル含有化合物、及びオリゴマーの(メタ)アクリル化合物などのポリ(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。
【0053】
好適なジ(メタ)アクリル含有化合物には、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレートモノメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、アルコキシル化脂肪族ジアクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化(3)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化(30)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート、ヒドロキシピバラルデヒド変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、及びトリプロピレングリコールジアクリレートが挙げられる。
【0054】
好適なトリ(メタ)アクリル含有化合物には、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリアクリレート(例えば、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート)、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシル化トリアクリレート(例えば、プロポキシル化(3)グリセリルトリアクリレート、プロポキシル化(5.5)グリセリルトリアクリレート、プロポキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート)、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、及びトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートが挙げられる。
【0055】
好適な高官能価の(メタ)アクリル含有化合物には、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが挙げられる。
【0056】
好適なオリゴマーの(メタ)アクリル化合物には、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート;例えば、N、N−ジメチルアクリルアミドのような上述のもののポリアクリルアミド同族体;及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
多くのポリ(メタ)アクリルモノマーが、例えば、Sartomer Company(Exton,Pa.)、UCB Chemicals Corporation(Smyrna,Ga.)、及びAldrich Chemical Company(Milwaukee,Wis.)などの供給メーカーから広く入手可能である。更なる有用な(メタ)アクリレート材料としては、例えば、米国特許第4,262,072号(Wendlingら)に記載されているようなヒダントイン部分含有ポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0058】
具体的な実施形態においては、ハードコート層は、少なくとも2つ又は3つの(メタ)アクリレート官能基を有するモノマーを包含する。市販の架橋性アクリレートモノマーとしては、Sartomer Company(Exton,Pa.)から入手可能なもの、例えば、商品名SR351で入手可能なトリメチロールプロパントリアクリレート、商品名SR444で入手可能なペンタエリスリトールトリアクリレート、商品名SR399LVで入手可能なジペンタエリスリトールトリアクリレート、商品名SR454で入手可能なエトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、商品名SR494で入手可能なエトキシ化(4)ペンタエリスリトールトリアクリレート、商品名SR368で入手可能なトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、及び商品名SR508で入手可能なジプロピレングリコールジアクリレートが挙げられる。
【0059】
有用なウレタンアクリレートモノマーとして、例えば、Radcure UCB Chemicals(Smyrna,Ga.)からEBECRYL 8301として入手可能な六官能性ウレタンアクリレート、Sartomer Company(Exton,Pa.)から入手可能なCN981及びCN981B88、並びに、Radcure UCB ChemicalsからEBECRYL 8402として入手可能な二官能性ウレタンアクリレートが挙げられる。いくつかの実施形態において、ハードコート層樹脂は、ポリ(メタ)アクリレート及びポリウレタン材料の両方を含み、これは「ウレタンアクリレート」と呼ばれ得る。
【0060】
ある実施形態においては、ハードコート層は複数個の無機ナノ粒子を包含することができる。無機ナノ粒子は、例えば、シリカ、アルミナ、又はジルコニア(用語「ジルコニア」はジルコニア金属酸化物を包含する)ナノ粒子を含むことができる。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、1〜200nm、又は5〜150nm、又は5〜125nmの範囲内の平均直径を有する。ナノ粒子は、ハードコート層モノマー100部当たり10〜200部の量で存在し得る。
【0061】
有用なシリカナノ粒子は、Nalco Chemical Co.(Naperville,Ill.)から商品名NALCO COLLOIDAL SILICASとして市販されている。例えば、シリカとしては、NALCO製品1040、1042、1050、1060、2327及び2329が挙げられる。有用なジルコニアナノ粒子は、Nalco Chemical Co.(Naperville,Ill.)から、商品名NALCO OOSSOO8として市販されている。
【0062】
ナノ粒子を表面処理又は表面変性すると、ハードコート層樹脂において安定な分散物を提供することができる。粒子が重合性樹脂中に良好に分散して実質的に均一な組成物を生じるように、ナノ粒子を表面処理により安定化させることができる。更に、ナノ粒子は、表面処理剤によってその表面の少なくとも一部を変性することができ、安定化された粒子が、硬化中に重合可能なハードコート層樹脂と共重合又は反応できるようになる。
【0063】
