(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
反応媒体を含む反応器内において、一酸化炭素を少なくとも1種類の反応物質と反応させて酢酸を含む反応生成物を生成させ、ここで、該少なくとも1種類の反応物質は、メタノール、酢酸メチル、ギ酸メチル、ジメチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択され、該反応媒体は、水、ハロゲン促進剤、及び触媒を含み;
フラッシャー内において、該反応生成物を分離して粗生成物流及び液体再循環流を生成させ;
軽質留分カラム内において、該粗生成物流を精製して精製した生成物流を生成させ;
第1の乾燥カラム内において、該精製した生成物流の第1の部分を乾燥し;そして
第2の乾燥カラム内において、該精製した生成物流の第2の部分を乾燥する;
工程を含む、酢酸を製造するカルボニル化方法であって、該第2の乾燥カラム内において該精製した生成物流の該第2の部分の乾燥を推進するのに必要なエネルギーの一部が、該反応から熱を取り出すことによって生成する水蒸気により与えられ、該第2の乾燥カラムが、該第1の乾燥カラムの圧力よりも低い圧力を有する方法。
る方法。
反応媒体を含む反応器内において、一酸化炭素を少なくとも1種類の反応物質と反応させて酢酸を含む反応生成物を生成させ、ここで該少なくとも1種類の反応物質は、メタノール、酢酸メチル、ギ酸メチル、ジメチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択され、該反応媒体は、水、ハロゲン促進剤、及び触媒を含み;
フラッシャー内において、該反応生成物を分離して粗生成物流及び液体再循環流を生成させ;
1以上の蒸留カラム内において、該粗生成物流を蒸留して酢酸生成物流を生成させ、ここで該1以上の蒸留カラムは第1の乾燥カラム及び第2の乾燥カラムを含み;
熱伝達システム内において、該反応生成物を生成する反応の熱から水蒸気を生成させ;そして
該水蒸気の一部を該第2の乾燥カラムに送り、ここで、該水蒸気が該第2の乾燥カラム内での分離を推進するのに必要なエネルギーの一部を与える;
工程を含む、酢酸製造プロセスにおいて反応温度を制御する方法であって、該第2の乾燥カラムが、該第1の乾燥カラムの圧力よりも低い圧力を有する方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0016]本発明は、概して酢酸製造及び酢酸製造における増進に関する。製造を増加させ
る結果として、反応からの更なる熱及びより多い精製する粗生成物が存在する可能性があ
る。一態様においては、本発明は、熱伝達システム内においてカルボニル化プロセスから
水蒸気を生成させることに関する。他の態様においては、本発明は、軽質留分カラムから
排出される酢酸を精製するために複数の並行のカラムを用いることに関する。好ましい態
様においては、酢酸製造から生成する水蒸気を複数の並行のカラムの少なくとも1つに送
って、その中で分離を推進させることができる。好ましくは、生成する水蒸気を、より低
い底部温度で運転する並行のカラムに送ることができる。本発明の幾つかの態様は、増加
した酢酸の製造速度で効率を向上させるプロセスを提供する。有利なことに、本発明の幾
つかの態様は、精製プロセスにおける能力の制限を軽減することができる。
【0017】
[0017]メタノールのカルボニル化或いはエチレン及び/又はエタンの接触酸化によって
製造される酢酸は発熱性である。従来は、酢酸の製造において生成する反応の相当割合は
消散させており、このために生成したエネルギーを失っている。一態様において、本発明
の熱伝達システムは、酢酸製造からのエネルギーを水蒸気の形態で回収する。熱伝達シス
テムは、1〜15barg、例えば2〜14barg、又は3〜14bargの圧力を有
する水蒸気を生成させることができる。好ましくは、熱伝達システムによって生成する水
蒸気は、5bargより大きく、例えば7bargより大きい圧力を有する変化する品質
の水蒸気である。低品質の水蒸気も生成する可能性があるが、熱伝達システムは変化する
品質の水蒸気を生成することが好ましい。生成した水蒸気は、全部又は一部を、酢酸ビニ
ル製造のような1以上の工業化学製造ユニットに送るか、或いは酢酸を精製するために用
いる1以上の蒸留カラムのリボイラーに供給することができる。
【0018】
[0018]一態様においては、酢酸の製造は、複数のカラムを用いて軽質留分カラムから排
出される酢酸側流を精製することによって増加させることができる。特に、複数の乾燥カ
ラムを並行で用いることができる。他の態様においては、水蒸気を生成することができる
ポンプアラウンドループを用いて、カルボニル化反応器の熱を制御することができる。水
蒸気の製造はまた、より高い製造速度での更なる反応熱を除去する。好ましくは、生成し
た水蒸気は、精製セクションにおける1以上の蒸留カラム内での分離を推進するのに必要
なエネルギーを供給することができる。本発明の幾つかの態様は、有利なことに、システ
ムの増加した能力、及び製造プロセス内でのエネルギーの効率的な伝達を可能にする。1
つの特定の理論には縛られないが、本発明は、プロセスの精製セクションにおける乾燥プ
ロセスの能力を増加させ、カルボニル化反応の発熱エネルギーをプロセス内に保存するこ
とによって、酢酸の全製造を向上させる。
【0019】
[0019]本発明は任意のメタノールカルボニル化プロセスにおいて適用することができる
。本発明の幾つかの態様にしたがって用いることができる代表的なカルボニル化システム
