【文献】
Hong-Yu Song、外6名,Effect of hot rolling reduction on microstructure,texture and ductility of strip-cast grain-oriented silicon steel with different solidification structures,Materials Science & Engineering A,NL,2014年 5月27日,Vol.605,Page.260-269
【文献】
Hao-Ze Li、外5名,Characterization of microstructure,texture and magnetic properties in twin-roll casting high silicon non-oriented electrical steel,ScienceDirect,米国,2014年 2月,Vol.88,Page.1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記方向性高ケイ素鋼の磁気特性は、P10/50が0.18〜0.62W/kg、P10/400が6.75〜9.5W/kg、磁気誘導B8が1.74〜1.81T、B8/BS=0.961〜0.978であることを特徴とする請求項1に記載の方向性高ケイ素鋼の製造方法。
【背景技術】
【0002】
高ケイ素鋼とは、一般的にケイ素含有量が4.5~6.5%のSi-Fe合金であるが、6.5%のSi-Fe合金は、その磁歪λsが約0であり、且つ透磁率が高く、保磁力が低く、鉄損特に高周波鉄損が比較的低いという特徴を有するため、非常に理想的な軟磁性合金材料である。しかし、Si含有量が4.5%以上に高まると、合金の伸びが急激に低下し、6.5%のSi-Fe合金の室温伸びはほぼ0である。
【0003】
近年、高ケイ素鋼は磁性材料の研究の焦点になってきており、研究方向は、無配向性高ケイ素鋼の規則相の形成規則、その室温での脆性の原因、及び改善措置に集中することが多い。ヨーロッパ、ロシア及び日本のいずれの国において、合金成分を調整し、熱間圧延-温間圧延-冷間圧延のプロセスに最適設計をすることにより、6.5%Si無配向ケイ素鋼の圧延を実現することが報道された。北京科技大学は、B等の元素により鋳造組織を微細化することによって、DO
3の長距離規則相の形成を阻止して、鋼板ストリップの低温塑性を向上させる(CN 1560309A)。高ケイ素鋼に対する研究及び工業化において、日本は、合金元素Ni、Al、Mn等の6.5%Si成形性への改善、及び圧延過程の成形性に対する影響の制御を総合的に検討し、より低い温度での変形を実現するために、低温熱間圧延により繊維集合組織を得るという技術的思想が提案された(Takada Y、 Journal of Applied Physics, 1988, 64, 5367~5369)。さらに、薄帯急冷という方法を用いて0.55mm又はそれより薄い高ケイ素微結晶ストリップを製造することにより、脆性の問題を解決することが開示された(Arai K. I, Journal of Applied Physics, 1988、 64, 5373~5375)。
【0004】
総合的に見れば、上記の成分及び圧延変形により6.5%Si電磁鋼を製造する方法においては、無配向性高ケイ素鋼の圧延成形の課題をある程度解決することができたが、薄帯急冷法により製造された微結晶ストリップは、幅及び厚さに限界があるため、工業規模の生産には達しにくい。6.5%Siの無配向製品を本格的に実用化した日本鋼管株式会社は、化学気相成長(CVD)法及び圧延法により、「Super Ecore」と呼ばれる0.1~0.5mm規格の6.5%Si-Fe合金(Haiji H. Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 1996, 160, 109~114)を作成し3%Siの無配向電磁鋼完成品により浸珪処理を行い、浸珪後、高温熱処理で均一化して結結晶粒の成長を促進することにより、磁気特性が良好な6.5%Siの無配向電磁鋼が得られた。
【0005】
配向性ケイ素鋼は、二次再結晶により単一のGoss集合組織が形成され、圧延方向に沿って極めて高い磁気誘導及び低鉄損を有する優れる磁気特性を有し、主に各種のトランスの鉄心に用いられる。一般的な配向性ケイ素鋼のSi含有量は2.8~3.4%であり、そのSi含有量のGoss単結晶の理論的飽和磁気誘導Bs≒2.03Tであり、B8の値は配向性ケイ素鋼片の飽和磁束密度を直感的に反映することができ、Hi-B(高磁気誘導)配向性ケイ素鋼のB
8が1.90~1.96Tで、0.936≦B
8/B
s≦0.966であるとし、配向性ケイ素鋼において最高級の製品である。
【0006】
