(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0004】
本開示は、薬剤溶出性で磁気共鳴画像(「MRI」)法で検出可能な血管閉塞用インプラント、及びそのような生体材料の製造方法に関する。更に、本開示は、固形腫瘍に罹患した対象者の治療方法に関する。
【0005】
本発明に一般的に記載される実施例が、例示的なものであることは容易に理解されるであろう。以下の様々な実施形態のより詳細な記載は、本開示の範囲を限定することを意図するのではなく、単に様々な実施形態の代表である。更に、本明細書に記載の方法の工程又は行為の順序は、本開示の範囲から逸脱することなく当業者によって変更されてもよい。換言すれば、実施形態の適切な動作のために特定の順序の工程又は行為が必要とされない限り、特定の工程又は行為の順序又は使用を改変してもよい。
【0006】
第1の態様において、本開示は、薬剤溶出性で磁気共鳴画像(「MRI」)法で検出可能な血管閉塞用インプラントとしての使用に適した生体材料に関する。一実施形態において、生体材料は、ポリマーと、酸化鉄粒子と、薬剤とを含む。一実施形態において、薬剤は化学療法薬である。
【0007】
一実施形態において、生体材料は、アクリレート又はビニルスルホネートのうち少なくとも1つと、酸化鉄粒子と、薬剤とを含む。一実施形態において、薬剤は化学療法薬である。
【0008】
別の実施形態において、生体材料はマイクロスフェアの形態である。関連実施形態において、マイクロスフェアは実質的に球形である。別の関連実施形態において、マイクロスフェアは、約15μm〜約1000μmの長軸を有する。別の実施形態において、マイクロスフェアは、約100μm〜約300μmの長軸を有する。
【0009】
別の実施形態において、生体材料はコポリマーを含む。関連実施形態において、コポリマーは、アクリル酸ナトリウムなどのアクリレートと、アクリルアミドとを含む。一実施形態において、コポリマーは、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、アクリルアミドとを含む。関連実施形態において、コポリマーは、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドとを含む。本明細書に記載のコポリマーは、列挙したモノマー成分のいずれかを、個別に、任意のアクリルアミドと共に含んでもよいことが理解される。したがって、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうちいずれか1つは、任意のアクリルアミド、例えばN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドとのコポリマーを含んでもよい。
【0010】
別の実施形態において、ポリマーは架橋剤を含む。関連実施形態において、架橋剤は、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドである。本明細書に記載のポリマーは、列挙したモノマー成分を、個別に、任意の架橋剤と共に含んでもよいことが理解される。したがって、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうちいずれか1つは、任意の架橋剤、例えばN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドと共にポリマーを構成してもよい。
【0011】
ポリマー、酸化鉄粒子、及び薬剤を含む生体材料は、列挙したモノマー成分のいずれかを、個別に、任意のアクリルアミド及び任意の架橋剤と共に含むポリマーを含んでもよい。したがって、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうちいずれか1つは、任意のアクリルアミド(例えばN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド)、及び任意の架橋剤(例えばN,N−メチレン−ビス−アクリルアミド)と共にポリマーを構成してもよい。この例としては、アクリル酸ナトリウムと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含むポリマー、ビニルスルホネートと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含むポリマー、AMPSと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含むポリマー、及びCEAと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含むポリマーが挙げられる。
【0012】
一実施形態において、生体材料は、0重量%〜90重量%のアクリル酸ナトリウムと、0重量%〜90重量%のビニルスルホネートと、0重量%〜90重量%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)と、0重量%〜90重量%のアクリル酸2−カルボキシエチル(CEA)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、0重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。
【0013】
関連実施形態において、生体材料は、5重量%〜50重量%のアクリル酸ナトリウムと、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。一実施形態において、生体材料は、5重量%〜50重量%のビニルスルホネートと、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。更なる実施形態において、生体材料は、5重量%〜50重量%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。更なる実施形態において、生体材料は、5重量%〜50重量%のアクリル酸2−カルボキシエチル(CEA)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。
【0014】
一実施形態において、薬剤は化学療法薬である。一実施形態において、薬剤はイリノテカンである。一実施形態において、薬剤はドキソルビシンである。特定の実施形態において、薬剤はドキソルビシン又はイリノテカンのうち少なくとも1つである。一実施形態において、化学療法薬はマイクロスフェアと放出可能に会合している。一実施形態において、ドキソルビシンはマイクロスフェアと放出可能に会合している。一実施形態において、イリノテカンはマイクロスフェアと放出可能に会合している。関連実施形態において、薬剤は、マイクロスフェアの懸濁液に、懸濁液1mL当たり約0.5mg〜約50mgの量で添加される。
【0015】
一実施形態において、薬剤は荷電薬剤、すなわち、生理学的なpH値(腫瘍内及び腫瘍付近のpHを包含する)の範囲内で荷電した薬剤であってもよい。一実施形態において、薬剤はカチオン性薬剤である。生体材料は、例えば、イオン基を含有することによって荷電したポリマーを含んでもよい。一実施形態において、生体材料はアニオン性基を含有する。一実施形態において、薬剤の生体材料への会合は、イオン性相互作用を含む。
【0016】
一実施形態において、酸化鉄はFe
3O
4である。一実施形態において、酸化鉄は、酸化鉄(II)と酸化鉄(III)の混合物である。一実施形態において、酸化鉄粒子はナノ粒子である。関連実施形態において、酸化鉄ナノ粒子は超常磁性である。一実施形態において、酸化鉄はコロイド形態である。
【0017】
第2の態様において、本開示は、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントとしての使用に適した生体材料の製造方法に関する。
【0018】
一実施形態において、この方法は、アクリレート、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つを含むポリマーであって、酸化鉄粒子と会合しているポリマーを提供する工程と、このポリマーを化学療法薬と会合させる工程とを含む。一実施形態において、アクリレートはアクリル酸ナトリウムである。
【0019】
一実施形態において、ポリマーを提供する工程は、酸化鉄粒子の存在下でモノマー組成物を重合させる工程を含み、このモノマー組成物は、アクリル酸ナトリウムなどのアクリレート、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つを含む。別の実施形態において、ポリマーを提供する工程は、酸化鉄粒子の存在下でモノマー組成物を重合させる工程を含み、このモノマー組成物は、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、1つのその他のモノマーとを含む。
【0020】
ポリマーを提供する工程は、列挙したモノマー成分のいずれかを、酸化鉄粒子の存在下で、個別に、任意のアクリルアミド若しくは任意の架橋剤、又はアクリルアミドと架橋剤の両方と共に重合させる工程を含んでもよいことが理解される。したがって、ポリマーを提供する工程は、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうちいずれか1つを、任意追加的に任意のアクリルアミド(例えばN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド)、及び任意追加的に任意の架橋剤(例えばN,N−メチレン−ビス−アクリルアミド)と重合させる工程を含んでもよい。
【0021】
