特許第6208856号(P6208856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208856
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】回動支持の海洋タービン
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/26 20060101AFI20170925BHJP
   F03B 13/10 20060101ALI20170925BHJP
   F03B 17/06 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   F03B13/26
   F03B13/10
   F03B17/06
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-515756(P2016-515756)
(86)(22)【出願日】2014年5月24日
(65)【公表番号】特表2016-530424(P2016-530424A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】EP2014060751
(87)【国際公開番号】WO2014191331
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2016年1月25日
(31)【優先権主張番号】1355016
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515329665
【氏名又は名称】ウウエル エネルジー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141081
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 庸良
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】ジャン バティスト ドルベ
【審査官】 岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/123465(WO,A2)
【文献】 特表2010−502898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/26
F03B 13/10
F03B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れ(4)から機械的エネルギーを捕捉するように適合化されたエネルギー捕捉組立体(2)を備える、水流発電機(1)であって、
前記捕捉組立体(2)が、前記捕捉組立体(2)が沈められる流体の流れ方向に対して平行にエネルギー捕捉軸が延びるとき、前記捕捉組立体による機械的エネルギー捕捉の効率が最大であるような、好ましいエネルギー捕捉軸を有し、前記発電機が、前記捕捉組立体を保持するための、支持体(5)を有し、
前記発電機(1)が、前記支持体(5)に対して前記捕捉組立体(2)を操向するための、操向手段(6)を含み、
前記操向手段(6)が、前記支持体(5)の少なくとも1つの軸(7)の周りで前記捕捉組立体を回動させることによって、前記捕捉組立体(2)を操向させるように配置され
前記操向手段(6)が、また、前記支持体(5)に対する前記捕捉組立体(2)の基準角度位置(16)へ前記捕捉組立体を戻すための、弾性戻し手段(8)を含み、
前記操向手段(6)が、
前記捕捉組立体(2)が、流れ方向(4)を示す流体の流れの中に沈められ、前記流体の流れが所与の最低流速以上の流速であるとき、前記好ましいエネルギー捕捉軸(3)が前記流れ方向(4)に対して平行の向きになるように、
また、前記流体の流れが所与の最低流速を下回るとき、前記捕捉組立体(2)が前記支持体(5)に対する静止基準角度位置(16)に維持されるように、
前記支持体(5)に対して前記捕捉組立体を操向させるようにされている、
ことを特徴とする、
発電機。
【請求項2】
前記操向手段(6)が、前記所与の最低流速が0.4m/sを上回ると、直ちに前記操向を実施するように配置される、
請求項1に記載の発電機。
【請求項3】
前記捕捉組立体(2)が、
・流体の流れ(4)の中に沈められたとき、前記好ましいエネルギー捕捉軸(3)に一致するダイアフラムに沿った波の進行方向において、前記ダイアフラム(9)がうねるように配置された、ダイアフラム(9)と、
・前記ダイアフラム(9)の少なくとも上流端部(11)が取り付けられた、前記ダイアフラムの取付け部(10)と、
