【文献】
Pantech,Aperiodic CSI feedback trigging for joint transmission CoMP[online],3GPP TSG-RAN WG1#66,3GPP,2011年 8月26日,R1-112283,検索日[2017.04.13],インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_66/Docs/R1-112283.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のCSIのそれぞれは、チャネル品質指示子(CQI)、プリコーディング行列指示子(PMI)及びランク指示子(RI)のうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
前記複数のCSIのそれぞれは、チャネル品質指示子(CQI)、プリコーディング行列指示子(PMI)及びランク指示子(RI)のうち少なくとも一つを含む、請求項5に記載の端末装置。
前記CSIプロセスインデクスは、特定のCSI報告に用いられるCSIプロセスを示し、最低のCSIプロセスインデクスは、対応するCSIプロセスにおいてRI値を変更できることを示す、請求項5に記載の端末装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付の図面を参照して説明された本発明の実施例から、本発明の構成、作用及び他の特徴が容易に理解されるであろう。以下に説明される実施例は、本発明の技術的特徴が3GPPシステムに適用された例である。
【0020】
本明細書ではLTEシステム及びLTE-Aシステムを用いて本発明の実施例を説明するが、これは例示に過ぎず、本発明の実施例は、上述した定義に該当するいかなる通信システムにも適用可能である。また、本明細書は、FDD方式を基準にして本発明の実施例について説明するが、これは例示に過ぎず、本発明の実施例をH-FDD方式又はTDD方式にも適用できるように変形することは容易である。
【0021】
図2は、3GPP無線接続網規格に基づく端末とE-UTRANとの間の無線インタフェースプロトコルの制御面(control plane)及びユーザ面(user plane)の構造を示す図である。制御面とは、端末(UE)とネットワークとが呼を管理するために用いる制御メッセージが送信される通路のことを意味する。ユーザ面とは、アプリケーション層で生成されたデータ、例えば、音声データ又はインターネットパケットデータなどが送信される通路のことを意味する。
【0022】
第1層である物理層は、物理チャネルを用いて上位層に情報転送サービス(Information Transfer Service)を提供する。物理層は、上位の媒体接続制御(Medium Access Control)層とは伝送チャネル(Transport Channel)を介して接続されている。該伝送チャネルを通じて媒体接続制御層と物理層との間にデータが移動する。送信側の物理層と受信側の物理層との間には物理チャネルを通じてデータが移動する。該物理チャネルは、時間及び周波数を無線リソースとして活用する。具体的には、物理チャネルは、下りリンクにおいて直交周波数分割多元接続(OFDMA)方式で変調され、上りリンクにおいて単一搬送波周波数分割多元接続(SC−FDMA)方式で変調される。
【0023】
第2層の媒体接続制御(MAC)層は、論理チャネルを通じて、上位層である無線リンク制御(RLC)層にサービスを提供する。第2層のRLC層は、信頼できるデータ伝送をサポートする。RLC層の機能は、MAC内部の機能ブロックとして具現してもよい。第2層のパケットデータ融合プロトコル(Packet Data Convergence Protocol、PDCP)層は、帯域幅の狭い無線インタフェースでIPv4又はIPv6のようなIPパケットを効率的に送信するために、余分の制御情報を減らすヘッダ圧縮機能を果たす。
【0024】
第3層の最下部に位置する無線リソース制御(RRC)層は、制御面にだけ定義される。RRC層は、無線ベアラの設定、再設定(Re−configuration)及び解放(Release)に関連して論理チャネル、伝送チャネル及び物理チャネルの制御を担当する。無線ベアラ(RB)とは、端末とネットワークとの間のデータ伝達のために第2層によって提供されるサービスのことを意味する。そのために、端末のRRC層とネットワークのRRC層とはRRCメッセージを交換する。端末のRRC層とネットワークのRRC層との間にRRC接続がある場合、端末はRRC接続状態(Connected Mode)にあり、そうでない場合は、RRC休止状態(Idle Mode)にある。RRC層の上位にある非接続層(Non−Access Stratum、NAS)層は、セッション管理、移動性管理などの機能を果たす。
【0025】
基地局(eNB)を構成する一つのセルは、1.25、2.5、5、10、15、20MHzなどの帯域幅のいずれか一つに設定され、複数の端末に下り又は上り送信サービスを提供する。別個のセルは別個の帯域幅を提供するように設定してもよい。
【0026】
ネットワークから端末にデータを送信する下り伝送チャネルとしては、システム情報を送信する同報チャネル(BCH)、呼出し(paging)メッセージを送信する呼出しチャネル(PCH)、ユーザ情報又は制御メッセージを送信する下り共有チャネル(DL−SCH)などがある。下りマルチキャスト又はブロードキャストサービスの情報又は制御メッセージは、下りSCHを通じて送信してもよいし、別の下りマルチキャストチャネル(MCH)を通じて送信してもよい。一方、端末からネットワークにデータを送信する上り伝送チャネルとしては、初期制御メッセージを送信するランダム接続チャネル(RACH)、ユーザ情報又は制御メッセージを送信する上り共有チャネル(UL−SCH)がある。伝送チャネルの上位に存在し、伝送チャネルに対応付けられる論理チャネルとしては、同報制御チャネル(BCCH)、呼出し制御チャネル(PCCH)、共通制御チャネル(CCCH)、マルチキャスト制御チャネル(MCCH)、マルチキャスト情報チャネル(Multicast Traffic Channel、MTCH)などがある。
【0027】
図3は、3GPPシステムに用いられる物理チャネル及びこれらのチャネルを用いた一般の信号伝送方法を説明するための図である。
【0028】
端末は、電源が入ったり、新しくセルに進入したりした場合に、基地局と同期を取る等の初期セル探索作業を行う(S301)。そのために、端末は、基地局から1次同期チャネル(P−SCH)及び2次同期チャネル(S−SCH)を受信して基地局と同期を取り、セルIDなどの情報を取得することができる。その後、端末は、基地局から物理同報チャネルを受信し、セル内同報情報を取得することができる。一方、端末は、初期セル探索段階で、下りリンク参照信号(DL RS)を受信し、下りリンクチャネル状態を確認することができる。
【0029】
初期セル探索を終えた端末は、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)、及び該PDCCHに載せられた情報に基づいて物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)を受信することによって、より具体的なシステム情報を取得することができる(S302)。
【0030】
一方、基地局に最初に接続したか、又は信号送信のための無線リソースがない場合、端末は基地局にランダム接続手順(RACH)を行うことができる。(S303乃至S306)。そのために、端末は、物理ランダム接続チャネル(PRACH)を通じて特定シーケンスをプリアンブルとして送信し(S303及びS305)、PDCCH及び対応するPDSCHを通じて、プリアンブルに対する応答メッセージを受信することができる(S304及びS306)。競合ベースのRACHについては、競合解決手順を更に行うことができる。
【0031】
上述の手順を行った端末は、以降、一般的な上りリンク/下りリンク信号送信手順として、PDCCH/PDSCH受信(S307)、及び物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)/物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)送信(S308)を行うことができる。特に、端末はPDCCHを通じて下りリンク制御情報(DCI)を受信する。ここで、DCIは、端末に対するリソース割当情報のような制御情報を含んでおり、その使用目的によってフォーマットが異なっている。
【0032】
一方、端末が上りリンクを通じて基地局に送信するか、又は端末が基地局から受信する制御情報としては、下りリンク/上りリンク肯定応答/否定応答(ACK/NACK)信号、CQI、PMI、RIなどを含む。3GPP LTEシステムでは、端末は、これらのCQI/PMI/RIなどの制御情報をPUSCH及び/又はPUCCHを通じて送信してもよい。
【0033】
図4は、LTEシステムで用いられる無線フレームの構造を例示する図である。
【0034】
図4を参照すると、無線フレームは10ms(327200×T
s)の長さを有し、10個の均等なサイズのサブフレームで構成されている。それぞれのサブフレームは1msの長さを有し、2個のスロットで構成されている。それぞれのスロットは0.5ms(15360×T
