(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持板上での前記発光部と前記光路変更部の位置関係は、前記発光部が、前記支持板の外周側に周方向等間隔で配置され、前記光路変更部が、前記支持板の内周側に周方向等間隔で取り付けられ、前記発光部と前記光路変更部の光信号反射面は互いに向かい合っていることを特徴とする請求項1に記載の軸型トルク変換器。
前記光路変更部は、前記支持板に設けられた光反射板と、当該光反射板及びこれに対応する前記発光部との間に介在させた光拡散部材とからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の軸型トルク変換器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような軸型のトルク変換器を用いてトルク測定を行うに際して、回転軸を例えば25,000rpmという非常に高速で回転させる場合がある。この場合、回転軸と回転軸固定部(ステータ)とが互いにベアリングでしっかりと固定されると共に、回転軸で検出される常に変動するトルク信号を回転軸固定部に間断なく常時正確に伝えるための非接触の信号伝達構造が必要となる。
【0005】
これに伴って、軸型トルク変換器の場合、回転軸にトルク検出用のひずみゲージのみならずこのひずみゲージから得られたわずかな出力信号を増幅して回転固定部に常時伝達するための様々な電子部品や電気部品を回転軸に実装することが必要不可欠となる。
【0006】
その理由は、発電機やモータのトルクを測定する際にはトルクが短い時間で急激に変化するので、出力信号の伝達がわずかな時間でも途切れると、この部分の出力信号を回転軸固定部側で得ることができなくなり、この欠落した出力信号を予測演算することは極めて困難になる。伝達できなかった出力信号の一部についてこの出力信号を推定したのでは実際のトルク特性値と合致しなくなるためである。
【0007】
特許文献1に記載の軸型のトルク変換器では、回転軸に設けられた円板状の基板に上述の電子部品や電気部品を実装しているが、上述のような高速回転で回転する回転軸に備わるひずみゲージからの出力信号を回転固定部に常時継続的に伝達する構成については何ら言及していない。
【0008】
本発明の目的は、高速回転する回転軸に作用するトルクを間断なく常時継続的に正確に測定可能な軸型トルク変換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の軸型トルク変換器は、
回転軸に作用するトルクを出力信号に変換する軸型トルク変換器において、
トルクが作用する回転軸と、前記回転軸を回転可能に支持する軸支持部と、前記回転軸に作用するトルクを検出すると共に検出信号を伝達するトルク検出部とを備え、
前記トルク検出部は、前記回転軸のトルクを検出するトルク検出素子と、前記トルク検出素子から得られたトルク値を光信号として発光する発光部と、該発光部からの前記光信号の光路を変更する光路変更部と、該光路変更部により光路が変更された前記光信号を受光する受光部とを備え
、
前記光路変更部は、前記回転軸の回転中に、前記発光部からの光信号を反射して前記受光部へ常に伝達することができるように配置され、
前記発光部は回転側に配置され、前記受光部は固定側に配置され、
前記光路変更部及び発光部は、前記回転側に取り付けられた支持板に設けられ、前記光路変更部は前記発光部よりも径方向内側に配置されていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の軸型トルク変換器は、請求項1に記載の軸型トルク変換器において、
前記
支持板上での前記発光部と前記光路変更部の位置関係は、前記発光部が、前記支持板の外周側に周方向等間隔で配置され、前記光路変更部が、前記支持板の内周側に周方向等間隔で取り付けられ、前記発光部と前記光路変更部の光信号反射面は互いに向かい合っていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の軸型トルク変換器は、請求項1又は請求項2に記載の軸型トルク変換器において、
前記光路変更部
は拡散ミラーからなることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載の軸型トルク変換器は、請求項1又は請求項2に記載の軸型トルク変換器において、
前記