としては、米国特許7,223,886、7,005,541、6,657,078、6
,339,171、5,731,252、5,144,068、5,026,908、5
,001,259、及び4,994,608、並びに米国公開2008/0287706
、2008/0293966、2009/0107833、及び2009/027065
1(これらの全ての内容及び開示事項を参照として本明細書中に包含する)に記載されて
いるものが挙げられる。カルボニル化システムには、カルボニル化セクション及び精製セ
クションを含ませることができる。任意の好適な精製セクションを本発明の任意の態様と
組み合わせて用いることができる。好適な精製セクションは上記に参照した特許に記載さ
れており、通常は軽質留分カラム、乾燥カラム、過マンガン酸塩還元性化合物(PRC)
を除去するための1以上のカラム、保護床、排気スクラバー、及び/又は重質留分カラム
を含む。
【0020】
[0020]代表的なカルボニル化セクション101を
図1に示す。カルボニル化セクション
101は、一酸化炭素供給流103、反応物質供給流104、反応器105、及びフラッ
シャー106を含む。一酸化炭素及び少なくとも1つの反応物質を、それぞれ供給流10
3及び104によって反応器105の下部部分に供給する。反応物質供給流104は、メ
タノール、酢酸メチル、ギ酸メチル、ジメチルエーテル、及び/又はこれらの混合物から
なる群から選択される少なくとも1つの反応物質を反応器105に供給する。好ましい態
様においては、反応物質供給流104は、メタノール及び酢酸メチルを供給する。場合に
よっては、反応物質供給流104を、カルボニル化プロセスのための新しい反応物質を貯
蔵する1以上の容器(図示せず)に接続することができる。更に、反応条件を維持するた
めに必要に応じて新しいヨウ化メチル及び触媒を供給するために、反応器105に接続さ
れているヨウ化メチル貯蔵容器(図示せず)及び/又は触媒容器(図示せず)を存在させ
ることができる。他の態様においては、反応器105に供給するメタノール及び/又はそ
の反応性誘導体の全部又は一部は、システム内の他の位置からのスクラビングされたメタ
ノールの形態、或いは他のシステムの生成物又は副生成物としてであってよい。
【0021】
[0021]カルボニル化セクション101からの1以上の再循環供給流は、ライン108を
通して反応器105に供給することができる。ここで議論するように、再循環供給流10
8は、反応媒体の成分、並びに残留及び/又は同伴触媒及び酢酸を含む可能性がある。図
1においては1つの再循環供給流108を示しているが、反応器105に別々に供給され
る複数の流れを存在させることができる。例えば、精製セクション(図示せず)からの1
以上の再循環供給流を、ライン108を通して反応器105に供給することができる。好
ましくは、ライン108を通して供給される再循環供給流は、反応器105の下部部分内
に導入する。
【0022】
[0022]本発明の幾つかの態様においては、反応物質供給流104はメタノール及び/又
はその反応性誘導体を含む。メタノールの好適な反応性誘導体としては、酢酸メチル、ジ
メチルエーテル、ギ酸メチル、及びこれらの混合物が挙げられる。一態様においては、メ
タノール及びメタノールの反応性誘導体の混合物を、本発明方法における反応物質として
用いる。好ましくは、メタノール及び/又は酢酸メチルを反応物質として用いる。メタノ
ール及び/又はその反応性誘導体の少なくとも一部が、酢酸生成物又は溶媒との反応によ
って酢酸メチルに転化し、それによって液体反応組成物中に酢酸メチルとして存在する。
液体反応組成物中の酢酸メチルの濃度は、好ましくは、液体反応組成物の全重量の0.5
重量%〜70重量%、例えば0.5重量%〜50重量%、又は1重量%〜35重量%の範
囲である。
【0023】
[0023]一酸化炭素供給流103は実質的に純粋であってよく、或いは、二酸化炭素、メ
タン、窒素、水素、希ガス、水、及びC
1〜C
4パラフィン系炭化水素のような少量の不
活性物質及び不純物を含んでいてよい。一酸化炭素中、及び水性ガスシフト反応によって
その場で生成する水素の存在は、水素化生成物の形成をもたらす可能性があるので、好ま
しくは低く(例えば1barの分圧未満、或いは0.5barの分圧未満)に維持する。
カルボニル化セクション101内での反応中の一酸化炭素の分圧は、好ましくは、1ba
r〜70bar、例えば1bar〜35bar、又は1bar〜15barの範囲である
。
【0024】
[0024]本発明の幾つかの態様においては、反応器105内において、反応溶媒、メタノ
ール及び/又はその反応性誘導体、第VIII族触媒、少なくとも限定濃度の水、及び場
合によってはヨウ化物塩を含む均一接触反応系中でメタノールを一酸化炭素と反応させる
。
【0025】
[0025]好適な第VIII族触媒としては、ロジウム及び/又はイリジウム触媒が挙げら
れる。ロジウム触媒を用いる場合には、ロジウム触媒は、ロジウムが、当該技術において
周知なように[Rh(CO)
2I
2]
−アニオンを含む平衡混合物として触媒溶液中に存
在するような任意の好適な形態で加えることができる。好ましくは、触媒は、好適な樹脂
、例えばポリビニルピリジンにイオン結合しているロジウムジヨージドジカルボニルアニ
オンである。本明細書中に記載するプロセスの反応混合物中に場合によって保持されるヨ
ウ化物塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の可溶性塩、或いは第4級アンモニウム
