【課題を解決するための手段】
【0003】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する電子デバイスおよび請求項11に記載の特徴を有する方法によって解決される。
有利な実施形態および変形実施例は従属請求項に示されている。
【0004】
本発明が提示する電子デバイスは、1つの基体を備え、この基体はその1つの表面上に表面細孔(Oberflaechenporen;複数)を有する多孔質材料を含む。
これらの表面細孔の中に、液体パッシベーション(Passivierungsflussigkeit)が配設されている。
【0005】
1つの好ましい実施形態においては、上記の基体の表面は、液体パッシベーションでパッシベーションされている。この表面とは、好ましくは上記の基体の外面または包囲面である。この液体パッシベーションは、好ましくは持続的に上記の表面細孔の中に配設されている。
【0006】
この液体パッシベーションは、好ましく腐食性でない。
【0007】
上記の表面細孔は、好ましくは焼結細孔(Sinterporen;複数)であり、これらの焼結細孔は上記の基体を形成する材料の一連の焼結工程において生成される。これらの表面細孔の直径は、たとえばナノメーター領域にあってよい。
【0008】
好ましくは、単に洗浄処理および/または乾燥処理によって上記の液体パッシベーションがこれらの細孔から除去あるいは蒸発されないように、これらの表面細孔が形成されており、かつこの液体パッシベーションの蒸気圧が選択されている。
【0009】
ここでは「パッシベーション」とは、好ましくは
、上記の表面細孔の
中の液体パッシベーショ
ンを想定している。好ましくはこの
液体パッシベーショ
ンは、上記の表面細
孔を、腐食性の媒体すなわちこの基体を損傷する媒体または物質の上記の表面細
孔への侵入から保護する。
【0010】
1つの好ましい実施形態においては、上記の表面細孔における液体パッシベーションの存在は、電気機械的反応の反応速度および/またはこの基体における微小亀裂(複数)の発生を遅くし、あるいは阻害する。
【0011】
この上記の表面細孔における液体パッシベーションの存在は、有利にこの基体の材料の腐食を防ぎ、あるいはこれを阻害し、または遅くすることができる。この液体パッシベーションを利用して、好ましくは腐食性反応または電気機械的反応および/またはこの基体の材料の内部の微小亀裂の生成を、特にアプリケーションにおいて、すなわち湿気,熱,および/または電圧の条件の元で、阻害または制限することができる。上記の微小亀裂および/または上記の電気機械的反応は、たとえば上記の基体の電気的または電気機械的特性を劣化させる可能性があり、そしてこれによって電子デバイスの故障あるいは機能障害をもたらす可能性がある。故障または機能障害は、特にこの電子デバイスの、安全性に関係したアプリケーションおよび/または自動車のアプリケーションでは、甚大なまたは破滅的な結果となり得る。
【0012】
本発明によるパッシベーションを用いて、上記の基体の材料における統計上のばらつきによる欠陥または亀裂の密度をppb領域(「ppb」は英語で“parts per billion”、独語で“Teile pro Milliarde”を表す)またはこれ以下となるように、上記の基体を形成することができる。この統計上のばらつきによる欠陥とは、上記の基体の内部における細孔または細孔状の欠陥部位であり得る。
【0013】
1つの好ましい実施形態においては、上記の基体はセラミックを含む。好ましくはこのセラミックは、焼結されたセラミックである。
【0014】
1つの好ましい実施形態においては、本発明による電子デバイスは、多層デバイス、たとえばバリスタ,圧電デバイス,またはコンデンサである。
【0015】
1つの好ましい実施形態においては、上記の基体の、細孔が全く存在しない表面領域(複数)には、液体パッシベーションは存在しない。上記の基体のこれらの表面領域では、液体パッシベーションが洗浄処理および/または乾燥処理によって除去あるいは蒸発されていてよい。しかしながらこれらの表面領域は、その表面状態のおかげで、腐食性媒体に対してあまり敏感でない。すなわちこの腐食性媒体もたとえば洗浄処理によって、これらの表面領域から容易に除去され得る。
【0016】