光反応開始剤をハードコート層に含めることができる。開始剤の例としては、有機過酸化物、アゾ化合物、キニーネ、ニトロ化合物、アシルハロゲン化物、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、イミダゾール、クロロトリアジン、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ジ−ケトン、フェノンなどが挙げられる。市販の光反応開始剤としては、Ciba Geigyから商品名DAROCUR 1173、DAROCUR 4265、IRGACURE 651、IRGACURE 184、IRGACURE 1800、IRGACURE 369、IRGACURE 1700、IRGACURE 907、IRGACURE 819として、並びにAceto Corp.(Lake Success,N.Y.)から商品名UV1−6976及びUV1−6992として市販されているものが挙げられる。フェニル−[p−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(hexafluoroantomonate)は、Gelest(Tullytown,Pa.)から市販されている光反応開始剤である。ホスフィンオキシド誘導体としては、LUCIRIN TPOが挙げられ、これは、BASF(Charlotte,N.C)から入手可能な2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドである。加えて、更に有用な光反応開始剤は、米国特許第4,250,311号、同第3,708,296号、同第4,069,055号、同第4,216,288号、同第5,084,586号、同第5,124,417号、同第5,554,664号、及び同第5,672,637号に記載されている。光反応開始剤は、配合物の有機部分を基準として約0.1〜10重量パーセント又は約0.1〜5重量パーセント(Phr)の濃度で使用できる。
【0064】
光学層の例として、光の調節に使用される実質上任意の層が挙げられる。これらには、多様な光学フィルム並びにコーティング層が含まれる。本明細書で使用するとき、用語「光学フィルム」は、光学効果を生じさせるために用いることができるフィルムを指す。光学フィルムは、典型的には、単層又は多層であってもよいポリマー含有フィルムである。光学フィルムは可撓性であり、任意の好適な厚さであってもよい。光学フィルムは、電磁スペクトルの幾つかの波長(例えば、電磁スペクトルの可視紫外又は赤外領域の波長)に対して、少なくとも部分的に透過性、反射性、反射防止性、偏光性、光学的透明性、又は拡散性であることが多い。代表的な光学フィルムとしては、可視ミラーフィルム、着色ミラーフィルム、日射反射フィルム、赤外反射フィルム、紫外線反射フィルム、輝度強化フィルム及び二重輝度強化フィルムのような反射偏光フィルム、吸収偏光フィルム、光学的に透明なフィルム、薄色フィルム、並びに反射防止フィルムが挙げられるが、これらに限定されない。光学フィルムは、微細構造化表面を含有してもよい。いくつかの実施形態において、光学フィルムは、可視光の方向を変えるために微細構造化表面を含有してよい。
【0065】
いくつかの実施形態において、光学層はコーティングであってよく、又は、コーティングを有する光学フィルムを含んでよい。一般に、コーティングを用いて、フィルムの機能を高める、又はフィルムに更なる機能を提供することができる。コーティングの例としては、例えば、ハードコート(上記)、防曇コーティング、耐引っ掻きコーティング、プライバシーコーティング、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ハードコート、防曇コーティング、及び耐引っ掻きコーティングなどのコーティングは、耐久性の強化をもたらす。プライバシーコーティングの例としては、例えば、視界をぼんやりさせるための、ぼやけた(blurry)若しくは濁ったコーティング、又は視野角を制限するためのルーバー付フィルムが挙げられる。
【0066】
好適な感圧性接着剤として、天然ゴム、合成ゴム、スチレンブロックコポリマー、ポリビニルエーテル、アクリル、ポリ−α−オレフィン、シリコーン、ウレタン、又は尿素系のものが挙げられる。
【0067】
有用な天然ゴム感圧接着剤は一般的に、素練りの天然ゴム、100部の天然ゴムに対して25部〜300部の1以上の粘着付与樹脂、及び通常0.5〜2.0部の1以上の酸化防止剤を含む。天然ゴムは、ライトペールクレープ等級からより暗色のリブドスモークドシートの範囲の等級であってよく、粘度調節ゴムの等級であるCV−60、及びリブドスモークドシートゴムの等級であるSMR−5などの例が挙げられる。
【0068】
天然ゴムと共に使用される粘着付与樹脂として、一般に、ウッドロジン及びその水素添加誘導体、様々な軟化点のテルペン樹脂、及び石油系樹脂、例えばExxonの「ESCOREZ 1300」シリーズのC5脂肪族オレフィン由来樹脂、及びHercules,Incの「PICCOLYTE S」シリーズのポリテルペンが挙げられるが、これらに限定されない。酸化防止剤は、天然ゴムへの酸化攻撃を抑制するために用いられ、天然ゴム系接着剤の凝集力の低下をもたらす恐れがある。有用な酸化防止剤として、「AGERITE D」として入手可能なN−N’ジ−β−ナフチル−1,4−フェニレンジアミンなどのアミン;Monsanto Chemical Co.から「SANTOVAR A」として入手可能な2,5−ジ−(t−アミル)ヒドロキノン、Ciba−Geigy Corp.から「IRGANOX 1010」として入手可能なテトラキス[メチレン3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピアネート]メタン、及び酸化防止剤2246として入手可能な2−2’−メチレンビス(4−メチル−6−tertブチルフェノール)などのフェノール;並びに、ジチオジブチルカルバミン酸亜鉛などのジチオカルバメートが挙げられるが、これらに限定されない。特別な目的のためにその他の材料を天然ゴム系接着剤に添加することもでき、添加物としては、可塑剤、顔料、及び感圧性接着剤を部分的に加硫処理するための硬化剤を挙げることができる。
【0069】
別の有用な感圧接着剤のクラスとして、合成ゴムを含むものがある。このような接着剤は一般的にゴム状のエラストマーであり、自己粘着性であるか又は非粘着性で粘着付与剤を必要とするかのいずれかである。
【0070】
自己粘着性の合成ゴム感圧接着剤としては、例えば、ブチルゴム、イソブチレンと3%未満のイソプレンとのコポリマー、ポリイソブチレン、イソプレンのホモポリマー、「TAKTENE 220 BAYER」のようなポリブタジエン、又はスチレン/ブタジエンゴムが挙げられる。ブチルゴム感圧接着剤は、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛などの酸化防止剤をしばしば含んでいる。ポリイソブチレン感圧接着剤は、酸化防止剤は通常含んでいない。粘着付与剤を一般的に必要とする合成ゴム感圧接着剤は、一般的に溶融プロセスに容易に使用することもできる。これらは、ポリブタジエン又はスチレン/ブタジエンゴム、10部〜200部の粘着付与剤、及び一般的にゴム100部当たり0.5部〜2.0部の「IRGANOX 1010」などの酸化防止剤を含む。合成ゴムの一例としては、BF Goodrich社より販売されるスチレン/ブタジエンゴムである「AMERIPOL 1011A」がある。有用な粘着付与剤として、Hercules,Inc.の安定化ロジンエステルである「FORAL 85」、Tennecoのガムロジンである「SNOWTACK」シリーズ、及びSylvachemのトール油ロジンである「AQUATAC」シリーズなどのロジン誘導体;並びに、Hercules,Inc.のポリテルペンである「PICCOLYTE A」シリーズ、C
