(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208733
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
F02M 37/10 20060101AFI20170925BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
F02M37/10 J
F02M37/10 H
F02M37/10 G
F02M37/00 301L
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-239930(P2015-239930)
(22)【出願日】2015年12月9日
(65)【公開番号】特開2017-106361(P2017-106361A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2017年2月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 敏彦
【審査官】
櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−084540(JP,A)
【文献】
特開2008−248752(JP,A)
【文献】
特開2015−190425(JP,A)
【文献】
特開2013−245651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00−37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク(11)の底板(11a)よりも下方に突出する筒状の側壁(16a)ならびに該側壁(16a)の下端を閉じる底壁(16b)で構成されるとともに燃料貯留室(17)を内部に形成する有底筒部(16)を有するハウジング(13)が、前記底板(11a)に取付けられ、燃料ポンプ(15)の少なくとも下部と、その燃料ポンプ(15)の吸い込み口(26)に連通するとともに前記側壁(16a)の内周面に一部を接触させるフィルタ(31)とが、前記ハウジング(13)に収容される燃料供給装置において、
前記フィルタ(31)が接触する部位で前記側壁(16a)の内周面には、前記燃料タンク(11)内の底部に通じて上下に延びる凹部(32)が形成される一方、この凹部(32)に対応する部分で前記側壁(16a)の外周には、外側方に膨らむ膨出部(16c)が形成されることを特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
前記側壁(16a)の内周面のうち前記フィルタ(31)が周方向に連続して接触している部分の一部に前記凹部(32)が形成され、前記フィルタ(31)が周方向に連続して接触している部分の周方向長さ(L1)のうち前記凹部(32)が形成される部分の長さ(L2)が、残余の部分の前記周方向に沿う長さよりも小さく設定されることを特徴とする請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記ハウジング(13)が、前記燃料タンク(11)の前記底板(11a)よりも上方に突出するようにして前記側壁(16a)の上端に一体に連設される筒状の突出壁(22)を有し、前記凹部(32)に通じて上下に延びる燃料導入孔(33)が前記突出壁(22)に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記凹部(32)が前記有底筒部(16)の前記底壁(16b)まで下方に延出して形成され、前記底壁(16b)の周方向に間隔をあけた複数箇所に、前記底壁(16b)から上方に突出して前記フィルタ(31)の底部を前記底壁(16b)の上方で支持する底上げ突部(35)が、前記フィルタ(31)の底部および前記底壁(16b)間に燃料の流通を許容する隙間(36)を形成するようにして突設されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクの底板よりも下方に突出する筒状の側壁ならびに該側壁の下端を閉じる底壁で構成されるとともに燃料貯留室を内部に形成する有底筒部を有するハウジングが、前記底板に取付けられ、燃料ポンプの少なくとも下部と、その燃料ポンプの吸い込み口に連通するとともに前記側壁の内周面に一部を接触させるフィルタとが、前記ハウジングに収容される燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンクの底板よりも下方に配置される燃料貯留室を有するハウジングが燃料タンクの底板に取付けられ、そのハウジングに、燃料ポンプの下部と、フィルタとが収容される燃料供給装置は、特許文献1で開示されるように既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−245651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されるものでは、燃料貯留室内に貯留された燃料が車両の加・減速時や振動時に燃料貯留室か
