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特許6208847浮き埠頭で天然ガスを液化するシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208847
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】浮き埠頭で天然ガスを液化するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/44 20060101AFI20170925BHJP
   B63B 27/34 20060101ALI20170925BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20170925BHJP
   B63B 21/00 20060101ALI20170925BHJP
   B63J 2/14 20060101ALI20170925BHJP
   F17C 6/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   B63B35/44 C
   B63B27/34
   B63B25/16 Z
   B63B21/00 A
   B63J2/14 A
   F17C6/00
【請求項の数】22
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-507577(P2016-507577)
(86)(22)【出願日】2014年4月4日
(65)【公表番号】特表2016-520468(P2016-520468A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】US2014033072
(87)【国際公開番号】WO2014168843
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2016年12月9日
(31)【優先権主張番号】61/811,713
(32)【優先日】2013年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/811,295
(32)【優先日】2013年4月12日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515278891
【氏名又は名称】エクセラレート・リケファクション・ソリューションズ・エルエルシイ
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】スコット,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ノートン,トーマス,エム
(72)【発明者】
【氏名】ワツァック,マイケル,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】マクギーチー,ケネス,ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】オルセン,ロバート,タイラー
(72)【発明者】
【氏名】フルスカ,マーティン,エイ
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−513757(JP,A)
【文献】 特開2012−177419(JP,A)
【文献】 特表2008−523238(JP,A)
【文献】 特表2010−502517(JP,A)
【文献】 特表2010−523921(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0098275(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/44
B63B 21/00
B63B 25/16
B63B 27/34
B63J 2/14
F17C 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮き埠頭で天然ガスを液化するシステムであって、
ドックに近接した陸上に位置する天然ガス前処理設備であって、前記陸上の天然ガス前処理設備はパイプライン品質のガスを前処理済み天然ガスに処理する天然ガス前処理設備と、
前記ドックに係留される浮き液化ユニットであって、前記浮き液化ユニットは、甲板上の天然ガス液化モジュールと、前記甲板の下に生産したLNGを貯蔵するLNG貯蔵タンクとをさらに備える浮き液化ユニットと、
前記陸上での前処理設備を前記ドックに結合するパイプラインであって、前記パイプラインは前処理済み天然ガスを前記ドックに輸送するパイプラインと、
前記パイプラインを前記浮き液化ユニットに流体連結する高圧ガスアームであって、前記ガスアームは前処理済み天然ガスを前記浮き液化ユニットに輸送するパイプラインとを備え、
前記陸上での前処理設備は、前記浮き液化ユニットに搭載された機器を冷却するように構成される閉ループ冷却システムを更に備える、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記前処理済み天然ガスは、LNGに近い品質であり、前記浮き液化ユニットは、内蔵する最終ガス処理ユニットをさらに備え、前記最終ガス処理ユニットは、液化前に、前記LNGに近い品質の天然ガスをLNG品質にするように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記浮き液化ユニットに搭載された前記LNG貯蔵タンクから、LNGを受け入れるように構成されるLNG運搬船をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記LNG運搬船は再ガス化船である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ドックはシーアイランドであり、前記パイプラインは少なくとも部分的に水面以下に延在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
