【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、本発明は、水流発電機を提供し、この水流発電機は、エネルギー捕捉組立体を備え、このエネルギー捕捉組立体は、
・流体の流れから機械的エネルギーを捕捉するように適合化されたエネルギー捕捉組立体であって、捕捉組立体が、捕捉組立体が沈められる流体の流れ方向に対して平行にエネルギー捕捉軸が延びるとき、捕捉組立体による機械的エネルギー捕捉の効率が最大であるような、好ましいエネルギー捕捉軸を有する、エネルギー捕捉組立体であり、
この水流発電機は、更に、
・上述のエネルギー捕捉組立体を保持するための支持体
を備える。
【0007】
本発明の発電機は、基本的に、支持体に対してエネルギー捕捉組立体を操向するための操向手段を含むことを特徴とし、操向手段は、支持体の少なくとも1つの軸の周りでこの捕捉組立体を回動(pivot)させることによって、捕捉組立体を操向し、この捕捉組立体が流れ方向及び所与の最低流速を示す流体の流れに沈められたとき、エネルギー捕捉軸が流れ方向に対してほぼ平行の向きになるように操向を実施するように、配置される。操向手段は、また、支持体に対する捕捉組立体の基準角度位置へ捕捉組立体を戻すための、弾性戻し手段も含む。
【0008】
本発明を理解するために、「流れ方向に対してほぼ平行の向きの好ましいエネルギー捕捉軸」という表現が、流体の流れ方向に平行な方向に対して、好ましいエネルギー捕捉軸が、プラスマイナス20°、好ましくはプラスマイナス5°の範囲内である、ことを意味すると解釈すべきである。このような±20°の制限は、発電機が0.5メートル/秒(m/s)未満の低速の流れに配置されるときに、好ましい。また、±5°の制限は、発電機が高速、即ち0.5m/sを超える速度、の流れの中に配置されたときに選択されることが、好ましい。流れの中における好ましいエネルギー捕捉軸は、発電機及び発電機の支持体にかかるけん引力(drag force)によって操向されることが好ましく、支持体は、けん引力によって発生した操向効果を増すために、垂直パネルを含むことができる。けん引力は、流速の二乗で変化するので、操向の正確性が、流速の上昇に伴って増加する、ことが分かるであろう。流れが直線方向に流れるとき、流れは層流と見なされる、ことが分かるであろう。
【0009】
本発明の操向手段ゆえに、捕捉組立体が、流体の層流に沈められ、流体が所与の最低流速以上の速度で直線状の流れ方向を示すとき、捕捉組立体は、捕捉組立体の好ましいエネルギー捕捉軸が流れ方向に対してほぼ平行の、流れの方向を占めるように操向される。
【0010】
所与の最低速度は、操向手段が捕捉組立体を流れ方向に対して操向できるのに必要な流速、又は、捕捉組立体を流れ方向に対して操向すべきである流速、であるように選択され、この操向は、好ましいエネルギー捕捉軸が流れ方向に対してほぼ平行であり、従って流れの軸に対してほぼ平行であるようにする。
【0011】
所与の最低流速を下回る場合、操向手段は、捕捉組立体を、支持体に対する静止基準位置に維持する。この角度基準位置は、どのような流れ方向にも無関係である。
【0012】
この捕捉組立体は、流体の流れの中で、操向手段によって操向され、操向手段は、捕捉組立体と協働して、操向を実施するために、流れ方向及び流速の両方を考慮する。従って、流速が充分である限り、操向手段は、流れ方向が変化しても及び/又は逆行しても、エネルギー捕捉軸が流れの方向になるように、捕捉組立体を操向する。
【0013】
操向手段は、捕捉組立体を流れ方向に操向させることによって、流れから捕捉される機械的エネルギーの量を最適化することができ、特に、流れが、所与の最低速度を上回り、方向を変化させる段階において、流れから捕捉される機械的エネルギーの量を最適化することができる。
【0014】
特定の状況において、特に、流体の流れが交互に上昇し降下する潮流に関連付けられる場合、潮流の方向が逆転する時点で、流れ方向の変化が流速の低下を伴うことが、観測されている。流れが再び安定した流れ方向を獲得すると、流速も増加する。捕捉組立体を支持体に対する基準角度位置へ戻す弾性戻し手段を使用することによって、本発明は、流体の流速が設定最低速度より低下すると、直ちに、捕捉組立体を設定基準角度位置へ操向できるようにする。