ら飛び出すことを抑制するために、燃料タンクの底板よりも上方に延びる筒部がハウジングに設けられており、燃料タンク内の燃料を燃料貯留室内に流入させるための燃料導入窓が前記筒部に形成されている。ところがハウジング内に収容されるフィルタが前記筒部を含むハウジングの内周面に接触しており、前記燃料流入窓がフィルタで閉塞されてしまい、燃料貯留室への燃料流入がし難くなっている。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、燃料貯留室に燃料が流入し易くした燃料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、燃料タンクの底板よりも下方に突出する筒状の側壁ならびに該側壁の下端を閉じる底壁で構成されるとともに燃料貯留室を内部に形成する有底筒部を有するハウジングが、前記底板に取付けられ、燃料ポンプの少なくとも下部と、その燃料ポンプの吸い込み口に連通するとともに前記側壁の内周面に一部を接触させるフィルタとが、前記ハウジングに収容される燃料供給装置において、前記フィルタが接触する部位で前記側壁の内周面に
は、前記燃料タンク内の底部に通じて上下に延びる凹部が形成される
一方、この凹部に対応する部分で前記側壁の外周には、外側方に膨らむ膨出部が形成されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記側壁の内周面のうち前記フィルタが周方向に連続して接触している部分の一部に前記凹部が形成され、前記フィルタが周方向に連続して接触している部分の周方向長さのうち前記凹部が形成される部分の長さが、残余の部分の前記周方向に沿う長さよりも小さく設定されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、前記ハウジングが、前記燃料タンクの前記底板よりも上方に突出するようにして前記側壁の上端に一体に連設される筒状の突出壁を有し、前記凹部に通じて上下に延びる燃料導入孔が前記突出壁に形成されることを第3の特徴とする。
【0009】
さらに本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、前記凹部が前記有底筒部の前記底壁まで下方に延出して形成され、前記底壁の周方向に間隔をあけた複数箇所に、前記底壁から上方に突出して前記フィルタの底部を前記底壁の上方で支持する底上げ突部が、前記フィルタの底部および前記底壁間に燃料の流通を許容する隙間を形成するようにして突設されることを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、ハウジングが有する有底筒部における側壁のうちフィルタが接触する部位の内周面に
は上下に延びる凹部が形成され
る一方、この凹部に対応する部分で側壁の外周には外側方に膨らむ膨出部が形成され、その凹部が燃料タンク内の底部に通じているので、燃料タンク内の燃料が凹部を経て燃料貯留室に流れることになり、フィルタが側壁の内周面に接触していても、燃料貯留室に燃料が流入し易くなる。
【0011】
また本発明の第2の特徴によれば、フィルタが、側壁の内周面に周方向に沿って比較的長い距離にわたって接触しているので、フィルタが側壁から部分的に圧迫されることがない。ところで側壁の内周面の周方向に間隔をあけた複数箇所に突設したリブにフィルタを接触させてフィルタおよび側壁の内周面間に燃料通路を形成することで、燃料貯留室に燃料が流入し易くすることも考えられるが、そのような構造にすると、フィルタが部分的に圧迫されて損傷する虞があるのに対して、側壁の内周面に凹部が形成されていても側壁の内周面に周方向に沿って比較的長い距離にわたってフィルタを接触させることで、そのような部分的な圧迫が生じることを防止することができる。
【0012】
本発明の第3の特徴によれば、燃料タンクの底板よりも上方に突出する筒状の突出壁が側壁の上端に一体に連設されることによって、加・減速や振動によって燃料貯留室から燃料が飛び出すことを抑制することを可能となる。しかも燃料タンク内の燃料を燃料貯留室内に流入させるために突出壁に形成される燃料導入孔が凹部に通じているので、その燃料導入孔が突出壁の内方側からフィルタで覆われていても燃料導入孔から燃料貯留室への燃料の流入が阻害されることはない。
