(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
この説明のための用語「多糖」は、少なくとも10の単糖モノマーを含有する化合物を意味する(Pure & Applied Chemistry, 1995, 67, 1360)。
この説明の意味での用語「エステル化された」および「エステル」は、構造単位-C(=O)-O-を有する化合物を表している(Pure & Applied Chemistry, 1995, 67, 1334)。
好ましい実施態様において、ジカルボン酸は生理的ジカルボン酸であり、トリカルボン酸は生理的トリカルボン酸である。
この説明の意味での用語「生理的ジカルボン酸」および/または「生理的トリカルボン酸」は、ヒト代謝において生じるジカルボン酸および/またはトリカルボン酸を表している。ここで挙げられ得る例には、クレブス回路の生理学的ジカルボン酸およびトリカルボン酸が含まれる。
この説明の意味での用語「ジカルボン酸」は2つの酸基(カルボキシル基、-COOH)を有する有機化合物を表し、用語「トリカルボン酸」は3つの酸基を有する有機化合物を表している。酸基は荷電していない、すなわち、-COOH(カルボキシル)として存在するかまたはアニオンである、すなわち、-COO-(カルボキシレート)として脱プロトンしている場合がある。
酸基がアニオンのカルボキシレートとして存在する場合には、カチオンの対イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムのカチオン)と塩を形成し得る。
ジカルボン酸は、好ましくは、シュウ酸、オキサル酢酸、ケトグルタル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸を含む群から選ばれる。他の好ましい実施態様において、ジカルボン酸は、シュウ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、マレイン酸またはコハク酸である。マレイン酸およびコハク酸が特に好ましい。
【0008】
トリカルボン酸は、好ましくはクエン酸またはイソクエン酸、特にクエン酸である。
本発明の多糖は、同じかまたは異なる単糖モノマーから構成され得る。本発明の多糖は、好ましくは同じ単糖モノマーから構成される。グルコースが特に好ましい。
しかしながら、多糖は、グルコースまたはフルクトース以外の単糖モノマーから構成され得る。当業者は、典型的な単糖モノマーをよく知っている。
本発明における多糖の単糖モノマーは、好ましくはグリコシド結合によって結合される。
本発明の多糖は架橋され得る。典型的な架橋剤は当業者に周知である。ここでは一例としてエピクロロヒドリンやジイソシアネートの化合物が挙げられ得る。本発明の多糖には架橋されないことが特に好ましい。
本発明の多糖の平均分子量は、好ましくは2000〜30,000g/モル、より好ましくは2500〜26,000g/モル、更により好ましくは3000〜22,000g/モル、更により好ましくは3500〜20,000g/モル、最も好ましくは4000〜18,000g/モル、特に5000〜15,000g/モルである。
他の好ましい実施態様において、本発明の多糖の平均分子量は、15,000〜25,000g/モル、特に18,000〜22,000g/モルである。
本発明の多糖は、10〜170、より好ましくは11〜130、更により好ましくは12〜100、最も好ましくは13〜80、特に14〜50の平均重合度を有する。
他の好ましい実施態様において、本発明の多糖の平均重合度は、80〜140、好ましくは85〜135、より好ましくは90〜130、最も好ましくは95〜125、特に100〜120である。
本発明の多糖の7.5質量パーセント水溶液は、好ましくは>11.9mosm/L、より好ましくは≧12.5mosm/L、更により好ましくは≧13.0mosm/L、最も好ましくは≧13.5mosm/L、特に≧14.0mosm/Lの理論オスモル濃度を有する。
【0009】
この説明のための用語「理論オスモル濃度」は、理論的に算出されたオスモル濃度を意味する。この値を算出する方法は、当業者によく知られている。
好ましい実施態様において、7.5質量パーセントの本発明の多糖溶液のコロイド浸透圧は、≧50mosm/Lまたは≧60mosm/L、より好ましくは≧70mosm/Lまたは≧80mosm/L、更により好ましくは≧90mosm/Lまたは≧100mosm/L、最も好ましくは≧110mosm/Lまたは≧120mosm/L、特に≧130mosm/Lまたは≧140mosm/Lである。
他の好ましい実施態様において、本発明の多糖の7.5質量パーセント溶液のコロイド浸透圧は、≧150mosm/Lまたは≧160mosm/L、より好ましくは≧170mosm/Lまたは≧180mosm/L、更により好ましくは≧190mosm/Lまたは≧200mosm/L、最も好ましくは≧210mosm/Lまたは≧220mosm/L、特に≧230mosm/Lまたは≧240mosm/Lである。
他の好ましい実施態様において、本発明の多糖の7.5質量パーセント溶液のコロイド浸透圧は、50〜500mosm/L、より好ましくは75mosm/L〜400mosm/L、更により好ましくは100〜300mosm/L、最も好ましくは110mosm/L〜275mosm/L、特に120mosm/L〜250mosm/Lである。
他の好ましい実施態様において、本発明の多糖の7.5質量パーセント溶液のコロイド浸透圧は、100〜500mosm/L、より好ましくは100mosm/L〜400mosm/L、更により好ましくは100〜350mosm/L、最も好ましくは100mosm/L〜325mosm/L、特に100mosm/L〜290mosm/Lである。
【0010】