配向性高ケイ素鋼は最大透磁率、より高い抵抗率、より低い高周波鉄損値を有するため、電気部品の質量及び体積を顕著に低減し、電器効率を向上させることができ、特に、6.5%のSi-Fe合金(飽和磁束密度Bm1.80T)の磁歪はほぼ0であり、高周波トランスの騒音を顕著に低減することができ、極めて高い応用価値を有する。しかし、配向性高ケイ素鋼の製造において、数多くのプロセスに難点がある。配向性及び無配向性高ケイ素鋼のいずれも、基体塑性の問題を解決しなければならない。一方、高ケイ素鋼から完全な二次再結晶を得るのに必要な抑制剤の条件ももっと厳しくなるため、下記要因は顕著に配向性高ケイ素鋼の製造に影響を与える。
【0007】
1)Si元素はFe-Si合金の粒界移動能力を顕著に向上させ、結晶粒を粗大化することができるため、高Si鋼鋳片の結晶粒寸法の過剰な粗大化を招き、数十mmのレベルに達することを引き起こし、塑性には非常に不利である。
2)二次再結晶の発生を満足するための必須条件は、帯鋼の一次再結晶における結晶粒の成長が強く抑制されることであり、高Si鋼が冷間圧延により変形された後、粒界移動の速度の向上に抑制効果がもっと強い抑制剤が必要である。
3)抑制剤は化合物(例えばS化物及びN化物等)でもよく、単体(例えばCu、Sn、B等)でもよい。前者は高温での固溶及び相変態・析出により制御する必要があるが鋳片の高温過熱により結晶粒が粗大化しすぎる場合もある。しかし、高ケイ素鋼はフェライト単相であるので、N化物の微細化析出を制御する相変態窓口がない。一方、単体化合物は一般的に補助抑制剤として使用されており、単独使用による抑制力が不十分で、また基体を固溶強化しやすく、塑性に影響を与える。
【0008】
従来のプロセスにより配向性高ケイ素鋼を製造することについて、少量の特許のみで報道されている。住友金属の特許昭63-069917、089622において、厚さ50mmの鋳片が熱間圧延-温間圧延-冷間圧延を経って0.2~0.3mmの鋼板ストリップを得、単一の的MnS、AlN、TiC又はVCを抑制剤とすることにより、6.5%Siの配向性ケイ素鋼を得るが、抑制剤の抑制力が不十分であるので、二次再結晶の配向度が高くなく、B
8/B
S=1.65T/1.80T=0.916である。新日本製鉄株式会社は抑制力が不十分である問題を認識し、浸窒の方法によりAlNの量を向上させたが、磁気誘導B
8を1.67Tのみ高めた(平4-080321、224625)。明らかに、その2つの方法は従来プロセスの制約をまだ突破していない。
【0009】
また、浸珪の方法も高ケイ素配向性ケイ素鋼の製造上に問題がある。上述したとおり、大量のSiが無配向で鋼帯に深入した後の拡散焼鈍の工程では結晶粒の成長を促進することがあり、配向性ケイ素鋼において、このような粒界移動は配向度の低下を引き起こす場合があり、さらに、本来の完全な二次再結晶組織を破壊するため、良好な磁気特性を得ることができない場合がある。また、現在公開されている研究では、磁気誘導に関する報道がない。
【0010】
双ロール式ストリップ鋳造技術は、回転の2つの鋳造ロールを晶析器として、液状の溶鋼をそのまま鋳造ロールと側部閉止板からなる溶融池内に注入し、液状の溶鋼を直接に厚さが1〜6mmのストリップに凝固して成形することにより、連続鋳造、加熱、熱間圧延及び焼きならし等の生産プロセスがなくてもよい。その特徴は以下の通りである。即ち、液状金属は結晶して凝固する同時にプレス加工されて塑性変形が生じることにより、液状金属から固体ストリップへの全工程を短時間で完成し、凝固速度が10
2~10
4℃/sに達することができ、高ケイ素鋼の凝固結晶粒の寸法を大幅に微細化する。従って、ストリップ鋳造は高ケイ素Fe-Si合金の生産において独特な利点を有する。それに対して、日本住友金属は、1~2mmストリップ鋳造-冷間圧延-高温焼鈍により強いGoss二次再結晶組織を得るという特許を報告したが、ストリップ鋳造に対する認識には限界があり、鋳造ストリップの直接冷間圧延による歩留まりが高くなく、また、抑制剤の抑制能力が比較的弱いため、高磁気誘導の配向性高ケイ素鋼が得られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の配向性高ケイ素鋼の製造方法上の前記問題に対して、本発明は、高ケイ素鋼双ロール式ストリップ鋳造の亜快速凝固過程における組織-集合組織-析出のシステムに対する認識に基づいて抑制剤の方案を設計し、鋳造ストリップ結晶粒の凝固-成長行為の制御、及び抑制剤元素の固溶析出行為の設計により、組織-集合組織-析出への柔軟な制御を実現し、高磁気誘導の配向性高ケイ素鋼を得る、配向性高ケイ素鋼の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の配向性高ケイ素鋼の製造方法は、以下の工程を含む。
【0013】
1、所定の成分に応じて、重量%計でC:0.001~0.003%、Si:5.0~6.6%、Mn:0.2~0.3%、Al:0.05~0.12%、V:0.01~0.04%、Nb:0.03~0.06%、S:0.02~0.03%、N:0.009~0.020%、O≦0.0020%、残部はFe及び不可避的不純物からなる溶鋼を製錬する工程。
【0014】