5脂肪族オレフィン由来樹脂である「ESCOREZ 1300」シリーズ、C
9芳香族/脂肪族オレフィン由来樹脂である「ESCOREZ 2000」シリーズ、及び、Hercules,Inc.の芳香族炭化水素樹脂である「PICCO 5000」シリーズなどのポリ芳香族C
9樹脂などの合成炭化水素樹脂が挙げられる。水素添加ブチルゴム、顔料、可塑剤、Exxonから入手可能な「VISTANEX LMMH」ポリイソブチレン液体ゴムなどの液体ゴム、及び接着剤を部分的に加硫処理するための硬化剤などのその他材料を、特別な目的のために添加できる。
【0071】
スチレンブロックコポリマー感圧接着剤は、Aが熱可塑性ポリスチレンブロックを表し、Bがポリイソプレン、ポリブタジエン、又はポリ(エチレン/ブチレン)のゴム状ブロックを表すものとして、A−B又はA−B−A型のエラストマーと、樹脂とを一般的に含む。ブロックコポリマー感圧性接着剤において有用な各種ブロックコポリマーの例として、Shell Chemical Co.から入手可能な「KRATON D1107P」、及びEniChem Elastomers Americas,Inc.から入手可能な「EUROPRENE SOL TE 9110」などの直鎖型、ラジアル型、星型及びテーパ型のスチレン−イソプレンブロックコポリマー;Shell Chemical Co.から入手可能な「KRATON G1657」などの直鎖型スチレン−(エチレン−ブチレン)ブロックコポリマー;Shell Chemical Co.から入手可能な「KRATON G1750X」などの直鎖型スチレン−(エチレン−プロピレン)ブロックコポリマー;並びに、Shell Chemical Co.から入手可能な「KRATON D1118X」、及びEniChem Elastomers Americas,Inc.から入手可能な「EUROPRENE SOL TE 6205」などの直鎖型、ラジアル型、及び星型スチレン−ブタジエンブロックコポリマーが挙げられる。ポリスチレンブロックは、ブロックコポリマー感圧性接着剤に2相構造を生じさせる回転楕円形、円筒形、又はプレート形の形状のドメインを形成する傾向がある。ゴム相に関連する樹脂は一般的に、感圧接着剤に粘着性を発現する。ゴム相に関連する樹脂の例として、Goodyearから入手可能な「ESCOREZ 1300」シリーズ及び「WINGTACK」シリーズなどの脂肪族オレフィン由来樹脂、Hercules,Inc.から両方とも入手可能な「FORAL」シリーズ及び「STAYBELITE」エステル10などのロジンエステル、Exxonから入手可能な「ESCOREZ 5000」シリーズなどの水素添加炭化水素、「PICCOLYTE A」シリーズなどのポリテルペン、並びに、Hercules,Inc.から入手可能な「PICCOFYN A100」などの石油又はテレビン油源由来のテルペンフェノール樹脂が挙げられる。熱可塑性相に関連する樹脂は、感圧性接着剤を硬化する傾向がある。熱可塑性相に関連する樹脂として、Hercules,Inc.から入手可能な芳香族炭化水素樹脂である「PICCO 6000」シリーズなどのポリ芳香族、Nevilleから入手可能な「CUMAR」シリーズなどのクマロン−インデン樹脂、並びに、Amocoから入手可能なαメチルスチレン樹脂である「AMOCO 18」シリーズ、Hercules,Inc.から入手可能なアルキル芳香族ポリインデン樹脂である「PICCOVAR 130」、及びHerculesから入手可能なαメチルスチレン/ビニルトルエン樹脂である「PICCOTEX」シリーズなどの、コールタール又は石油由来かつ約85℃を超える軟化点を有する、高溶解度パラメータのその他の樹脂が挙げられる。Lydondell Petrochemical Co.から入手可能な「TUFFLO 6056」、Chevronのポリブテン−8、Witcoから入手可能な「KAYDOL」、及びShell Chemical Co.から入手可能な「SHELLFLEX 371」などのゴム相可塑化炭化水素油、顔料、Ciba−Geigy Corp.から両方とも入手可能な「IRGANOX 1010」及び「IRGANOX 1076」、Uniroyal Chemical Co.から入手可能な「BUTAZATE」、American Cyanamidから入手可能な「CYANOX LDTP」、及びMonsanto Co.から入手可能な「BUTASAN」などの酸化防止剤、DuPontから入手可能なジブチルジチオカルバミン酸ニッケルである「NBC」などのオゾン分解防止剤、「VISTANEX LMMH」ポリイソブチレンゴムなどの液体ゴム、並びに、Ciba−Geigy Corp.から入手可能な「IRGANOX 1010」及び「TINUVIN P」などの紫外線阻害剤を含むその他材料を、特別な目的のために添加できる。
【0072】
所望の感圧特性を得るために、ポリビニルエーテル感圧性接着剤は、一般に、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、若しくはビニルイソブチルエーテルのホモポリマーのブレンド、又は、ビニルエーテルのホモポリマー、及びビニルエーテルとアクリレートのコポリマーのブレンドである。重合度に応じて、ホモポリマーは、粘稠油、粘着性の軟性樹脂、又はゴム様物質であってよい。ポリビニルエーテル接着剤中で原材料として使用されるポリビニルエーテルとして、BASFから入手可能な「LUTANOL M 40」、並びにISP Technologies,Inc.から入手可能な「GANTREZ M 574」及び「GANTREZ 555」などのビニルメチルエーテル;「LUTANOL A 25」、「LUTANOL A 50」及び「LUTANOL A 100」などのビニルエチルエーテル;「LUTANOL I30」、「LUTANOL I60」、「LUTANOL IC」、「LUTANOL I60D」及び「LUTANOL I 65D」などのビニルイソブチルエーテル;BASFから入手可能な「ACRONAL 550 D」などのメタクリレート/ビニルイソブチルエーテル/アクリル酸をベースとするポリマーが挙げられる。ポリビニルエーテル感圧性接着剤の安定化に有用な酸化防止剤として、例えば、Shellから入手可能な「IONOX 30」、Ciba−Geigyから入手可能な「IRGANOX 1010」、及びBayer Leverkusenから入手可能な酸化防止剤「ZKF」が挙げられる。粘着付与剤、可塑剤、及び顔料など、BASFの資料に記載されるようなその他材料を、特別な目的のために添加できる。