1つの好ましい実施形態においては、上記の表面細孔に配設された液体パッシベーションは、異物質、たとえばはんだフラックス,ニッケルおよび/または錫を含むような電解質溶液,ナトリウムまたはカリウムの苛性アルカリ溶液,および/または摩耗保護剤のような腐食性物質がこの細孔を介して基体の中に侵入することを防ぎ、あるいは阻害する。この実施形態によれば、本発明による電子デバイスは、この電子デバイスまたはこの電子デバイスの出発部品を上記の腐食性物質を用いて取り扱うことを必要とする方法により有利に製造することができ、この電子デバイスまたはその出発部品の顕著な腐食,劣化,または損傷を生じることがない。
【0017】
上記の腐食性物質の上記の表面細孔への侵入または浸潤は、上記の基体のパッシベーション無しでは、たとえばこの電子デバイスの製造の際に、自発的に上記の気相、または液相を介して起こり得る。
【0018】
1つの好ましい実施形態においては、上記の液体パッシベーションは、1つの不活性溶液あるいは準不活性溶液、たとえば低イオン濃度および/または低電気比抵抗の溶液である。たとえばこの液体パッシベーションは、脱イオン化された水または無極性溶媒を含む。このような実施形態により、たとえば湿ったあるいは濡れた環境,熱および/または電圧が存在している場合に、本発明による電子デバイスの、電気機械的負荷による腐食または劣化を有利に阻害または遅らせることができる。
【0019】
1つの好ましい実施形態においては、上記の液体パッシベーションは、10〜1000kΩcmの電気比抵抗を備える。
【0020】
1つの代替の実施形態においては、上記の液体パッシベーションは、10kΩcmの電気比抵抗を備える。
【0021】
1つの好ましい実施形態においては、上記の基体の中に内部電極(複数)が配設されており、ここでこれらの内部電極は、電気的に互いに分離されている。この際これらの内部電極は、上記の基体の反対側にある2つの端面に交互に接していてよく、および/またはこれらの端面から、たとえば外部電極への接続のためにアクセス可能であってよい。
【0022】
1つの好ましい実施形態においては、上記の基体には外部電極(複数)が設けられており、ここでこれらの外部電極は、電気的に互いに分離されており、かつ各々の外部電極は、複数の内部電極と電気的に導通して結合されている。
【0023】
以上により本発明による電子デバイスが多層デバイスとして有利に実施され、またこれに付随する利点の利用が可能となる。これらの利点とは、たとえば圧電デバイスの場合には、動作における大きな変位に関するものである。
【0024】
さらに本発明は多孔質材料を含む基体をパッシベーションするための方法を提供する。上述の電子デバイスまたはこのデバイスの基体は、好ましくは以下に記載する方法を用いてパッシベーションされている。
【0025】
特にこのパッシベーションするための方法のために開示された特徴全ては、上述の電子デバイスに用いることができ、あるいは逆に上述の電子デバイスの特徴をこのパッシベーションを行うための方法に用いることができる。
【0026】
このパッシベーションするための方法は、上記の基体を準備するステップを備える。さらにこの方法は、この基体の多孔質材料の表面細孔(複数)を液体パッシベーションに曝露するステップを備え、ここでこの液体パッシベーションはこの表面細孔の中に浸入しそこに留まる。
【0027】
このパッシベーションするための方法の利点は、手間のかかる液相処理および気相処理を省くことができることである。これらの液相処理および気相処理では、上記の基体を腐食性物質の侵入に対し保護するために、この基体上に保護用のガラスセラミックまたは金属層が取り付けられ得る。
【0028】
さらに、高密度なセラミックでは自由にアクセス可能な表面細孔あるいは亀裂の生成が全く無いかまたは極めて少ないが、本発明ではこのような高密度なセラミックの面倒な製造を不要とすることができる。
【0029】
また本発明では微小亀裂を防ぐことによって、電気機械的に負荷のかかった電子デバイスの寿命が顕著に増大される。
【0030】
さらに上記の表面細孔の液体パッシベーションによる浸潤は、安価に行え、これによって本発明による電子デバイスは、有利に僅かなコストで製造することができる。
【0031】
上記の表面細孔は容易に上記の基体の周囲からアクセス可能であるが、上記の液体パッシベーションはこの表面細孔に有利に留まる。これはたとえば数nmの領域にある直径を有する上記の表面細孔の幾何形状のおかげでこの液体パッシベーションが非常にゆっくりと蒸発するか、あるいは顕著には蒸発しないかまたは検出可能でない程度にゆっくりと蒸発するからである。
