特許第6208846号(P6208846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特許6208846乗用車の構成部品へのバンパの保持構造、及び乗用車用照明ユニット
<>
  • 特許6208846-乗用車の構成部品へのバンパの保持構造、及び乗用車用照明ユニット 図000002
  • 特許6208846-乗用車の構成部品へのバンパの保持構造、及び乗用車用照明ユニット 図000003
  • 特許6208846-乗用車の構成部品へのバンパの保持構造、及び乗用車用照明ユニット 図000004
  • 特許6208846-乗用車の構成部品へのバンパの保持構造、及び乗用車用照明ユニット 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208846
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】乗用車の構成部品へのバンパの保持構造、及び乗用車用照明ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/24 20060101AFI20170925BHJP
   B60R 19/02 20060101ALI20170925BHJP
   B60R 19/48 20060101ALI20170925BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   B60R19/24 M
   B60R19/02 H
   B60R19/48 Q
   B60Q1/04 A
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-506804(P2016-506804)
(86)(22)【出願日】2014年4月7日
(65)【公表番号】特表2016-519629(P2016-519629A)
(43)【公表日】2016年7月7日
(86)【国際出願番号】EP2014000926
(87)【国際公開番号】WO2014166619
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2015年10月8日
(31)【優先権主張番号】102013006328.0
(32)【優先日】2013年4月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】バウアー,エーベルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター,アレクサンダー
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102011051686(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0190573(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/24
B60R 19/02
B60R 19/48
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのライニング要素(24)と、対応する支持要素(26)とを含むバンパ(10)を乗用車の構成要素(28)に保持する保持構造であって、前記ライニング要素(24)が前記支持要素(26)を介して前記構成要素(28)に保持され、
前記構成要素が、照明ユニット(12)のシーリング要素(28)として形成され
前記シーリング要素(28)が、少なくとも間接的に前記照明ユニット(12)のハウジング(18)に固定され、
前記シーリング要素(28)が、前記ハウジング(18)に固定された少なくとも1つの保持要素(42)を介して前記ハウジング(18)に固定される
ことを特徴とする保持構造。
【請求項2】
前記シーリング要素(28)が、前記支持要素(26)を少なくとも部分的に収容する少なくとも1つのレセプタクル(34)を備えることを特徴とする請求項に記載の保持構造。
【請求項3】
前記支持要素(26)が、少なくとも部分的に前記レセプタクル(34)内に配置された、車両の前後方向後方に突出する少なくとも1つのリブ(40)を備えることを特徴とする請求項に記載の保持構造。
【請求項4】
前記ライニング要素(24)の少なくとも一部が、車両の上下方向上方に前記照明ユニット(12)のプレート(22)の少なくとも一部(30)によって覆われることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の保持構造。
【請求項5】
前記シーリング要素(28)が、前記照明ユニット(12)の前記プレート(22)の車両の上下方向下方に配置されることを特徴とする請求項に記載の保持構造。
【請求項6】
前記シーリング要素(28)が、前記プレート(22)の少なくとも一部に対して車両の前後方向後方側に設置されることを特徴とする請求項に記載の保持構造。
