【実施例】
【0117】
本明細書に開示する方法を実施するための以下の成分、調合物、プロセス及び手順は、上記したものに一致する。以下の手順は、テストステロンを含む調合物とその使用方法を含む、特に例示的で非限定的な態様を用いて説明する。
【0118】
比較例1:テストステロンDMPGプロリポソーム型調合物の調製
比較プロリポソーム型調合物(「PLF−C」)、PLF−C1、PLF−C2、PLF−C3、及びPLF−C4は、テストステロンとジミリスチルホスファチジルグリセロールナトリウム(DMPG)を含有した。表1は、これら調合物のそれぞれを作るために使用された成分と量を示す。PLF−C1については、0.5gのテストステロンを3mlの9:1のエタノール対水混合物(v/v)に溶解し、この溶液に0.5gのDMPGを添加した。次に、溶媒の完全な蒸発が達成されるまで、典型的には一晩、溶液を室温で攪拌した。溶媒を蒸発させて得られた粉末調合物を、メッシュ#60のような適切な篩に通した。次に、篩にかけた粉末をガラスバイアルに移し、遮光して室温で保存した。
【0119】
PLF−C2とPLF−C3の調製はPLF−C1の調製と同様であったが、PLF−C2については、1.5gのテストステロンと1.5gのDMPGを、10mlの9:1のエタノール−水溶液に溶解した。
【0120】
PLF−C4もまたPLF−C1と同じ方法で調製したが、0.5gのテストステロンと0.5gのDMPGは、クロロホルム、エタノール、及び水の1:1:0.3(v/v)混合物12mlに溶解した。
【0121】
上記の調合物をそれぞれ、サイズ「00」の硬質ゼラチンカプセルに充填した後、それらの溶解について試験した。PLF−C1カプセルのみを腸溶コーティングした。具体的には、PLF−C1コーティング材料はEudragit(登録商標)L30 D-55であった。PLF−C1カプセルのコーティングは、まずEudragit(登録商標)L30 D-55の分散物を調製することにより行った。この分散物に、成膜性を高めるために、Eudragit(登録商標)ポリマーの重量の10%と等しい量のクエン酸トリエチルを添加した。各カプセルを分散物中に浸漬し、次に、合計4回空気乾燥させた。調合物PLF−C1からカプセルの一部はコーティングされなかった。これらのコーティングされていないカプセルもまた、腸溶コーティングされたカプセルと一緒に溶解試験に使用した。
【表1】
【0122】
比較例2:テストステロンDMPGプロリポソーム型調合物のインビトロ溶解
腸溶コーティングされたPLF−C1カプセルとコーティングされていないPLF−C1カプセルからのテストステロンのインビトロ溶解プロファイルが得られた。これらの試験のために、3つの異なる溶解媒体を腸溶コーティングカプセルのために使用した。腸溶コーティングカプセル(n=3)を、500mlの、1)0.1N HCl(pH1.20)に1時間;酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.50)に1時間;リン酸カリウム緩衝液(pH6.80)に3時間、溶解した。コーティングされていないカプセル(n=3)については、0.1N HCl(pH1.20)のみを使用し、1、2、及び2.5時間後、試料を採取した。溶解は、USPタイプ1装置で、毎分50回転の速度(rpm)で37℃で、0.5時間、1時間、2時間、3時間、進行させた。各時点で、5mlの試料を採取した。各時点で放出されたテストステロンの量は、以下の高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)アッセイ法を用いて、各時点の試料を分析して決定した。分析した各調合物について、25mgのテストステロンを含む調合物の量を25mlのエタノールに溶解した。テストステロン濃度が10μg/mlに達するまで、このストック溶液をさらにメタノール:水(1:1)溶液で適切に希釈した。次に20μlのアリコートをHPLCに注入した。HPLC分析で使用された移動相の組成は、アセトニトリル:水(0.2%ギ酸を有する)(75:25v/v)の溶液であった。相の分離は、C18(100×4.6mm)Kinetex、Phenomenex(登録商標)カラムを1.0ml/分の流速で使用して行った。各試料の総実行時間は5分であり、フォトダイオードアレイ(PDA)検出器を、波長243nmに設定した。コーティングされていない及びコーティングされたカプセル調合物の両方とも、PBS(pH6.80)中3時間で、3.46%未満の薬物放出を示した。腸溶コーティングされたカプセルは、酸性pHで2時間無傷のままであった。
【0123】
コーティングされていないPLF−C2カプセルからのテストステロンのインビトロ溶解プロファイルも得られた。これらの試験のために、コーティングされていないカプセルを900mlのリン酸カリウム緩衝液(pH6.80)に溶解した。PLF−C1試験のために使用された溶解及び分析パラメーターは、上記したものと同じであった。スクリューキャップをしたガラスバイアル中で保存されたPLF−C2非コーティングカプセルからの、異なる温度でのテストステロンのインビトロ放出プロファイルを、表2及び
図1に示す。両方が異なる比率でDMPGを含む、PLF−C2とPLF−C4非コーティングカプセルのテストステロン放出プロファイル間の差を、
図2に示す。
【表2】
【0124】
比較例3:テストステロンDMPGプロリポソーム型調合物のインビボ試験
調合物PLF−C1、PLF−C2、及びPLF−C3を、ラット(n=3)に経口投与後のインビボ性能について試験した。これらの試験は、それぞれ約250gの体重のオスのスプラーグドーレイ(Sprague-Dawley)ラット(Charles River−Wilmington, MA)を含む施設動物倫理委員会(IACUC)認可インビボプロトコールを使用し、頚静脈にカニューレを挿入し、試験のために使用した。自由流動性のプロリポソーム粉末形態のPLF−C1調合物と、HPMC懸濁液中のテストステロンのテストステロン対照溶液(0.5%(wt/vol)を、経口投与後の摂食ラットで試験した。
【0125】
PLF−C1とテストステロン対照溶液は、これらを0.5%(w/v)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)懸濁液(w/v)に分散させることによって調製した。摂食ラットに、それぞれ1mlの純粋な薬液(300mg/kg体重の用量)と2.5mlのPLF−C1調合物(300mg/kg体重の用量)を、経口胃管栄養法により投与した。投与の0、1、2、4、8、12、24時間後に血液試料を採取した。遠心分離するまで、試料を4℃で保存した。Microfuge(登録商標)22R遠心分離機(Beckman-Coulter)を用いて12,000rpmで4℃で15分間遠心分離することにより、血液試料の血漿部分を血液から分離した。それらを分析するまで、血漿試料を−20℃で保存した。