s)の長さを有する。ここで、T
sはサンプリング時間を表し、T
s=1/(15kHz×2048)=3.2552×10
-8(約33ns)で表示される。スロットは時間領域において複数のOFDMシンボルを含み、周波数領域において複数のリソースブロック(RB)を含む。LTEシステムにおいて一つのリソースブロックは12個の副搬送波×7(6)個のOFDMシンボルを含む。データが送信される単位時間である送信時間間隔(Transmission Time Interval、TTI)は、一つ以上のサブフレーム単位に定めることができる。上述した無線フレームの構造は例示に過ぎず、無線フレームに含まれるサブフレームの数、サブフレームに含まれるスロットの数、又はスロットに含まれるOFDMシンボルの数は様々に変更してもよい。
【0035】
図5は、下りリンク無線フレームにおいて一つのサブフレームの制御領域に含まれる制御チャネルを例示する図である。
【0036】
図5を参照すると、サブフレームは14個のOFDMシンボルで構成されている。サブフレーム設定によって先頭の1乃至3個のOFDMシンボルは制御領域として用いられ、残り13〜11個のOFDMシンボルはデータ領域として用いられる。同図で、R1乃至R4は、アンテナ0乃至3に対する参照信号(RS)(又はパイロット信号)を表す。RSは、制御領域及びデータ領域を問わず、サブフレーム内に一定のパターンで固定される。制御チャネルは、制御領域においてRSが割り当てられていないリソースに割り当てられ、情報チャネルもデータ領域においてRSが割り当てられていないリソースに割り当てられる。制御領域に割り当てられる制御チャネルには、物理制御フォーマット指示子チャネル(PCFICH)、物理HARQ指示子チャネル(PHICH)、PDCCHなどがある。
【0037】
PCFICHは、サブフレームごとにPDCCHに用いられるOFDMシンボルの個数を端末に知らせる。PCFICHは、最初のOFDMシンボルに位置し、PHICH及びPDCCHに優先して設定される。PCFICHは4個のリソース要素グループ(REG)で構成され、それぞれのREGはセルID(Cell IDentity)に基づいて制御領域内に分散される。一つのREGは4個のリソース要素(RE)で構成される。REは、1副搬送波×1 OFDMシンボルと定義される最小物理リソースを表す。PCFICH値は帯域幅によって1〜3又は2〜4の値を指示し、4相位相偏移変調(QPSK)で変調される。
【0038】
PHICHは、上りリンク送信に対するHARQ ACK/NACKを搬送するために用いられる。すなわち、PHICHは、UL HARQのためのDL ACK/NACK情報が送信されるチャネルを表す。PHICHは、1個のREGで構成され、セル特定(cell−specific)にスクランブルされる。ACK/NACKは1ビットで指示され、2相位相偏移変調(BPSK)で変調される。変調されたACK/NACKは拡散係数(Spreading Factor、SF)=2又は4で拡散される。同一のリソースにマップされる複数のPHICHは、PHICHグループを構成する。PHICHグループに多重化されるPHICHの個数は、拡散符号の個数によって決定される。PHICH(グループ)は周波数領域及び/又は時間領域においてダイバシチ利得を得るために3回反復される。
【0039】
PDCCHは、サブフレームにおける先頭のn個のOFDMシンボルに割り当てられる。ここで、nは1以上の整数で、PCFICHによって指示される。PDCCHは一つ以上のCCEで構成される。PDCCHは、伝送チャネルであるPCH及びDL−SCHのリソース割当に関する情報、上りリンクスケジュール許可(Uplink Scheduling Grant)、HARQ情報などを各端末又は端末グループに知らせる。PCH及びDL−SCHはPDSCHを通じて送信される。したがって、基地局及び端末はそれぞれ、特定の制御情報又は特定のサービスデータ以外は一般に、PDSCHを通じてデータを送信及び受信する。
【0040】
PDSCHのデータがいずれの端末(一つ又は複数の端末)に送信されるものか、これら端末がどのようにPDSCHデータを受信して復号しなければならないかに関する情報などは、PDCCHに含められて送信される。例えば、特定PDCCHが「A」という無線網一時識別情報(Radio Network Temporary Identity、RNTI)でCRCマスクされており、「B」という無線リソース(例えば、周波数位置)及び「C」というDCIフォーマット、すなわち、伝送形式情報(例えば、伝送ブロックサイズ、変調方式、符号化情報など)を用いて送信されるデータに関する情報が特定サブフレームで送信されると仮定する。この場合、セル内の端末は、自身が持っているRNTI情報を用いてPDCCHをモニタし、「A」のRNTIを持っている一つ以上の端末があると、これらの端末はPDCCHを受信し、受信したPDCCHの情報に基づいて「B」及び「C」によって指示されるPDSCHを受信する。
【0041】
図6は、LTEシステムで用いられる上りリンクサブフレームの構造を示す図である。
【0042】
図6を参照すると、上りリンクサブフレームは、制御情報を搬送するPUCCHが割り当てられる領域と、ユーザデータを搬送するPUSCHが割り当てられる領域とに区別される。サブフレームにおいて中間部分がPUSCHに割り当てられ、周波数領域においてデータ領域の両側部分がPUCCHに割り当てられる。PUCCH上で送信される制御情報は、HARQに用いられるACK/NACK、下りリンクチャネル状態を示すCQI、MIMOのためのRI、上りリンクリソース割当要求であるスケジュール要求(SR)などがある。一つの端末に対するPUCCHは、サブフレーム内の各スロットで互いに異なる周波数を占める一つのリソースブロックを使用する。すなわち、PUCCHに割り当てられる2個のリソースブロックは、スロット境界で周波数ホップする。特に、
図6は、m=0のPUCCH、m=1のPUCCH、m=2のPUCCH、m=3のPUCCHがサブフレームに割り当てられる例を示している。
【0043】
以下、MIMOシステムについて説明する。多入力多出力(Multiple−Input Multiple−Output、MIMO)は、複数の送信アンテナ及び複数の受信アンテナを使用する方法であり、この方法によってデータの送受信効率を向上させることができる。すなわち、無線通信システムの送信端又は受信端で複数のアンテナを使用することによって容量を増大させ、性能を向上させることができる。以下、本明細書においてはMIMOを「多元アンテナ」と呼ぶことがある。
【0044】
多元アンテナ技術では、一つの全体メッセージを受信するために単一のアンテナ経路に依存しない。その代わりに、複数のアンテナに受信されたデータ断片(fragment)をまとめて併合することによってデータを完成する。多元アンテナ技術を用いると、特定のサイズのセル領域内でデータ伝送速度を向上させたり、又は特定のデータ伝送速度を保証しつつ、システムサービス範囲(coverage)を増加させたりすることができる。また、この技術は、移動通信端末及び中継器などに幅広く使用することができる。多元アンテナ技術によれば、単一のアンテナを使用していた従来技術による移動体通信における伝送量の限界を克服することができる。
【0045】
一般の多元アンテナ(MIMO)通信システムの構成図が、
図7に示されている。送信端では送信アンテナがN
T個設けられており、受信端では受信アンテナがN
R個設けられている。このように送信端及び受信端の両方とも複数のアンテナを使用する場合は、送信端又は受信端のいずれか一方だけ複数のアンテナを使用する場合に比べて、理論的なチャネル伝送容量がより増加する。チャネル伝送容量の増加はアンテナの数に比例する。これによって、伝送レートが向上し、周波数効率が向上する。1個のアンテナを使用する場合の最大伝送レートをR
oとすれば、多元アンテナを使用する場合の伝送レートは、理論的に、次の式1のように、最大伝送レートR
oにレート増加率R
iを乗じた分だけ増加可能になる。ここで、R
iは、N
T及びN
Rのうち、小さい値を表す。
【0047】
例えば、4個の送信アンテナ及び4個の受信アンテナを用いるMIMO通信システムでは、単一アンテナシステムに比べて理論上、4倍の伝送レートを獲得することができる。このような多元アンテナシステムの理論的容量増加が90年代半ばに証明されて以来、実質的にデータ伝送速度を向上させるための種々の技術が現在まで活発に研究されており、そのいくつかの技術は既に第3世代移動体通信及び次世代無線LANなどの様々な無線通信の標準に反映されている。
【0048】
現在までの多元アンテナ関連研究動向をみると、様々なチャネル環境及び多重接続環境における多元アンテナ通信容量計算などに関連した情報理論側面の研究、多元アンテナシステムの無線チャネル測定及びモデル導出の研究、及び伝送信頼度の向上及び伝送速度の向上のための時空間信号処理技術の研究などを含め、様々な観点で活発に研究が進められている。
【0049】
多元アンテナシステムにおける通信方法をより具体的な方法で説明するために、それを数学的にモデル化すると、次のように示すことができる。
図7に示すように、N
T個の送信アンテナ及びN
R個の受信アンテナが存在するとする。まず、送信信号について説明すると、N
T個の送信アンテナがある場合に、送信可能な最大情報はN
T個であるため、送信情報を次の式2のようなベクトルで示すことができる。
【0051】
一方、それぞれの送信情報S