【請求項7】
ハウジング(18)と、
前記ハウジング(18)に固定された少なくとも1つのプレート(22)と、
乗用車のバンパ(10)を保持するための少なくとも1つのレセプタクル(34)を有し、前記ハウジング(18)に保持された少なくとも1つのシーリング要素(28)と、を備え、
前記シーリング要素(28)が、前記ハウジング(18)に固定された少なくとも1つの保持要素(42)を介して前記ハウジング(18)に固定されることを特徴とする乗用車用照明ユニット(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載の乗用車の構成部品へのバンパの保持構造、及び乗用車用照明ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
このような保持構造は量産車両から十分に周知である。バンパは少なくとも1つのライニング要素(バンパライニング)と、通常はベース支持体とも呼ばれ、ライニング要素を介して乗用車に保持される、対応する支持要素とを含んでいる。
【0003】
組み立て状態で、バンパには例えば照明ユニットなどの別の取り付け部品が隣接している。その際、新型の乗用車の開発過程で、乗用車の魅力的なデザイン、及び特に有利な空力特性を実現するために、バンパと取り付け部品との接合寸法が縮小されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の課題は、特に小さく均一な接合寸法を実現できる、乗用車の構成部品へのバンパの保持構造、及び乗用車用照明ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有する保持構造、及び請求項の特徴を有する照明ユニットによって解決される。本発明の好適で非自明な発展形態を有する有利な実施形態は、その他の請求項に記載されている。
【0006】
特に小さく均一な接合寸法を実現するための保持構造を提供するために、本発明により、支持要素を介してバンパ又はバンパのライニング要素が保持される構成部品が、少なくとも間接的に自動車の照明ユニットに保持されたシーリング要素として形成される。これは、バンパが支持要素及びシーリング要素を介して、例えば車両の上下方向上方でバンパに隣接する照明ユニットに保持されることを意味する。それによって、接合寸法、すなわちバンパのライニング要素と照明ユニットとの間の間隔を特に小さく保ち、かつ所定の均一な寸法に調整することができる。それによって、乗用車の特に良好な空力特性と、外観が魅力的なデザインが得られる。更に、バンパを照明ユニットのシーリング要素に保持することで追加の構造的措置を講じなくてもよいので、部品点数、重量、及びコストを低減することができる。シーリング要素は、好適には、バンパと照明ユニットとの間の隙間を少なくとも部分的に密封する役割を果たす、いわゆるエアシールである。このシーリングにより、空気はバンパと照明ユニットとの間を通って流れないか、又は極めてわずかしか流れない。それによって、自動車の極めて有利な空力特性を実現することができる。更に有利なことは、特に例えばプラスチック製のライニング要素、及び/又はプラスチック製の支持要素の劣化プロセスでの、及び温度変動時の接合寸法、延いては隙間の形成を均一に保つことができることである。
【0007】
本発明の有利な実施形態では、シーリング要素は少なくとも間接的に照明ユニットのハウジングに保持される。その際、シーリング要素は好適には、ハウジングに取り付けられた照明ユニットのプレートを迂回してハウジングに固定される。それによって、バンパから、特に支持要素からシーリング要素に伝達される力又は負荷は、光透過プレートではなくプレートをバイパスし、プレートに比べてより安定且つ大幅に堅牢な照明ユニットのハウジング内に伝達される。それによって、例えば照明ユニットに対するバンパの相対移動によるプレートの損傷を回避することができる。特に、バンパが照明ユニットのプレートに擦り付けられることによる、プレートの特に目立つ傷の発生を回避することができる。その上、例えば温度変動及びそれに起因する熱応力だけでなく、劣化プロセスで生じるバンパから発する負荷がシーリング要素を経てプレートではなくハウジングに伝達されるため、プレートへの圧縮応力、及び/又は引っ張り応力を回避できる。
【0008】
例えばハウジングで部分的に境界付けされるレセプタクルスペースも、プレートによって少なくとも部分的に境界付けされ、このレセプタクルスペースには光ビームを発射する少なくとも1つの照明手段が収容される。照明ユニットの照明手段から発射される光ビームは、レセプタクルスペースからプレートを貫いて照明手段の周囲に透過することによって、例えば乗用車の前方走行方向に延びる走行路を照らすことができる。その際、プレートはこれを通過する光ビームを拡散させる拡散プレートとして形成可能であるため、光ビームの均一な分散、延いては走行路の均一な照明がなされる。
【0009】