【0126】
PLF−C2調合物とPLF−C3調合物を用いて、インビボ試験も行った。水を自由に与えて一晩絶食させたオスのSDラットに、これらの調合物を経口投与した。動物を、それぞれ3匹の動物を含む2群に分けた。1つの群に調合物PLF−C2を投与し、他の群に調合物PLF−C3を投与した。
【0127】
投与用のPLF−C2とPLF−C3とを調製するために、5匹のラットに300mg/kg体重の実験用量を投与するのに充分なそれぞれの量を秤量し、20mlの水に分散した。懸濁した各調合物4mlをラットに投与した。投与の0(投与前)、1、2、4、8、12、24時間後に、血液試料を採取した。12,000rpmで4℃で15分間遠心分離するまで、採取した試料をアイスボックスに保管した。血漿を分離し、分析するまで−20℃で保存した。血漿試料中のテストステロンの検出は、以下に説明するように、実証済みの液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC−MS/MS)を用いて行った。
【0128】
テストステロンとDHT濃度のMS分析のために、HPLC溶出試料を調製した。簡単に説明すると、使用したHPLCシステムは島津CLASS-VP(登録商標)システムであった。移動相溶液は、(A)水中の0.2%ギ酸、及び(B)アセトニトリル中の0.2%ギ酸であった。分析に使用したカラムは、2×10mm Duragel(登録商標)G C18ガードカートリッジ(Peeke Scientific - Novato, CA)であった。注入量は25μlであり、勾配は、緩衝液(B)の5%から30%溶液まで0.5分、次に(B)の30%から55%溶液まで2分、により測定した。流速は400μl/分であった。
【0129】
内部基準物質(すなわち較正標準物質)、品質管理(QC)試料、及びHPLC溶出血漿試料を、各試料50μlを2×容量の氷冷した内部標準物質(50ng/mlのテストステロン16、16,16−d
3,d
3−テストステロンを含有するアセトニトリル)で沈殿させることにより、LC/MS/MS分析用に調製した。内部標準物質として機能するd
3−テストステロンに加えて、ジヒドロテストステロン(DHT)をQC標準物質として使用した。沈殿した試料を、6100×gで30分間(又は同等の時間)遠心分離した。遠心分離後、各上清100μlをオートサンプラープレートに移し、加熱ブロック上に1時間置いて、試料中のアセトニトリルを部分的に蒸発させた。次に、以下のパラメーターに従って、試料のMS分析を行った。
【0130】
分析のテストステロン検出工程は、TurboIonSpray(登録商標)(Applied Biosystems)電子噴霧インタフェース(ESI)システムを取り付けたApplied Biosystems/MDS SCIEX API 3000(登録商標)を使用して行った。分析カラムからの溶媒液の流れは、MS/MSアナライザーの加熱された噴霧器インターフェースに入った。上記の溶媒/試料混合物を、まず400℃のインターフェイスの加熱されたチューブ中で蒸気に変換した。霧状の溶媒に含まれる分析物(テストステロン、DHT、及び[D3]テストステロン)をイオン化し、インターフェースのコロナ放電針(これは、噴霧された溶媒/分析物混合物に大きい電圧を印加する)により、正電荷を印加した。イオンは器械のオリフィスを通過し、最初の四重極に入った。四重極1及び3(Q1及びQ3)は質量フィルタであり、これらの質量対電荷比(m/z)に基づくイオンの選択を可能にする、四重極2(Q2)は衝突セルであり、ここで、イオンはアルゴン分子との衝突によって断片化された。
【0131】
289.2のm/z値を有するテストステロンについて選択されたMS/MSの最初の四重極(Q1)、291.2のm/z値を有するDHT、又は292.2のm/z値を有する内部物質(d
3−テストステロン)。これらのm/z値を有するイオンは衝突チャンバー(Q2)に渡され、他のm/z値を有するすべてのイオンは四重極の側面に衝突して破壊された。Q2に入るイオンは、中性ガス分子と衝突した。このプロセスは、衝突誘起解離(CID)と呼ばれる。この例で使用されたCIDガスはアルゴンであった。生成された娘イオンは、四重極3(Q3)に渡され、ここで、96.9のm/z値を有するテストステロンの娘イオン、255.2のm/z値を有するDHT、又は96.9のm/z値を有するテストステロン16、16,17−d
3(d
3−テストステロン)(内部標準物質)が選択され、他のイオンはスクリーニングにより除去された。選択された娘イオンは、検出器により集められた。定量は、陽性モードの選択反応モニタリング(SRM)により取得された分析物(すなわち、テストステロン)の内部標準物質に対するピーク面積比に基づく。摂食条件下でのPLF−C1調合物及びテストステロン対照溶液の平均血漿濃度の経時的プロファイルが、
図3に示される。絶食条件下でPLF−C2とPLF−C3調合物の平均血漿濃度の経時的プロファイルが。
図4に示される。
【0132】
比較例4:Avicel PH101及び乳糖一水和物を有するDMPGベースの調合物の溶解
調合物PLF−C5については、テストステロンを、エタノール:水(9:1)の混合物に溶解した。この溶液に、ジミリスチルホスファチジルグリセロールナトリウム(DMPG)及び乳糖一水和物を加え、溶媒が室温で完全に蒸発するまで室温で一晩撹拌した。乳糖が分散を助け、動物試験のための投薬溶液を調製しながら、塊の形成を回避するように、乳糖を添加した。
【0133】
薬物:DMPG:乳糖(1:1:1)を含有する調合物(PLF−C5)に外からAvicel(登録商標)PH101を加えることにより、別の調合物(PLF−C5+Avicel(登録商標)PH101)を調製した。このアプローチは、Avicel PH101が、溶解中に調合物の分散を上昇させるのに役立つかどうかを調べるために行った。
【0134】
さらに別の例では、PLF−C5に外からAvicel(登録商標)とExplotab(登録商標)崩壊剤(1%)を加えることにより、調合物(PLF−C5+Avicel PH101+Explotab(登録商標)崩壊剤)を調製した。この調合物は、分散を上昇させる目的で、従って、スーパー崩壊剤Explotab(登録商標)崩壊剤の助けによるプロリポソーム型調合物の溶解と、Avicel(登録商標)PH101のより良好な分散性とを上昇させる目的で、調製された。