光路変更部は、前記支持板に設けられた光反射板と、当該光反射板及びこれに対応する前記発光部との間に介在させた光拡散部材とからなることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の請求項5に記載の軸型トルク変換器は、請求項1
又は請求項
2に記載の軸型トルク変換器において、
前記
光路変更部は、平面ミラーからなることを特徴としている。
【0014】
また、本発明の請求項6に記載の軸型トルク変換器は、請求項1
又は請求項2に記載の軸型トルク変換器において、
前記光路変更部は、
これが取り付けられる支持板の円周方向に沿って湾曲した曲面ミラーからなることを特徴としている。
【0015】
また、本発明の請求項7に記載の軸型トルク変換器は、請求項
1に記載の軸型トルク変換器において、
前記光路変更部
は、これが取り付けられる支持板の円周方向に沿って湾曲した曲面ミラーであって、1つのラッパ形状の曲面ミラーからなることを特徴としている。
また、本発明の請求項8に記載の軸型トルク変換器は、
回転軸に作用するトルクを出力信号に変換する軸型トルク変換器において、
トルクが作用する回転軸と、前記回転軸を回転可能に支持する軸支持部と、前記回転軸に作用するトルクを検出すると共に検出信号を伝達するトルク検出部とを備え、
前記トルク検出部は、前記回転軸のトルクを検出するトルク検出素子と、前記トルク検出素子から得られたトルク値を光信号として発光する発光部と、該発光部からの前記光信号の光路を変更する光路変更部と、該光路変更部により光路が変更された前記光信号を受光する受光部とを備え、
前記光路変更部は光反射板からなり、
前記光路変更部は、前記回転軸の回転中に、前記発光部からの光信号を反射して前記受光部へ常に伝達することができるように配置され、
前記発光部は回転側に配置され、前記受光部は固定側に配置され、
前記発光部は、前記回転側に取り付けられた支持板に設けられ、前記光路変更部は、前記支持板を囲うように前記固定側に設けられたことを特徴としている。
また、本発明の請求項9に記載の軸型トルク変換器は、
回転軸に作用するトルクを出力信号に変換する軸型トルク変換器において、
トルクが作用する回転軸と、前記回転軸を回転可能に支持する軸支持部と、前記回転軸に作用するトルクを検出すると共に検出信号を伝達するトルク検出部とを備え、
前記トルク検出部は、前記回転軸のトルクを検出するトルク検出素子と、前記トルク検出素子から得られたトルク値を光信号として発光する発光部と、該発光部からの前記光信号の光路を変更する光路変更部と、該光路変更部により光路が変更された前記光信号を受光する受光部とを備え、
前記光路変更部は、前記回転軸の回転中に、前記発光部からの光信号を反射して前記受光部へ常に伝達することができるように配置され、
前記発光部は回転側に配置され、前記受光部は固定側に配置され、
前記光路変更部及び発光部は、前記回転側に取り付けられた支持板に設けられ、前記光路変更部は光拡散部材からなり、該光拡散部材が前記発光
部と前記受光
部との間に位置するように前記支持板に備わることを特徴としている。
【0016】
本発明によると、高速回転する回転軸に作用するトルクを間断なく常に継続的に正確に測定可能な軸型トルク変換器を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施形態及びその変形例について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る軸型トルク変換器1を示す断面図である。また、
図2は、
図1に示したトルク検出部300を示す斜視図である。また、
図3は、
図1に示したトルク検出部300とハウジング400を示す斜視図である。
【0019】
なお、
図1において、各構成要素の電気的な接続関係に関しては図示を省略している。また、以下の説明において、回転側とは、回転軸100や支持板500などいわゆる回転する部分を総称して言い、固定側とは、軸支持部200やハウジング400、これに備わる回路基板615などいわゆる回転することのない固定された部分を総称して言う。
【0020】
軸型トルク変換器1は、回転軸100と、軸支持部200と、トルク検出部300と、ハウジング400とを備えている。そして、トルク検出部300は、回転軸100のトルクを検出するトルク検出素子310と、トルク検出素子310から得られたトルク値を光信号として発光する発光部330と、発光素子330からの光信号の光路を変更する光路変更部340と、光路変更部により光路が変更された光信号を受光する受光部350とを備えている。