又はホスホニウム塩の形態であってよい。幾つかの態様においては、触媒共促進剤は、ヨ
ウ化リチウム、酢酸リチウム、又はこれらの混合物である。塩共促進剤は、ヨウ化物塩を
生成する非ヨウ化物塩として加えることができる。ヨウ化物触媒安定剤は、反応システム
中に直接導入することができる。或いは、反応システムの運転条件下においては、広範囲
の非ヨウ化物塩前駆体がヨウ化メチルと反応して対応する共促進剤のヨウ化物塩安定剤を
生成するので、ヨウ化物塩をその場で生成させることができる。ロジウム触媒反応及びヨ
ウ化物塩の生成に関する更なる詳細については、米国特許5,001,259、5,02
6,908、及び5,144,068(これらの全部を参照として本明細書中に包含する
)を参照。
【0026】
[0026]イリジウム触媒を用いる場合には、イリジウム触媒に、液体反応組成物中に可溶
の任意のイリジウム含有化合物を含ませることができる。イリジウム触媒は、液体反応組
成物中に溶解するか、或いは可溶性の形態に転化させることができる任意の好適な形態で
、カルボニル化反応のための液体反応組成物に加えることができる。液体反応組成物に加
えることができる好適なイリジウム含有化合物の例としては、IrCl
3、IrI
3、I
rBr
3、[Ir(CO)
2I]
2、[Ir(CO)
2Cl]
2、[Ir(CO)
2Br
]
2、[Ir(CO)
2I
2]
−H
+、[Ir(CO)
2Br
2]
−H
+、[Ir(CO
)
2I
4]
−H
+、[Ir(CH
3)I
3(CO)
2]
−H
+、Ir
4(CO)
12、I
rCl
3・3H
2O、IrBr
3・3H
2O、イリジウム金属、Ir
2O
3、Ir(ac
ac)(CO)
2、Ir(acac)
3、酢酸イリジウム、[Ir
3O(OAc)
6(H
2O)
3][OAc]、及びヘキサクロロイリジウム酸[H
2IrCl
6]が挙げられる
。酢酸塩、シュウ酸塩、及びアセト酢酸塩のようなイリジウムの塩素を含まないコンプレ
ックスが、出発材料として通常用いられる。液体反応組成物中のイリジウム触媒の濃度は
、一般に100〜6000ppmの範囲である。イリジウム触媒を用いるメタノールのカ
ルボニル化は周知であり、米国特許5,942,460;5,932,764;5,88
3,295;5,877,348;5,877,347;及び5,696,284(これ
らの全部を参照として本明細書中に包含する)に概して記載されている。
【0027】
[0027]第VIII族金属触媒成分と組み合わせて、ハロゲン共触媒/促進剤が一般的に
用いられる。ハロゲン促進剤としてはヨウ化メチルが好ましい。好ましくは、液体反応組
成物中のハロゲン促進剤の濃度は、1重量%〜50重量%、好ましくは2重量%〜30重
量%の範囲である。
【0028】
[0028]ハロゲン化アルキル促進剤は、塩安定剤/共促進剤化合物(第IA族又は第II
A族の金属の塩、或いは第4級アンモニウム又はホスホニウム塩を挙げることができる)
と組み合わせることができる。ヨウ化物又は酢酸塩、例えばヨウ化リチウム又は酢酸リチ
ウムが特に好ましい。
【0029】
[0029]EP−0849248(その全部を参照として本明細書中に包含する)に記載さ
れているような他の促進剤及び共促進剤を、本発明の触媒系の一部として用いることがで
きる。好適な促進剤は、ルテニウム、オスミウム、タングステン、レニウム、亜鉛、カド
ミウム、インジウム、ガリウム、水銀、ニッケル、白金、バナジウム、チタン、銅、アル
ミニウム、スズ、アンチモンから選択され、より好ましくはルテニウム及びオスミウムか
ら選択される。具体的な共促進剤は、米国特許6,627,770(その全部を参照とし
て本明細書中に包含する)に記載されている。
【0030】
[0030]促進剤は、液体反応組成物、及び/又は酢酸回収段階から反応器に再循環される
任意の液体プロセス流中におけるその溶解度限界以下の有効な量で存在させることができ
る。用いる場合には、促進剤は、好適には、0.5:1〜15:1、好ましくは2:1〜
10:1、より好ましくは2:1〜7.5:1の促進剤と金属触媒とのモル比で液体反応
組成物中に存在させる。好適な促進剤濃度は400〜5000ppmである。
【0031】
[0031]例えばメタノール反応物質と酢酸生成物との間のエステル化反応によって、水が
液体反応組成物中においてその場で形成される可能性がある。幾つかの態様においては、
水は、液体反応組成物の他の成分と一緒か又はこれらとは別々に反応器105に導入する
。水は、反応器105から排出される反応組成物の他の成分から分離することができ、制
御された量で再循環して液体反応組成物中の水の必要濃度を維持することができる。好ま
しくは、液体反応組成物中において維持される水の濃度は、反応組成物の全重量の0.1
重量%〜16重量%、例えば1重量%〜14重量%、又は1重量%〜10重量%の範囲で
ある。
【0032】
[0032]本発明の好ましいカルボニル化プロセスによれば、反応媒体中に、所望のカルボ
ン酸とアルコール、望ましくはカルボニル化において用いるアルコールとのエステル、並
びにヨウ化水素として存在するヨウ化物イオンの他に更なるヨウ化物イオンを保持するこ
とによって、低い水濃度においても所望の反応速度が得られる。好ましいエステルの例は
酢酸メチルである。更なるヨウ化物イオンは望ましくはヨウ化物塩であり、ヨウ化リチウ
ムが好ましい。米国特許5,001,259に記載されているように、低い水濃度下にお
いては、酢酸メチル及びヨウ化リチウムは、比較的高い濃度のこれらの成分のそれぞれが
存在している場合にのみ速度促進剤として機能し、これらの成分の両方が同時に存在して