パイプライン品質の天然ガスを前記陸上での前処理設備まで輸送するように構成されるガス導管をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ガス導管は沖合のガス貯留地に結合される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ガス導管は陸上のガス貯留地に結合される、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記浮き液化ユニット上に配置される分別システムをさらに備え、関連する復水貯蔵は前記陸上での前処理設備上に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記陸上の天然ガス前処理設備は、前記浮き液化ユニットに搭載された天然ガスから除されたコンデンセートのための貯蔵を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
浮き埠頭で天然ガスを液化するシステムであって、
ドックに近接した陸上に位置する天然ガス前処理設備であって、前記陸上の天然ガス前処理設備はパイプライン品質のガスを前処理済み天然ガスに処理する天然ガス前処理設備と、
前記ドックに係留される浮き液化ユニットであって、前記浮き液化ユニットは、甲板上の天然ガス液化モジュールと、前記甲板の下に生産したLNGを貯蔵するLNG貯蔵タンクとをさらに備える浮き液化ユニットと、
前記陸上での前処理設備を前記ドックに結合するパイプラインであって、前記パイプラインは前処理済み天然ガスを前記ドックに輸送するパイプラインと、
前記パイプラインを前記浮き液化ユニットに流体連結する高圧ガスアームであって、前記ガスアームは前処理済み天然ガスを前記浮き液化ユニットに輸送するパイプラインと、 前記陸上での前処理設備は、前記浮き液化ユニットに搭載された機器を冷却する閉ループ冷却システムと、
前記ドックに近接して配置され、前記浮き液化ユニットに搭載された天然ガスから除去されたコンデンセートを貯蔵するように構成される陸上貯蔵設備を備える、システム。
【請求項12】
前記陸上での前処理設備は、前記浮き液化ユニットに搭載された機器を冷却するように構成される閉ループ冷却システムをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記閉ループ冷却システムは、陸上の冷却水熱交換器と、前記浮き液化ユニットの前記船尾と船首を可撓性接続することをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
浮き埠頭で天然ガスを液化する方法であって、
ドックに近接する陸上の前処理設備で船上での液化のために天然ガスを前処理することと、
前記前処理済み天然ガスをパイプラインで前記陸上の前処理設備からドックに係留される浮き液化ユニットまで輸送することと、
前記浮き液化ユニットに搭載された前記天然ガスを液化してLNGを形成することと、
前記LNGを前記浮き液化ユニット上に貯蔵することと、
前記LNGを前記浮き液化ユニットから受け入れLNG運搬船に輸送し、使用地まで輸送することと、
コンデンセートを、前記浮き液化ユニットに搭載された前記天然ガスから除去し、その後前記コンデンセートを貯蔵するために、前記ドックに近接して配置される陸上貯蔵設備に輸送するステップをさらに備える、方法。
【請求項15】
毎年約500万トンの天然ガスが前記浮き液化ユニット上で液化される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記LNGは、並列に船から船へLNGを輸送することを用いて、前記浮き液化ユニットから受け入れLNG運搬船に輸送される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
陸上に配置されるデッドマンアンカーにラインを係留して、前記浮き液化ユニットは前記ドックに係留される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記浮き液化ユニットの建設を造船所で完了し、前記完全に建設したユニットを前記造船所から前記ドックまで輸送するステップをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記ドックはシーアイランドである、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記天然ガスは前記浮き液化ユニットに輸送され、前記浮き液化ユニットは、少なくとも部分的に水面以下であり、少なくとも部分的に前記シーアイランドの上にある、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記浮き液化ユニットに搭載された液化機械ドライバを、陸上冷却水熱交換器を用いて冷却するステップをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記浮き液化ユニットに搭載された冷却液化システムを陸上の水を用いて冷却するステップをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載する本発明の実施形態は、天然ガスの液化の分野に関する。より具体的には、非限定的に、本発明の1または複数の実施形態は、浮いている設備上の埠頭で天然ガスを液化するシステムおよび方法を記載する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスは一般に、パイプラインによって生産地から消費地まで輸送される。ただし、大量の天然ガスは、生産が需要を大幅に上回る地域または国で生産されることもあり、商業的な需要がある場所まで、パイプラインでガスを輸送することは実現可能ではないこともある。たとえば、生産地と需要のある場所が海または熱帯雨林によって隔てられていることがあるためである。天然ガスを商業的な需要がある場所まで効率的に輸送する方法がなければ、ガスを現金化する機会が失われることもある。