本発明の有利な実施形態では、シーリング要素はハウジングに固定された保持要素、特に保持ブラケットの少なくとも1つを介してハウジングに固定される。それによって、例えばプラスチック製の、特にゴム製のシーリング要素のハウジングへの特にしっかりした固定を実現できるため、シーリング要素及び保持要素を介したバンパのハウジングへの特に確実な固定を実現できる。シーリング要素を特に確実にハウジングに保持するため、好ましくは保持要素は本質的に剛性であるように、例えばプラスチック又は金属材から形成されている。
【0010】
更に、シーリング要素が、支持要素を少なくとも部分的に収容する少なくとも1つのレセプタクルを備えていることが有利であると判明している。それによって、支持要素を簡単にレセプタクル内に配置、例えばレセプタクルに差し込むことができるので、シーリング要素への支持要素の簡単な取り付けが実現される。
【0011】
シーリング要素への支持要素の特に簡単な取り付けは、車両の前後方向に突出し、少なくとも部分的にレセプタクル内に配置される少なくとも1つのリブを支持要素が備えることによって実現される。シーリング要素に支持要素を取り付けるため、リブを車両の前後方向の例えば後方にレセプタクル内に簡単に差し込むことができる。これはベース支持体として機能する支持要素のシーリング要素への挿入とも呼ばれる。
【0012】
バンパと照明ユニットとの特に小さい間隔、延いては特に小さい接合寸法を実現するため、本発明の別の実施形態では、ライニング要素の少なくとも一部が、車両の上下方向上方で照明ユニットのプレートの少なくとも一部によって覆われる。
【0013】
別の実施形態は、シーリング要素が照明ユニットのプレートの車両の上下方向下方に配置されることを特徴とする。それによって、シーリング要素は照明ユニットとバンパとの間の隙間を極めて良好に密封することができる。その上、それによって車両の前後方向に延在する極めて大きい区間にわたるシーリング要素へのバンパの保持を実現可能である。
【0014】
最後に、シーリング要素がプレートの少なくとも一部に対して車両の前後方向後方側に設置されることが有利であることが判明している。照明ユニットとは、例えばヘッドライトであり、そのためシーリング要素はプレートに対して車両の前後方向後方側に設置される。この場合、シーリング要素は車両の前後方向外側に少なくとも部分的に、特に少なくとも主として支持要素及び/又はライニング要素によって覆われるため、シーリング要素は見えなくなる。その上、それによってバンパと照明ユニット、特にそのプレートとの間の間隔を極めて小さくすることができる。
【0015】
本発明は更に、ハウジングと、ハウジングに固定された少なくとも1つのプレートと、少なくとも間接的にハウジングに保持された少なくとも1つのシーリング要素とを有する乗用車用の照明ユニットに関する。この場合、シーリング要素は乗用車のバンパを保持するためのレセプタクルを備えている。本発明に係る保持構造の有利な実施形態は、本発明に係る照明ユニットの有利な実施形態であると見なされ、その逆も同様である。言い換えれば、本発明に係る照明ユニットは更に、バンパ、特にライニング要素を支持要素を介して保持するために、本発明に係る保持構造で使用することができる。したがって、照明ユニットによってバンパと照明ユニットとの間の極めて小さい間隔、すなわち極めて小さい接合寸法を実現できるため、乗用車の特に良好なデザイン、及び極めて良好な空力特性を実現できる。
【0016】
本発明の更なる利点、特徴、及び詳細は、図面を参照した好適な実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】乗用車のバンパの保持構造の概略部分正面斜視図であり、この保持構造では、少なくとも間接的に照明ユニットのハウジングに保持された、少なくとも1つの照明ユニットのシーリング要素を介して、バンパが照明ユニットに保持されている。
図2】車両の前後方向及び車両の上下方向に延びる断面に沿った概略部分斜視断面図である。
図3】照明ユニットの概略部分正面図である。
図4】バンパの概略部分背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、バンパ10、及び左ヘッドライト12の形態の照明ユニットが保持される乗用車の概略正面斜視図を示している。左ヘッドライト12に加えて記載されていることはそのまま乗用車の右ヘッドライトにも当てはめることができる。
【0019】
バンパ10から、例えば車両の横方向に延び、図1には見えていないフレキシブル・クロスメンバをカバーするためのライニング要素24が見える。図1から分かるように、ヘッドライト12はライニング要素24の少なくとも一部に対して、車両の上下方向上方に向かってバンパ10、及び特にライニング要素24と隣接している。図1には、ヘッドライト12とライニング要素24との間の接合部16も示されている。言い換えると、接合部16はヘッドライト12とライニング要素24とによって界接されている。
【0020】