【0135】
さらに別の例では、1:1比のテストステロン:DMPGを含有する調合物PLF−C2を取り、まず5mlの溶解媒体中に分散し、次に溶解を行った。これは、動物投与の前に調合物が水に分散されたため、カプセル化PLF−C2と分散されたPLF−C2の溶解を比較するために行われた。
【0136】
さらに別の例において、テストステロンをエタノール:水(9:1)の混合物に溶解して、調合物PLF−C6を調製した。生じたテストステロン溶液、DMPG、及びAvicel(登録商標)PH101を1:1:2の比率で加え、溶媒の完全な蒸発が起きるまで、混合物を室温で一晩攪拌して、プロリポソーム型粉末を形成させた。乾燥したプロリポソーム型調合物に、Explotab(登録商標)崩壊剤を外から加え、粉末−Explotab(登録商標)崩壊剤混合物をカプセルとして調製した。この目的は、プロリポソーム型調合物の溶解に及ぼす、分散Avicel(登録商標)PH101を使用する効果を調べることであった。
【0137】
テストステロンプロリポソーム型調合物を凍結乾燥した。具体的には、テストステロン:DMPG:乳糖(1:1:1)を含有する調合物PLF−C5(500mg)を取り、水20mlに分散させた。これを40℃で30分間水和し、次に24時間以上凍結乾燥させた。使用した種々の賦形剤を加えることにより作成されたPLF−C5の変種の組成は、表3に示される。
【0138】
装置タイプIを50rpmで使用して、PLF−C5と、追加の賦形剤を含むPLF−C5調合物とのインビトロ溶解試験を行った。使用した溶解媒体は、37℃±0.5℃に維持しておいたリン酸緩衝液(pH6.80)である。溶解の1、2、3、及び4時間後に、試料(5ml)を採取した。表3のすべての他の調合物の溶解のために、タイプII装置を使用した。すべての他の溶解パラメータは、上記したPLF−C5のものと同じあった。
【0139】
比較例2に記載した方法に従って、上記PLF−C5調合物のテストステロン溶解アッセイを試験した。比較例4に記載されたすべてのDMPG調合物のインビトロ放出プロフィールを
図5に示す。
図5に示されるように、Avicel(登録商標)とExplotab(登録商標)崩壊剤とを含有する調合物は、他のものと比較して、より大きな放出を与えた。
【表3】
【0140】
実施例1:種々の緩衝液中の溶解性試験
異なる媒体中のテストステロンの溶解度を試験した。a)塩酸緩衝液(pH1.20)、b)酢酸緩衝液(pH4.50)、c)リン酸緩衝液(PBS)pH6.80、及びd)ナノ純水、のいずれかの10mlを含有する4個のガラスバイアルの各々に、テストステロン(100mg)を加えた。これらの試料を室温で72時間、水浴中で振とうさせた。試料を適当に希釈し、比較例2に記載されたHPLCアッセイ法により分析した。リン酸緩衝液pH6.80中のテストステロンの溶解度は高かった。
図6を参照されたい。
【0141】
テストステロンの溶解度を、比較例2に記載されたインビトロ溶解条件下で、水性媒体(pH6.8)中37℃で脂質成分の存在下で測定した。表4に示した組成物(F1〜F8)について、乾燥成分を混合することにより、物理混合調合物を調製した。これらの試験に使用した溶解パラメータは、以下に記載される。各時点で採取された試料を適切に希釈し、比較例2に示したHPLCアッセイ法により分析した。
【0142】
これらの溶解試験の溶解パラメーターは、以下の通りである。調合物をリン酸カリウム緩衝液pH6.80(USP30)の1000ml容量で、USP2型(パドル)装置を使用して溶解した。溶解は37℃で75rpmで行った。3、5、8、10、12、18及び24時間の時点で分析のために、試料(5ml)を採取した。溶解曲線は、
図7に示される。48%〜60%(w/w)の範囲で最大量のDSPCを有する調合物F7とF9は、PBS(pH6.80)中で高い溶解性を示した。
図7を参照されたい。
【表4】
【0143】
実施例2:テストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物の調製
エタノールと水の9:1混合物(v/v)にテストステロンを溶解し、次にジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)とコレステロールを、DSPC対コレステロール9:1の比(w/w)で加えることにより、プロリポソーム型調合物(PLF)−1、PLF−2、PLF−3、及びPLF−4を調製した。生じた分散物を、溶媒が完全に蒸発するまで、室温で一晩攪拌した。これらの調合物の組成は表5に詳述される。溶媒の除去により得られた粉末を適切な篩(メッシュ#60)に通過させ、ガラスビンに移し、室温で遮光して保存した。
【表5】
【0144】
実施例3:溶解度試験
10分間の超音波処理後の、0.5%、1%、又は2%のSLS中の、a)10mgの純粋なテストステロン、及びb)10mgのテストステロンと同等の調合物PLF−2、の溶解度を測定した。これらの試験について、純粋なテストステロン10mgを秤量し、メスフラスコ中にそれぞれ0.5%、1%、又は2%(w/w)SLSで溶解させた。10mgのテストステロンを含有する量の調合物PLF−2を秤量し、テストステロン対照について記載したものと同じ方法で試料溶液を調製した。これらの溶液を、超音波処理器中で10分間超音波処理した。次に、試料を濾過し、各濃度のSLSで適切に希釈した。各濃度のSLSについて可溶性テストステロンの量を、比較例2で記載したHPLCアッセイ法を使用して測定した。テストステロン対照とPLF−2の両方とも、1%w/w SLS中で高いテストステロン溶解性に関連していた。
図8を参照されたい。
【0145】
実施例4:テストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物のインビトロ溶解試験
調合物PLF−1を、サイズ”00”の硬ゼラチンカプセルサイズに充填した。これらのカプセルのいくつかは、比較例2に記載されたように腸溶コーティングされた。腸溶コーティングカプセル(n=3)及び非コーティングカプセル(n=3)の両方の溶解を、900mlのリン酸カリウム緩衝液(pH6.80)中で行い、37℃±5℃で3時間のコースで溶解条件を維持した。溶解の0.5、1、2、3時間後に試料(5ml)を採取し、次に、比較例2で上記したようにHPLCアッセイ法に従って測定した。PLF−1の安定性データは表6に要約され、インビトロ放出プロフィールは
図9に示される。
【表6】
【0146】
