特許第6208850号(P6208850)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6208850電子デバイスおよびそのパッシベーション方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208850
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】電子デバイスおよびそのパッシベーション方法
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/10 20060101AFI20170925BHJP
   H01L 41/053 20060101ALI20170925BHJP
   H02N 2/00 20060101ALI20170925BHJP
   H01L 41/083 20060101ALI20170925BHJP
   H01L 41/23 20130101ALI20170925BHJP
   H01G 4/12 20060101ALI20170925BHJP
   H01G 4/232 20060101ALI20170925BHJP
   H01G 4/224 20060101ALI20170925BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H01C7/10
   H01L41/053
   H02N2/00
   H01L41/083
   H01L41/23
   H01G4/12 346
   H01G4/12 361
   H01G4/12 364
   H01G4/30 301J
   H01G4/30 301B
   H01G4/30 311E
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-512257(P2016-512257)
(86)(22)【出願日】2014年4月4日
(65)【公表番号】特表2016-524813(P2016-524813A)
(43)【公表日】2016年8月18日
(86)【国際出願番号】EP2014056832
(87)【国際公開番号】WO2014180608
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2015年12月22日
(31)【優先権主張番号】102013104621.5
(32)【優先日】2013年5月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】デルノフゼク, オリバー
(72)【発明者】
【氏名】シュタール, ミヒャエル
【審査官】 久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−051195(JP,A)
【文献】 特開平10−265277(JP,A)
【文献】 特開2009−049361(JP,A)
【文献】 特開平07−010650(JP,A)
【文献】 特開2001−131756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01F 41/04
H01C 7/10
H01C 7/105
H01G 4/12
H01G 4/30
H02N 2/00
C23C 18/00−20/08
H05K 3/28
H01L 33/48−33/64
H01L 41/083
H01L 41/053
H01L 41/23
B01J 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの基体(1)を有する電子デバイス(100)であって、
前記基体(1)は当該基体の1つの表面(7)に数nmの領域の直径を有する複数の表面細孔(2)を有する多孔質材料を含み、
前記表面細孔(2)の中には、液体パッシベーション(3)が持続的に配設されている、
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項2】