【0073】
アクリル感圧性接着剤は、一般に約−20℃以下のガラス転移温度を有し、100〜80重量パーセントのC
3〜C
12アルキルエステル構成成分(例えば、イソオクチルアクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレート、及びn−ブチルアクリレートなど)、並びに0〜20重量パーセントの極性構成成分(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エチレンビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、及びスチレンマクロマーなど)を含んでよい。一般に、アクリル感圧性接着剤は、0〜20重量パーセントのアクリル酸、及び100〜80重量パーセントのイソオクチルアクリレートを含む。アクリル感圧接着剤は、自己粘着性であるか又は粘着性付与されたものであってよい。アクリルに対する有用な粘着付与剤は、Hercules,Inc.から入手可能な「FORAL 85」などのロジンエステル、「PICCOTEX LC−55WK」などの芳香族樹脂、Hercules,Inc.から入手可能な「PICCOTAC 95」などの脂肪族樹脂、並びに、Arizona Chemical Co.から「PICCOLYTE A−115」及び「ZONAREZ B−100」として入手可能なα−ピネン及びβ−ピネンなどのテルペン樹脂である。水素添加ブチルゴム、顔料、及び接着剤を部分的に加硫処理するための硬化剤などのその他材料を、特別な目的のために添加できる。
【0074】
ポリ−α−オレフィン感圧性接着剤は、ポリ(1−アルケン)感圧接着剤とも呼ばれ、参照することによって本明細書に組み込まれる米国特許第5,209,971号(Babuら)に記載されるような、放射線活性化官能基がグラフトされてよい実質的に非架橋のポリマー又は非架橋のポリマーを一般的に含む。ポリ−α−オレフィンポリマーは自己粘着性であるか、かつ/又は1以上の粘着付与剤を含むものでよい。非架橋の場合、ポリマーの固有粘度は、ASTM D 2857−93「Standard Practice for Dilute Solution Viscosity of Polymers」によって測定されるとき、一般に約0.7〜5.0dL/gである。加えて、ポリマーは一般に、主に非晶質である。有用なポリ−α−オレフィンポリマーとして、例えば、C
3〜C
18ポリ(1−アルケン)ポリマー、一般にC
5〜C
12 α−オレフィン、及びC
3又はC
6〜C
8とのコポリマー、並びにC
3とのコポリマーが挙げられる。粘着付与材料は、典型的にはポリ−α−オレフィンポリマーと混和性の樹脂である。ポリ−α−オレフィンポリマー中の粘着性付与樹脂の合計量は、具体的な用途に応じ、ポリ−α−オレフィンポリマー100部当たり0〜150重量部の範囲である。有用な粘着付与樹脂としては、C
5〜C
9不飽和炭化水素モノマー、ポリテルペン、合成ポリテルペンなどの重合によって得られる樹脂が挙げられる。この種のC
5オレフィン画分ベースの市販樹脂の例は、Goodyear Tire and Rubber Co.から入手可能な「WINGTACK 95」及び「WINGTACK 15」粘着付与樹脂である。他の炭化水素樹脂として、Hercules Chemical Co.から入手可能な「REGALREZ 1078」及び「REGALREZ 1126」、並びにArakawa Chemical Co.から入手可能な「ARKON P115」が挙げられる。酸化防止剤、充填剤、顔料、及び放射線活性化架橋剤などのその他材料を、特別な目的のために添加できる。
【0075】
シリコーン感圧性接着剤は、2種類の主要構成成分である、ポリマー又はゴム、及び粘着付与樹脂を含む。ポリマーは典型的には、高分子量のポリジメチルシロキサン又はポリジメチルジフェニルシロキサンであり、ポリマー鎖の末端に残留シラノール官能基(SiOH)を含有するものであるか、又はポリジオルガノシロキサンのソフトセグメントと尿素末端のハードセグメントとを含むブロックコポリマーである。粘着付与樹脂は一般的に三次元シリケート構造であり、トリメチルシロキシ(OSiMe
3)基で末端キャップされ、また一部の残留シラノール官能基を含有する。粘着付与樹脂の例として、General Electric Co.,Silicone Resins Division(Waterford,N.Y.)のSR 545、及びShin−Etsu Silicones of America,Inc.(Torrance,Calif.)のMQD−32−2が挙げられる。典型的なシリコーン感圧性接着剤の製造は、米国特許第2,736,721号(Dexter)に記載されている。シリコーン尿素ブロックコポリマー感圧性接着剤の製造は、米国特許第5,214,119号(Leirら)に記載されている。顔料、可塑剤、及び充填剤などのその他材料を、特別な目的のために添加できる。充填剤は、シリコーン感圧性接着剤100部当たり0部〜10部の量で典型的に使用される。使用できる充填剤の例として、酸化亜鉛、シリカ、カーボンブラック、顔料、金属粉末、及び炭酸カルシウムが挙げられる。
【0076】
有用なポリウレタン及び有用なポリ尿素感圧性接着剤として、例えば、国際公開第00/75210号(Kinningら)、米国特許第3,718,712号(Tushaus)、同第3,437,622号(Dahl)、及び同第5,591,820号(Kydonieusら)に開示されるものが挙げられる。
【0077】
物品は、第1ポリエステル表面及び第2ポリエステル表面を備える基材と、第1ポリエステル表面上にコーティングされた架橋されたポリウレタン系プライマーと、加熱活性化された接着剤の代わりに、架橋されたポリウレタン系プライマーに隣接する感圧性接着剤層と、を含む、物品が更に開示される。好適な感圧性接着剤の例として、上記のものが挙げられる。
【0078】
上記物品と同じように、基材の第2ポリエステル表面は更に、架橋されたポリウレタン系プライマーコーティングも含んでよい。この架橋されたポリウレタン系プライマーは、基材の第1ポリエステル表面上にコーティングされた架橋されたポリウレタン系プライマーと同じであってよく、又は異なっていてもよい。典型的には、適用及び取り扱いを容易にするため、架橋されたポリウレタン系プライマーは同じものである。好適な架橋されたポリウレタン系プライマーは、先に詳細に記載している。
【0079】
第1ポリエステル表面及び第2ポリエステル表面を備える基材と、第1及び第2ポリエステル表面上にコーティングされた架橋されたポリウレタン系プライマーと、を含む上記フィルム物品を用いて、積層物品を製造できる。この積層物品では、フィルム物品はグレージング基材に接着される。
【0080】