1,S
2,・・・,S
NTにおいて送信電力を別々にすることができ、このとき、それぞれの送信電力をP
1,P
2,・・・,P
NTとする場合、送信電力の調整された送信情報をベクトルで示すと、次の式3のとおりである。
【0053】
また、hat−Sを送信電力の対角行列Pを用いて示すと、次の式4のとおりである。
【0055】
一方、送信電力の調整された情報ベクトルhat−Sに加重行列Wが適用されて、実際に送信されるN
T個の送信信号x
1,x
2,・・・,x
NTが構成される場合を検討する。ここで、加重行列は、送信情報を送信チャネル状況などに応じて各アンテナに適切に分配する役割を果たす。このような送信信号x
1,x
2,・・・,x
NTは、ベクトルXを用いて次の式5のように示すことができる。ここで、W
ijは、i番目の送信アンテナとj番目の情報との間の加重値を意味する。Wは、加重行列又はプリコーディング行列と呼ばれる。
【0057】
一般に、チャネル行列のランク(rank)は、物理的には与えられたチャネルで送信できる別個の情報の最大数を意味する。したがって、チャネル行列のランクは、互いに独立した行又は列の個数のうち、最小個数と定義され、よって、行列のランクは、行又は列の個数よりも大きくなることはない。数式的に例を挙げると、チャネル行列Hのランク(rank(H))は、式6のように制限される。
【0059】
また、多元アンテナ技術を用いて送る別個の情報のそれぞれを「送信ストリーム」、又は単に「ストリーム」と呼ぶこととする。このような「ストリーム」はレイヤと呼ぶこともできる。そのため、送信ストリームの個数は当然ながら、送信できる別個の情報の最大数であるチャネルのランクよりも大きくなることがない。したがって、チャネル行列Hは、次の式7のように示すことができる。
【0061】
ここで、「# of streams」は、ストリームの数を表す。一方、ここで、1個のストリームは1個以上のアンテナから送信してもよいということに留意されたい。
【0062】
1個以上のストリームを複数のアンテナに対応させる様々な方法が存在する。この方法を、多元アンテナ技術の種類によって次のように説明することができる。1個のストリームが複数のアンテナから送信される場合は空間ダイバシチ方式といえ、複数のストリームが複数のアンテナから送信される場合は空間マルチプレクシング方式といえる。もちろん、これらの中間方式である、空間ダイバシチと空間マルチプレクシングとを混合(Hybrid)した形態も可能である。
【0063】
以下、チャネル状態情報(CSI)報告に関して説明する。現在のLTE標準では、CSI無しで運用される開ループMIMOと、CSIに基づいて運用される閉ループMIMOという2種類の送信方式が存在する。特に、閉ループMIMOでは、MIMOアンテナの多重化利得を得るために、基地局及び端末はそれぞれ、CSIに基づいてビーム形成を行うことができる。基地局はCSIを端末から得るために、端末にPUCCH又はPUSCHを割り当てて、下りリンク信号に対するCSIをフィードバックするように命令する。
【0064】
CSIは、RI、PMI、CQIの3種の情報に大別される。まず、RIは、上述したとおり、チャネルのランク情報を示し、端末が同一の周波数・時間リソースを通じて受信できるストリームの個数を意味する。また、RIはチャネルの長期フェージング(long term fading)によって決定されるため、通常、PMI、CQI値に比べてより長い周期で基地局にフィードバックされる。
【0065】
次に、PMIは、チャネルの空間特性を反映した値であり、信号対干渉及びノイズ比(SINR)などの計量(metric)を基準に、端末が好む基地局のプリコーディング行列インデクスを示す。最後に、CQIは、チャネルの強度を示す値であり、通常、基地局がPMIを用いたときに得られる受信SINRを意味する。
【0066】
LTE−A標準のようなより進歩した通信システムでは、多ユーザMIMO(MU−MIMO)を用いて更なる多ユーザダイバシチを得ることが追加された。MU−MIMOではアンテナ領域で多重化される端末同士の干渉が存在するため、CSI正確性の有無は、CSIを報告した端末だけでなく、多重化される他の端末の干渉にも大きな影響を及ぼすことがある。そのため、MU−MIMOではSU−MIMOに比べてより正確なCSI報告が要求される。
【0067】
そこで、LTE−A標準では最終PMIを、長期及び/又は広帯域(WB)PMIであるW1と、短期及び/又は副帯域(sub−band、SB)PMIであるW2との二つに分けて設計することが決定された。
【0068】
上記W1及びW2の情報から一つの最終PMIを構成する階層的符号表変換(hierarchical codebook transformation)方式の例示として、次の式8のようにチャネルの長期共分散行列を用いることができる。
【0070】
式8において、W2は、短期PMIで、短期CSIを反映するために構成された符号表の符号語を表し、Wは、最終符号表の符号語(言い換えると、プリコーディング行列)を表し、norm(A)は、行列Aの各列のノルムが1に正規化された行列を意味する。
【0071】
既存のW1及びW2の具体的な構造は、式9のとおりである。
【0073】
ここで、N
Tは、送信アンテナの個数を表し、Mは、行列X
iの列の個数を表し、行列X
iには合計M個の候補列ベクトルがあることを意味する。e
Mk、e
Ml、e
Mmは、M個の要素のうち、それぞれk番目、l番目、m番目の要素だけが1であり、残りは0である列ベクトルであって、X
iのk番目、l番目、m番目の列ベクトルを表す。α
j,β
j及びγ
jはいずれも、単位ノルムを有する複素値であって、それぞれ、行列X
iのk番目、l番目、m番目の列ベクトルを選び出すときにその列ベクトルに位相回転を適用することを表す。iは、0以上の整数であって、W1を指示するPMIインデクスを表す。jは、0以上の整数であって、W2を指示するPMIインデクスを表す。
【0074】
式9において、符号語は、交差偏波アンテナを使用し、アンテナ間の間隔がちゅう密な場合、例えば、通常、隣接アンテナ間の距離が信号波長の半分以下の場合に、発生するチャネルの相関特性を反映して設計されている。交差偏波アンテナの場合、アンテナを水平アンテナグループと垂直アンテナグループとに区別でき、各アンテナグループは均一線形配列(uniform linear array、ULA)アンテナの特性を有し、両アンテナグループは共設(co−located)される。
【0075】
したがって、各グループのアンテナ間相関は、同一の線形位相増加特性を有し、アンテナグループ間相関は位相回転された特性を有する。結局、符号表はチャネルを量子化した値であるため、チャネルの特性をそのまま反映して符号表を設計することが必要である。説明の便宜のために、上述した構造で作ったランク1符号語を式10のように例示することができる。
【0077】
式10において、符号語は、N
T(送信アンテナの個数)S1のベクトルで表現され、それぞれが水平アンテナグループ及び垂直アンテナグループの相関特性を示す、上位ベクトルX
i(k)及び下位ベクトルα
jX
i(k)に構造化されている。X
i(k)は、各アンテナグループのアンテナ間相関特性を反映して、線形位相増加特性を有するベクトルで表現することが有利であり、代表の例として離散フーリエ変換(DFT)行列を用いることができる。
【0078】
前述したように、LTEシステムにおいてチャネル状態情報(CSI)はこれに制限されるものではないが、CQI、PMI、RIなどを含み、各端末の送信モードによってCQI、PMI、RIがすべて送信されることもあるし、その一部だけが送信されることもある。CSIが周期的に送信される場合を周期的報告(periodic reporting)といい、CSIが基地局の要求によって送信される場合を非周期的報告(aperiodic reporting)という。非周期的報告の場合、基地局からの上りリンクスケジュール情報に含まれている要求ビットが端末に送信される。その後、端末は、自身の送信モードを考慮したCSIを上りリンクデータチャネル(PUSCH)を通じて基地局に伝達する。周期的報告の場合、端末ごとに上位層信号を通じて半静的方式によって周期及び当該周期でのオフセットなどがサブフレーム単位に信号通知される。各端末は、送信モードを考慮したCSIを定められた周期で上りリンク制御チャネル(PUCCH)を通じて基地局に伝達する。CSIを送信するサブフレームに上りリンクデータが同時に存在するときは、CSIはデータと共に上りリンクデータチャネル(PUSCH)を通じて送信される。基地局は、各端末のチャネル状況及びセル内の端末分布状況などを考慮して、各端末に適した送信タイミング情報を端末に送信する。送信タイミング情報は、CSIを送信するための周期、オフセットなどを含み、RRCメッセージを通じて各端末に送信することができる。
【0079】
図8乃至
図11は、LTEでCSIの周期的報告についての例示である。
【0080】
図8を参照すると、LTEシステムには4つのCQI報告モードが存在する。具体的には、CQI報告モードは、CQIフィードバックタイプによってWB CQIとSB CQIとに分けられ、PMI送信の有無によって、PMI無し(No PMI)と単一(single)PMIとに分けられる。各端末はCQIを周期的に報告するために、周期とオフセットとの組合せで構成された情報を、RRC信号通知を通じて受信する。
【0081】