別の実施形態において、ポリマーを提供する工程は、酸化鉄粒子の存在下でモノマー組成物を重合させる工程を含み、このモノマー組成物は、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドとを含む。別の実施形態において、ポリマーを提供する工程は、酸化鉄粒子の存在下でモノマー組成物を重合させる工程を含み、このモノマー組成物は、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、架橋剤とを含む。別の実施形態において、ポリマーを提供する工程は、酸化鉄粒子の存在下でモノマー組成物を重合させる工程を含み、このモノマー組成物は、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。
【0022】
一実施形態において、ポリマーを提供する工程は、0重量%〜90重量%のアクリル酸ナトリウムと、0重量%〜90重量%のビニルスルホネートと、0重量%〜90重量%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)と、0重量%〜90重量%のアクリル酸2−カルボキシエチル(CEA)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、0重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む混合物を提供する工程と、この混合物を重合させる工程とを含む。
【0023】
関連実施形態において、ポリマーを提供する工程は、5重量%〜50重量%のアクリル酸ナトリウムと、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む混合物を提供する工程と、この混合物を重合させる工程とを含む。一実施形態において、ポリマーを提供する工程は、5重量%〜50重量%のビニルスルホネートと、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む混合物を提供する工程と、この混合物を重合させる工程とを含む。更なる実施形態において、ポリマーを提供する工程は、5重量%〜50重量%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む混合物を提供する工程と、この混合物を重合させる工程とを含む。更なる実施形態において、ポリマーを提供する工程は、5重量%〜50重量%のアクリル酸2−カルボキシエチル(CEA)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む混合物を提供する工程と、この混合物を重合させる工程とを含む。
【0024】
一実施形態において、酸化鉄粒子の存在下でモノマー組成物を重合させる前に、モノマー組成物と酸化鉄粒子を混合して混合物を生成する。関連実施形態において、この方法は、酸化鉄粒子の存在下でモノマー組成物を重合させる前に、混合物を加熱する工程を更に含む。関連実施形態において、混合物の加熱は、混合物を約20℃〜約80℃の温度に加熱する工程を含む。関連実施形態において、混合物の加熱は、混合物を約50℃の温度に加熱する工程を含む。
【0025】
別の実施形態において、酸化鉄粒子の存在下でモノマー組成物を重合させる工程は、酸化鉄粒子と会合した重合マイクロスフェアを生成する工程を更に含む。関連実施形態において、酸化鉄粒子の存在下でモノマー組成物を重合させる工程は、酸化鉄粒子と会合した重合マイクロスフェアが生成されるように、油中で行われる。関連実施形態において、この油は約30℃〜約100℃の温度である。関連実施形態において、油は約60℃の温度である。関連実施形態において、重合マイクロスフェアを篩掛けして、長軸が約15μm〜約1000μmの重合マイクロスフェアを得る。関連実施形態において、重合マイクロスフェアを篩掛けして、長軸が約100μm〜約300μmの重合マイクロスフェアを得る。
【0026】
一実施形態において、酸化鉄はFe
3O
4である。一実施形態において、酸化鉄粒子はナノ粒子である。関連実施形態において、酸化鉄ナノ粒子は超常磁性である。
【0027】
一実施形態において、化学療法薬はドキソルビシンである。一実施形態において、化学療法薬はイリノテカンである。一実施形態において、化学療法薬は、ドキソルビシン又はイリノテカンのうち少なくとも1つである。
【0028】
一実施形態において、ポリマーはマイクロスフェアの形態である。
【0029】
一実施形態において、この方法は、マイクロスフェアを液体に懸濁する工程、及びこの懸濁液に薬剤を、懸濁液1mL当たり約0.5mg〜約50mgの量で添加する工程を更に含む。
【0030】
第3の態様において、本開示は、アクリル酸ナトリウムなどのアクリレート、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、酸化鉄粒子と、化学療法薬とを含むポリマーを含む、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントを固形腫瘍に罹患した対象者に投与する工程を含む、固形腫瘍に罹患した対象者を治療する方法であって、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントの対象者への投与が、固形腫瘍に関連する血管の閉塞及び固形腫瘍への化学治療薬の送達をもたらす、方法に関する。
【0031】
一実施形態において、この方法は、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントを対象者に投与した後に、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントの位置をMRIによって特定する工程を更に含む。
【0032】
一実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントは、1つ以上のマイクロスフェアの形態である。関連実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントを対象者に投与する工程は、1つ以上のマイクロスフェアを、固形腫瘍に関連する血管の内腔に、カテーテルを通じて導入する工程を含む。別の関連実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントを液体に懸濁し、この薬剤溶出性でMRI法で検出可能なインプラントの懸濁液に、薬剤を、懸濁液1mL当たり約0.5mg〜約50mgの量で添加する。
【0033】
一実施形態において、ポリマーはコポリマーを含む。関連実施形態において、コポリマーは、アクリル酸ナトリウムなどのアクリレート、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドとを含む。別の実施形態において、コポリマーは、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。
【0034】
コポリマーは、列挙したモノマー成分のいずれかを、個別に、任意のアクリルアミド若しくは任意の架橋剤、又はアクリルアミドと架橋剤の両方と共に含んでもよいことが理解される。したがって、コポリマーは、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうちいずれか1つを、任意追加的に任意のアクリルアミド(例えばN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド)、及び任意追加的に任意の架橋剤(例えばN,N−メチレン−ビス−アクリルアミド)と共に含んでもよい。
【0035】
一実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントは、0重量%〜90重量%のアクリル酸ナトリウムと、0重量%〜90重量%のビニルスルホネートと、0重量%〜90重量%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)と、0重量%〜90重量%のアクリル酸2−カルボキシエチル(CEA)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、0重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。
【0036】
関連実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントは、5重量%〜50重量%のアクリル酸ナトリウムと、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。一実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントは、5重量%〜50重量%のビニルスルホネートと、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。更なる実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントは、5重量%〜50重量%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。更なる実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントは、5重量%〜50重量%のアクリル酸2−カルボキシエチル(CEA)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。
【0037】
一実施形態において、酸化鉄はFe
3O
4である。一実施形態において、酸化鉄粒子はナノ粒子である。関連実施形態において、酸化鉄ナノ粒子は超常磁性である。一実施形態において、酸化鉄はコロイド形態である。
【0038】
用語の定義
他に特に定義しない限り、本明細書で使用する技術用語は、当該技術分野において理解される通常の意味を有する。以下の用語は、明瞭化の目的で例と共に特に定義される。
【0039】
「生体材料」は、対象者の体内への導入に適した任意の組成物を意味する。
【0040】