多種多様なグレージング基材が、本開示の積層物品に適している。いくつかの実施形態では、単一のグレージング基材が存在し、別の実施形態では、複数のグレージング基材が存在する。いくつかの実施形態では、プライマー処理された上記フィルム物品はグレージング基材の外面に取り付けられ、別の実施形態では、プライマー処理された上記フィルム物品は2枚のグレージング基材の間に位置する。
【0081】
好適なグレージング基材は、少なくとも光学的に透過性であり、光学的に透明であり得る。好適な基材の例としては、例えば、窓が挙げられる。窓は、様々なガラスなどの、様々な異なる種類のグレージング基材から、又はポリカーボネート若しくはポリメチルメタクリレートなどの高分子材料から作製され得る。いくつかの実施形態において、窓はまた、追加的な層又は処理を含み得る。追加的な層の例としては、例えば、着色性、耐破砕性などを提供するように設計されたフィルムの追加的な層が挙げられる。窓の、存在し得る追加的な処理の例としては、例えば、ハードコートなどの様々な種類のコーティング、及び修飾的エッチングなどのエッチングが挙げられる。
【0082】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の架橋されたポリウレタン系プライマーコーティングの両方は、プライマーコーティングに隣接する光学的に透明な加熱活性化された接着剤層を有する。別の実施形態において、ポリウレタン系プライマーコーティングの一方は、プライマーコーティングに隣接する光学的に透明な加熱活性化された接着剤層を有し、他方のポリウレタン系プライマーコーティングは、プライマー層に隣接する層を有する。層は、硬化したハードコート、光学層、又は上記感圧性接着剤であってよい。2つの光学的に透明な加熱活性化された接着剤層、又は、1つの光学的に透明な加熱活性化された接着剤層と1つの感圧性接着剤層とを有する物品を使用して、サンドイッチ構造、すなわち、フィルム物品が2枚のグレージング基材間にある構造を作製できる。
【0083】
典型的には、積層体は、視感透過率が高く、ヘイズが低いなど、望ましい光学的性質を有する。本開示の積層体は、多くの場合、400〜700nmの波長帯において、少なくとも約90パーセントの視感透過率及び約3パーセント未満のヘイズを有する。視感透過率及びヘイズは両方とも、例えば、ASTM−D 1003−95の方法を用いて決定することができる。
【0084】
物品の製造方法も開示される。この方法は、第1ポリエステル表面及び第2ポリエステル表面を備える基材を準備する工程と、基材の第1ポリエステル表面又は第2ポリエステル表面の少なくとも一方に硬化性プライマー組成物を適用する工程と、硬化性プライマー組成物を乾燥する工程と、基材及び硬化性プライマー組成物を伸張しながら加熱し、伸張したポリエステル表面上に架橋されたプライマー層を形成する工程と、架橋されたプライマー層上に光学的に透明な加熱活性化された接着剤を適用し、光学的に透明な加熱活性化された接着剤層を形成する工程と、を含む。伸張しながら加熱する(「幅出し」と呼ばれるプロセス)前に、硬化性プライマー組成物が基材上にコーティングされるため、硬化性プライマーコーティングは、「幅出し前コーティング」と呼ばれることがある。この硬化性幅出し前プライマーコーティングは、ポリウレタン系分散物と、架橋剤と、を含み、これらは先に詳細に説明されるようなものである。
【0085】
いくつかの実施形態において、プライマー組成物は、基材の第1及び第2ポリエステル表面の両面にコーティングされ、第1及び第2の硬化したプライマー層を形成する。両面にコーティングすると、追加コーティングを受けるのに好適な両面を有する物品を提供するだけではなく、両面が同じ物品を提供する。両面が同じフィルム物品があると、処理中に、どちらの側にプライマーコーティングがあるかの確認に注意する必要がなくなる。更に、本開示のプライマーコーティングは、追加コーティングを受けるのに好適な変性表面を提供することに加えて、フィルムの取り扱い性を向上することがわかっている。このフィルム取り扱い性の向上として、ローラー上の滑りの強化、並びにフィルムロールの巻き取り及び巻き戻しの容易化が挙げられる。いくつかの実施形態において、プライマー組成物中に様々なポリマー性又は無機添加剤を含めることによって、滑りの強化を達成でき、又は更に強化できる。これら添加剤として、例えば、Degussa Corporation(Parsippany,NJ)から「AERODISP W 1226」として市販されているヒュームドシリカの水系分散液などのスリップ添加剤が挙げられる。
【0086】
任意の好適なコーティング若しくは塗布方法、又は水性若しくは溶剤混合物のコーティングに有用な方法の組み合わせを用いて、基材のポリエステル表面の片側又は両側に、硬化性プライマーコーティングをコーティングしてよい。好適なコーティング装置の例として、ナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ノッチ付きバーコーター、カーテンコーター、輪転グラビアコーター、輪転印刷機などが挙げられる。前記水性又は溶剤混合物の粘度は、使用するコーターの種別に応じて調整してよい。コーティングの適用後、任意の好適な乾燥プロセスによって乾燥してよい。好適な乾燥プロセスの例として、風乾、及び、IRランプなどによる、又は強制空気オーブンなどのオーブンによる加熱乾燥が挙げられる。
【0087】
基材上でプライマー層(単層)又はプライマー層(複層)が乾燥した後、次に、コーティングされた基材を、幅出し、つまりフィルムを配向させるために、1次元又は2次元に伸張してよい。フィルム、特にポリエステルフィルムの配向プロセスは、「高分子工業科学百科辞典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)」(第12巻、第2版、193〜216ページ)に記載されている。二軸配向ポリエステルフィルムの典型的な作製プロセスは、以下の4つの主要工程からなる、(1)ポリエステル樹脂の溶融押出及びそれの急冷によりウェブを形成する工程、(2)長手方向又は機械方向へ、ウェブを延伸する工程、(3)引き続いて又は同時に、ウェブを横断方向へと延伸してフィルムを作製する工程、及び(4)フィルムをヒートセッティングする工程。二軸配向が所望される場合、プライマー組成物は、多層光学フィルムが機械方向に延伸された後に、続いて横断方向が延伸される前に、多層光学フィルム上にコーティングされてもよい。ポリマーフィルムの配向に関する更なる説明は、例えば国際公開第2006/130142号に記載されている。多層光学フィルムは一般的に、モノリシックのPETフィルムの調製で一般的に使用される3.5:1〜4:1よりもかなり高い、6:1又はそれ以上の延伸比を用いるプロセスで製造される。当該技術分野で使用される多数のプロセスと異なり、本開示のプライマーは、6:1で延伸した後でさえ、卓越した透明性、美的外観、及び接着特性を備えるコーティングを与えることが見出された。
【0088】