図9は、端末が、{周期「5」、オフセット「1」}を示す情報を信号通知された場合にCSIを送信する例を示す。
図9を参照すると、周期「5」、オフセット「1」を示す情報を受信した場合に、端末は、0番サブフレームからサブフレームインデクスの増加方向に1サブフレームのオフセットをおいて、5個のサブフレーム単位にCSIを送信する。CSIは基本的にPUCCHを通じて送信されるが、同一時点にデータ送信のためのPUSCHが存在するときは、CSIはPUSCHを通じてデータと共に送信される。サブフレームインデクスはシステムフレーム番号(又は、無線フレームインデクス)(n
f)とスロットインデクス(n
s、0〜19)との組合せからなる。サブフレームは2個のスロットからなるため、サブフレームインデクスは10*n
f+floor(n
s/2)で定義できる。floor()は、床関数を表す。
【0082】
WB CQIだけを送信するタイプとWB CQI及びSB CQIの両方を送信するタイプとがある。WB CQIだけを送信するタイプは、毎CQI送信周期に該当するサブフレームで全体帯域に対するCQI情報を送信する。一方、
図8のように、PMIフィードバックタイプによってPMIも送信しなければならない場合は、PMI情報をCQI情報と併せて送信する。WB CQI及びSB CQIの両方を送信するタイプの場合、WB CQIとSB CQIは交互に送信される。
【0083】
図10は、システム帯域が16個のRBで構成されたシステムを例示する。この場合、システム帯域は2個の帯域幅部分(Bandwidth Part、BP)で構成され(BP0、BP1)、それぞれのBPは2個のSBで構成され(SB0、SB1)、それぞれのSBは4個のRBで構成されると仮定する。この仮定は説明のための例示であり、システム帯域のサイズによってBPの個数及び各SBのサイズは変えてもよい。また、RBの個数、BPの個数及びSBのサイズによって、それぞれのBPを構成するSBの個数も変えてよい。
【0084】
WB CQI及びSB CQIの両方を送信するタイプの場合、最初のCQI送信サブフレームでWB CQIを送信し、次のCQI送信サブフレームではBP0に属したSB0とSB1のうち、チャネル状態の良いSBに対するCQIと、当該SBのインデクス(例えば、副帯域選択指示子(Subband Selection Indicator、SSI))とを送信する。その後、次のCQI送信サブフレームでは、BP1に属したSB0及びSB1のうちチャネル状態の良いSBに対するCQIと当該SBのインデクスとを送信する。このように、WB CQIを送信した後、各BPに対するCQI情報を順次に送信する。二つのWB CQI間に各BPに対するCQI情報を順次に1〜4回まで送信することができる。例えば、二つのWB CQI間に各BPに対するCQI情報が1回順次に送信される場合、WB CQI⇒BP0 CQI⇒BP1 CQI⇒WB CQIの順に送信することができる。また、二つのWB CQI間に各BPに対するCQI情報が4回順次に送信される場合、WB CQI⇒BP0 CQI⇒BP1 CQI⇒BP0 CQI⇒BP1 CQI⇒BP0 CQI⇒BP1 CQI⇒BP0 CQI⇒BP1 CQI⇒WB CQIの順に送信することができる。各BP CQIが何回順次に送信されるかに関する情報は、上位層(例えば、RRC層)で信号通知される。
【0085】
図11(a)は、端末が、{周期「5」、オフセット「1」}を示す情報が信号通知された場合に、WB CQI及びSB CQIの両方を送信する例を示す。
図11(a)を参照すると、CQIは、種類に関係なく、信号通知された周期及びオフセットに該当するサブフレームでだけ送信することができる。
図11(b)は、
図11(a)の場合においてRIが更に送信される場合を示す。RIは、WB CQI送信周期の何倍で送信されるか、及びその送信周期でのオフセットの組合せによって、上位層(例えば、RRC層)から信号通知することができる。RIのオフセットは、CQIのオフセットの相対的な値で信号通知される。例えば、CQIのオフセットが「1」であり、RIのオフセットが「0」であるとき、RIはCQIと同一のオフセットを有する。RIのオフセットは0及び負数の値で定義される。具体的には、
図11(b)は、
図11(a)と同じ環境において、RIの送信周期がWB CQI送信周期の1倍であり、RIのオフセットが「−1」である場合を仮定する。RIの送信周期は、WB CQI送信周期の1倍であるから、CSIの送信周期は事実上同一である。RIはオフセットが「−1」であるから、RIは、
図11(a)でのCQIのオフセット「1」に対する「−1」(すなわち、0番サブフレーム)を基準に送信される。RIのオフセットが「0」のときは、WB CQIの送信サブフレームとRIの送信サブフレームとが重なる。この場合は、WB CQIを省略(drop)してRIを送信する。
【0086】
図12は、
図8のMode 1−1の場合のCSIフィードバックを例示する。
【0087】
図12を参照すると、CSIフィードバックは、2種類の報告内容である報告1及び報告2の送信で構成される。具体的には、報告1ではRIが、報告2ではWB PMI及びWB CQIが送信される。報告2は(10*n
f+floor(n
s/2)−N
オフセット,CQI)mod(N
pd)=0を満たすサブフレームインデクスで送信される。N
オフセット,CQIは、
図9で例示したPMI/CQI送信のためのオフセット値に該当し、
図12はN
オフセット,CQI=1の場合を例示する。N
pdは、隣接する報告2の間のサブフレーム間隔を表し、
図12は、N
pd=2の場合を例示する。報告1は(10*n
f+floor(n
s/2)−N
オフセット,CQI−N
オフセット,RI)mod(M
RI*N
pd)=0を満たすサブフレームインデクスで送信される。M
RIは、上位層信号通知によって定められる。また、N
オフセット,RIは、
図11で例示したRI送信のための相対オフセット値に該当する。
図12は、M
RI=4及びN
オフセット,RI=−1の場合を例示する。
【0088】
図13は、
図8のMode 2−1の場合のCSIフィードバックを例示する。
【0089】
図13を参照すると、CSIフィードバックは、3種類の報告内容である報告1、報告2、報告3の送信で構成される。具体的には、報告1ではRIが、報告2ではWB PMI及びWB CQIが、報告3ではSB(subband)CQI及びLビット副帯域選択指示子(SSI)が送信される。報告2又は報告3は(10*n
f+floor(n
s/2)−N
オフセット,CQI)mod(N
pd)=0を満たすサブフレームインデクスで送信される。特に、報告2は(10*n
f+floor(n
s/2)−N
オフセット,CQI)mod(H*N
pd)=0を満たすサブフレームインデクスで送信される。したがって、H*N
pdの間隔ごとに報告2が送信され、隣接した報告2の間におけるサブフレームは報告3の送信で埋められる。このとき、H値はH=J*K+1で、ここで、JはBPの個数である。Kは、別個のBPごとに1回ずつ副帯域を選別して送信する過程を全BPにわたって行う全サイクルを連続して何サイクル行うかを示す値であり、上位層信号通知によって定められる。
図13は、N
pd=2、J=3及びK=1の場合を例示する。報告1の場合は(10*n
f+floor(n
s/2)−N
オフセット,CQI−N
オフセット,RI)mod(M
RI*(J*K+1)*N
pd)=0を満たすサブフレームインデクスで送信される。
図13は、M
RI=2及びN
オフセット,RI=−1の場合を例示する。
【0090】
図14は、LTE−Aシステムで議論中であるCSIの周期的報告について例示する。基地局が8個の送信アンテナを有するとき、Mode 2−1の場合、1ビット指示子のプリコーダタイプ指示(Precoder Type Indication、PTI)パラメータを設定し、PTI値によって、図示のように、二つの形態に細分化した周期的報告モードを考慮している。同図において、W1及びW2は、式8〜式9を参照して説明した階層的符号表を示す。W1及びW2の両方が定められると、これらを結合して完成された形態のプリコーディング行列Wが決定される。
【0091】
図14を参照すると、周期的報告の場合、報告1、報告2、報告3に該当する互いに異なる内容の報告が、互いに異なる反復周期に従って報告される。報告1は、RI及び1ビットPTI値を報告する。報告2は、WB(WideBand) W1(PTI=0のとき)又はWB W2及びWB CQI(PTI=1のとき)を報告する。報告3は、WB W2及びWB CQI(PTI=0のとき)又はSB(Subband) W2及びSB CQI(PTI=1のとき)を報告する。
【0092】
報告2及び報告3は、サブフレームインデクスが(10*n
f+floor(n
s/2)−N
オフセット,CQI)mod(N
C)=0を満たすサブフレーム(便宜上、第1サブフレームセットという)で送信される。N
オフセット,CQIは、
図9で例示したPMI/CQI送信のためのオフセット値に該当する。また、N
cは、隣接した報告2又は報告3の間のサブフレーム間隔を示す。
図14は、N
オフセット,CQI=1及びN
c=2の場合を例示し、第1サブフレームセットは、奇数インデクスを持つサブフレームで構成される。n
fは、システムフレーム番号(又は、無線フレームインデクス)を表し、n
sは無線フレーム内でスロットインデクスを表す。floor()は床関数を表し、A mod Bは、AをBで除した剰余を表す。