実施例5:テストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物のインビボ試験
実施例2に記載された調製法に従って、調合物PLF−2とPLF−4を調製した。次にこれらの調合物を、一晩絶食後のオスのスプラーグドーレイ(SD)ラットに経口投与した。調合物PLF−2を、体重1kg当たり300mg、150mg、31mg、15.5mg、及び7.75mg用量の用量で試験した。調合物PLF−4は、300mg/kg体重の用量で経口投与した。
【0147】
頚静脈にカニューレを挿入した体重約250gのオスのSDラットを、試験に使用した。動物は、水を自由に与えて一晩絶食させた。サンプリングと分析は、比較例4の段落[0063]〜[0067]に記載された方法に従って行った。試験した調合物の平均血漿濃度対時間プロフィールは、
図10と11に示される。異なる試験調合物と対照テストステロン分散物の経口投与後のテストステロンの血漿濃度を、経時的に追跡した。300mg/kg及び31mg/kg(テストステロン用量/体重)対照と試験調合物の両方を試験した。
【0148】
実施例6:Avicel(登録商標)PH101、乳糖一水和物、ステアリン酸マグネシウムを含むテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物の溶解
1.5mgのテストステロンを、エタノールと水の9:1混合物(v/v)20mlに溶解し、次に1.35mgのジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)と0.15mgのコレステロール(すなわち、DSPC対コレステロール(w/w)の比率9:1)を添加して、PLF−5と呼ぶ基剤調合物を調製した。生じた分散物を、溶媒が完全に蒸発するまで、室温で一晩攪拌した。溶媒の除去により得られた粉末を適切な篩(メッシュ#60)に通過させ、ガラスビンに移し、室温で遮光して保存した。次に、表7に示したように及び後述のように、PLF−5調合物をさらに調製して、PLF−5調合物(a〜d)とした。
【0149】
PLF−5(a)をカプセル形態で調製し、Avicel(登録商標)PH101及びExplotab(登録商標)崩壊剤が、溶解中に調合物の分散性を上昇させるかどうかを調べる目的で作成した。以下の成分をPLF−5に外から添加することにより調製した:Avicel(登録商標)PH101を1:2(W/W)の比率で;及びExplotab(登録商標)を1%(w/w)で。次に、調合混合物をカプセルに充填した。
【0150】
PLF−5(b)を錠剤形態で調製し、Avicel(登録商標)PH101、Explotab(登録商標)、ステアリン酸マグネシウム(Mg)、及び噴霧乾燥した乳糖一水和物の添加が、溶解中の調合物の分散性を上昇させるかどうかを調べることを目的として行った。PLF−5(b)は、以下の成分をPLF−5に外から添加することにより調製された:Avicel(登録商標)PH101を1:2(W/W)の比率で;Explotab(登録商標)を1%(w/w)で;噴霧乾燥した乳糖一水和物を0.04g/錠と同等の量で;ステアリン酸Mgを8.75mg/錠と同等の量で。混合物を、重さ350mgの8.9mmの環状の両凸の錠剤に調製した。
【0151】
PLF−5(a)及び(b)調合物より2倍多い量のPLF−5/用量を含有するPLF−5(c)を、以下の成分をPLF−5に外から添加することにより調製した:Avicel(登録商標)PH101を1.5:1(W/W)の比率で;Explotab(登録商標)を5%(w/w)の量で;ステアリン酸Mgを0.00875g/錠と同等の量で。混合物を、重さ350mgの8.9mmの環状の両凸の錠剤に調製した。
【0152】
PLF(c)と全く同様にPLF(d)を調製したが、錠剤化しなかった。
【0153】
調合物PLF−5(a〜d)についてのインビトロテストステロン溶解プロフィールは、
図12に提供される。Explotab(登録商標)崩壊剤とともにAvicel(登録商標)を含む調合物は、より良好な溶解プロフィールを示した。さらに、1重量%と5重量%のExplotab(登録商標)崩壊剤を含有する調合物とも、同様の放出プロフィールを示した。
【0154】
これらのプロフィールは、タイプII装置を50rpmで使用して900mlのPBS(pH6.80)中で調合物を溶解して測定した。溶解の1、2、3、4時間後に試料を採取し、比較例2に記載されたHPLCアッセイ法により分析した。
【表7】
【0155】
実施例7:Avicel(登録商標)PH101/102、乳糖一水和物、ステアリン酸マグネシウム、及びPearlitol(登録商標)200 SDを含むテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物の溶解
3mgのテストステロンをエタノールと水の9:1(v/v)混合物40mlに溶解し、次に2.7mgのDSPCと0.30mgのコレステロール(すなわち、DSPC対コレステロールの比率9:1(W/W))を添加して、PLF−6と呼ぶ基剤調合物を調製した。生じた分散物を、溶媒が完全に蒸発するまで、室温で一晩攪拌した。溶媒の除去により得られた粉末を適切な篩(メッシュ#60)に通過させた。
【0156】
1.2mgのテストステロンをエタノールと水の9:1(v/v)混合物30mlに溶解し、次に1.08mgのDSPCと0.12mgのコレステロール(すなわち、DSPC対コレステロールの比率9:1(W/W))を添加して、PLF−7と呼ぶ第2の基剤調合物を調製した。生じた分散物を、溶媒が完全に蒸発するまで、室温で一晩攪拌した。溶媒の除去により得られた粉末を適切な篩(メッシュ#60)に通過させた。
【0157】
表8に報告されたAvicel(登録商標)PH101又は102、Explotab(登録商標)、ステアリン酸Mg、Pearlitol(登録商標)200 SDの各量を外から添加して、PLF−6とPLF−7をさらに、それぞれPLF−6調合物(a〜c)とPLF−7調合物(d〜e)に調製した。
【0158】
PLF−6(a〜c)とPLF−7(d〜e)を圧縮して、環状の両凸の650mgの錠剤に調製した。直接圧縮により錠剤を調製するために、10ステーション回転圧縮機(Riddhi Pharma machinery Ltd., Ahmedabad, India)を使用した。Avicel(登録商標)PH102を、直接圧縮用の賦形剤として使用した。錠剤分散を上昇させ従って溶解を上昇させることを目的として、マンニトール(Pearlitol(登録商標)SD 200)を使用した。錠剤の溶解プロフィールを、カプセル調合物の溶解プロフィールと比較した。
【0159】
