特許第6208842号(P6208842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208842
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】プロリポソーム型テストステロン調合物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/568 20060101AFI20170925BHJP
   A61P 5/26 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   A61K31/568
   A61P5/26
   A61K9/14
   A61K9/20
   A61K9/48
   A61K47/24
   A61K47/28
   A61K47/38
   A61K47/32
【請求項の数】16
【全頁数】55
(21)【出願番号】特願2016-234097(P2016-234097)
(22)【出願日】2016年12月1日
(62)【分割の表示】特願2015-511696(P2015-511696)の分割
【原出願日】2013年5月9日
(65)【公開番号】特開2017-61552(P2017-61552A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2016年12月27日
(31)【優先権主張番号】61/644,996
(32)【優先日】2012年5月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507175267
【氏名又は名称】ウエスタン ユニバーシティ オブ ヘルス サイエンシズ
(73)【特許権者】
【識別番号】514284899
【氏名又は名称】テソクス ファーマ,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100196977
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 路子
(72)【発明者】
【氏名】グル ブイ.ベータゲリ
(72)【発明者】
【氏名】ラマチャンドラン シルコーテ
(72)【発明者】
【氏名】ビーラン ゴウダ カダジ
【審査官】 伊藤 清子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−521823(JP,A)
【文献】 特表2003−534252(JP,A)
【文献】 Drug Deliv., 2010, Vol.17, No.2, p.92-101
【文献】 Eur. J. Endocrinol., 2004, Vol.150, No.1, p.57-63
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/568
A61K 9/14
A61K 9/20
A61K 9/48
A61K 47/24
A61K 47/28
A61K 47/32
A61K 47/38
A61P 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロリポソーム型粉末分散物の調製方法であって、
(A)水混和性溶媒中にテストステロンを溶液が清澄になるまで溶解すること;
(B)テストステロンと水混和性溶媒との清澄な溶液にリン脂質を添加し、その後、テストステロンとリン脂質とコレステロールの分散物を得るように、テストステロンと水混和性溶媒との清澄な溶液とリン脂質の混合物にコレステロールを添加することにより、テストステロンとリン脂質とコレステロールの分散物を得ること;
(C)乾燥粉末が得られるまで蒸発により水混和性溶媒を除去すること;を含む前記方法。
【請求項2】
テストステロンとコレステロールは、(テストステロン):(コレステロール)の重量比が、(1.0:0.05)〜(1.0:0.30)の範囲で添加され、
リン脂質は、(テストステロン):((コレステロール)+(リン脂質))の重量比が(1.0:1.0)〜(1.0:2.5)の範囲で(テストステロン)、(コレステロール)、及び(リン脂質)が存在するように添加される、請求項1に記載のプロリポソーム型粉末分散物の調製方法。
【請求項3】
(テストステロン):(コレステロール)の重量比が、(1.0:0.05)〜(1.0:0.12)の範囲であり、(テストステロン):((コレステロール)+(リン脂質))の重量比が(1.0:1.0)〜(1.0:1.2)の範囲である、請求項2に記載のプロリポソーム型粉末分散物の調製方法。
【請求項4】
前記リン脂質が、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、ジミリシチルホスファチジルグリセロールナトリウム、1,2−ジミリストイルホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスフェート、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−rac−グリセロール、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、及びスフィンゴミエリンら選択される、請求項1に記載のプロリポソーム型粉末分散物の調製方法
【請求項5】
前記リン脂質がジステアロイルホスファチジルコリンである、請求項4に記載のプロリポソーム型粉末分散物の調製方法
【請求項6】
乾燥粉末を更に#60の篩に通過させる、請求項1に記載のプロリポソーム型粉末分散物の調製方法。
【請求項7】
添加したテストステロンの量100mg〜260mgである、請求項1に記載のプロリポソーム型粉末分散物の調製方法。
【請求項8】
経口剤の調製方法であって、
(A)水混和性溶媒中にテストステロンを溶液が清澄になるまで溶解すること;
(B)テストステロンと水混和性溶媒との清澄な溶液にリン脂質を添加し、その後、テストステロンとリン脂質とコレステロールの分散物を得るように、テストステロンと水混和性溶媒との清澄な溶液とリン脂質の混合物にコレステロールを添加することにより、テストステロンとリン脂質とコレステロールのプロリポソーム型粉末分散物を得ること;
(C)乾燥粉末が得られるまで蒸発により水混和性溶媒を除去すること;
(D)得られた乾燥粉末を#60の篩に通過させること;
(E)篩に通した乾燥粉末を微結晶セルロースと混合すること;
(F)乾燥粉末と微結晶セルロースとの混合物をカプセルに充填し経口剤を形成すること;を含む前記方法。
【請求項9】
(テストステロン):(コレステロール)の重量比が(1.0:0.05)〜(1.0:0.15)の範囲であり、(テストステロン):((コレステロール)+(リン脂質))の重量比が(1.0:1.0)〜(1.0:1.2)の範囲であり、乾燥粉末と微結晶セルロースは(1:0.5)〜(1:2)の範囲の重量比で存在する、請求項8に記載の経口剤の調製方法。
【請求項10】
乾燥粉末と微結晶セルロースは(1:0.5)〜(1:1)の範囲の重量比で存在する、請求項9に記載の経口剤の調製方法。
【請求項11】
乾燥粉末と微結晶セルロースは1:0.63の重量比で存在する、請求項9に記載の経口剤の調製方法。
【請求項12】
前記リン脂質がジステアロイルホスファチジルコリンである、請求項8に記載の経口剤の調製方法。
【請求項13】
前記カプセルが遅延放出コーティングによりコーティングされている、請求項8に記載の経口剤の調製方法。
【請求項14】
添加したテストステロンの量が100mg〜260mgである、請求項8に記載の経口剤の調製方法。
【請求項15】
前記テストステロンは天然のテストステロンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロリポソーム型粉末分散物の調製方法。
【請求項16】
前記テストステロンは天然のテストステロンである、請求項8〜14のいずれか1項に記載の経口剤の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2012年5月9日に出願された米国特許出願第61/644,996号の優先権を主張し、その開示内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
テストステロンの溶解度と生物学的利用能とを上昇させるテストステロンの送達のためのプロリポソーム型医薬調合物が、本明細書に開示される。
【背景技術】
【0003】
テストステロンは、BCSクラスIIの薬剤である。特に別の指定がなければ、用語「テストステロン」は、人体で産生されるテストステロン、すなわち「天然の」又は「内因性」テストステロンと化学的に同一のテストステロンを意味する。テストステロンは、天然の供給源から単離するか、又は商業的合成法により作成することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある実施態様において、(a)テストステロンと、(b)コレステロールと、(c)少なくとも1種のリン脂質とを含むプロリポソーム型粉末分散物が、本明細書に開示される。いくつかの態様において、(a)と(b)は、重量比(a):(b)が1:0.05〜1:0.30の範囲で存在し、(a)、(b)、及び(c)は、(a):((b)+(c))の重量比が1:1〜1:2.5の範囲で存在する。いくつかの態様において、(a)と(b)は、重量比(a):(b)が約1:約0.05〜約1:約0.30の範囲で存在し、(a)、(b)、及び(c)は、(a):((b)+(c))の重量比が約1:約1〜約1:約2.5の範囲で存在する。
【0005】
ある実施態様において、(a)本明細書に記載のプロリポソーム型粉末分散物と、(b)少なくとも1種の医薬的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物が、本明細書に開示される。
【0006】
いくつかの態様において、医薬組成物を含む経口剤形が本明細書に開示される。いくつかの態様において、経口剤形は、(a)本明細書に記載のプロリポソーム型粉末分散物と、(b)少なくとも1種の医薬的に許容し得る賦形剤とを含む錠剤又はカプセル剤である。いくつかの態様において、錠剤又はカプセル剤は、遅延放出コーティング(例えば、腸溶コーティング)によりコーティングされる。いくつかの態様において、錠剤又はカプセル剤は、腸溶コーティングによりコーティングされる。
【0007】
ある態様において、経口テストステロン剤形の摂取後約5時間目に、テストステロンが約350〜約950ng/dLの範囲となる平均血漿テストステロン濃度であることを特徴とする絶食時薬物動態プロフィールを有する、経口テストステロン剤形が本明細書に開示される。あるいは上記の平均血漿濃度は、摂取後約5時間目に、テストステロンが約4〜約7ng/dL/mgの範囲となると言うこともできる。いくつかの態様において、絶食時薬物動態プロフィールは、剤形の摂取後約5時間目に、テストステロンが350〜950ng/dLの範囲となる平均血漿テストステロン濃度であることを特徴とする。
【0008】
ある態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物、本明細書に記載の医薬組成物、又は本明細書に記載の剤形を、必要な個人に投与することを含む、テストステロン補充療法の方法が本明細書に開示される。従って、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物、本明細書に開示される医薬組成物、又は本明細書に開示される剤形の治療有効量を、テストステロン療法の必要な個人に投与する工程を含む、個人を治療する方法が本明細書に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、(a)保存されていなかった;(b)室温で3ヶ月保存された;(c)30℃で3ヶ月保存された、カプセル化された非コーティングPLF−C2の、インビトロのテストステロン溶解プロフィールを例示する。比較例2を参照されたい。
【0010】
図2図2は、pH6.80のPBSで行った溶解試験に基づくPLF−C2及びPLF−C4の非コーティングカプセル(これらは、異なる比率のDPMG対EtOH:水溶媒溶液を使用して調製された)からの、テストステロンのインビトロ放出プロフィールを例示する。
【0011】
図3図3は、PLF−C1の懸濁物と未調合の対照テストステロン懸濁物とを非絶食ラットに経口投与した後の、経時的な平均血漿テストステロン濃度を例示する。比較例3を参照されたい。
【0012】
図4図4は、PLF−C2の懸濁物とPLF−C3の懸濁物とを絶食ラットに経口投与した後の、経時的な平均血漿テストステロン濃度を例示する。比較例3を参照されたい。
【0013】
図5図5は、(a)PLF−C5;(b)Avicel(登録商標)PH101を有するPLF−C5;(c)Avicel(登録商標)PH101とExplotab(登録商標)崩壊剤とを有するPLF−C5;(d)水和PLF−C2;(e)PLF−C6;及び(f)凍結乾燥PLF−C5の、インビトロのテストステロン溶解プロフィールを例示する。比較例4と表3を参照されたい。
【0014】
図6図6は、(a)HCl緩衝液、pH1.2;(b)酢酸緩衝液、pH4.5;(c)リン酸緩衝液、pH6.8;及び(d)リン酸緩衝液、pH7.4中の、72時間後のテストステロンの溶解度を例示する。実施例1を参照されたい。
【0015】
図7図7は、以下のカプセル化調合物を、37℃でpH6.80のPBSに溶解した後の、テストステロン(T)の溶解度を例示する:F1(60%T、32%DSPC、及び8%コレステロール);F2(60%T、32%DSPC、及び4%コレステロール);F3(60%T、40%DSPC、及び0%コレステロール);F4(50%T、40%DSPC、及び10%コレステロール);F5(50%T、45%DSPC、及び5%コレステロール);F6(50%T、50%DSPC、及び0%コレステロール);F7(40%T、48%DSPC、及び12%コレステロール);F8(40%T、54%DSPC、及び9%コレステロール);F9(40%T、60%DSPC、及び0%コレステロール)。実施例1と表4を参照されたい。
【0016】
図8図8は、(a)0.5%SLS中の未調合のテストステロン;(b)1%SLS中の未調合のテストステロン;(c)2%SLS中の未調合のテストステロン;(d)0.5%SLS中のPLF−2;(e)1%SLS中のPLF−2;及び(f)2%SLS中のPLF−2の、溶解後のテストステロンの溶解度を例示する。実施例3を参照されたい。
【0017】
図9図9は、(a)保存されていなかった;(b)室温で3ヶ月保存された;(c)30℃で3ヶ月保存された、カプセル化され腸溶コーティングされたPLF−1の、インビトロのテストステロン溶解プロフィールを例示する。実施例4を参照されたい。
【0018】
図10図10は、(a)300mg/kg(テストステロン/ラット体重)の未調合のテストステロン;(b)300mg/kgのテストステロンを含むPLF−2;(c)150mg/kgのテストステロンを含むPLF−2;及び(d)300mg/kgのテストステロンを含むPLF−4を、オスの絶食ラットに経口投与した後の、経時的な平均血漿テストステロン濃度を例示する。実施例5を参照されたい。
【0019】
図11図11は、(a)300mg/kg(テストステロン/ラット体重)の未調合のテストステロン;(b)31mg/kg(テストステロン/ラット体重)の未調合のテストステロン;(c)31mg/kgのテストステロンを含むPLF−2;(d)15.5mg/kgのテストステロンを含むPLF−2;及び(e)7.75mg/kgのテストステロンを含むPLF−2を、オスの絶食ラットに経口投与した後の、経時的な平均血漿テストステロン濃度を例示する。実施例5を参照されたい。
【0020】
図12図12は、以下の調合物のインビトロのテストステロン溶解プロフィールを例示する:(a)Avicel(登録商標)PH101と1%のExplotab(登録商標)崩壊剤とを有するカプセル化PLF−5;(b)Avicel(登録商標)PH101、SD乳糖、ステアリン酸Mg、及び1%Explotab(登録商標)崩壊剤を有する錠剤化PLF−5;(c)Avicel(登録商標)PH101、ステアリン酸Mg、及び5%Explotab(登録商標)崩壊剤を有する錠剤化PLF−5;及び(d)Avicel(登録商標)PH101、ステアリン酸Mg、及び5%Explotab(登録商標)崩壊剤を有する粉末化PLF−5。実施例6を参照されたい。
【0021】
図13図13は、以下の錠剤化調合物のインビトロのテストステロン溶解プロフィールを例示する。(a)Avicel(登録商標)PH101、ステアリン酸Mg、及びExplotab(登録商標)崩壊剤を有するPLF−6;(b)20%Pearlitol(登録商標)、Avicel(登録商標)PH102、ステアリン酸Mg、及びExplotab(登録商標)崩壊剤を有するPLF−6;(c)10%Pearlitol(登録商標)、Avicel(登録商標)PH102、ステアリン酸Mg、及びExplotab(登録商標)崩壊剤を有するPLF−6;(d)Avicel(登録商標)PH102、ステアリン酸Mg、及びExplotab(登録商標)崩壊剤を有するPLF−7;及び(e)Avicel(登録商標)PH101、ステアリン酸Mg、及びExplotab(登録商標)崩壊剤を有するPLF−6。(e)の溶解は、II型装置中で、(a)〜(d)で行ったような50rpmではなく75rpmで行った。実施例7を参照されたい。
【0022】
図14図14は、以下の調合物のインビトロのテストステロン溶解プロフィールを例示する:(a)Avicel(登録商標)PH101を有するカプセル化PLF−2;(b)Avicel(登録商標)PH101、ステアリン酸Mg、及びExplotab(登録商標)崩壊剤を有する錠剤化PLF−6;及び(c)PLF−8(未調合のテストステロン対照)。実施例8と表9を参照されたい。
【0023】
図15図15は、以下のカプセル化調合物のインビトロのテストステロン溶解プロフィールを例示する:(a)Avicel(登録商標)PH102(1:2)を有するPLF−9;(b)Avicel(登録商標)PH102(1:0.5)を有するPLF−9;(c)Avicel(登録商標)PH102(1:1)を有するPLF−9;(d)Avicel(登録商標)PH102(1:0.6)を有するPLF−9;及び(e)Avicel(登録商標)PH102(1:0.6)とExplotab(登録商標)崩壊剤とを有するPLF−9。実施例9と表10を参照されたい。
【0024】
図16図16は、以下のカプセル化調合物と溶解媒体中のSLSパーセントのインビトロのテストステロン溶解プロフィールを例示する:(a)1%SLSに溶解されたAvicel(登録商標)PH102を有するPLF−11;(b)2%SLSに溶解されたAvicel(登録商標)PH102を有するPLF−11;(c)0.5%SLSに溶解されたAvicel(登録商標)PH102とExplotab(登録商標)崩壊剤とを有するPLF−12;及び(d)1%SLSに溶解されたAvicel(登録商標)PH102とExplotab(登録商標)崩壊剤とを有するPLF−12。実施例10と表11を参照されたい。
【0025】