いる場合に促進がより高いことが分かっている。ヨウ化物イオン内容物の絶対濃度は、本
発明の有用性に対して限定を与えるものではない。
【0033】
[0033]反応器105内において、反応媒体を好ましくは自動的に所定のレベルに維持す
る。この所定のレベルは、通常運転中は実質的に一定に維持することができる。必要に応
じて、メタノール、二酸化炭素、及び反応媒体中における水の少なくとも限定濃度を維持
するのに十分な水を、反応器105中に連続的に導入することができる。幾つかの態様に
おいては、一酸化炭素(例えば気体状態)を反応器105中に連続的に導入する。一酸化
炭素供給流103は、所望の全反応器圧力を維持するのに十分な速度で導入する。反応器
105の温度は、
図1に示す態様において示されるように、ポンプアラウンドループにお
いて熱交換器を用いて制御することができる。
【0034】
[0034]酢酸は、通常は、約160℃〜約220℃の温度及び約20bar〜約50ba
rの全圧において液相反応で製造される。本発明の幾つかの態様においては、反応器10
5は、150℃〜250℃、例えば155℃〜235℃、又は160℃〜220℃の温度
で運転する。本発明の幾つかの態様は、カルボニル化反応温度を約190℃より高く上昇
させた温度において行う酢酸の合成方法に関する。カルボニル化のための代表的な反応温
度は、約190℃〜約225℃、例えば約200℃〜約220℃である。上昇させた反応
温度によって、反応器触媒濃度を低下させて酢酸製造速度を上昇させることを容易にする
ことができる。カルボニル化反応の圧力は、好ましくは10〜200bar、より好まし
くは10〜100bar、最も好ましくは15〜50barである。
【0035】
[0035]通常のカルボニル化プロセスにおいては、一酸化炭素は、望ましくは内容物をか
き混ぜるために用いることができる撹拌器の下側でカルボニル化反応器中に連続的に導入
する。気体供給流は、好ましくはこのかき混ぜられて刺激された撹拌手段によって反応液
全体に十分に分散する。気体パージ流109を反応器105から排気して、気体状副生成
物の蓄積を阻止し、所定の全反応器圧力における設定一酸化炭素分圧を維持する。反応器
の温度を制御することができ、一酸化炭素供給流は所望の全反応器圧力を維持するのに十
分な速度で導入する。気体パージ流109は、回収ユニット107内で酢酸及び/又はメ
タノールでスクラビングして低沸点成分を回収することができる。気体パージ流109を
部分的に凝縮して、非凝縮性部分を回収ユニット107に供給することができる。これは
流れ110を通して低沸点成分を反応器105の頂部に戻すことができる。凝縮性成分1
10は、酢酸メチル、水、及び/又はヨウ化メチルを含む可能性がある。気体パージ流中
の一酸化炭素は、ライン111内でパージするか、或いはライン112を通してフラッシ
ャー106の底部に供給してロジウム安定性を向上させることができる。
【0036】
[0036]カルボニル化生成物を、カルボニル化反応器105から、その中の一定のレベル
を維持するのに十分な速度で引き抜き、流れ114を通してフラッシャー106に供給す
る。フラッシャー106内において、熱を加えるか又は加えないで、カルボニル化生成物
をフラッシュ分離工程で分離して、酢酸を含む粗生成物流115、並びに触媒含有溶液を
含む液体再循環流(これは好ましく流れ108を通して反応器に再循環する)を得る。触
媒含有溶液は、上記で議論したように、主として、酢酸、ロジウム触媒、及びヨウ化物塩
を、より少量の酢酸メチル、ヨウ化メチル、及び水と共に含む。粗生成物流115は、酢
酸、ヨウ化メチル、酢酸メチル、水、アルカン、及びPRCを含む。フラッシャー106
からの粗生成物流115は精製セクションに送る。
【0037】
[0037]
図1を参照すると、本発明の反応セクション101に熱伝達システム120を更
に含ませることができる。反応器溶液流121は、
図1に示すように反応器105から直
接採取することができ、或いは場合によってはポンプアラウンドループ(図示せず)を通
してカルボニル化生成物流114から引き抜くことができる。運転中においては、反応器
溶液流121は、反応温度と実質的に同等で、150℃〜250℃の温度であってよい温
度で排出することができる。熱伝達システム120には、1以上の水蒸気発生器122及
び/又は熱交換器123を含ませることができる。明確にする目的で、
図1には1つの水
蒸気発生器122及び熱交換器123を示す。本発明の幾つかの態様においては、更なる
水蒸気発生器及び/又は熱交換器を用いることができる。熱伝達システム120にはまた
、ポンプ、可変速度の電気モーター及び/又は蒸気タービン、バルブ、及び熱伝達システ
ム120を通る反応溶液流121の流れを調節するための制御装置を含ませることもでき
る。
【0038】
[0038]一態様においては、反応器溶液流121は、好ましくは水蒸気発生器122に送
って水蒸気生成物124及び排出プロセス流125を生成させる。排出プロセス流125
は、随意的なライン126及び戻りライン127を通して反応器に直接戻すことができる
。反応溶液流121は反応媒体の成分を含み、好ましくはシステム内に保持してパージし
ない。水蒸気発生器を通過した後は、排出プロセス流125はカルボニル化反応温度より
低く、例えば約205℃より低く、或いは150℃〜185℃の温度を有していてよい。
好ましい態様においては、それぞれのポンプアラウンドループによって、少なくとも5ト
ン/時、例えば少なくとも15トン/時、20トン/時、又は25トン/時の水蒸気が生