PLF−6(a〜c)とPLF−7(d)のインビトロ溶解を、タイプII装置を50rpmで使用して900mlのPBS(pH6.80)中で行った。しかし、PLF−7(e)の溶解は75rpmで行った。
図13に報告された時間間隔で試料を採取し、調合物からのテストステロンの放出を分析した。分析は、比較例2に記載されたHPLCアッセイ法により行った。
【0160】
Avicel(登録商標)PH101又はAvicel(登録商標)PH102のいずれかを含有する調合物の比較は、溶解について同様の結果を示した。一般に、攪拌速度の上昇は、より速い溶解速度を与えた。これらの試験はまた、20%のPearlitol(登録商標)(W/W)を含有する調合物が、10%のPearlitol(登録商標)を含有する調合物と比較して、改良された溶解を示すことを証明した。
【表8】
【0161】
実施例8:カプセル、錠剤、及び粉末の形態の調合物の溶解の比較
カプセル形のPLF−2と錠剤形のPLF−6の溶解を、互いに、及び未調合のテストステロン(T1−175)と比較した。PLF−2とPLF−6は、それぞれ実施例5と7に記載のように調製され、表9に報告されるように、賦形剤の外部添加によりさらに調製した。カプセル、錠剤の形態の調合物の溶解を、1%(w/w)SLSを有するPBS(pH6.80)中の純粋な薬剤の溶解と比較した。1%(w/w)の添加は、0.5時間以内に薬剤の完全な放出を示した。このインビトロ放出プロフィールは、
図14に示される。表9中の調合物a、b、cは、
図14の線a、b、cと相関した。
【表9】
【0162】
実施例9:Avicel(登録商標)PH102とExplotab(登録商標)崩壊剤とを含むテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物の溶解
表10に報告されるように、Avicel(登録商標)PH102とExplotab(登録商標)崩壊剤の外部添加により、カプセル調合物PLF−9(a〜e)(Explotab(登録商標)崩壊剤を含むか又は含まない、最少量のAvicel(登録商標)で調製された2つの調合物を含む)を調製した。本例に記載されたすべての調合物の組成は、表10に記載される。これらの調合物の溶解は、カプセルシンカーを有するタイプII装置を使用して、SLSを含有しないPBS(pH6.80)中で行った。これらの試験の目的は、Avicel(登録商標)対テストステロンの比率の上昇が、プロリポソーム型調合物からのテストステロン溶解性を上昇させるかどうかを調べることであった。
【0163】
表10に記載された調合物のインビトロ放出プロフィールは、
図15に示される。基剤調合物:Avicel(登録商標)の比率が1:1である調合物は、より大きなテストステロン放出と相関した。最小量のAvicel(登録商標)を含有する他の調合物は、調合物の分散が乏しいため、より小さいテストステロン放出を示した。PLF−9とPLF−2の組成は同じであったが、PLF−9のバッチサイズは、PLF−2の3gバッチサイズではなく、5gにした。
【表10】
【0164】
実施例10:HPMCサイズ「0」カプセル中に最小量のAvicel(登録商標)PH102とExplotab(登録商標)崩壊剤とを含むテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物の溶解
実施例2に記載されるようにPLF−2を作成するために使用されたものと同じプロトコールに従って調製されたPLF−10に、表11に報告されるように、Avicel(登録商標)PH102とExplotab(登録商標)崩壊剤を外部添加することにより、HPMCサイズ「0」カプセル調合物PLF−11(aとb)及びPLF−12(cとd)を調製した。これらの調合物はすべて、Explotab(登録商標)崩壊剤を含むか又は含まない最小量のAvicel(登録商標)を含有した。表11の調合物を、Vcaps(登録商標)Plusヒプロメロース(HPMC)カプセル(Capsugel Gelgium NV)に充填した。インビトロ溶解試験は、タイプII装置を75rpmで使用して行った。使用された溶解媒体は、a)1%(w/v)SLSを有するPBS;b)2%(w/v)SLSを有するPBS;c)0.5%(w/v)SLSを有するPBS;d)1%(w/v)SLSを有するPBS。1%(w/v)SLSと2%(w/v)SLSを含有する媒体は、2時間以内に、完全な薬剤放出を示した。調合物(a〜d)のインビトロ溶解プロフィールは
図16に示される。
【表11】
【0165】
実施例11:Avicel(登録商標)PH102とサイズ「0」カプセルとを含むテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物の溶解挙動
Vcaps(HPMC)サイズ「0」とVcaps(登録商標)Plus(HPMC)サイズ「0」カプセル(Capsugel Belgium NV)に充填された調合物の崩壊回数を調べるために、表12に提供示される調合物PLF−14(a)とPLF−15(b)を調製した。Vcaps(登録商標)対Vcaps Plus(登録商標)カプセル化調合物を比較するために、調合物PLF−14も調製した。各カプセルタイプを評価するために、サイズ「0」カプセルが使用された。Vcaps(登録商標)とVcaps Plus(登録商標)の比較試験を行うために、カプセルにAvicel(登録商標)のみを充填した。
【0166】
PLF−13の基剤テストステロン、DSPC、及びコレステロール成分、Avicel(登録商標)、及びExplotab(登録商標)を表12に報告された量で含有する調合物PLF−15を使用して、シンカーの存在下又は非存在下で、分散回数を比較した。シンカーは、カプセルが浮くのを防ぐのに使用される数回巻かれた白金線からできているバスケット様の装置である。カプセルはシンカーケージ内に閉じ込められず、調合物はより大きな表面積に曝露されるため、これらの試験は、シンカーが使用されない時、カプセルの分散がより完全であることを示した。表12を参照されたい。
【表12】
【0167】
実施例12:Avicel(登録商標)PH102、Prosolv(登録商標)SMCC90、DCP、及びExplotab(登録商標)崩壊剤を有するテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物の溶解