【0021】
回転軸100は、金属製のシャフトからなり、測定対象物である自動車部品の検査設備や、発電機やモータ等を作動させた際にトルクが作用する。回転軸100には、一部に回転軸100よりも小径の外径寸法を有するトルク検出軸部110が形成され、トルク検出軸部110にトルク検出素子310が取り付けられている。また、回転軸100には、後述する回転側コイル603が固定されている。
【0022】
回転軸100には支持板500が取り付けられている。支持板500は、例えば所定の厚み及び直径を有して円板状に形成されたいわゆるPCBと呼ばれる印刷回路基板単品、もしくは、この印刷回路基板に樹脂等を同形状に成形した樹脂成形物を貼り付けた組立体からなり、回転軸100と一体となって回転する。なお、支持板500は、円板形状に代えて、三角形、四角形、五角形等の多角形状であっても良い。また、半円状や1/3円状の支持板を組み合わせて用いても良い。本実施形態においては、支持板500に後述する光路変更部340が取り付けられている。
【0023】
軸支持部200は、軸受210を備えており、回転軸100を回転可能に固定する。
【0024】
トルク検出部300は、上述したようにトルク検出素子310と、発光部330と、光路変更部340と、受光部350を備えている。回転軸100に作用するトルクをこのトルク検出部300で検出し、この検出信号を固定側検出回路700に伝達し、トルクに応じた出力信号を取り出す。
【0025】
トルク検出素子310は、回転軸100に形成されたトルク検出軸部110の周方向に配置されている。トルク検出素子310は、ひずみゲージで構成されたホイートストンブリッジ回路であって、ここでは詳細な構成については図示しないが、ひずみゲージは、例えばポリイミド樹脂等でできた可撓性を有するシートと、このシートの上に幅の狭い銅箔パターンを互いに間隔を狭めて九十九(つづら)折り状に複数折り返して形成したひずみゲージ素子と、ひずみゲージ素子の両端から各素子の延在方向と同一方向に伸びたパターン延在部と、各パターン延在部とそれぞれ繋がって形成された矩形状のハンダタブとを有している。
【0026】
発光部330は、発光ダイオードからなる発光素子(以下、「発光素子330」とする)からなる。発光素子330は、トルク検出素子310の出力に応じて発光する。本実施形態の場合、発光素子330は、支持板500の軸中心方向(回転軸100側)に向けて取り付けられている。
【0027】
光路変更部340は、本実施形態の場合、光反射板として機能する3枚の平面ミラー(以下、「平面ミラー340」とする)からなり、支持板500に取り付けられている。そして、光路変更部340は、発光素子330からの光信号αを反射させ、この光信号αを固定側の受光部350に非接触で伝達する。
【0028】
支持板500上での発光素子330と平面ミラー340の位置関係は、発光素子330が、支持板500の外周側に周方向等間隔で配置され、平面ミラー340が、支持板500の内周側に周方向等間隔で取り付けられている。そして、発光素子330と平面ミラー340の反射面は互いに向かい合っている。
【0029】
なお、平面ミラー340は、例えば支持板500の図示しないスリットに圧入されて適当な接着剤によってしっかりと固定されている。これによって、回転軸100の回転中に平面ミラー340の反射面の向きが変わらないようにしている。
【0030】
平面ミラー340の反射率は、例えば正反射材料としての銀面の場合は93%であり、ガラス鏡面の場合は80〜85%である。平面ミラー340の材料は適宜選択される。
【0031】
受光部350は、固定側にある回路基板615に取り付けられ、本実施形態の場合、例えばフォトダイオードやフォトトランジスタからなる単一の受光素子(以下、「受光素子350」とする)であって、平面ミラー340によって反射した光信号αを受けて電気信号に変換する。
【0032】
ハウジング400は、例えば金属でできており、その両側部401a,401bに軸支持部200を介して軸受210をそれぞれ備えており、円筒状の上部402と平板状の底部403(