【0013】
さらに本発明の第4の特徴によれば、底壁の周方向に間隔をあけた複数箇所に突設された底上げ突部でフィルタの底部が底壁の上方で支持され、フィルタの底部および底壁間に燃料の流通を許容する隙間が形成されるので、凹部によって導かれた燃料をフィルタの内側に確実に導くことができ、燃料貯留室全体に燃料を速やかに満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】燃料タンクの底板に取付けられた状態の燃料供給装置の縦断面図であって
図3の1−1線に沿う断面図である。
【
図3】燃料ポンプを省略した状態でのハウジングを
図1の3−3線矢視方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を添付の
図1〜
図4を参照しながら説明すると、先ず
図1において、車両に搭載される燃料タンク11の底板11aには、燃料タンク11内の燃料をエンジンの燃料噴射弁(図示せず)に供給する燃料供給装置12が取り付けられる。
【0016】
前記燃料供給装置12は、燃料タンク11の底板11aに取り付けられる合成樹脂製のハウジング13と、このハウジング13に連結されて燃料タンク11内に配置される合成樹脂製の上部ケース14と、前記ハウジング13に少なくとも下部が収容されるようにして前記ハウジング13および前記上部ケース14間に保持される燃料ポンプ15とを備える。
【0017】
図2〜
図4を併せて参照して、ハウジング13は、筒状の側壁16aならびに該側壁16aの下端を閉じる底壁16bで構成されるとともに燃料貯留室17を内部に形成する有底筒部16と、筒状に形成されて前記側壁16aの上端に一体に連設される突出壁22と、前記側壁16aおよび前記突出壁22の内側に配置されて前記底壁16bから立ち上がる一対のポンプ保持壁24とを一体に有するように形成される。
【0018】
前記有底筒部16の前記側壁16aは、この実施の形態では円筒状に形成される。また前記側壁16aの上端部には外側方に張り出す取付けフランジ18が一体に設けられており、前記燃料タンク11の前記底板11aの下面との間に環状のシール部材19を介在させた前記取付けフランジ18が前記底板11aに取付けられる。すなわち有底筒部16を有するハウジング13が、有底筒部16を前記燃料タンク11の前記底板11aよりも下方に突出させて前記底板11aに取付けられる。
【0019】
前記側壁16aの下部には、前記燃料タンク11の前記底板11aよりも下方で側方に突出する燃料取り出し管20が一体に設けられ、この燃料取り出し管20から図示しないエンジンの燃料噴射弁に燃料が供給される。また前記底壁16bには、前記燃料取り出し管20と連通しながら前記底壁16bから起立する下部下降燃料管21が、前記側壁16aの内周部に一体に連なるようにして立設される。
【0020】
前記突出壁22は、この実施の形態では前記側壁16aの内周面に面一に連なる内周面を有して円筒状かつ前記側壁16aよりも薄肉に形成されており、この突出壁22は、前記下部下降燃料管21に一体に連なるようにしつつ上方に延びるようにして前記側壁16aの上端に一体に連設され、この突出壁22は、前記燃料タンク11の底板11aに設けられる開口部23に挿通されて前記底板11aよりも上方に突出する。
【0021】
一対の前記ポンプ保持壁24は、横断面形状が円弧状になるように形成されており、仮想円筒体の相互に対向する側壁を構成するように配置され、これらのポンプ保持壁24の内周に燃料ポンプ15が上方より嵌装、保持される。すなわち、この実施の形態では燃料ポンプ15の下部が前記ハウジング13に収容される。
【0022】
前記燃料ポンプ15には、吸い込み口26を形成するようにして前記燃料ポンプ15の下面から下方に突出する吸入管27が設けられており、この吸入管27は、ポンプ側接続導管28の上部に圧入される。前記ポンプ側接続導管28は、下端部を前記ハウジング13の底壁16bに上方から当接されて上下に延びるとともに前記吸入管27が上部に圧入される縦向き筒部28aと、該縦向き筒部28aの上下方向中間部から側方に突出する横向き筒部28bとを一体に有して略T字に形成されており、このポンプ側接続導管28内には、前記吸い込み口26に一端部を通じさせて前記縦向き筒部28a内の上部に同軸に配置されるとともに他端側が前記横向き筒部28b内に同軸に配置されるようにした略T字状の吸入通路29が形成される。
【0023】