基剤調合物PLF−13をさらに調製して、崩壊剤とともに、種々の量の異なる希釈剤Avicel(登録商標)PH102、Prosolv(登録商標)SMCC90(Silicified Micro Crystalline Cellulose)、及び無水リン酸水素カルシウムの外部添加により、PLF−16(a)、PLF−17(b)、PLF−18(c)、PLF−19(d)、PLF−20(e)、PLF−21(f)、及びPLF(g)を作成した。これらの調合物は、表13に記載された成分を使用して調製された。PLF−13は、テストステロン、DSPC、及びコレステロールを1:0.9:1の比率で含有し、これは、1カプセル当たりそれぞれ60mg、54mg、及び6mgに相関した。
PLF−13は、PLF−2について実施例2で記載したように調製したが、PLF−13の調製は、10gのバッチサイズのスケールとした。表13の調合物を、Vcaps(登録商標)サイズ「0」HPMCカプセル(Capsugel Belgium NV)で充填した。インビトロ溶解は、タイプII装置を75rpmで使用して、0.5%SLSを有する1000mlのPBS(pH6.80)中で行った。これらの試験でシンカーは使用しなかった。より多量のAvicel(登録商標)PH102とDCPを含有する調合物は、より良好な放出プロフィールを示した(
図17)。
【表13】
【0168】
実施例13:Avicel(登録商標)PH102及びExplotab(登録商標)崩壊剤を有するテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物を含有する腸溶コーティングカプセルの溶解
実施例2のPLF−2の調製の記載に従って、プロリポソーム型調合物基剤を調製したが、バッチサイズは15gのスケールとした。表14に報告されているように賦形剤を外部添加し、Vcaps(登録商標)HPMCサイズ「0」HPMCカプセル(Capsulate Belgium NV)中に充填することにより、基剤PLF−2調合物をさらに調製して、PLF−25とした。表14にも記載されている調合物PLF−24は、テストステロンを含有しないプラセボ対照として機能した。PLF−24とPLF−25は、本発明のカプセルの遅延放出コーティング(例えば、腸溶コーティング)法を最適化するための試みの一部として調製された。
【0169】
PLF−24とPLF−25調合物をカプセルに充填した後、カプセルをEudragit(登録商標)L30D-55ポリマーベースの腸溶コーティング組成物でコーティングした。カプセルのコーティングは、ProCepT(登録商標)パンコーティング機(Zelzate, Belgium)とCaleva(登録商標)ミニコーターエアサスペンジョンコーティング機(Dorset, UK)を使用して行った。Eudragit(登録商標)L30D-55コーティング組成物は製造業者の説明書に従って使用し、コーティング法のパラメータは表15と16に要約される。テストステロン調合物のカプセルを、カプセルが10.16%の重量増加を示すまでコーティングした。プラセボ調合物を、カプセルが11.06%の重量増加を示すまで、コーティングした。コーティング実験のこれらの結果に基づいて、腸溶コーティングカプセルの重量増加割合を12%に固定すると、これは、酸性pHでの錠剤溶解に対する充分な耐性を与えた。スケールアップ調合物のために、Eudragit(登録商標)L100 55(これは粉末形態で入手できる)を遅延放出コーティング(例えば腸溶コーティング)のために使用した。
【0170】
インビトロ溶解のために使用された方法は、米国薬局方(USP)30、<711>腸溶コーティングカプセルのような遅延放出剤形の溶解のために0.5%(w/v)のSLSを加えることにより修飾された遅延放出剤形の溶解法(方法B)に記載された方法に基づく。この方法は、2段階の試験(酸性段階と緩衝液段階)を含む。酸性段階では、溶解は、1000mlの0.1N塩酸中で行われ、37℃±0.5℃で2時間維持された。2時間後、試料のアリコートを取り出して、緩衝液段階で使用した。緩衝液段階の試験では、すでに37℃±0.5℃に平衡化されているリン酸緩衝液が使用された。容器から酸を排出させ、01N塩酸と0.02Mリン酸ナトリウム(3:1)とを混合して調製し、必要であれば2N塩酸又は2N水酸化ナトリウムで調整して調製された1000mlのpH6.8リン酸緩衝液を、容器に加えた。装置を4時間運転し、試料のアリコートを規則的な時間間隔で取り出した。適切な分析法を使用して、試料を分析した。この修飾法を使用して、調合物PLF−24とPLF−25とを試験した。緩衝液段階で使用された溶解媒体は、0.5%(w/v)のSLSを有する1000mlのリン酸緩衝液(PBS)pH6.80であった。PLF−24とPLF−25は、酸性pH中で2時間無傷のままであった。活性調合物のカプセルは、0.5%(w/v)のSLSを有するPBS中で、2時間以内に完全な薬剤放出を示した(
図18)。
【0171】
溶解試料の分析のために、修飾され実証済みのHPLCアッセイ法を使用した。HPLC分析は、メタノール:水(60:40v/v)を含む移動相を使用して行った。分離は、C18:150×4.6mm(5μm)(Ace)カラムで行った。移動相の流速は1.2ml/分に設定し、カラム温度は25℃に維持した。総運転時間は15分であり、注入量は35μlであった。薬剤は、UV検出器を246nmの吸収極大を使用して検出した。テストステロンの保持時間は11.5分であった。この方法は、テストステロンと他のすべての賦形剤を分解することができた。各試料の運転時間を少なくして、迅速な分析を促進するために、流速は高く維持された。
【表14】
【表15】
【表16】
【0172】
実施例14:Avicel(登録商標)PH102、Prosolv(登録商標)SMCC90/SMCC HD 90、及びExplotab(登録商標)崩壊剤を有するテストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物を含有する腸溶コーティングカプセルの溶解
表17に報告されているように、PLF−23と2つの異なるグレードの微結晶セルロース(Prosolv(登録商標)HD90とProsolv(登録商標)SMCC90)との用手的混合を含む、賦形剤の外部添加により、基剤調合物PLF−23とPLF−28とをさらに調製して、それぞれPLF−26とPLF−27を作成した。PLF−23とPLF−28は、互いに、及びPLF−2(これは実施例2に記載されており、テストステロン、DSPC、及びコレステロールを1:0.9:1の比率で含む)と組成が同一である。PLF−23とPLF−28を調製するのに使用された方法もまた、PLF−2を調製するのに使用された方法と同じである。表17にも記載されているように、微結晶セルロースを除いて、賦形剤の外部添加により、PLF−28をさらに調製してPLF−29とした。