図3参照)との間に、後述する電磁コイル601の固定側コイル602を固定している。そして、固定側コイル602と回転側コイル603との組み合わせで電磁誘導により固定側から回転側に電力を供給する。このハウジング400は、軸支持部200と組み合わさって密閉空間を形成しているために、外部に存在する外乱光が内部、特に受光素子350に入射しないように遮光する機能を有する。なお、ハウジング400の形状について、円筒状の上部402と平板状の底部403と説明したが、底部403を円筒状にし、全体的に見てハウジング400を円筒形状としても良く、また、その逆に上部402を平板状にして、全体的に見てハウジング400を直方体形状としても良い。
【0033】
回路基板615は、受光素子350と固定側検出回路700が取り付けられて、固定側に配置されている。固定側検出回路700は、リード線350aがハウジング400の上部402の外側に配置されたコネクタ616に電気的に接続されている。コネクタ616は、外部と信号の入出力行う。
【0034】
図4は、
図1に示した軸型トルク変換器における光路を説明する支持板500の平面図である。同図に示すように、発光素子330、平面ミラー340は、回転軸100の回転中心C1を中心として、θ1=120度の角度ごとに3つ配置されている。これによって、トルク検出部320では、回転軸100と共に回転する発光素子330の光信号αが平面ミラー340で反射して(即ち光路が変更されて)、受光素子350によって受光される。そして、回転軸100がどのような回転位置にあろうとも、3つの発光素子330の少なくとも何れかからの光が平面ミラー340で反射して、受光素子350で受光するようになっている。なお、
図4においては、回転軸100の回転位置において光信号α2,α3が受光素子350で受光する状態を一例として示している。
【0035】
図5は、
図1に示した軸型トルク変換器1の回路図である。軸型トルク変換器1は、同図に示すように、ロータリートランスを形成する電磁コイル601と、回転側制御回路600及び固定側検出回路700を備えている。
【0036】
電磁コイル601の回転側コイル603には、対向した電磁コイル601の固定側コイル602から電力が伝達され、固定側コイル602には、電源703を電源とした発振回路702で、例えば、15〜20kHz程度の周波数の交流電圧を発振させて電力を印加する。
【0037】
回転側制御回路600は、平滑回路604、安定化電源回路605、ひずみゲージ電源回路606、ホイートストンブリッジ回路607、増幅器608、フィルタ回路609、電圧/周波数変換器610等を備えている。
【0038】
固定側検出回路700は、増幅器701、発振回路702、電源703、AGC回路704、波形整形回路705、周波数/電圧変換回路706、ローパスフィルタ回路707、出力バッファ回路708、出力端子709等を備えている。
【0039】
回転側制御回路600及び固定側検出回路700において、ひずみゲージ310で構成されるホイートストンブリッジ回路607の電源は、電磁コイル601の回転側コイル603に誘起した交流電圧を整流、平滑する平滑回路604により、リップル電圧が少ない直流電源とし、更に安定化電源回路605により電源電圧の変動を極力少なくし、ホイートストンブリッジ回路607に必要な電圧としたひずみゲージ電源回路606から得る。
【0040】
ホイートストンブリッジ回路607の出力は、増幅器608で増幅され、フィルタ回路609によって余分な周波数成分の雑音を除去した後、以降に用いる発光素子330、受光素子350の非線形の影響を除くために、電圧の大きさを周波数の高低に変換する電圧/周波数変換器(V/F変換)610により、周波数変調された信号に変換する。
【0041】
そして、発光素子330が発光した光信号αは、平面ミラー340で反射して(即ち光路が変更されて)受光素子350で受光する。このとき、受光素子350の受信した電気信号は、振幅が小さいので、AGC回路(Automatic Gain control Circuit)704によって振幅変動を調整すると共に、振幅をロジックレベルまで増幅する。増幅した信号は波形整形回路705を通して、周波数/電圧変換回路(F/V変換)706により、周波数変動を電圧変動に変換した後に、更に不要なノイズ成分をローパスフィルタ回路707で取り除く。
【0042】
ローパスフィルタ回路707は、例えば、公知の二次、または三次のバターワースフィルタ等を用いる。そして、ローパスフィルタ回路707は、出力バッファ回路708に接続され、出力端子709にトルクの測定値が出力される。
【0043】