この説明のための用語「コロイド浸透圧」は、浸透圧と膨張圧から構成される、溶液の実験的に測定された浸透圧を意味する。当業者は、この値の適切な実験測定方法をよく知っている。
本発明の多糖の7.5質量パーセント水溶液のオスモル濃度は、好ましくは>16mosm/kg、より好ましくは≧18mosm/kgは、更により好ましくは≧20mosm/kg、最も好ましくは≧22mosm/kg、特に≧25mosm/kgである。
この説明のための用語「オスモル濃度」は、凝固点の低下に基づいて実験的に測定される溶液のオスモル濃度を意味する。当業者は、凝固点の低下を測定する方法をよく知っている。
凝固点の低下に基づいて実験的に測定された本発明の多糖の7.5質量パーセント水溶液のオスモル濃度は、好ましくは>15mosm/L、より好ましくは≧17mosm/L、更により好ましくは≧19mosm/L、最も好ましくは≧21mosm/L、特に≧23mosm/Lである。本発明の多糖は、上記のジカルボン酸および/またはトリカルボン酸でエステル化される。本発明の多糖は、0.01〜3、好ましくは0.05〜2.5、より好ましくは0.1〜2、最も好ましくは0.25〜1.5、特に0.5〜1の置換度を有する。
他の好ましい実施態様において、本発明の多糖は、0.02±0.01または0.05±0.025、より好ましくは0.1±0.05、更により好ましくは0.5±0.25、最も好ましくは1±0.5、特に1.5±0.75の置換度を有する。
特に好ましい実施態様において、本発明の多糖は、0.02±0.005または0.05±0.0125、より好ましくは0.1±0.025、更により好ましくは0.5±0.125、最も好ましくは1±0.25、特に1.5±0.375の置換度を有する。
【0011】
本発明の多糖は、好ましくは、医薬品、特に非経口投与用の薬剤溶液の張性を調整する浸透圧剤として適している。
好ましい実施態様において、本発明の多糖は、透析治療、好ましくは血液透析治療および/または腹膜透析治療において用いられる。
本発明の多糖は、特に腹膜透析治療に用いるのに適している。
本発明の他の主題は、本発明の多糖の合成方法であって、
a. 多糖と第1の有機溶媒とを混合する工程、
b. 工程a.において得られた分散液または溶液とジカルボン酸無水物および/またはトリカルボン酸無水物とを混合する工程
を含む前記方法に関する。
ステップa.において用いられる多糖は、好ましくは分解されたデンプンである。
好ましい実施態様において、工程b.において得られた溶液または分散液にエステル化反応を加速する触媒が添加される。この触媒は、好ましくは求核触媒、好ましくは4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)である。当業者は、同様の活性を有する他の触媒をよく知っている。
更に、塩基、好ましくはアミン塩基、例えば、トリエチルアミンも添加され得る。当業者は、他のアミン塩基をよく知っている。
触媒は、好ましくは、触媒量で添加される、すなわち、触媒(例えば、DMAP)と酸無水物との物質量比が、好ましくは≦1:10または≦1:25、より好ましくは≦1:50または≦1:75、更により好ましくは≦1:75または≦1:100、最も好ましくは≦1:250、特に≦1:500である。
【0012】
工程b.の後、反応混合物は高温で撹拌され得る。温度は、好ましくは40〜80℃、より好ましくは50〜70℃、更により好ましくは55〜65℃、特に60℃である。
好ましい実施態様において、工程b.において得られた反応混合物は1〜12時間、より好ましくは2〜8時間、更により好ましくは4〜6時間、特に5時間撹拌される。
酸無水物と多糖との物質量比は、好ましくは0.1〜5モル/AGU、より好ましくは0.2〜4モル/AGU、更により好ましくは0.3〜3モル/AGU、最も好ましくは0.4〜2モル/AGU、特に0.5〜1モル/AGUである。
他の好ましい実施態様において、物質量比は、0.1〜2.5モル/AGU、より好ましくは0.2〜1.75モル/AGU、更により好ましくは0.3〜1.5モル/AGU、最も好ましくは0.4〜1.25モル/AGU、特に0.5〜0.75モル/AGUである。
この説明の意味での略号「AGU」は、「無水グルコース単位」を表している。当業者は、この標準用語をよく知っている。
第2の有機溶媒を添加することによって沈殿が誘導され得る場合、本発明の多糖は沈殿によって溶液または分散液から分離され得る。
沈殿は、好ましくは、本発明の多糖第1の有機溶媒への溶解度が第2の有機溶媒または第1と第2の有機溶媒の混合物への溶解度よりも高いという事実のために行われる。
第1の有機溶媒は、多糖が溶解または分散させられ得る有機溶媒であり得る。好ましい実施態様において、第1の有機溶媒は、ジメチルスルホキシドまたはジメチルアセトアミドまたはこれらの混合物である。ジメチルスルホキシドが特に好ましい。
【0013】
第2の有機溶媒は、本発明の多糖が第1の有機溶媒よりも低い溶解度を有する有機溶媒であり得る。
第2の有機溶媒は、好ましくはアルコール溶媒-好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールまたはブタノール-またはケトン溶媒-好ましくはアセトンまたはエチルメチルケトンである。アルコール溶媒としてエタノールが特に好ましい。ケトン溶媒としてアセトンが特に好ましい。
ジメチルスルホキシドが第1の有機溶媒として用いられる場合には、沈殿のための第2の有機溶媒としてエタノールが用いられることが特に好ましい。
ジメチルアセトアミドが第1の有機溶媒として用いられる場合には、沈殿のための第2の有機溶媒としてアセトンが用いられることが特に好ましい。
本発明の多糖を沈殿させた後、分離は、好ましくは、沈殿させた沈殿物をろ過することによって行われる。
ろ過した沈殿物を、好ましくは乾燥させる。この乾燥工程は、好ましくは、高温(好ましくは40℃)および減圧下(好ましくは真空中)で行われる。