【0173】
PLF−26及びPLF−27をVcaps(登録商標)HPMCサイズ「00」カプセル(Capsulate Belgium NV)に充填し、実施例13に記載されたコーティング法に従って、遅延放出コーティングポリマーEudragit(登録商標)L30D-55でコーティングした。
【0174】
PLF−29もカプセルに充填したが、PLF−26及びPLF−27とは異なり、これは、Avicel(登録商標)PH102を含有し、非コーティングのままであった。溶解に対する硬化の影響を調べるために、PLF−29カプセルを、40℃で熱風オーブン中で2時間加熱することにより硬化させた。
【0175】
インビトロ溶解のために使用された方法は、米国薬局方(USP)30、<711>腸溶コーティングカプセルのような遅延放出剤形の溶解のために0.5%(w/v)のSLSを加えることにより修飾された遅延放出剤形の溶解法(方法B)に記載された方法に基づく。この方法は、2段階の試験(酸性段階と緩衝液段階)を含む。酸性段階では、溶解は、1000mlの0.1N塩酸中で行われ、37℃±0.5℃で2時間維持された。2時間後、試料のアリコートを取り出して、緩衝液段階で使用した。緩衝液段階の試験では、すでに37℃±0.5℃に平衡化されているリン酸緩衝液が使用された。容器から酸を排出させ、01N塩酸と0.02Mリン酸ナトリウム(3:1)とを混合して調製し、必要であれば2N塩酸又は2N水酸化ナトリウムで調整して調製された1000mlのpH6.8リン酸緩衝液を、容器に加えた。装置を4時間運転し、試料のアリコートを規則的な時間間隔で取り出した。適切な分析法を使用して、試料を分析した。緩衝液段階で使用された溶解媒体は、0.5%(w/v)のSLSを有する1000mlのリン酸緩衝液(PBS)pH6.80であった。採取した試料からのテストステロン放出は、UV分光光度計を246nmの波長で使用して測定した。
図19は、調合物(a〜c)のインビトロ溶解プロフィールを示す。
【表17】
【0176】
インビトロテストステロン溶解試験は、調合物PLF−28を使用して行った。これらの試験に使用された溶解媒体は、0.5%(w/v)SLSを有するPBS(pH6.80)であり、使用した溶解プロトコールは、上記した本実施例に記載されている。試料は4時間の溶解後採取し、NICOMP(Santa Barbara,CA)モデル370サブミクロン粒径アナライザーを使用する粒径分析のために使用した。これらの試料は、薬剤溶解割合について定量されていなかった。表18は、物理的混合物としての、及び溶解を受けた後のマトリックス形態の、調合物の粒径分析の結果を要約する。
【表18】
【0177】
実施例15:テストステロン経口送達システムの調製と評価
A.プロリポソーム型テストステロン調合物の調製と最適化
テストステロンとリン脂質(表19)とをエタノールに溶解し、窒素ガスを使用して溶媒を蒸発させた。乾燥粉末を#60メッシュスクリーンに通して、均一な粒径分布を作成した。この試験で使用されたリン脂質は、不活性成分ガイド(Inactive Ingredient Guide)(FDA)からのものである。
【表19】
【0178】
B.輸送試験
Caco−2細胞培養:Caco−2細胞の単層を、4μm孔径ポリカーボネートTranswell(登録商標)フィルター上で、以下の方法により調製した。Caco−2細胞をT−75フラスコ中で37℃で、5%CO
2と95%空気の雰囲気中で、必要な補助物質を有するダルベッコー改変イーグル培地(DMEM、pH7.2)を使用して増殖させた。培地は、90%コンフルエンスに達する前に、少なくとも1回交換した。細胞をハンクス液(Ca
+2,Mg
+2を含まないHBSS)で洗浄し、1mM EDTA中の0.25%トリプシンで37℃で5分間トリプシン処理をした。細胞を10mlのDMEMに再懸濁し、4μm孔径Transwell(登録商標)インサートに7.5×10細胞/mlの密度で接種した。フラスコに5mlのDMEMを加えて、細胞懸濁液対DMEMの1:1希釈を作成し、細胞を再接種した。Transwell(登録商標)インサート中の細胞を約5日間増殖させ、細胞の耐性を、耐性が100Ωより大きくなるまで、1日置きに測定した。
【0179】
C.インビトロ輸送試験
いったん細胞の耐性が100Ωより高くなったら、DMEMを注意深く吸引し、マイクロピペットを使用して、ドナーコンパートメント中で1.5mlのCa
+2,Mg
+2含有HBSS(これは、37℃水浴で加温されている)とレシーバーコンパートメント中の2.5mlで置換し、室温で30分間平衡化させた。次に、Ca
+2,Mg
+2含有HBSSをドナーコンパートメントから注意深く吸引し、前日調製されたCa
+2,Mg
+2含有HBSS(これは、37℃水浴に30分間入れておいた)に再懸濁されていた0.5mlの調合物で置換した。各調合物は3重測定で試験した。各ウェル(細胞が無傷のままであることを確認するために)について耐性を測定し、300μlの試料をレシーバーコンパートメントから取り除き、300μlの新鮮なCa
+2,Mg
+2含有HBSSを補った。5、15、30、45、60、90、120、150、180、210、240、270、330分に、試料を取り出した。輸送されたテストステロン量を、HPLCによる100μlの試料の分析により測定した。実験は、3重測定で行った。対照:1.未調合のテストステロン対照:2.テストステロンプロリポソーム型調合物。
【0180】
輸送試験結果:5時間後のCaco−2を通過するテストステロンの輸送を
図20に示す。対照(処理したテストステロン及び未処理のテストステロン)と比較して、すべての15個のプロリポソーム型調合物で、テストステロンの輸送が大きかった。この試験で評価された15個の調合物中で、DMPG及びDSPC:Chol(9:1)を用いて調製された調合物は、最大のテストステロン輸送を示した。5時間のサンプリング時間後、輸送は一定状態に達していなかった。これは、5時間を超えても、テストステロンの輸送のさらなる増強の可能性があることを示唆している。
【0181】
D.結論
DSPCへのコレステロールの添加は、腸管膜を通過するテストステロンの改良された輸送を促進する。膜を通過するテストステロンの改良された輸送は、驚くべき有益な結果である。
【0182】
実施例16:薬物動態試験
性腺機能低下症のヒト対象を含む臨床試験を行った。試験のために患者を募集する前に、医学検査を行った。試験は、施設動物倫理委員会(IACUC)により認可された臨床試験プロトコールを使用して、摂食及び絶食条件下で行った。試験の開始前に、すべての患者からインフォームドコンセントを得た。2つの異なる用量(120及び240mg)の薬剤を経口投与後の、テストステロンの薬物動態値を集めた。異なる治療条件下でのテストステロンとその主要な代謝物であるジヒドロテストステロン(DHT)の平均血漿濃度を、