【0003】
天然ガスの液化によって、天然ガスの貯蔵および輸送が容易になる。液化天然ガス(「LNG」)の体積は、気体状態の同量の天然ガスのわずか1/600を占めるにすぎない。LNGは、天然ガスを沸点(大気圧で〜259°F)まで冷却することによって製造される。LNGは大気圧よりわずかに高い低温容器で貯蔵されてもよい。LNGの温度を上げることによって、気体に戻ることができる。
【0004】
天然ガスに対する需要によって、特別な船舶によるLNGの輸送が促進されてきた。天然ガスは豊富な場所で算出され、液化され、最も必要とされている場所に海上輸送されることもある。一般に、天然ガスは1または複数のパイプラインを通じて陸上の液化設備に収集される。陸上の液化設備および関連する収集パイプラインは費用がかかり、陸上の大きな面積を占め、許可を得て建設するのに数年かかることもある。このように、陸上の設備は最適には、様々な天然ガスの供給地に適応するように適しておらず、または小規模または孤立したガス貯留量を液化するようには適していない。さらに、天然ガスを陸上設備で液化すると、LNGを大型の陸上の低温貯蔵タンクで貯蔵しなければならず、特別な低温パイプラインを通じてターミナル設備まで輸送しなければならない。さらに、低温区画を備える船舶にLNGガスを搭載しなければならない(このような船はLNG運搬船または「LNGC」と呼ばれる)。これらが組み合わさって、ガスを最終目的地まで輸送する全体的な費用が増加することもある。
【0005】
一部の例では、天然ガスの埋蔵は、最も近い陸地まで100マイル以上離れた場所など、公海に位置する海底ガス田で発見されることもある。このような状況では、天然ガスを大型の沖合の浮きプラットフォーム上で液化することが提案されてきた。浮きプラットフォームは、海底に係留されたタレットまたはスプレッドであり、公海の水面よりかなり上に位置する。これらの浮いている液化船は、ガス処理およびLNG生産設備を完全に一体化し内蔵しなければならないため、大型であり、一般に、船首から船尾まで約450または500メートルである。すべてのガス処理、液化機器、冷却システム、コンデンセート貯蔵および廃棄物貯蔵を船上に含めなければならない。設備の大きさ、公海での操作が困難であること、およびガスを抽出して、沖合のプラットフォーム船に輸送し、その後液化して輸送するために広大な海中構造基盤が必要なことから、このような構成は費用がかかる。したがって、この沖合にある、完全に一体化した手法は、陸上の近く、または陸上貯留地に位置する小規模または孤立した天然ガス貯留地で使用するには現実的ではなく、経済的ではないことも多い。
【0006】
天然ガスを液化する従来の技術は、沖合に位置する小規模または孤立した天然ガス貯留地、陸上近くの天然ガス貯留地、または陸上の天然ガス貯留地にはあまり適さない。これらは費用効率が悪く、市場価値が低いためである。したがって、浮き埠頭で天然ガスを液化するシステムおよび方法が必要となる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の1または複数の実施形態は、浮き埠頭で天然ガスを液化するシステムおよび方法を記載する。例示実施形態による浮き埠頭で天然ガスを液化するシステムは、ドックに近い陸上に位置する天然ガス前処理設備と、ドックに係留される浮き液化ユニットと、陸上での前処理設備とドックとを結合すパイプラインと、パイプラインと浮き液化ユニットを流体連結する高圧ガスアームとを備える。陸上の天然ガス前処理設備はパイプライン品質のガスを前処理済み天然ガスに処理するように構成される。浮き液化ユニットは、甲板上の天然ガス液化モジュールと、生産したLNGを甲板の下に貯蔵するLNG貯蔵タンクとをさらに備える。パイプラインは、前処理済み天然ガスをドックに輸送するように構成される。ガスアームは、前処理済み天然ガスを浮き液化ユニットに輸送するように構成される。一部の実施形態では、前処理済み天然ガスはLNGに近い品質である。浮き液化ユニットはさらに、液化前にLNGに近い品質の天然ガスをLNG品質にするための最終ガス処理ユニットを船上に備える。一部の実施形態では、陸上での前処理設備は、閉ループ冷却システムをさらに備える。搭載浮き液化ユニットの機器を冷却するように構成される。ある実施形態では、システムは、パイプライン品質の天然ガスを陸上での前処理設備まで輸送するように構成されるガス導管をさらに備える。一部の実施形態では、ガス導管は沖合のガス貯留地に結合される。一部の実施形態では、ガス導管は陸上のガス貯留地に結合される。
【0008】
例示実施形態の浮き埠頭で天然ガスを液化するシステムは、シーアイランドに係留される浮き液化ユニットと、甲板上の天然ガス液化モジュールと、生産したLNGを甲板の下に貯蔵するLNG貯蔵タンクと、シーアイランドに近い陸上に位置する天然ガス前処理設備、少なくとも部分的に海面下に延在し、前処理済み天然ガスを陸上の前処理設備からドックまで輸送するように構成されるパイプラインと、パイプライン品質の天然ガスを陸上での前処理設備まで送達するように構成される天然ガス導管とを備える。浮き液化ユニットは、天然ガス液化モジュールを甲板上にさらに備える。一部の実施形態では、パイプラインは少なくとも部分的にシーアイランド上にある。一部の実施形態では、低温ハードアームは浮き液化ユニットをLNG運搬船と結合し、LNGをLNG運搬船に輸送するように構成される。一部の実施形態では、シーアイランドは水深65フィート未満の水中に位置する。一部の実施形態では、陸上での前処理設備は、閉ループ冷却システムをさらに備える。浮き液化ユニットが搭載する機器を冷却するように構成される。