を備える、
請求項1又は2に記載の発電機。
【請求項4】
前記捕捉組立体(2)が、前記捕捉組立体(2)によって捕捉された機械的エネルギーの少なくとも一部を電気エネルギーへ変換するのに適するコンバータ(12)に結合される、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項5】
コンバータ(12)が、前記ダイアフラム(9)によって全体が保持され、前記ダイアフラム(9)に沿った波の進行方向における前記ダイアフラム(9)のうねり運動から、電気エネルギーを発生する、
請求項3又は4に記載の発電機。
【請求項6】
前記弾性戻し手段(8)が、第1の及び第2の戻しばね(8a、8b)を備え、第1の及び第2の戻しばね(8a、8b)の各々が、前記捕捉組立体(2)を前記基準角度位置(16)へ戻すように配置され、
前記発電機(1)が、更に、前記第1の及び第2のばね(8a、8b)を前記捕捉組立体(2)と結合するための、結合手段(13a、13b、13c)を含み、
前記結合手段が、
・前記捕捉組立体が支持軸(7)の周りで第1の回転方向(14)に回転することによって前記基準角度位置(16)から離れたとき、前記捕捉組立体(2)を前記基準角度位置(16)へ戻すのが、第1のばね(8a)であり、
・前記捕捉組立体が前記支持軸(7)の周りで前記第1の回転方向(14)と反対の第2の回転方向(15)に回転することによって前記基準角度位置(16)から離れたとき、前記捕捉組立体(2)を前記基準角度位置(16)へ戻すのが、第2のばね(8b)である、
という手段である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項7】
前記結合手段(13a、13b、13c)が、
・前記第1のばね(8a)が前記捕捉組立体(2)を前記基準角度位置(16)へ戻すとき、前記第2のばね(8b)を前記捕捉組立体(2)との結合から外し、
・前記第2のばね(8b)が前記捕捉組立体(2)を前記基準角度位置(16)へ戻すとき、前記第1のばね(8a)を前記捕捉組立体(2)との結合から外す、
ように配置される、
請求項6に記載の発電機。
【請求項8】
更に、前記支持体(5)に対する並進運動の案内を前記捕捉組立体(2)に与えるための手段(32)を含み、
前記並進運動の案内が、前記支持体(5)の前記軸に沿って行われ、
前記並進運動の案内を与えるための手段(32)が、前記支持体(5)に対して前記捕捉組立体(2)を懸架するための弾性懸架手段(33)を含む、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項9】
前記発電機が、更に、アンカー手段(35)を含み、前記アンカー手段(35)が、前記支持体(5)を海底の基礎(36)に固定できるようにし、かつ前記支持体が固定された前記海底の基礎(36)に対して前記支持体が回転するのを防止するように配置された、請求項1〜8のいずれか1項に記載の発電機(1)を使用する方法であって、
前記方法が、
前記捕捉組立体が前記支持体(5)に対して前記基準角度位置(16)に在るとき、前記好ましいエネルギー捕捉軸(3)が満ち潮時及び/又は引き潮時に海流の主流の方向に一致する流体の流れ方向(4’)に対して平行であるように、前記発電機の前記支持体を、前記海底の基礎の上に固定するステップを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流れから機械的エネルギーを収集するように配置された、水流発電機の一般的な分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、水などの流体の流れから機械的エネルギーを収集するように配置された水流発電機は、特許文献1から知られている。
【0003】
このような発電機の効率は、発電機が沈められる流体の流れ方向に対する発電機の向きに、大きく依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/012888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、エネルギー捕捉組立体(energy capture assembly)を流体の流れの中で操向(steer)できるようにする水流発電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、本発明は、水流発電機を提供し、この水流発電機は、エネルギー捕捉組立体を備え、このエネルギー捕捉組立体は、