プライマー処理されたフィルム物品を伸張して配向した後、様々な異なる層をプライマー表面に接触させてよい。これらの層の中には、光学的に透明な加熱活性化された接着剤層、ハードコート層、光学層、及び感圧性接着剤層が含まれている。これらの層は全て、先に詳細に説明しており、従来のコーティング又は積層技術を用いて適用できる。
【実施例】
【0089】
本開示の利点及び実施形態を以降の実施例によって更に例示するが、これら実施例において列挙される特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するように解釈されるべきではない。これらの実施例では、比率、割合及び比はすべて、特に断らないかぎり重量に基づいたものである。
【0090】
以下の実施例では、次の略語を使用する:g=グラム、min=分、mol=モル、hr=時間、mL=ミリリットル、nm=ナノメートル、wt=重量、fpm=フィート/分、psi=ポンド/平方インチ、kPa=キロパスカル、PSA=感圧性接着剤。特に明記しない限り、化学物質は、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能である。
【0091】
【表1-1】
【0092】
【表1-2】
【0093】
ポリウレタン分散物3の合成
1ポンド/100ポンド(454g/45359g)の投入量に基づき、イソシアネート末端化プレポリマーを以下のように調製した。ポリオール−1(0.003当量)、ポリオール−1(0.020当量)、及びジメチロールプロピオン酸(0.024当量、GEO Specialty Chemicalsから入手)の、ジラウリン酸ジブチル錫触媒(0.1wt%、Air Products Chemicals Incから入手)を含む2−ブタノン(固形分70%)中混合物を、H12MDIの80%溶液(0.069当量)でゆっくりと処理した。この混合物を、102℃(215°F)で3〜4hr攪拌した。形成されたプレポリマー溶液を79℃(175°F)に冷却し、その後、トリエチルアミン(0.009当量、Air Products and Chemicals Inc.から入手)及びエチレンジアミン(0.017当量、Dow Chemical Companyから入手)の希釈水溶液に徐々に加えた。この混合物を、激しく1hr攪拌し、次に、減圧下で揮散させて固形分25%の水性ポリウレタン分散物を得た。
【0094】
コーティング溶液調製の基本手順
特に記載がない限り、実験室スケールのコーティング溶液は全て、100gの量で作製した。一次ポリウレタンバインダーを含む容器を攪拌し、その後、特定の未希釈架橋剤溶液をゆっくりと加えた。約1ガロンを超えるコーティング溶液を使用するより大きいスケールの実験では、架橋剤のプレミックス溶液を固形分20%で調製した。それぞれの場合において、使用したイソシアネート架橋剤の固形分量は、バインダーの総固体量の20wt%、すなわち、ポリウレタンと架橋剤の4:1混合物とした。バインダー及び架橋剤を15min攪拌した後、脱イオン水を用いて、固形分15%の最終濃度まで材料を希釈し、その後界面活性剤(合計溶液wtの0.08%)及びスリップ剤(使用した場合)を連続的に加えた。コーティング操作において使用する前に、溶液を更に15min攪拌した。攪拌した脱イオン水と界面活性剤の溶液にバインダー及び架橋剤を投入するなど、別の添加順序において、同様に実施できることが確認された。
【0095】
コーティング及び幅出し手順
RD Specialties,Inc.(Webster,NY)から購入した#6Mayerコーティングロッドを用いて、実験室フィルムサンプルをコーティングした。コーティングしたフィルムを、165°F(74℃)のオーブンで3〜5min乾燥し、その後フィルムの反対面をコーティングして、同様に乾燥した。引き続き、Bruckner(Siegsdorf,Germany)から市販される「KARO IV LABORATORY STRETCHING MACHINE」において、次の手順、すなわち、(i)97℃で25秒間予備加熱し、(ii)機械方向(MD)に3.33倍、横断(TD)方向に3.46倍、14%/秒で同時に伸張し、(iii)193℃で60秒間フィルムを加熱し、(iv)MDに3.43倍、TDに3.56倍、50%/秒でフィルムを伸張して、フィルムを伸張した。製造スケールの装置での試作として、リバースグラビアロールコーティングプロセスを使用して、コーティングを適用した。グラビアロール速度は、125%延伸、及び最終速度45.75fpm(1394.5cm/min)に設定した。ドクターブレード圧は40psi(276kPa)に設定した。コーティング後、乾燥オーブン(130°F(54℃))、予備加熱及び伸張ゾーン(200〜202°F(93〜94℃))、ヒートセットゾーン(422°F(217℃))、及び最後に冷却ゾーン(100°F(38℃))を連続的に通過させて、フィルムを処理した。伸張パラメータは、実験室サンプルについて記載したものと公称は同じとした。乾燥したコーティング厚さは、公称80〜150nmであった。
【0096】
PET表面を有する多層光学フィルム
成形した多層光学フィルム(MOF)をコーティングし、続いて、本明細書に記載の物品及び積層体において使用する前に伸張した。伸張及びヒートセット工程後、フィルムは、CM 875(ポリエチレンテレフタレート(terephthalte)(PET)とコPMMA(ポリメチルメタクリレート)の224層の交互層を、多層積層体の外側と同じPETの表面層と共に含む、公称2ミル(51マイクロメートル)の4分の1波長のIR反射フィルム)と類似している。このフィルムは、米国特許第6,797,396号(実施例5)に記載されている。
【0097】
ガラス積層体の調製及び試験
ガラス積層体は、12インチ×12インチ(30.5cm×30.5cm)とした。積層体の構成は次の通りとした:2.1mmのガラス/15ミル(381マイクロメートル)のPVB/実験用フィルム/15ミル(381マイクロメートル)のPVB/2.1mmのガラス。この積層体をニップローラーに通し、残存空気を押し出してから、285°F/175psi(141℃/1207kPa)まで30minかけて上昇するオートクレーブにかけ、30min保持し、30〜60minかけて徐々に冷却した。
【0098】
圧縮剪断試験は、12”×12”(30.5cm×30.5cm)の上記のように調製したガラス積層体から切り出した、1.00インチ±0.02インチ(2.54cm±0.05cm)の正方形サンプルを使用して実施した。正方形サンプルを、11,000lb−f(50,000N)ロードセルを備えた、試験装置MTS Alliance RT/50機に装着し、45度の圧縮剪断力をかけた。ロードセルを、0.1”/min(0.25cm/min)の速度で動かした。ガラス積層体が破損した時点の力を記録し、6〜10回測定を繰り返した際の平均値を求める。
【0099】
ヘイズ及び透過率パーセントを、BYK Gardner Plus AT−4725機器を使用して測定した。フィルムサンプルとガラス積層体の両方のデータを表にする。