特に好ましい実施態様において、本発明の多糖の合成方法は、下記の工程:
- 多糖-好ましくは分解されたデンプン-とジメチルスルホキシドおよび/またはジメチルアセトアミドとを混合する工程、
- ジカルボン酸無水物および/またはトリカルボン酸無水物、求核触媒および必要によりアミン塩基を添加する工程、
- 混合物を20〜80℃の温度で2〜12時間撹拌する工程、
- アルコール溶媒またはケトン溶媒を添加して、エステル化多糖の沈殿を誘導する工程 - 沈殿物をろ過する工程、
- 沈殿物を乾燥させる工程
を含む。
【0014】
特に好ましい実施態様において、本発明の多糖の合成方法は、下記の工程:
- 多糖とジメチルスルホキシドまたはジメチルアセトアミドとを混合する工程、
- ジカルボン酸無水物および/またはトリカルボン酸無水物、DMAPおよび必要によりトリエチルアミンを添加する工程、
- 混合物を50〜70℃の温度で3〜7時間撹拌する工程、
- 溶媒がジメチルスルホキシドである場合にはエタノールを添加するかまたは溶媒がジメチルアセトアミドである場合にはアセトンを添加して、本発明の多糖の沈殿を誘導する工程
- 沈殿物をろ過する工程、および
- 沈殿物を乾燥させる工程
を含む。
本発明の他の主題は、少なくとも1つの本発明の多糖を含有する透析液に関する。
好ましい実施態様において、本発明の透析液は、血液透析液または腹膜透析液である。
本発明の透析液は、特に腹膜透析液である。
透析治療に用いられる剤形は、好ましくは多成分系の濃縮物またはすぐに使える透析液である。
本発明のための用語「透析液」は、そのままで投与に適している、透析治療にすぐに使える剤形、すなわち、液体製剤を意味する。特に、透析液は、投与前に希釈される必要がなくかつ/または他の製剤と混合する必要もない。
【0015】
上記の透析液と対照的に、液体、半固体または固体の形態で存在し得る濃縮物は、投与される前に水または水溶液で希釈されるかまたは水または水溶液に溶解される。同様に、多成分系の成分は、投与される前に一緒に混合して、すぐに使える透析液を得なければならない。したがって、濃縮物および多成分系は、本発明の透析液に対する前駆体と考えられ得る。
本発明の透析液は、好ましくは血液透析液または腹膜透析液である。血液透析液および腹膜透析液は、通常は本質的に血漿電解質濃度に対応する濃度で電解液を含有する。電解液には、通常はナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンおよび塩化物イオンが含まれる。
透析液は、通常は生理的に許容できるpHを有する。これは、好ましくは、全電解質含量に関与し得る緩衝剤(緩衝系)によって達成される。緩衝剤は、好ましくは重炭酸塩、乳酸塩またはピルビン酸塩である。
更にまた、透析液は、通常は生理的に許容できるオスモル濃度を有する。これは、通常は、所望の濃度で浸透圧的に活性な化合物(浸透圧物質)として生理的に許容できる、透析液および本発明の多糖に含有される電解液によって達成される。
本発明の透析液は、好ましくは200〜550mosm/Lの範囲にあるオスモル濃度を有する。
本発明の透析液が血液透析液である場合には、オスモル濃度は、好ましくは200〜350mosm/Lまたは210〜340mosm/L、より好ましくは220〜330mosm/L、更により好ましくは230〜320mosm/L、最も好ましくは240〜310mosm/L、特に250〜300mosm/Lである。当業者は、オスモル濃度および浸透圧を測定する方法をよく知っている。例えば、これらの圧力は、膜浸透圧計の援助によりまたは他の適切な測定方法によって決定され得る。
【0016】
本発明の透析液が腹膜透析液である場合には、オスモル濃度は、好ましくは200〜570mosm/Lまたは210〜560mosm/L、より好ましくは220〜550mosm/L、更により好ましくは230〜540mosm/L、最も好ましくは240〜530mosm/L、特に250〜520mosm/Lである。好ましい実施態様において、オスモル濃度は、250±50mosm/Lまたは250±45mosm/L、より好ましくは250±35mosm/L、更により好ましくは250±25mosm/L、最も好ましくは250±15mosm/L、特に250±10mosm/Lである。他の好ましい実施態様において、オスモル濃度は、300±50mosm/Lまたは300±45mosm/L、より好ましくは300±35mosm/L、更により好ましくは300±25mosm/L、最も好ましくは300±15mosm/L、特に300±10mosm/Lである。他の好ましい実施態様において、オスモル濃度は、350±50mosm/Lまたは350±45mosm/L、より好ましくは350±35mosm/L、更により好ましくは350±25mosm/L、最も好ましくは350±15mosm/L、特に300±10mosm/Lである。他の好ましい実施態様において、オスモル濃度は、400±50mosm/Lまたは400±45mosm/L、より好ましくは400±35mosm/L、更により好ましくは400±25mosm/L、最も好ましくは400±15mosm/L、特に300±10mosm/Lである。他の好ましい実施態様において、オスモル濃度は、450±50mosm/Lまたは450±45mosm/L、より好ましくは450±35mosm/L、更により好ましくは450±25mosm/L、最も好ましくは450±15mosm/L、特に450±10mosm/Lである。他の好ましい実施態様において、オスモル濃度は、500±50mosm/Lまたは500±45mosm/L、より好ましくは500±35mosm/L、更により好ましくは500±25mosm/L、最も好ましくは500±15mosm/L、特に500±10mosm/Lである。
【0017】