図17図17は、以下のカプセル化調合物のインビトロのテストステロン溶解プロフィールを例示する:(a)Avicel(登録商標)PH102とExplotab(登録商標)崩壊剤とを有するPLF−16;(b)Avicel(登録商標)PH102とExplotab(登録商標)崩壊剤とを有するPLF−17;(c)SMCCとExplotab(登録商標)崩壊剤とを有するPLF−18;(d)DCPとExplotab(登録商標)崩壊剤とを有するPLF−19;(e)Avicel(登録商標)PH102とExplotab(登録商標)崩壊剤とを有するPLF−20;(f)SMCCとExplotab(登録商標)崩壊剤とを有するPLF−21;及び(g)DCPとExplotab(登録商標)崩壊剤とを有するPLF−22。実施例12及び表13を参照されたい。
【0026】
図18図18は、カプセル化された(a)腸溶コーティングされたPLF24(プラセボ)と(b)テストステロンを含有する腸溶コーティングされたPLF25の、インビトロのテストステロン溶解プロフィールを例示する。実施例13と表14を参照されたい。
【0027】
図19図19は、以下のカプセル化調合物のインビトロのテストステロン溶解プロフィールを例示する:(a)腸溶コーティングされたPLF−26;(b)腸溶コーティングされたPLF−27;及び(c)非コーティングPLF−29。実施例15と表18を参照されたい。
【0028】
図20図20は、表20に列記された調合物から放出されたテストステロンの、Caco−2細胞の単層を通過する輸送を例示する。実施例15Bと表20を参照されたい。
【0029】
図21図21は、実施例16の薬物動態試験に記載されるように、ヒトに120mg又は240mgのテストステロンを経口投与した後の、性腺機能低下症のヒト患者から得られた、経時的な平均血漿テストステロン濃度を例示する。テストステロン(T)濃度は、ベースラインに対して調整されている。血漿テストステロン濃度は、(a)絶食条件下で120mgのT;(b)絶食条件下で240mgのT;(c)摂食条件下で120mgのT;及び(d)摂食条件下で240mgのT、の投与後の記載の時間に測定された。
【0030】
図22図22は、表20に示されているように調製された120mg又は240mgのテストステロンの経口投与後の、性腺機能低下症を有するヒト患者から得られた、テストステロン代謝物の経時的な平均血漿テストステロン濃度を例示する。DHT濃度はベースラインに対して調整されている。血漿DHT濃度は、(a)絶食条件下で120mgの調製されたT;(b)絶食条件下で240mgの調製されたT;(c)摂食条件下で120mgの調製されたT;及び(d)摂食条件下で240mgの調製されたT、の投与後の記載の時間に測定された。
【0031】
図23図23は、120mg又は240mgの調製されたテストステロン(T)の1日2回の経口投与を1日(D1)及び15日間(D15)受けた後の、性腺機能低下症を有するヒト対象における、平均血漿テストステロン濃度(24時間プロフィール)を例示する。データを得るために使用された120mgの剤形は、実施例18に記載される。240mg用量は、120mg用量を2回投与することにより与えた。
【0032】
図24図24は、本明細書において実施例18に記載の剤形のような120mgのテストステロン剤形を1日2回投与する、15日間の長期治療処方のうちの最初の24時間の2時間毎の、性腺機能低下症を有するヒト対象の平均血漿テストステロン(T)濃度を例示する。
【0033】
図25図25は、本明細書において実施例18に記載の240mgのテストステロンプロリポソーム型剤形を1日2回投与する、15日間の長期治療処方のうちの最初の24時間にわたる2時間毎の、性腺機能低下症を有するヒト対象の平均血漿テストステロン(T)濃度を例示する。
【0034】
図26図26は、実施例18に記載のプロリポソーム型テストステロン剤形の組成物と調製法に従って調製された、(a)プラセボ、(b)120mg、(c)600mg、又は(d)1200mgのテストステロンを経口投与した後の、初日の24時間にわたるビーグル犬中の平均血漿テストステロン濃度を例示する。
【0035】
図27図27は、実施例18に記載のプロリポソーム型テストステロン剤形の組成物と調製法に従って調製された、(a)プラセボ、(b)120mg、(c)600mg、又は(d)1200mgのテストステロンを経口投与した後の、57日目の24時間にわたるビーグル犬中の平均血漿テストステロン濃度を例示する。
【0036】
図28図28は、実施例18に記載のプロリポソーム型テストステロン剤形の組成物と調製法に従って調製された、(a)プラセボ、(b)120mg、(c)600mg、又は(d)1200mgのテストステロンを経口投与した後の、91日目の24時間にわたるビーグル犬中の平均血漿テストステロン濃度を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
テストステロンとテストステロン欠乏症
【0038】
ある実施態様において、テストステロン欠乏症を治療するための組成物と方法が本明細書に開示される。ある実施態様において、テストステロン欠乏症を特徴とする疾患、障害、又は症状を治療するための方法と組成物が、さらに本明細書に開示される。多くの状況(加齢、前立腺癌の治療のためのアンドロゲン枯渇療法の使用、又は遺伝的異常を含む)が、異常に低レベルのテストステロン(すなわちテストステロン欠乏症)を引き起こすことがある。男性においてテストステロン欠乏症が引き起こす結果は、特に限定されないが、脂肪量の増加、筋肉の量と強度の低下、性機能障害、及び骨粗鬆症がある。テストステロン欠乏症はまた、種々の代謝性症状や心血管症状の発症に関連していることがある。
【0039】
男性は加齢により、体内のテストステロン量が徐々に低下する。この自然の低下は、30才を超えると始まり一生続く。低テストステロンレベルの他の原因には、特に限定されないが、損傷、感染、精巣の喪失;癌の化学療法又は放射線治療;クラインフェルター症候群(X染色体過剰)などの遺伝学的異常;ヘモクロマトーシス(体内の鉄過剰);下垂体(多くの重要なホルモンを生成する脳内の腺)の機能不全;サルコイドーシス(肺の炎症を引き起こす症状)などの炎症性疾患;薬物療法、特に前立腺癌を治療するためのホルモン、及びコルチコステロイド薬;慢性疾患;慢性腎不全;肝硬変;ストレス;アルコール依存症;肥満(特に腹部);及び、カルマン症候群などの先天性症状がある。
【0040】
男性の性腺機能低下症、すなわちテストステロン欠乏症候群(TDS)は、精巣が充分なアンドロゲンを産生できないことから生じる。患者は、疲労、勃起不全、及び身体組成の変化などの臨床症状と組み合わさって、低レベルの循環テストステロンを有する。その原因は、原発性(遺伝的異常、クラインフェルター症候群)又は続発性(視床下部や下垂体の欠陥)であるが、しばしば同じ症状を呈することがある。高齢の患者では、40才過ぎにテストステロンレベルが徐々に低下するため、加齢男性のアンドロゲン欠乏症(ADAM)が続発性性腺機能低下症の重要な原因である。性腺機能低下症患者は、性機能や身体組成のみでなく、認知や代謝においても変化がある。病因に関係なく、症候性であり臨床検査値の臨床的に有意な変化を有する性腺機能低下患者は、治療のための候補である。これらの男性におけるホルモン補充療法の目標は、ホルモンレベルを正常範囲に回復させ、ホルモン欠乏を示唆する症状を緩和することである。これは種々の方法で達成されるが、最も一般的なテストステロン補充療法(TRT)が使用される。ある実施態様において、(a)テストステロンと、(b)コレステロールと、(c)少なくとも1種のリン脂質とを含む、性腺機能低下症を治療するためのプロリポソーム型粉末分散物が本明細書に開示され、ここで、(a)と(b)は、重量比(a):(b)が1:0.05〜1:0.30の範囲で存在し、(a)、(b)、及び(c)は、(a):((b)+(c))の重量比が1:1.0〜1:2.5の範囲で存在する。さらにいくつかの態様において、(a)テストステロンと、(b)コレステロールと、(c)少なくとも1種のリン脂質とを含むプロリポソーム型粉末分散物を個人に投与することを含む、個人の性腺機能低下症を治療するための方法が本明細書に開示され、ここで、(a)と(b)は、重量比(a):(b)が1:0.05〜1:0.30の範囲で存在し、(a)、(b)、及び(c)は、(a):((b)+(c))の重量比が1:1.0〜1:2.5の範囲で存在する。
【0041】
クラインフェルター症候群(47XXY、又はXXY症候群)は、ヒト男性が余分なX染色体を持っている状態である。ヒトでは、47XXYは男性における最も一般的な性染色体異数性であり、余分な染色体の存在によって引き起こされる第2番目に最も一般的な症状である。この症候群の身体的特徴は、もしあるとすれば、思春期が始まってからよりはっきりしてくる。主要な影響は、性腺機能低下症と生殖能力の低下である。種々の他の肉体的及び行動の違いや問題が一般的であるが、重症度は変化し、多くのXXY少年は、検出可能な症状がほとんど無い。すべてのXXY少年や男性が、クラインフェルター症候群の症状を発症するわけではない。この遺伝的変異は不可逆的である。より男性的な外観と主体性を望む一部の人にとっては、テストステロン治療が1つの選択肢である。ある実施態様において、(a)テストステロンと、(b)コレステロールと、(c)少なくとも1種のリン脂質とを含む、クラインフェルター症候群を治療するためのプロリポソーム型粉末分散物が本明細書に開示され、ここで、(a)と(b)は、重量比(a):(b)が1:0.05〜1:0.30の範囲で存在し、(a)、(b)、及び(c)は、(a):((b)+(c))の重量比が1:1〜1:2.5の範囲で存在する。さらにいくつかの態様において、(a)テストステロンと、(b)コレステロールと、(c)少なくとも1種のリン脂質とを含むプロリポソーム型粉末分散物を個人に投与することを含む、個人のクラインフェルター症候群を治療するための方法が本明細書に開示され、ここで、(a)と(b)は、重量比(a):(b)が1:0.05〜1:0.30の範囲で存在し、(a)、(b)、及び(c)は、(a):((b)+(c))の重量比が1:1.0〜1:2.5の範囲で存在する。
【0042】
内因性テストステロンのレベルが不十分である他の疾患又は症状には、特に限定されないが、勃起不全、特発性性腺刺激ホルモン欠乏症、腫瘍に起因する下垂体視床下部損傷、骨粗鬆症、糖尿病、慢性心不全、化学療法、ヘモクロマトーシス、肝硬変、腎不全、エイズ、サルコイドーシス、カルマン症候群、アンドロゲン受容体欠損、5−アルファ還元酵素欠損症、筋緊張性ジストロフィー、停留睾丸、ムンプス精巣炎、老化、稔性宦官型症候群、及び下垂体障害がある。ある実施態様において、内因性テストステロンのレベルが不充分な疾患、障害、又は症状を治療するための、(a)テストステロンと、(b)コレステロールと、(c)少なくとも1種のリン脂質とを含み、(a)と(b)は、重量比(a):(b)が1:0.05〜1:0.30の範囲で存在し、(a)、(b)、及び(c)は、(a):((b)+(c))の重量比が1:1〜1:2.5の範囲で存在する、プロリポソーム型粉末分散物が、本明細書に開示される。さらにいくつかの態様において、内因性テストステロンのレベルが不充分な疾患、障害、又は症状を治療するための方法であって、(a)テストステロンと、(b)コレステロールと、(c)少なくとも1種のリン脂質とを含み、(a)と(b)は、重量比(a):(b)が1:0.05〜1:0.30の範囲で存在し、(a)、(b)、及び(c)は、(a):((b)+(c))の重量比が1:1〜1:2.5の範囲で存在する、プロリポソーム型粉末分散物を、必要な個人に投与することを含む方法が、本明細書に開示される。前述のいずれかの態様において、内因性テストステロンのレベルが不十分な疾患、障害、又は症状は、勃起不全、特発性性腺刺激ホルモン欠乏症、腫瘍に起因する下垂体視床下部損傷、骨粗鬆症、糖尿病、慢性心不全、化学療法、ヘモクロマトーシス、肝硬変、腎不全、エイズ、サルコイドーシス、カルマン症候群、アンドロゲン受容体欠損、5-アルファ還元酵素欠損症、筋緊張性ジストロフィー、停留睾丸、ムンプス精巣炎、老化、稔性宦官型症候群、及び下垂体障害がある。前述のいずれかの態様において、内因性テストステロンのレベルが不十分な疾患、障害、又は症状は、勃起不全である。前述のいずれかの態様において、内因性テストステロンのレベルが不十分な疾患、障害、又は症状は、糖尿病である。前述のいずれかの態様において、内因性テストステロンのレベルが不十分な疾患、障害、又は症状は、慢性心不全である。
【0043】
薬物の治療有効性は、その生物学的利用能(すなわち、薬物又は活性部分が薬剤製品から吸収され、作用部位で利用可能になる速度と程度の尺度)に依存する。薬物の乏しい生物学的利用能は多くの要因に依存し、特に重要な要因は、胃腸液(消化液)中での薬物の溶解度、消化管領域における薬物の安定性(酸及び酵素安定性)、身体の残りの部分に到達する前に肝臓の門脈系(初回通過効果)への有意な損失の無い薬物の全身濃度を含む。薬物が、これらの側面のいずれかで障害が発生した場合、薬物は、生物学的活性のために十分に利用できない場合がある。
【0044】
FDAの生物薬剤学分類システム(Biopharmaceutics Classification System:BCS)は、薬剤の水溶解度とその組織透過性を考慮することにより、経口薬剤吸収を予測するための指針を提供する。具体的には、BCSは、薬剤を、その水溶性と透過性に基づいてクラスIからIVへ分割する。クラスIの薬剤は高溶解性、高透過性であり、クラスIIの薬剤は低溶解性を有するが高透過性であり、クラスIIIの薬剤は高度溶解性であるが低透過性であり、そしてクラスIVの薬剤は低溶解性で低透過性である。
【0045】
テストステロンはBCSクラスII薬剤である。特に別の指定がなければ、用語「テストステロン」は、人体により産生されるテストステロンと化学的に同一のテストステロン、すなわち「天然の」又は「内因性」テストステロン、又はテストステロン誘導体を意味する。テストステロンは天然供給源から単離されるか、又は商業的合成方法によって製造することができる。いくつかの態様において、本明細書に記載のプロリポソーム型粉末分散物に使用されるテストステロンは、人体により産生されるテストステロンと化学的に同一のテストステロン、すなわち「天然の」又は「内因性」テストステロン、又はテストステロン誘導体である。いくつかの態様において、本明細書に記載のプロリポソーム型粉末分散物に使用されるテストステロンはテストステロン誘導体であり、ここで、プロリポソーム型分散物中のテストステロン誘導体の量は、テストステロンと本明細書で特定される他のプロリポソーム型分散物成分との重量:重量比の範囲に基づいて、プロリポソーム型分散物中で可能とされるテストステロンのモル量に対応する。いくつかの態様において、本明細書に記載のプロリポソーム型粉末分散物に使用されるテストステロンは、ウンデカン酸テストステロン(又はテストステロンウンデシレート)、エピテストステロン、フルオキシメステロン、メステロロン、メチルテストステロン、19−ノルテストステロン、17−アルファ−メチルテストステロン、7−アルファアルキル19ーノルテストステロン、又はエナント酸テストステロンから選択されるテストステロン誘導体である。いくつかの態様において、本明細書に記載の医薬組成物に使用されるテストステロンは、17ーベータヒドロキシルでエステル化される。いくつかの態様において、17ーベータヒドロキシル基のエステル化は、疎水性を上昇させる。いくつかの態様において、本明細書に記載のプロリポソーム型粉末分散物に使用されるテストステロンは、テストステロンの塩である。テストステロン塩の例には、特に限定されないが、酢酸テストステロン及びプロピオン酸テストステロンがある。いくつかの態様において、本明細書に記載のプロリポソーム型粉末分散物は、人体により産生されるテストステロンと化学的に同一のテストステロン、すなわち「天然の」又は「内因性」テストステロン、又はテストステロン誘導体又はテストステロン塩、又はこれらの個々の組合せを含む。
【0046】
テストステロンの商業化の成功への大きな障害は、その溶解速度だけでなく溶解の程度を増強させることの困難さである。実際に、BCSクラスII薬剤がテストステロンと同様に難溶性であるという事実は、しばしば、これらの薬剤の低い及び高い可変性の生物学的利用能に関連している。テストステロンの投与の別の欠点は、摂取されたテストステロンのほとんどがその標的に到達する前に代謝されることである。より具体的には、テストステロンを小腸から肝臓に運び、全身の循環に到達する前に代謝される肝門脈系。この現象に与えられ名前が、いわゆる「初回通過効果」である。代謝された薬剤が親薬剤と同じ効果を提供しないという事実に加えて、初回通過効果はまた肝毒性を引き起こすことがある。以下に説明するように、テストステロンの投与に関連している初回通過効果を回避するために、異なるアプローチが開発されている。
【0047】
テストステロン治療中の初回通過効果を回避する1つのアプローチは、初回通過効果を受けないプロドラッグ形態のテストステロン及び他のテストステロン誘導体を使用することであった。実際、プロピオン酸テストステロン、シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、デカン酸テストステロン、及びウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンのエステルプロドラッグが、テストステロンの代替として使用されており、例えば商品名Restandol(登録商標)やAndriol(登録商標)で販売されている。米国では、他のテストステロン誘導体が異なる剤形で入手できる:筋肉内注射用エナント酸テストステロン(商品名Delatestryl(登録商標)で)、局所用溶液(商品名Axiron(登録商標)で)、頬パッチ(商品名Striant(登録商標)で)、局所ゲル(商品名AndroGel(登録商標)及びAndroGel(登録商標)1.62%で)。
【0048】
テストステロン治療に対する別のアプローチは、健康な男性の循環テストステロンが、ジヒドロテストステロン(DHT)及びエストラジオールへと代謝されるという十分に確立された観察に基づいている。典型的には、テストステロンとDHTとの比率は10:1であり、エストラジオールとの比率は200である。これらの比率の変化は、アンドロゲン活性に影響を与える。従って、テストステロンとその代謝物の比率を回復させるテストステロン誘導体は、臨床的に使用されてきた。これらのタイプのテストステロン誘導体、例えば経口療法で使用されるアルキル化誘導体(メチルテストステロン)はゆっくり代謝され、こうして高レベルのDHTを可能にし、これは次に、循環テストステロン:DHT比を変化させる。しかし、アルキル化テストステロン誘導体の長期使用は、重篤な肝毒性の発症と関連している。
【0049】
しかし、テストステロン治療に対するさらに別のアプローチは、テストステロンの有効な経口担体システムとしてのリポソームの利用である。腸のリンパ系によって吸収されたリポソームは、カイロミクロン(すなわち、小腸の吸収細胞内で形成されるリポタンパク質粒子の1種)に組み込まれる。カイロミクロンは残りのリポソームと一緒に、肝臓(門脈循環)を迂回し、リンパ系を通って鎖骨下静脈へ移動する。血流中ではこれらのリポソームは、毛細管壁に由来するリポタンパク質リパーゼにより消化され、薬剤が放出される。しかし、緩く充填されたリポソーム薬剤送達が与える利点にもかかわらず、これらはまた、胃腸消化液、pH変化、胆汁酸塩、及び脂肪分解及びタンパク質分解酵素によって与えられる障害に直面する。例えば、典型的なリポソームはほとんど胃酸によって分解され、送達系を経口投与にとって効果的でないものにしている。