図21、22に示す。食物の存在下では、テストステロンの吸収は遅れた。より高濃度のテストステロンの投与が、テストステロンの血漿濃度の直線的上昇を示すことはなかった。テストステロンのピーク血漿濃度(C
max)は、両群について、薬剤投与の5時間後(C
max)に見られた。
【0183】
実施例17:テストステロン/コレステロールDSPCプロリポソーム型調合物を含有する経口剤形
臨床試験のために、腸溶コーティングカプセルの形態の経口剤形をパイロットスケールで調製した。このカプセルは、カプセル1個当たり表20に示す成分を有する医薬組成物を含有した。
【0184】
表20に記載された成分を使用して、以下の方法により経口剤形を調製した。経口剤形を調製する方法は、表に示される各成分について、表20中に記載した範囲について適切であった。このプロセスは、清澄な溶液を得るためにテストステロンをアルコール中に溶解されることを含んだ。薬剤溶液にDSPCを添加後、コレステロールを添加して、分散物を生成した。溶媒を、ロータリーエバポレーターを使用して真空下で蒸発させて除去した。乾燥マスが得られたまで蒸留させた。次に、乾燥した塊を篩#60に通過させ、微結晶セルロース及びデンプングリコール酸ナトリウムと混合した。調合物を、半自動カプセル充填機を使用して、サイズ「00」カプセルに充填した。メタクリル酸コポリマーCを使用して、カプセルを腸溶コーティングした。
【表20】
【0185】
実施例18:性腺機能低下症を有するヒト対象中のテストステロンの薬物動態の臨床試験
性腺機能低下症を有する34人のヒト対象で臨床試験を行い、表21に示された成分の1カプセル当たりの量を含有し、実施例17に記載する方法に従って調製されたテストステロンの経口剤形による、15日間の治療期間にわたるテストステロンの薬物動態を評価した。300ng/dL以下の血清テストステロンを有する対象を、性腺機能低下症と見なした。試験に参加するためのすべての男性についての選定基準は、肥満度指数ボディマスインデックス(BMI)が39Kg/m
2未満で、年齢が19才以上で、体重要件が55Kg以上であった。すべての対象は、試験に参加する前に、試験の目的を理解し、インフォームドコンセント用紙に署名した。対象群を17名の2群に分け、それぞれ120mg又は240mg(すなわち、120mg用量を2回同時に与えた)の調合テストステロンを15日間、1日2回(すなわち、朝と晩)に投与した。丸1日経過後、及び投与処方の開始後15日目に、対象から1時間毎に血漿試料を採取した。
【表21】
【0186】
図23は、120mg及び240mgの1日2回の処方で、治療の1日目と15日目の経過にわたる対象からの、1時間当たりの混合血漿テストステロン濃度の別々の平均を示す。
図23が示すように、240mg用量の1日2回の投与は、120mgを1日2回の処方より、テストステロンの血漿濃度の直線的上昇を示すことはなかった。1日目に、120mgと240mg投与処方はそれぞれ、71%の対象で300ng/dLより高い平均1日血漿テストステロン濃度を達成した。15日目には、120mgと240mg投与処方は、それぞれ59%と31%の対象で300ng/dLより高い平均1日血漿テストステロン濃度を達成した。試験の1日目から15日目まで、120mgと240mg投与処方で投与された対象について、テストステロン曝露の低下があった。240mg処方に関連する低下は大きかった。
【0187】
テストステロンの平均ピーク血漿濃度(C
max)は、120mgと240mg投与のいずれかの投与後4時間目に到達し、この時点で、それぞれ500ng/dLと500ng/dL超であった。
図24及び25を参照されたい。
【0188】
実施例19:プロリポソーム型剤形の毒素と毒性動態の評価
この試験の目的は、表21に示された成分の1カプセル当たりの量を含有し、実施例17に記載する方法に従って調製されたテストステロンの経口剤形の毒性と毒性動態を評価することであった。これらの試験について、プラセボと3つの異なる用量の調合テストステロンをビーグル犬に、少なくとも90日間連続で1日1回投与した。さらに詳しくは、この試験の毒性試験部分で、16匹のオスのビーグル犬を4つの処理群に割り当てた。動物には、目標用量レベルの0、15、75、又は150mg/kg/日の調合テストステロンを、91日間連続で経口投与した。これらの用量レベルは、0、120mg、600mg、及び1200mgの剤形と同等であった。92日目に、動物を安楽死させ、完全な剖検を行った。プロトコールで特定された組織(精巣を含む)を採取し、Experimental Pathlogy Laboratories (EPL), Inc.に送った。すべての群からの組織を処理し、パラフィン包埋し、切片を作成し、ヘマトキシリンとエオシン(H&E)で染色した。得られたスライドを、光学顕微鏡による評価のために、Bret Saladino, DVM, Diplomate ACVP of Calvert Laboratorisに送った。
【0189】
精巣と精巣上体に対する外因性テストステロンの薬理学的作用に起因する唯一の病理所見。所見は、精巣中の低精子形成、多核生殖細胞/合胞体の増加、管腔精子形成細胞の増加、空胞形成/ライディッヒ細胞の萎縮、及び精巣における尿細管萎縮;及び精巣上体中の低精子症と管腔破片の増加であった。これらの所見は、75又は150mg/ml/日を投与された動物で顕著であった。
【0190】
一定の時間間隔で血液試料を採取し、1、57、及び91目に、これらの各日の24時間にわたって分析した。処理を開始する前にすべての動物から、及び29日目と92日目に試験動物から、頚静脈穿刺により、血液試料を採取した。それぞれ、
図26、27、及び28を参照されたい。
【0191】
本明細書に記載の実施例と態様は、例示であり、当業者に提案される修飾又は変更は本開示に含まれる。当業者には理解されるように、上記実施例に記載される特定の成分は、他の機能的に同等の成分で置き換えることができる。テストステロン投与量の増加とともに血漿テストステロンレベルが上昇したが、この上昇は比例的ではなかった。テストステロンレベルは、1日目と比較して57日目に上昇した。このレベルはすべての3つの投与量(120、600、及び1200mg)で上昇した。テストステロンレベルは、57日目と比較して、91日目に低下した。120mg投与量の場合、テストステロンレベルは1日目より低かった。