前記基体(1)の前記表面(7)は、前記液体パッシベーション(3)でパッシベーションされていることを特徴とする、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記基体(1)は、セラミックを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記基体(1)の、前記表面細孔(2)間の表面領域(6)には、前記液体パッシベーション(3)が存在しないことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記表面細孔(2)の中に配設された前記液体パッシベーション(3)は、異物質、たとえばニッケルおよび/または錫を含む電解質溶液,ナトリウム溶液またはカリウム溶液のようなアルカリを含むはんだフラックス剤および/またはエッチング保護剤が前記表面細孔(2)から前記基体(1)の中に侵入することを防止または阻害することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記液体パッシベーション(3)は、不活性溶液、たとえば脱イオン化された水または無極性溶媒を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記液体パッシベーション(3)は、10〜1000kΩcmの電気比抵抗を備えることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記基体(1)の中に内部電極(複数)(5)が配設されており、当該内部電極(5)は、電気的に互いに分離されていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記基体(1)には外部電極(複数)(4)が設けられており、当該外部電極(4)は、電気的に互いに分離されており、かつ各々の外部電極(4)は、複数の内部電極(5)と電気的に導通して結合されていることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記電子デバイスは、たとえばバリスタ,圧電デバイス,またはコンデンサであることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項11】
多孔質材料からなる1つの基体(1)をパッシベーションするための方法であって、
前記基体(1)を準備するステップと、
前記基体(1)の多孔質材料の数nmの領域の直径を有する複数の表面細孔(2)を、液体パッシベーション(3)に曝露するステップであって、当該液体パッシベーション(3)は、当該表面細孔(2)の中に浸入しそこに持続的に留まることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記表面細孔(2)は、外部からの圧力の印加無しに、環境気圧の条件下で前記液体パッシベーション(3)に曝露されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記表面細孔(2)は、室温で前記液体パッシベーション(3)に曝露されることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
電子デバイス(100)を製造するための方法であって、
前記電子デバイスの1つの基体(1)のために提供されたグリーン体を、この基体(1)を形成するために焼結するステップであって、当該グリーン体が、焼結される多孔質材料を含むステップと、
前記基体(1)に1つの外部電極(4)を設けるステップと、
前記外部電極(4)が設けられた多孔質の基体(1)を、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の方法によりパッシベーションするステップと、
前記外部電極が設けられた基体(1)を電気めっき処理するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記外部電極が設けられた基体(1)の前記電気めっき処理は、たとえばニッケルおよび亜鉛を含有する電解質溶液で行われることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子デバイスおよびこの電子デバイスをパッシベーションする方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明が解決すべき課題は、改善された電子デバイスおよびこれをパッシベーションする方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する電子デバイスおよび請求項11に記載の特徴を有する方法によって解決される。
有利な実施形態および変形実施例は従属請求項に示されている。
【0004】
本発明が提示する電子デバイスは、1つの基体を備え、この基体はその1つの表面上に表面細孔(Oberflaechenporen;複数)を有する多孔質材料を含む。
これらの表面細孔の中に、液体パッシベーション(Passivierungsflussigkeit)が配設されている。
【0005】
1つの好ましい実施形態においては、上記の基体の表面は、液体パッシベーションでパッシベーションされている。この表面とは、好ましくは上記の基体の外面または包囲面である。この液体パッシベーションは、好ましくは持続的に上記の表面細孔の中に配設されている。
【0006】