図2から分かるように、ヘッドライト12は、少なくとも1つの照明手段用の少なくとも1つのレセプタクルスペース20を画成するハウジング18を含んでいる。車両の前後方向前方では、レセプタクルスペース20は図1にも示される光透過性プレート22によって界接されている。ハウジング18とプレート22とは、それぞれプラスチック製であり、互いに連結可能である。例えば、プレート22は少なくとも1つの嵌合連結によってハウジング18に固定される。
【0021】
図2から更に分かるように、バンパ10はライニング要素24と、ベース支持体26の形態の支持要素とを含んでいる。ライニング要素24とベース支持体26とはそれぞれプラスチック製であり、ライニング要素24はベース支持体26と連結され、ベース支持体26を介して乗用車の構成要素に保持されている。
【0022】
この構成要素はヘッドライト12に関連するシーリング要素28である。図2から特によくわかるように、シーリング要素28は車両の上下方向でプレート22の少なくとも一部の下方に配置され、車両の上下方向上方でプレート22の少なくとも一部によってカバーされている。その上、シーリング要素28は車両の前後方向後方に向かって、プレート22の少なくとも一部に対して後方側に設置されている。シーリング要素28は、シーリングリップ30を具備するいわゆるエアシールとして形成されている。シーリングリップ30はプレート22の内壁32に接しているため、隙間16は車両の横方向に延びる区間の少なくとも大部分にわたってシーリング要素28によって少なくとも実質的に封止される。このシーリングによって、乗用車の前進走行中に、空気はバンパ10とヘッドライト12との間を隙間16を通って流れることはなく、又は僅かしか流れないため、乗用車の特に有利な空力特性を実現できる。
【0023】
図3を参照して分かるように、シーリング要素28は車両の横方向に、すなわちシーリング要素28の長手方向に互いに離間した2つのレセプタクル34を備えており、これらはそれぞれの領域A及びBに配置されている。それぞれのレセプタクル34は、図2から分かるように、一方では、すなわち車両の上下方向上方でシーリングリップ30によって、他方では、すなわち車両の上下方向下方でシーリング要素28のリブ36によって少なくとも部分的に界接されている。シーリングリップ30とリブ36とは、レセプタクル34を車両の前後方向後方で界接しているウエブ38によって互いに連結されている。その際、シーリング要素28は一体に、かつ例えばゴムから製造されており、シーリングリップ30、リブ36及びウエブ38は互いに一体に形成されている。それぞれのレセプタクル34は車両の前後方向前方に開放されているため、ベース支持体26を特に簡単に車両の前後方向後方にそれぞれのレセプタクル34に差し込むことができる。
【0024】
図4を参照して分かるように、ベース支持体26はレセプタクル34にそれぞれ対応するリブ40を具備しており、これらのリブ40は乗用車に保持されたバンパ10の取り付け位置に対して車両の前後方向後方に突出している。それぞれのリブ40は、特に簡単にそれぞれの対応するレセプタクル34内に差し込むことができるため、バンパ10はシーリング要素28を介してヘッドライト12に保持される。
【0025】
バンパ10から発する力及び/又はモーメントによるプレート22への過度の負荷を避けるため、シーリング要素28は直接にはプレート22に保持されない。むしろシーリング要素28はプレート22を迂回して、金属材料から形成される保持ブラケット42の形態の少なくとも1つの固定要素によって、ヘッドライト12のハウジング18に固定される。したがって、バンパ10から発する力及び/又はモーメント、すなわち負荷はプレート22にではなく、シーリング要素28及び保持ブラケット42を経て、プレート22と比べて大幅に堅牢なハウジング18に導入される。それによって特に、バンパ10がプレート22を擦り、これを傷付けることを回避することができる。特にプレート22の圧縮及び/又は引っ張り応力を回避できる。それと同時に、ヘッドライト12とバンパ10との間の隙間16、延いては接合寸法を特に狭くすることができるため、乗用車の有利なデザイン、及び有利な空力特性が得られる。その上、ヘッドライト12、及びバンパ10の形態の両方の部品間の接合寸法を明確に設定することができる。部品の劣化プロセス中、及び熱負荷がかかる場合でも、乗用車のライフサイクルの間の接合寸法の変化を少なく保つことができる。更に、隙間16の被覆対策を省くことができ、それによって乗用車の重量及びコストの低減を保つことができる。
【0026】
図3から分かるように、好適には各々のレセプタクル34には、金属材料から形成される保持ブラケット42が割り当てられている。言い換えると、シーリング要素28をハウジング18に固定するために2つの保持ブラケット42が備えられ、これらはそれぞれ対応するレセプタクル34内に配置されている。それによって、バンパ10から発する負荷は、例えばプレート22を介してではなく、保持ブラケット42によってハウジング18に支持される。
図1
図2
図3
図4