「マイクロスフェア」は、一般的に楕円体形及び約15μm〜約1000μmの範囲の長軸を有する組成物を意味する。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアは回転楕円体形であり、他の実施形態において、マイクロスフェアは球形であろう。他の実施形態において、マイクロスフェアは実質的に球形であろう。
【0041】
マイクロスフェアに関連して、「長軸」は、マイクロスフェアの楕円体形を通過させて引くことができる最も長い軸を意味する。
【0042】
マイクロスフェアに関連して、「短軸」は、マイクロスフェアの楕円体形を通過させて長軸に対し垂直に引くことができる最も短い軸を意味する。
【0043】
マイクロスフェアに関連して、「実質的に球形」とは、マイクロスフェアの短軸の長さがそのマイクロスフェアの長軸の長さの少なくとも80%であることを意味する。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアの短軸の長さは、そのマイクロスフェアの長軸の長さの少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアの短軸の長さは、そのマイクロスフェアの長軸の長さの少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアの短軸の長さは、そのマイクロスフェアの長軸の長さの少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアの短軸の長さは、そのマイクロスフェアの長軸の長さの少なくとも99%である。
【0044】
いくつかの実施形態において、マイクロスフェアは最大で倍率1000X(倍)でも平滑に見えるであろう(すなわち、マイクロスフェアの表面に、短軸が長軸の長さの95%未満であることにより生じる不規則性が含まれない)。別の実施形態において、マイクロスフェアは表面に不規則性を有さない。別の実施形態において、マイクロスフェアは表面に陥凹を有さない。
【0045】
ポリマーに関連して、ポリマーがモノマーを「含む」のは、ポリマーがそのポリマーに共有結合したモノマー(すなわち、重合したモノマー)を少なくとも1つ有する場合である。
【0046】
「モノマー組成物」は、重合してポリマーを形成する可能性のある少なくとも1つのモノマーを含む任意の組成物を意味する。モノマー組成物は、少なくとも1つのモノマーに加えて、任意追加的に他の成分を含んでもよい。例えば、モノマー組成物は、重合プロセスを助けるために追加の作用剤を含んでもよく、又は重合後に最終的なポリマーに組み込まれるか又は会合されるべき非モノマー組成物を含んでもよい。
【0047】
「重合させる」又は「重合する」は、1つ以上のモノマーをポリマーへと共有結合させるために行われる任意の活動を意味する。例えば、モノマー組成物又は混合物は、そのモノマー組成物又は混合物に活性化剤を添加してポリマー形成を誘導することによって重合させることもできる。いくつかの実施形態において、活性化剤は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(「TEMED」)を含む。
【0048】
化合物が組成物に共有結合又は非共有結合し、その結果少なくともある種の条件下で、化合物が組成物から放出されないと予想される場合、化合物は組成物に「組み込まれて」いる。例えば、酸化鉄などの化合物がポリマーなどの組成物に組み込まれてもよく、その結果、ポリマーが対象者に導入されたときに、酸化鉄の少なくとも一部がポリマーへの結合を維持すると予想される。
【0049】
化合物が組成物と「放出可能に会合している」のは、少なくともいくつかの条件下では化合物が組成物への結合を維持しないように、化合物が組成物に共有結合又は非共有結合している場合である。例えば、薬剤などの化合物を、マイクロスフェアなどの組成物に放出可能に結合させてもよく、その結果、マイクロスフェアを対象者に導入したときに、薬剤の少なくとも一部はマイクロスフェアへの結合を維持しないものと予想される。
【0050】
生体材料
第1の態様において、本開示は、薬剤溶出性で磁気共鳴画像(「MRI」)法で検出可能な血管閉塞用インプラントとしての使用に適した生体材料に関する。
【0051】
いくつかの実施形態において、生体材料はポリマーを含む。いくつかの実施形態において、ポリマーは、酢酸ナトリウムなどのアクリレートを含む。いくつかの実施形態において、ポリマーは、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つを含む。ポリマーがアクリレート、ビニルスルホネート又はその他のモノマーを含むと言うとき、それは、ポリマーがそのようなモノマーの重合形態を含むことを意味すると理解される。
【0052】
別の実施形態において、ポリマーはコポリマーである。いくつかの実施形態において、コポリマーは、アクリル酸ナトリウムなどのアクリレートと、別のモノマーとを含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、別のモノマーとを含む。いくつかの実施形態において、追加のモノマーは、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドなどのアクリルアミドを含む。
【0053】
別の実施形態において、ポリマーは更に架橋剤を含む。いくつかの実施形態において、架橋剤はN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドを含む。他の実施形態において、架橋剤は、1−(アクリロイルオキシ)−3−(メタクリロイルオキシ)−2−プロパノール、1,4−ジアクリロイルピペラジン、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ピペラジンジアクリレート、N,N’−ビスアクリリルシスタミド、又はN,N’−ジアリルタータージアミド(diallyl tartardiamide)を含んでもよい。
【0054】
ポリマーは、列挙したモノマー成分を、個別に、任意のアクリルアミド若しくは任意の架橋剤と共に、又はアクリルアミド及び架橋剤の両方と共に、含んでもよいことが理解される。したがって、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうちいずれか1つは、任意追加的に任意のアクリルアミド(例えばN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド)、及び任意追加的に任意の架橋剤(例えばN,N−メチレン−ビス−アクリルアミド)と共にポリマーを構成してもよい。
【0055】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、アクリレートと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。他の実施形態において、ポリマーは、アクリル酸ナトリウムと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。他の実施形態において、ポリマーは、ビニルスルホネートと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。他の実施形態において、ポリマーは、AMPSと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。他の実施形態において、ポリマーは、CEAと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。他の実施形態において、ポリマーは、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、生体材料は酸化鉄粒子を含む。いくつかの実施形態において、生体材料はFe
3O
4を含む。いくつかの実施形態において、生体材料は酸化鉄ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態において、生体材料は超常磁性酸化鉄粒子を含む。いくつかの実施形態において、超常磁性酸化鉄粒子は酸化鉄ナノ粒子である。一実施形態において、酸化鉄はコロイド形態である。いくつかの実施形態において、酸化鉄粒子はポリマーと会合している。いくつかの実施形態において、酸化鉄粒子はポリマーに組み込まれている。
【0057】
いくつかの実施形態において、生体材料は、0重量%〜90重量%のアクリル酸ナトリウムと、0重量%〜90重量%のビニルスルホネートと、0重量%〜90重量%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)と、0重量%〜90重量%のアクリル酸2−カルボキシエチル(CEA)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、0重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。
【0058】