・流体の流れから機械的エネルギーを捕捉するように適合化されたエネルギー捕捉組立体であって、捕捉組立体が、捕捉組立体が沈められる流体の流れ方向に対して平行にエネルギー捕捉軸が延びるとき、捕捉組立体による機械的エネルギー捕捉の効率が最大であるような、好ましいエネルギー捕捉軸を有する、エネルギー捕捉組立体であり、
この水流発電機は、更に、
・上述のエネルギー捕捉組立体を保持するための支持体
を備える。
【0007】
本発明の発電機は、基本的に、支持体に対してエネルギー捕捉組立体を操向するための操向手段を含むことを特徴とし、操向手段は、支持体の少なくとも1つの軸の周りでこの捕捉組立体を回動(pivot)させることによって、捕捉組立体を操向し、この捕捉組立体が流れ方向及び所与の最低流速を示す流体の流れに沈められたとき、エネルギー捕捉軸が流れ方向に対してほぼ平行の向きになるように操向を実施するように、配置される。操向手段は、また、支持体に対する捕捉組立体の基準角度位置へ捕捉組立体を戻すための、弾性戻し手段も含む。
【0008】
本発明を理解するために、「流れ方向に対してほぼ平行の向きの好ましいエネルギー捕捉軸」という表現が、流体の流れ方向に平行な方向に対して、好ましいエネルギー捕捉軸が、プラスマイナス20°、好ましくはプラスマイナス5°の範囲内である、ことを意味すると解釈すべきである。このような±20°の制限は、発電機が0.5メートル/秒(m/s)未満の低速の流れに配置されるときに、好ましい。また、±5°の制限は、発電機が高速、即ち0.5m/sを超える速度、の流れの中に配置されたときに選択されることが、好ましい。流れの中における好ましいエネルギー捕捉軸は、発電機及び発電機の支持体にかかるけん引力(drag force)によって操向されることが好ましく、支持体は、けん引力によって発生した操向効果を増すために、垂直パネルを含むことができる。けん引力は、流速の二乗で変化するので、操向の正確性が、流速の上昇に伴って増加する、ことが分かるであろう。流れが直線方向に流れるとき、流れは層流と見なされる、ことが分かるであろう。
【0009】
本発明の操向手段ゆえに、捕捉組立体が、流体の層流に沈められ、流体が所与の最低流速以上の速度で直線状の流れ方向を示すとき、捕捉組立体は、捕捉組立体の好ましいエネルギー捕捉軸が流れ方向に対してほぼ平行の、流れの方向を占めるように操向される。
【0010】
所与の最低速度は、操向手段が捕捉組立体を流れ方向に対して操向できるのに必要な流速、又は、捕捉組立体を流れ方向に対して操向すべきである流速、であるように選択され、この操向は、好ましいエネルギー捕捉軸が流れ方向に対してほぼ平行であり、従って流れの軸に対してほぼ平行であるようにする。
【0011】
所与の最低流速を下回る場合、操向手段は、捕捉組立体を、支持体に対する静止基準位置に維持する。この角度基準位置は、どのような流れ方向にも無関係である。
【0012】
この捕捉組立体は、流体の流れの中で、操向手段によって操向され、操向手段は、捕捉組立体と協働して、操向を実施するために、流れ方向及び流速の両方を考慮する。従って、流速が充分である限り、操向手段は、流れ方向が変化しても及び/又は逆行しても、エネルギー捕捉軸が流れの方向になるように、捕捉組立体を操向する。
【0013】
操向手段は、捕捉組立体を流れ方向に操向させることによって、流れから捕捉される機械的エネルギーの量を最適化することができ、特に、流れが、所与の最低速度を上回り、方向を変化させる段階において、流れから捕捉される機械的エネルギーの量を最適化することができる。
【0014】
特定の状況において、特に、流体の流れが交互に上昇し降下する潮流に関連付けられる場合、潮流の方向が逆転する時点で、流れ方向の変化が流速の低下を伴うことが、観測されている。流れが再び安定した流れ方向を獲得すると、流速も増加する。捕捉組立体を支持体に対する基準角度位置へ戻す弾性戻し手段を使用することによって、本発明は、流体の流速が設定最低速度より低下すると、直ちに、捕捉組立体を設定基準角度位置へ操向できるようにする。
【0015】
理想的には、本発明の発電機は、支持体に対して基準位置にある捕捉組立体の好ましいエネルギー捕捉軸が、海底の基礎の所与のエリアに関して知られている安定化した流れ方向に対して平行に整列するように、設置される。この既知の流れ方向は、引き潮の開始時又は満ち潮の開始時に流れが確定する方向であることが好ましい。
【0016】
流れが満ち潮の方向に流れる満ち潮と、次に、別の方向に流れる引き潮と、を含むサイクルにおいて、本発明は、引き潮の流速が捕捉組立体を引き潮方向へ操向するのに充分な速度になる前であっても、捕捉組立体を、捕捉組立体の基準位置、例えば引き潮方向に一致する位置、に位置付けられるようにする。