本発明の透析液は、室温(20〜23℃)で測定した、好ましくは4.0〜8.0、より好ましくは4.2〜7.5、更により好ましくは4.4〜6.8、最も好ましくは4.6〜6.0または4.8〜5.5、特に5.0〜5.2または5.0±0.1のpHを有する。好ましい実施態様において、pHは、4.8±1.0または4.8±0.8、より好ましくは4.8±0.7または4.8±0.6、更により好ましくは4.8±0.5または4.8±0.4、最も好ましくは4.8±0.3または4.8±0.2、特に4.8±0.1である。他の好ましい実施態様において、pHは、5.0±1.0または5.0±0.8、より好ましくは5.0±0.7または5.0±0.6、更により好ましくは5.0±0.5または5.0±0.4、最も好ましくは5.0±0.3または5.0±0.2、特に5.0±0.1である。他の好ましい実施態様において、pHは、5.2±1.0または5.2±0.8、より好ましくは5.2±0.7または5.2±0.6、更により好ましくは5.2±0.5または5.2±0.4、最も好ましくは5.2±0.3または5.2±0.2、特に5.2±0.1である。他の好ましい実施態様において、pHは、5.5±1.0または5.5±0.8、より好ましくは5.5±0.7または5.5±0.6、更により好ましくは5.5±0.5または5.5±0.4、最も好ましくは5.5±0.3または5.5±0.2、特に5.5±0.1である。他の好ましい実施態様において、pHは、6.0±1.0または6.0±0.8、より好ましくは6.0±0.7または6.0±0.6、更により好ましくは6.0±0.5または6.0±0.4、最も好ましくは6.0±0.3または6.0±0.2、特に6.0±0.1である。他の好ましい実施態様において、pHは、6.5±1.0または6.5±0.8、より好ましくは6.5±0.7または6.5±0.6、更により好ましくは6.5±0.5または6.5±0.4、最も好ましくは6.5±0.3または6.5±0.2、特に6.5±0.1である。他の好ましい実施態様において、pHは、7.0±1.0または7.0±0.8、より好ましくは7.0±0.7または7.0±0.6、更により好ましくは7.0±0.5または7.0±0.4、最も好ましくは7.0±0.3または7.0±0.2、特に7.0±0.1である。他の好ましい実施態様において、pHは、7.4±1.0または7.4±0.8、より好ましくは7.4±0.7または7.4±0.6、更により好ましくは7.4±0.5または7.4±0.4、最も好ましくは7.4±0.3または7.4±0.2、特に7.4±0.1である。他の好ましい実施態様において、pHは、8.0±1.0または8.0±0.8、より好ましくは8.0±0.7または8.0±0.6、更により好ましくは8.0±0.5または8.0±0.4、最も好ましくは8.0±0.3または8.0±0.2、特に8.0±0.1である。
【0018】
本発明の透析液は、本発明の多糖が上記のように定義されている1つ以上(例えば2つ、3つ、4つまたは5つ)の本発明の多糖を含有する。
本発明の透析液は、本発明の多糖を好ましくは0.001mM〜10Mまたは0.01〜1.0M、より好ましくは0.10〜500mM、更により好ましくは1.0〜250mM、最も好ましくは10〜100mM、特に25〜90mMの全濃度で含有する。好ましい実施態様において、全濃度は、25±24mM、より好ましくは25±20mM、更により好ましくは25±15mM、最も好ましくは25±10mM、特に25±5mMである。他の好ましい実施態様において、全濃度は、50±25mM、より好ましくは50±20mM、更により好ましくは50±15mM、最も好ましくは50±10mM、特に50±5mMである。他の好ましい実施態様において、全濃度は、75±25mM、より好ましくは75±20mM、更により好ましくは75±15mM、最も好ましくは75±10mM、特に75±5mMである。他の好ましい実施態様において、全濃度は、100±25mM、より好ましくは100±20mM、さらに更により好ましくは100±15mM、最も好ましくは100±10mM、特に100±5mMである。他の好ましい実施態様において、全濃度は、200±25mM、より好ましくは200±20mM、更により好ましくは200±15mM、最も好ましくは200±10mM、特に200±5mMである。全濃度は、好ましくは本発明の多糖の平均分子量に基づいて算出される。
【0019】
本発明の透析液は、本発明の多糖を好ましくは0.01g/L〜1.0kg/L、より好ましくは0.1〜750g/L、更により好ましくは1.0〜500g/L、最も好ましくは10〜250g/L、特に100〜200g/Lの全質量濃度で含有する。好ましい実施態様において、全質量濃度は、25±24g/L、より好ましくは25±20g/L、更により好ましくは25±15g/L、最も好ましくは25±10g/L、特に25±5g/Lである。他の好ましい実施態様において、全質量濃度は、50±25g/L、より好ましくは50±20g/L、更により好ましくは50±15g/L、最も好ましくは50±10g/L、特に50±5g/Lである。他の好ましい実施態様において、全質量濃度は、75±25g/L、より好ましくは75±20g/L、更により好ましくは75±15g/L、最も好ましくは75±10g/L、特に75±5g/Lである。他の好ましい実施態様において、全質量濃度は、100±25g/L、より好ましくは100±20g/L、更により好ましくは100±15g/L、最も好ましくは100±10g/L、特に100±5g/Lである。他の好ましい実施態様において、全質量濃度は、200±25g/L、より好ましくは200±20g/L、更により好ましくは200±15g/L、最も好ましくは200±10g/L、特に200±5g/Lである。
本発明の透析液は、また、他の浸透圧的に活性な物質、例えばグルコース、ポリグルコース、架橋グルコース、架橋ポリグルコース、マンニトールまたはグリセロールを含有し得る。