【0050】
リポソームの利点を提供するが、リポソームに対する胃腸系の破壊的な影響を最小化するリポソーム介在薬物送達のための1つのアプローチは、プロリポソーム型の薬物送達系を使用することである。このアプローチを使用することにより、テストステロンなどの難水溶性薬物は、乾燥した自由流動性粉末中に取り込まれ、これは、水性環境中でリポソームカプセル化されたテストステロンを形成するであろう。プロリポソーム型調合物は乾燥粉末であるため、これらはリポソームとは異なり、小腸のあまり過酷ではない環境に到達するまで調合物を保護する遅延放出コーティング(例えば、腸溶コーティング)」でコーティングすることができ、ここでリポソームは、劇的に少ない破壊的な環境を形成することができる。テストステロンの溶解度を高め、それを作用部位において利用可能にするプロリポソーム型医薬調合物を開発する必要性が存在する。
【0051】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物及び医薬組成物は、テストステロン補充療法を必要とする個人に投与される。いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物及び医薬組成物は、勃起不全、性腺機能低下症、特発性性腺刺激ホルモン欠乏症、腫瘍に起因する下垂体視床下部損傷、骨粗鬆症、糖尿病、慢性心不全、化学療法、クラインフェルター症候群、ヘモクロマトーシス、肝硬変、腎不全、エイズ、サルコイドーシス、カルマン症候群、アンドロゲン受容体欠損、5-アルファ還元酵素欠損症、筋緊張性ジストロフィー、停留睾丸、ムンプス精巣炎、老化、稔性宦官型症候群、下垂体障害、及び内因性テストステロンのレベルが不十分な他の疾患を治療するために、必要な個人に投与される。従って、ある態様において、本明細書に記載のプロリポソーム型粉末分散物の治療有効量を個人に投与することを含む、テストステロン療法の必要な個人を治療する方法が本明細書に開示される。ある態様において、プロリポソーム型粉末分散物又は医薬組成物は、経口的に本明細書に記載の剤形で投与される。
医薬組成物
【0052】
本明細書に記載の医薬組成物は、任意の適切な方法による送達のために調製される。本明細書中に記載の医薬組成物の例示的形態は、錠剤、丸剤、粉末、カプセル剤(動物由来のゼラチン又は植物由来のHPMCから作られた軟質又は硬質カプセルを含む)、サシェ、トローチ、ペレット、顆粒、エマルジョン、及び液剤を含む。本明細書に記載のこれらの医薬組成物は、医薬分野で知られている従来技術によって製造することができる。
【0053】
本明細書に記載の医薬組成物を調製するための従来技術は、例えば(1)乾燥混合、(2)直接圧縮、(3)製粉、(4)乾式又は非水性造粒、(5)湿式造粒、又は(6)融合法、の1種又は組合せを含む。例えば、Lachman et al., The Theory and Practice of Industrial Pharmacy (1986)を参照されたい。他の方法には、例えば造粒、噴霧乾燥、パンコーティング、溶融造粒、造粒、ウルスターコーティング、タンジェンシャルコーティング、トップスプレー、打錠、押出し、コアセルベーションなどがある。
【0054】
ある実施態様において、プロリポソーム型粉末分散物を製造するために、医薬的有効量のテストステロンがリン脂質/コレステロール系に取り込まれた新規テストステロン調合物が本明細書に開示される。いくつかの態様において、プロリポソーム型粉末分散物は、経口投与用に、及び胃の中の酸性環境に耐えるために、遅延放出カプセル内に含有される。いくつかの態様において、プロリポソーム型粉末分散物は、経口投与用に、及び胃の中の酸性環境に耐えるために、腸溶コーティングカプセルに含有される。少量の腸液と接触すると、プロリポソーム型粉末分散物は分散及び水和され、リポソームの形成とリンパ系を介するテストステロンの取り込みにつながる。いくつかの態様において、本明細書に開示される組成物は、テストステロンの経口投与に通常関連する初回通過副作用を低下させる。
【0055】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物は、(a)テストステロンと、(b)コレステロールと、(c)少なくとも1種のリン脂質とを含む。本明細書において「プロリポソーム型粉末分散物」は、互いに分散された、少なくとも(a)テストステロンと、(b)コレステロールと、(c)少なくとも1種のリン脂質との混合物を意味し、これは、水性環境と接触するとリポソームを形成する。後述の実施例に示されるように、少量のコレステロールを有するプロリポソーム型粉末分散物は、コレステロールを含まない粉末分散物か又は比較的大量のコレステロールを含有する粉末分散物と比較して、標準偏差の小さい改良された透過性を有する。
【0056】
いくつかの態様において、テストステロン(a)とコレステロール(b)は、(a):(b)の重量比が約1:約0.05〜約1:約0.3の範囲で存在する。いくつかの態様において、テストステロン(a)とコレステロール(b)は、(a):(b)の重量比が1:0.05〜1:0.3の範囲で存在する。いくつかの態様において、テストステロン(a)とコレステロール(b)は、(a):(b)の重量比が、約1:約0.05、約1:約0.1、約1:約0.15、約1:約0.2、約1:約0.25、又は約1:約0.3で存在する。いくつかの態様において、テストステロン(a)とコレステロール(b)は、(a):(b)の重量比が、1:0.05,1:0.1,1:0.15、1:0.2,1:0.25、又は1:0.3で存在する。いくつかの態様において、テストステロン(b)と少なくとも1種のリン脂質(c)の比、すなわち(a):((b)+(c))は、約1:約1〜約1:約2.5の範囲である。いくつかの態様において、テストステロン(b)と少なくとも1種のリン脂質(c)の比、すなわち(a):((b)+(c))は、1:1〜1:2.5の範囲である。いくつかの態様において、テストステロン(b)と少なくとも1種のリン脂質(c)の比、すなわち(a):((b)+(c))は、約1:約1、約1:約1.1、約1:約1.2、約1:約1.3、約1:約1.4、約1:約1.5、約1:約1.6、約1:約1.7、約1:約1.8、約1:約1.9、約1約2.0、約1:約2.1、約1:約2.2、約1:約2.3、約1:約2.4、又は約1:約2.5である。いくつかの態様において、テストステロン(b)と少なくとも1つのリン脂質(c)の比は、すなわち(a):((b)+(c))は、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2.0、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、又は1:2.5である。粉末分散物中の成分の重量比は、これらの範囲内で変動してもよい。いくつかの態様において、テストステロン:コレステロール:少なくとも1種のリン脂質の重量比は、約1:約0.1:約0.9;約1:約0.2:約1.8、及び約1:約0.2:約1.3である。いくつかの態様において、テストステロン:コレステロール:少なくとも1つのリン脂質の重量比は、1:0.1:0.9;1:0.2:1.8;及び1:0.2:1.3である。ある実施態様において、(a):(b)の重量比は、約1:約0.1〜約1:約0.2の範囲であり、(a)、(b)、及び少なくとも1つのリン脂質(c)は、(a):((b)+(c))の重量比が約1:約1.1〜約1:約2の範囲で存在する。ある態様において、(a):(b)の重量比は1:0.1〜1:0.2の範囲であり、(a)、(b)及び少なくとも1つのリン脂質(c)は、(a):((b)+(c))の重量比が1:1.1〜1:2の範囲で存在する。
【0057】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物は、(a)テストステロン、(b)コレステロール、及び(c)少なくとも1種のリン脂質を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物は、(a)テ明細書に開示される粉末分散物のリン脂質成分は、任意の医薬的に許容し得るリン脂質であり、そのようなリン脂質の混合物である。天然ならびに合成リンストステロン、(b)コレステロール、及び(c)2つのリン脂質を含む。本脂質を用いることができる。リン脂質は、2つの主要な領域(有機分子のリン酸塩からなる親水性の頭部領域と、1種又はそれ以上の脂肪酸テール)を有する分子である。天然に存在するリン脂質は、一般的にはコリン、グリセロール、及びリン酸塩からなる親水性領域と、脂肪酸からなる2つの疎水性領域とを有する。リン脂質が水性環境に置かれると、親水性頭部は、直線状の構成で一緒になって、その疎水性テールが基本的に互いに平行に整列される。疎水性テールが水性環境を避けようとするため、次に、第2ラインの分子が第1ラインとテール対テールで整列する。水性環境を最大限に避けようとして、すなわち2重層の端部で、同時に表面積対容積比を最小にし、こうして最小エネルギーコンフォメーションを達成しながら、リン脂質2重層又はラメラとして知られている2つのリン脂質ラインは、収束してリポソームとなる。この過程で、リポソーム(又はリン脂質球)は水性媒体の一部を捕捉し、その中に何が溶解又は懸濁されていても、球のコア中に捕捉する。これは、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物の成分(例えば、テストステロン及び他の成分)を含む。
【0058】
本明細書で開示されるプロリポソーム型粉末分散物で使用できる適切なリン脂質の例は、特に限定されないが、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、ジミリシチルホスファチジルグリセロールナトリウム、1,2−ジミリストイル−ホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスフェート、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−rac−グリセロール、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、及びスフィンゴミエリンがある。本明細書で開示されるプロリポソーム型粉末分散物はまた、上記リン脂質のいずれかの個々の組み合わせを含んでもよい。いくつかの態様において、飽和脂肪酸を含有するリン脂質が使用される。ある例では、飽和脂肪酸を含有するリン脂質の使用は、不飽和脂肪酸に関連する安定性(化学的)問題を回避する。リン脂質であるジステアロイルホスファチジルコリンは、本明細書に記載の粉末分散物に特に有用であることが見出されている。いくつかの態様において、リン脂質は、ジステアロイルホスファチジルコリンである。
【0059】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物は、(a)テストステロン、(b)コレステロール、及び(c)少なくとも1種のリン脂質を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物は、(a)テストステロン、(b)コレステロール誘導体、及び(c)少なくとも1種のリン脂質を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物は、(a)テストステロン、(b)コレステロール、コレステロール誘導体、又はこれらの組み合わせ、及び(c)少なくとも1種のリン脂質を含み、ここで、プロリポソーム分散物中のコレステロール誘導体の量は、コレステロールと本明細書で特定される他のプロリポソーム分散物成分との、重量:重量比の範囲に基づくプロリポソーム分散物中で可能なコレステロールのモル量に対応する。本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物のコレステロール成分は、コレステロール(3β−ヒドロキシ−5−コレステン5−コレステン−3βオール)又はコレステロール誘導体である。適切なコレステロール及びその誘導体の例は、特に限定されないが、22(R)−ヒドロキシコレステロール;22(S)−ヒドロキシコレステロール;25−ヒドロキシコレステロール;5−コレステン−3β−オール−7−オン;5α−コレスト−7−エン−3β−オール;5α−コレスタン−3β−オール;5α−コレスタン;5β−コレスタン−3α−オール;7β−ヒドロキシコレステロール;カンペステロール;コレスタ−3,5−ジエン;コレスタノール;コレステロール5α,6α−エポキシド;コレステロール5β、6β−エポキシド;コレステロール−PEG600;コレステロール;コレステリル10−ウンデセノエート;酢酸コレステリル;アラキドン酸コレステリル;ベヘン酸コレステリル;酪酸コレステリル;カプリル酸コレステリル;ドデカン酸コレステリル;エライジン酸コレステリル;エルカ酸コレステリル;ヘプタデカン酸コレステリル;ヘプタン酸コレステリル;ヘキサン酸コレステリル;リノール酸コレステリル;リノールエライジン酸コレステリル;ミリスチン酸コレステリル;コレステリルN−(トリメチルアンモニオエチル)カルバミン酸クロリド;n−デカン酸コレステリル;n−吉草酸コレステリル;ネルボン酸コレステリル;オレイン酸コレステリル;パルミチン酸コレステリル;パルミトエライジン酸コレステリル;パラルゴン酸コレステリル;フェニル酢酸コレステリル;ステアリン酸コレステリル;グリココール酸水和物;ラノステロール;硫酸ナトリウムコレステリル;スティグマスタノール;SyntheChol(登録商標);チオコレステロールがある。本明細書で開示されるプロリポソーム型粉末分散物はまた、上記コレステロール成分の任意の個々の組み合わせを含んでもよい。
【0060】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物は、まず溶媒中にテストステロンを溶解することにより調製される。溶媒は、テストステロンが溶解する任意の溶媒であるが、好ましくは水混和性溶媒である、このような溶媒の例としては、特に限定されないが、エタノール、メタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、イソプロピルアルコール、及びジエチルエーテルがある。水混和性溶媒との組み合わせで水が存在する場合(例えば、エタノールと水の溶媒系)は、テストステロンが溶解する前又は後に水を添加してもよい。溶媒−水系はまた、用量対用量基準で作成され、水の量は、リン脂質がリポソームを形成するほど多くすべきではない。一般的に、溶媒溶液は10%以上の水(vol/vol)を含むべきではない。いくつかの態様において、テストステロンがいったん溶解されると、コレステロール及び少なくとも1つのリン脂質ならびに任意の他のプロリポソーム粉末成分が溶液に添加され、混合されて、溶媒中の成分の溶液又は分散物が形成される。種々の態様において、溶液に加えられるリン脂質とコレステロールの量は、テストステロン対リン脂質対コレステロールの比(重量/重量)が、(0.50〜3.50):(0.50〜3.00):(0.05〜0.50)の範囲であるようなものである。種々の態様において、溶液に添加されるリン脂質及びコレステロールの量は、テストステロン対リン脂質対コレステロールの比(重量/重量)が、(約0.50〜約3.50):(約0.50〜約3.00):(約0.05〜約0.50)の範囲であるようなものである。いくつかの態様において、テストステロン対リン脂質対コレステロールの比(重量/重量)は、それぞれ(1.00:0.90:0.10);(1.50:1.35:0.15);(1.50:2.70:0.30);(1.00:1.35:0.15);又は(3.00:2.70:0.30)、並びにこれらの比率内の任意の比率である。いくつかの態様において、テストステロン対リン脂質対コレステロールの比(重量/重量)は、それぞれ(約1.00:約0.90:約0.10);(約1.50:約1.35:約0.15);(約1.50:約2.70:約0.30);(約1.00:約1.35:約0.15);又は(約3.00:約2.70:約0.30)、並びにこれらの比率内の任意の比率である。テストステロンの溶解及び他の成分の混合は、1つの又は一連の工程で、任意の適切な手段により、好ましくは攪拌することにより行われる。いくつかの態様において、混合後、溶媒が除去されて粉末が得られる。溶媒は適切な技術により、例えば、蒸発により、溶液を真空下に入れることにより、噴霧乾燥により、又は乾燥ガスの使用等により、除去される。いくつかの態様において、成分は、溶媒が蒸発するまで室温で攪拌することにより、すなわち一晩攪拌することにより、混合される。いくつかの態様において、溶媒を除去する方法は、熱の使用をさらに含む。生じる粉末分散物の粒径は、粉砕することにより、スクリーン中に粉末を通すことにより、又は任意の他の適切な技術により、低減することができる。いくつかの態様において、本明細書に記載のプロリポソーム型粉末分散物中の粒子は、約10〜200メッシュ、20〜120メッシュ、又は40〜80メッシュの範囲の粉末サイズを有することができる。所望であれば、プロリポソーム型粉末分散物は、粉末中になお存在する残留溶媒を除去するか又はその量を減らすために、追加の乾燥を受けることができる。このような追加の乾燥工程は、上記の乾燥技術の1種又はそれ以上を使用することにより、又は他の適切な乾燥技術により行われる。
【0061】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物は、他の医薬的に許容し得る賦形剤を含む。本明細書に記載のプロリポソーム型粉末分散物を調製する場合、一般に、テストステロン、コレステロール及びリン脂質の一緒になった粉末混合物に賦形剤が添加され、すなわち、賦形剤は「外から」添加される。例えば、自由流動性粉末調合物は、少なくとも一種の医薬的に許容し得る賦形剤と混合することができる。医薬的に許容し得る賦形剤の例は、特に限定されないが、(a)充填剤又は増量剤、例えば、デンプン、乳糖(例えば、乳糖一水和物)、ショ糖、グルコース、マンニトール、及びケイ酸;(b)結合剤、例えば、微結晶セルロースを含むセルロース誘導体、例えば、種々のAvicel(登録商標)PH製品(FMC BioPolymer - Philadelphia, PA)(例えば、Avicel(登録商標)PH-101及びPH-102)、及びProsolv(登録商標)SMCC90及びProsolv(登録商標)SMCC90HD(JRS Pharma - Rosenberg, Germany)、デンプン、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、及びアラビアゴム、(c)保湿剤、例えばグリセロール、(d)崩壊剤、例えば寒天〜寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、例えばデンプングリコール酸ナトリウム(例えば、Explotab(登録商標)崩壊剤(JRS Pharma - Rosenberg, Germany))、アルギン酸、クロスカルメロースナトリウム、複合ケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム、(e)溶解遅延剤、例えばパラフィン、(f)吸収促進剤、例えば四級アンモニウム化合物、(g)湿潤剤、例えばセチルアルコール、及びモノステアリン酸グリセロール、ステアリン酸マグネシウムなど、(h)吸着剤、例えばカオリン及びベントナイト、(i)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、(j)の可塑剤、及び(k)分散剤、マンニトールを含む、例えばPearlitol(登録商標)SD2000(Roguette Pharma - Lestrem, France)、又はこれらの組み合わせがある。いくつかの態様において、医薬的に許容し得る賦形剤は、特定の賦形剤のための任意の好適な量で使用される。いくつかの態様において、賦形剤が結合剤でない場合、賦形剤は、テストステロン:賦形剤の重量比が、約1:約0.05〜約1:約0.3、及び約1:約0.1〜約1:約0.2の範囲で存在する。いくつかの態様において、賦形剤が結合剤でない場合、賦形剤は、テストステロン:賦形剤の重量比が、1:0.05〜1:0.3、及び約1:0.1〜1:0.2の範囲で存在する。いくつかの態様において、賦形剤が結合剤である場合、テストステロン:賦形剤の重量比は、約1:約0.5〜約1:約4である。いくつかの態様において、賦形剤が結合剤である場合、テストステロン:賦形剤の重量比は、1:0.5〜1:4である。