2、ストリップ鋳造工程:溶鋼をゲートから、予熱温度が1200~1250℃で、過熱度が20~50℃に制御されたタンディッシュに注入し、溶鋼がタンディッシュを通過してストリップ鋳造機に入って、厚さが1.8~3.0mmである鋳造ストリップに形成されるストリップ鋳造工程。
【0015】
3、鋳造ストリップがローラーから出た後、不活性雰囲気の条件下で、50~100℃/sの速度で1000~1050℃まで冷却し、その後、熱間圧延を行い、圧延開始温度が1000~1050℃、圧延仕上げ温度が900~980℃、圧下量が10~15%であり、熱間圧延鋳造ストリップを製造する工程。
【0016】
4、熱間圧延鋳造ストリップを20~30℃/sの速度で550~600℃まで冷却して巻き取り、その後、窒素ガス雰囲気の条件下で、低温熱間圧延/温間圧延を行い、圧延開始温度が760±5℃、圧延仕上げ温度が550~600℃、総圧下量が70~80%であり、温間圧延ストリップを製造する工程。
【0017】
5、温間圧延ストリップを酸洗してスケールを除去し、その後100~200℃で多パスの冷間圧延を行い、総圧下量が60~80%であり、冷間圧延の過程において、時効処理を2~3回行い、時効処理温度が280~320℃、時間が240~300sであり、毎回の時効処理は連続する2パスの冷間圧延の間に行い、冷間圧延ストリップを得る工程。
【0018】
6、前記冷間圧延ストリップに850±10℃で再結晶焼鈍を行い、時間が120~180sであり、前記再結晶焼鈍は冷間圧延ストリップに窒素水素混合雰囲気の条件下で行うものであり、混合雰囲気の露点を30~60℃に制御し、その後、MgOコーティングを塗布し、最後に巻き取り、コーティング冷間圧延ストリップを得る工程。
【0019】
7、前記コーティング冷間圧延ストリップを400±10℃の環状炉内に置き、水素ガスを流通させる条件下で、まず30~40℃/hの速度で1000±10℃まで昇温し、そして10~20℃/hの速度で1130±10℃まで昇温し、さらに30~40℃/hの速度で1220~1240℃まで昇温し、20~30h保温して純化焼鈍を行う工程。
【0020】
8、純化焼鈍されたコーティング冷間圧延ストリップを素地調整して酸化スケールを除去し、さらに絶縁層を塗布し、その後800±10℃で整地引張焼鈍を行い、最後に650℃以下まで空冷して巻き取り、配向性高ケイ素鋼を得る工程。
【0021】
前記配向性高ケイ素鋼は厚さが0.10~0.25mmである。
【0022】
前記方法において、前記窒素水素混合雰囲気における水素ガスの体積濃度は30%である。
【0023】
前記方法において、溶鋼はタンディッシュを通過してストリップ鋳造機に入り、回転の鋳造ロールと側部閉止板からなる晶析器内で溶融池を形成し、凝固して成形する。
【0024】
前記配向性高ケイ素鋼の磁気特性は、P
10/50が0.18~0.62W/kg、P
10/400が6.75~9.5 W/kg、磁気誘導B
8が1.74~1.81T、B
8/B
S=0.961~0.978である。
【0025】
本発明は中国国家自然科学基金プロジェクト(U1260204、51174059)の援助下で得られたものであり、その革新性は以下の通りである。
【0026】
1、鋳造ストリップにおけるC元素の含有量を30ppm以下にすることにより、C元素が偏在してFe
3Cを形成することによる塑性への悪影響を解消し、また、高温焼鈍前の脱炭工程を省略して、一次再結晶プロセスを大幅に簡単にする。
【0027】
2、Mn、S、Al、V、Nb、特にN元素への固溶により、DO
3相の長距離秩序化による塑性への影響を強く阻止し、また、格子間原子Nは結晶内のせん断変形を顕著に増加して、基体の塑性変形能力を高める。
【0028】
3、基体内の抑制剤の制御方法では、抑制剤元素におけるS、Nは固溶元素であり、従来のプロセスにおいて、N≧100ppmであると、発泡等の欠陥が発生しやすいが、ストリップ鋳造工程により、Nの固溶量を顕著に向上させることができる。基体の固溶量は凝固の際の溶鋼の過冷却と直接関係し、亜快速の凝固過程においてSi元素が増加して、固・液相線が下降することにより、より多量のSとN元素を固溶することができ、冷却速度(10
2~10
3℃/s)が比較的速いので、両者は均一に分布される。
【0029】
4、溶鋼の凝固過程において、一部の20~200nmサイズのMnS粒子が析出することにより、鋳造ストリップの凝固後の粒界移動行為が著しく阻害され、鋳造ストリップ結晶粒が大幅に微細化され、高ケイ素鋼の鋳造ストリップの低温成形性能が高まる。これはストリップ鋳造工程の独特のものである。
【0030】
5、分解可能な化合物を抑制剤として採用し、例えば、MnS及び(Al、V、Nb)N系の二次相粒子は、昇温過程において一次再結晶粒の成長行為を強く抑制することができる。また、均一で発達し且つ配向が正確なGoss結晶粒を得るために安定した基体を提供し、そして、二次再結晶が終了した後、純H
2で純化焼鈍して、S、N元素を基体から排出することにより、Mn、Al、V、Nbを固溶の形式のみで基体に存在させ、TiN等の化合物が分解温度が高すぎることにより多量に残留することを避ける。更に、基体へのB等の粒界偏析元素の分布の不均一に起因する反位境界能が高まることによる保磁力の増加を避けることもでき、磁化過程での保磁力を減少させて鉄損を低減する。