【0009】
例示実施形態による浮き埠頭での天然ガスの液化方法は、以下を備える。ドックに近接する陸上の前処理設備で船上での液化のために天然ガスを前処理することと、前処理済み天然ガスをパイプラインで陸上の前処理設備からドックに係留される浮き液化ユニットまで輸送することと、浮き液化ユニットに搭載された天然ガスを液化してLNGを形成することと、LNGを浮き液化ユニット上に貯蔵することと、LNGを浮き液化ユニットから受け入れLNG運搬船に輸送し、使用地まで輸送することを備える。一部の実施形態では、毎年約500万トンの天然ガスが浮き液化ユニットで液化される。一部の実施形態では、LNGは並列に船から船へLNGを輸送することを用いて、浮き液化ユニットから受け入れLNG運搬船に輸送される。一部の実施形態では、陸上に配置されるデッドマンアンカーにラインを係留して、浮き液化ユニットはドックに係留される。一部の実施形態では、方法は、浮き液化ユニットの建設を造船所で完了し、完全に建設したユニットを造船所からドックまで輸送するステップをさらに備える。一部の実施形態では、ドックはシーアイランドであり、天然ガスは浮き液化ユニットに輸送され、浮き液化ユニットは、少なくとも部分的に水面以下であり、少なくとも部分的にシーアイランドの上にある。一部の実施形態では、方法は、浮き液化ユニットに搭載された冷却液化システムを陸上の水を用いて冷却するステップをさらに備える。
【0010】
別の実施形態では、特定の実施形態の特徴をその他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。たとえば、1つの実施形態の特徴を任意のその他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。別の実施形態では、追加の特徴を本明細書に記載する特定の実施形態に追加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の例示実施形態の前述の態様およびその他の態様、特徴および利点は、以下の図と共に提示される以下のより具体的な説明から明らかである。
【0012】
図1A】例示実施形態の浮き液化ユニットの概略側面図を例示する。
図1B】例示実施形態の浮き液化ユニットの甲板の概略平面図を例示する。
図1C】例示実施形態の浮き液化ユニットの船体およびLNG貯蔵タンク構成の概略平面図を例示する。
図2A】例示実施形態の陸上での前処理および浮き埠頭での天然ガスの液化システムの概略を例示する。
図2B】例示実施形態の陸上での前処理および浮き埠頭での天然ガスの液化システムの概略を例示する。
図3】例示実施形態の陸上での前処理および浮き埠頭での天然ガスの液化の代表的な方法を例示するフローチャートである。
【0013】
本発明は様々な修正および代替の形状を取ることもでき、その特定の実施形態を図に一例として示し、本明細書に詳細に記載する。図の縮尺は正確ではないこともあることを理解されたい。ただし、図およびその詳細な説明は、開示する具体的な形状に本発明を限定するものではなく、反対に、添付請求項に規定する本発明の精神および範囲内にあるすべての修正、同等物および代替のすべてを網羅することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0014】
浮き埠頭で天然ガスを液化するシステムおよび方法をここで説明する。以下の代表的な説明では、本発明の実施形態をより完全に理解できるように、多数の特定の詳細を説明する。ただし、本発明は、明細書に記載される特定の詳細のすべての態様を組み込まずに実施されてもよいことは当業者には明らかであろう。別の事例では、本発明をあいまいにしないように、当業者には周知の特定の特徴、量、または寸法は詳細には記載していない。本発明の例は本明細書で説明されているが、読者は、請求項、および同等物の全範囲こそが、本発明の境界および範囲を画定することに留意すべきである。
【0015】
本明細書および添付請求項で用いるように、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈からはっきりとそうでないように指示されない限り、複数の対象を含む。このため、たとえば、液化モジュールに対する言及は、1または複数の液化モジュールを含む。
【0016】
「結合される」とは、1または複数の対象または構成部品との間の直接接続または間接接続(たとえば、少なくとも1つの仲介接続)を指す。「直接取り付けられる」という語句は、対象または構成部品間の直接接続を意味する。
【0017】
本明細書および添付請求項で用いられるように、「または」は、「および/または」を意味するように用いられる。ただし、明らかに代替のみを指すか、または代替が相互に限定的な場合を除く。
【0018】
本明細書および添付請求項で用いられるように、「高圧」は、パイプライン圧力のガスの圧力を意味する。このように、たとえば、液化するために浮き液化ユニットに輸送される天然ガスに関しては、「高圧」は約50〜100バールを意味する。
【0019】