本発明の透析液は、好ましくは1つ以上の電解液を含有する。
本発明の意味での用語「電解液」は、自由イオンを含有しかつ電気伝導性を有する物質を表している。電解液は、好ましくは、水性組成物のpHを本質的に変えずにカチオンとアニオンに完全に解離する。この特性によって電解液が緩衝物質から区別される。電解液は、好ましくは水中で本質的に完全な解離を生じる濃度である。
【0020】
好ましい電解液は、アルカリ金属、例えばNa
+やK
+およびアルカリ土類金属、例えばCa
2+やMg
2+の群から選ばれる。好ましいアニオンは、Cl
-である。
本発明の透析液は、他のアニオン、例えば重炭酸アニオン、リン酸二水素アニオン、リン酸水素アニオン、リン酸アニオン、酢酸アニオン、乳酸アニオン、ピルビン酸アニオンを含有し得る。しかしながら、これらの緩衝能のために、これらのアニオンは(カチオンとの適切な組み合わせで)、本発明の意味では電解液と呼ばれず、代わりに緩衝剤と呼ばれる。
好ましい実施態様において、本発明の透析液はNa
+イオンを含有する。Na
+イオンの濃度は、好ましくは10〜200mMまたは50〜190mM、より好ましくは100〜180mMまたは110〜170mM、更により好ましくは115〜165mMまたは120〜160mM、最も好ましくは125〜155mM、特に130〜150mMである。他の好ましい実施態様において、本発明の透析液はNa
+イオンを含有しない。
好ましい実施態様において、本発明の透析液はK
+イオンを含有する。K
+イオンの濃度は、好ましくは0.10〜20mM、より好ましくは0.25〜15mM、更により好ましくは0.50〜10mM、最も好ましくは0.75〜7.5mM、特に1.0〜5.0mMである。他の好ましい実施態様において、K
+イオンの濃度は、1.0±0.75、2.0±0.75、3.0±0.75、4.0±0.75または5.0±0.75mM、特に1.0±0.50、2.0±0.50、3.0±0.50、4.0±0.50または5.0±0.50である。他の好ましい実施態様において、本発明の透析液はK
+イオンを含有しない。
【0021】
好ましい実施態様において、本発明の透析液はCa
2+イオンを含有する。Ca
2+イオンの濃度は、好ましくは0.1〜3mM、より好ましくは0.25〜2.75mM、更により好ましくは0.5〜2.5mM、最も好ましくは0.75〜2.25mM、特に1〜2mMである。他の好ましい実施態様において、Ca
2+イオンの濃度は、0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、1.75または2mMである。他の好ましい実施態様において、本発明の透析液はCa
2+イオンを含有しない。
好ましい実施態様において、本発明の透析液はMg
2+イオンを含有する。Mg
2+イオンの濃度は、好ましくは0.01〜1mM、より好ましくは0.05〜0.75mM、更により好ましくは0.1〜0.5mM、最も好ましくは0.15〜0.4mM、特に0.2〜0.3mMである。他の好ましい実施態様において、Mg
2+イオンの濃度は、0.05、0.075、0.1、0.2、0.25、0.50または0.75mMである。他の好ましい実施態様において、本発明の透析液はMg
2+イオンを含有しない。
好ましい実施態様において、本発明の透析液はCl
-イオンを含有する。Cl
-イオンの濃度は、好ましくは10〜300mM、より好ましくは25〜250mM、更により好ましくは50〜200mM、最も好ましくは75〜150mM、特に80〜125mMである。他の好ましい実施態様において、Cl
-イオンの濃度は、100±50mM、より好ましくは100±25mM、最も好ましくは100±10mM、特に96±4mMである。他の好ましい実施態様において、本発明の透析液はCl
-イオンを含有しない。
本発明の透析液は、好ましくは1つ以上の緩衝剤を含有する。
【0022】
当業者は、適切な緩衝剤をよく知っている。緩衝剤には、通常は乳酸塩、重炭酸塩、炭酸塩、リン酸二水素塩、リン酸水素塩、リン酸塩、ピルビン酸塩、クエン酸塩、イソクエン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、酢酸塩および乳酸塩が含まれる。当業者は、上記のアニオンの対応するカチオンがpHを調整するために用いられる緩衝剤の成分であることを知っている(例えば、緩衝液NaHCO
3の成分としてのNa
+)。しかしながら、緩衝塩が水中で解離する場合には、それは電解液の効果も有する。この説明のためのカチオンまたはアニオンの濃度および全イオン濃度は、これらが電解液、緩衝剤または他の化合物の成分として(例えば、本発明の多糖の塩として)用いられるかどうかにかかわらず算出される。
好ましい実施態様において、緩衝剤は、重炭酸塩を含有する。重炭酸塩は、充分に許容される緩衝系であり、アルカリ媒体中で炭酸塩と平衡にあり、酸性媒体中でH
2CO
3および/またはCO
2と平衡にある。重炭酸塩に加えて、pH 4〜pH 8のpH範囲、より好ましくはpH 5〜pH 7.6の範囲、特にpH 7.6、7.4、7.2および/または7.0の範囲で緩衝効果を有する場合には、例えば、体内で重炭酸塩に代謝され得る化合物、乳酸塩またはピルビン酸塩等を含む、他の緩衝系も使用し得る。
他の好ましい実施態様において、緩衝剤は、弱酸の塩、好ましくは乳酸を含有する。弱酸の酸強度(pK
s)は、好ましくは≦5である。緩衝剤は、また、緩衝効果を有する物質の混合物、例えば、重炭酸塩と弱酸の塩(乳酸等)を含有する混合物であり得る。低重炭酸塩濃度は、容器内のCO
2圧が低いという利点を有する。
【0023】
好ましい実施態様において、本発明の透析液は重炭酸塩によって緩衝される。重炭酸塩濃度は、好ましくは1.0〜200mM、より好ましくは2.5〜150mM、更により好ましくは5〜100mM、最も好ましくは5〜75mMまたは10〜50mM、特に20〜30mMである。他の好ましい実施態様において、重炭酸塩濃度は25mMである。他の好ましい実施態様において、本発明の透析液は重炭酸塩を含有しない。