【0062】
いくつかの態様において、本明細書に記載の調合物は、崩壊剤をさらに含む。種々の態様において、本調合物は、崩壊剤であるデンプングリコール酸ナトリウム、例えばExplotab(登録商標)崩壊剤を含む。他の適切な崩壊剤も使用できる。いくつかの態様において、崩壊剤と、テストステロン、リン脂質、及びコレステロールの組合せ混合物(「調合物のプロリポソーム粉末成分」)との比は、約1:約10〜約1:約35(重量/重量)の範囲であり、これは、約1:約5〜約1:約20の範囲である崩壊剤とテストステロンとの比に相関する。いくつかの態様において、崩壊剤と、テストステロン、リン脂質、及びコレステロールの組合せ混合物(「調合物のプロリポソーム粉末成分」)との比は、1:10〜1:35(重量/重量)の範囲であり、これは、1:5〜1:20の範囲である崩壊剤とテストステロンとの比に相関する。
【0063】
いくつかの態様において、本明細書に記載の調合物は、結合剤をさらに含む。結合剤はしばしば粒径に応じて分類されるため、調合物に含まれる結合剤賦形剤の粒径は、医薬調合物分野の当業者の知識と技量に基づいて選択される。いくつかの態様において、結合剤は微結晶セルロースであり、例えば50μmの粒径を有するAvicel(登録商標)PH-101、又は100μmの粒径を有するAvicel(登録商標)PH-102である。あるいは、他の態様において、結合剤は、Prosolv(登録商標)SMCC 90又はProsolv(登録商標)SMCC90 HDであり、これらは両方とも微結晶セルロース結合剤であり、それぞれ110ミクロンの粒径を有する。さらに他の態様において、結合剤は無水リン酸水素カルシウム(DCP)である。いくつかの態様において、微結晶セルロース結合剤と調合物のプロリポソーム粉末成分との比は、1:1〜3:1(重量/重量)の範囲であり、これは、4:1〜1.5:1の範囲である結合剤とテストステロンとの比に相関する。いくつかの態様において、微結晶セルロース結合剤と調合物のプロリポソーム粉末成分との比は、約1:約1〜約3:約1(重量/重量)の範囲であり、これは、4:1〜1.5:1の範囲である結合剤とテストステロンとの比に相関する。いくつかの態様において、結合剤はDCPであり、結合剤とプロリポソーム粉末成分との比は、0.25:1〜1.6:1(重量/重量)であり、これは、0.20:1〜0.50:1の範囲である結合剤とテストステロンとの比に相関する。いくつかの態様において、結合剤はDCPであり、結合剤とプロリポソーム粉末成分との比は、約0.25:約1〜約1.6:約1(重量/重量)であり、これは、約0.20:約1〜約0.50:約1の範囲である結合剤とテストステロンとの比に相関する。
【0064】
いくつかの態様において、本明細書に記載の調合物は、滑沢剤をさらに含む。いくつかの態様において、本調合物は、滑沢剤であるステアリン酸マグネシウム(Mg)を含む。いくつかの態様において、滑沢剤と調合物のプロリポソーム粉末成分との比は、145:1〜225:1(重量/重量)の範囲であり、これは、70:1〜115:1の範囲である滑沢剤とテストステロンとの比に相関する。いくつかの態様において、滑沢剤と調合物のプロリポソーム粉末成分との比は、約145:約1〜約225:約1(重量/重量)の範囲であり、これは、約70:約1〜約115:約1の範囲である滑沢剤とテストステロンとの比に相関する。
【0065】
いくつかの態様において、本明細書に記載の調合物は、分散剤をさらに含む。いくつかの態様において、本調合物は、分散剤であるマンニトール、例えばPearlitol(登録商標)SD200を含む。いくつかの態様において、分散剤と調合物のプロリポソーム粉末成分との比は、0.20:1〜0.60:1(重量/重量)の範囲であり、これは、0.40:1.0〜1.5:1.0の範囲である分散剤とテストステロンとの比に相関する。いくつかの態様において、分散剤と調合物のプロリポソーム粉末成分との比は、約0.20:約1〜約0.60:約1(重量/重量)の範囲であり、これは、約0.40:約1.0〜約1.5:約1.0の範囲である分散剤とテストステロンとの比に相関する。
【0066】
いくつかの態様において、本明細書に記載のプロリポソーム型粉末分散物又は医薬組成物を含む経口剤形が本明細書に開示される。本明細書に記載の医薬組成物の形態の例は、錠剤、丸剤、粉末、カプセル剤(動物由来のゼラチン又は植物由来のHPMCから作られた軟質又は硬質カプセルの両方を含む)、サシェ、トローチ、ペレット、顆粒、エマルジョン、及び液剤を含む。いくつかの態様において、経口剤形は錠剤又はカプセル剤である。いくつかの態様において、経口剤形は遅延放出コーティング(例えば、腸溶コーティング)を有している。いくつかの態様において、経口剤形は、腸溶コーティングを有する。
【0067】
錠剤は、任意の適切な技術(例えば、圧縮技術)によって製造することができる。従来技術は、例えば(1)乾燥混合、(2)直接圧縮、(3)製粉、(4)乾式又は非水性造粒、(5)湿式造粒、又は(6)融合法の1種又は組合せを含む。例えば、Lachman et al., The Theory and Practice of Industrial Pharmacy (1986)を参照されたい。他の方法には、例えば、噴霧乾燥、パンコーティング、溶融造粒、造粒、流動床噴霧乾燥、又はコーティング(例えば、ウルスターコーティング)、タンジェンシャルコーティング、トップスプレー、打錠、押出しなどがある。
【0068】
圧縮錠剤は、上記バルクブレンド調合物を圧縮することにより調製される固体剤形である。他の態様において、圧縮錠剤は、最終圧縮錠剤を取り囲む膜を含むであろう。いくつかの態様において、膜コーティングは、患者のコンプライアンスを助けるであろう(例えば、Opadry(登録商標)コーティング又は糖衣)。Opadry(登録商標)を含む膜コーティングは、典型的には錠剤重量の約1%〜約5%の範囲である。他の態様において、圧縮錠剤は1種又はそれ以上の賦形剤を含む。
【0069】
本明細書で提供されるのは、有効成分、又はその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグと、従来の錠剤化プロセスを使用して錠剤コアを形成し次にコアをコーティングするための1つ以上の錠剤化賦形剤と、の組合せを含む、フィルムコーティング剤形の医薬組成物が、本明細書で提供される。錠剤コアは、例えば従来の造粒法、例えば湿式又は乾式造粒を用いて、顆粒の任意粉砕とその後の圧縮及びコーティングを用いて、製造することができる。
【0070】
いくつかの態様において、圧縮錠剤は、上記されたバルクブレンド組成物を圧縮することにより調製される固体剤形である。いくつかの態様において、圧縮錠剤は、最終圧縮錠剤を取り囲む膜を含む。
【0071】
さらに、活性成分、又はその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグと、腸溶コーティング剤形で使用される1種又はそれ以上の放出制御賦形剤との組合せを含む、腸溶コーティングされた剤形の医薬組成物が、本明細書に提供される。この医薬組成物はまた、非放出制御賦形剤を含む。腸溶コーティングは、胃酸の作用に抵抗するが、腸内で溶解又は崩壊するコーティングである。
【0072】
カプセルは、例えば動物由来のゼラチン又は植物由来のHPMCから作られた、軟質カプセル剤と硬質カプセル剤との両方を含む。いくつかの態様において、カプセルは、サイズ5、4、3、2、1、0、0E、00、000、13、12、12el、11、10、7、又はSu07である。種々の態様において、カプセルは、サイズ「00」Vcaps、又は硬質ゼラチンカプセル剤である。いくつかの態様において、カプセルは、賦形剤を含む本明細書に開示される粉末化プロリポソーム型テストステロン調合物が充填されている。
【0073】
ある態様において、経口的に使用される医薬組成物は、ゼラチン製の押し込みカプセル、ならびにゼラチンと可塑剤(例えば、グリセロール又はソルビトール)からなる軟質密封カプセルを含む。また、ある態様において、安定剤が添加される。
【0074】
カプセルは、任意の適切な技術を使用して充填される。カプセルは、カプセルの内部に上記されたバルクブレンド組成物を入れることにより、調製することができる。
【0075】
多くの担体及び賦形剤は、同じ調合物内でさえ、いくつかの機能を果たすことができることを理解すべきである。
【0076】
上記したように、充填されたカプセルは、遅延放出コーティング(例えば、腸溶コーティング)でコーティングすることができる。いくつかの態様において、遅延放出コーティング(例えば、腸溶コーティング)は、プロリポソーム型粉末分散物を小腸に放出する。種々の態様において、遅延放出コーティング(例えば、腸溶コーティング)組成物は、例えば、官能基としてメタクリル酸を有するアニオン性ポリマーの水性分散物(例えば、Eudragit(登録商標)L30D-55(Evonik Industries))などのポリマーを含む。いくつかの態様において、遅延放出コーティング(例えば、腸溶コーティング)組成物は、可塑剤(例えば、クエン酸トリエチル)を含む。いくつかの態様において、遅延放出コーティング(例えば、腸溶コーティング)組成物は、粘着防止剤(例えば、タルク)を含む。いくつかの態様において、遅延放出コーティング(例えば、腸溶コーティング)組成物は、水などの希釈剤を含む。いくつかの態様において、コーティング組成物は、ほぼ:約42重量%(wt%)の、官能基としてメタクリル酸を有するアニオン性ポリマーの水性分散物;約1.25重量%の可塑剤;約6.25重量%の粘着防止剤;及び約51重量%の希釈剤を含む。いくつかの態様において、コーティング組成物は、ほぼ:42重量%(重量%)の、官能基としてメタクリル酸を有するアニオン性ポリマーの水性分散物;1.25重量%の可塑剤;6.25重量%の粘着防止剤;及び51重量%の希釈剤を含む。いくつかの態様において、例えば、大規模調製物が好適な時、メタクリル酸とアクリル酸エチルに基づくアニオン性コポリマー(例えばEudragit(登録商標)L100-55)の適切な量が、Eudragit(登録商標)L30D-55の代わりに使用される。任意の適切な方法を使用して、特に限定されないが、Proceptパンコーティング機、及びCalevaミニコーターエアサスペンションコーティング機を使用して、これらが10%〜15%の重量増加を経験するまで、コーティング組成物はカプセルに適用される。
【0077】
いくつかの態様において、本明細書に記載の固体剤形は、腸溶コーティングされた遅延放出経口剤形として、すなわち、消化管の小腸での放出に影響を与えるために遅延放出コーティング(例えば腸溶コーティング)を利用する本明細書に記載の医薬組成物の経口剤形として、調製することができる。
【0078】
いくつかの態様において、本明細書に記載の固体剤形はコーティングされる。本明細書で企図される種々の態様において、コーティングは、例えば、遅延放出コーティング(例えば腸溶コーティング)などの胃酸耐性コーティング、制御放出コーティング、酵素制御コーティング、膜コーティング、徐放性コーティング、即時放出コーティング、遅延放出コーティング、又は防湿コーティングである。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)を参照されたい。
【0079】
いくつかの態様において、遅延放出調合物は、(a)プロリポソーム分散物をノンパレイユビーズ上にトップ噴霧構成で噴霧し、(b)ビーズをバリアコートでコーティングし、(c)ビーズを遅延放出コーティング(例えば腸溶コーティング)ポリマーでコーティングすることにより、調製される。次に、腸溶コーティングされたノンパレイユビーズは、錠剤又はカプセル剤として調製される。
【0080】
本明細書において用語「遅延放出」は、遅延放出の変化がなかった場合に達成されたであろうものより遠位の腸管内のいくつかの一般的に予測可能な場所で、放出が達成される送達を指す。いくつかの態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、小腸でテストステロンを放出する。いくつかの態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、十二指腸、空腸、又は回腸でテストステロンを放出する。いくつかの態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、大腸でテストステロンを放出する。いくつかの態様において、放出の遅延のための方法はコーティングである。コーティング全体が、約5より小さいpHでは消化管液中で溶解しないが、約5以上のpHでは溶解するように、コーティングを充分な厚さに適用すべきである。pH依存性溶解度プロフィールを示す任意のアニオン性ポリマーは、下部消化管への送達を達成するために、本明細書に記載される方法及び組成物において、遅延放出コーティング(例えば腸溶コーティング)として使用できることが期待される。いくつかの態様において、本明細書に記載のポリマーは、アニオン性カルボン酸ポリマーである。他の態様において、ポリマー及びこれらの適合性混合物、及びこれらの特性のいくつかは、特に限定されないが:
【0081】
(a)シェラック(ラック(lac)とも呼ばれる)、昆虫の樹脂状分泌物から得られる精製品。このコーティングは、pH>7の媒体に溶解する;
【0082】
(b)アクリル系ポリマー。アクリル系ポリマーのその性能(主に、生体液中のその溶解性)は、置換の程度及びタイプに基づいて変わり得る。好適なアクリルポリマーの例としては、メタクリル酸コポリマー及びメタクリル酸アンモニウムコポリマーが挙げられる。有機溶剤、水分散物、又は乾燥粉末に可溶化されたものとして、Eudragit(登録商標)シリーズE、L、S、RL、RS、及びNE(Evonik industries)が利用可能である。Eudragit(登録商標)シリーズRL、NE、及びRSは、消化管に不溶性であるが、透過性であり、主に結腸ターゲティングのために使用されている。Eudragit(登録商標)シリーズEは、胃で溶解する。Eudragit(登録商標)シリーズL、L-30D及びSは胃の中で不溶性であり、腸で溶解する;
【0083】
(c)セルロース誘導体。適切なセルロース誘導体の例は、エチルセルロース;セルロースの部分酢酸エステルと無水フタル酸との反応混合物である。その性能は、置換の程度及びタイプに基づいて変わり得る。酢酸フタル酸セルロース(CAP)は、pH>6で溶解する。アクアテリック(aquateric)は、水性の系であり、粒子<1μmを有する噴霧乾燥したCAPの偽ラテックスである。アクアテリック中の他の成分は、プルロニック、ツイン、及びアセチル化モノグリセリドを含むことができる。他の適切なセルロース誘導体としては、セルロースアセテートトリメリテート(Eastman);メチルセルロース(
Pharmacoat,Methocel);ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP);ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネート(HPMCS);及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(例えば、AQQAT(Shin Etsu))がある。その性能は、置換の程度及びタイプに基づいて変わり得る。例えば、HP−50、HP−55、HP−55S、HP−55FグレードなどのHPMCPが適している。その性能は、置換の程度及びタイプに基づいて変わり得る。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの適切なグレードは、特に限定されないが、pH5で溶解するAS−LG(LF)、pH5.5で溶解するAS−MG(MF)、及び、より高いpHで溶解するAS−HG(HF)を含む。これらのポリマーは、顆粒、又は水性分散物(ポリ酢酸ビニルフタレート(PVAP))のための微粉末として提供される。PVAPはpH>5で溶解し、水蒸気及び胃液に対して、透過性がはるかに小さい。
【0084】
いくつかの態様において、コーティングは、可塑剤、及び場合により、当該技術分野でよく知られている着色剤、タルク、及び/又はステアリン酸マグネシウムなどの他のコーティング賦形剤を含有することができる。適切な可塑剤は、クエン酸トリエチル(Citroflex 2)、トリアセチン(グリセリルトリアセテート)、アセチルクエン酸トリエチル(Citroflec A2)、カーボワックス400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、及びフタル酸ジブチルを含む。特に、アニオン性カルボン酸アクリルポリマーは、通常、10〜25重量%の可塑剤、特にフタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、及びトリアセチンを含有する。噴霧又はパンコーティングなどの従来のコーティング技術が、コーティングを適用するために使用される。コーティング厚さは、腸管における局所送達の所望の部位に到達するまで、経口剤形が無傷のままであることを保証するのに十分でなければならない。
【0085】
コーティング材料を可溶化させるか又は分散させ、コーティング性能及びコーティング製品を改善するために、可塑剤に加えて、着色剤、粘着防止剤、界面活性剤、消泡剤、滑沢剤(例えば、カルナウバ蝋又はPEG)をコーティングに加えてもよい。
【0086】