【0093】
第1サブフレームセット内の一部のサブフレーム上に報告2が位置し、残りのサブフレーム上に報告3が位置する。具体的には、報告2は、サブフレームインデクスが(10*n
f+floor(n
s/2)−N
オフセット,CQI)mod(H*N
c)=0を満たすサブフレーム上に位置する。したがって、H*N
cの間隔ごとに報告2が送信され、隣接した報告2の間における一つ以上の第1サブフレームは報告3の送信で埋められる。PTI=0なら、H=Mであり、Mは上位層信号通知によって定められる。
図14は、M=2の場合を例示する。PTI=1なら、H=J*K+1であり、Kは上位層信号通知によって定められ、JはBPの個数を表す。
図14は、J=3及びK=1の場合を例示する。
【0094】
報告1は、サブフレームインデクスが(10*n
f+floor(n
s/2)−N
オフセット,CQI−N
オフセット,RI)mod(M
RI*(J*K+1)*N
c)=0を満たすサブフレームで送信され、M
RIは、上位層信号通知によって定められる。N
オフセット,RIは、RIのための相対オフセット値を表し、
図14はM
RI=2及びN
オフセット,RI=−1の場合を例示する。N
オフセット,RI=−1によって、報告1及び報告2の送信時点が重なり合わなくなる。端末がRI、W1、W2値を計算するとき、これらの値は互いに関連して計算される。例えば、RI値に依存してW1及びW2が計算され、さらにW1に依存してW2が計算される。報告1に続いて報告2及び報告3がすべて報告された時点で、基地局はW1及びW2から最終Wが分かる。
【0095】
一方、次世代移動体通信システムの標準であるLTE−Aシステムでは、データ伝送速度の向上のために、既存の標準ではサポートしていなかった多地点協調送受信(Coordinated Multi Point、CoMP)送信方式をサポートすることが予想される。ここで、CoMP送信方式とは、陰影地域にある端末及び基地局(セル又はセクタ)間の通信性能を向上させるために、2個以上の送信点(例えば、基地局又はセル)が互いに協調して端末と通信する方式のことをいう。
【0096】
CoMP送信方式は、データ共有を用いた協調的MIMO形態の合同処理(CoMP−Joint Processing、CoMP−JP)及び協調スケジュール/ビーム形成(CoMP−Coordinated Scheduling/beamforming、CoMP−CS/CB)方式に区別することができる。
【0097】
下りリンクの場合、CoMP−JP方式において、端末は、CoMP送信方式を行う複数の基地局からデータを同時に受信することができ、各基地局から受信した信号を結合して受信性能を向上させることができる(合同送信、JT)。また、CoMP送信方式を行う基地局のいずれか一つが特定時点に端末にデータを送信する方法も考慮することができる(動的時点選択、DPS)。協調スケジュール/ビーム形成方式(CoMP−CS/CB)では、端末はビーム形成を通じてデータを瞬間的に一つの基地局、すなわち、サービス提供基地局から受信することができる。
【0098】
上りリンクでCoMP−JP方式が適用される場合、複数の基地局が端末からPUSCH信号を同時に受信することができる(合同受信、JR)。これと違い、CoMP−CS/CB方式では一つの基地局だけがPUSCHを受信することができる。協調スケジュール/ビーム形成方式を用いるという決定は、協調セル(又は、基地局)で決定することができる。
【0099】
CoMP送信方式を用いる端末、すなわち、CoMP UEは、CoMP送信方式を行う基地局の複数に対してチャネル情報をフィードバック(以下、CSIフィードバックと呼ぶ)することができる。ネットワークスケジューラは、CSIフィードバックに基づいてCoMP−JP、CoMP−CS/CB及びDPS方式の中から、伝送速度を向上できる適切なCoMP送信方式を選択することができる。そのために、CoMP UEがCoMP送信方式を行う複数の基地局内でCSIフィードバックを設定する方法として、上りリンクPUCCHを用いた周期的なフィードバック送信方式に従うことができる。この場合、それぞれの基地局に対するフィードバック設定は相互独立的であってもよい。したがって、以下本明細書では、本発明の一実施例による、このような独立したフィードバック設定をもってチャネル情報をフィードバックする動作をそれぞれ、CSIプロセスと呼ぶ。このようなCSIプロセスは、一つのサービス提供セルに一つ又はそれ以上存在できる。
【0100】
本発明の一実施例では、多元セル無線通信システムの下りリンクにおいてCoMP UEが複数のセルからのチャネル情報を周期的にフィードバックするとき、CoMP動作をサポートするために同一のチャネルランク値を設定できるように効果的にフィードバックする方法を提案する。
【0101】
CoMP UEは、RSを用いたチャネル推定後に、チャネルのそれぞれの送信状態に適したチャネルランクを決定して、それをRIとして報告する。このとき、CoMP−JPを円滑に行うために、CoMP UEは、複数のセルに対するチャネルフィードバック時に共通のRI値を持つようにCSIフィードバックをすることが有利である。周期的なCSIフィードバックでは、相互に有機的な関係を持っているRI、第1PMI、第2PMI、CQIなどが、制限されたPUCCH容量のために一度に送信されず、フィードバックモードによって一定のパターンに分けて送信される。CoMP UEが多元セルに対して複数のCSIフィードバックを行う場合、それぞれのセルに対するフィードバック設定であるフィードバック周期及び/又はフィードバックオフセットなどが異なることがある。この場合、RI値を変更する時点がすべてのフィードバック設定で同一でないことがあり、RIに関連した情報であるPMI、CQIなどの情報の正確性が低下することがある。したがって、本発明の一実施例では、複数の周期的CSIプロセスが動作する状況でCoMP UEが参照RI値を有し、PMI、CQI情報の正確性が維持されるように効果的にサポートする方法を提案する。
【0102】
CSIフィードバックの構成要素であるRI、PMI及びCQI値は相互有機的な関係を持っているため、一つの値が変わってフィードバックされる場合、ネットワークスケジューラで再組合せされたチャネル情報は非常に不正確なことがある。また、PMI情報が長期情報を示す第1PMIであるW1と、短期情報を示す第2PMIであるW2とに分けられる場合にも、両値は有機的な関係を持っているため、一つの情報が変わると、再組合せ後に非常に不正確なPMI値になることがある。したがって、相互有機的な関係がある情報の場合は、途中においてRI値が変更されても、変更される前のRI値に基づいて解釈することによって、CSIフィードバック情報が正確になる。
【0103】
図15は、本発明の一実施例によって、CoMP UEが周期的に広帯域(WB)フィードバックをする場合を示している。このCoMP UEは、CoMP送信方式に参加する二つのセルであるセル1及びセル2に対してそれぞれ周期的にチャネル情報を報告するCSIフィードバックを行うことができる(CSIプロセス1及び2)。CoMP UEは、二つのCSIプロセスのいずれかを通じて、RI値を報告する時点(
図15の例では、サブフレーム(n,n+3,n+10,n+13,n+20,n+23,…)で、チャネル状況に応じて適切なRI値に変更して報告することができる。上記の例示において、UEは、CSIプロセス2のサブフレーム(n+3)を通じてRI値を3に変更した。
図15の例示のようなフィードバックモードでは、相互有機的な連関性を持つ情報であるW1、W2、CQIがいずれもRI値の送信時点と同じ時点でフィードバックされているため、変更されたRI値によっていずれも一度に計算して定めることができる。UEは、次のRI値が変わるまでは、すべてのPMI、CQI情報を二つのCSIプロセスすべてにおいて最後に報告したRI値(
図15の例示で、RI=3)に基づいて計算してフィードバックしてもよい。したがって、どの時点でRI値が変わったかに関係なく、ネットワークスケジューラでフィードバックされたRI、PMI及びCQIを再組合せすることによって正確なチャネル情報が得られる。又は、共通RI値を設定する基準CSIプロセスとそのCSIプロセスのRIを基準にしてCSIを計算するCSIプロセスとが決定された場合、UEは、基準CSIプロセスの最後に報告したRI値(
図15の例示で、RI=3)に基づいて、基準CSIプロセスとそのCSIプロセスのRIを基準にしてCSIを計算するCSIプロセスとのPMI、CQI情報を計算してフィードバックしてもよい。
【0104】
図16は、本発明の一実施例によって、CoMP UEが周期的に広帯域(WB)フィードバックをする他の場合を示している。
図15と異なる点は、PMI及びCQIが同一時点で報告されず、長期PMIであるW1と短期PMIであるW2とが異なる時点で報告されることである。この場合、UEが一つのCSIプロセスを通じてRI値を変更すると、他のCSIプロセスの場合は一連の相互有機的な情報の連関性が維持されないこともある。