【0031】
6、複合抑制剤により段階的に抑制する。低温熱間圧延及び温間圧延において、N元素と基体に残留したC元素とが(V、Nb)C及び少量の(V、Nb)Nを形成し、熱間圧延における回復及び再結晶を抑制し、繊維組織を形成して基体の塑性を向上させ、結晶粒を微細化し、二次再結晶に安定した基体を提供する。一次再結晶の過程において、(V、Nb)Cが分解して、C元素の大部分が除去され、(V、Nb)Nが形成され、高温焼鈍では分解されAlN粒子の核形成質点として、さらにAlN粒子の析出を促進し、AlNとMnSとを配合して複合抑制剤として、基体の抑制力を保持し続けることにより、二次再結晶を比較的高い温度で発生させ、高配向度のGoss二次結晶粒が形成され、磁気特性を向上させる。
【0032】
7、Hi-B配向性高ケイ素鋼が実現され、従来のプロセスにおいて、3%Siの配向性ケイ素鋼は抑制剤の設計によりその抑制力が向上され、磁気誘導B
8値が1.90以上のHi-B配向性ケイ素鋼を得、その磁気誘導値と理論飽和磁気誘導値との比はB
8/B
S:1.90/2.03=0.94である。一方、一次再結晶組織における段階的に10~60nmが形成され、且つ均一に分布される二次相粒子が抑制剤として、高ケイ素鋼基体の一次再結晶の進行を強く阻害し、高温焼鈍の温度の上昇に伴って、基体における配向が正確のGoss結晶粒は異常成長が発生し、完全な二次再結晶組織に発達し、鉄損値は日本特許に公開されたレベルに達し、B
8は1.74T以上、B
8/B
S=1.74T/1.80T=0.967となり、日本特許に公開された磁気誘導のレベルを遥かに超える。
【0033】
8、抑制力に対する総合的調節能力が向上され、薄ゲージである0.10~0.25mmの配向性高ケイ素鋼の製造が容易となり、さらに低い鉄損が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の実施例で採用するストリップ鋳造機は、特許CN10351532Aに公開されたストリップ鋳造機である。
【0036】
本発明の実施例では、ストリップ鋳造技術による配向性高ケイ素鋼の製造方法のフローは、
図1に示すように、取鍋で製錬された溶鋼をタンディッシュに注入し、布流水口を経ってストリップ鋳造機に流れ込み、2つの回転の銅結晶ロールと側部閉止板からなる晶析器内に溶融池を形成し、溶鋼が凝固して鋳造ストリップを形成し、1パスの熱間圧延をした後巻き取り、熱間圧延ストリップに保護雰囲気下で低温熱間圧延及び温間圧延を行い、その後酸洗、冷間圧延を行い、冷間圧延終了後、初次再結晶焼鈍してMgOを塗布し、そして、高温焼鈍工程に入り、高温焼鈍の後、鋼コイルに絶縁コーティングを塗布し、引張して平坦化し、その後巻き取ることである。
【0037】
本発明の実施例において、Zeiss Ultra 55型走査電子顕微鏡を採用してミクロ組織を観測する。
【0038】
本発明の実施例において、採用される水素ガスの純度は99.9%である。
【0039】
本発明の実施例において、採用される窒素ガスの純度は99.9%である。
【0040】
実施例1
【0041】
所定の成分に応じて、重量%計でC:0.001%、Si:6.6%、Mn:0.2%、Al:0.12%、V:0.01%、Nb:0.06%、S:0.02%、N:0.020%、O:0.0016%を含み、残部はFe及び不可避的不純物からなる溶鋼を製錬した。
【0042】
ストリップ鋳造工程:溶鋼をゲートから、予熱温度が1200℃で、過熱度が20℃に制御されたタンディッシュに注入し、溶鋼がタンディッシュを通過してストリップ鋳造機に入り、回転の鋳造ロールと側部閉止板からなる晶析器内で溶融池を形成し、凝固して成形した。厚さは2.0mmである。
【0043】
鋳造ストリップがローラーから出た後、不活性雰囲気の条件下で、50~100℃/sの速度で1000℃まで冷却し、その後、熱間圧延を行い、圧延開始温度が1000℃、圧延仕上げ温度が900℃、圧下量が15%であり、熱間圧延鋳造ストリップを作成した。
【0044】
熱間圧延鋳造ストリップを20~30℃/sの速度で580℃まで冷却し巻き取り、その後、窒素ガス雰囲気の条件下で、低温熱間圧延/温間圧延を行い、圧延開始温度が760±5℃、圧延仕上げ温度が580℃、総圧下量が70%であり、温間圧延ストリップを作成した。
【0045】
温間圧延ストリップを酸洗してスケールを除去し、その後、100~200℃で6パスの冷間圧延を行い、総圧下量が80%、冷間圧延の過程において、時効処理を2回行い、時効処理温度が280℃、時間が300sであり、毎回の時効処理は連続する2パスの冷間圧延の間に行い、厚さが0.10mmの冷間圧延ストリップを得た。
【0046】
冷間圧延ストリップを850±10℃で再結晶焼鈍を行い、時間が120sであり、再結晶焼鈍は冷間圧延ストリップに窒素水素混合雰囲気の条件下で行い、混合雰囲気の露点を30℃に制御し、その後、MgOコーティングを塗布し、最後に巻き取り、コーティング冷間圧延ストリップを得た。窒素水素混合ガス雰囲気における水素ガスの体積濃度は30%である。