この液体パッシベーションは、好ましく腐食性でない。
【0007】
上記の表面細孔は、好ましくは焼結細孔(Sinterporen;複数)であり、これらの焼結細孔は上記の基体を形成する材料の一連の焼結工程において生成される。これらの表面細孔の直径は、たとえばナノメーター領域にあってよい。
【0008】
好ましくは、単に洗浄処理および/または乾燥処理によって上記の液体パッシベーションがこれらの細孔から除去あるいは蒸発されないように、これらの表面細孔が形成されており、かつこの液体パッシベーションの蒸気圧が選択されている。
【0009】
ここでは「パッシベーション」とは、好ましくは、上記の表面細孔の中の液体パッシベーションを想定している。好ましくはこの液体パッシベーションは、上記の表面細孔を、腐食性の媒体すなわちこの基体を損傷する媒体または物質の上記の表面細孔への侵入から保護する。
【0010】
1つの好ましい実施形態においては、上記の表面細孔における液体パッシベーションの存在は、電気機械的反応の反応速度および/またはこの基体における微小亀裂(複数)の発生を遅くし、あるいは阻害する。
【0011】
この上記の表面細孔における液体パッシベーションの存在は、有利にこの基体の材料の腐食を防ぎ、あるいはこれを阻害し、または遅くすることができる。この液体パッシベーションを利用して、好ましくは腐食性反応または電気機械的反応および/またはこの基体の材料の内部の微小亀裂の生成を、特にアプリケーションにおいて、すなわち湿気,熱,および/または電圧の条件の元で、阻害または制限することができる。上記の微小亀裂および/または上記の電気機械的反応は、たとえば上記の基体の電気的または電気機械的特性を劣化させる可能性があり、そしてこれによって電子デバイスの故障あるいは機能障害をもたらす可能性がある。故障または機能障害は、特にこの電子デバイスの、安全性に関係したアプリケーションおよび/または自動車のアプリケーションでは、甚大なまたは破滅的な結果となり得る。
【0012】
本発明によるパッシベーションを用いて、上記の基体の材料における統計上のばらつきによる欠陥または亀裂の密度をppb領域(「ppb」は英語で“parts per billion”、独語で“Teile pro Milliarde”を表す)またはこれ以下となるように、上記の基体を形成することができる。この統計上のばらつきによる欠陥とは、上記の基体の内部における細孔または細孔状の欠陥部位であり得る。
【0013】
1つの好ましい実施形態においては、上記の基体はセラミックを含む。好ましくはこのセラミックは、焼結されたセラミックである。
【0014】
1つの好ましい実施形態においては、本発明による電子デバイスは、多層デバイス、たとえばバリスタ,圧電デバイス,またはコンデンサである。
【0015】
1つの好ましい実施形態においては、上記の基体の、細孔が全く存在しない表面領域(複数)には、液体パッシベーションは存在しない。上記の基体のこれらの表面領域では、液体パッシベーションが洗浄処理および/または乾燥処理によって除去あるいは蒸発されていてよい。しかしながらこれらの表面領域は、その表面状態のおかげで、腐食性媒体に対してあまり敏感でない。すなわちこの腐食性媒体もたとえば洗浄処理によって、これらの表面領域から容易に除去され得る。
【0016】
1つの好ましい実施形態においては、上記の表面細孔に配設された液体パッシベーションは、異物質、たとえばはんだフラックス,ニッケルおよび/または錫を含むような電解質溶液,ナトリウムまたはカリウムの苛性アルカリ溶液,および/または摩耗保護剤のような腐食性物質がこの細孔を介して基体の中に侵入することを防ぎ、あるいは阻害する。この実施形態によれば、本発明による電子デバイスは、この電子デバイスまたはこの電子デバイスの出発部品を上記の腐食性物質を用いて取り扱うことを必要とする方法により有利に製造することができ、この電子デバイスまたはその出発部品の顕著な腐食,劣化,または損傷を生じることがない。
【0017】
上記の腐食性物質の上記の表面細孔への侵入または浸潤は、上記の基体のパッシベーション無しでは、たとえばこの電子デバイスの製造の際に、自発的に上記の気相、または液相を介して起こり得る。
【0018】
1つの好ましい実施形態においては、上記の液体パッシベーションは、1つの不活性溶液あるいは準不活性溶液、たとえば低イオン濃度および/または低電気比抵抗の溶液である。たとえばこの液体パッシベーションは、脱イオン化された水または無極性溶媒を含む。このような実施形態により、たとえば湿ったあるいは濡れた環境,熱および/または電圧が存在している場合に、本発明による電子デバイスの、電気機械的負荷による腐食または劣化を有利に阻害または遅らせることができる。
【0019】
1つの好ましい実施形態においては、上記の液体パッシベーションは、10〜1000kΩcmの電気比抵抗を備える。