好ましい実施態様において、本発明の透析液は乳酸塩によって緩衝される。乳酸濃度は、好ましくは1.0〜200mM、より好ましくは2.5〜150mM、更により好ましくは5〜100mM、最も好ましくは10〜50mMまたは10〜25mM、特に15mMである。他の好ましい実施態様において、本発明の透析液は乳酸塩を含有しない。
好ましい実施態様において、本発明の透析液は酢酸塩によって緩衝される。酢酸塩濃度は、好ましくは1.0〜100mM、より好ましくは1.0〜50mM、更により好ましくは1.0〜25mM、最も好ましくは1.0〜10mMまたは2.0〜7.5mM、特に2.5〜7.0mMである。他の好ましい実施態様において、本発明の透析液は酢酸塩を含有しない。
透析液の全容積は制限されない。容積は、通常は数リットル(患者に投与するのに適した容積)から数百リットル(一人よりも多い患者に適した保存容積)までである。
すでに上で説明した本発明の意味での用語「透析液」は、すぐに使える透析液であると理解される。すなわち、透析液は透析治療(血液透析または腹膜透析)のために直接用い得る。
好ましい実施態様において、本発明の透析液は、後述される腹膜透析液である。
【0024】
腹膜透析液は、腎不全を伴う代謝性アシドーシスを本質的に修正するように生化学的に調整される。腹膜透析液は、好ましくは重炭酸塩をほぼ生理的濃度で含有する。好ましい実施態様において、腹膜透析液は重炭酸塩を約20〜30mMの濃度で含有する。他の好ましい実施態様において、腹膜透析溶液は、25mMの重炭酸塩濃度を有する。
更にまた、腹膜透析液は、好ましくは、二酸化炭素を60mmHg未満の分圧(pCO
2)で含有する。好ましい実施態様において、腹膜透析液のpCO
2は、血管において測定したpCO
2と本質的に同様である。
更にまた、腹膜透析液は、好ましくは約7.4のpHを有する。それ故、腹膜透析液は、生理的に許容できる溶液である。
腹膜透析液は、好ましくは≦5のpK
sを有する弱酸を含有する。弱酸は、好ましくは糖代謝において生理的代謝産物として生じる化合物である。弱酸は、好ましくは乳酸、ピルビン酸、クエン酸、イソクエン酸、ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸およびオキサロ酢酸の酸からなる群から選ばれる。これらの酸は、単独でまたは混合物として腹膜透析液中に存在し得る。弱酸は、好ましくは、腹膜透析液を10〜20meq/Lの濃度で本質的にナトリウム塩として存在する。腹膜透析液において、弱酸は、好ましくは、1日約1meq/kgの1日の代謝水の産生に対応する量で存在する。
腹膜透析液は、上で定義した少なくとも1つの本発明の多糖を含有する。
本発明の腹膜透析液は、好ましくは、健康な腎臓が不充分でない患者において測定したような濃度の重炭酸塩を含有し且つpCO
2を有する。弱酸は、透析液から透析患者の血液に濃度勾配に沿って拡散するので、透析患者の代謝性アシドーシスを修正する。
【0025】
本発明の他の主題は、上記のすぐ使える透析液を調製するための多成分系に関する。調製は、好ましくは、詳細に記載されている方法で、すなわち、対応する指示(プロトコール)に従って行われる。前記調製は、手動で、例えば、個々の成分を混合するかまたは1つの成分を水で希釈することによって行われ得る。しかしながら、調製は、自動的に、例えばこのプロセスに適していて市販されているものでもよいデバイスを用いることにより行われ得る。調製は必ずしも(このままの)静的組成物を有する透析液につながる必要がなく、それよりも、その組成物の連続変化を受ける透析液につながってもよく、この変化は適切なデバイスによって監視し得る。例えば、本発明の多糖は、透析治療の間、連続して希釈される透析液中に存在し得るので、患者は低下する多糖濃度にさられる。
好ましい実施態様において、本発明の透析液は腎不全の治療に用いるのに適している。
他の好ましい実施態様において、本発明の透析液は透析治療に用いるのに適している。
他の好ましい実施態様において、本発明の透析液は血液透析および/または腹膜透析治療に用いるのに適している。
本発明の他の主題は、本発明の透析液の調製のために構成されているキットであって、キットが
- 第1の成分、
- 第2の成分、および
- 必要により1つ以上の他の成分
を含み、本発明の透析液が第1の成分と第2の成分および必要により追加の成分を混合することによって調製される、前記キットに関する。
【0026】
キットは、少なくとも第1の成分および第2の成分を含む。キットは、また、追加の成分、例えば、第3の成分や第4の成分を含み得る。キットは、好ましくは2つの成分から成り、これらは好ましくは相互に異なる。
本発明の意味での用語「成分」は、液体、半固体または固体組成物を含み、これらは同じでも相互に異なってもよく、ここで、本発明のすぐに使える透析液はキットのすべての成分を混合することによって得られる。単一成分は、好ましくは、すぐに使える透析液中に存在する一部の成分を含有する。
第1および第2の成分は、相互に独立して、固体、半固体または液体であり得る。成分が液体である場合には、これらは溶液または分散液(例えば、分散液または懸濁液)であり得る。
好ましい実施態様において、第1の成分は液体、好ましくは純水または水溶液であり、第2の成分も液体である。他の好ましい実施態様において、第1の成分は液体、好ましくは純水または水溶液であり、第2の成分は固体、好ましくは粉末状混合物である。
第1の成分は、好ましくは、浸透圧的に活性な物質(例えば、発明の多糖)、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ヒドロニウムイオンおよび塩化物イオンを含む溶液である。