「ドック」は、船(浮きユニット)を係留することができ、海、湖、川または他の航海可能な水域に延在する構造物を指す。本明細書で用いるように、「ドック」は、海、湖または川床(河川敷)に静的接続を有する係留構造物に固定される。「ドック」は、水面上にあり、陸上に沿って延在し、または陸上から外に延在するプラットフォームを含んでいてもよい。または「ドック」は、プラットフォームを備え、水面上で陸上と接続していない「シーアイランド」であってもよい。本明細書で用いる「ドック」は、タレット係留またはスプレッド係留設備などの固定されていない係留構造物を含まない。
【0020】
本明細書で用いるように、「シーアイランド」は、プラットフォームを水面に備える種類のドックを指す。このドックは水面では陸上に接続されていないが、海底(海中)の導管によって陸上に接続されてもよい。
【0021】
本明細書で用いるように、「前処理済みガス」は、LNGに近い品質、またはLNG品質である天然ガスを指す。「LNG品質」は液化される状態のガス、および/または冷凍除去されることが多い軽めの構成部品を有するガスを指す。本明細書で用いるように「パイプライン品質」は、天然ガスパイプラインで輸送するために前処理されているが、液化のためには前処理されていないガスを指す。ガスの「前処理」は、パイプライン品質の天然ガスをLNGに近い品質またはLNG品質にすることを指す。
【0022】
本発明の1または複数の実施形態によって、浮き埠頭で天然ガスを液化するシステムおよび方法が提供される。本発明は例示を目的として天然ガスに関して記載され、本明細書のいずれも、本発明を実施形態に限定することを意図するものではない。本発明は、たとえば石油ガスなどの液体として輸送されてもよい別の炭化水素ガスにも等しく適用可能である。本発明は例示を目的として海に関して記載されるが、本明細書のいずれも、本発明を実施形態に限定することを意図するものではない。本発明は、たとえば川または湖などの別の航海可能な水域にも等しく適用可能である。
【0023】
本明細書で開示する本発明は、浮き埠頭で天然ガスを液化するシステムおよび方法を含む。例示実施形態によって、天然ガス処理、処置および液化システムを陸上と沖合の設備間で効率的に分岐可能であり、小規模または孤立したガス貯留地にアクセスする経済的な実現可能性を改善する。浮き液化および貯蔵ユニットはドックに係留されてもよい。また、浮き液化および貯蔵ユニットは、天然ガス液化モジュールを甲板上に、LNG貯蔵タンクを甲板の下に、たとえば船体内に含んでいてもよい。天然ガス前処理設備は、ドック近辺の陸上に配置されてもよい。このような実施形態では、天然ガスは、陸上での前処理設備で液化するために前処理済みであってもよく、そのあとに、パイプラインによって液化するために浮き液化ユニットまで輸送されてもよい。陸上での前処理設備を浮き液化ユニットと共に用いることで、さらに小型な浮き液化ユニットが可能となり、および/または、追加の液化モジュールを甲板上に収容することが可能となってもよい。これらは他の方法では可能ではない。これによって、例示実施形態のシビルフットプリントを最小限にしながら、ユニットの液化能力が増大する。代替実施形態では、たとえば陸上での前処理が可能でもなく、望ましくもない場合に、天然ガスは搭載する浮き液化ユニットで液化するために前処理済みであってもよい。
【0024】
例示実施形態は、効率的な解決法を従来の液化手法と比べて最小限のコストで提供する。従来の液化手法とは、陸上での液化または分岐していない、完全に統合された内蔵型の沖合でのガス処理およびLNG生産設備などであり、タレット係留またはスプレッド係留システムを用いるものである。例示実施形態は、顕著にシビルフットプリントを低減し、および/または液化設備の固定構造基盤の必要性を従来の液化手法に比べて最小化する。代表的な浮き液化ユニットの例示実施形態は、制御された造船所の環境において、すべての液化トレインの設置を含んで構築されてもよい。したがって、従来の液化設備よりも、市場に迅速かつ効率的に導入することができ、厳しい日程においてさらに高品質なLNGを提供できる。浮き液化ユニットを造船所で建設することによって、特別な建設労働力プールが提供され、建設素材が一か所の便利かつ制御された場所に配置される。本明細書に記載するシステムおよび方法は、天然ガスを液化するために、従来のLNG生産設備よりも費用効率が高く、迅速であり、かつより効率的なオプションを提供する。一部の実施形態では、本発明のシステムおよび方法は、ガスの性質および所在地によっては、従来のLNG生産設備に比べて何分の1かの費用で、最終的な投資決定から、(毎年500万トンものLNGを生産可能なユニットで)わずか約44か月でLNGを生成することができる。
【0025】
例示実施形態は閉ループ冷却システムを実装し、冷却のために海水を用いる完全に一体化した、沖合の液化手法と比較して。環境に対する影響を削減する。従来の沖合にある完全に一体化した液化設備は、関連する機器を冷却するために、毎時間100万リットルもの海水をくみ上げることもある。その後、温かい水が海に排出される。これによって、沖合の液化設備周囲の水温が上昇し、周囲の生物(海洋生物)に対して、環境的に悪影響を与えることもある。
【0026】
図1A〜1Cは、例示実施形態のシステムで用いるための代表的な浮き液化ユニットを例示する。一部の実施形態では、浮き液化ユニット100は浮き液化貯蔵庫およびオフローディングユニットであってもよい。一部の実施形態では、浮き液化ユニット100は自己推進能力がないこともあり、別の実施形態では自己推進が含まれていてもよい。
【0027】