【0017】
潮の干満サイクルにおいて、干満サイクルの時間の約四分の一は、流れが下記の流速を示す、潮だるみに相当する。即ち、
・捕捉組立体を操向するのに不充分な速度であるが、
・しかし、捕捉組立体が流れの中で適切な向きである限り、捕捉組立体が機械的エネルギーを捕捉できるようにするのに充分な速度
【0018】
弾性戻し手段によって、本発明は、潮流が逆転したら直ちに捕捉組立体が引き潮の流れからエネルギーを捕捉し始めるように捕捉組立体を操向できるようにする。
【0019】
本発明の発電機が、海底の基礎に対して適切に設置される場合、本発明の発電機のシンプルな弾性手段は、満ち潮引き潮の1サイクルにおいて機械的エネルギーを捕捉することができる潜在的な期間を、増加することを可能にする。
【0020】
これらすべての理由により、本発明は、満干のサイクルにおけるエネルギー捕捉の効率の全体的な改善を可能にする。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、操向手段は、所与の最低流速が0.4m/sを上回ると直ちに流れ方向に対して捕捉組立体を操向するように配置される。言い換えると、操向手段は、流速が0.4m/s未満である限り、捕捉組立体を基準角度位置に維持するように配置される。最低速度を上回ると、操向手段は、流れ方向に応じて流れの中で捕捉組立体を操向する。
【0022】
本発明の実施形態において、発電機は、組立体が流体の流れの中に沈められたとき、けん引力を発生する手段を含み、このけん引力発生手段は、けん引力が操向手段の上にトルクを発生して、捕捉組立体を、エネルギー捕捉軸が流れ方向に対してほぼ平行に延びるように操向させる、ように配置される。
【0023】
上述のけん引力発生手段は、
・捕捉組立体の羽根を形成する要素、例えば、以下に説明する捕捉組立体の、うねるダイアフラムなど、及び/又は
・操向手段の羽根を形成する要素、例えば、操向手段から支持軸に対して平行に延びる羽根など、
を備えることができる。
【0024】
流れの中での捕捉組立体の操向を促進するために、操向手段は、流れの中に沈められた捕捉組立体の上に発生したけん引力が支持軸の周りにトルクを発生して、捕捉組立体の好ましいエネルギー捕捉軸を流れ方向に対してほぼ平行にするように捕捉組立体を操向するように、配置されなければならない。
【0025】
本発明は、本発明のいずれかの実施形態に従った発電機を使用する方法も提供する。発電機は、更に、支持体を海底の基礎に固定して、支持体が固定された海底の基礎に対して支持体が回転するのを防止できるように配置された、支持体を固定するためのアンカー手段を含む。
【0026】
本発明の方法は、基本的に、捕捉組立体が支持体に対して基準角度位置にあるとき好ましいエネルギー捕捉軸が流体の流れ方向に対してほぼ平行であるように海底の基礎に発電機の支持体を固定するステップを含むことを特徴とする。流体の流れ方向は、満ち潮時及び/又は引き潮時の海流の主流の方向に一致する。
【0027】
本発明を理解する際、「好ましいエネルギー捕捉軸は、流体の流れ方向に対してほぼ平行である」という表現は、好ましい捕捉軸が流れ方向の±20°の範囲内で平行であることを意味する。流速が充分に高いときすなわち所与の最低速度を上回るとき、捕捉組立体は、好ましいエネルギー捕捉軸が流れ方向に対してほぼ平行であるように操向手段によって操向される。流速が所与の流速を下回るとき、すなわち、所与の流速は一般的に約0.4m/sであるが、流速がこの値を下回るとき、捕捉組立体は、捕捉組立体が支持体に対して基準角度位置になるように回動され、このとき、好ましいエネルギー捕捉軸は、満ち潮及び/又は引き潮の開始時の流れに一致する来たるべき主流の方向に対して、ほぼ平行となる。
【0028】
弾性戻し手段を備えた本発明の発電機は、「潮流配分図(current rose)」を描いたときに潮流の方向と大きさが変化する環境の中に、設置されるのに、特に適している。
【0029】
流れが方向をほとんど変えない場所での応用、例えば海流又は川の流れなどにおける応用、に関しては、操向手段は、比較的弱い弾性戻し特性を持つ弾性戻し手段、を備えればよい。従って、特定の実施形態において、弾性戻し手段の剛性、及び/又は弾性戻し手段のプレストレス値を、発電機が設置される場所の流れのタイプに応じて選択するように、配置を行うことができる。本発明の特定の実施形態において、調節手段を配置して、弾性手段の剛性、及び/又は弾性手段のプレストレス力、などの弾性戻し特性を、変えることができる。