本発明のキットは、さまざまな方法で設計され得る。例えば、個々の成分は、別々の容器(例えば、個々のバッグ)内に存在し得る。しかしながら、本発明のキットは、好ましくはマルチチャンバ容器システム(例えば、可撓性または剛性のマルチチャンバ容器システム)、好ましくは可撓性マルチチャンババッグシステムのような容器である。
【0027】
本発明のキットは、好ましくはマルチチャンバ容器システムであり、これには第1の成分、第2の成分および必要により1つ以上の追加成分がチャンバ内に含有され、これらは分離できるおよび/または切断できる分離システム(例えば、切断できる分離部)によって相互に分離され、ここで、本発明の透析液を得るために分離システムを剥離および/または切断した後に第1の成分、第2の成分および必要により1つ以上の追加成分が相互に混合され得る。
マルチチャンバ容器は、それぞれ個別の成分のための別々のチャンバを有するプラスチック容器(例えば、マルチチャンバプラスチックバッグ)の形であり得る。プラスチック容器は、好ましくは、パーティション要素によって相互に分離されるチャンバ内に個別の成分溶液を含有する。
マルチチャンバ容器は、好ましくは、第1のチャンバと第2のチャンバを有するプラスチック容器から成る2チャンババッグであり、これらのチャンバは分離できるおよび/または切断できる分離システムによって相互に分けられ得るものであり、第1のチャンバは第1の成分を含有し、第2のチャンバは第2の成分を含有する。分離システムの剥離および/または切断によって、混合されている2つの成分になり、すぐに使える透析液を形成する。第1のチャンバと第2のチャンバは、好ましくは容器内に相互に隣接して配置され、分離システムによって相互に分離される。分離システムは、好ましくは分離シーム(例えば分離できるか切断できる溶着部)である。分離シームは、好ましくは、圧力をチャンバの1つに加えることによって開放され、そこにおいて、分離シームが切断および/または分離し、2つのチャンバの内容物が混合され、混合物が透析治療においてすぐに使える透析液として使用し得る。
【0028】
本発明のキットの第1の成分は、好ましくは、酸を含有しかつ≦6.0のpHを有する滅菌液である; 第2の成分もまた好ましくは、緩衝剤を含有しかつ≧7.0のpHを有することが好ましい滅菌液である。
本発明の多糖は、第1の成分かまたは第2の成分中だけでなく同じかまたは異なる濃度の2つの成分中に含有され得る。好ましい実施態様において、本発明の多糖は、第1の(酸)成分にのみ含有される。他の好ましい実施態様において、本発明の多糖は、第2の(塩基)成分にのみ含有される。第1の成分および/または第2の成分および/または他の選択できる成分は、1つ以上の電解液だけでなく緩衝剤を含有し得る。
当業者は、個々の成分の混合が通常は成分が異なる濃度で成分を含有する場合の希釈作用を含むことを認識するであろう。例えば、本発明の多糖が成分の1つだけを含有する場合には、この成分と少なくとも1つの他の成分とを混合することによって、存在する本発明の多糖の量に関して容積が増加することになるので、希釈、すなわち、多糖濃度の低下につながる; その結果として、成分は、好ましくは、すぐに使える透析液より高い濃度で本発明の多糖を含有する。
成分中の本発明の多糖の濃度は、高温で貯蔵中の充分な安定性を確実にするために5℃の温度で好ましくはほぼ飽和濃度である。
【0029】
好ましい実施態様において、成分中の本発明の多糖の全質量濃度は、0.01g/L〜1.0kg/L、より好ましくは0.1〜750g/L、更により好ましくは1.0〜500g/L、最も好ましくは10〜250g/L、特に100〜200g/Lである。他の好ましい実施態様において、成分中の本発明の多糖の全質量濃度は、25±24g/L、より好ましくは25±20g/L、更により好ましくは25±15g/L、最も好ましくは25±10g/L、特に25±5g/Lである。他の好ましい実施態様において、成分中の本発明の多糖の全質量濃度は、50±25g/L、より好ましくは50±20g/L、更により好ましくは50±15g/L、最も好ましくは50±10g/L、特に50±5g/Lである。他の好ましい実施態様において、成分中の本発明の多糖の全質量濃度は、75±25g/L、より好ましくは75±20g/L、更により好ましくは75±15g/L、最も好ましくは75±10g/L、特に75±5g/Lである。
他の好ましい実施態様において、成分中の本発明の多糖の全質量濃度は、100±25g/L、より好ましくは100±20g/L、更により好ましくは100±15g/L、最も好ましくは100±10g/L、特に100±5g/Lである。他の好ましい実施態様において、成分中の本発明の多糖の全質量濃度は、200±25g/L、より好ましくは200±20g/L、更により好ましくは200±15g/L、最も好ましくは200±10g/L、特に200±5g/Lである。
好ましい実施態様において、第2の成分は本発明の多糖の全量および適切な緩衝剤を含有し、これは第2の成分のpHを7.0よりも大きく、より好ましくは7.5よりも大きく、より好ましくは8.0よりも大きく、最も好ましくは8.5よりも大きく、特に9.0よりも大きく調整する。これは、好ましくは、解離した重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムの形で存在し得る重炭酸塩で達成され得る。他の好ましい実施態様において、第2の成分は、固体であり、少なくとも1つの本発明の多糖および少なくとも1つの緩衝剤、例えば、重炭酸ナトリウムおよび/または重炭酸カリウムを含有する粉末状混合物を含む。
【0030】
マルチチャンババッグは好ましくは透析液の調製に適し、これは腹膜透析治療に用い得るものであり、下記の成分を好ましくは下記の濃度で含有する:
Ca
2+ 0.5〜5meq/L;
Mg
2+ 0〜3.0meq/L;