浮き液化ユニット100は、液化モジュール110を含む液化トレインを含んでいてもよい。液化モジュール110の例は、アメリカ合衆国カンザス州オーバーランド・パークのブラック・アンド・ビーツ、アメリカ合衆国ペンシルベニア州アレンタウンのエアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ、またはオランダハーグ市のCB&Iルーマスから提供される液化システムを含むが、これらに限定されない。好ましくは、液化モジュール110は少ない数の機器、小さく、さらに少ないフットプリントを有するように選択される。また、液化モジュール110は、陸上または完全に統合された沖合の液化モジュールよりも操作が簡単である。液化モジュール110は、広範囲のガスの品質仕様に対応してもよい。液化モジュール110は、甲板115上に配置されてもよく、または浮き液化ユニット100に搭載された別の場所に配置されてもよい。浮き液化ユニット100は、1、2、3、4またはそれ以上の液化トレイン110を含んでいてもよい。図1A、1Bに示すように、浮き液化ユニット100は、4つの液化モジュール110を含んでいてもよく、それぞれが毎年約100万トンの(MTPA)処理能力を有する。一部の実施形態では、液化モジュール110の数を4以下に限定し、および/またはガス前処理設備を陸上に配置することによって、機器の数を減らし、小規模で、さらに小型の浮き液化ユニット100を提供する。この浮き液化ユニット100は、建設、操作が容易であり、望ましい天然ガス貯留地の近辺にさらに容易に配置される。
【0028】
浮き液化ユニット100はまた、低温LNG貯蔵タンク120を含んでいてもよい。LNG貯蔵タンク120は、膜、自立型柱状または自立型球状の種類のカーゴタンクであってもよい。一部の実施形態では、浮き液化ユニット貯蔵タンク用のLNG含有システムは、2列/10個のタンク構成を用いる膜設計であってもよく、スロッシングを最小化し、搭載する液化トレインを支持するためのミッドスパンの甲板を提供する。図1Cに示すように、10個の膜LNG貯蔵タンク120は、並列構成において用いられてもよい。一部の実施形態では、浮き液化ユニット100は、約173、000m3から約250、000m3までのLNGおよび必要がある場合は約35、000m3コンデンセートを貯蔵可能であってもよい。
【0029】
浮き液化ユニット100はまた、LNG貯蔵タンク120からLNGが自然にボイルオフすることに対処するためのボイルオフガスシステム140を含んでいてもよい。一部の実施形態では、ボイルオフガスを、浮き液化ユニット100に搭載する液化モジュール110、発電システム150および/または推進システム(不図示)の燃料として用いてもよい。浮き液化ユニット100はまた、重質炭化水素を除去するための船上分別システム135と、冷媒追加システム145と、検査および/または保守管理のためにガスを抜く操作の一部として、不活性ガスおよび/または乾燥空気をLNG貯蔵タンク120に提供するための不活性ガス/乾燥空気システムと、LNG配管をパージするための窒素システムと、制御室125と、ホース325などのLNGアンローディングアームと(図2Aおよび2Bに図示)、ガスアーム330などの高圧ガスローディングアームと(図2Aおよび2Bに図示)、設備労働者用宿泊所と、固定クレーン130と、発電システム150および/または当業者に周知のその他の機器とを含んでいてもよい。一部の実施形態では、前述の要素のうち1、複数、またはすべての要素を陸上での前処理設備280に配置してもよい(図2Aおよび図2Bに図示)。
【0030】
ガス処理区域290、炭化水素貯蔵区域285、排水処置区域295、冷却水熱交換器310、天然ガス受け入れ区域305および/または水貯蔵タンク315は、図2Aおよび2Bに例示するように陸上に配置されてもよい。これらの設備を船上の浮き液化ユニット100ではなく、陸上に配置することによって、船上の浮き液化ユニット100に配置される機器の密度および大きさを低減することができ、浮き液化ユニット100を軽量化、小型化することができ、および/または液化能力を、たとえば前処理設備が船上ユニットである場合よりも、25%高めることができる。機器を陸上に配置することによって、また、保護するために機器の周りに鋼鉄製の構造物を建設する必要性が低減する。冷却水熱交換器310は、冷却が必要な液化機械ドライバおよび/または浮き液化ユニット船上のその他の機器を冷却するための閉ループ冷却システムを備えていてもよい。陸上冷却水熱交換器310は、浮き液化ユニット100の船尾および/または船首への可撓性接続を含んでいてもよい。陸上冷却水熱交換器310は、周囲の海水を冷却に用いず、海水温が冷却操作中に上昇しないため、設備の周囲に対する影響を低減する閉ループ、可撓性冷却システムを用いてもよい。たとえば完全に一体化した沖合の液化設備で用いるように周囲の海水ではなく、陸上からの水を用いてもよい。代替の実施形態では、陸上での前処理設備280の1、複数またはすべての要素は、浮き液化ユニット100船上に配置されてもよい。
【0031】
図2A図2Bは、浮き埠頭で天然ガスを液化するシステムの例示実施形態の概略を示す。一部の実施形態では、ドック200は、海岸線210から延在してもよく、海岸線210に沿って延在してもよく、海岸線210に取り付けられてもよく、および/または海岸線210に近接していてもよい。一部の実施形態では、ドック200は、海岸線210周囲から航海可能な水域に延在する任意の構造物であってもよい。一部の実施形態では、ドック200は水面上で海岸線210に取り付けられなくてもよく、図2Bで例示するようにパイプライン270などの海中ガスパイプラインで陸上と接続する沖合のシーアイランドに取り付けられてもよい。ある実施形態では、ドック200は、気象条件および海洋条件(「海象」)および地質条件によって、水深65フィートまでの沖合のシーアイランドであってもよい。ドック200は、また、海岸線210にパイプライン270によって接続され、パイプライン270は、全体的にまたは部分的に海岸線210、ドック200および/または海床上に配置されてもよい。
【0032】