なお、以上ではホイートストンブリッジ回路からの出力信号をアナログのまま周波数変調して伝送する例を示したが、A/D変換してデジタル信号とし、必要ならば更に変調をかけて伝送しても良い。その場合、固定側で受信した信号は、デジタル信号として出力しても良く、D/A変換しアナログ信号として出力しても良い。
【0044】
以上説明したように、軸型トルク変換器1は、トルク検出素子310によって検出された回転軸100のトルク情報は、発光素子330によって発光され、発光素子330からの光信号αが平面ミラー340で反射してその光路が変更され、受光素子350によって受光される。これにより、回転軸100と一体となって回転する支持板500が回転中、発光素子330からの光信号αが受光素子350に常に受光するようになる。即ち、回転軸100が回転中は、光信号αを発光素子330から受光素子350に間断なく常に伝達することができ、高速回転する回転軸100に作用するトルクを常に継続的に正確に測定することができる。
【0046】
次に、本発明の第1の実施形態に係る軸型トルク変換器の変形例について説明する。なお、本変形例及び以下に説明する各実施形態とその変形例に関して、上述した実施形態と同等の構成については、対応する符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0047】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る軸型トルク変換器の第1変形例を示す平面図である。同図に示すように、本変形例に係る軸型トルク変換器は、上述の平面ミラー340に代えて光路変更部の光反射板として機能する拡散ミラー341を支持板500に3つ備えている。
【0048】
拡散ミラー341は、回転軸100と共に回転する発光素子330の光信号αを照度ムラなくその光路を変更して受光素子350で受光する。そして、回転軸100の回転位置の如何に関わらず、3つの発光素子330の少なくとも何れかの光信号αが拡散ミラー341で反射して受光素子350で受光するようになっている。なお、
図6においては、回転軸100の回転位置において光信号α2,α3が受光素子350で受光している状態を一例として示している。
【0049】
本変形例によれば、発光素子330からの光信号αがより広い範囲に反射されるようにその光路を変更して受光素子350で受光することができる。即ち、本変形例によれば、拡散ミラー341によって、回転軸100と共に回転する発光素子330の光信号αを照度ムラなく大きな反射角度で反射させることができる。その結果、
図6に示すように、平面ミラー340に比べて小型の拡散ミラー341を支持板500にそれぞれ備えるだけで良い。これによって、回転軸100の回転に伴う支持板500の回転に伴う慣性重量や空気抵抗を軽減でき、支持板500の回転ムラの発生をより確実に防止する。
【0050】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る軸型トルク変換器の第2変形例を示す平面図である。なお、上述の実施形態と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。同図に示すように、本変形例に係る軸型トルク変換器は、光路変更部としての平面ミラー340に代えて発光素子330に対向する面が凸状の曲面342aをなした曲面ミラー342を支持板500に備えている。
【0051】
曲面ミラー342は、回転軸100と共に回転する発光素子330の光信号αを広範囲に反射させながらその光路を変更して受光素子350に当てる。そして、回転軸100の回転位置の如何に関わらず、3つの発光素子330の少なくとも何れかの光信号αが拡散ミラー342で反射して受光素子350で受光するようになっている。なお、
図7においては、回転軸100の回転位置において光信号α2,α3が受光素子350で受光する状態を一例として示している。
【0052】
本変形例によれば、回転軸100と共に回転する発光素子330の光信号αを曲面ミラー342によって広範囲に反射するようにその光路を変更できるので、回転軸100が回転中は、発光素子330からの光信号αを受光素子350に常に確実に受光することができる。また、
図7に示すように、平面ミラー340に比べて小型の曲面ミラー342を支持板500にそれぞれ備えるだけで良い。その結果、回転軸100の回転に伴う支持板500の回転に伴う慣性重量や空気抵抗を軽減でき、支持板500の回転ムラの発生をより確実に防止する。
【0053】