【0047】
コーティング冷間圧延ストリップを400±10℃の環状炉内に置き、水素ガスを流通させる条件下で、まず、30~40℃/hの速度で1000±10℃まで昇温し、その後、10~20℃/hの速度で1130±10℃まで昇温し、さらに30~40℃/hの速度で1240℃まで昇温し、20h保温して純化焼鈍を行った。
【0048】
純化焼鈍されたコーティング冷間圧延ストリップを素地調整して酸化スケールを除去し、さらに絶縁層を塗布し、その後800±10℃で整地引張焼鈍を行い、最後に650℃以下まで空冷して巻き取り、配向性高ケイ素鋼を得た。磁気特性P
10/50が0.18W/kg、磁気特性P
10/400が6.75W/kg、磁気誘導B
8が1.74T、B
8/B
S=0.961である。
【0049】
実施例2
【0050】
所定の成分に応じて、重量%計でC:0.003%、Si:5.0%、Mn:0.3%、Al:0.05%、V:0.04%、Nb:0.03%、S:0.03%、N:0.009%、O:0.0018%、残部はFe及び不可避的不純物からなる溶鋼を製錬した。
【0051】
ストリップ鋳造工程:溶鋼をゲートから、予熱温度が1250℃で、過熱度が50℃に制御されたタンディッシュに注入し、溶鋼がタンディッシュを通過してストリップ鋳造機に入り、回転の鋳造ロールと側部閉止板からなる晶析器内で溶融池を形成し、凝固して成形した。厚さは2.3mmである。
【0052】
鋳造ストリップがローラーから出た後、不活性雰囲気の条件下で、50~100℃/sの速度で1050℃まで冷却し、その後、熱間圧延を行い、圧延開始温度が1050℃、圧延仕上げ温度が980℃、圧下量が10%であり、熱間圧延鋳造ストリップを作成した。
【0053】
熱間圧延鋳造ストリップを20~30℃/sの速度で600℃まで冷却し巻き取り、その後、窒素ガス雰囲気の条件下で、低温熱間圧延/温間圧延を行い、圧延開始温度が760±5℃、圧延仕上げ温度が600℃、総圧下量が70%であり、温間圧延ストリップを作成した。
【0054】
温間圧延ストリップを酸洗してスケールを除去し、その後、100~200℃で7パスの冷間圧延を行い、総圧下量が60%、冷間圧延の過程において、時効処理を3回行い、時効処理温度が320℃、時間が240sであり、毎回の時効処理は連続する2パスの冷間圧延の間に行い、厚さが0.25mmの冷間圧延ストリップを得た。
【0055】
冷間圧延ストリップを850±10℃で再結晶焼鈍を行い、時間が180sであり、再結晶焼鈍は冷間圧延ストリップに窒素水素混合雰囲気の条件下で行い、混合雰囲気の露点を40℃に制御し、その後、MgOコーティングを塗布し、最後に巻き取り、コーティング冷間圧延ストリップを得た。窒素水素混合ガス雰囲気における水素ガスの体積濃度は30%である。
【0056】
コーティング冷間圧延ストリップを400±10℃の環状炉内に置き、水素ガスを流通させる条件下で、まず、30~40℃/hの速度で1000±10℃まで昇温し、その後、10~20℃/hの速度で1130±10℃まで昇温し、さらに30~40℃/hの速度で1220℃まで昇温し、30h保温して純化焼鈍を行った。
【0057】
純化焼鈍されたコーティング冷間圧延ストリップを素地調整して酸化スケールを除去し、さらに絶縁層を塗布し、その後800±10℃で整地引張焼鈍を行い、最後に650℃以下まで空冷して巻き取り、配向性高ケイ素鋼を得た。磁気特性P
10/50が0.62W/kg、磁気特性P
10/400が9.5W/kg、磁気誘導B
8が1.81T、B
8/B
S=0.978である。
【0058】
実施例3
【0059】
所定の成分に応じて、重量%計でC:0.002%、Si:6.5%、Mn:0.23%、Al:0.08%、V:0.02%、Nb:0.05%、S:0.026%、N:0.018%、O:0.0011%を含み、残部はFe及び不可避的不純物からなる溶鋼を製錬した。
【0060】
ストリップ鋳造工程:溶鋼をゲートから、予熱温度が1210℃で、過熱度が30℃に制御されたタンディッシュに注入し、溶鋼がタンディッシュを通過してストリップ鋳造機に入り、回転の鋳造ロールと側部閉止板からなる晶析器内で溶融池を形成し、凝固して成形した。厚さは1.8mmである。
【0061】
鋳造ストリップがローラーから出た後、不活性雰囲気の条件下で、50~100℃/sの速度で1030℃まで冷却し、その後、熱間圧延を行い、圧延開始温度が1030℃、圧延仕上げ温度が940℃、圧下量が13%であり、熱間圧延鋳造ストリップを作成した。
【0062】
熱間圧延鋳造ストリップを20~30℃/sの速度で550℃まで冷却し巻き取り、その後、窒素ガス雰囲気の条件下で、低温熱間圧延/温間圧延を行い、圧延開始温度が760±5℃、圧延仕上げ温度が550℃、総圧下量が70%であり、温間圧延ストリップを作成した。
【0063】
温間圧延ストリップを酸洗してスケールを除去し、その後、100~200℃で5パスの冷間圧延を行い、総圧下量が62%であり、冷間圧延の過程において、時効処理を2回を行い、時効処理温度が320℃、時間が240sであり、毎回の時効処理は連続する2パスの冷間圧延の間に行い、厚さが0.18mmの冷間圧延ストリップを得た。