関連実施形態において、生体材料は、5重量%〜50重量%のアクリル酸ナトリウムと、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。一実施形態において、生体材料は、5重量%〜50重量%のビニルスルホネートと、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。更なる実施形態において、生体材料は、5重量%〜50重量%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。更なる実施形態において、生体材料は、5重量%〜50重量%のアクリル酸2−カルボキシエチル(CEA)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、生体材料は、血管を閉塞するのに適した形状となるように形成される。いくつかの実施形態において、生体材料は微粒子の形態である。いくつかの実施形態において、生体材料はマイクロスフェアの形態である。他の実施形態において、マイクロスフェアは実質的に球形である。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアは、約15μm〜約1000μmの平均長軸を有してもよい。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアは、約100μm〜約800μmの平均長軸を有してもよい。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアは、約200μm〜約600μmの平均長軸を有してもよい。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアは、約100μm〜約300μmの平均長軸を有してもよい。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアは、約50μm〜約150μmの平均長軸を有してもよい。特定の実施形態において、マイクロスフェアは、約50μm〜約100μmの平均長軸を有してもよい。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアは、約30μm〜約100μmの平均長軸を有してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態において、生体材料は薬剤を含む。いくつかの実施形態において、薬剤は生体材料と放出可能に会合している。いくつかの実施形態において、薬剤はマイクロスフェアと放出可能に会合している。いくつかの実施形態において、薬剤はドキソルビシンである。いくつかの実施形態において、薬剤はイリノテカンである。薬剤は、ドキソルビシン又はイリノテカンのうち少なくとも1つであってもよい。いくつかの実施形態において、生体材料は液体に懸濁され、薬剤はマイクロスフェアの懸濁液に、懸濁液1mL当たり約0.5mg〜約50mgの量で添加される。
【0061】
生体材料の製造方法
第2の態様において、本開示は、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントとしての使用に適した生体材料の製造方法に関する。
【0062】
いくつかの実施形態において、この方法は、酸化鉄粒子と会合したポリマーを提供する工程と、そのポリマーを薬剤と会合させる工程とを含む。一実施形態において、薬剤は化学療法薬である。
【0063】
酸化鉄ポリマーと会合したポリマーは、様々な方法で提供されてもよい。例えば、ポリマーは第三者から供給されてもよく、又はポリマーを薬剤と会合させるより前に作製されてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態において、ポリマーを提供する工程は、モノマー組成物を酸化鉄粒子の存在下で重合させる工程を含む。モノマー組成物は、適切な活性化剤の使用によって重合されてもよい。例えば、アミドを活性化剤として使用してもよい。一実施形態において、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(「TEMED」)を活性化剤として使用してもよい。一実施形態において、トリエチルアミンを活性化剤として使用してもよい。
【0065】
いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリル酸ナトリウムなどのアクリレートを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物はビニルスルホネートを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物はAMPSを含む。特定の実施形態において、モノマー組成物は、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つを含む。
【0066】
いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリレートと追加のモノマーとを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、ビニルスルホネートと追加のモノマーとを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、AMPSと追加のモノマーとを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、追加のモノマーとを含む。
【0067】
ポリマーは、列挙したモノマー成分を、個別に、任意のアクリルアミド若しくは任意の架橋剤と共に、又はアクリルアミド及び架橋剤の両方と共に、含んでもよいことが理解される。したがって、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうちいずれか1つは、任意追加的に任意のアクリルアミド(例えばN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド)、及び任意追加的に任意の架橋剤(例えばN,N−メチレン−ビス−アクリルアミド)と共にポリマーを構成してもよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリレートと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドなどのアクリルアミドとを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、ビニルスルホネートとN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドなどのアクリルアミドとを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、AMPSとアクリルアミドとを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドとを含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリル酸ナトリウムなどのアクリレートと架橋剤とを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、ビニルスルホネートと架橋剤とを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、AMPSと架橋剤とを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、架橋剤とを含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリレートとN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリル酸ナトリウムとN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、ビニルスルホネートとN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、AMPSとN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリレートと、追加のモノマーと、架橋剤とを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリル酸ナトリウムと、追加のモノマーと、架橋剤とを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、ビニルスルホネートと、追加のモノマーと、架橋剤とを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、AMPSと、追加のモノマーと、架橋剤とを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、追加のモノマーと、架橋剤とを含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリレートと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリル酸ナトリウムと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、ビニルスルホネートと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、AMPSと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、酸化鉄ナノ粒子の存在下で重合される。一実施形態において、モノマー組成物は、コロイド状酸化鉄の存在下で重合される。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、Fe
3O
4の存在下で重合される。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、超常磁性酸化鉄粒子の存在下で重合される。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、形成されるポリマーに酸化鉄粒子が組み込まれるように、酸化鉄粒子の存在下で重合される。
【0074】
いくつかの実施形態において、モノマー組成物を重合させる前に、モノマー組成物と酸化鉄粒子を混合して混合物を生成する。いくつかの実施形態において、この混合物は、モノマー組成物を重合させる前に加熱される。混合物は、約20℃〜約100℃の温度に加熱されてもよい。一実施形態において、混合物は約30℃〜約80℃に加熱される。一実施形態において、混合物は約50℃に加熱される。
【0075】