【0030】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して非限定的に示す下記の説明から明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】流体の層流の中に沈められたときの本発明の水流発電機の斜視図である。
図2】エネルギー捕捉組立体の一部を形成する、うねるダイアフラムを除いた、図1の発電機を示す。
図3図1のエネルギー捕捉組立体の一部を示し、この部分は、第一に、うねるダイアフラムを保持し、第二に、操向手段の操向可能部分の上に組み立てられる、ように働く。
図4図1の発電機の支持体及び操向手段を示し、この操向手段は、図3に示すエネルギー捕捉組立体の一部を支持するように配置される。
図5図1の支持体の一部及び操向手段の一部を、支持軸を含む平面での断面で示す。
図6】本発明の発電機の操向手段の、支持軸を含む断面での断面図である。
図7図6の操向手段の、支持軸を含む断面での分解断面図である。
図8】本発明の発電機の操向手段の一部の分解斜視図であり、この部分は、支持体に対して捕捉組立体を戻すための弾性戻し手段を与える。
図9図8の操向手段の一部が組み立てられたときの、斜視図である。
図10】エネルギー捕捉組立体を操向するために必要なトルクを、原点の周りでの操向角度θの関数として示し、原点は、支持体に対する捕捉組立体の基準角度位置に一致する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
上述のように、本発明は、図1に示す水流発電機であって図2〜9に示す構成部品を有する水流発電機に関する。
【0033】
発電機1は、流れ方向4を示す液体流体の流れから機械的エネルギーを捕捉するように適合化されたエネルギー捕捉組立体2を備える。
【0034】
捕捉組立体2は、捕捉組立体によって流れから機械的エネルギーを捕捉する際の効率が、捕捉組立体2が沈められる流体の流れ方向4に対してエネルギー捕捉軸3が平行である時最大であるような、好ましいエネルギー捕捉軸3を有する。
【0035】
また、発電機1は、捕捉組立体2を保持するための支持体5と、支持体5に対して捕捉組立体2を操向するための操向手段6と、を有する。操向手段6は、組立体2と協働して、支持軸7の周りで回動することによって、組立体を操向するように配置され、支持軸7は、垂直向きであることが好ましい。
【0036】
操向手段は、第一に支持体5に、第二に捕捉組立体2に接続されて、好ましいエネルギー捕捉軸が流れ方向4に対してほぼ平行に延びるように、流れ方向4及び所与の最低流速を示す流体の流れの中に沈められた組立体2を、操向する。
【0037】
また、操向手段6は、捕捉組立体2を支持体5に対する捕捉組立体2の基準角度位置16へ戻すための、弾性戻し手段も含む。
【0038】
従って、本発明によって、下記のことが可能になる。即ち、
・第一に、流速が充分になると、即ち設定最低速度を上回ると、直ちに流体の流れの中で捕捉組立体を操向する。ここで設定最低速度とは、これを上回る速度において、流れが実際に効果的な又は確定した流れ方向を示すと見なされる速度である。
・第二に、流速が遅すぎて流れ方向4が実際に確定されたと見なされない場合には、直ちに捕捉組立体を基準位置へ強制的に戻す。
【0039】
更に、弾性戻し手段8は、捕捉組立体2を、捕捉組立体2の基準位置16へ、強制的に戻すように配置されるので、弾性戻し手段8は、流速が所与の及び/又は設定された最低流速を下回る限り、捕捉組立体2が捕捉組立体2の基準位置から離れるのを妨げる。
【0040】
捕捉組立体が確実に操向されるようにするために、流れ方向4が明確に確定し、充分な流速を示す必要がある。言い換えると、捕捉組立体が、流れ方向4がはっきりと定まっていない及び/又は速度が充分でない乱流を受ける限り、弾性手段8は、流れが充分な速度を示し、流れの方向が明確に確定した方向を示すまで、捕捉組立体2を、基準角度位置16に維持する。
【0041】
所与の最低速度は、0.4m/sに選択される。例えば、発電機は、最低速度の値を調節するための機械式又は電気機械式の調節手段を持つことができ、最低速度を上回る速度において、好ましいエネルギー捕捉軸3は、流れ方向に平行になるように操向される。
【0042】
操向手段6は、流れが層流であり所与の最低速度を上回ったら、直ちに、最小レベルのトルクが、捕捉組立体を、基準角度位置から離れる方向に回動させる、ように配置される。この最小トルクCminを、図10に示す。図10には、支持体5と捕捉組立体2との間に働く、支持軸7の周りのトルクCが、絶対値において、設定最小トルクの絶対値Cminより大きくない限り、捕捉組立体2が、捕捉組立体2の設定された角度位置16に留まり、設定された角度位置16において、設定角度位置16に対するエネルギー捕捉軸3の好ましい操向角度θが、θ=0°であることが、示されている。