【0064】
冷間圧延ストリップに850±10℃で再結晶焼鈍を行い、時間が160sであり、再結晶焼鈍は冷間圧延ストリップに窒素水素混合雰囲気の条件下で行い、混合雰囲気の露点を50℃に制御し、その後、MgOコーティングを塗布し、最後に巻き取り、コーティング冷間圧延ストリップを得た。窒素水素混合ガス雰囲気における水素ガスの体積濃度は30%である。
【0065】
コーティング冷間圧延ストリップを400±10℃の環状炉内に置き、水素ガスを流通させる条件下で、まず、30~40℃/hの速度で1000±10℃まで昇温し、その後、10~20℃/hの速度で1130±10℃まで昇温し、さらに30~40℃/hの速度で1230℃まで昇温し、24h保温して純化焼鈍を行った。
【0066】
純化焼鈍されたコーティング冷間圧延ストリップを素地調整して酸化スケールを除去し、さらに絶縁層を塗布し、その後800±10℃で整地引張焼鈍を行い、最後に650℃以下まで空冷して巻き取り、配向性高ケイ素鋼を得た。磁気特性P
10/50が0.22W/kg、磁気特性P
10/400が7.1W/kg、磁気誘導B
8が1.76T、B
8/B
S=0.966である。
【0067】
実施例4
【0068】
所定の成分に応じて、重量%計でC:0.001%、Si:5.8%、Mn:0.29%、Al:0.10%、V:0.03%、Nb:0.06%、S:0.02%、N:0.015%、O:0.0017%を含み、残部はFe及び不可避的不純物からなる溶鋼を製錬した。
【0069】
ストリップ鋳造工程:溶鋼をゲートから、予熱温度が1220℃で、過熱度が40℃に制御されたタンディッシュに注入し、溶鋼がタンディッシュを通過してストリップ鋳造機に入り、回転の鋳造ロールと側部閉止板からなる晶析器内で溶融池を形成し、凝固して成形した。厚さは3.0mmである。
【0070】
鋳造ストリップがローラーから出た後、不活性雰囲気の条件下で、50~100℃/sの速度で1050℃まで冷却し、その後、熱間圧延を行い、圧延開始温度が1050℃、圧延仕上げ温度が980℃、圧下量が15%であり、熱間圧延鋳造ストリップを作成した。
【0071】
熱間圧延鋳造ストリップを20~30℃/sの速度で570℃まで冷却し巻き取り、その後、窒素ガス雰囲気の条件下で、低温熱間圧延/温間圧延を行い、圧延開始温度が760±5℃、圧延仕上げ温度が570℃、総圧下量が80%であり、温間圧延ストリップを作成した。
【0072】
温間圧延ストリップを酸洗してスケールを除去し、その後、100~200℃で6パスの冷間圧延を行い、総圧下量が70%であり、冷間圧延の過程において、時効処理を3回行い、時効処理温度が280℃、時間が300sであり、毎回の時効処理は連続する2パスの冷間圧延の間に行い、厚さが0.15mmの冷間圧延ストリップを得た。
【0073】
冷間圧延ストリップを850±10℃で再結晶焼鈍を行い、時間が140sであり、再結晶焼鈍は冷間圧延ストリップに窒素水素混合雰囲気の条件下で行い、混合雰囲気の露点を60℃に制御し、その後、MgOコーティングを塗布し、最後に巻き取り、コーティング冷間圧延ストリップを得た。窒素水素混合ガス雰囲気における水素ガスの体積濃度は30%である。
【0074】
コーティング冷間圧延ストリップを400±10℃の環状炉内に置き、水素ガスを流通させる条件下で、まず、30~40℃/hの速度で1000±10℃まで昇温し、その後、10~20℃/hの速度で1130±10℃まで昇温し、さらに30~40℃/hの速度で1240℃まで昇温し、20h保温して純化焼鈍を行った。
【0075】
純化焼鈍されたコーティング冷間圧延ストリップを素地調整して酸化スケールを除去し、さらに絶縁層を塗布し、その後800±10℃で整地引張焼鈍を行い、最後に650℃以下まで空冷して巻き取り、配向性高ケイ素鋼を得た。磁気特性P
10/50が0.34W/kg、磁気特性P
10/400が7.4W/kg、磁気誘導B
8が1.77T、B
8/B
S=0.975である。
【0076】
実施例5
【0077】
所定の成分に応じて、重量%計でC:0.003%、Si:5.2%、Mn:0.27%、Al:0.06%、V:0.04%、Nb:0.04%、S:0.028%、N:0.014%、O:0.0018%を含み、残部はFe及び不可避的不純物からなる溶鋼を製錬した。
【0078】
ストリップ鋳造工程:溶鋼をゲートから、予熱温度が1230℃で、過熱度が40℃に制御されたタンディッシュに注入し、溶鋼がタンディッシュを通過してストリップ鋳造機に入り、回転の鋳造ロールと側部閉止板からなる晶析器内で溶融池を形成し、凝固して成形した。厚さは2.5mmである。
【0079】
鋳造ストリップがローラーから出た後、不活性雰囲気の条件下で、50~100℃/sの速度で1000℃まで冷却し、その後、熱間圧延を行い、圧延開始温度が1000℃、圧延仕上げ温度が900℃、圧下量が12%であり、熱間圧延鋳造ストリップを作成した。
【0080】