一部の実施形態では、ガス導管320、たとえばガスパイプラインは、沖合のガス貯留地および/または陸上のガス貯留地から陸上での前処理設備280まで延在してもよい。陸上での前処理設備280は、ドック200に近接していてもよく、および/またはドック200にパイプラインで接続可能な陸上の場所であってもよい。ガス導管320に注入される前に、生産したガスはまず、処置設備で処理され、生産したガスをパイプライン品質にする。ガス導管320は、1または複数のパイプライン、パイプラインのシステムおよび/またはパイプライン品質天然のガスを陸上での前処理設備280に運ぶためにヘッダーパイプラインに接続可能な陸上の場所であって、収集したガスを液化のために前処理する。陸上での前処理設備280は、パイプライン品質の天然ガスを圧縮および/または処理してもよく、それによって、LNGに近い品質にしてもよい。前処理済みガスは次に、パイプライン270によって、最終ガス処理および/または液化のために浮き液化ユニット100まで輸送されてもよい。一部の実施形態では、最終ガス処理によって、LNGに近い品質、前処理済みガスをLNG品質にすることが、船上の浮き液化ユニット100で行われてもよい。一部の実施形態では、天然ガスは、陸上での前処理設備280でLNG品質にされてもよい。LNG品質の天然ガスは、液化の準備ができている天然ガスであってもよく、および/または冷凍除去されることが多い軽質の成分を有していてもよい。
【0033】
パイプライン270は、海床に沿って延在してもよく、図2Bに示すように、ドック200のシーアイランドの実施形態上に延在してもよい。一部の実施形態では、パイプライン270は、図2Aに示すように、陸上でドック200に沿って延在してもよい。パイプライン270の位置は、ドック200に対する陸上での前処理設備280の位置によって決まってもよい。別の実施形態では、ガス前処理は船上の浮き液化ユニット100で行われ、パイプライン品質のガスが貯留地から液化ユニット100に前処理および液化のために直接輸送されてもよい。ガス導管320および/またはパイプライン270を用いて、ガスを陸上での前処理設備280に輸送されてもよい。および/または浮き液化ユニット100によって、たとえば水中のタレットローディングシステムなどの海中ブイシステムの必要性が除外され、高価で建設が難しいおよび海中構造基盤の必要性が低減する
【0034】
ドック200は、クレーン車が、浮き液化ユニット100に出入りするための入口および出口を備え、クレーン車がアクセスできる道路を含んでいてもよい。一部の実施形態では、水路は前もって掘り出されていてもよい。それによって、浮き液化ユニット100を大洋航路235(図2Aに図示)を経て送達し、浮き液化ユニット100のためのバース240(図2Aに図示)を製造し、さらに、浮き液化ユニット100からLNGを受け取ってもよい、伝統的なLNG運搬船250のためのバースおよび船回し場245(図2Aに図示)を製造するように適応される。一部の実施形態では、バース240はコンクリートの土台であってもよい。
【0035】
浮き液化ユニット100は、ドック200および/または海岸線210に係留されてもよい。一部の実施形態では、浮き液化ユニット100は、デッドマンアンカー230に取り付けられた係留ライン220を利用して、海岸線210および/またはドック200に係留されてもよい。それによって、浮き液化ユニット100は、嵐、ハリケーンおよび高波などの厳しい天候事象であっても、ドック200に留まることができる。浮き液化ユニット100は、接地アンカーを実装する2段係留システムを用いて、17フィートの潮の上昇など100年に1度の規模の嵐にも耐えてもよい。一部の実施形態では、適切かつ十分な係留ライン200は、デッドマンアンカー230に接続されてもよい。係留ラインの構成および数は、ラインの強さ、種類および/または直径によって左右されてもよい。フェンダ260は、浮き液化ユニット100の運動エネルギを吸収する支援をし、ドック200に係留されている間に、浮き液化ユニット100が損傷を受けないようにする。
【0036】
高圧ガスアーム330は、天然ガスをドック200上のパイプライン270から受け入れてもよく、LNGに近い品質またはLNG品質のガスを浮き液化ユニット100まで輸送してもよい。代替の実施形態では、高圧ガスアームはパイプライン品質の天然ガスをドック200上のガス導管320から受け入れてもよく、パイプライン品質のガスを浮き液化ユニット100まで輸送してもよい。高圧ガスアームは、パイプライン270および/またはガス導管320から排出されることもある高圧性のガスに対処するように設計されてもよい。イリノイ州クインシーのエンジニアード・プロダクツ・グループ・オブ・ガードナー・デンバーのエムコ・ウィートン部門、またはフランスのFMCテクノロジーズは代表的な高圧ガスアームを提供する。高圧ガスアーム330は、天然ガスを浮き液化ユニット100に搭載された液化モジュール110、浮き液化ユニット100に搭載された分別システム135、または浮き液化ユニット100に搭載されたガス処理設備に直接送達してもよい。一部の実施形態では、高圧ガスアーム330は天然ガスをガス処理区域290に輸送する。複数の実施形態では、ガス処理区域290は、図2Aおよび2Bに例示するように陸上にあってもよく、または代替的に、浮き液化ユニット100に搭載されていてもよい。高圧ガスアーム330は、マリンハードローディングアームであってもよい。
【0037】