図8は、本発明の第1の実施形態に係る軸型トルク変換器の第3変形例を示す平面図である。同図に示すように、本変形例に係る軸型トルク変換器は、光路変更部の光反射板として機能する平面ミラー340に加えて、平面ミラー340と平面ミラー340に対向する発光素子330との間にホログラム拡散板343を備えている。
【0054】
本変形例に係る軸型トルク変換器は、回転軸100と共に回転する発光素子330からの光信号αをホログラム拡散板343によって拡散させた後、平面ミラー340でこの光を反射させることで光路を変更して受光素子350に当てる。
【0055】
これによって、回転軸100の回転位置の如何に関わらず、3つの発光素子330の少なくとも何れかの光信号αが平面ミラー340で反射して受光素子350で受光するようになっている。なお、
図8では、支持板500の図示する回転位置において光信号α2,α3が受光素子350で受光する状態を一例として示している。
【0056】
本変形例によれば、平面ミラー340とホログラム拡散板343との組み合わせによって、回転軸100と共に回転する発光素子330からの光信号αを拡散した後に平面ミラー340で反射させるので、光信号αに対して所望の拡散制御を行いながらその光路を変更して受光素子350で受光することができる。なお、本変形例においては、ホログラム拡散板343を備えているので、光源としての発光素子330に発光ダイオードを用いる代わりに照射指向性の強いレーザー光源を用いても良い。
【0057】
また、本実施形態においては、光拡散部材の一例としてホログラム拡散板を用いた場合について説明しているが、光を拡散する性質を有する部材であれば必ずしもホログラム拡散板である必要はなく、樹脂の組成によるものなど、他の光拡散部材を用いても良い。
【0058】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る軸型トルク変換器の第4変形例を示す斜視図である。同図に示すように、本変形例に係る軸型トルク変換器は、光路変更部としての平面ミラー340に代えて、発光素子330に対向する面が凸状の曲面344aに形成され、光反射板として機能する複数の花弁形状の曲面ミラー344を支持板500に備えている。
【0059】
なお、複数の曲面ミラー344は、支持板500の周方向に間隔をあけて配置されているが、この間隔は、回転軸100の回転中に発光素子330からの光信号αが曲面ミラー344で反射して受光素子350に間断なく常に受光できるような寸法となっている。
【0060】
これによって、複数の曲面ミラー344は、回転軸100と共に回転する発光素子330からの光信号αを受光素子350の受光面に向けて集光させながらその光路を変更して受光素子350で受光する。そして、回転軸100の回転位置の如何に関わらず、3つの発光素子330の少なくとも何れかの光信号αが曲面ミラー344で反射して受光素子350で受光できるようになっている。なお、
図9では、支持板500の図示する回転位置において光信号α2,α3が受光素子350で受光する状態を一例として示している。
【0061】
本変形例によれば、単一の曲面ミラーではなく複数の曲面ミラー344を支持板500に配置しているので、個々の曲面ミラー自体の製造コストの軽減を図りつつ、曲面ミラー344によって発光素子330からの光信号αを集光させながら効率良く受光素子350で受光させることができる。
【0062】
図10は、本発明の第1の実施形態に係る軸型トルク変換器の第5変形例を示す斜視図である。同図に示すように、本変形例に係る軸型トルク変換器は、光路変更部としての平面ミラー340に代えて、発光素子330に対向する面が凹状の曲面345aに形成された光反射板として機能するいわゆるラッパ形状の曲面ミラー345を支持板500に備えている。
【0063】
曲面ミラー345は、回転軸100と共に回転する発光素子330からの光信号αを上述の第4変形例と同様に受光素子350の受光面に向けて集光させながらその光路を変更して受光素子350で受光する。なお、
図10では、支持板500の図示する回転位置において光信号α2,α3が受光素子350で受光する状態を一例として示している。
【0064】