いくつかの態様において、本明細書に開示されたプロリポソーム型粉末分散物は、テストステロンの生物学的利用能を向上させる。種々の態様において、平均血漿テストステロン濃度の絶食時の薬物動態プロフィールは、絶食条件下で投与(すなわち、60mg〜240mgのテストステロンを含む、本明細書に記載の経口剤形の摂取)5時間後に、テストステロンが300ng/dL〜1050ng/dL(400ng/dL〜950ng/dL、500ng/dL〜950ng/dL、及び600ng/dL〜950ng/dLを含む)の範囲となる。いくつかの態様において、平均血漿テストステロン濃度の絶食時の薬物動態プロフィールは、絶食条件下で投与(すなわち、60mg〜240mgのテストステロンを含む、本明細書に記載の経口剤形の摂取)5時間後に、テストステロンが約300ng/dL〜約1050ngとなる。いくつかの態様において、平均血漿テストステロン濃度の絶食時の薬物動態プロフィールは、絶食条件下で投与(すなわち、60mg〜240mgのテストステロンを含む、本明細書に記載の経口剤形の摂取)5時間後に、テストステロンが約300ng/dL〜約1050ng/dL(約400ng/dL〜約950ng/dL、約500ng/dL〜約950ng/dL、及び約600ng/dL〜約950ng/dLを含む)の範囲となるである。いくつかの態様において、平均血漿テストステロン濃度の絶食時の薬物動態プロフィールは、絶食条件下で投与(すなわち、約100mg〜約260mgのテストステロンを含む、本明細書に記載の経口剤形の摂取)5時間後に、テストステロンが約350ng/dLとなる。未調合テストステロンの等しい用量の投与と比較して、このような結果は、テストステロンの平均血漿濃度の130〜150倍もの改善を表す。本明細書に記載の剤形は、非絶食条件、すなわち「摂食」条件下でのテストステロンの生物学的利用能を向上させる。本明細書に記載の剤形が摂食条件下で投与される場合、最大血漿濃度(Cmax)は、絶食条件下で投与の5時間後のCmaxの約半分である。いくつかの態様において、テストステロン代謝産物であるジヒドロテストステロン(DHT)のCmaxは、5時間後に約70ng/dLである。いくつかの態様において、テストステロン代謝産物であるジヒドロテストステロン(DHT)のCmaxは、120mg用量について5時間後に70ng/dLである。いくつかの態様において、摂条件下で約24時間後、本明細書に開示される剤形の投与後の血漿テストステロン濃度は、約350ng/dLより大きく、テストステロン代謝産物であるDHTのCmaxは約40ng/dLであり、いずれも、それぞれヒトにおける内因性テストステロンとDHTの典型的な正常範囲より高い。いくつかの態様において、摂条件下で約24時間後、本明細書に開示される剤形の投与後の血漿テストステロン濃度は、350ng/dLであり、テストステロン代謝産物であるDHT5のCmaxは40ng/dLであり、いずれも、それぞれヒトにおける内因性テストステロンとDHTの典型的な正常範囲より高い。
投与量
【0087】
ある実施態様において、医薬組成物中のテストステロンの量は、用量当たり約5mg〜約1.0g、用量当たり10mg〜約1.0g、用量当たり約50mg〜約500mgである。いくつかの態様において、医薬組成物中のテストステロンの量は、用量あたり約5mg、用量あたり約10mg、用量あたり約50mg、用量あたり約100mg、用量あたり約120mg、用量あたり約150mg、用量あたり約180mg、用量あたり約210mg、用量あたり約240mg、用量あたり約270mg、用量あたり約300mg、用量あたり約350mg、用量あたり約400mg、用量あたり約450mg、用量あたり約500mg、用量あたり約1000mgである。いくつかの態様において、医薬組成物中のテストステロンの量は、用量あたり約120mgである。いくつかの態様において、医薬組成物中のテストステロンの量は、用量あたり約240mgである。
【0088】
一般的に、成人の治療に用いられる用量は、典型的には1日あたり50mg〜1000mgの範囲である。ある形態において、成人の治療に用いられる用量は、1日当たり約100mg〜約300mgである。いくつかの態様において、成人の治療に用いられる用量は、1日あたり約120mgである。いくつかの態様において、成人の治療に用いられる用量は、1日当たり約240mgである。ある態様において、所望の用量は、便利には、単回投与で、又は同時に(又は短期間にわたって)又は適切な間隔で投与される分割された用量で、例えば1日当たり2回、3回、4回以上のサブ用量として、提供される。
【0089】
ある態様において、テストステロンの適切な1日投与量は、体重1kg当たり約0.01〜約10mgである。他の態様において、剤形中の活性物質の1日用量又は量は、本明細書に示された範囲より低いか又は高い。
投薬方法及び治療処方
【0090】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物及び医薬組成物は、テストステロン補充療法が必要とされるだけ頻回に、テストステロン補充療法を必要とする個人に投与される。ある態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、すでに疾患又は症状に罹患している個人に、疾患又は状態の症状の、すべての症状を除去するか又は少なくとも1つを少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、投与される。ある実施態様において、この使用に有効な量は、疾患又は症状の重症度と経過、以前の治療、個人の健康状態、体重、及び薬物に対する応答、及び/又は治療する医師の判断に依存する。
【0091】
予防的適用において、本明細書に記載の組成物は、特定の疾患、障害又は症状に罹りやすいか又はそのリスクがある個人に投与される。そのような量は、「予防的に有効な量又は用量」と定義される。この使用において、正確な量は、個人の健康状態、体重などにも依存する。個人に使用される場合、この使用に有効な量は、疾患、障害、又は症状の重症度と経過、及び以前の治療、患者の健康状態、及び薬物に対する応答、及び治療する医師の判断に依存するであろう。
【0092】
ある実施態様において、本明細書に記載の組成物の投与又は治療法は、慢性投与を含む。ある実施態様において、慢性投与は、例えば個人の疾患の兆候又は症状を緩和又は制御もしくは制限するための個人の生活の期間を含む、長期間にわたる投与を含む。いくつかの態様において、慢性投与は、毎日の投与を含む。
【0093】
いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物の投与又は治療法は、継続的に行われる。代替態様において、投与される薬剤の用量は、ある期間、一時的に低減されるか又は一時的に中止される(すなわち「休薬期間」)。いくつかの態様において、休薬期間の長さは、2日間から1年の間で変化し、例えば2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、12日間、15日間、20日間、28日間、35日間、50日間、70日間、100日間、120日間、150日間、180日間、200日間、250日間、280日間、300日間、320日間、350日間、365日間を含む。休薬期間中の用量の減少は、10%〜100%であり、一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、及び100%を含む。
【0094】
個人の症状の改善が起きたら、必要に応じて維持量が投与される。その後、具体的な態様において、改善された疾患、障害又は状態が保持されるレベルまで、投与量又は投与頻度又は両方が、症状の関数として低減される。しかし、ある実施態様において、症状の再発に際して、個人は長期的に断続的な治療を必要とする。
【0095】
そのような量に対応するテストステロンの量は、特定のテストステロン誘導体、疾患又は状態及びその重症度、治療を必要とする対象又は宿主の本体(例えば、体重、性別)などの要因に応じて変化するが、症例にかかわる具体的な状況に従って決定され、例えば、投与される具体的な薬剤、投与経路、治療される症状、及び治療される対象又は宿主を含む。
併用療法
【0096】
ある例では、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物や医薬組成物は、他の治療薬ととともに投与することが適切である。
【0097】
一般に、本明細書に記載の組成物と、併用療法が使用される態様において、他の薬剤とは、同じ医薬組成物中で投与する必要はなく、異なる物理的及び化学的特性のために、異なる経路で投与される。ある態様において、確立されたプロトコールに従って初期投与が行われ、次に、観察された効果に基づいて、投与用量、投与モード、及び投与時間が、さらに変更される。
【0098】
種々の態様において、疾患の性質、患者の症状、及び使用される実際の化合物の選択に応じて、複数の治療薬が、同時に(例えば、同時に、基本的に同時に、又は同じ治療プロトコル内で)又は連続的に投与される。ある実施態様において、治療プロトコル中の各治療薬の、投与の順序及び投与の反復回数の決定は、治療される疾患、及び個人の症状の評価に基づく。
【0099】
本明細書に記載の併用療法について、同時投与される治療薬の投与量は、使用される併用剤のタイプ、使用される具体的な薬剤、治療される疾患又は症状などに応じて、変化する。
【0100】
そのような併用の個々の治療薬は、別々の又は併用される医薬調合物中で、連続して又は同時に投与される。ある態様において、個々の治療薬は、併用される医薬調合物中で同時に投与される。既知の治療薬の適切な用量は、当業者によって理解されるであろう。
【0101】
本明細書に記載の併用は、医薬的に許容し得る希釈剤又は担体(複数)と一緒に医薬組成物の形態で使用するために、便利に提供される。
【0102】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物及び医薬組成物は、テストステロン補充に関連する重症度を軽減するか又は有害作用を排除する他の治療薬と併用して投与される。いくつかの態様において、テストステロン補充の有害作用は、にきび及び油性肌、ヘマトクリットの増加、睡眠時無呼吸の増悪、及びアンドロゲン枯渇を受けた個人における既存の前立腺癌の成長の加速を含む。別の有害作用は、顕著な脱毛及び/又は薄毛の場合がある。外因性テストステロンはまた、精子形成の抑制を引き起こし、不妊症をもたらすことがある。
【0103】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物及び医薬組成物は、テストステロン代謝を調節する他の治療薬と併用して投与される。いくつかの態様において、他の治療薬は、ジヒドロテストステロン(DHT)へのテストステロン代謝を減少させる。いくつかの態様において、他の治療薬は、エストロゲン(例えば、エストラジオール)へのテストステロン代謝を低減させる。
【0104】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物及び医薬組成物は、合成5−アルファ還元酵素阻害剤と併用して投与される。 5アルファ還元酵素阻害剤は、体内のテストステロンの副産物であるDHTを動けなくする。5−アルファ還元酵素阻害剤としては、特に限定されないが、フィナステリド、アルファトラジオール、及びデュタステリドがある。
【0105】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物及び医薬組成物は、クロミフェンと併用して投与される。
【0106】
性腺刺激ホルモン及びテストステロン療法は、男性の性腺機能低下症の治療に利用できる。治療戦略は、患者の年齢及び治療の目標(生殖能力の回復、及び/又は男性化の提供と維持)に依存する。性腺刺激ホルモン及びGnRHは、精子形成の刺激に有用である。いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物及び医薬組成物は、性腺刺激ホルモン及び/又はGnRHのと併用して投与される。
【0107】
いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物及び方法はまた、エストロゲン阻害剤、例えばアロマターゼ阻害剤、と併用して使用される。いくつかの態様において、本明細書に開示されるプロリポソーム型粉末分散物及び医薬組成物は、アロマターゼ阻害剤と又はアロマターゼ阻害剤の組み合わせと、併用して投与される。アロマターゼ阻害剤の例としては、特に限定されないが、アミノグルテチミド、テストラクトン、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタン、ファドロゾール、4−ヒドロキシルアンドロステンジオン、1,4,6−アンドロスタトリエン−3,17−ジオン(ATD)、及び4−アンドロステン−3,6,17−トリオン(「6−OXO」)がある。
【0108】
ある態様において、本明細書に記載の組成物及び方法はまた、治療中の症状に対する具体的有用性につ選択される他の治療薬と併用して使用される。例えば、本明細書に開示される組成物は、症状が、糖尿病に関連するテストステロン欠乏症である場合、インスリンと併用して投与することができる;組成物は、治療すべき症状が、骨粗鬆症に関連するテストステロン欠乏症である場合、カルシウム又は骨粗鬆症薬と併用して投与することができる;組成物は、治療すべき症状が、HIV/AIDSに関連するテストステロン欠乏症である場合、HIV/AIDS薬と併用して投与することができる;組成物は、治療すべき症状が、癌に関連するテストステロン欠乏症である場合、化学療法又は放射線療法と併用して投与することができる。
【0109】
骨粗鬆症薬の例は、カルシウム、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、組換え副甲状腺ホルモン(例えば、テリパラチド)、RANKL阻害剤(例えば、デノスマブ)、ビスフォスフォネート(例えば、エチドロネート、クロドロネート、チルドロネート、パミドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、アレンドロネート、イバンドロネート、リセドロネート、ゾレドロネート)がある。
【0110】
HIV/エイズ薬の例は、アバカビル、アンプレナビル、アタザナビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、エヅラント、エファビレンツ、エムトリシタビン、エンフュービルタイド、エトラビリン、ホスアンプレナビル、インジナビル、ラミブジン、ロピナビル、マラビロック、ネルフィナビル、ネビラピン、ラルテグラビル、リトナビル、サキナビル、スタブジン、フマル酸テノホビルジソプロキシル(DF)、チプラナビル、ザルシタビン、ジドブジンがある。
【0111】
化学療法剤の例は、ナイトロジェンマスタード類、例えばベンダムスチン、クロラムブシル、クロルメチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、プレドニムスチン、トロホスファミド;アルキルスルホン酸塩、例えばブスルファン、マンノスルファン、トレオスルファン;エチレンイミン、例えばカルボコン、チオテパ、トリアジコン;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン;エポキシド類、例えばエトグルシド;他のアルキル化剤、例えばダカルバジン、ミトブロニトール、ピポブロマン、テモゾロミド;葉酸類似体、例えばメトトレキサート、ペルメトレキセド、プララトレキセート、ラルチトレキセド;プリン類似体、例えばクラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ネララビン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアザシチジン、カペシタビン、カルモフール、シタラビン、デシタビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフール;ビンカアルカロイド類、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン;ポドフィロトキシン誘導体、例えばエトポシド、テニポシド;コルヒチン誘導体、例えばデメコルチン;タキサン類、例えばドセタキセル、パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメックス;その他の植物アルカロイド及び天然物、例えばトラベクテジン;アクチノマイシン類、例えばダクチノマイシン;アントラサイクリン類、例えばアクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ピラルビシン、バルルビシン、ゾルビンシン;他の細胞毒性抗生物質、例えばブレオマイシン、イクサベピロン、マイトマイシン、プリカマイシン;白金化合物、例えばカルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン;メチルヒドラジン類、例えばプロカルバジン;感作性物質、例えばアミノレブリン酸、エファプロキシラル、メチルアミノレブリネート、ポルフィマーナトリウム、テモポルフィン;プロテインキナーゼ阻害剤、例えばダサチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、パゾナニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス;他の抗新生物薬、例えばアリトレチノイン、アルトレタミン、アムザクリン、アナグレリド、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、ベキサロテン、ボルテゾミブ、セレコキシブ、デニロイキンジフチトクス、エストラムスチン、ヒドロキシルカルバミド、イリノテカン、ロニダミン、マソプロコール、ミルテフォセイン、ミトグアゾン、ミトタン、オブリメルセン、ペガスパルガーゼ、ペントスタチン、ロミデプシン、シチマゲンセラデノベク、チアゾフリン、トポテカン、トレチノイン、ボリノスタット;エストロゲン類、例えばジエチルスチルベノール、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、ポリエストラジオールホスフェート;プロゲステロン類、例えばゲストノロン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール;性腺刺激ホルモン放出ホルモン類似体、例えばブセレリン、ゴセレリン、リュープロレリン、トリプトレリン;抗エストロゲン、例えばフルベストラント、タモキシフェン、トレミフェン;抗アンドロゲン、例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、酵素阻害剤、アミノグルテチミド、アナストロゾール、エキセメスタン、フォルメスタン、レトロゾール、ボロゾール;他のホルモン拮抗剤、例えばアバレリクス、デガレリクス;免疫刺激剤、例えばヒスタミン二塩酸塩、ミファムルチド、ピドチモド、プレリキサフォル、ロキニメックス、チモペンチン;免疫抑制剤、例えばエベロリムス、グスペリムス、レフルノミド、ミコフェノール酸、シロリムス;カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリン、タクロリムス;他の免疫抑制剤、例えばアザチオプリン、レナリドミド、メトトレキサート、サリドマイド;放射性医薬品、例えばイオベングアン;免疫刺激剤、例えばアンセスチム、フィルグラスチム、レノグラスチム、モルグラモスチム、ペグフィルグラスチム、サルグラモスチム;インターフェロン類、例えば天然インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンアルファコン−1、インターフェロンアルファ−n1、天然インターフェロンベータ、インターフェロンベータ−1a、インターフェロンベータ−1b、インターフェロンガンマ、ペグインターフェロンアルファ−2a、ペグインターフェロンアルファ−2b;インターロイキン類、例えばアルデスロイキン、オプレルベキン;他の免疫賦活剤、例えばBCGワクチン、酢酸グラチラマー、ヒスタミン二塩酸塩、イムノシアニン、レンチナン、メラノーマワクチン、ミファムルチド、ペガデマーゼ、ピドチモド、プレリキサフォル、ポリI:C、ポリICLC、ロキニメックス、タソネルミン、チモペンチン;免疫抑制剤、例えばアバタセプト、アベチムス、アレファセプト、抗リンパ球イムノグロブリン(馬)、抗胸腺細胞イムノグロブリン(ウサギ)、エクリズマブ、エファリズマブ、エベロリムス、グスペリムス、レフルノミド、ムロマブ−CD3、ミコフェノール酸、ナタリズマブ、シロリムス;TNFアルファ阻害剤、例えばアダリムマブ、アフェリモマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ;インターロイキン阻害剤、例えばアナキンラ、バシリキシマブ、カナキヌマブ、ダクリズマブ、メポリズマブ、リロナセプト、トシリズマブ、ウステキヌマブ;カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリン、タクロリムス;免疫抑制剤、例えばアザチオプリン、レナリドミド、メトトレキサート、サリドマイド;アダリムマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、セルトリズマブペゴル、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、インフリキシマブ、ムロモナブ−CD3、ナタリズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブなど、又はこれらの組み合わせがある。