図16に示す例示を参照すると、UEは、CSIプロセス1を用いてサブフレーム(n)でRI値を2に変更した。このとき、CSIプロセス1を通じて、RI値と共に長期PMI情報であるW1が報告される。以降、CSIプロセス1を通じてサブフレーム(n+1)及び(n+6)に送信される短期PMI情報であるW2及びCQI情報は、前に報告されたRI、W1と相互関連した情報として併せて再組合せされることによって、正確なチャネル情報となる。サブフレーム(n+3)時点のようにCSIプロセス2を用いてRI値を3に変更したとき、UEがCSIプロセス1を通じてサブフレーム(n+6)時点に、変更されたRI値に基づいてW2及びCQIを計算してフィードバックすると、ネットワークスケジューラで再組合せされたチャネル情報が不正確になる。これを解決するための方法として、RI値が変更されても、新しいW1情報がフィードバックされるまでは変更されたRI値を適用せず、当該CSIプロセスで最後に報告されたW1が基準にしたRI値を仮定するようにUEとネットワークスケジューラとの間で約束することができる。すなわち、
図16の例示で、サブフレーム(n+6)のW2及びCQI情報を、サブフレーム(n)時点でフィードバックされたRI及びW1情報と再組合せすることによって、正確なチャネル情報が得られる。
【0105】
正確な再組合せチャネル情報のための他の実施例として、
図16の例示のように相互有機的な連関性を持っているチャネル情報が周期的なCSIフィードバックに分けて送信される場合、UEは、すべてのCSIプロセスにおいてRIフィードバック周期及びオフセットを同一となるように設定することができる。すなわち、RI値が変更される時点を同一にすることによって、ネットワークスケジューラによってフィードバックされたRI、PMI及びCQIを再組合せすることによって、正確なチャネル情報が得られる。
【0106】
図17は、CoMP UEが周期的に広帯域フィードバックと副帯域フィードバックとを同時に行う場合の例示である。UEが複数のCSIプロセスを有するとき、一つの副帯域CSIプロセスの観点で、矢印で表示した時点で他のCSIプロセスを用いてRI値を変更する場合を示している。長期PMI情報であるW1と短期PMI情報であるW2との関係と同様に、副帯域PMI情報及び広帯域PMI情報も、相互有機的な関連性を持っているため、ネットワークスケジューラで共に再組合せすることによって、正確なチャネル情報を示すことができる。したがって、一連の有機的な関連性を持つフィードバック情報(例えば、広帯域W1−広帯域W2−広帯域CQI、又は、広帯域W1−広帯域W2−広帯域CQI−副帯域W2−副帯域CQI)の連続したフィードバック送信中は、変更されたRI値を適用してPMI、CQIなどを計算してはならない。UEは、途中においてRI値が変更されたときも、一連の関連した情報のフィードバックが終わるまでは既存のRI値が維持されていると仮定してもよい。具体的な一方法として、一連の関連した情報の中で時間的に最初にフィードバックされる広帯域W1(又は、W1、W2と区別しない場合は広帯域W)を基準にして変更されたRI値を適用するように定めることができる。UEは、一つのCSIプロセス1においてRI値を変更できる周期の途中に他のCSIプロセスを通じてRI値が変更されたとき、変更されたRI値をCSIプロセス1に直ちに適用してPMI、CQIを計算してフィードバックするのではなく、新しい広帯域W1フィードバック時点になるまで既存のRI値が維持されると仮定してPMI、CQIを計算してフィードバックすることができる。その後、新しい広帯域W1フィードバック時点からは、変更されたRI値を基準にしてPMI、CQIを計算してフィードバックする。同様に、それぞれのCSIプロセスを通じてフィードバックされる一連のフィードバック情報の途中においてRI値が変わったとき、新しい広帯域W1が送信されるまでは、ネットワークスケジューラは、RI値を当該CSIプロセスが最後に報告した広帯域W1を計算するために用いた基準として仮定し、フィードバックするとしてもよい。したがって、新しい広帯域W1が送信されるまでは、当該CSIプロセスにおいて最後に報告した広帯域W1が基準にしたRI値、PMI、CQI情報を再組合せして、正確なチャネル情報を得ることができる。
【0107】
図17の例示において、UEは、サブフレーム(n)でRI値を2と仮定してPMI、CQIを計算し、CSIプロセス1で順次にフィードバックを行っている。サブフレーム(n+10)でUEは他のCSIプロセスのRI送信時点を通じてRI値を3に変更した。このとき、UEが、CSIプロセス1のサブフレーム(n+11)時点で、変更されたRI値を基準にして広帯域W2、広帯域CQIを計算してフィードバックすると、前のサブフレーム(n+7)時点にRI=2と仮定して計算した広帯域W1との有機的な関連性が破られることになる。そのため、変更されたRI=3を適用して新しく計算した広帯域W1がフィードバック可能なサブフレーム(n+13)まで、CSIプロセス1で最後に報告した広帯域W1(すなわち、サブフレーム(n+7)時点)が基準にしたRI値を2と仮定して広帯域W2、広帯域CQIを計算してフィードバックする。サブフレーム(n+13)時点からは、変更されたRI値を適用し、RI値を3と仮定して、広帯域W1、広帯域W2、広帯域CQIを計算してフィードバックする。ネットワークスケジューラでは、CSIプロセス1でフィードバックした一連の情報を再組合せしてチャネル情報を得る際、サブフレーム(n+12)まではCSIプロセス1から最後に報告した広帯域CQIを計算する基準となったRI=2を仮定してRI、PMI、CQIを再組合せし、サブフレーム(n+13)からは、他のCSIプロセスを通じて変更されたRI値を3と仮定して、RI、PMI、CQIを再組合せする。同様に、サブフレーム(n+34)、(n+42)でのRI値変更も同様の動作に従う。一方、サブフレーム(n+28)のように、副帯域PMI、CQIの途中にRI値が変更されることもある。副帯域PMI、CQIは広帯域PMIに有機的に関連した情報として解釈しなければならず、変更されたRI値を直ちに適用することは、上記と同様に好ましくない。したがって、当該CSIプロセス1で広帯域W1を新しく計算する前であるサブフレーム(n+39)までは、最後に報告された広帯域W1時点(サブフレーム(n+19)時点)で基準にしたRI値を3と仮定し、PMI、CQIを計算することによってチャネル情報の正確性を向上させることができる。
【0108】
以上説明した例示では、UEが複数のCSIプロセスを有するとき、それぞれのCSIプロセスでRI値を変更する動作を説明した。以下の実施例を説明するための例示では、複数のCSIプロセスの中で一つのCSIプロセスでだけRI値を変更する場合を挙げて説明する。
【0109】
図18は、本発明の一実施例によって、いずれか一つのCSIプロセスでだけRI値を変更できるようにする状況を示す図である。RI値を変更するCSIプロセスは、RRC信号通知で明示的に指示することができる。又は、CSIプロセスのインデクス設定に当たって最高又は最低のインデクスを有するCSIプロセスでRI値を変更するように、暗黙に約束してもよい。RI値を変更するように設定されたCSIプロセス1での動作は、既存の方法と同一である。RI値を変更しないように設定されたCSIプロセス2ではRI値をフィードバックする必要がないため、RI値をフィードバックするようになっている時点(サブフレーム(n+3)、(n+13)、(n+23))に何も送信しなくてもよい(
図18のCSIプロセス2参照)。したがって、CSIプロセス2ではRI値をフィードバックしないように設定することができる。これによって、余計なフィードバック情報を減らすことによって端末の電力消耗を減らすことができ、制御情報の占める上りリンクオーバヘッドを減らすことができる。
【0110】
図19は、本発明の一実施例によっていずれか一つのCSIプロセスでだけRI値を変更できるようにする状況の他の例示する図である。
図19の例示では、RI値がフィードバック時点にW1と共に合同符号化(joint encoding)されているフィードバックモードである。RI値を変更しないように設定されたCSIプロセス2ではRI値を送信する時点(サブフレーム(n+3)、(n+13)、(n+23))にW1だけを送信することができる。一方、RI値及びPMIを合同符号化して同時に送信するフィードバックモードの場合、RI値の信頼性のためにW1値はサブサンプリングなどの方法を通じて情報量を減らして送信することができる。仮に、RI値を送信しないようにCSIプロセスが設定されていると(
図19に示す例示でCSIプロセス2)、W1をサブサンプリングせずにそのままフィードバックすることによって、より正確なW1情報をフィードバックすることができる。
【0111】
上記の諸例示のように、複数のCSIプロセスの中で指定されたCSIプロセスだけにおけるRI値変更が有効となるように動作する場合、複数の周期的CSIプロセスが設定され、同一時点に二つ以上のフィードバック情報送信が予定された場合、送信優先順位を効率的に決定しなければならない。したがって、本発明の一実施例による優先順位を決定する方法について、以下に詳しく説明する。
【0112】
このように複数のフィードバック情報の中で送信するいずれか一つを選択すべき場合、一般に、RI値を最高の送信順位と設定し、その次に広帯域PMI/CQI、最後に副帯域PMI/CQI順に送信優先順位を設定することが効率的である。しかし、上記のように一つのCSIプロセスだけにおいてRI値変更が有効となるように動作する場合、RI値変更が有効でない他のCSIプロセスにおけるRI値の送信は、他の情報に比べて低い送信優先順位を有することが効率的である。したがって、本発明の一実施例によれば、報告タイプによって送信優先順位を、(1)RI値変更が有効なRI報告、(2)広帯域PMI/CQI報告、(3)副帯域PMI/CQI報告、(4)RI値変更が有効でないRI報告の順に決定することができる。