いくつかの実施形態において、ポリマーを得る工程は、0重量%〜90重量%のアクリル酸ナトリウムと、0重量%〜90重量%のビニルスルホネートと、0重量%〜90重量%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)と、0重量%〜90重量%のアクリル酸2−カルボキシエチル(CEA)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、0重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む混合物を提供する工程と、この混合物を重合させる工程とを含む。
【0076】
関連実施形態において、ポリマーを得る工程は、5重量%〜50重量%のアクリル酸ナトリウムと、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む混合物を提供する工程と、この混合物を重合させる工程とを含む。一実施形態において、ポリマーを得る工程は、5重量%〜50重量%のビニルスルホネートと、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む混合物を提供する工程と、この混合物を重合させる工程とを含む。更なる実施形態において、ポリマーを得る工程は、5重量%〜50重量%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む混合物を提供する工程と、この混合物を重合させる工程とを含む。更なる実施形態において、ポリマーを得る工程は、5重量%〜50重量%のアクリル酸2−カルボキシエチル(CEA)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む混合物を提供する工程と、この混合物を重合させる工程とを含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、重合より前に、追加の作用剤をモノマー組成物又は混合物に添加してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、1種以上の塩が添加される。別の実施形態において、1種以上の緩衝剤が添加される。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム又はグリセロールのうち少なくとも1つが添加される。いくつかの実施形態において、重合より前にpHが調節される。いくつかの実施形態において、pHは重合より前に約2〜約10の範囲に調節される。いくつかの実施形態において、pHは5.9〜6.1に調節される。
【0078】
いくつかの実施形態において、モノマー組成物を重合させるか又は混合物を重合させる工程は、酸化鉄粒子と会合した重合マイクロスフェアを生成する工程を含む。いくつかの実施形態において、モノマー組成物を重合させるか又は混合物を重合させる工程は、酸化鉄粒子と会合した重合マイクロスフェアが生成されるように、モノマー組成物又は混合物を油に添加する工程を含む。いくつかの実施形態において、油はパラフィン油である。使用できるその他の油としては、例えば、シリコン油が挙げられる。
【0079】
いくつかの実施形態において、油は、モノマー組成物又は混合物を油に添加する前に加熱される。油は、約20℃〜約100℃の温度に加熱されてもよい。一実施形態において、混合物は約30℃〜約80℃に加熱される。関連実施形態において、油は約60℃の温度である。
【0080】
いくつかの実施形態において、モノマー組成物又は混合物を油に添加した後、得られる懸濁液を撹拌する。いくつかの実施形態において、懸濁液の撹拌速度により、生成されるマイクロスフェアの長軸の長さの分布は変化すると考えられる。いくつかの実施形態において、油は界面活性剤を含有する。いくつかの実施形態において、油はセスキオレイン酸ソルビタンを含有する。いくつかの実施形態において、セスキオレイン酸ソルビタンは、約0.075v/v%〜約0.1v/v%の量で油中に存在する。いくつかの実施形態において、セスキオレイン酸ソルビタンは、約0.01v/v%〜約5v/v%の量で油中に存在する。
【0081】
いくつかの実施形態において、モノマー組成物又は混合物は、約15分〜約24時間重合される。いくつかの実施形態において、モノマー組成物又は混合物は、約30分〜約90分間重合される。一実施形態において、モノマー組成物又は混合物は、約45分間重合される。
【0082】
いくつかの実施形態において、マイクロスフェアは重合後に洗浄される。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアは水中で洗浄される。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアは塩溶液中で洗浄される。いくつかの実施形態において、塩溶液は塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアの洗浄に使用される水又は溶液は、約20℃〜約90℃の温度である。
【0083】
いくつかの実施形態において、マイクロスフェアは、約15μm〜約1000μmの平均長軸を有してもよい。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアは、約100μm〜約800μmの平均長軸を有してもよい。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアは、約200μm〜約600μmの平均長軸を有してもよい。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアは、約100μm〜約300μmの平均長軸を有してもよい。
【0084】
いくつかの実施形態において、所望の長軸を有する重合マイクロスフェアを得るために篩を使用する。いくつかの実施形態において、この方法は、重合マイクロスフェアを篩掛けして、前記の長軸を有する重合マイクロスフェアを得る工程を含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、ポリマーを薬剤と会合させる工程は、薬剤を生体材料と放出可能に会合させる工程を含む。いくつかの実施形態において、薬剤はドキソルビシンである。いくつかの実施形態において、薬剤はイリノテカンである。いくつかの実施形態において、薬剤は抗血管新生薬である。いくつかの実施形態において、薬剤は化学療法薬である。いくつかの実施形態において、化学療法薬は、ドキソルビシン、イリノテカン及びスニチニブのうち少なくとも1つである。薬剤は、ドキソルビシン又はイリノテカンのうち少なくとも1つであってもよい。いくつかの実施形態において、化学療法薬は重合マイクロスフェアと会合する。いくつかの実施形態において、重合マイクロスフェアは液体に懸濁され、薬剤はこの懸濁液に、懸濁液1mL当たり約0.5mg〜約50mgの量で添加される。
【0086】
いくつかの実施形態において、生体材料を薬剤と接触する工程は、生体材料を薬剤の溶液に添加する工程を含む。いくつかの実施形態において、生体材料を薬剤の溶液に添加した後、薬剤の溶液を撹拌する。いくつかの実施形態において、薬剤の溶液は、薬剤を約10mg〜約50mgの量で含有する。いくつかの実施形態において、生体材料を薬剤の溶液と共に、約15分〜約2時間インキュベートする。いくつかの実施形態において、生体材料を薬剤の溶液と共に、少なくとも15、30、45、60、90、120又は180分間インキュベートする。
【0087】
治療方法
第3の態様において、本開示は、固形腫瘍に罹患した対象者の治療方法に関する。一実施形態において、固形腫瘍は肝腫瘍である。
【0088】
一実施形態において、この方法は、対象者に薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントを投与する工程を含む。
【0089】
一実施形態においては、対象者に薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントを投与することで、固形腫瘍に関連する血管が閉塞される。別の実施形態においては、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントを対象者に投与することで、固形腫瘍に化学療法薬が送達される。一実施形態においては、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントを対象者に投与することで、固形腫瘍に関連する血管が閉塞され及び固形腫瘍に化学療法薬が送達される。
【0090】
一実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントは、ポリマーを含む。一実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントは、酸化鉄粒子を含む。一実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントは、化学療法薬を含む。
【0091】
一実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントは、ポリマーと、酸化鉄粒子と、化学療法薬とを含む。
【0092】
一実施形態において、ポリマーは、アクリル酸ナトリウムなどのアクリレートを含む。他の実施形態において、ポリマーはビニルスルホネートを含む。他の実施形態において、ポリマーはAMPSを含む。いくつかの実施形態において、ポリマーは、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つを含む。
【0093】