成される。範囲に関しては、それぞれのアラウンドループによって、5〜30トン/時、
例えば5〜25トン/時、又は5〜20トン/時を生成させることができる。更に、好ま
しい態様においては、生成する水蒸気は変動する品質(圧力)を有していてよい。圧力は
、少なくとも4bar、例えば少なくとも5bar、又は少なくとも6barであってよ
い。熱伝達システム120から水蒸気発生器によって生成する水蒸気の量は、流速、カル
ボニル化システム反応器内の制御温度、凝縮物温度、及び生成する水蒸気の圧力品質に基
づいて変動する可能性がある。本発明の幾つかの態様によれば、高い量で変動する品質(
即ち圧力)の水蒸気を生成させることによって、カルボニル化システムプロセスの精製セ
クションに関する安定状態の水蒸気需要量の100%以下、例えば80%以下、又は50
%以下を供給することが可能である。
【0039】
[0039]更に、水蒸気生成物124を用いて、タービン駆動ポンプのようなカルボニル化
プロセスにおける他のシステムを駆動したり、燃焼させたり、貯蔵タンク及び/又は建造
物を加熱したり、吸収冷却システムに供給したりなどを行うことができる。また、水蒸気
生成物124は、例えば無水物製造ユニット及び/又はエステルユニットのような他の化
学ユニットにおいて用いることができる。幾つかの態様においては、水蒸気生成物124
は外部のエネルギーを消費するプロセスに送る。例えば、水蒸気生成物124は、無水酢
酸製造プロセス、酢酸ビニル製造プロセス、及びこれらの組み合わせに送ることができる
。無水酢酸製造プロセスの非限定的な例は、米国特許7,199,263及び4,544
,511(これらの開示事項はそれらの全部を参照として本明細書中に包含する)に記載
されている。酢酸ビニル製造プロセスの非限定的な例は、米国特許3,190,912、
3,637,819、4,370,492、4,902,823、5,185,308、
及び7,465,823(これらの開示事項はそれらの全部を参照として本明細書中に包
含する)に記載されている。
【0040】
[0040]好適な水蒸気発生器としては、シェルアンドチューブ交換器、二重管交換器、ス
パイラルプレート交換器、プレート熱交換器、螺旋コイル、スパイラルコイル、又はタン
ク熱交換器内のバイオネット管、或いは当該技術において公知の任意の他の好適な熱交換
器を挙げることができる。水蒸気発生器のプロセス側は、当該技術において公知の任意の
好適な材料、例えばHASTELLOY(商標)B-3合金(Haynes International)のようなニッケ
ル−モリブデン合金、或いはZirc(商標)702合金(United Titanium Inc.)のようなジ
ルコニウム合金で構成することができる。水蒸気発生器の水蒸気(水)側は、炭素鋼、並
びにより低グレードのステンレス及び合金鋼などの任意の好適な材料で構成することがで
きる。
【0041】
[0041]一態様においては、反応器溶液流121は、随意的なライン128を通して熱交
換器123に送って、反応器105の温度調節を与えることができる。熱交換器123の
流出流は、戻りライン127を通して反応器に戻すことができる。伝導によって熱を伝達
させることができる2媒体伝達タイプの熱交換器又は3媒体伝達タイプの熱交換器などの
任意の好適な間接接触熱交換器を、本発明の幾つかの態様にしたがって用いることができ
る。熱交換器としては、シェルアンドチューブ交換器、スパイラルプレート熱交換器、螺
旋コイル交換器、又は当該技術において公知の任意の他の好適な熱交換器を挙げることが
できる。顕冷却熱交換器が好ましい。これらの熱交換器は、好ましくは、システムのカル
ボニル化反応から過剰の反応熱を除去するために、全体的な冷却及び/又は調整した冷却
を与える。更に、幾つかの態様においては、熱交換器はまた水蒸気を生成させることもで
きる。更に他の態様においては、始動中においては熱交換器を用いて反応器105へ熱を
与え、随意的なライン128によって水蒸気発生器122を迂回させることができる。冷
却モードの熱交換器の1つを通過した後、流出流は、カルボニル化反応温度より低く、例
えば約175℃より低く、又は30℃〜175℃の温度を有していてよい。
【0042】
[0042]更に、幾つかの態様においては、水蒸気発生器はまた、水蒸気の生成を行うか又
は行わないで、カルボニル化反応器の温度調節を与えることもできる。水蒸気発生器と熱
交換器を組み合わせて用いて温度調節を与えることができる。例えば、反応器を冷却する
場合には、水蒸気発生器によって冷却の約1/3を与え、残りの冷却を熱交換器によって
与えることができる。
【0043】
[0043]好ましい態様においては、反応器溶液流121を水蒸気発生器122に送り、排
出プロセス流125の一部を熱交換器123に送って、反応器105の調整した冷却を与
える。熱交換器123の流出流は、ライン127を通して反応器105に戻すことができ
る。好ましくは、反応器105内の液体レベルより下方において、反応溶液流121を排
出し、戻りライン127を反応器105に供給する。幾つかの態様においては、反応溶液
流121は、カルボニル化生成物114を反応器105から排出するレベルよりも下方に
おいて排出する。一態様においては、反応溶液流121及び戻りライン127は、同じ高
さであるが異なる方向で反応器105に接続することができる。
【0044】
[0044]粗生成物流115に戻り、精製セクション102は、好ましくは、反応器105
内並びにシステム全体における水及び酢酸の含量を制御し、及び場合によっては過マンガ
ン酸塩還元性化合物(PRC)の除去を制御する。PRCとしては、例えば、アセトアル
デヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、2−
エチルクロトンアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒドなど、並びにこれらのアルドー
ル縮合生成物のような化合物を挙げることができる。
【0045】
[0045]ここに示す代表的なカルボニル化システムにはまた、米国特許7,223,88
6、7,005,541、6,6657,078、6,339,171、5,731,2
52、5,144,068、5,026,908、5,001,259、4,994,6
08、及び米国公開2008/0287706、2008/0293966、2009/
0107833、2009/0270651(これらの全ての内容及び開示事項を参照と
して本明細書中に包含する)に記載されているものなどの本発明の幾つかの態様にしたが
って用いることができる更なるシステム及び構成要素を含ませることもできる。図面にお
いて示されているカルボニル化システムは例示のものであり、他の構成要素を本発明の範
囲にしたがって用いることができることを理解すべきである。
【0046】
[0046]
図2を参照すると、反応セクション101は、
図1において上記に記載したよう
に、一酸化炭素供給流103、反応物質供給流104、反応器105、フラッシャー10
6、及び回収ユニット107を含む。粗生成物流115は、軽質留分カラム130、塔頂
流デカンター131、第1の乾燥カラム140,及び第2の乾燥カラム150を含む精製
セクション102に送る。本発明の幾つかの態様のために好適な精製セクションには、P
RCを除去するための1以上のカラム、保護床、排気スクラバー/吸収器、及び/又は重
質留分カラムを含ませることもできる(図示せず)。PRC除去カラムは、米国特許6,
143,930、6,339,171、及び7,223,886、並びに米国公開200
5/0197513、2006/0247466、及び2006/0293537(これ
らの全ての内容及び開示事項を参照として本明細書中に包含する)に記載されている。保
護床は、米国特許4,615,806、4,894,477、及び6,225,498(
これらの全ての内容及び開示事項を参照として本明細書中に包含する)に記載されている
。
【0047】
[0047]一態様においては、反応セクション101からの粗生成物流115は、軽質留分
カラム130に供給して、低沸点の塔頂蒸気流132、生成物側流133、及び場合によ
っては塔底流134を得る。軽質留分カラム130の底部における温度、即ち場合によっ
て排出される塔底流134の温度は、好ましくは120℃〜170℃である。更に、軽質
留分カラムの頂部における温度、即ち低沸点の塔頂蒸気流132の温度は、好ましくは1
00℃〜145℃である。
【0048】
[0048]低沸点の塔頂蒸気流132は、ヨウ化メチル、酢酸メチル、水、PRC、酢酸、
アルカン、及び溶解ガスを含む可能性がある。示されるように、低沸点の塔頂蒸気流13
2は、好ましくは凝縮して、塔頂流デカンタ131によって示されるような塔頂相分離ユ
ニットに送る。条件は、望ましくは、低沸点の塔頂蒸気流132がデカンタ131内にあ
る際に軽質相135及び重質相136に分離されるように保持する。非凝縮性の気体は、
排気流137によって取り出して、場合によっては1以上のスクラバー(図示せず)に供
給して低沸点の成分を回収することができる。
【0049】
[0049]軽質相135は、好ましくは、水、酢酸、及びPRC、並びにヨウ化メチル及び
酢酸メチルを含む。
図2に示すように、軽質相135は軽質留分カラム130に還流する
ことができる。また、軽質相135の一部を分離して、1以上のカラム(図示せず)内で
処理してPRCを除去することもできる。場合によっては、流れ135’を通して軽質相
135の一部を反応セクション101に戻して、再循環流108と一緒に反応器105に
共供給することもできる。デカンタ131からの重質相136は、好都合には、再循環流
108を通して反応器105に直接又は間接的に再循環することができる。例えば、重質
相136の一部を後流(図示せず)と共に反応器105に再循環することができ、一般に
は少量、例えば5〜40体積%、又は5〜20体積%の重質相136を1以上のカラムに
送ってPRCを除去する(図示せず)。
【0050】
[0050]軽質留分カラムからの生成物側流133は、酢酸及び水を含む可能性がある。生
成物側流133は、好ましく液相であり、115℃〜160℃、例えば125℃〜155
℃の温度で軽質留分カラム130から排出される。
【0051】
[0051]定常状態の運転条件下において、乾燥カラムに供給することができる生成物側流
の量は制限される可能性がある。1つの可能性がある制限は、生成物側流から水を除去す
る乾燥カラムの能力である可能性がある。而して、乾燥カラムに供給する生成物側流の量
を増加させることはできるが、生成物側流から十分な量の水を除去することは困難である
可能性がある。生成物側流を乾燥カラムに供給する際に、頂部トレイにおいて液体の停滞
がある可能性がある。本発明の幾つかの態様は、第1の乾燥カラム内において生成物側流
の第1の部分を乾燥し、第2の乾燥カラム内において生成物側流の第2の部分を乾燥する
ことによって、乾燥プロセスの能力を増加させることができる。幾つかの態様においては
、第2の乾燥カラムは第1の乾燥カラムと独立して運転する、即ち、第2の乾燥カラムは
第1の乾燥カラムよりも低い底部温度及び低い底部圧力で運転する。1つの特定の理論に