【0043】
支持体5と捕捉組立体2との間に働く、支持軸7の周りのトルクCが、絶対値において、設定最小トルクCminの絶対値より大きくなったとき、捕捉組立体2は、支持軸7の周りで、捕捉組立体2の基準位置16から離れるように回動し始める。
【0044】
トルクCの絶対値が、設定最小トルクCminの絶対値を上回ると、直ちに、操向角度θは、トルクCの関数として、線形に変化する。角度θの関数としてのトルクの、この線形変化が、基準位置16の両側で対称である、ことが分かる。
【0045】
捕捉組立体2の第1の回転方向14における角度θの関数としてのトルクCの線形変化の係数は、弾性手段8の一部を形成する第1のばね8aに固有の、剛性の関数である。
【0046】
同様に、捕捉組立体2の第2の回転方向15における角度θの関数としてのトルクCの線形変化の係数は、弾性手段8の一部を形成する第2のばね8bに固有の、剛性の関数である。
【0047】
図1から分かるように、エネルギー捕捉組立体2は、流体の流れの中に沈められたとき、うねるように配置された、ダイアフラム9を有する。このうねりは、好ましいエネルギー捕捉軸3に一致するダイアフラムの波形の進行方向において生じる。ダイアフラム自体は、例えば特許文献1から既知である。図1から分かるように、ダイアフラムは、ダイアフラムの上流端部11に接続された少なくとも1つの前縁フィン21を持つことができ、ダイアフラムは、上流端部11が上流端部11に直交する回動軸23の周りで回動するように、ダイアフラムの前縁を形成する。この前縁フィン21は、流れにおけるダイアフラム9のうねり運動の開始を促すのに役立つ。同様に、ダイアフラムは、ダイアフラムの下流端部に接続された後縁フィン22を持つことができ、後縁フィンは、後縁を通り回動軸23に平行の、別の軸の周りで回動するように、後縁においてダイアフラムを形成するように配置される。後縁フィン22は、ダイアフラムが流れ方向4に延びるように促す。これらの前縁フィン21及び後縁フィン22は、好ましいエネルギー捕捉軸3の周りでダイアフラムが捩れ始めようとするのを制限するのに役立つ。
【0048】
捕捉組立体2は、ダイアフラムの取付け部10を含み、ダイアフラムは、ダイアフラム9の上流端部11を有し、ダイアフラム9の上流端部11は、可撓性接続部を介して取付け部10に取り付けられる。
【0049】
ダイアフラム9は、このようにして取付け部10とのこの接続場所において回動軸23の周りで回動できる。回動軸は、支持軸7に対してほぼ直交する。回動軸23の周りでのこの回動の効果を受けて、ダイアフラムは、回動軸23に対して平行な直線軸である曲率の軸の周りで湾曲する。ダイアフラム9は、流れの中でうねり、常に正弦曲線の形状を取ることが分かる。図1から分かるように、捕捉組立体は、ダイアフラムの下流エッジからダイアフラムの上流端部が離れるのを制限するための制限手段50a、50bを含むことができる。これらの制限手段50a、50bは、ダイアフラムが平面状に伸展できず、ダイアフラムの上流エッジと下流エッジをダイアフラムの全長より小さい最大距離だけ離間した状態に維持するように、配置される。このように、ダイアフラムは、必ず、流れの流れ方向において湾曲を示し、それによって、流れの中でのうねりを強調する。制限手段50a、50bは、ダイアフラムの両側に配置された可撓性接続部であり、ダイアフラムの側部エッジに平行に延びる。これらの接続部の各々の一方の端部は上流エッジに締結され、他方の端部はダイアフラムの下流エッジに締結される。
【0050】
捕捉組立体2は、捕捉組立体2によって捕捉された機械的エネルギーの少なくとも一部を電気エネルギーへ変換するための、コンバータ12に結合される。この例において、コンバータ12は、波の進行方向におけるダイアフラムのうねり運動から電気エネルギーを発生するように、全体がダイアフラム9によって保持される。典型的には、コンバータ12は、複数の永久磁石及び複数のコイルの形式であり、ダイアフラムがうねる間、永久磁石がコイルに対して移動して、コイルの中に電流を誘導するように、ダイアフラム9に接続される。
【0051】
これらのコイルは、コイルの中で誘導された電流が収集され、配電網へ送られるように、導体に電気接続される。
【0052】
上述のように、図5、6、7、8及び9に示す操向手段は、この例においては第1の及び第2の戻しコイルばね8a及び8bによって構成される、弾性戻し手段8を有する。これらのばねは、操向手段6の回転ハウジング24の中に組み込まれる。
【0053】