【0020】
1つの代替の実施形態においては、上記の液体パッシベーションは、10kΩcmの電気比抵抗を備える。
【0021】
1つの好ましい実施形態においては、上記の基体の中に内部電極(複数)が配設されており、ここでこれらの内部電極は、電気的に互いに分離されている。この際これらの内部電極は、上記の基体の反対側にある2つの端面に交互に接していてよく、および/またはこれらの端面から、たとえば外部電極への接続のためにアクセス可能であってよい。
【0022】
1つの好ましい実施形態においては、上記の基体には外部電極(複数)が設けられており、ここでこれらの外部電極は、電気的に互いに分離されており、かつ各々の外部電極は、複数の内部電極と電気的に導通して結合されている。
【0023】
以上により本発明による電子デバイスが多層デバイスとして有利に実施され、またこれに付随する利点の利用が可能となる。これらの利点とは、たとえば圧電デバイスの場合には、動作における大きな変位に関するものである。
【0024】
さらに本発明は多孔質材料を含む基体をパッシベーションするための方法を提供する。上述の電子デバイスまたはこのデバイスの基体は、好ましくは以下に記載する方法を用いてパッシベーションされている。
【0025】
特にこのパッシベーションするための方法のために開示された特徴全ては、上述の電子デバイスに用いることができ、あるいは逆に上述の電子デバイスの特徴をこのパッシベーションを行うための方法に用いることができる。
【0026】
このパッシベーションするための方法は、上記の基体を準備するステップを備える。さらにこの方法は、この基体の多孔質材料の表面細孔(複数)を液体パッシベーションに曝露するステップを備え、ここでこの液体パッシベーションはこの表面細孔の中に浸入しそこに留まる。
【0027】
このパッシベーションするための方法の利点は、手間のかかる液相処理および気相処理を省くことができることである。これらの液相処理および気相処理では、上記の基体を腐食性物質の侵入に対し保護するために、この基体上に保護用のガラスセラミックまたは金属層が取り付けられ得る。
【0028】
さらに、高密度なセラミックでは自由にアクセス可能な表面細孔あるいは亀裂の生成が全く無いかまたは極めて少ないが、本発明ではこのような高密度なセラミックの面倒な製造を不要とすることができる。
【0029】
また本発明では微小亀裂を防ぐことによって、電気機械的に負荷のかかった電子デバイスの寿命が顕著に増大される。
【0030】
さらに上記の表面細孔の液体パッシベーションによる浸潤は、安価に行え、これによって本発明による電子デバイスは、有利に僅かなコストで製造することができる。
【0031】
上記の表面細孔は容易に上記の基体の周囲からアクセス可能であるが、上記の液体パッシベーションはこの表面細孔に有利に留まる。これはたとえば数nmの領域にある直径を有する上記の表面細孔の幾何形状のおかげでこの液体パッシベーションが非常にゆっくりと蒸発するか、あるいは顕著には蒸発しないかまたは検出可能でない程度にゆっくりと蒸発するからである。
【0032】
上記の表面細孔を液体パッシベーションに曝露することは、好ましくは上記の基体をこの液体パッシベーションに浸すことによって行われる。代替として、この表面細孔を液体パッシベーションに曝露することは、他の処理、たとえば上記の基体の表面をこの液体パッシベーションで濡らすことによって行うこともできる。
【0033】
本発明による方法の1つの好ましい実施形態においては、上記の基体の表面をパッシベーションするために、この表面細孔は、上記の液体パッシベーションに曝される。
【0034】
本発明による方法の1つの好ましい実施形態においては、環境気圧および/または1つの外部気圧が印加されているという条件下で、上記の表面細孔は上記の液体パッシベーションに曝される。上記の表面細孔を液体パッシベーションに曝露する際には、これらの細孔が上記の液体パッシベーションによる浸潤が行われ得る。上記の表面細孔を液体パッシベーションに曝露することは、標準気圧の条件下で行い得る。この実施形態によって、有利に、たとえば高い気圧下で浸潤が可能となる別の部品を不要とすることができ、これによって上記の基体をとりわけ容易にかつ安価にパッシベーションすることができる。
【0035】
本発明による方法の1つの代替の実施形態においては、上記の表面細孔は、高い外部気圧下で上記の液体パッシベーションに曝される。この実施形態によれば、有利に、上記の表面細孔が特に容易に上記の液体パッシベーションによって浸潤される。
【0036】
本発明による方法の1つの好ましい実施形態においては、上記の表面細孔は、室温で上記の液体パッシベーションに曝される。この実施形態によって、有利に、パッシベーションの際に上記の基体を熱するためまたは温めるための設備を不要とすることができる。その他に、こうして熱に起因する損傷、たとえば基体の損傷を有利に防ぐことができる。