別の実施形態において、ポリマーはコポリマーである。いくつかの実施形態において、コポリマーは、アクリル酸ナトリウムなどのアクリレートと、別のモノマーとを含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、ビニルスルホネートと、別のモノマーとを含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、AMPSと、別のモノマーとを含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、別のモノマーとを含む。いくつかの実施形態において、追加のモノマーは、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドなどのアクリルアミドを含む。
【0094】
別の実施形態において、ポリマーは更に架橋剤を含む。いくつかの実施形態において、架橋剤はN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドを含む。他の実施形態において、架橋剤は、1−(アクリロイルオキシ)−3−(メタクリロイルオキシ)−2−プロパノール、1,4−ジアクリロイルピペラジン、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ピペラジンジアクリレート、N,N’−ビスアクリリルシスタミン、又はN,N’−ジアリルタータージアミド(diallyl tartardiamide)を含んでもよい。
【0095】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、アクリレートと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。いくつかの実施形態において、ポリマーは、アクリル酸ナトリウムと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。他の実施形態において、ポリマーは、ビニルスルホネートと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。他の実施形態において、ポリマーは、AMPSと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。他の実施形態において、ポリマーは、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうち少なくとも1つと、N−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。
【0096】
ポリマーは、列挙したモノマー成分を、個別に、任意のアクリルアミド若しくは任意の架橋剤と共に、又はアクリルアミド及び架橋剤の両方と共に、含んでもよいことが理解される。したがって、アクリル酸ナトリウム、ビニルスルホネート、AMPS又はCEAのうちいずれか1つは、任意追加的に任意のアクリルアミド(例えばN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド)、及び任意追加的に任意の架橋剤(例えばN,N−メチレン−ビス−アクリルアミド)と共にポリマーを構成してもよい。
【0097】
いくつかの実施形態において、生体材料は酸化鉄粒子を含む。いくつかの実施形態において、生体材料はFe
3O
4を含む。いくつかの実施形態において、生体材料は酸化鉄ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態において、生体材料は超常磁性酸化鉄粒子を含む。いくつかの実施形態において、超常磁性酸化鉄粒子は酸化鉄ナノ粒子である。一実施形態において、生体材料はコロイド形態の酸化鉄を含む。いくつかの実施形態において、酸化鉄粒子はポリマーと会合している。いくつかの実施形態において、酸化鉄粒子はポリマーに組み込まれている。
【0098】
いくつかの実施形態において、生体材料は、0重量%〜90重量%のアクリル酸ナトリウムと、0重量%〜90重量%のビニルスルホネートと、0重量%〜90重量%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)と、0重量%〜90重量%のアクリル酸2−カルボキシエチル(CEA)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、0重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。
【0099】
関連実施形態において、生体材料は、5重量%〜50重量%のアクリル酸ナトリウムと、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。一実施形態において、生体材料は、5重量%〜50重量%のビニルスルホネートと、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。更なる実施形態において、生体材料は、5重量%〜50重量%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。更なる実施形態において、生体材料は、5重量%〜50重量%のアクリル酸2−カルボキシエチル(CEA)と、0.01重量%〜10重量%の酸化鉄と、10重量%〜50重量%のN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドと、1重量%〜30重量%のN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドとを含む。
【0100】
別の実施形態において、本方法は、対象者にMRIを実施する工程を更に含む。一実施形態において、対象者は、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントの体内での位置を決定するためにMRIを受ける。
【0101】
いくつかの実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントは、血管の閉塞に適した形状となるように成形される。いくつかの実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントは、1つ以上の微小粒子の形態である。いくつかの実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントは、1つ以上のマイクロスフェアの形態である。他の実施形態において、1つ以上のマイクロスフェアは実質的に球形である。いくつかの実施形態において、1つ以上のマイクロスフェアは、約15μm〜約1000μmの長軸を有する。いくつかの実施形態において、1つ以上のマイクロスフェアは、約100μm〜約800μmの長軸を有する。いくつかの実施形態において、1つ以上のマイクロスフェアは、約200μm〜約600μmの長軸を有する。いくつかの実施形態において、1つ以上のマイクロスフェアは、約100μm〜約300μmの長軸を有する。
【0102】
一実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントを対象者に投与する工程は、1つ以上のマイクロスフェアを、固形腫瘍に関連する血管の内腔に、カテーテルを通じて導入する工程を含む。一実施形態において、肝腫瘍のある対象者を治療するとき、大腿動脈又は上腕動脈を介してカテーテルを挿入し、蛍光透視による誘導下で動脈系を通して誘導することによって肝動脈へと進行させる。あるいは、又は追加して、カテーテルを挿入し、MRI誘導下で動脈系を通して挿入することによって進行させてもよい。カテーテルは、正常組織に供給する動脈樹をできるだけ多く残しながら、腫瘍に対する栄養血管を完全に遮断するために必要な深さまで肝動脈樹内を進行する。これは、肝動脈の区域枝の場合もあるが、胃十二指腸動脈の起点から遠位の肝動脈全体であるか、又は複数の別々の動脈である可能性もある。遮断が必要な動脈は、腫瘍及びその個々の血液供給の程度によって異なる。所望のカテーテル位置に達したならば、遮断すべき動脈の流れが停止するまで(例えば、5分間の観察後まで)、本明細書に記載の治療組成物を動脈カテーテルを通じ注射することによって、動脈を塞栓する。動脈の閉塞は、対象者にMRIを実施し、体内の薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントの位置を明らかにすることによって、及び/又はカテーテルを通して放射線不透過性造影剤を注射し、造影剤が充填されていた血管に造影剤がなくなっていることを蛍光透視又はX線フィルムで明らかにすることによって確認してもよい。閉塞させる各栄養動脈に同じ手順を繰り返してもよい。
【0103】
いくつかの実施形態において、薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントは、化学療法薬を含む。いくつかの実施形態において、化学療法薬は薬剤溶出性でMRI法で検出可能な血管閉塞用インプラントと放出可能に会合する。いくつかの実施形態において、化学療法薬はマイクロスフェアと放出可能に会合する。いくつかの実施形態において、化学療法薬はドキソルビシンである。いくつかの実施形態において、化学療法薬はイリノテカンである。いくつかの実施形態において、生体材料は液体に懸濁され、薬剤はこの懸濁液に、懸濁液1mL当たり約0.5mg〜約50mgの量で添加される。
【0104】
これらの実施形態を更に例証するため以下の例を示す。これらの実施形態は、特許請求される発明の範囲を限定することを意図するものでなく、発明の範囲は添付の請求項のみに基づいて決定されるべきである。
【実施例】
【0105】
実施例1−アクリル酸ナトリウムモノマーを使用したMRI法で検出可能なマイクロスフェアの調製
300mLの脱塩水が入ったビーカーに、58gの塩化ナトリウム及び27gの酢酸ナトリウムを溶解した。次に、400mLのグリセロールを添加し、溶液のpHを酢酸で5.9〜6.1に調節した。次に、90gのN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、19.4gのアクリル酸ナトリウム及び10gのN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドを添加した。水を添加して体積を1Lに調節し、このモノマー溶液を50℃に加熱した。