製造のキット/物品
【0112】
本明細書に記載の用途の治療方法で使用するために、製造のキット/物品も本明細書に記載される。このようなキットは、担体、パッケージ、又は、本明細書に記載されるように、テストステロンの医薬組成物の1回又はそれ以上の投与を受容するために区分された容器を含む。本明細書で提供されるキットは、包装材料を含有する。医薬品の包装に使用するための包装材料としては、特に限定されないが、例えば米国特許第5,323,907号に記載されたものがある。医薬包装材料の例としては、特に限定されないが、選択された調合物及び投与と治療の意図された方式に適したブリスターパック、ビン、チューブ、袋、容器、ビン、及び任意の包装材料が挙げられる。テストステロン補充療法を用いる治療によって利益を得るであろう任意の疾患、障害、又は症状の様々な治療方法と同様に、本明細書に記載の化合物及び組成物の広範な種類の調合物が本明細書において企図される。
【0113】
例えば容器は、本明細書に記載のプロリポソーム型粉末分散物及び医薬組成物を、単独で、本明細書に開示される別の薬剤との組み合わせで含む。このようなキットは、任意選択的に、本明細書に記載の方法での使用に関する識別的記述又はラベル、又は使用に関する説明書を含む。
【0114】
キットは典型的には、内容を列記するラベル及び/又は使用説明書、及び使用説明を有する能書を含む。説明書のセットもまた、典型的には含まれる。
【0115】
ある態様においてラベルは、容器の上又は容器と一緒にある。ある態様においてラベルは、ラベルを形成する文字、数字又は他の記号が、容器自体に添付され、成形され、又はエッチングされる時、ラベルは容器の上にある:これが、例えば能書きとして入れ物、又は容器を保持する担体内に存在する時、ラベルは、容器と一緒にある。ある態様においてラベルは、その内容物が特定の治療用途のために使用されることを示すために使用される。ラベルはまた、例えば本明細書に記載の方法における、その内容物の使用のための指示を示す。
【0116】
ある実施態様において、医薬組成物は、本明細書で提供される化合物を含有する1種又はそれ以上の単位剤形を含むパック又はディスペンサーデバイスで提供される。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属又はプラスチック箔を含む。ある態様において、パック又はディスペンサー装置は、投与のための説明書が添付されている。ある態様において、パック又はディスペンサーはまた、医薬品の製造、使用、又は販売を規制する政府機関により規定された形態の容器に関連した通知書を伴い、この通知書は、ヒト又は動物への投与のための薬剤の形の、政府機関による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬について米国食品医薬品局によって承認されたラベルであるか、又は承認された製品添付文書である。ある態様において、適合する医薬担体中に調製された本明細書で提供される化化合物を含有する組成物もまた、調製され、適切な容器に入れられ、記載の症状の治療のために表示されている。
【実施例】
【0117】
本明細書に開示する方法を実施するための以下の成分、調合物、プロセス及び手順は、上記したものに一致する。以下の手順は、テストステロンを含む調合物とその使用方法を含む、特に例示的で非限定的な態様を用いて説明する。
【0118】
比較例1:テストステロンDMPGプロリポソーム型調合物の調製
比較プロリポソーム型調合物(「PLF−C」)、PLF−C1、PLF−C2、PLF−C3、及びPLF−C4は、テストステロンとジミリスチルホスファチジルグリセロールナトリウム(DMPG)を含有した。表1は、これら調合物のそれぞれを作るために使用された成分と量を示す。PLF−C1については、0.5gのテストステロンを3mlの9:1のエタノール対水混合物(v/v)に溶解し、この溶液に0.5gのDMPGを添加した。次に、溶媒の完全な蒸発が達成されるまで、典型的には一晩、溶液を室温で攪拌した。溶媒を蒸発させて得られた粉末調合物を、メッシュ#60のような適切な篩に通した。次に、篩にかけた粉末をガラスバイアルに移し、遮光して室温で保存した。
【0119】
PLF−C2とPLF−C3の調製はPLF−C1の調製と同様であったが、PLF−C2については、1.5gのテストステロンと1.5gのDMPGを、10mlの9:1のエタノール−水溶液に溶解した。
【0120】
PLF−C4もまたPLF−C1と同じ方法で調製したが、0.5gのテストステロンと0.5gのDMPGは、クロロホルム、エタノール、及び水の1:1:0.3(v/v)混合物12mlに溶解した。
【0121】
上記の調合物をそれぞれ、サイズ「00」の硬質ゼラチンカプセルに充填した後、それらの溶解について試験した。PLF−C1カプセルのみを腸溶コーティングした。具体的には、PLF−C1コーティング材料はEudragit(登録商標)L30 D-55であった。PLF−C1カプセルのコーティングは、まずEudragit(登録商標)L30 D-55の分散物を調製することにより行った。この分散物に、成膜性を高めるために、Eudragit(登録商標)ポリマーの重量の10%と等しい量のクエン酸トリエチルを添加した。各カプセルを分散物中に浸漬し、次に、合計4回空気乾燥させた。調合物PLF−C1からカプセルの一部はコーティングされなかった。これらのコーティングされていないカプセルもまた、腸溶コーティングされたカプセルと一緒に溶解試験に使用した。
【表1】
【0122】
比較例2:テストステロンDMPGプロリポソーム型調合物のインビトロ溶解
腸溶コーティングされたPLF−C1カプセルとコーティングされていないPLF−C1カプセルからのテストステロンのインビトロ溶解プロファイルが得られた。これらの試験のために、3つの異なる溶解媒体を腸溶コーティングカプセルのために使用した。腸溶コーティングカプセル(n=3)を、500mlの、1)0.1N HCl(pH1.20)に1時間;酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.50)に1時間;リン酸カリウム緩衝液(pH6.80)に3時間、溶解した。コーティングされていないカプセル(n=3)については、0.1N HCl(pH1.20)のみを使用し、1、2、及び2.5時間後、試料を採取した。溶解は、USPタイプ1装置で、毎分50回転の速度(rpm)で37℃で、0.5時間、1時間、2時間、3時間、進行させた。各時点で、5mlの試料を採取した。各時点で放出されたテストステロンの量は、以下の高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)アッセイ法を用いて、各時点の試料を分析して決定した。分析した各調合物について、25mgのテストステロンを含む調合物の量を25mlのエタノールに溶解した。テストステロン濃度が10μg/mlに達するまで、このストック溶液をさらにメタノール:水(1:1)溶液で適切に希釈した。次に20μlのアリコートをHPLCに注入した。HPLC分析で使用された移動相の組成は、アセトニトリル:水(0.2%ギ酸を有する)(75:25v/v)の溶液であった。相の分離は、C18(100×4.6mm)Kinetex、Phenomenex(登録商標)カラムを1.0ml/分の流速で使用して行った。各試料の総実行時間は5分であり、フォトダイオードアレイ(PDA)検出器を、波長243nmに設定した。コーティングされていない及びコーティングされたカプセル調合物の両方とも、PBS(pH6.80)中3時間で、3.46%未満の薬物放出を示した。腸溶コーティングされたカプセルは、酸性pHで2時間無傷のままであった。
【0123】
コーティングされていないPLF−C2カプセルからのテストステロンのインビトロ溶解プロファイルも得られた。これらの試験のために、コーティングされていないカプセルを900mlのリン酸カリウム緩衝液(pH6.80)に溶解した。PLF−C1試験のために使用された溶解及び分析パラメーターは、上記したものと同じであった。スクリューキャップをしたガラスバイアル中で保存されたPLF−C2非コーティングカプセルからの、異なる温度でのテストステロンのインビトロ放出プロファイルを、表2及び図1に示す。両方が異なる比率でDMPGを含む、PLF−C2とPLF−C4非コーティングカプセルのテストステロン放出プロファイル間の差を、図2に示す。
【表2】
【0124】
比較例3:テストステロンDMPGプロリポソーム型調合物のインビボ試験
調合物PLF−C1、PLF−C2、及びPLF−C3を、ラット(n=3)に経口投与後のインビボ性能について試験した。これらの試験は、それぞれ約250gの体重のオスのスプラーグドーレイ(Sprague-Dawley)ラット(Charles River−Wilmington, MA)を含む施設動物倫理委員会(IACUC)認可インビボプロトコールを使用し、頚静脈にカニューレを挿入し、試験のために使用した。自由流動性のプロリポソーム粉末形態のPLF−C1調合物と、HPMC懸濁液中のテストステロンのテストステロン対照溶液(0.5%(wt/vol)を、経口投与後の摂食ラットで試験した。
【0125】
PLF−C1とテストステロン対照溶液は、これらを0.5%(w/v)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)懸濁液(w/v)に分散させることによって調製した。摂食ラットに、それぞれ1mlの純粋な薬液(300mg/kg体重の用量)と2.5mlのPLF−C1調合物(300mg/kg体重の用量)を、経口胃管栄養法により投与した。投与の0、1、2、4、8、12、24時間後に血液試料を採取した。遠心分離するまで、試料を4℃で保存した。Microfuge(登録商標)22R遠心分離機(Beckman-Coulter)を用いて12,000rpmで4℃で15分間遠心分離することにより、血液試料の血漿部分を血液から分離した。それらを分析するまで、血漿試料を−20℃で保存した。
【0126】
PLF−C2調合物とPLF−C3調合物を用いて、インビボ試験も行った。水を自由に与えて一晩絶食させたオスのSDラットに、これらの調合物を経口投与した。動物を、それぞれ3匹の動物を含む2群に分けた。1つの群に調合物PLF−C2を投与し、他の群に調合物PLF−C3を投与した。
【0127】
投与用のPLF−C2とPLF−C3とを調製するために、5匹のラットに300mg/kg体重の実験用量を投与するのに充分なそれぞれの量を秤量し、20mlの水に分散した。懸濁した各調合物4mlをラットに投与した。投与の0(投与前)、1、2、4、8、12、24時間後に、血液試料を採取した。12,000rpmで4℃で15分間遠心分離するまで、採取した試料をアイスボックスに保管した。血漿を分離し、分析するまで−20℃で保存した。血漿試料中のテストステロンの検出は、以下に説明するように、実証済みの液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC−MS/MS)を用いて行った。
【0128】
テストステロンとDHT濃度のMS分析のために、HPLC溶出試料を調製した。簡単に説明すると、使用したHPLCシステムは島津CLASS-VP(登録商標)システムであった。移動相溶液は、(A)水中の0.2%ギ酸、及び(B)アセトニトリル中の0.2%ギ酸であった。分析に使用したカラムは、2×10mm Duragel(登録商標)G C18ガードカートリッジ(Peeke Scientific - Novato, CA)であった。注入量は25μlであり、勾配は、緩衝液(B)の5%から30%溶液まで0.5分、次に(B)の30%から55%溶液まで2分、により測定した。流速は400μl/分であった。
【0129】
内部基準物質(すなわち較正標準物質)、品質管理(QC)試料、及びHPLC溶出血漿試料を、各試料50μlを2×容量の氷冷した内部標準物質(50ng/mlのテストステロン16、16,16−d3,d3−テストステロンを含有するアセトニトリル)で沈殿させることにより、LC/MS/MS分析用に調製した。内部標準物質として機能するd3−テストステロンに加えて、ジヒドロテストステロン(DHT)をQC標準物質として使用した。沈殿した試料を、6100×gで30分間(又は同等の時間)遠心分離した。遠心分離後、各上清100μlをオートサンプラープレートに移し、加熱ブロック上に1時間置いて、試料中のアセトニトリルを部分的に蒸発させた。次に、以下のパラメーターに従って、試料のMS分析を行った。
【0130】
分析のテストステロン検出工程は、TurboIonSpray(登録商標)(Applied Biosystems)電子噴霧インタフェース(ESI)システムを取り付けたApplied Biosystems/MDS SCIEX API 3000(登録商標)を使用して行った。分析カラムからの溶媒液の流れは、MS/MSアナライザーの加熱された噴霧器インターフェースに入った。上記の溶媒/試料混合物を、まず400℃のインターフェイスの加熱されたチューブ中で蒸気に変換した。霧状の溶媒に含まれる分析物(テストステロン、DHT、及び[D3]テストステロン)をイオン化し、インターフェースのコロナ放電針(これは、噴霧された溶媒/分析物混合物に大きい電圧を印加する)により、正電荷を印加した。イオンは器械のオリフィスを通過し、最初の四重極に入った。四重極1及び3(Q1及びQ3)は質量フィルタであり、これらの質量対電荷比(m/z)に基づくイオンの選択を可能にする、四重極2(Q2)は衝突セルであり、ここで、イオンはアルゴン分子との衝突によって断片化された。
【0131】
289.2のm/z値を有するテストステロンについて選択されたMS/MSの最初の四重極(Q1)、291.2のm/z値を有するDHT、又は292.2のm/z値を有する内部物質(d3−テストステロン)。これらのm/z値を有するイオンは衝突チャンバー(Q2)に渡され、他のm/z値を有するすべてのイオンは四重極の側面に衝突して破壊された。Q2に入るイオンは、中性ガス分子と衝突した。このプロセスは、衝突誘起解離(CID)と呼ばれる。この例で使用されたCIDガスはアルゴンであった。生成された娘イオンは、四重極3(Q3)に渡され、ここで、96.9のm/z値を有するテストステロンの娘イオン、255.2のm/z値を有するDHT、又は96.9のm/z値を有するテストステロン16、16,17−d3(d3−テストステロン)(内部標準物質)が選択され、他のイオンはスクリーニングにより除去された。選択された娘イオンは、検出器により集められた。定量は、陽性モードの選択反応モニタリング(SRM)により取得された分析物(すなわち、テストステロン)の内部標準物質に対するピーク面積比に基づく。摂食条件下でのPLF−C1調合物及びテストステロン対照溶液の平均血漿濃度の経時的プロファイルが、図3に示される。絶食条件下でPLF−C2とPLF−C3調合物の平均血漿濃度の経時的プロファイルが。図4に示される。
【0132】
比較例4:Avicel PH101及び乳糖一水和物を有するDMPGベースの調合物の溶解
調合物PLF−C5については、テストステロンを、エタノール:水(9:1)の混合物に溶解した。この溶液に、ジミリスチルホスファチジルグリセロールナトリウム(DMPG)及び乳糖一水和物を加え、溶媒が室温で完全に蒸発するまで室温で一晩撹拌した。乳糖が分散を助け、動物試験のための投薬溶液を調製しながら、塊の形成を回避するように、乳糖を添加した。
【0133】
薬物:DMPG:乳糖(1:1:1)を含有する調合物(PLF−C5)に外からAvicel(登録商標)PH101を加えることにより、別の調合物(PLF−C5+Avicel(登録商標)PH101)を調製した。このアプローチは、Avicel PH101が、溶解中に調合物の分散を上昇させるのに役立つかどうかを調べるために行った。
【0134】
さらに別の例では、PLF−C5に外からAvicel(登録商標)とExplotab(登録商標)崩壊剤(1%)を加えることにより、調合物(PLF−C5+Avicel PH101+Explotab(登録商標)崩壊剤)を調製した。この調合物は、分散を上昇させる目的で、従って、スーパー崩壊剤Explotab(登録商標)崩壊剤の助けによるプロリポソーム型調合物の溶解と、Avicel(登録商標)PH101のより良好な分散性とを上昇させる目的で、調製された。
【0135】
さらに別の例では、1:1比のテストステロン:DMPGを含有する調合物PLF−C2を取り、まず5mlの溶解媒体中に分散し、次に溶解を行った。これは、動物投与の前に調合物が水に分散されたため、カプセル化PLF−C2と分散されたPLF−C2の溶解を比較するために行われた。
【0136】
さらに別の例において、テストステロンをエタノール:水(9:1)の混合物に溶解して、調合物PLF−C6を調製した。生じたテストステロン溶液、DMPG、及びAvicel(登録商標)PH101を1:1:2の比率で加え、溶媒の完全な蒸発が起きるまで、混合物を室温で一晩攪拌して、プロリポソーム型粉末を形成させた。乾燥したプロリポソーム型調合物に、Explotab(登録商標)崩壊剤を外から加え、粉末−Explotab(登録商標)崩壊剤混合物をカプセルとして調製した。この目的は、プロリポソーム型調合物の溶解に及ぼす、分散Avicel(登録商標)PH101を使用する効果を調べることであった。