熱間圧延鋳造ストリップを20~30℃/sの速度で580℃まで冷却し巻き取り、その後、窒素ガス雰囲気の条件下で、低温熱間圧延/温間圧延を行い、圧延開始温度が760±5℃、圧延仕上げ温度が580℃、総圧下量が75%であり、温間圧延ストリップを作成した。
【0081】
温間圧延ストリップを酸洗してスケールを除去し、その後、100~200℃で7パスの冷間圧延を行い、総圧下量が67%であり、冷間圧延の過程において、時効処理を2回行い、時効処理温度が300℃、時間が280sであり、毎回の時効処理は連続する2パスの冷間圧延の間に行い、厚さが0.18mmの冷間圧延ストリップを得た。
【0082】
冷間圧延ストリップを850±10℃で再結晶焼鈍を行い、時間が180sであり、再結晶焼鈍は冷間圧延ストリップに窒素水素混合雰囲気の条件下で行い、混合雰囲気の露点を30℃に制御し、その後、MgOコーティングを塗布し、最後に巻き取り、コーティング冷間圧延ストリップを得た。窒素水素混合ガス雰囲気における水素ガスの体積濃度は30%である。
【0083】
コーティング冷間圧延ストリップを400±10℃の環状炉内に置き、水素ガスを流通させる条件下で、まず、30~40℃/hの速度で1000±10℃まで昇温し、その後、10~20℃/hの速度で1130±10℃まで昇温し、さらに30~40℃/hの速度で1220℃まで昇温し、30h保温して純化焼鈍を行った。
【0084】
純化焼鈍されたコーティング冷間圧延ストリップを素地調整して酸化スケールを除去し、さらに絶縁層を塗布し、その後、800±10℃で整地引張焼鈍を行い、最後に650℃以下まで空冷して巻き取り、配向性高ケイ素鋼をが得た。磁気特性P
10/50が0.43W/kg、磁気特性P
10/400が8.2W/kg、磁気誘導B
8が1.76T、B
8/B
S=0.965である。
【0085】
実施例6
【0086】
所定の成分に応じて、重量%計でC:0.002%、Si:6.1%、Mn:0.3%、Al:0.07%、V:0.01%、Nb:0.05%、S:0.026%、N:0.020%、O:0.0012%を含み、残部はFe及び不可避的不純物からなる溶鋼を製錬した。
【0087】
ストリップ鋳造工程:溶鋼をゲートから、予熱温度が1250℃で、過熱度が50℃に制御されたタンディッシュに注入し、溶鋼がタンディッシュを通過してストリップ鋳造機に入り、回転の鋳造ロールと側部閉止板からなる晶析器内で溶融池を形成し、凝固して成形した。厚さは2.8mmである。
【0088】
鋳造ストリップがローラーから出た後、不活性雰囲気の条件下で、50~100℃/sの速度で1030℃まで冷却し、その後、熱間圧延を行い、圧延開始温度が1030℃、圧延仕上げ温度が940℃、圧下量が15%であり、熱間圧延鋳造ストリップを作成した。
【0089】
熱間圧延鋳造ストリップを20~30℃/sの速度でまで冷却し560℃巻き取り、その後、窒素ガス雰囲気の条件下で、低温熱間圧延/温間圧延を行い、圧延開始温度が760±5℃、圧延仕上げ温度が560℃、総圧下量が75%であり、温間圧延ストリップを作成した。
【0090】
温間圧延ストリップを酸洗してスケールを除去し、その後、100~200℃で5パスの冷間圧延を行い、総圧下量が80%であり、冷間圧延の過程において、時効処理を3回行い、時効処理温度が300℃、時間が300sであり、毎回の時効処理は連続する2パスの冷間圧延の間に行い、厚さが0.12mmの冷間圧延ストリップを得た。
【0091】
冷間圧延ストリップを850±10℃で再結晶焼鈍を行い、時間が160sであり、再結晶焼鈍は冷間圧延ストリップに窒素水素混合雰囲気の条件下で行い、混合雰囲気の露点を40℃に制御し、その後、MgOコーティングを塗布し、最後に巻き取り、コーティング冷間圧延ストリップを得た。窒素水素混合ガス雰囲気における水素ガスの体積濃度は30%である。
【0092】
コーティング冷間圧延ストリップを400±10℃の環状炉内に置き、水素ガスを流通させる条件下で、まず、30~40℃/hの速度で1000±10℃まで昇温し、その後、10~20℃/hの速度で1130±10℃まで昇温し、さらに30~40℃/hの速度で1230℃まで昇温し、24h保温して純化焼鈍を行った。
【0093】
純化焼鈍されたコーティング冷間圧延ストリップを素地調整して酸化スケールを除去し、さらに絶縁層を塗布し、その後、800±10℃で整地引張焼鈍を行い、最後に650℃以下まで空冷して巻き取り、配向性高ケイ素鋼を得た。磁気特性P
10/50が0.29W/kg、磁気特性P
10/400が7.5W/kg、磁気誘導B
8が1.74T、B
8/B
S=0.973である。
【0094】
実施例7
【0095】
所定の成分に応じて、重量%計でC:0.001%、Si:5.5%、Mn:0.22%、Al:0.11%、V:0.02%、Nb:0.05%、S:0.03%、N:0.010%、O:0.0018%を含み、残部はFe及び不可避的不純物からなる溶鋼を製錬した。
【0096】