は縛られないが、第2の乾燥カラムをより低い底部温度及びより低い底部圧力で運転する
ことによって、第2の乾燥カラム内での分離を推進するのに必要な水蒸気の圧力品質が減
少する。
【0052】
[0052]生成物側流133は2以上の流れに分割することができ、それぞれの流れを別々
の乾燥カラムに供給することができる。一態様においては、生成物側流133の第1の部
分は、ライン137を通して第1の乾燥カラム140に供給することができる。生成物側
流133の第2の部分は、ライン138を通して第2の乾燥カラムに供給することができ
る。一態様においては、第1の部分は第2の部分よりも大きくすることができる。
【0053】
[0053]第1の乾燥カラム140は、主として水を含む塔頂流141、及び第1の乾燥し
た精製生成物流142を分離する。第1の乾燥した精製生成物流142は、好ましくは、
90重量%より多く、例えば95重量%より多く、又は98重量%より多い量の酢酸を含
む。場合によっては、乾燥した精製生成物流142は、1以上の保護床(図示せず)及び
/又は重質留分カラム(図示せず)内で更に処理して、不純物を更に除去することができ
る。第1の乾燥カラムの塔頂流141は、凝縮して、受容器144内で分離することがで
きる。受容器144からの液体の一部を、ライン145を通して乾燥カラム140に還流
することができ、他の部分はライン146を通して反応セクション101に戻して、再循
環流108と共に反応器105に共供給することができる。幾つかの態様においては、第
1の乾燥カラム140の底部における温度、即ち排出される乾燥した精製生成物流142
の温度は、好ましくは130℃〜185℃、140℃〜180℃、例えば150℃〜17
5℃である。
【0054】
[0054]幾つかの態様においては、第1の乾燥カラム140の頂部における温度、即ち塔
頂流141の温度は、好ましくは110℃〜150℃、120℃〜150℃、例えば13
0℃〜145℃である。幾つかの態様においては、第1の乾燥カラム140内の圧力は、
2bar(絶対圧)〜7bar(絶対圧)、例えば3bar(絶対圧)〜6bar(絶対
圧)、又は4bar(絶対圧)〜5bar(絶対圧)である。
【0055】
[0055]幾つかの態様においては、第1の乾燥した生成物流142の一部を、第1の乾燥
カラム140に接続されているリボイラー143に供給することができる。リボイラー1
43は、流れ142及び第1の乾燥カラム140への混合液体/蒸気流を加熱し、蒸気に
よって第1の乾燥カラム内での分離を推進するエネルギーの一部を与える。リボイラー1
43を駆動するのに必要なエネルギーの一部は、ライン147を通して外部水蒸気によっ
て与えられる。
【0056】
[0056]生成物側流133の第2の部分は、流れ138を通して第2の乾燥カラム150
に供給して、主として水を含む塔頂流151、及び第2の乾燥した生成物流152を得る
ことができる。第2の乾燥した精製生成物流152は、好ましくは、90重量%より多く
、例えば95重量%より多く、又は98重量%より多い量の酢酸を含む。場合によっては
、乾燥した精製生成物流152は、1以上の保護床(図示せず)及び/又は重質留分カラ
ム(図示せず)内で更に処理して、不純物を更に除去することができる。乾燥した精製生
成物流152は、第2のカラム150から規格外の製品を製造する場合に用いることがで
きる。一態様においては、乾燥した精製生成物流142及び乾燥した精製生成物流152
を合わせて、共通の保護床内で処理することができる。第2の乾燥カラムの塔頂流151
は、凝縮して、受容器154内で分離することができる。受容器154からの液体の一部
は、ライン155を通して乾燥カラム150に還流することができ、他の部分は、ライン
156を通して反応セクション101に戻して、再循環流108と共に反応器105に共
供給することができる。
【0057】
[0057]幾つかの態様においては、第2の乾燥カラムの底部における温度は、第1の乾燥
カラムの底部における温度よりも低い。好ましくは、第2の乾燥カラム150の底部にお
ける温度、即ち排出される乾燥した精製生成物流152の温度は、好ましくは125℃〜
175℃、140℃〜170℃、例えば155℃〜165℃である。幾つかの態様におい
ては、第2の乾燥カラムの頂部における温度は、第1の乾燥カラムの頂部における温度よ
りも低い。好ましくは、第2の乾燥カラム150の頂部における温度、即ち塔頂流151
の温度は、好ましくは100℃〜140℃、120℃〜150℃、例えば125℃〜13
5℃である。幾つかの態様においては、第2の乾燥カラムの圧力は、第1の乾燥カラムの
底部における圧力よりも低い。幾つかの態様においては、第2の乾燥カラム150の底部
における圧力は、1bar(絶対圧)〜5bar(絶対圧)、例えば2bar(絶対圧)
〜4bar(絶対圧)、又は3bar(絶対圧)〜3.5bar(絶対圧)である。
【0058】
[0058]幾つかの態様においては、第2の乾燥した生成物流152の一部を、第2の乾燥
カラム150に接続されたリボイラー153に供給することができる。リボイラー153
は、流れ152を加熱し、混合液体/蒸気流を第2の乾燥カラム150に再循環し、ここ
で蒸気によって第2の乾燥カラム内での分離を推進するのに必要なエネルギーの一部を与
える。
【0059】
[0059]酢酸の製造中においては、このプロセスは、好ましくは通常の定常状態条件下で
連続的に運転する。しかしながら、始動、反応器停止、反応器速度減少、緊急停止、又は
蒸留系列の異常のために、製造蒸留プロセスを部分条件下で運転する可能性がある。これ