【0113】
図20は、本発明の一実施例によって、報告タイプ及び/又はCSIプロセスインデクスによってフィードバック情報送信の優先順位を説明するための図である。以下の図面において、各CSIプロセス間に送信されるCSI送信の衝突は、同一のサービス提供セルに対するCSIの衝突である場合を含むことができる。
【0114】
図20に示す例示では、CSIプロセス1を通じたRI値変更が有効だと設定され、CSIプロセス2を通じたRI値変更が有効でないと設定された状況を示す。CSIプロセス2ではRI値送信時点に
図19の例示のように何も送信しなくてもよいが、RI値送信の信頼性を向上させるために、CSIプロセス1で決定されたRI値を反復してフィードバックしてもよいし、意味のないダミー値をフィードバックしてもよい。サブフレームn、(n+10)、(n+20)では、RI値変更が有効なCSIプロセス1でのRI値は最高の送信優先順位を有するため、CSIプロセス2でのW1/W2/CQI情報が省略される。
【0115】
一方、サブフレーム(n+6)時点でCSIプロセス1及びCSIプロセス2は互いに同一の優先順位、送信時点のフィードバック情報を有している。すなわち、上述した報告タイプによる優先順位によっては、この重なる時点で送信するフィードバック情報を定めることができない。したがって、本発明の一実施例では、優先順位を段階的に適用して、報告タイプによる優先順位をまず適用した後、報告タイプが同一であればCSIプロセスインデクスによって優先順位を定めることを更に提案する。
【0116】
すなわち、
図20に示した例のサブフレーム(n+6)時点では、二つのCSIプロセスが同一の報告タイプによる優先順位を有する情報であるから、あらかじめ約束された規則(CSIプロセスインデクス値)に基づいて一方が省略される。ここでは、CSIプロセスインデクスが低い方がより優先順位が高いと仮定した。したがって、CSIプロセスインデクスの高いCSIプロセス2を通じて送信されるW1/W2/CQIフィードバック情報の送信を省略することができる。
【0117】
サブフレーム(n+11)では、CSIプロセス2は、RI値変更が有効でないように設定されたため、CSIプロセス2のRI値はCSIプロセス1のRI/PMI/CQIよりも優先順位を低く設定することが有利である。したがって、このとき、CSIプロセス2のRI値が省略される。
【0118】
図21は、本発明の一実施例によって、報告タイプ及び/又はCSIプロセスインデクスによってフィードバック情報送信の優先順位を説明するための他の図である。
【0119】
図21に示す例では、同様に、CSIプロセス1を通じたRI値変更が有効だと設定され、CSIプロセス2を通じたRI値変更が有効でないと設定された他の状況を示している。
図20の例示と違い、
図21の実施例では、RI値のフィードバック時点にW1と共に合同符号化されて送信される状況を仮定した。
図21の実施例では、送信タイプによる優先順位が同一であるフィードバック情報の送信時点が重なる場合に対して、CSIプロセスインデクスの高いCSIプロセスを通じたフィードバック情報が送信される状況を仮定した。
図21で、サブフレーム(n+11)の衝突状況を見ると、RI値変更が有効でないCSIプロセス2のRI値は低い優先順位を有するが、共に合同符号化されたW1がCSIプロセス1のW2/CQIと同一の送信優先順位を有する。そのため、サブフレーム(n+11)でCSIプロセス1を通じて送信されるフィードバック情報の送信と、CSIプロセス2を通じて送信されるフィードバック情報の送信とは同一の送信優先順位を有することとなる。したがって、最終的に事前約束によってCSIプロセス2のW1がより高い送信優先順位を有し、CSIプロセス1のサブフレーム(n+11)を通じて送信されるフィードバック情報の送信を省略してもよい。
【0120】
上記の図面に示した例示では、説明の便宜上、複数のCSIプロセスが同一のフィードバックモードを使用するとしたが、同一のフィードバックモードに設定された状況に限定されず、CSIプロセスごとに異なるフィードバックモードに設定された場合にも同様の作動原理を適用することができる。
【0121】
本発明の他の実施例では、CSIプロセス間にフィードバック情報の送信時点が重なる場合、CSIプロセス自体に設定された優先順位に基づいて、送信するフィードバック情報を決定することを提案する。例えば、CSIプロセス1自体に設定された送信優先順位が、CSIプロセス2に設定された送信優先順位よりも高く設定された場合を仮定することができる。ここで、UEがCSIプロセス1及び2を通じて送信するフィードバック情報の送信時点が重なる場合、UEは、より高い送信優先順位が設定されたCSIプロセス2を通じたフィードバック情報を送信し、低い優先順位が設定されたCSIプロセス1を通じたフィードバック情報を省略する。
【0122】
さらに、この実施例で、CSIプロセス自体に設定された優先順位は、CoMP送信方式(CoMP−JP、DSP/DPB又はCoMP−CS/CB)によって設定してもよい。この実施例における前提条件として、UEに設定された複数のCSIプロセスは、互いに異なるCoMP送信方式を仮定したチャネル情報を計算することができる。すなわち、UEは、CoMP送信方式に参加した協調セルがCoMP送信方式(CoMP−JP、DSP/DPB又はCoMP−CS/CB)のうちいずれの方式で動作しているかによって異なるチャネル情報を報告することができる。
【0123】
図22は、本発明の一実施例によって、二つのセル(TP1及びTP2)が協調してデータを送信するCoMP送信状況で、UEが報告できる様々なチャネル情報(フィードバック内容)の種類を示すテーブルである。
図22に示すテーブルの例示で、「所望の信号に対する仮定(Desired signal hypothesis)」項目は、CoMP送信方式に参加している両セルの中でどのセルから信号を受信している状況を仮定しているかを示す。そして、「干渉信号に対する仮定(Interference signal hypothesis)」項目は、CoMP送信方式に参加している両セルの中でどのセルからの干渉が発生する状況を仮定しているかを示す。すなわち、本発明の一実施例で、CSIプロセスは「所望の信号に対する仮定」及び「干渉信号に対する仮定」の組合せで定義することができる。
【0124】
例えば、CSIプロセス1は、UEがTP1から所望の信号を受信し、TP2から干渉信号を受信している状況を仮定してRI/PMI/CQIを計算し、この計算されたチャネル情報(RI/PMI/CQI)を報告する。CSIプロセス2は、UEがTP1から所望の信号を受信し、TP2から干渉信号が送信されない状況を仮定してRI/PMI/CQIを計算してチャネル情報を報告する。これら二つのプロセスを通じて報告されたチャネル情報を比較すると、CSIプロセス2を通じて報告されたチャネル情報はCSIプロセス1を通じて報告されるチャネル情報と比較して、より高いRI又はCQIを示すことができる(CSIプロセス2では干渉信号がないと仮定したため)。同様に、CSIプロセス3及び4では、逆に、UEがTP2から所望の信号を受信し、TP1から干渉信号が送信され、又は送信されない状況を仮定して取得したチャネル情報を報告する。最後に、CSIプロセス5は、TP1及びTP2の両方から所望の信号を受信し、TP1及びTP2のいずれからも干渉信号を受信しない状況を仮定して取得したチャネル情報を報告する。
【0125】
図22に示す例示のように、様々なCoMP状況を仮定したCSIプロセスを用いると、ネットワークは、このようなCSIプロセスを通じて受信されたチャネル情報に基づいて様々なCoMP送信方式を適用することができる。以下では、TP1をサービス提供セルと仮定して記述するが、TP2がサービス提供セルとして動作する場合にも同一に適用できることは明らかである。例えば、ネットワークは、UEからCSIプロセス1及び2を通じたチャネル情報が与えられた場合、CoMP−CS/CB、DPBの中から適切なCoMP動作を決定し、TP1からUEに所望の信号を送信することができる。同様に、UEからCSIプロセス3及び4を通じてチャネル情報が与えられる場合、ネットワークは、CoMP−CS/CB及びDPS/DPBの中から適切なCoMP動作を決定し、TP1又はTP2から選択的に所望の信号を送信することができる。また、UEからCSIプロセス5を通じてチャネル情報が与えられた場合、ネットワークは、CoMP−JP送信技法を用いてTP1及びTP2から同時にUEに所望の信号を送信することができる。ネットワークがUEに可能なCSIプロセス全体を設定した場合、CoMP−CS/CB、DPS/DPB、CoMP−JPなどのすべてのCoMP送信技法を行うことができる。そして、上述したとおり、UEに一部のCSIプロセスだけを設定する場合、その一部のCSIプロセスに該当するCoMP送信技法の中からCSIプロセスが仮定したCoMP送信技法を選択して行うことができる。
【0126】