Cl
- 90.5〜121meq/L;
K
+ 0〜4.0meq/L;
HCO
3- 25〜40meq/L;
ここでマルチチャンババッグシステムの一方のチャンバが第1の酸濃縮物を含有し、もう一方のチャンバが第2の塩基濃縮物を含有する; ここで酸濃縮物はCa
2+イオンを含有し、塩基濃縮物はHCO
3-イオンを含有するが、Ca
2+イオンを含有しない; また2つの濃縮物は、分離システム(例えば、分離シーム)を剥離および/または切断した後に一緒に混合され得る; ここで2つの濃縮物の混合はすぐに使える透析液の調製につながり、すぐに使える透析液のpHは7.0〜7.6である。
塩基濃縮物は好ましくは少なくとも1つの本発明の多糖および必要によりグルコースおよび/またはポリグルコースを含有するが、酸濃縮物は本発明の多糖またはグルコースおよび/またはポリグルコースを含有しない。
塩基濃縮物は好ましくは重炭酸塩の量を含有し、これにより少なくとも20mMのすぐに使える透析液の重炭酸塩濃度につながる。塩基成分の重炭酸塩濃度は、好ましくは、すぐに使える透析液が25mMの重炭酸塩濃度を有するように高い。
塩基性の緩衝された第2の濃縮物のpHは、好ましくは塩酸で調整される。
【0031】
2つの濃縮物は、好ましくは10:1〜1:10または8:1〜1:8、より好ましくは5:1〜1:5または3:1〜1:3、更により好ましくは2:1〜1:2、特に1:1の容積比で一緒に混合される。
マルチチャンババッグは、好ましくはガスバリヤフィルムを有し、これはガス状のCO
2がシステムから逃げるのを防止する。当業者は、ガスバリヤフィルムをよく知っている。
本発明のより好ましい主題は、透析液を調製する方法であって、所望の混合比が透析機械または腹膜透析サイクラーによって自動的に調整される前記方法に関する。
好ましい実施態様において、本発明は、所定の容積の溶媒(例えば水)に溶解することによって本発明の透析液を調製するのに適している固体組成物に関する。固体組成物は、好ましくは上記の成分であり、したがって本発明のキットの成分である。
固体組成物は、本発明の多糖を固体形態で、例えば、粉末、顆粒、ペレット等として含有する。本発明の多糖は、凍結乾燥物の形であってもよく、噴霧乾燥されてもよい。
本発明の固体組成物は、好ましくは重炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムを含有する。固体組成物中の重炭酸塩と本発明の多糖との物質量比は、好ましくは1:100〜100:1、より好ましくは1:50〜50:1、更により好ましくは1:25〜25:1、最も好ましくは1:10〜10:1、特に1:5〜5:1である。
固体組成物を溶解することによって本発明の透析液を調製するために要する所定容積の溶媒は、好ましくは1.0〜2000リットルである。溶媒は、好ましくは精製水、滅菌水または注射用の水であり、これは必要により上記の電解液の1つ以上、1つ以上の浸透圧的に活性な物質(例えば少なくとも1つの本発明の多糖)および/または上記の緩衝剤の1つ以上を含有してもよい。
本発明の他の主題は、本発明の透析液(血液透析液または腹膜透析液)を調製するための少なくとも1つの本発明の多糖の使用に関する。
本発明の他の主題は、本発明の透析液(血液透析液または腹膜透析液)を調製するための本発明のキットの使用に関する。
本発明の他の主題は、本発明の透析液(血液透析液または腹膜透析液)を調製するための本発明の固体組成物の使用に関する。
【0032】
〔実施例1〕
50gの分解されたデンプンを500mLのDMSOに溶解する。デンプンを溶解した後、1スパチュラのDMAPと22.7gのマレイン酸無水物を添加する(0.75モル/AGU)。混合物を40℃で5時間撹拌する。生成物をアセトンで沈殿させ、次にろ過し、減圧下に40℃で乾燥する。HNMRおよびCNMRスペクトルを記録した(
図1および
図2を参照のこと): 置換度0.1未満。
【0033】
〔実施例2〕
60gの分解された乾燥デンプン(0.370モル)を600mLの乾燥ジメチルアセトアミドに溶解する。デンプンを溶解した後、1スパチュラのDMAP、37.2gのトリエチルアミンおよび36.36gのマレイン酸無水物を添加する。混合物を60℃で5時間撹拌する。生成物をアセトン中で沈殿させ、次にろ過し、減圧下に40℃で乾燥する。HNMRおよびCNMRスペクトルを記録した。
【0034】
〔実施例3〕
トリエチルアミンを添加しない以外は実施例2と同様にした。
このことにより得られた本発明のデンプンマレエートは、同一濃度(凝固点の低下に基づいて実験的に測定される)での置換されていない分解されたデンプンと比較して高オスモル濃度および非常に高いコロイド浸透圧および限外ろ過を有する。
【0035】
〔実施例5〕
比較実験において、半透過性チュービング(再生セルロース、MWCO: 1000、Roth)を、動作中の24時間の同一試験液の槽内に38℃の温度で貯蔵した1ミリモル/lのCa2 +、0.5ミリモル/lのMg2 +、138ミリモル/lのNa +、106ミリモル/lのC1および35ミリモル/lの乳酸を含有する試験液中5%(m/m)の濃度で10mlの浸透圧剤の充填容積で充填した。さまざまな時点で、チューブの充填容積の容積増加を測定し、これは薬剤の浸透圧作用を反映している。
この実験において、本発明の2つのデンプンマレエートおよび確立した浸透圧剤グルコースとイコデキストリンを用いた。
この実験に用いられるデンプンマレエートは、下記の構造式を有した:
【0037】
2つのデンプンマレエートは、これらの置換度(DS)において異なっている。デンプンマレエート1は、0.1の置換度を有する。デンプンマレエート2は、0.5の置換度を有する。
結果を
図3の図にまとめる。4時間後、デンプンマレエートは、グルコースと比較して浸透圧活性が高く、イコデキストリンと比較して浸透圧活性がわずかに低い。