らの部分条件下及び通常運転の外側で運転する場合には、ライン137を通して第1の乾
燥カラム140に、及び/又はライン138を通して第2の乾燥カラム150に供給され
る生成物側流133の量を調節して、プロセスの効率を向上させることができる。例えば
、通常運転中においては、生成物側流133の大部分を第1の乾燥カラム140に供給し
、好ましくは生成物側流133の50重量%より多く、例えば60%より多く、又は66
%より多い量を第1の乾燥カラム140に供給することができる。通常の運転条件下にお
いては、残りの部分、例えば50重量%未満、40重量%未満、又は33重量%未満は、
第2の乾燥カラムに供給することができる。
【0060】
[0060]幾つかの状況下においては、第2の乾燥カラム150へ送る部分は第1の乾燥カ
ラム140よりも大きくすることができる。部分運転中においては、生成物側流133の
大部分を第2の乾燥カラム150に供給することができ、好ましくは生成物側流133の
50重量%より多く、例えば70重量%より多く、80重量%より多く、又は90重量%
より多い量を第2の乾燥カラム150に供給する。反応器停止運転中のような幾つかの態
様においては、生成物側流133の大部分を第2の乾燥カラム150に供給することがで
き、好ましくは生成物側流133の50重量%より多く、例えば70重量%より多く、8
0重量%より多く、又は90重量%より多い量を第2の乾燥カラム150に供給する。ま
た、反応器又は精製始動中においては、生成物側流133の大部分をまず第2の乾燥カラ
ム150に供給し、好ましくは生成物側流133の50重量%より多く、例えば70重量
%より多く、80重量%より多く、又は90重量%より多い量を第2の乾燥カラム150
に供給する。一態様においては、任意のこれらの状況中において、第1の乾燥カラムを停
止して、第2の乾燥カラムによって生成物側流の全部を受容することができる。
【0061】
[0061]本発明の幾つかの態様は、システム内の熱統合によってカルボニル化プロセスの
効率を向上させる。例えば、幾つかの態様においては、反応から熱を取り出すことによっ
て水蒸気を生成させ、この水蒸気によって精製セクション内での分離を推進するのに必要
なエネルギーの一部を与える。特に、
図3に示すように、水蒸気を用いて第2の乾燥カラ
ム内での分離を推進することができる。
【0062】
[0062]
図3に示すように、熱伝達システム120内で生成する水蒸気生成物124を、
第2の乾燥カラム150のリボイラー153に送ることができる。水蒸気生成物124は
、第2の乾燥カラム150を駆動するのに必要なエネルギーの全部又は一部を供給するこ
とができる。水蒸気生成物124と第2の乾燥カラム150を統合することにより、反応
器からの更なる熱を用いて酢酸生成物を分離することによって、製造能力の効率的な向上
が与えられる。
【0063】
[0063]幾つかの態様においては、水蒸気生成物124はまた、精製セクション102の
他の部分に送ることもできる。ライン129によって示すように、リボイラー143との
統合によって、水蒸気生成物124の一部を用いて第1の乾燥カラム140を駆動するこ
とができる。幾つかの態様においては、水蒸気生成物124は、第1の乾燥カラム140
及び第2の乾燥カラム150内での分離を推進するのに必要なエネルギーの一部を与える
。幾つかの態様においては、水蒸気生成物124は、リボイラー143及びリボイラー1
53を駆動するのに必要なエネルギーの一部を与える。場合によっては、1以上の蒸気流
148を第1の乾燥カラム140から引き抜いて第2の乾燥カラム150に供給する。蒸
気流148は、第1の乾燥カラム140のストリッピングセクションから引き抜いて、第
2の乾燥カラム150の下部部分で、好ましくは第2の乾燥カラムの底部における液体レ
ベルよりも上方に供給する。1つの特定の理論には縛られないが、場合によって1以上の
蒸気流148を第1の乾燥カラム140から第2の乾燥カラム150に供給することによ
って、エネルギー源として流れ124を用い、第1の乾燥カラム140のリボイラー14
3のより大きい能力を用いて精製した生成物流133のより高い正味の処理量を取り扱う
ことを可能にすることができる。
【0064】
[0064]本開示の利益を享受する当業者であれば、本明細書に記載する蒸留カラムを設計
及び運転して本発明の所望の結果を達成することができる。かかる努力は、時間がかかり
複雑である可能性があるが、それでもなお、本開示の利益を享受する当業者には日常的な
業務であろう。したがって、本発明の実施は、特定の蒸留カラムの具体的な特徴、或いは
全段数、供給位置、還流比、供給温度、還流温度、カラム温度プロファイルなどのような
その運転特性に必ずしも限定されない。
【0065】
[0065]本発明を詳細に記載したが、本発明の精神及び範囲内の修正は当業者には容易に
明らかであろう。上記の議論、当該技術における関連する知識、並びに背景及び詳細な説
明に関連して上記で議論した参照文献(それらの開示事項を全て参照として本明細書中に
包含する)を考慮すると。更に、上記及び/又は特許請求の範囲において示す本発明の複
数の形態並びに種々の態様及び種々の特徴の複数の部分を、完全か又は部分的に結合又は
交換することができると理解すべきである。当業者に認められるように、種々の態様の上
記の記載においては他の態様を示すこれらの態様を他の態様と適当に組み合わせることが
できる。更に、当業者であれば、上記の記載は例示のみの目的であり、本発明を限定する
ことは意図しないことを認識するであろう。