ストリップ鋳造工程:溶鋼をゲートから、予熱温度が1200℃で、控制過熱度が20℃に制御されたタンディッシュに注入し、溶鋼がタンディッシュを通過してストリップ鋳造機に入り、回転の鋳造ロールと側部閉止板からなる晶析器内で溶融池を形成し、凝固して成形した。厚さは3.0mmである。
【0097】
鋳造ストリップがローラーから出た後、不活性雰囲気の条件下で、以50~100℃/sの速度でまで冷却し1050℃、その後、熱間圧延を行い、圧延開始温度1050℃、圧延仕上げ温度980℃、圧下量15%、熱間圧延鋳造ストリップを作成した。
【0098】
熱間圧延鋳造ストリップを20~30℃/sの速度で600℃まで冷却し巻き取り、その後、窒素ガス雰囲気の条件下で、低温熱間圧延/温間圧延を行い、圧延開始温度が760±5℃、圧延仕上げ温度が600℃、総圧下量が70%であり、温間圧延ストリップを作成した。
【0099】
温間圧延ストリップを酸洗してスケールを除去し、その後、100~200℃で6パスの冷間圧延を行い、総圧下量が76%であり、冷間圧延の過程において、時効処理を2回行い、時効処理温度が280℃、時間が280sであり、毎回の時効処理は連続する2パスの冷間圧延の間に行い、厚さが0.18mmの冷間圧延ストリップを得た。
【0100】
冷間圧延ストリップを850±10℃で再結晶焼鈍を行い、時間が140sであり、再結晶焼鈍は冷間圧延ストリップに窒素水素混合雰囲気の条件下で行い、混合雰囲気の露点を50℃に制御し、その後、MgOコーティングを塗布し、最後に巻き取り、コーティング冷間圧延ストリップを得た。窒素水素混合ガス雰囲気における水素ガスの体積濃度は30%である。
【0101】
コーティング冷間圧延ストリップを400±10℃の環状炉内に置き、水素ガスを流通させる条件下で、まず、30~40℃/hの速度で1000±10℃まで昇温し、その後、10~20℃/hの速度で1130±10℃まで昇温し、さらに30~40℃/hの速度で1240℃まで昇温し、20h保温して純化焼鈍を行った。
【0102】
純化焼鈍されたコーティング冷間圧延ストリップを素地調整して酸化スケールを除去し、さらに絶縁層を塗布し、その後、800±10℃で整地引張焼鈍を行い、最後に650℃以下まで空冷して巻き取り、配向性高ケイ素鋼を得た。磁気特性P
10/50が0.49W/kg、磁気特性P
10/400が7.8W/kg、磁気誘導B
8が1.77T、B
8/B
S=0.968である。
【0103】
実施例8
【0104】
所定の成分に応じて、重量%計でC:0.003%、Si:5.8%、Mn:0.29%、Al:0.06%、V:0.03%、Nb:0.05%、S:0.021%、N:0.017%、O:0.0016%を含み、残部はFe及び不可避的不純物からなる溶鋼を製錬した。
【0105】
ストリップ鋳造工程:溶鋼をゲートから、予熱温度が1220℃で、控制過熱度が30℃に制御されたタンディッシュに注入し、溶鋼がタンディッシュを通過してストリップ鋳造機に入り、回転の鋳造ロールと側部閉止板からなる晶析器内で溶融池を形成し、凝固して成形した。厚さは1.8mmである。
【0106】
鋳造ストリップがローラーから出た後、不活性雰囲気の条件下で、50~100℃/sの速度で1000℃まで冷却し、その後、熱間圧延を行い、圧延開始温度が1000℃、圧延仕上げ温度が900℃、圧下量が10%であり、熱間圧延鋳造ストリップを作成した。
【0107】
熱間圧延鋳造ストリップを20~30℃/sの速度で550℃まで冷却し巻き取り、その後、窒素ガス雰囲気の条件下で、低温熱間圧延/温間圧延を行い、圧延開始温度が760±5℃、圧延仕上げ温度が550℃、総圧下量が70%であり、温間圧延ストリップを作成した。
【0108】
温間圧延ストリップを酸洗してスケールを除去し、その後、100~200℃で7パスの冷間圧延を行い、総圧下量が70%であり、冷間圧延の過程において、時効処理3回行い、時効処理温度が320℃、時間が240sであり、毎回の時効処理は連続する2パスの冷間圧延の間に行い、厚さが0.15mmの冷間圧延ストリップを得た。
【0109】
冷間圧延ストリップを850±10℃で再結晶焼鈍を行い、時間が120sであり、再結晶焼鈍は冷間圧延ストリップに窒素水素混合雰囲気の条件下で行い、混合雰囲気の露点を60℃に制御し、その後、MgOコーティングを塗布し、最後に巻き取り、コーティング冷間圧延ストリップを得た。窒素水素混合ガス雰囲気における水素ガスの体積濃度は30%である。
【0110】
コーティング冷間圧延ストリップを400±10℃の環状炉内に置き、水素ガスを流通させる条件下で、まず、30~40℃/hの速度で1000±10℃まで昇温し、その後、10~20℃/hの速度で1130±10℃まで昇温し、さらに30~40℃/hの速度で1220℃まで昇温し、30h保温して純化焼鈍を行った。
【0111】
純化焼鈍されたコーティング冷間圧延ストリップを素地調整して酸化スケールを除去し、さらに絶縁層を塗布し、その後、800±10℃で整地引張焼鈍を行い、最後に650℃以下まで空冷して巻き取り、配向性高ケイ素鋼を得た。磁気特性P
10/50が0.37W/kg、磁気特性P
10/400が7.2W/kg、磁気誘導B
8が1.75T、B
8/B
S=0.970である。