パイプライン270は、前処理済み天然ガスを浮き液化ユニット100に、陸上の前処理設備280から輸送してもよい。陸上の前処理設備280によって、浮き液化ユニット100は寸法をさらに小型化することができ、液化モジュール110の甲板115上の密度を低くし、および/または空間をさらに広く、たとえば約25%広くすることができる。図2Aおよび2Bに示すように、陸上の前処理設備280は、ガス受け入れ区域305、スパイキング設備(不図示)、排水処置区域295、ガス処理区域290、冷却水熱交換器310および陸上および浮き液化ユニット機器の両方に関連する機器、水貯蔵タンク315、事務所300および/または炭化水素コンデンセート貯蔵区域285を含んでいてもよい。陸上にあってもよい炭化水素コンデンセート貯蔵区域285は、陸上のコンデンセートを分別システム135から受け入れて貯蔵してもよく、分別システムは浮き液化ユニット100に内蔵されて配置されてもよい。
【0038】
図3は浮き埠頭で天然ガスを液化するための代表的な方法を例示するフローチャートである。ステップ400では、パイプライン品質の天然ガスは陸上の前処理設備280にガス導管320を通じて輸送されてもよい。前処理設備280は、ステップ405で、天然ガスを受け入れ区域305で受け入れてもよい。ステップ410において、天然ガスは陸上ガス処理区域290で前処理され、二酸化炭素、硫化水素、水、水銀および/またはその他の不純物が除去される。また、ステップ410では、ガスは脱水され、除去された水は処理されてもよく、および/またはガスは圧縮されてもよい。LNGに近い品質またはLNG品質の前処理されたガスは次に、ステップ415で、パイプライン270を通じてドック200に移動してもよい。その後、浮き液化ユニット100、高圧ガスアーム330を備える液化モジュール110および/または分別システム135にステップ420で、輸送されてもよい。一部の実施形態では、前処理設備280は、液化ユニット100上に配置されてもよく、天然ガスは、導管320からドック200まで直接輸送されてもよく、次に液化ユニット100に搭載された前処理設備280に輸送されてもよい。生産地は陸上であっても、および/または沖合であってもよい。
【0039】
浮き液化ユニット100に搭載されると、天然ガスは液化モジュール110によって、ステップ425で、当業者には既知の液化方法を用いて液化されてもよい。LNGに近い品質ガスが浮き液化ユニット100に輸送される実施形態では、ステップ425は、液化前に天然ガスをLNG品質にする最終処理を含んでいてもよい。ガスが液化されると、結果として生じるLNGは次に、LNG貯蔵タンク120に、ステップ430で輸送されてもよく、LNG貯蔵タンク120からLNG運搬船250に、ステップ435で輸送されてもよい。
【0040】
一部の実施形態では、LNGは、浮き液化ユニット100に搭載された貯蔵タンク120からLNG運搬船250に搭載された低温LNGカーゴタンクに輸送されてもよい。LNG運搬船250に搭載された低温LNGカーゴタンクは膜、自立型柱状または自立型球状の種類であり、当業者には周知のカーゴタンクであってもよい。一部の実施形態では、低温LNGカーゴタンクは、浮き液化ユニット100に搭載されたLNG貯蔵タンク120に類似していてもよい。LNG運搬船250は、並列または直列構成で、浮き液化ユニット100の正面、背後、または隣接して係留されてもよく、浮き液化ユニット100からドックを横切って係留されてもよく、または浮き液化ユニット100に隣接してドック200に係留されてもよい。ホース325を用いて、船から船への輸送を利用して、LNGを浮き液化ユニットのLNG貯蔵タンク120からLNG運搬船250に輸送してもよい。一部の実施形態では、ホース325は、低温のマリンハードローディングアームであってもよい。一部の実施形態では、ホース325はアンローディングハードアームであってもよい。一部の実施形態では、ホース325は低温可撓性ホースであってもよい。一部の実施形態では、LNG運搬船250はLNG再ガス化ユニットを搭載する再ガス化船であってもよい。ある実施形態では、LNG運搬船250は、ボイルオフガスを再液化する能力を有していてもよい。ステップ440では、LNG運搬船250は、浮き液化ユニット100で液化されたLNGを、使用国および/または別のLNG運搬船に輸送してもよい。
【0041】
本発明のシステムおよび方法によって、すべての液化トレインを含む小型の浮き液化ユニットは、5MTPAまでのLNGを生産可能であり、最終投資決定から約44か月以内に、造船所に完全に建設することが可能である。ユニットを造船所で建設することは、陸上で建設する方法に比較して費用が抑えられる。陸上で建設する方法は、液化所在地で建設を完了しなければならず、素材および/または特別な労働力を入手することはさらに困難である。またははるかに大型の完全に一体化した浮きユニットの建設に比較しても、費用が抑えられる。本発明の例示実施形態は、効率的に前処理、液化および関連するシステムを陸上と沖合の設備に分別し小規模および/または孤立した天然ガスの埋蔵量を収集して、費用効率の高い方法で、ガス貯留地の様々な所在地に対応して柔軟な方法で利用することができる。
【0042】
本発明の様々な態様の別の修正および代替実施形態は、本明細書に照らして当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、本発明を実施するために、当業者を一般的に教示する目的でのみ解釈されるべきである。本明細書で示し、記載する本発明の形状は、現在の好ましい実施形態と解釈されるべきであることが理解されよう。要素および素材は本明細書に例示し、記載される要素で代替されてもよく、部品および処理は逆であってもよく、本発明の一定の特徴は独立して利用してもよく、これらすべては、本発明の説明の利点を得て、当業者には明らかであろう。以下の請求項に記載する本発明の精神および範囲を逸脱せずに、本明細書に記載する要素を変更してもよい。さらに、本明細書に記載する特徴は、独立して、一定の実施形態において組み合わされてもよいことを理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3