【0137】
テストステロンプロリポソーム型調合物を凍結乾燥した。具体的には、テストステロン:DMPG:乳糖(1:1:1)を含有する調合物PLF−C5(500mg)を取り、水20mlに分散させた。これを40℃で30分間水和し、次に24時間以上凍結乾燥させた。使用した種々の賦形剤を加えることにより作成されたPLF−C5の変種の組成は、表3に示される。
【0138】
装置タイプIを50rpmで使用して、PLF−C5と、追加の賦形剤を含むPLF−C5調合物とのインビトロ溶解試験を行った。使用した溶解媒体は、37℃±0.5℃に維持しておいたリン酸緩衝液(pH6.80)である。溶解の1、2、3、及び4時間後に、試料(5ml)を採取した。表3のすべての他の調合物の溶解のために、タイプII装置を使用した。すべての他の溶解パラメータは、上記したPLF−C5のものと同じあった。
【0139】
比較例2に記載した方法に従って、上記PLF−C5調合物のテストステロン溶解アッセイを試験した。比較例4に記載されたすべてのDMPG調合物のインビトロ放出プロフィールを図5に示す。図5に示されるように、Avicel(登録商標)とExplotab(登録商標)崩壊剤とを含有する調合物は、他のものと比較して、より大きな放出を与えた。
【表3】
【0140】
実施例1:種々の緩衝液中の溶解性試験
異なる媒体中のテストステロンの溶解度を試験した。a)塩酸緩衝液(pH1.20)、b)酢酸緩衝液(pH4.50)、c)リン酸緩衝液(PBS)pH6.80、及びd)ナノ純水、のいずれかの10mlを含有する4個のガラスバイアルの各々に、テストステロン(100mg)を加えた。これらの試料を室温で72時間、水浴中で振とうさせた。試料を適当に希釈し、比較例2に記載されたHPLCアッセイ法により分析した。リン酸緩衝液pH6.80中のテストステロンの溶解度は高かった。図6を参照されたい。
【0141】
テストステロンの溶解度を、比較例2に記載されたインビトロ溶解条件下で、水性媒体(pH6.8)中37℃で脂質成分の存在下で測定した。表4に示した組成物(F1〜F8)について、乾燥成分を混合することにより、物理混合調合物を調製した。これらの試験に使用した溶解パラメータは、以下に記載される。各時点で採取された試料を適切に希釈し、比較例2に示したHPLCアッセイ法により分析した。
【0142】
これらの溶解試験の溶解パラメーターは、以下の通りである。調合物をリン酸カリウム緩衝液pH6.80(USP30)の1000ml容量で、USP2型(パドル)装置を使用して溶解した。溶解は37℃で75rpmで行った。3、5、8、10、12、18及び24時間の時点で分析のために、試料(5ml)を採取した。溶解曲線は、図7に示される。48%〜60%(w/w)の範囲で最大量のDSPCを有する調合物F7とF9は、PBS(pH6.80)中で高い溶解性を示した。図7を参照されたい。
【表4】
【0143】
実施例2:テストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物の調製
エタノールと水の9:1混合物(v/v)にテストステロンを溶解し、次にジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)とコレステロールを、DSPC対コレステロール9:1の比(w/w)で加えることにより、プロリポソーム型調合物(PLF)−1、PLF−2、PLF−3、及びPLF−4を調製した。生じた分散物を、溶媒が完全に蒸発するまで、室温で一晩攪拌した。これらの調合物の組成は表5に詳述される。溶媒の除去により得られた粉末を適切な篩(メッシュ#60)に通過させ、ガラスビンに移し、室温で遮光して保存した。
【表5】
【0144】
実施例3:溶解度試験
10分間の超音波処理後の、0.5%、1%、又は2%のSLS中の、a)10mgの純粋なテストステロン、及びb)10mgのテストステロンと同等の調合物PLF−2、の溶解度を測定した。これらの試験について、純粋なテストステロン10mgを秤量し、メスフラスコ中にそれぞれ0.5%、1%、又は2%(w/w)SLSで溶解させた。10mgのテストステロンを含有する量の調合物PLF−2を秤量し、テストステロン対照について記載したものと同じ方法で試料溶液を調製した。これらの溶液を、超音波処理器中で10分間超音波処理した。次に、試料を濾過し、各濃度のSLSで適切に希釈した。各濃度のSLSについて可溶性テストステロンの量を、比較例2で記載したHPLCアッセイ法を使用して測定した。テストステロン対照とPLF−2の両方とも、1%w/w SLS中で高いテストステロン溶解性に関連していた。図8を参照されたい。
【0145】
実施例4:テストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物のインビトロ溶解試験
調合物PLF−1を、サイズ”00”の硬ゼラチンカプセルサイズに充填した。これらのカプセルのいくつかは、比較例2に記載されたように腸溶コーティングされた。腸溶コーティングカプセル(n=3)及び非コーティングカプセル(n=3)の両方の溶解を、900mlのリン酸カリウム緩衝液(pH6.80)中で行い、37℃±5℃で3時間のコースで溶解条件を維持した。溶解の0.5、1、2、3時間後に試料(5ml)を採取し、次に、比較例2で上記したようにHPLCアッセイ法に従って測定した。PLF−1の安定性データは表6に要約され、インビトロ放出プロフィールは図9に示される。
【表6】
【0146】
実施例5:テストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物のインビボ試験
実施例2に記載された調製法に従って、調合物PLF−2とPLF−4を調製した。次にこれらの調合物を、一晩絶食後のオスのスプラーグドーレイ(SD)ラットに経口投与した。調合物PLF−2を、体重1kg当たり300mg、150mg、31mg、15.5mg、及び7.75mg用量の用量で試験した。調合物PLF−4は、300mg/kg体重の用量で経口投与した。
【0147】
頚静脈にカニューレを挿入した体重約250gのオスのSDラットを、試験に使用した。動物は、水を自由に与えて一晩絶食させた。サンプリングと分析は、比較例4の段落[0063]〜[0067]に記載された方法に従って行った。試験した調合物の平均血漿濃度対時間プロフィールは、図10と11に示される。異なる試験調合物と対照テストステロン分散物の経口投与後のテストステロンの血漿濃度を、経時的に追跡した。300mg/kg及び31mg/kg(テストステロン用量/体重)対照と試験調合物の両方を試験した。
【0148】
実施例6:Avicel(登録商標)PH101、乳糖一水和物、ステアリン酸マグネシウムを含むテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物の溶解
1.5mgのテストステロンを、エタノールと水の9:1混合物(v/v)20mlに溶解し、次に1.35mgのジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)と0.15mgのコレステロール(すなわち、DSPC対コレステロール(w/w)の比率9:1)を添加して、PLF−5と呼ぶ基剤調合物を調製した。生じた分散物を、溶媒が完全に蒸発するまで、室温で一晩攪拌した。溶媒の除去により得られた粉末を適切な篩(メッシュ#60)に通過させ、ガラスビンに移し、室温で遮光して保存した。次に、表7に示したように及び後述のように、PLF−5調合物をさらに調製して、PLF−5調合物(a〜d)とした。
【0149】
PLF−5(a)をカプセル形態で調製し、Avicel(登録商標)PH101及びExplotab(登録商標)崩壊剤が、溶解中に調合物の分散性を上昇させるかどうかを調べる目的で作成した。以下の成分をPLF−5に外から添加することにより調製した:Avicel(登録商標)PH101を1:2(W/W)の比率で;及びExplotab(登録商標)を1%(w/w)で。次に、調合混合物をカプセルに充填した。
【0150】
PLF−5(b)を錠剤形態で調製し、Avicel(登録商標)PH101、Explotab(登録商標)、ステアリン酸マグネシウム(Mg)、及び噴霧乾燥した乳糖一水和物の添加が、溶解中の調合物の分散性を上昇させるかどうかを調べることを目的として行った。PLF−5(b)は、以下の成分をPLF−5に外から添加することにより調製された:Avicel(登録商標)PH101を1:2(W/W)の比率で;Explotab(登録商標)を1%(w/w)で;噴霧乾燥した乳糖一水和物を0.04g/錠と同等の量で;ステアリン酸Mgを8.75mg/錠と同等の量で。混合物を、重さ350mgの8.9mmの環状の両凸の錠剤に調製した。
【0151】
PLF−5(a)及び(b)調合物より2倍多い量のPLF−5/用量を含有するPLF−5(c)を、以下の成分をPLF−5に外から添加することにより調製した:Avicel(登録商標)PH101を1.5:1(W/W)の比率で;Explotab(登録商標)を5%(w/w)の量で;ステアリン酸Mgを0.00875g/錠と同等の量で。混合物を、重さ350mgの8.9mmの環状の両凸の錠剤に調製した。
【0152】
PLF(c)と全く同様にPLF(d)を調製したが、錠剤化しなかった。
【0153】
調合物PLF−5(a〜d)についてのインビトロテストステロン溶解プロフィールは、図12に提供される。Explotab(登録商標)崩壊剤とともにAvicel(登録商標)を含む調合物は、より良好な溶解プロフィールを示した。さらに、1重量%と5重量%のExplotab(登録商標)崩壊剤を含有する調合物とも、同様の放出プロフィールを示した。
【0154】
これらのプロフィールは、タイプII装置を50rpmで使用して900mlのPBS(pH6.80)中で調合物を溶解して測定した。溶解の1、2、3、4時間後に試料を採取し、比較例2に記載されたHPLCアッセイ法により分析した。
【表7】
【0155】
実施例7:Avicel(登録商標)PH101/102、乳糖一水和物、ステアリン酸マグネシウム、及びPearlitol(登録商標)200 SDを含むテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物の溶解
3mgのテストステロンをエタノールと水の9:1(v/v)混合物40mlに溶解し、次に2.7mgのDSPCと0.30mgのコレステロール(すなわち、DSPC対コレステロールの比率9:1(W/W))を添加して、PLF−6と呼ぶ基剤調合物を調製した。生じた分散物を、溶媒が完全に蒸発するまで、室温で一晩攪拌した。溶媒の除去により得られた粉末を適切な篩(メッシュ#60)に通過させた。
【0156】
1.2mgのテストステロンをエタノールと水の9:1(v/v)混合物30mlに溶解し、次に1.08mgのDSPCと0.12mgのコレステロール(すなわち、DSPC対コレステロールの比率9:1(W/W))を添加して、PLF−7と呼ぶ第2の基剤調合物を調製した。生じた分散物を、溶媒が完全に蒸発するまで、室温で一晩攪拌した。溶媒の除去により得られた粉末を適切な篩(メッシュ#60)に通過させた。
【0157】
表8に報告されたAvicel(登録商標)PH101又は102、Explotab(登録商標)、ステアリン酸Mg、Pearlitol(登録商標)200 SDの各量を外から添加して、PLF−6とPLF−7をさらに、それぞれPLF−6調合物(a〜c)とPLF−7調合物(d〜e)に調製した。
【0158】
PLF−6(a〜c)とPLF−7(d〜e)を圧縮して、環状の両凸の650mgの錠剤に調製した。直接圧縮により錠剤を調製するために、10ステーション回転圧縮機(Riddhi Pharma machinery Ltd., Ahmedabad, India)を使用した。Avicel(登録商標)PH102を、直接圧縮用の賦形剤として使用した。錠剤分散を上昇させ従って溶解を上昇させることを目的として、マンニトール(Pearlitol(登録商標)SD 200)を使用した。錠剤の溶解プロフィールを、カプセル調合物の溶解プロフィールと比較した。
【0159】
PLF−6(a〜c)とPLF−7(d)のインビトロ溶解を、タイプII装置を50rpmで使用して900mlのPBS(pH6.80)中で行った。しかし、PLF−7(e)の溶解は75rpmで行った。図13に報告された時間間隔で試料を採取し、調合物からのテストステロンの放出を分析した。分析は、比較例2に記載されたHPLCアッセイ法により行った。
【0160】
Avicel(登録商標)PH101又はAvicel(登録商標)PH102のいずれかを含有する調合物の比較は、溶解について同様の結果を示した。一般に、攪拌速度の上昇は、より速い溶解速度を与えた。これらの試験はまた、20%のPearlitol(登録商標)(W/W)を含有する調合物が、10%のPearlitol(登録商標)を含有する調合物と比較して、改良された溶解を示すことを証明した。
【表8】
【0161】
実施例8:カプセル、錠剤、及び粉末の形態の調合物の溶解の比較
カプセル形のPLF−2と錠剤形のPLF−6の溶解を、互いに、及び未調合のテストステロン(T1−175)と比較した。PLF−2とPLF−6は、それぞれ実施例5と7に記載のように調製され、表9に報告されるように、賦形剤の外部添加によりさらに調製した。カプセル、錠剤の形態の調合物の溶解を、1%(w/w)SLSを有するPBS(pH6.80)中の純粋な薬剤の溶解と比較した。1%(w/w)の添加は、0.5時間以内に薬剤の完全な放出を示した。このインビトロ放出プロフィールは、図14に示される。表9中の調合物a、b、cは、図14の線a、b、cと相関した。
【表9】
【0162】
実施例9:Avicel(登録商標)PH102とExplotab(登録商標)崩壊剤とを含むテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物の溶解
表10に報告されるように、Avicel(登録商標)PH102とExplotab(登録商標)崩壊剤の外部添加により、カプセル調合物PLF−9(a〜e)(Explotab(登録商標)崩壊剤を含むか又は含まない、最少量のAvicel(登録商標)で調製された2つの調合物を含む)を調製した。本例に記載されたすべての調合物の組成は、表10に記載される。これらの調合物の溶解は、カプセルシンカーを有するタイプII装置を使用して、SLSを含有しないPBS(pH6.80)中で行った。これらの試験の目的は、Avicel(登録商標)対テストステロンの比率の上昇が、プロリポソーム型調合物からのテストステロン溶解性を上昇させるかどうかを調べることであった。
【0163】
表10に記載された調合物のインビトロ放出プロフィールは、図15に示される。基剤調合物:Avicel(登録商標)の比率が1:1である調合物は、より大きなテストステロン放出と相関した。最小量のAvicel(登録商標)を含有する他の調合物は、調合物の分散が乏しいため、より小さいテストステロン放出を示した。PLF−9とPLF−2の組成は同じであったが、PLF−9のバッチサイズは、PLF−2の3gバッチサイズではなく、5gにした。
【表10】
【0164】
実施例10:HPMCサイズ「0」カプセル中に最小量のAvicel(登録商標)PH102とExplotab(登録商標)崩壊剤とを含むテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物の溶解
実施例2に記載されるようにPLF−2を作成するために使用されたものと同じプロトコールに従って調製されたPLF−10に、表11に報告されるように、Avicel(登録商標)PH102とExplotab(登録商標)崩壊剤を外部添加することにより、HPMCサイズ「0」カプセル調合物PLF−11(aとb)及びPLF−12(cとd)を調製した。これらの調合物はすべて、Explotab(登録商標)崩壊剤を含むか又は含まない最小量のAvicel(登録商標)を含有した。表11の調合物を、Vcaps(登録商標)Plusヒプロメロース(HPMC)カプセル(Capsugel Gelgium NV)に充填した。インビトロ溶解試験は、タイプII装置を75rpmで使用して行った。使用された溶解媒体は、a)1%(w/v)SLSを有するPBS;b)2%(w/v)SLSを有するPBS;c)0.5%(w/v)SLSを有するPBS;d)1%(w/v)SLSを有するPBS。1%(w/v)SLSと2%(w/v)SLSを含有する媒体は、2時間以内に、完全な薬剤放出を示した。調合物(a〜d)のインビトロ溶解プロフィールは図16に示される。
【表11】
【0165】
実施例11:Avicel(登録商標)PH102とサイズ「0」カプセルとを含むテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物の溶解挙動
Vcaps(HPMC)サイズ「0」とVcaps(登録商標)Plus(HPMC)サイズ「0」カプセル(Capsugel Belgium NV)に充填された調合物の崩壊回数を調べるために、表12に提供示される調合物PLF−14(a)とPLF−15(b)を調製した。Vcaps(登録商標)対Vcaps Plus(登録商標)カプセル化調合物を比較するために、調合物PLF−14も調製した。各カプセルタイプを評価するために、サイズ「0」カプセルが使用された。Vcaps(登録商標)とVcaps Plus(登録商標)の比較試験を行うために、カプセルにAvicel(登録商標)のみを充填した。
【0166】
PLF−13の基剤テストステロン、DSPC、及びコレステロール成分、Avicel(登録商標)、及びExplotab(登録商標)を表12に報告された量で含有する調合物PLF−15を使用して、シンカーの存在下又は非存在下で、分散回数を比較した。シンカーは、カプセルが浮くのを防ぐのに使用される数回巻かれた白金線からできているバスケット様の装置である。カプセルはシンカーケージ内に閉じ込められず、調合物はより大きな表面積に曝露されるため、これらの試験は、シンカーが使用されない時、カプセルの分散がより完全であることを示した。表12を参照されたい。
【表12】
【0167】
実施例12:Avicel(登録商標)PH102、Prosolv(登録商標)SMCC90、DCP、及びExplotab(登録商標)崩壊剤を有するテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物の溶解
基剤調合物PLF−13をさらに調製して、崩壊剤とともに、種々の量の異なる希釈剤Avicel(登録商標)PH102、Prosolv(登録商標)SMCC90(Silicified Micro Crystalline Cellulose)、及び無水リン酸水素カルシウムの外部添加により、PLF−16(a)、PLF−17(b)、PLF−18(c)、PLF−19(d)、PLF−20(e)、PLF−21(f)、及びPLF(g)を作成した。これらの調合物は、表13に記載された成分を使用して調製された。PLF−13は、テストステロン、DSPC、及びコレステロールを1:0.9:1の比率で含有し、これは、1カプセル当たりそれぞれ60mg、54mg、及び6mgに相関した。