【0032】
上記の表面細孔を液体パッシベーションに曝露することは、好ましくは上記の基体をこの液体パッシベーションに浸すことによって行われる。代替として、この表面細孔を液体パッシベーションに曝露することは、他の処理、たとえば上記の基体の表面をこの液体パッシベーションで濡らすことによって行うこともできる。
【0033】
本発明による方法の1つの好ましい実施形態においては、上記の基体の表面をパッシベーションするために、この表面細孔は、上記の液体パッシベーションに曝される。
【0034】
本発明による方法の1つの好ましい実施形態においては、環境気圧および/または1つの外部気圧が印加されているという条件下で、上記の表面細孔は上記の液体パッシベーションに曝される。上記の表面細孔を液体パッシベーションに曝露する際には、これらの細孔が上記の液体パッシベーションによる浸潤が行われ得る。上記の表面細孔を液体パッシベーションに曝露することは、標準気圧の条件下で行い得る。この実施形態によって、有利に、たとえば高い気圧下で浸潤が可能となる別の部品を不要とすることができ、これによって上記の基体をとりわけ容易にかつ安価にパッシベーションすることができる。
【0035】
本発明による方法の1つの代替の実施形態においては、上記の表面細孔は、高い外部気圧下で上記の液体パッシベーションに曝される。この実施形態によれば、有利に、上記の表面細孔が特に容易に上記の液体パッシベーションによって浸潤される。
【0036】
本発明による方法の1つの好ましい実施形態においては、上記の表面細孔は、室温で上記の液体パッシベーションに曝される。この実施形態によって、有利に、パッシベーションの際に上記の基体を熱するためまたは温めるための設備を不要とすることができる。その他に、こうして熱に起因する損傷、たとえば基体の損傷を有利に防ぐことができる。
【0037】
本発明はさらに、以下のステップを有する本発明による電子デバイスの製造方法を提供する。この製造方法は、本発明によるデバイスの基体を形成するために、この基体のために提供されたグリーン体を焼結するステップを備え、ここでこのグリーン体は、焼結される多孔質材料を含む。さらにこの製造方法は、1つ以上の外部電極を有する基体を提供するステップを備える。さらにこの製造方法は、上記の外部電極が設けられた多孔質の基体を、上述のパッシベーションするための方法によりパッシベーションするステップを備える。さらにこの製造方法は、上記の1つまたは複数の外部電極が設けられた基体を電気めっき処理するステップを備える
。
【0038】
上述の電子デバイスまたはこのデバイスの基体は、好ましくは以下に記載する製造方法を用いてパッシベーションされている。
【0039】
上記のパッシベーションするための方法の1つの好ましい実施形態においては、上記の基体は700℃〜800℃の温度で上記の外部電極が設けられる。
【0040】
1つの好ましい実施形態においては、上記の基体を電気めっきするステップは、たとえばニッケルおよび錫を含有する電解質溶液で行われる。この電気めっきの目的は、この基体に1つ以上の外部電極を設けるためのこの基体の追加的なまたは補助的なメタライジング部,たとえば電界に対するシールド部,または接続部を形成するメタライジング部であってよい。
【0041】
さらにこの製造方法は、「フラックス塗布」(“Fluxen”)を用いて、上記の外部電極の材料を表面活性化するステップを備えてよい。「フラックス塗布」では、上記の外部電極の材料の表面をフラックス剤、たとえばアルカリ溶液で処理および/または活性化することができる。
【0042】
さらにこの製造方法は、上記の基体を処理するステップ、すなわちナトリウム溶液またはカリウム溶液および/またはエッチング保護剤のようなアルカリを含むはんだフラックス剤を用いた、上記の電気めっきされた基体および/または上記の外部電極を処理するステップを備える。
【0043】
1つの好ましい実施形態においては、上記の基体は、この基体の全く細孔の存在しない表面領域において、乾燥室の中でたとえば120℃で乾燥される。ここで上記の液体パッシベーションの蒸気圧は、好ましくは、この乾燥の際に液体パッシベーションが上記の表面細孔に留まるように、かつ蒸発しないように選択される。
【0044】
本発明のさらなる利点,有利な実施形態,および有用性が、以下に説明する、図に関連した実施例で示される。