【0100】
比較例C1:
「PET表面を有する多層光学フィルム」に記載の通りにフィルムを作製した。このフィルムは、プライマーでコーティングしなかったが、上記「コーティング及び幅出し手順」に記載の通りに幅出しし、ガラス/PVB/フィルム/PVB/ガラスの構成体に作製して、「ガラス積層体の調製及び試験」に記載の通りに試験した。結果を表1に示す。
【0101】
比較例C2:
PAAコーティング溶液を米国特許第5,411,845号に記載のように調製し、上記の通りCM875フィルム上にコーティングし、上記の通り幅出しして、ガラス/PVB/フィルム/PVB/ガラスの構成体に作製して、「ガラス積層体の調製及び試験」に記載の通りに試験した。結果を表1に示す。
【0102】
比較例C3:
1% AEAPTMSコーティング溶液を、米国特許第5,064,722号に記載のように調製した。ガラス/PVB/フィルム/PVB/ガラスの構成体を、フィルムについて、多層光学フィルムの両面をまずAEAPTMSでコーティングした以外は、「ガラス積層体の調製及び試験」に記載の通り比較例C1と同様に作製した。結果を表1に示す。
【0103】
比較例C4:
ガラス/PVB/PVB/ガラスの構成体を作製し、比較例C1と同様に試験したが、PET表面を有する多層光学フィルムは含めなかった。結果を表1に示す。
【0104】
(実施例1):
コーティング溶液を、一次バインダーとしてPUD−1、及び架橋剤としてAIC−2を用いて、「コーティング溶液調製の基本手順」に記載の通りに調製した。「PET表面を有する多層光学フィルム」及び「コーティング及び幅出し手順」に記載の通りにフィルムを作製し、処理した。得られた処理済みフィルムを、ガラス/PVB/フィルム/PVB/ガラスの構成体に作製し、「ガラス積層体の調製及び試験」に記載の通りに試験した。結果を表1に示す。
【0105】
(実施例2):
スリップ粒子のレベルが乾燥コーティングの2.5重量%になるようにスリップ剤を添加した以外は、上記実施例1に記載の通りにコーティング溶液、フィルム、及び積層体を作製し、試験した。結果を表1に示す。
【0106】
(実施例3):
PUD−3を一次バインダーとして使用した以外は、上記実施例1に記載の通りにコーティング溶液、フィルム、及び積層体を作製し、試験した。結果を表1に示す。
【0107】
(実施例4):
スリップ粒子のレベルが乾燥コーティングの2.5重量%になるようにスリップ剤を添加した以外は、上記実施例3に記載の通りにコーティング溶液、フィルム、及び積層体を作製し、試験した。結果を表1に示す。
【0108】
(実施例5):
PUD−2を一次バインダーとして使用した以外は、上記実施例1に記載の通りにコーティング溶液、フィルム、及び積層体を作製し、試験した。結果を表1に示す。
【0109】
(実施例6):
PU−1及びARC−1をそれぞれ一次バインダー及び架橋剤として使用した以外は、上記実施例1に記載の通りにコーティング溶液、フィルム、及び積層体を作製し、試験した。結果を表1に示す。
【0110】
(実施例7):
PU−1及びAIC−2をそれぞれ一次バインダー及び架橋剤として使用した以外は、上記実施例1に記載の通りにコーティング溶液、フィルム、及び積層体を作製し、試験した。結果を表1に示す。
【0111】
(実施例8):
PUD−3及びARC−1をそれぞれ一次バインダー及び架橋剤として使用した以外は、上記実施例1に記載の通りにコーティング溶液、フィルム、及び積層体を作製し、試験した。結果を表1に示す。
【0112】
(実施例9):
PUD−3及びAIC−2をそれぞれ一次バインダー及び架橋剤として使用した以外は、上記実施例1に記載の通りにコーティング溶液、フィルム、及び積層体を作製し、試験した。結果を表1に示す。
【0113】
【表2】
【0114】
(実施例10〜16):
一次バインダーとしてPUD−1、及び様々な異なる架橋剤を用いて、上記実施例1に記載の通りにコーティング溶液、コーティングかつ処理済みフィルム、及び積層構成体を作製し、試験した。実施例10では、架橋剤はAIC−6、実施例11では架橋剤はAIC−7、実施例12では架橋剤はAIC−1、実施例13では架橋剤はAIC−2、実施例14では架橋剤はAIC−3、実施例15では架橋剤はAIC−4、実施例16では架橋剤はAIC−5とした。表2に結果を示す。
【0115】
【表3】
【0116】
(実施例17〜23):
一次バインダーとしてPUD−3、及び様々な異なる架橋剤を用いて、上記実施例1に記載の通りにコーティング溶液、コーティングかつ処理済みフィルム、及び積層構成体を作製し、試験した。実施例17では架橋剤はAIC−6、実施例18では架橋剤はAIC−7、実施例19では架橋剤はAIC−1、実施例20では架橋剤はAIC−2、実施例21では架橋剤はAIC−3、実施例22では架橋剤はAIC−4、実施例23では架橋剤はAIC−5とした。結果を表3に示す。
【0117】
【表4】
【0118】
(実施例24〜27):
一次バインダーとしてPUD−1、及び様々な異なる架橋剤を用いて、上記実施例1に記載の通りにコーティング溶液、コーティングかつ処理済みフィルム、及び積層構成体を作製し、試験した。実施例24では架橋剤はBI−1、実施例25では架橋剤はBI−2、実施例26では架橋剤はBI−3、実施例27では架橋剤はBI−4とした。結果を表4に示す。
【0119】
(実施例28〜30):
一次バインダーとしてPUD−3、及び様々な異なる架橋剤を用いて、上記実施例1に記載の通りにコーティング溶液、コーティングかつ処理済みフィルム、及び積層構成体を作製し、試験した。実施例28では架橋剤はBI−2、実施例29では架橋剤はBI−3、実施例30では架橋剤はBI−4とした。結果を表4に示す。
【0120】
【表5】
【0121】
実施例31〜33及び比較例C5及びC6:
両面ポリウレタンベースのプライマー処理済みフィルム及びプライマー未処理フィルムと共に光学的に透明な加熱活性化された接着剤を用いて、ガラス積層体を作製した。プライマー処理済み及び未処理の両方のフィルムについて、「PET表面を有する多層光学フィルム」に記載の通りに作製した。2種類のプライマー処理済みフィルムは、実施例2及び4に記載されている通りとした。プライマー未処理フィルムは、比較例1に記載の通りとした。2種類の光学的に透明な加熱活性化された接着剤HAA−1及びHAA−2を用いて、ガラス積層体を作製した。最終積層体構成は、2.1mmのガラス/光学的に透明な加熱活性化された接着剤/フィルム/光学的に透明な加熱活性化された接着剤/2.1mmのガラスとした。
【0122】