前記ハウジング13内には、前記燃料ポンプ15を囲むフィルタ31が、当該フィルタ31の下部を前記燃料貯留室17に配置するようにして収容される。このフィルタ31は、外力を加えない自然な状態では平板状であり、ハウジング13内への収容状態では前記有底筒部16における側壁16aの内周面および前記突出壁22の内周面に沿うように丸められて配置され、フィルタ31の一部は前記側壁16aの内周面および前記突出壁22の内周面に接触する。またフィルタ31がその下部に有するフィルタ側接続導管30が、前記ポンプ側接続導管28における横向き筒部28bの先端部に凹凸嵌合によって接続される。すなわちハウジング13内に配置される前記フィルタ31は前記燃料ポンプ15の吸い込み口26に、フィルタ側接続導管30およびポンプ側接続導管28を介して連通される。
【0024】
本発明に従えば、前記フィルタ31が接触する部位で前記側壁16aの内周面には、前記燃料タンク11内の底部に通じて上下に延びる凹部32が形成される。この凹部32は、その上端が前記燃料タンク11内に開口するとともに下端が底壁16bに達するようにして側壁16aの上下方向全長にわたって形成されるものであり、この凹部32に対応する部分で前記側壁16aの外周には外側方に膨らむ膨出部16cが形成される。
【0025】
ところで前記突出壁22の周方向に沿って前記フィルタ31の中間部に前記フィルタ側接続導管30が設けられる。前記フィルタ31は、前記突出壁22の周方向に沿って前記フィルタ側接続導管30の一側で、周方向に沿う長さL1にわたって連続して前記側壁16aおよび前記突出壁22の内周面に連続して接触するとともに、前記突出壁22の周方向に沿って前記フィルタ側接続導管30の他側で、周方向に沿う長さL3にわたって連続して前記側壁16aおよび前記突出壁22の内周面に連続して接触しており、L1>L3である。前記凹部32は、前記フィルタ31が連続して接触している側壁16aの内周面のうち接触長さが長い方、すなわち前記フィルタ31が周方向に沿う長さL1にわたって接触している部分で前記側壁16aの内周面の一部に形成されるものであり、前記フィルタ31が周方向に連続して接触している部分の周方向長さL1のうち前記凹部32が形成される部分の長さL2が、残余の部分の周方向に沿う長さよりも小さく設定される。
【0026】
前記突出壁22には、当該突出壁22の上下方向全長にわたって上下に延びて前記凹部32に通じるスリット状の燃料導入孔33が、前記燃料貯留室17内に燃料タンク11内の燃料を受け入れるようにして形成され、前記燃料導入孔33は、前記フィルタ31で前記突出壁22の内側から覆われる。
【0027】
しかも前記ハウジング13における前記底壁16bの周方向に間隔をあけた複数箇所には、前記燃料貯留室17内の前記フィルタ31の底部を前記底壁16bよりも上方で支持するようにした底上げ突部35が放射状に並んで突設されており、これらの底上げ突部35は、前記フィルタ31の底部および前記底壁16b間に、燃料の流通を許容する隙間36を形成する。
【0028】
前記上部ケース14には、吐出管受容筒38と、レギュレータ保持筒39と、吐出管受容筒38の一側部に接続される上部下降燃料管40とが一体に設けられる。上部下降燃料管40およびレギュレータ保持筒39は、吐出管受容筒38の両側に配置されており、前記上部下降燃料管40、前記吐出管受容筒38および前記レギュレータ保持筒39の上部を連通させる連通孔41が上部ケース14に形成され、前記上部ケース14の側部に開口した連通孔41の一端部は、栓体42により液密に閉鎖される。
【0029】
上部ケース14の下部は前記ポンプ保持壁24の内周に嵌合し、スナップフィット機構43によって前記ポンプ保持壁24に連結される。前記スナップフィット機構43は、係止孔44を有して一対のポンプ保持壁24の上端部に設けられる一対の弾性片45と、前記係止孔44に係合するようにして前記上部ケース14に設けられる複数の係合爪46とを備える。
【0030】
前記燃料ポンプ15の上端部からは吐出管47が突出しており、この吐出管47が前記吐出管受容筒38の内周に液密に嵌合される。また上部下降燃料管40は、前記下部下降燃料管21の上端部に液密に嵌合される。したがって、燃料ポンプ15の吐出管47から吐出される燃料は、連通孔41から上部下降燃料管40および下部下降燃料管21を通して燃料取り出し管20へと供給される。
【0031】
またレギュレータ保持筒39の内周には、プレッシャレギュレータ48の外筒48aが圧入され、このレギュレータ保持筒39の下端部を内方にかしめることにより、前記外筒48aは固定される。このプレッシャレギュレータ48は、燃料ポンプ15の吐出管47から連通孔41に吐出された燃料の余剰圧力分を燃料タンク11内に放出し、燃料取り出し管20から燃料噴射弁に供給する燃料圧力を所定値に調整するようになっている。