PLF−13は、PLF−2について実施例2で記載したように調製したが、PLF−13の調製は、10gのバッチサイズのスケールとした。表13の調合物を、Vcaps(登録商標)サイズ「0」HPMCカプセル(Capsugel Belgium NV)で充填した。インビトロ溶解は、タイプII装置を75rpmで使用して、0.5%SLSを有する1000mlのPBS(pH6.80)中で行った。これらの試験でシンカーは使用しなかった。より多量のAvicel(登録商標)PH102とDCPを含有する調合物は、より良好な放出プロフィールを示した(図17)。
【表13】
【0168】
実施例13:Avicel(登録商標)PH102及びExplotab(登録商標)崩壊剤を有するテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物を含有する腸溶コーティングカプセルの溶解
実施例2のPLF−2の調製の記載に従って、プロリポソーム型調合物基剤を調製したが、バッチサイズは15gのスケールとした。表14に報告されているように賦形剤を外部添加し、Vcaps(登録商標)HPMCサイズ「0」HPMCカプセル(Capsulate Belgium NV)中に充填することにより、基剤PLF−2調合物をさらに調製して、PLF−25とした。表14にも記載されている調合物PLF−24は、テストステロンを含有しないプラセボ対照として機能した。PLF−24とPLF−25は、本発明のカプセルの遅延放出コーティング(例えば、腸溶コーティング)法を最適化するための試みの一部として調製された。
【0169】
PLF−24とPLF−25調合物をカプセルに充填した後、カプセルをEudragit(登録商標)L30D-55ポリマーベースの腸溶コーティング組成物でコーティングした。カプセルのコーティングは、ProCepT(登録商標)パンコーティング機(Zelzate, Belgium)とCaleva(登録商標)ミニコーターエアサスペンジョンコーティング機(Dorset, UK)を使用して行った。Eudragit(登録商標)L30D-55コーティング組成物は製造業者の説明書に従って使用し、コーティング法のパラメータは表15と16に要約される。テストステロン調合物のカプセルを、カプセルが10.16%の重量増加を示すまでコーティングした。プラセボ調合物を、カプセルが11.06%の重量増加を示すまで、コーティングした。コーティング実験のこれらの結果に基づいて、腸溶コーティングカプセルの重量増加割合を12%に固定すると、これは、酸性pHでの錠剤溶解に対する充分な耐性を与えた。スケールアップ調合物のために、Eudragit(登録商標)L100 55(これは粉末形態で入手できる)を遅延放出コーティング(例えば腸溶コーティング)のために使用した。
【0170】
インビトロ溶解のために使用された方法は、米国薬局方(USP)30、<711>腸溶コーティングカプセルのような遅延放出剤形の溶解のために0.5%(w/v)のSLSを加えることにより修飾された遅延放出剤形の溶解法(方法B)に記載された方法に基づく。この方法は、2段階の試験(酸性段階と緩衝液段階)を含む。酸性段階では、溶解は、1000mlの0.1N塩酸中で行われ、37℃±0.5℃で2時間維持された。2時間後、試料のアリコートを取り出して、緩衝液段階で使用した。緩衝液段階の試験では、すでに37℃±0.5℃に平衡化されているリン酸緩衝液が使用された。容器から酸を排出させ、01N塩酸と0.02Mリン酸ナトリウム(3:1)とを混合して調製し、必要であれば2N塩酸又は2N水酸化ナトリウムで調整して調製された1000mlのpH6.8リン酸緩衝液を、容器に加えた。装置を4時間運転し、試料のアリコートを規則的な時間間隔で取り出した。適切な分析法を使用して、試料を分析した。この修飾法を使用して、調合物PLF−24とPLF−25とを試験した。緩衝液段階で使用された溶解媒体は、0.5%(w/v)のSLSを有する1000mlのリン酸緩衝液(PBS)pH6.80であった。PLF−24とPLF−25は、酸性pH中で2時間無傷のままであった。活性調合物のカプセルは、0.5%(w/v)のSLSを有するPBS中で、2時間以内に完全な薬剤放出を示した(図18)。
【0171】
溶解試料の分析のために、修飾され実証済みのHPLCアッセイ法を使用した。HPLC分析は、メタノール:水(60:40v/v)を含む移動相を使用して行った。分離は、C18:150×4.6mm(5μm)(Ace)カラムで行った。移動相の流速は1.2ml/分に設定し、カラム温度は25℃に維持した。総運転時間は15分であり、注入量は35μlであった。薬剤は、UV検出器を246nmの吸収極大を使用して検出した。テストステロンの保持時間は11.5分であった。この方法は、テストステロンと他のすべての賦形剤を分解することができた。各試料の運転時間を少なくして、迅速な分析を促進するために、流速は高く維持された。
【表14】
【表15】
【表16】
【0172】
実施例14:Avicel(登録商標)PH102、Prosolv(登録商標)SMCC90/SMCC HD 90、及びExplotab(登録商標)崩壊剤を有するテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物を含有する腸溶コーティングカプセルの溶解
表17に報告されているように、PLF−23と2つの異なるグレードの微結晶セルロース(Prosolv(登録商標)HD90とProsolv(登録商標)SMCC90)との用手的混合を含む、賦形剤の外部添加により、基剤調合物PLF−23とPLF−28とをさらに調製して、それぞれPLF−26とPLF−27を作成した。PLF−23とPLF−28は、互いに、及びPLF−2(これは実施例2に記載されており、テストステロン、DSPC、及びコレステロールを1:0.9:1の比率で含む)と組成が同一である。PLF−23とPLF−28を調製するのに使用された方法もまた、PLF−2を調製するのに使用された方法と同じである。表17にも記載されているように、微結晶セルロースを除いて、賦形剤の外部添加により、PLF−28をさらに調製してPLF−29とした。
【0173】
PLF−26及びPLF−27をVcaps(登録商標)HPMCサイズ「00」カプセル(Capsulate Belgium NV)に充填し、実施例13に記載されたコーティング法に従って、遅延放出コーティングポリマーEudragit(登録商標)L30D-55でコーティングした。
【0174】
PLF−29もカプセルに充填したが、PLF−26及びPLF−27とは異なり、これは、Avicel(登録商標)PH102を含有し、非コーティングのままであった。溶解に対する硬化の影響を調べるために、PLF−29カプセルを、40℃で熱風オーブン中で2時間加熱することにより硬化させた。
【0175】
インビトロ溶解のために使用された方法は、米国薬局方(USP)30、<711>腸溶コーティングカプセルのような遅延放出剤形の溶解のために0.5%(w/v)のSLSを加えることにより修飾された遅延放出剤形の溶解法(方法B)に記載された方法に基づく。この方法は、2段階の試験(酸性段階と緩衝液段階)を含む。酸性段階では、溶解は、1000mlの0.1N塩酸中で行われ、37℃±0.5℃で2時間維持された。2時間後、試料のアリコートを取り出して、緩衝液段階で使用した。緩衝液段階の試験では、すでに37℃±0.5℃に平衡化されているリン酸緩衝液が使用された。容器から酸を排出させ、01N塩酸と0.02Mリン酸ナトリウム(3:1)とを混合して調製し、必要であれば2N塩酸又は2N水酸化ナトリウムで調整して調製された1000mlのpH6.8リン酸緩衝液を、容器に加えた。装置を4時間運転し、試料のアリコートを規則的な時間間隔で取り出した。適切な分析法を使用して、試料を分析した。緩衝液段階で使用された溶解媒体は、0.5%(w/v)のSLSを有する1000mlのリン酸緩衝液(PBS)pH6.80であった。採取した試料からのテストステロン放出は、UV分光光度計を246nmの波長で使用して測定した。図19は、調合物(a〜c)のインビトロ溶解プロフィールを示す。
【表17】
【0176】
インビトロテストステロン溶解試験は、調合物PLF−28を使用して行った。これらの試験に使用された溶解媒体は、0.5%(w/v)SLSを有するPBS(pH6.80)であり、使用した溶解プロトコールは、上記した本実施例に記載されている。試料は4時間の溶解後採取し、NICOMP(Santa Barbara,CA)モデル370サブミクロン粒径アナライザーを使用する粒径分析のために使用した。これらの試料は、薬剤溶解割合について定量されていなかった。表18は、物理的混合物としての、及び溶解を受けた後のマトリックス形態の、調合物の粒径分析の結果を要約する。
【表18】
【0177】
実施例15:テストステロン経口送達システムの調製と評価
A.プロリポソーム型テストステロン調合物の調製と最適化
テストステロンとリン脂質(表19)とをエタノールに溶解し、窒素ガスを使用して溶媒を蒸発させた。乾燥粉末を#60メッシュスクリーンに通して、均一な粒径分布を作成した。この試験で使用されたリン脂質は、不活性成分ガイド(Inactive Ingredient Guide)(FDA)からのものである。
【表19】
【0178】
B.輸送試験
Caco−2細胞培養:Caco−2細胞の単層を、4μm孔径ポリカーボネートTranswell(登録商標)フィルター上で、以下の方法により調製した。Caco−2細胞をT−75フラスコ中で37℃で、5%CO2と95%空気の雰囲気中で、必要な補助物質を有するダルベッコー改変イーグル培地(DMEM、pH7.2)を使用して増殖させた。培地は、90%コンフルエンスに達する前に、少なくとも1回交換した。細胞をハンクス液(Ca+2,Mg+2を含まないHBSS)で洗浄し、1mM EDTA中の0.25%トリプシンで37℃で5分間トリプシン処理をした。細胞を10mlのDMEMに再懸濁し、4μm孔径Transwell(登録商標)インサートに7.5×10細胞/mlの密度で接種した。フラスコに5mlのDMEMを加えて、細胞懸濁液対DMEMの1:1希釈を作成し、細胞を再接種した。Transwell(登録商標)インサート中の細胞を約5日間増殖させ、細胞の耐性を、耐性が100Ωより大きくなるまで、1日置きに測定した。
【0179】
C.インビトロ輸送試験
いったん細胞の耐性が100Ωより高くなったら、DMEMを注意深く吸引し、マイクロピペットを使用して、ドナーコンパートメント中で1.5mlのCa+2,Mg+2含有HBSS(これは、37℃水浴で加温されている)とレシーバーコンパートメント中の2.5mlで置換し、室温で30分間平衡化させた。次に、Ca+2,Mg+2含有HBSSをドナーコンパートメントから注意深く吸引し、前日調製されたCa+2,Mg+2含有HBSS(これは、37℃水浴に30分間入れておいた)に再懸濁されていた0.5mlの調合物で置換した。各調合物は3重測定で試験した。各ウェル(細胞が無傷のままであることを確認するために)について耐性を測定し、300μlの試料をレシーバーコンパートメントから取り除き、300μlの新鮮なCa+2,Mg+2含有HBSSを補った。5、15、30、45、60、90、120、150、180、210、240、270、330分に、試料を取り出した。輸送されたテストステロン量を、HPLCによる100μlの試料の分析により測定した。実験は、3重測定で行った。対照:1.未調合のテストステロン対照:2.テストステロンプロリポソーム型調合物。
【0180】
輸送試験結果:5時間後のCaco−2を通過するテストステロンの輸送を図20に示す。対照(処理したテストステロン及び未処理のテストステロン)と比較して、すべての15個のプロリポソーム型調合物で、テストステロンの輸送が大きかった。この試験で評価された15個の調合物中で、DMPG及びDSPC:Chol(9:1)を用いて調製された調合物は、最大のテストステロン輸送を示した。5時間のサンプリング時間後、輸送は一定状態に達していなかった。これは、5時間を超えても、テストステロンの輸送のさらなる増強の可能性があることを示唆している。
【0181】
D.結論
DSPCへのコレステロールの添加は、腸管膜を通過するテストステロンの改良された輸送を促進する。膜を通過するテストステロンの改良された輸送は、驚くべき有益な結果である。
【0182】
実施例16:薬物動態試験
性腺機能低下症のヒト対象を含む臨床試験を行った。試験のために患者を募集する前に、医学検査を行った。試験は、施設動物倫理委員会(IACUC)により認可された臨床試験プロトコールを使用して、摂食及び絶食条件下で行った。試験の開始前に、すべての患者からインフォームドコンセントを得た。2つの異なる用量(120及び240mg)の薬剤を経口投与後の、テストステロンの薬物動態値を集めた。異なる治療条件下でのテストステロンとその主要な代謝物であるジヒドロテストステロン(DHT)の平均血漿濃度を、図21、22に示す。食物の存在下では、テストステロンの吸収は遅れた。より高濃度のテストステロンの投与が、テストステロンの血漿濃度の直線的上昇を示すことはなかった。テストステロンのピーク血漿濃度(Cmax)は、両群について、薬剤投与の5時間後(Cmax)に見られた。
【0183】
実施例17:テストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物を含有する経口剤形
臨床試験のために、腸溶コーティングカプセルの形態の経口剤形をパイロットスケールで調製した。このカプセルは、カプセル1個当たり表20に示す成分を有する医薬組成物を含有した。
【0184】
表20に記載された成分を使用して、以下の方法により経口剤形を調製した。経口剤形を調製する方法は、表に示される各成分について、表20中に記載した範囲について適切であった。このプロセスは、清澄な溶液を得るためにテストステロンをアルコール中に溶解されることを含んだ。薬剤溶液にDSPCを添加後、コレステロールを添加して、分散物を生成した。溶媒を、ロータリーエバポレーターを使用して真空下で蒸発させて除去した。乾燥マスが得られたまで蒸留させた。次に、乾燥した塊を篩#60に通過させ、微結晶セルロース及びデンプングリコール酸ナトリウムと混合した。調合物を、半自動カプセル充填機を使用して、サイズ「00」カプセルに充填した。メタクリル酸コポリマーCを使用して、カプセルを腸溶コーティングした。
【表20】
【0185】
実施例18:性腺機能低下症を有するヒト対象中のテストステロンの薬物動態の臨床試験
性腺機能低下症を有する34人のヒト対象で臨床試験を行い、表21に示された成分の1カプセル当たりの量を含有し、実施例17に記載する方法に従って調製されたテストステロンの経口剤形による、15日間の治療期間にわたるテストステロンの薬物動態を評価した。300ng/dL以下の血清テストステロンを有する対象を、性腺機能低下症と見なした。試験に参加するためのすべての男性についての選定基準は、肥満度指数ボディマスインデックス(BMI)が39Kg/m2未満で、年齢が19才以上で、体重要件が55Kg以上であった。すべての対象は、試験に参加する前に、試験の目的を理解し、インフォームドコンセント用紙に署名した。対象群を17名の2群に分け、それぞれ120mg又は240mg(すなわち、120mg用量を2回同時に与えた)の調合テストステロンを15日間、1日2回(すなわち、朝と晩)に投与した。丸1日経過後、及び投与処方の開始後15日目に、対象から1時間毎に血漿試料を採取した。
【表21】
【0186】
図23は、120mg及び240mgの1日2回の処方で、治療の1日目と15日目の経過にわたる対象からの、1時間当たりの混合血漿テストステロン濃度の別々の平均を示す。図23が示すように、240mg用量の1日2回の投与は、120mgを1日2回の処方より、テストステロンの血漿濃度の直線的上昇を示すことはなかった。1日目に、120mgと240mg投与処方はそれぞれ、71%の対象で300ng/dLより高い平均1日血漿テストステロン濃度を達成した。15日目には、120mgと240mg投与処方は、それぞれ59%と31%の対象で300ng/dLより高い平均1日血漿テストステロン濃度を達成した。試験の1日目から15日目まで、120mgと240mg投与処方で投与された対象について、テストステロン曝露の低下があった。240mg処方に関連する低下は大きかった。
【0187】
テストステロンの平均ピーク血漿濃度(Cmax)は、120mgと240mg投与のいずれかの投与後4時間目に到達し、この時点で、それぞれ500ng/dLと500ng/dL超であった。図24及び25を参照されたい。
【0188】
実施例19:プロリポソーム型剤形の毒素と毒性動態の評価
この試験の目的は、表21に示された成分の1カプセル当たりの量を含有し、実施例17に記載する方法に従って調製されたテストステロンの経口剤形の毒性と毒性動態を評価することであった。これらの試験について、プラセボと3つの異なる用量の調合テストステロンをビーグル犬に、少なくとも90日間連続で1日1回投与した。さらに詳しくは、この試験の毒性試験部分で、16匹のオスのビーグル犬を4つの処理群に割り当てた。動物には、目標用量レベルの0、15、75、又は150mg/kg/日の調合テストステロンを、91日間連続で経口投与した。これらの用量レベルは、0、120mg、600mg、及び1200mgの剤形と同等であった。92日目に、動物を安楽死させ、完全な剖検を行った。プロトコールで特定された組織(精巣を含む)を採取し、Experimental Pathlogy Laboratories (EPL), Inc.に送った。すべての群からの組織を処理し、パラフィン包埋し、切片を作成し、ヘマトキシリンとエオシン(H&E)で染色した。得られたスライドを、光学顕微鏡による評価のために、Bret Saladino, DVM, Diplomate ACVP of Calvert Laboratorisに送った。
【0189】
精巣と精巣上体に対する外因性テストステロンの薬理学的作用に起因する唯一の病理所見。所見は、精巣中の低精子形成、多核生殖細胞/合胞体の増加、管腔精子形成細胞の増加、空胞形成/ライディッヒ細胞の萎縮、及び精巣における尿細管萎縮;及び精巣上体中の低精子症と管腔破片の増加であった。これらの所見は、75又は150mg/ml/日を投与された動物で顕著であった。
【0190】
一定の時間間隔で血液試料を採取し、1、57、及び91目に、これらの各日の24時間にわたって分析した。処理を開始する前にすべての動物から、及び29日目と92日目に試験動物から、頚静脈穿刺により、血液試料を採取した。それぞれ、図26、27、及び28を参照されたい。
【0191】
本明細書に記載の実施例と態様は、例示であり、当業者に提案される修飾又は変更は本開示に含まれる。当業者には理解されるように、上記実施例に記載される特定の成分は、他の機能的に同等の成分で置き換えることができる。テストステロン投与量の増加とともに血漿テストステロンレベルが上昇したが、この上昇は比例的ではなかった。テストステロンレベルは、1日目と比較して57日目に上昇した。このレベルはすべての3つの投与量(120、600、及び1200mg)で上昇した。テストステロンレベルは、57日目と比較して、91日目に低下した。120mg投与量の場合、テストステロンレベルは1日目より低かった。
図1
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