本変形例によれば、曲面ミラー345によって、回転軸100と共に回転する発光素子330からの光信号αを受光素子350の受光面に向けて集光させながらその光路を変更して受光素子350で受光することができるので、回転軸100の回転中、発光素子330からの光信号αを受光素子350に間断なく常に伝達できる。また、曲面ミラー345がラッパ状に一体化して形成されているので、ミラー面の一部に汚れが生じても他の部分で発光素子330からの光信号αを反射して受光素子350で受光することができ、軸型トルク変換器1を長期にわたって使用可能とする。
【0065】
続いて、本発明の第2の実施形態に係る軸型トルク変換器について図面に基づいて説明する。
図11は、本発明の第2の実施形態に係る軸型トルク変換器2を示す断面図である。また、
図12は、
図11に示したトルク検出部とハウジングを示す斜視図である。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0066】
本実施形態の軸型トルク変換器2は、ハウジング400において支持板500の周囲に光路変更部としての光反射板346を備えている。この場合、発光素子330は、支持板500の外周側(円周方向外側)に向けて光信号αを発するように発光素子330が支持板500に取り付けられ、光反射板346は円筒形状に形成され、発光素子330からの光信号αが反射するようにハウジング400に取り付けられる。
【0067】
なお、光反射板346は、回転軸100の周方向に連続的に配置されているが、光伝送を間断なく行うのに支障の生じない範囲であれば、光反射板346は、互いの長手方向端部をわずかに離間させた状態で回転軸100の周方向に間欠的に配置されていても良い。
【0068】
軸型トルク変換器2では、回転軸100と共に回転する発光素子330からの光信号αは、光反射板346で反射してその光路が変更され、受光素子350で受光する。そして、回転軸100の回転位置の如何に関わらず、3つの発光素子330の少なくとも何れかの光信号αが光反射板346を介して受光素子350で受光するようになっている。なお、
図12では、支持板500の図示する回転位置において光信号α2,α3が受光素子350で受光する状態を一例として示している。
【0069】
本実施形態の軸型トルク変換器2によれば、上述の実施形態やその変形例と同様に、回転軸100と共に回転する発光素子330の光信号αを、光反射板346によってその光路を変更して受光素子350に常に受光することができる。
【0070】
また、光反射板346が、支持板500に取り付けられる代わりにハウジング400側に取り付けられているので、支持板500に搭載される部品の点数が減り小型化を図ることができる。その結果、回転軸100の回転に伴う慣性重量や空気抵抗を低減でき、回転軸100の回転中の支持板500のブレの発生を確実に防止できる。
【0071】
続いて、本発明の第3の実施形態に係る軸型トルク変換器について図面に基づいて説明する。
図13は、本発明の第3の実施形態に係る軸型トルク変換器の平面図である。同図に示すように、本実施形態の軸型トルク変換器3は、支持板500において、発光素子330と受光素子350との間に光拡散用のホログラム拡散板347を備えている。また、発光素子330には、上述の実施形態及びその各変形例のように発光ダイオードを用いる代わりに、照射指向性に優れたレーザー光源を用いても良い。
【0072】
軸型トルク変換器3では、回転軸100と共に回転する発光素子330の光信号αを、ホログラム拡散板347を介して所定の領域に向けて拡散させながらその光路を受光素子350の受光面に向けて変更させ、受光素子350で受光する。これによって、高速回転する回転軸に作用するトルクを、回転側から固定側に光路変更部で光信号αとして非接触で間断なく確実に伝達できる。
【0073】
本実施形態に係る軸型トルク変換器3によれば、発光素子330からの光信号αをホログラム拡散板347で拡散させながらその光路を受光素子350の受光面に向けて変更させることができるので、発光素子330からの光信号αを受光素子350に確実に受光することができる。
【0074】
以上説明したように、本発明に係る軸型トルク変換器によれば、高速回転する回転軸に作用するトルクを、回転側から固定側に光路変更部で光信号として非接触で間断なく確実に伝達できるので、トルク検出部で検出されたトルクを常に継続的に正確に測定することができる。
【0075】
なお、上述した各実施形態及びその変形例に記載した各構成要素の形状、寸法、材質等についてはあくまで一例を示したものに過ぎない。従って、本発明の効果を発揮し得る範囲内でそれらの形状、寸法、材質等を適宜変更可能なことは言うまでもない。