ガラス積層体を以下の方法に従って作製した。まず、積層体を真空バッグ内で脱気した。真空バッグに入れた積層体を、次にオートクレーブに入れ、135℃(275°F)/1207kPa(175psi)まで上昇させて60min保持し、その後徐々に冷却してから、オートクレーブから取り出した。実施例31及び32は、実施例1及び2のフィルムをそれぞれ用い、PVBの代わりにHAA−1を用いて実施した。実施例33は、実施例2のフィルムを用い、PVBの代わりにHAA−2を用いて実施した。比較例C5及びC6は、比較例C1のフィルムを用い、PVBの代わりにHAA−1及びHAA−2をそれぞれ用いて実施した。試験は、「ガラス積層体の調製及び試験」に記載の通りに行った。結果を表5に示す。
【0123】
【表6】
【0124】
実施例34〜41及び比較例C7〜C10:
溶剤系アクリルポリマーPSA接着剤コーティング溶液を、プライマー処理済みPET基材上に直接ノッチバーコーティングし、0.25ミル±0.1ミル(6.35マイクロメートル)の乾燥コーティング厚さで、対流式オーブンで乾燥した。2種類のコーティング溶液、コーティング溶液A及びコーティング溶液Bを用いた。プライマー処理済み基材としては、実施例1に記載の基材であるプライマー処理済み基材Cとし、実施例2に記載の基材であるプライマー処理済み基材D、及びスルホポリエステルプライマー処理済みPET(米国特許第5,439,785号に記載)であるプライマー処理済み基材Eとした。PSAコーティングされたプライマー処理済みPET基材を、予備洗浄/予備清浄したボロシリケートガラスに、乾式及び湿式適用法の両方を用いて適用した。適用直後、並びに、対流式オーブン中、66℃(150°F)において24hr、72hr、及び1週間熱老化後のサンプルを、ガラスから約90°の角度で剥離した。剥離速度は、90インチ/min(229cm/min)超とした。剥離試験後、ガラス基材に付着した接着剤量を評価した。結果を表6に示す。
【0125】
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[21]に記載する。
[1]
第1ポリエステル表面及び第2ポリエステル表面を備える基材と、
該第1ポリエステル表面上にコーティングされた、架橋されたポリウレタン系プライマーと、
該架橋されたポリウレタン系プライマーに隣接する光学的に透明な加熱活性化された接着剤と、を含む、物品。
[2]
前記架橋されたポリウレタン系プライマーが、ポリウレタン系分散物と架橋剤との反応生成物を含む、項目1に記載の物品。
[3]
前記架橋されたポリウレタン系プライマーが、ポリウレタン系、ポリエステル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタンプライマー、又はこれらの組み合わせを含む、項目1に記載の物品。
[4]
前記架橋されたポリウレタン系プライマーが、脂肪族ポリウレタン系又は脂肪族ポリエステル系ポリウレタンプライマーを含む、項目1に記載の物品。
[5]
前記架橋剤が、脂肪族ジイソシアネート、ブロックイソシアネート、メラミンホルムアルデヒド架橋剤、又はこれらの組み合わせを含む、項目2に記載の物品。
[6]
前記基材が多層基材を含む、項目1に記載の物品。
[7]
前記基材が配向フィルムを含む、項目1に記載の物品。
[8]
前記光学的に透明な加熱活性化された接着剤が、ポリアクリレートホットメルト接着剤、ポリビニルブチラール、エチレンビニルアセテート、アイオノマー、ポリオレフィン、又はこれらの組み合わせを含む、項目1に記載の物品。
[9]
前記第2ポリエステル表面上にコーティングされた、架橋されたポリウレタン系プライマーを更に含む、項目1に記載の物品。
[10]
前記第2ポリエステル表面上の前記架橋されたポリウレタン系プライマーに隣接する層を更に含み、該層が、光学的に透明な加熱活性化された接着剤層、硬化したアクリレート層、又は感圧性接着剤層を含む、項目1に記載の物品。
[11]
第1ポリエステル表面及び第2ポリエステル表面を備える基材と、
該第1及び第2ポリエステル表面上にコーティングされた架橋されたポリウレタン系プライマーと、
該第1ポリエステル表面上の該架橋されたポリウレタン系プライマーに隣接する感圧性接着剤層と、を含む、物品。
[12]
第1主面及び第2主面を備える第1グレージング基材と、
該第1グレージング基材の第1主面に接着されるフィルム物品を備える積層構成体であって、前記フィルム物品が
第1ポリエステル表面及び第2ポリエステル表面を備える基材と、
該第1ポリエステル表面上にコーティングされた第1の架橋されたポリウレタン系プライマーと、
該第2ポリエステル表面上にコーティングされた第2の架橋されたポリウレタン系プライマーと、
該第1の架橋されたポリウレタン系プライマーに隣接する第1の光学的に透明な加熱活性化された接着剤と、
該第2の架橋されたポリウレタン系プライマーに隣接する層と、を含む、フィルム物品と、
を備える、積層構成体。
[13]
前記第2の架橋されたポリウレタン系プライマーに隣接する層が、第2の光学的に透明な加熱活性化された接着剤を含み、第1主面及び第2主面を備える第2グレージング基材であって、該第2グレージング基材の該第1主面が前記第2の光学的に透明な加熱活性化された接着剤に接着されている第2グレージング基材を更に含み、それにより、前記フィルム物品が中間層物品を備え、前記第1グレージング基材、該中間層物品、及び前記第2グレージング基材がサンドイッチ構成を形成する、項目12に記載の積層構成体。
[14]
第1ポリエステル表面及び第2ポリエステル表面を備える基材を準備する工程と、
前記第1ポリエステル表面又は
前記基材の前記第2ポリエステル表面の少なくとも一方に硬化性プライマー組成物を適用する工程であって、該硬化性プライマー組成物が、
ポリウレタン系分散物と、架橋剤と、を含む工程と、
該硬化性プライマー組成物を乾燥する工程と、
該基材及び該硬化性プライマー組成物を伸張しながら加熱し、
該伸張したポリエステル表面上に架橋されたプライマー層を形成する工程と、
該架橋されたプライマー層上に光学的に透明な加熱活性化された接着剤を適用し、
光学的に透明な加熱活性化された接着剤層を形成する工程と、を含む、物品の製造方法。
[15]
前記硬化性プライマー組成物が、前記基材の前記第1及び第2ポリエステル表面にコーティングされ、第1及び第2の硬化したプライマー層を形成する、項目14に記載の方法。
[16]
前記伸張しながら加熱する工程が、少なくとも一方向に伸張する工程を含む、項目14に記載の方法。
[17]
前記伸張する工程が、2軸方向に伸張する工程を含む、項目16に記載の方法。
[18]
第2の光学的に透明な加熱活性化された接着剤を前記第2の硬化したプライマー層に適用し、第2の光学的に透明な加熱活性化された接着剤層を形成する工程を更に含む、項目15に記載の方法。
[19]
硬化性材料を前記第2の硬化したプライマー層に適用して硬化し、前記第2の硬化したプライマー層に隣接する硬化した層を形成する工程を更に含む、項目15に記載の方法。
[20]
前記硬化した層が、ハードコート及び/又は光学層を含む、項目19に記載の方法。
[21]
感圧性接着剤材料を前記第2の硬化したプライマー層に適用し、前記第2の硬化したプライマー層に隣接する感圧性接着剤層を形成する工程を更に含む、項目15に記載の方法。