【0037】
本発明はさらに、以下のステップを有する本発明による電子デバイスの製造方法を提供する。この製造方法は、本発明によるデバイスの基体を形成するために、この基体のために提供されたグリーン体を焼結するステップを備え、ここでこのグリーン体は、焼結される多孔質材料を含む。さらにこの製造方法は、1つ以上の外部電極を有する基体を提供するステップを備える。さらにこの製造方法は、上記の外部電極が設けられた多孔質の基体を、上述のパッシベーションするための方法によりパッシベーションするステップを備える。さらにこの製造方法は、上記の1つまたは複数の外部電極が設けられた基体を電気めっき処理するステップを備える
【0038】
上述の電子デバイスまたはこのデバイスの基体は、好ましくは以下に記載する製造方法を用いてパッシベーションされている。
【0039】
上記のパッシベーションするための方法の1つの好ましい実施形態においては、上記の基体は700℃〜800℃の温度で上記の外部電極が設けられる。
【0040】
1つの好ましい実施形態においては、上記の基体を電気めっきするステップは、たとえばニッケルおよび錫を含有する電解質溶液で行われる。この電気めっきの目的は、この基体に1つ以上の外部電極を設けるためのこの基体の追加的なまたは補助的なメタライジング部,たとえば電界に対するシールド部,または接続部を形成するメタライジング部であってよい。
【0041】
さらにこの製造方法は、「フラックス塗布」(“Fluxen”)を用いて、上記の外部電極の材料を表面活性化するステップを備えてよい。「フラックス塗布」では、上記の外部電極の材料の表面をフラックス剤、たとえばアルカリ溶液で処理および/または活性化することができる。
【0042】
さらにこの製造方法は、上記の基体を処理するステップ、すなわちナトリウム溶液またはカリウム溶液および/またはエッチング保護剤のようなアルカリを含むはんだフラックス剤を用いた、上記の電気めっきされた基体および/または上記の外部電極を処理するステップを備える。
【0043】
1つの好ましい実施形態においては、上記の基体は、この基体の全く細孔の存在しない表面領域において、乾燥室の中でたとえば120℃で乾燥される。ここで上記の液体パッシベーションの蒸気圧は、好ましくは、この乾燥の際に液体パッシベーションが上記の表面細孔に留まるように、かつ蒸発しないように選択される。
【0044】
本発明のさらなる利点,有利な実施形態,および有用性が、以下に説明する、図に関連した実施例で示される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】1つの電子デバイスの基体の横断面を概略的に示す。
図2】上記の電子デバイスの横断面を概略的に示す。
【0046】
これらの図中で同じ要素、同様な要素、および同等に機能する要素には、同じ参照符号が付されている。これらの図、およびこれらの図に示された要素相互の大きさの関係は、縮尺通りとはなっていない。むしろ個々の要素は、より見易いように、および/またはより理解しやすいように、誇張して大きく図示されている場合がある。
【0047】
図1は、1つの基体1の概略横断面図を示す。この基体1は、好ましくはセラミックである。この基体は1つの表面7を備える。例示的に、この基体1の3つの表面細孔2が示されている。これらの表面細孔2は焼結細孔であってよく、これらは上記の基体を形成する材料の焼結の際に生成されている。これらの表面細孔の大きさおよび形状は、このように統計的にばらついていてよい。この表面細孔の直径Dは、好ましくはナノメーター領域にある。
【0048】
これらの表面細孔2の中に、それぞれ液体パッシベーション3が配設されている。さらに基体1は、細孔が全く存在しない表面領域6を備える。この表面領域には、液体パッシベーション3が無い。
【0049】
この液体パッシベーションは、好ましくは不活性溶液であってよく、たとえば脱イオン化された水または無極性溶媒を含むものであってよい。
【0050】
好ましくはこの液体パッシベーションは、腐食性物質、たとえばニッケルおよび/または錫を含む電解質溶液,ナトリウム溶液またはカリウム溶液のようなアルカリを含むはんだフラックス剤および/または上記の基体1のエッチング保護剤が上記の表面細孔2からこの基体1の中に侵入することを防止または抑制する。
【0051】
上述の腐食性物質は、製造プロセスで使用される酸性またはアルカリ性溶液である可能性もある。
【0052】
さらに1つの好ましい実施形態においては、上記の表面細孔2における液体パッシベーションの存在は、好ましくは電気機械的反応の反応速度および/またはこの基体1における微小亀裂(複数)の発生を抑制、あるいは遅くする。好ましくは、この液体パッシベーション3は、基体1の表面7をパッシベーションする。