【0106】
別に、25mLの酸化鉄の懸濁液(フェルカルボトラン−0.5mol Fe/Lに相当)を濾過した。全てのモノマーが溶解した後、モノマー溶液を濾過し、酸化鉄の濾過溶液を20mLの70mg/mL過硫酸アンモニウム溶液と共に添加した。得られた溶液を、3mLのArlacel 83(セスキオレイン酸ソルビタン)と4mLのTEMED(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)とを含有する60℃、4Lのパラフィン油に、撹拌下で素早く注ぎ入れた。
【0107】
懸濁液を60℃で45分間放置した後、デカンテーションによってマイクロスフェアを回収し、60℃の水及び生理食塩水で洗浄し、過剰な油を除去した。
【0108】
続いて、マイクロスフェアを異なる粒径範囲に篩分けした。続いて、篩分けたマイクロスフェアを生理食塩水中に保管した。
図1は、実施例1で得られたマイクロスフェアの粒径分布を示すヒストグラムである。X軸はマイクロスフェアの粒径を示し、Y軸は所与の粒径ビンのマイクロスフェアの割合(%)を示す。
【0109】
実施例1で得られたマイクロスフェアに粒度分析を実施した。図に示すように、実施例1で形成された篩分けしたマイクロスフェアは、約200μmの特定の粒度分布に入る。粒度測定実験の結果を表1に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
実施例1で得られたマイクロスフェアを、更に、画像解析用コンピュータに接続した顕微鏡を用いて顕微鏡検査した。実施例1の顕微鏡検査結果を
図2A及び2Bに示す。画像に示されるように、実施例1で形成されたマイクロスフェアは実質的に球形である。
【0112】
実施例2−アクリル酸ナトリウムモノマーを使用した更なるMRI法で検出可能なマイクロスフェアの調製
300mLの脱塩水が入ったビーカーに、58gの塩化ナトリウム及び27gの酢酸ナトリウムを溶解した。次に、400mLのグリセロールを添加し、溶液のpHを酢酸で5.9〜6.1に調節した。次に、90gのN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、70gのアクリル酸ナトリウム及び10gのN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドを添加した。水を添加して体積を1Lに調節し、このモノマー溶液を50℃に加熱した。
【0113】
別に、25mLの酸化鉄の懸濁液(フェルカルボトラン−0.5mol Fe/Lに相当)を濾過した。全てのモノマーが溶解した後、モノマー溶液を濾過し、酸化鉄の濾過溶液を20mLの70mg/mL過硫酸アンモニウム溶液と共に添加した。得られた溶液を、3mLのArlacel 83(セスキオレイン酸ソルビタン)と4mLのTEMED(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)とを含有する60℃、4Lのパラフィン油に、撹拌下で素早く注ぎ入れた。
【0114】
懸濁液を60℃で45分間放置した後、デカンテーションによってマイクロスフェアを回収し、60℃の水及び生理食塩水で洗浄し、過剰な油を除去した。
【0115】
続いて、マイクロスフェアを異なる粒径範囲に篩分けした。続いて、篩分けしたマイクロスフェアを、等部数のエタノールと水との溶液中に保管した。
【0116】
実施例3−薬剤の質量を変えた、実施例2のMRI法で検出可能なマイクロスフェアの薬剤負荷
実施例2で合成したマイクロスフェアが2mL入ったバイアル瓶を、生理食塩水溶液(0.9% NaCl)で2回洗浄した。余分な上清を除去し、8mLのドキソルビシン(Yick Vicロット番号IF−DO−071116)溶液を各バイアル瓶に添加した。各バイアルに異なる濃度のドキソルビシンを添加し、1本のバイアル瓶には25mg、1本には50mg、1本には75mg、1本には100mgのドキソルビシンが入るようにした。ドキソルビシンの添加後、バイアル瓶を最初の10分間、1分毎に撹拌した。15、30、45、60、90、120及び180分後に、各バイアル瓶から150μLの上清試料を採取した。
【0117】
上清中のドキソルビシンの濃度を、逆相高速液体クロマトグラフィー(Uptisphere C18カラム、150mm×4.6mm)で分析した。溶出相は、水中に30%(v/v)のアセトニトリル及び0.1%(v/v)のトリフルオロ酢酸から構成した。UV検出は、λ
max 480nmで実施した。
【0118】
負荷効率は、次式を用いて計算した:
【0119】
【数1】
ここで、時間tにおける質量=時間tにおける濃度×時間tにおける溶液の体積。
【0120】
実験結果を
図3に示す。X軸は、生体材料をドキソルビシン溶液と共にインキュベートした時間を示し、Y軸は、溶液中で生体材料と会合したドキソルビシンの割合(%)を示す。図に示すように、3時間以下で、様々な量の薬剤ドキソルビシンがマイクロスフェアに負荷されている。いくらかの量は、非常に短時間で負荷された。例えば、約80%以上の負荷が、15分以下で達成された。
【0121】
実施例4−薬剤の質量を変えた、実施例2のMRI法で検出可能なマイクロスフェアの薬剤負荷及び放出動態
MRI法で検出可能なマイクロスフェアの負荷及び放出動態の両方を明らかにするため、実施例2で得られたマイクロスフェアに25又は50mgの製薬グレードのドキソルビシンを負荷した。
【0122】
実施例2のマイクロスフェアを2mL含有するバイアル瓶から余分な上清を除去し、8mLのドキソルビシン(Adriblastin、Pfizer、ロット番号8PL007−H)溶液を各バイアル瓶に添加した。ドキソルビシンの添加後、バイアル瓶を最初の10分間、1分毎に撹拌した。15、30、45、60、90及び120分後に、各バイアル瓶から100μLの上清試料を採取した。
【0123】
上清中のドキソルビシンの濃度を、逆相高速液体クロマトグラフィー(YMC C18カラム、250mm×4.6mm)で分析した。溶出相は、54%(v/v)の水、29%(v/v)のアセトニトリル、17%(v/v)のメタノール、2mL/Lのリン酸及び1g/Lのドデシル硫酸ナトリウムからなっていた(pHは3.6に調節)。UV検出は、λ
max 480nmで実施した。
【0124】
負荷効率は、次式を用いて計算した:
【0125】
【数2】
ここで、時間tにおける質量=時間tにおける濃度×時間tにおける溶液の体積。
【0126】
図4は、この実験の負荷挙動を示し、これは実施例3のデータを裏付ける。X軸は、生体材料をドキソルビシン溶液と共にインキュベートした時間を示し、Y軸は、溶液中で生体材料と会合したドキソルビシンの割合(%)を示す。
【0127】
透析膜モデルを使用して、マイクロスフェアからのドキソルビシン放出の経時変化を分析した。このモデルは、塞栓の測定の際の、脈管構造からの圧力及び流量をシミュレートしないものの、インビボでの塞栓は血流を妨げ、薬剤放出は拡散現象により生じることから、薬剤放出の測定には適したモデルである。
【0128】
生分解性マイクロスフェアからのペプチドの放出を試験した透析実験で過去に得られた結果は、抽出法を用いた実験で得られたデータよりもインビボでの放出の開始及び持続の予測に優れたが、全体的なインビトロでの放出速度は、予測されたインビボでの放出よりもやや遅かった(J W Kotanski,P.P.DeLuca,AAPS PharSciTech,2000,article 4参照、この文献の全体を参照により本明細書に援用する)。本実施例のマイクロスフェアは非分解性マイクロスフェアであり、透析モデルは、インプラントされたマイクロスフェアの塞栓処理後の放出挙動をシミュレートするのに最も適していることが見出された。
図5A及び5Bは、代表的な透析膜モデル実験の模式図を示す。
【0129】
この研究は室温で実施した。実施例2で得られた薬剤負荷したMRI法で検出可能なマイクロスフェア2mLを、3mLの透析膜(Spectra Por透析膜−MWCO 100,000Da)に導入し、これを続いて250mLの生理食塩水を満たした250mLメスシリンダーに入れた。約150μLの生理食塩水溶液を、この250mLのリザーバから定期的にサンプリングし、薬剤含有量を実施例3に記載の通りにHPLCによって分析した。実験結果を
図6に示す。X軸は、生体材料を透析した時間を示し、Y軸は、生体材料から放出された、もともと生体材料と会合していたドキソルビシンの割合(%)を示す。
【0130】
実施例5−ビニルスルホネートモノマーを使用したMRI法で検出可能なマイクロスフェアの調製
300mLの脱塩水が入ったビーカーに、58gの塩化ナトリウム及び27gの酢酸ナトリウムを溶解した。次に、400mLのグリセロールを添加し、溶液のpHを酢酸で5.9〜6.1に調節した。次に、90gのN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、26.8gのビニルスルホン酸ナトリウム及び10gのN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドを添加した。水を添加して体積を1Lに調節し、このモノマー溶液を50℃に加熱した。
【0131】
別に、25mLの酸化鉄の懸濁液(フェルカルボトラン−0.5mol Fe/Lに相当)を濾過した。全てのモノマーが溶解した後、モノマー溶液を濾過し、この酸化鉄の濾過溶液を20mLの70mg/mL過硫酸アンモニウム溶液と共に添加した。得られた溶液を、3mLのArlacel 83(セスキオレイン酸ソルビタン)と4mLのTEMED(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)とを含有する60℃、4Lのパラフィン油に、撹拌下で素早く注ぎ入れた。
【0132】