これらのばね8a、8bの各々は、捕捉組立体2を基準角度位置16へ戻すように配置される。第1の及び第2のばね8a及び8bを、捕捉組立体2と結合するための、結合手段13a及び13bは、これらのばね8a及び8bのうち、
・支持軸7の周りで第1の回転方向14に操向角度θ回転することによって捕捉組立体2が基準位置16から離れたとき、捕捉組立体2を、捕捉組立体2の基準位置16へ戻すのが、第1のばね8aのみであり、
・支持軸7の周りで第1の回転方向14と反対の第2の回転方向15に回転することによって捕捉組立体2が基準位置16から離れたとき、捕捉組立体2を、捕捉組立体2の基準位置16へ戻すのが、第2のばね8bのみである、
ように形成される。
【0054】
第1の及び第2の結合手段13a及び13bの各々は、第1の結合手段13aのための角度当接部25a及び第2の結合手段13bのための角度当接部25bを有する、環状リングの形状を持つ。
【0055】
操向手段6は、
・捕捉組立体2と一緒に回転するように拘束された第3の環状リング13cと、
・支持体5と一緒に回転するように拘束された第4の環状リング26a及び第5の環状リング26bと、
を有する。
【0056】
第3の環状リング13cは、角度当接部27a及び27bを備える。第3のリング13cの当接部27aは、捕捉組立体2が支持軸7の周りで支持体5に対して第1の回転方向14に回動したとき、リング13aの角度当接部25aに当接するように配置される。ここで、リング13aを、第1の結合手段13aと呼ぶ。
【0057】
第3のリング13cの当接部27bは、捕捉組立体2が支持軸7の周りで支持体5に対して第2の回転方向15に回動したとき、リング13bの角度当接部25bに当接するように配置される。ここで、この第2の回転方向15は、第1の回転方向14の反対方向である。また、リング13bを、第2の結合手段13bと呼ぶ。
【0058】
第1の戻しばね8aの一方の端部8a1は、リング13aに結合され、別の端部8a2は、第4のリング26aに結合されるので、基準角度位置16から第1の回転方向14に回転するとき、捕捉組立体2が、捕捉組立体2の基準角度位置16から離れるのを妨げるように作用するのは、第1のばね8aである。このような、捕捉組立体2の、支持体5に対する角度位置16から第1の回転方向14への回動において、第2の結合手段13bが第2の角度当接部25cを角度当接部26b1と係合させ、角度当接部26b1が、支持体に対して静止的な第5のリング26bに形成されているので、第2のばね8bは、第3のリング13cから外れる。この角度当接部26b1は、第2の結合手段13bが支持体5に対して第1の回転方向14に、基準位置16を越えて回動するのを妨げるように配置される。
【0059】
第2の戻しばね8bの一方の端部8b1はリング13bに結合され、別の端部8b2は第5のリング26bに結合されるので、基準角度位置16から第2の回転方向15に回転するとき、捕捉組立体2が、捕捉組立体2の基準角度位置16から離れるのを妨げるように作用するのは、第2のばね8bである。このような、捕捉組立体2の、支持体5に対する角度位置16から第2の回転方向15への回動において、第1の結合手段13bが第2の角度当接部25bを角度当接部26a1と係合させ、角度当接部26a1が、同様に支持体に対して静止的な第4のリング26aに形成されているので、第1のばね8aは、第3のリング13cから外れる。この角度当接部26a1は、第1の結合手段13aが支持体5に対して第2の回転方向15に基準位置16を越えて回動するのを妨げるように配置される。
【0060】
リング13a、13b、13c、26a、26bの各々、及び、ばね8a及び8bの各々は、操向手段の内部環状チューブ28の周りに配置され、このチューブ28は、支持軸7の周りに延在し、支持体5に固定される。第4のリング26a及び第5のリング26bは、支持体5に対する回転において拘束されるように、チューブ28に固定される。第4のリングは、ワッシャ40によってチューブ28に固定される。
【0061】
リング13a、13b、13c、26a、26bの周り、及び、ばね8a及び8bの各々の周りに延在する、操向手段6の回転ハウジング24は、まず第3のリング13cと一緒に、次に捕捉組立体2と一緒に、回転軸7の周りで回転するように拘束される。
【0062】
第3のリング13cは、ハウジングの貫通孔41を通って第3のリング13cにねじ込まれる周辺の複数のねじを介して、回転ハウジング24に固定される。
【0063】
回転ハウジング24及びチューブ28は、操向手段6の外側カバーを形成し、操向手段6の外部からの衝撃から、ばね8a及び8bを保護できるようにする。
【0064】