【0053】
この液体パッシベーション3は、好ましくは曝露の際に、具体的には基体1をこの液体パッシベーション3に浸す際に、表面細孔2の中に浸入する。同様に液体パッシベーション3は、この基体1をこの液体パッシベーション3で濡らすことによって表面細孔2の中に到達し得る。表面細孔の大きさおよび液体パッシベーション3の蒸気圧の選択によって、液体パッシベーション3に表面細孔2を曝露した後で、この基体1が乾燥あるいは洗浄された場合でも、この液体パッシベーション3は、この表面細孔内部に好適に留まる。
【0054】
この曝露は、好ましくは液体パッシベーション3のいわゆる自発的な浸潤によって行われ、ここで好ましくは外部気圧および高い温度は全く必要でない。
【0055】
表面細孔2の中への液体パッシベーション3の侵入は、好ましくは室温の環境条件下での自発的な浸潤によって行われる。
【0056】
図2は、1つの電子デバイス100の概略横断面図を示す。この電子デバイス100は、基体1を備える。さらにこの電子デバイス100は、内部電極(複数)5を備える。これらの内部電極5は、基体1の内部に配設されている。さらにこれらの内部電極5は、重なって、あるいは互いに?み合うように配設されている。この電子デバイス100は、さらに外部電極(複数)4を備える。それぞれの外部電極4は、この電子デバイス100の1つの端面に配設されている。これらの外部電極4は、電気的に互いに分離されており、それぞれ、例示的に、2つの内部電極5と電気的に導通して結合されている。
【0057】
電子デバイス100は、好ましくは多層デバイスであり、たとえばバリスタ,圧電デバイス,またはコンデンサである。
【0058】
この電子デバイスの製造は、好ましくは基体1用に提供される材料を焼結してこの基体とするステップと、この基体1に外部電極(複数)4を設けるステップと、これらの外部電極4が設けられた基体1をパッシベーションするステップと、上述したように、この基体1を電気めっきするステップと、を備える。
【0059】
この基体の電気めっきは、好ましくはたとえばニッケルまたは錫を含む電解質溶液で行われる。
【0060】
電子デバイス100は、たとえばタイプ0506の多層バリスタ,または高出力圧電アクチュエータであってよく、これらでは上記の外部電極は780℃で焼成されている。この外部電極を設けた後で、この電子デバイスは、室温での上記の液体パッシベーションを用いた浸潤のために、脱イオン化された水に浸され、続いて120℃で乾燥室で乾燥される。
【0061】
電子デバイス100は同様に、多孔質の破断予定部位をベースにしたEPC4圧電アクチュエータまたは銅圧電アクチュエータであってよく、これらにおいては上記の外部電極は740℃で焼成されている。続いてこの電子デバイスは「熱分極」(“heisgepolt”)され、また続いて浸潤のために液体パッシベーション3に浸され、そして120℃で乾燥される。この場合、「フラックス塗布」または溶融亜鉛メッキを用いて、めっきでこれらの外部電極の表面活性化が行われてよく、またこの電子デバイス100は、続いてColoradolと水で洗浄され、乾燥される。
【0062】
パッシベーションされていない電子デバイスと比較した利点は、上述の腐食性物質の残渣が、本発明のようなパッシベーションされたデバイスでない場合に既にppmレベル(“ppm”は英語で“parts per million”であり、独語では“Teile pro Million”である。)であり得ることであり、この残渣は、微小亀裂または有害な電気機械的反応により、このデバイスの劣化をもたらし得る。
【0063】
上記で提示されたパッシベーション方法は、有利に、とりわけたとえば電子デバイスの製造の際の、製造業的に大きな時間的および金銭的コストをもたらす、200℃をはるかに上回る温度での基体の洗浄、およびこれに適合する真空処理を不要とすることができる。高い温度は、電子デバイスの電気的特性の顕著な劣化をもたらし得る。甚だしい場合には、はんだ部位が分解し、または熱的な亀裂を形成する。さらにキュリー温度以上の温度は、圧電デバイスの場合には、誘電体の顕著な脱分極をもたらす。
【0064】
本発明は上記の実施例を参照した説明によって限定されない。むしろ本発明はいかなる特徴およびいかなる特徴の組み合わせ、とりわけ請求項における特徴のあらゆる組み合わせを含んでいる。また、特徴またはこれらの組み合わせ自体が請求項または実施例に顕わに示されていない場合も含んでいる。
【符号の説明】
【0065】
1 : 基体
2 : 表面細孔
3 : 液体パッシベーション
4 : 外部電極
5 : 内部電極
6 : 表面領域
7 : 表面
100 : 電子デバイス
図1
図2