懸濁液を60℃で45分間放置した後、デカンテーションによってマイクロスフェアを回収し、60℃の水及び生理食塩水で洗浄し、過剰な油を除去した。
【0133】
続いて、マイクロスフェアを異なる粒径範囲に篩分けした。続いて、篩分けたマイクロスフェアを生理食塩水中に保管した。
図7は、実施例5で得られたマイクロスフェアの粒度分布を示すヒストグラムである。X軸はマイクロスフェアの粒径を示し、Y軸は所与の粒径ビンのマイクロスフェアの割合(%)を示す。
【0134】
実施例5で得られたマイクロスフェアに粒度分析を実施した。図に示すように、実施例5で形成された篩分けしたマイクロスフェアは、約100μm〜約300μmの特定の粒度分布に入る。粒度測定実験の結果を表2に示す。
【0135】
【表2】
【0136】
実施例5で得られたマイクロスフェアを、更に、画像解析用コンピュータに接続した顕微鏡を用いて顕微鏡検査した。実施例5の顕微鏡検査結果を
図8A、8B、8C及び8Dに示す。画像に示されるように、実施例5で形成されたマイクロスフェアは実質的に球形である。
【0137】
実施例6−AMPSモノマーを使用したMRI法で検出可能なマイクロスフェアの調製
300mLの脱塩水が入ったビーカーに、58gの塩化ナトリウム及び27gの酢酸ナトリウムを溶解した。次に400mLのグリセロールを添加した。次に、90gのN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、42.7gのAMPS及び10gのN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドを添加した。水を添加して体積を1Lに調節し、このモノマー溶液を50℃に加熱した。
【0138】
別に、25mLの酸化鉄の懸濁液(フェルカルボトラン−0.5mol Fe/Lに相当)を濾過した。全てのモノマーが溶解した後、溶液のpHを水酸化ナトリウムで5.9〜6.1に調節した。モノマー溶液を濾過し、この酸化鉄の濾過溶液を20mLの70mg/mL過硫酸アンモニウム溶液と共に添加した。得られた溶液を、3mLのArlacel 83(セスキオレイン酸ソルビタン)と4mLのTEMED(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)とを含有する60℃、4Lのパラフィン油に、撹拌下で素早く注ぎ入れた。
【0139】
懸濁液を60℃で45分間放置した後、デカンテーションによってマイクロスフェアを回収し、60℃の水及び生理食塩水で洗浄し、過剰な油を除去した。
【0140】
続いて、マイクロスフェアを異なる粒径範囲に篩分けした。続いて、篩分けたマイクロスフェアを生理食塩水中に保管した。
図9は、実施例6で得られたマイクロスフェアの粒度分布を示すヒストグラムである。X軸はマイクロスフェアの粒径を示し、Y軸は所与の粒径ビンのマイクロスフェアの割合(%)を示す。
【0141】
実施例6で得られたマイクロスフェアに粒度分析を実施した。図に示すように、実施例6で形成された篩分けしたマイクロスフェアは、約100μm〜約300μmの特定の粒度分布に入る。粒度測定実験の結果を表3に示す。
【0142】
【表3】
【0143】
実施例6で得られたマイクロスフェアを、更に、画像解析用コンピュータに接続した顕微鏡を用いて顕微鏡検査した。実施例6の顕微鏡検査結果を
図10A及び10Bに示す。画像に示されるように、実施例6で形成されたマイクロスフェアは実質的に球形である。
【0144】
実施例7−CEAモノマーを使用したMRI法で検出可能なマイクロスフェアの調製
300mLの脱塩水が入ったビーカーに、58gの塩化ナトリウム及び27gの酢酸ナトリウムを溶解した。次に400mLのグリセロールを添加した。次に、90gのN−[トリス−(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、29.7gのCEA及び10gのN,N−メチレン−ビス−アクリルアミドを添加した。水を添加して体積を1Lに調節し、このモノマー溶液を50℃に加熱した。
【0145】
別に、25mLの酸化鉄の懸濁液(フェルカルボトラン−0.5mol Fe/Lに相当)を濾過した。全てのモノマーが溶解した後、溶液のpHを水酸化ナトリウム及び酢酸で5.9〜6.1に調節した。モノマー溶液を濾過し、酸化鉄の濾過溶液を20mLの70mg/mL過硫酸アンモニウム溶液と共に添加した。得られた溶液を、3mLのArlacel 83(セスキオレイン酸ソルビタン)と4mLのTEMED(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)とを含有する60℃、4Lのパラフィン油に、撹拌下で素早く注ぎ入れた。
【0146】
懸濁液を60℃で45分間放置した後、デカンテーションによってマイクロスフェアを回収し、60℃の水及び生理食塩水で洗浄し、過剰な油を除去した。
【0147】
続いて、マイクロスフェアを異なる粒径範囲に篩分けした。続いて、篩分けたマイクロスフェアを生理食塩水中に保管した。
図11は、実施例7で得られたマイクロスフェアの粒度分布を示すヒストグラムである。X軸はマイクロスフェアの粒径を示し、Y軸は所与の粒径ビンのマイクロスフェアの割合(%)を示す。
【0148】
実施例7で得られたマイクロスフェアに粒度分析を実施した。図に示すように、実施例7で形成された篩分けしたマイクロスフェアは、約100μm〜約300μmの特定の粒度分布に入る。粒度測定実験の結果を表4に示す。
【0149】
【表4】
【0150】
実施例7で得られたマイクロスフェアを、更に、画像解析用コンピュータに接続した顕微鏡を用いて顕微鏡検査した。実施例9の顕微鏡検査結果を
図12A及び12Bに示す。画像に示されるように、実施例7で形成されたマイクロスフェアは実質的に球形である。
【0151】
実施例8−実施例1、5、6及び7のMRI法で検出可能なマイクロスフェアの薬剤(ドキソルビシン)負荷
実施例1、5、6及び7で合成したマイクロスフェアを2mL含有するバイアル瓶から余分な上清を除去し、8mLのドキソルビシン(Adriblastin、Pfizer、50mg)溶液を各バイアル瓶に添加した。ドキソルビシンの添加後、バイアル瓶を最初の10分間、1分毎に撹拌した。15、30、45、60、90及び120分後に、各バイアル瓶から100μLの上清試料を採取した。
【0152】
上清中のドキソルビシンの濃度を、実施例4に記載の手順に従って分析した。実験結果を
図13に示す。X軸は、生体材料をドキソルビシン溶液と共にインキュベートした時間を示し、Y軸は、溶液中で生体材料と会合したドキソルビシンの割合(%)を示す。
【0153】
実施例9−実施例1、5、6及び7のMRI法で検出可能なマイクロスフェアの薬剤(ドキソルビシン)放出
この研究は室温で実施した。実施例8で得られた薬剤負荷したMRI法で検出可能なマイクロスフェア2mLを(2時間の負荷後に)、ビーカー内の500mLの生理食塩水及び10mMのMES(モルホリノエタンスルホン酸)に入れた。約100μLの上清を定期的にサンプリングし、薬剤含有量を実施例8に記載の通りにHPLCによって分析した。
【0154】
放出を、次式を用いて計算した:
【0155】
【数3】
ここで、時間tにおける質量=時間tにおける濃度×時間tにおける溶液の体積。
【0156】
実験結果を
図14に示す。X軸は、生体材料を透析した時間を示し、Y軸は、生体材料から放出された、もともと生体材料と会合していたドキソルビシンの割合(%)を示す。
【0157】
実施例10−実施例1、5、6及び7のMRI法で検出可能なマイクロスフェアの薬剤(イリノテカン)負荷
実施例1、5、6及び7で合成したマイクロスフェアを2mL含有するバイアル瓶から余分な上清を除去し、5mLのイリノテカン(Campto、Pfizer、100mg)溶液を各バイアル瓶に添加した。イリノテカンの添加後、バイアル瓶を最初の10分間、1分毎に撹拌した。15、30、45、60、90及び120分後に、各バイアル瓶から100μLの上清試料を採取した。
【0158】
上清中のイリノテカンの濃度を、逆相高速液体クロマトグラフィー(Uptisphere CN Interchimカラム、250mm×4.0mm)で分析した。溶出相は、70%(v/v)の水(0.1%のTFA(トリフルオロ酢酸)含有)及び30%(v/v)のアセトニトリルからなった。UV検出は、λ
max 275nmで実施した。
【0159】
負荷効率は、実施例8と同じ式を用いて計算した。
【0160】
実験結果を
図15に示す。X軸は、生体材料をイリノテカン溶液と共にインキュベートした時間を示し、Y軸は、溶液中で生体材料と会合したイリノテカンの割合(%)を示す。
【0161】
実施例11−実施例1、5、6及び7のMRI法で検出可能なマイクロスフェアの薬剤(イリノテカン)放出動態
透析膜モデルを用いて、実施例4と同様に、マイクロスフェアからのイリノテカンの放出の経時変化を分析した。
【0162】
この研究は室温で実施した。実施例1、5、6及び7で得られた薬剤負荷したMRI法で検出可能なマイクロスフェア2mLを、12mLの透析膜(Slide−A−Lyzer、Thermo Fisher−MWCO 20,000Da)に入れ、続いてこれを500mLの生理食塩水を満たした600mL目盛付ビーカーに、低速撹拌下で加えた。約100μLの生理食塩水溶液を、この500mLのリザーバから定期的にサンプリングし、薬剤含有量を実施例10に記載の通りにHPLCによって分析した。
【0163】
放出を、実施例9と同じ式を用いて計算した。
【0164】
実験結果を
図16に示す。X軸は、生体材料を透析した時間を示し、Y軸は、生体材料から放出された、もともと生体材料と会合していたイリノテカンの割合(%)を示す。
【0165】
本発明の基礎となる原理から逸脱することなく上記の実施形態の細部に多数の変更を加えることができることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の請求項によってのみ決定されるべきである。