最後に、図7から分かるように、操向手段の第6の摩擦リング29a及び第7の摩擦リング29bの各々は、支持軸の周り、従ってチューブ8の周り、に配置される。
【0065】
第6の摩擦リング29aは、支持体5に対する捕捉組立体2の回動時に、リング13cと回転ハウジング24との間の軸方向の(即ち軸7に沿った)摩擦を制限するように、軸方向に、回転ハウジング24の内面24aと、第3のリング13cの第1の面13c1と、の間に配置される。
【0066】
第7の摩擦リング29bは、支持体5に対する捕捉組立体2の回動時に、リング13cとチューブ28との間の軸方向の摩擦を制限するように、軸方向に、チューブ28の内部軸面28aと、第3のリング13cの第2の面13c2と、の間に配置される。
【0067】
ハウジング24を、捕捉組立体2と一緒の回転において拘束するために、ハウジング24の外面に形成されたスタッド30a及び30bが使用される。これらのスタッド30a及び30bは、捕捉組立体2の剛性面に形成されたそれぞれの相補的凹部31a及び31bに係合するように配置される。捕捉組立体2の剛性面をハウジング24に押圧するために、締付けねじが設置される。このようにして、操向手段6は、スタッド30a、30bを、相補的凹部31a、31bへ挿入し、次に、ねじを用いて、捕捉組立体2をハウジング24に締め付けるだけで、捕捉組立体と組み立てられる。これらのスタッドは、操向手段6と捕捉組立体2との間に1つだけ可能な組立位置を持てるようにする、キー方式の手段を構成するように、配置することができる。これによって、支持体5が固定され操向される海洋環境において、好ましいエネルギー捕捉軸が誤った向きになるのを回避する。これによって、例えば捕捉組立体2が保守のために外されるとき、発電機の保守を大幅に容易にする。
【0068】
理想的には、操向手段6は、支持体に対する捕捉組立体2の回転を基準角度位置16の周り180°以下に制限するように、配置される。この目的で、リング13aの第3の当接部25d’は、捕捉組立体2が、捕捉組立体2の基準角度位置から第1の回転方向14に約170°〜180°回動したとき、第2の当接部26a1’に当接するように、配置される。同様に、リング13bの第3の当接部25c’は、捕捉組立体2が、捕捉組立体2の基準角度位置16から第2の回転方向15に約170°〜180°回動したとき、第2の当接部26b1’に当接するように、配置される。
【0069】
このように実現されることによって、操向手段は、ばね8a及び8bの捩れ及び損傷を制限しながら、両方の操向方向14及び15において同等の操向を実施することができる。
【0070】
図5に示すように、発電機は、並進の案内を与える手段32を備えることができ、案内は、この例においては、ハウジング24に固定的に組み立てられ、かつハウジング24の内面24aから支持軸7に沿って支持体5へ向かって延びる、チューブによって構成される。ハウジング24に固定されたこのチューブ32は、支持体5に固定されるチューブ28内部を通過する。
【0071】
並進の案内を与えるためのこれらの手段32は、支持体5に対して捕捉組立体2を弾性的に懸架するための手段33を含む。この例において、これらの弾性懸架手段33は、チューブ32の外部で、支持体5の一部を形成するチューブ34の内部に、延び、軸7に沿って延びる、圧縮ばねを備える。圧縮ばねは、第3のリング13cの両面に対する軸方向の力を制限するように、ハウジング24をチューブ28から離れるように動かそうとし、それによって、支持体5に対する捕捉組立体2の回転を妨げる摩擦を制限する。
【0072】
特に図1から分かるように、発電機は、支持体5を固定するためのアンカー手段35も備える。アンカー手段は、支持体5を、海底の基礎36に固定して、支持体5が固定される海底の基礎36に対して支持体が回転するのを防止できるように配置される。
【0073】
これらのアンカー手段35は、図1に示すように、海底の基礎36へ押し込まれる剛性手段だけを備えればよい。
【0074】
或いは、図示しない実施形態において、支持体がフロートを有する支持体である場合、アンカー手段35は、まず海底の基礎36に固定的に接続され、次に、浮遊支持体に接続されて、浮遊支持体を、海底の基礎に対して回動できなくする、可撓性ラインを備えることができる。あらゆる状況において、アンカー手段は、支持体が海底の基礎から延びる垂直軸の周りで海底の基礎36に対して回動できなくするように、配置される。これによって、基準位置16を、海底の基礎36に対して固定された方向へ向けることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10