このように、UEに設定されたCSIプロセスによって異なるCoMP動作を仮定してチャネル情報を報告する場合、仮定したCoMP動作の重要度に従ってネットワークで優先順位を有することが有利であろう。すなわち、フィードバック情報の送信がCSIプロセス間に重なる場合、重要なCoMP動作を仮定したCSIプロセスを通じて送信されるフィードバック情報の送信に対して送信優先順位をより高く設定することができる。特に、PUCCHを用いた周期的なチャネル報告にこのような優先順位を反映して、CoMP動作をより効率的に行うように補助することもできる。このような優先順位は半静的にCSIプロセス設定と共にUEに信号通知することができる。より具体的には、UEは、複数の周期的PUCCHチャネル報告において異なるCSIプロセスを通じたフィードバック情報の送信時点が重なる場合、優先順位の高いCSIプロセスのチャネル情報を報告し、優先順位の低いCSIプロセスのチャネル情報は省略してもよい。
【0127】
CSIプロセスに優先順位を設定する際、UEがCoMP送信状況でサービス提供セルから所望の信号を受信する頻度数が高い場合には、このような状況を仮定したCSIプロセスに高い優先順位を設定することが好ましい。すなわち、
図22に示すテーブルの例示で、このような状況を仮定したCSIプロセス1及び2が、高い優先順位を有するはずである。他の状況を仮定すると、二つのTPから同時に受信する方式であるCoMP−JT方式の頻度数が低い場合は、TP1又はTP2のいずれか一方から所望の信号を受信するCSIプロセスが、より高い優先順位を有することが好ましいであろう。
図22に示すテーブルの例示におけるCSIプロセス1、2、3及び4がそれに該当するであろう。
【0128】
図23は、本発明の一実施例によって、CSIプロセス別に優先順位を異なるように設定し、優先順位値を設定した例示を示している。
図23に示す例示であり、CSIプロセス1及び2に、最高の優先順位である「Class A」が設定されており、CSIプロセス5には、最低の優先順位である「Class C」が設定されている。そして、本発明の実施例では優先順位によって「優先順位値」を設定して、高い優先順位を有する場合に、より高い優先順位値を設定する。上述した優先順位の設定によって、UEは、様々なCSIプロセスが動作して周期的なPUCCHの送信時点が重なっても、少なくともサービス提供セルから所望の信号を受信するCoMP動作はサポートできるように安定的にチャネル情報をネットワークに伝達することができる。上述した例示では説明の便宜上、優先順位を3つ(高/中/低)としたが、ネットワークの具現によってより多く細分化したレベル(又は、より少なく細分化したレベル)に設定することもできることは無論である。
【0129】
なお、本発明の実施例は、送信されるチャネル情報の種類(RI/PMI/CQIなど)によって異なる優先順位をさらに設定してもよい。
【0130】
図24は、本発明の一実施例によって、CSIプロセスを通じて送信されるチャネル情報の種類によって優先順位及び優先順位値が設定された例示する図である。
図24では、RI情報、広帯域PMI/CQI、及び副帯域PMI/CQIによる優先順位の例示を示している。
【0131】
一例として、RI情報は、長い周期で一回ずつ報告されるが、チャネル情報全体の正確性を決定するのに極めて重要な情報であるため、高い優先順位に設定することが好ましい。次に、WB PMIやWB CQIなどは、副帯域PMI又は副帯域CQIに比べて長い周期で報告され、全体チャネル情報を含む情報であるため、副帯域情報に比べて高い優先順位を有することができる。そして、このように設定された優先順位に従って優先順位値をそれぞれ設定することができ、優先順位値が高いほどより高い優先順位を示す。
【0132】
図23ではCSIプロセスが仮定しているCoMP送信技法によって優先順位を設定する実施例を示しており、
図24では送信されるチャネル情報の種類によって優先順位を設定する実施例を示している。本発明の一実施例では、これら2種類の優先順位を同時に考慮することを更に提案する。
【0133】
同時に考慮する一方法として、
図23及び
図24の例示で設定されている優先順位値の積から算出される最終優先順位値を決定し、その最終優先順位値を比較することによって2種類の優先順位を同時に考慮することができる。すなわち、上記の例で、CSIプロセス1(優先順位値=3)におけるRI情報、WB PMI/CQI及びSB PMI/CQIはそれぞれ最終優先順位値として9、6及び3を有することができる。そしてCSIプロセス5(優先順位値=1)に対してRI情報、WB PMI/CQI及びSB PMI/CQIはそれぞれ最終優先順位値として3、2及び1を有することができる。したがって、CSIプロセス1を通じて送信されるWB PMI(最終優先順位値=6)は、CSIプロセス5を通じて送信されるRI情報(最終優先順位値=3)よりも高い最終優先順位値を有する。
【0134】
2種類の優先順位を同時に考慮する他の方法として、それぞれの優先順位を順次に適用することを考慮することができる。例えば、
図23に示したテーブルの例のように、CSIプロセス別に優先順位をまず適用した後、同一の優先順位を有するCSIプロセス間には、
図24に示した例のように、チャネル情報による優先順位を適用することができる。逆に、チャネル情報による優先順位をまず適用した後、同一の優先順位を有するチャネル情報間にはさらにCSIプロセスによる優先順位を適用してもよい。
【0135】
図25は、本発明に一実施例に適用できる基地局及び端末を例示する。無線通信システムにリレーが含まれる場合、バックホールリンクでは通信が基地局とリレーとの間で行われ、接続リンクでは通信がリレーと端末との間で行われる。そのため、図中の基地局又は端末は状況によってリレーに置き替えてもよい。
【0136】
図25を参照すると、無線通信システムは、基地局(BS)110及び端末(UE)120を含む。基地局110は、プロセッサ112、メモリ114及び無線周波(RF)ユニット116を含む。プロセッサ112は、本発明で提案した手順及び/又は方法を具現するように構成することができる。メモリ114は、プロセッサ112に接続し、プロセッサ112の動作に関連した様々な情報を記憶する。RFユニット116はプロセッサ112に接続し、無線信号を送信及び/又は受信する。端末120は、プロセッサ122、メモリ124及びRFユニット126を含む。プロセッサ122は、本発明で提案した手順及び/又は方法を具現するように構成することができる。メモリ124はプロセッサ122に接続され、プロセッサ122の動作に関連した様々な情報を記憶する。RFユニット126はプロセッサ122に接続され、無線信号を送信及び/又は受信する。基地局110及び/又は端末120は、単一アンテナ又は多元アンテナを有することができる。
【0137】
以上説明してきた実施例は、本発明の構成要素及び特徴を所定形態に結合したものである。各構成要素又は特徴は、別の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮しなければならない。各構成要素又は特徴は、他の構成要素又は特徴と結合しない形態で実施することもできるし、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成することもできる。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更してもよい。ある実施例の一部構成又は特徴は、他の実施例に含まれてもよいし、他の実施例の対応する構成又は特徴に置き換えてもよい。特許請求の範囲において明示的な引用関係にない請求項を結合して実施例を構成したり、出願後の補正によって新しい請求項として含めたりできるということは明らかである。
【0138】
本明細書で基地局によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノードによって行われることもある。すなわち、基地局を含む複数のネットワークノードからなるネットワークにおいて端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局又は基地局以外の他のネットワークノードによって行われ得ることは明らかである。基地局は、固定局、ノードB、進化ノードB(eNB)、アクセスポイントなどの用語に置き換えてもよい。
【0139】
本発明による実施例は、様々な手段、例えば、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの結合などによって具現することができる。ハードウェアによる具現では、本発明の一実施例は、一つ又はそれ以上の特定用途集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラム可能論理デバイス(PLD)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現することができる。
【0140】
ファームウェア又はソフトウェアによる具現では、本発明の一実施例は、以上で説明された機能又は動作を実行するモジュール、手順、関数などの形態で具現することができる。ソフトウェアコードは、メモリユニットに記憶され、プロセッサによって駆動可能である。メモリユニットは、プロセッサの内部又は外部に設けられ、公知の様々な手段によってプロセッサとデータを交換することができる。
【0141】
本発明を、本発明の特徴から逸脱しない範囲で別の特定の形態で具体化できるということは当業者にとっては自明である。したがって、上記の詳細な説明は、いずれの面においても制限的に解釈してはならず、例示的なものとして考慮しなければならない。本発明の範囲は、添付の請求項の合理的な解釈によって決定すべきであり、本発明の均等範囲内における変更はいずれも本発明の範囲に含まれる。