【0032】
図2に示すように、前記上部ケース14からはセンサ支持腕49が張り出しており、このセンサ支持腕49の先端部には液面センサ50が取り付けられる。この液面センサ50には、燃料タンク11内の燃料液面に浮かべるフロート51を先端部で支持する揺動アーム52が連結される。
【0033】
燃料タンク11への燃料補給やエンジンでの燃料消費により、燃料タンク11内の燃料液面が昇降すると、それに応じて前記フロート51が昇降するので、燃料液面のレベル変化が揺動アーム52の揺動角度として液面センサ50に伝達され、液面センサ50は、液面レベル信号を図示しない表示部に出力する。
【0034】
前記ハウジング13における前記有底筒部16における前記側壁16aの下部には、燃料タンク11への燃料供給装置12の取付け時に該燃料タンク11の底板11aよりも下方に配置されるカプラ53が、側方に突出するようにして一体に設けられ、このカプラ53内には、前記燃料ポンプ15用の端子と、前記液面センサ50用の端子とが配置される。
【0035】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、燃料供給装置12のハウジング13は、燃料タンク11の底板11aよりも下方に突出する筒状の側壁16aならびに該側壁16aの下端を閉じる底壁16bで構成されるとともに燃料貯留室17を内部に形成する有底筒部16を有し、そのハウジング13に、燃料ポンプ15の少なくとも下部と、その燃料ポンプ15の吸い込み口26に連通するとともに側壁16aの内周面に一部を接触させるフィルタ31とが収容され、フィルタ31が接触する部位で側壁16aの内周面に、燃料タンク11内の底部に通じて上下に延びる凹部32が形成されるので、燃料タンク11内の燃料が凹部32を経て燃料貯留室17に流れることになり、フィルタ31が側壁16aの内周面に接触していても、燃料貯留室17に燃料が流入し易くなる。
【0036】
ところで側壁16aの内周面の周方向に間隔をあけた複数箇所に突設したリブにフィルタ31を接触させてフィルタ31および側壁16aの内周面間に燃料通路を形成することで、燃料貯留室17に燃料が流入し易くすることも考えられるが、そのような構造にすると、フィルタ31が部分的に圧迫されて損傷する虞がある.それに対して前記側壁16aの内周面のうち前記フィルタ31が周方向に連続して接触している部分の一部に前記凹部32が形成され、前記フィルタ31が周方向に連続して接触している部分の周方向長さL1のうち前記凹部32が形成される部分の長さL2が、残余の部分の前記周方向に沿う長さよりも小さく設定されるので、フィルタ31が、側壁16aの内周面に凹部32が形成されていても側壁16aの内周面に周方向に沿って比較的長い距離にわたって接触することになり、フィルタ31が側壁16aから部分的に圧迫されることがなく、圧迫による損傷が生じることもない。
【0037】
また前記ハウジング13が、前記燃料タンク11の前記底板11aよりも上方に突出するようにして前記側壁16aの上端に一体に連設される筒状の突出壁22を有するので、加・減速や振動によって燃料貯留室17から燃料が飛び出すことを突出壁22で抑制することが可能となる。しかも前記燃料貯留室17内に燃料タンク11内の燃料を受け入れるようにして上下に延びる燃料導入孔33が前記突出壁22に形成され、前記燃料導入孔33は前記フィルタ31で前記突出壁22の内側から覆われるのであるが、前記燃料導入孔33は前記凹部32に通じているので、前記燃料導入孔33が突出壁22の内方側からフィルタ31で覆われていても、前記燃料導入孔33から燃料貯留室17への燃料の流入が阻害されることはない。
【0038】
さらに前記凹部32が前記有底筒部16の前記底壁16bまで下方に延出して形成され、前記底壁16bの周方向に間隔をあけた複数箇所に、前記底壁16bから上方に突出して前記フィルタ31の底部を前記底壁16bの上方で支持する底上げ突部35が、前記フィルタ31の底部および前記底壁16b間に燃料の流通を許容する隙間36を形成するようにして突設されるので、凹部32によって導かれた燃料をフィルタ31の内側に確実に導くことができ、燃料貯留室17全体に燃料を速やかに満たすことができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0040】
11・・・燃料タンク
11a・・・底板
12・・・燃料供給装置
13・・・ハウジング
16・・・有底筒部
16a・・・側壁
16b・・・底壁
16c・・・膨出部
17・・・燃料貯留室
22・・・突出壁
31・・・フィルタ
32・・・凹部
33・・・燃料導入孔
35・・・底上げ突部
36・・・隙間
L1,L2・・・長さ