【0015】
理想的には、本発明の発電機は、支持体に対して基準位置にある捕捉組立体の好ましいエネルギー捕捉軸が、海底の基礎の所与のエリアに関して知られている安定化した流れ方向に対して平行に整列するように、設置される。この既知の流れ方向は、引き潮の開始時又は満ち潮の開始時に流れが確定する方向であることが好ましい。
【0016】
流れが満ち潮の方向に流れる満ち潮と、次に、別の方向に流れる引き潮と、を含むサイクルにおいて、本発明は、引き潮の流速が捕捉組立体を引き潮方向へ操向するのに充分な速度になる前であっても、捕捉組立体を、捕捉組立体の基準位置、例えば引き潮方向に一致する位置、に位置付けられるようにする。
【0017】
潮の干満サイクルにおいて、干満サイクルの時間の約四分の一は、流れが下記の流速を示す、潮だるみに相当する。即ち、
・捕捉組立体を操向するのに不充分な速度であるが、
・しかし、捕捉組立体が流れの中で適切な向きである限り、捕捉組立体が機械的エネルギーを捕捉できるようにするのに充分な速度
【0018】
弾性戻し手段によって、本発明は、潮流が逆転したら直ちに捕捉組立体が引き潮の流れからエネルギーを捕捉し始めるように捕捉組立体を操向できるようにする。
【0019】
本発明の発電機が、海底の基礎に対して適切に設置される場合、本発明の発電機のシンプルな弾性手段は、満ち潮引き潮の1サイクルにおいて機械的エネルギーを捕捉することができる潜在的な期間を、増加することを可能にする。
【0020】
これらすべての理由により、本発明は、満干のサイクルにおけるエネルギー捕捉の効率の全体的な改善を可能にする。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、操向手段は、所与の最低流速が0.4m/sを上回ると直ちに流れ方向に対して捕捉組立体を操向するように配置される。言い換えると、操向手段は、流速が0.4m/s未満である限り、捕捉組立体を基準角度位置に維持するように配置される。最低速度を上回ると、操向手段は、流れ方向に応じて流れの中で捕捉組立体を操向する。
【0022】
本発明の実施形態において、発電機は、組立体が流体の流れの中に沈められたとき、けん引力を発生する手段を含み、このけん引力発生手段は、けん引力が操向手段の上にトルクを発生して、捕捉組立体を、エネルギー捕捉軸が流れ方向に対してほぼ平行に延びるように操向させる、ように配置される。
【0023】
上述のけん引力発生手段は、
・捕捉組立体の羽根を形成する要素、例えば、以下に説明する捕捉組立体の、うねるダイアフラムなど、及び/又は
・操向手段の羽根を形成する要素、例えば、操向手段から支持軸に対して平行に延びる羽根など、
を備えることができる。
【0024】
流れの中での捕捉組立体の操向を促進するために、操向手段は、流れの中に沈められた捕捉組立体の上に発生したけん引力が支持軸の周りにトルクを発生して、捕捉組立体の好ましいエネルギー捕捉軸を流れ方向に対してほぼ平行にするように捕捉組立体を操向するように、配置されなければならない。
【0025】
本発明は、本発明のいずれかの実施形態に従った発電機を使用する方法も提供する。発電機は、更に、支持体を海底の基礎に固定して、支持体が固定された海底の基礎に対して支持体が回転するのを防止できるように配置された、支持体を固定するためのアンカー手段を含む。
【0026】
本発明の方法は、基本的に、捕捉組立体が支持体に対して基準角度位置にあるとき好ましいエネルギー捕捉軸が流体の流れ方向に対してほぼ平行であるように海底の基礎に発電機の支持体を固定するステップを含むことを特徴とする。流体の流れ方向は、満ち潮時及び/又は引き潮時の海流の主流の方向に一致する。
【0027】
本発明を理解する際、「好ましいエネルギー捕捉軸は、流体の流れ方向に対してほぼ平行である」という表現は、好ましい捕捉軸が流れ方向の±20°の範囲内で平行であることを意味する。流速が充分に高いときすなわち所与の最低速度を上回るとき、捕捉組立体は、好ましいエネルギー捕捉軸が流れ方向に対してほぼ平行であるように操向手段によって操向される。流速が所与の流速を下回るとき、すなわち、所与の流速は一般的に約0.4m/sであるが、流速がこの値を下回るとき、捕捉組立体は、捕捉組立体が支持体に対して基準角度位置になるように回動され、このとき、好ましいエネルギー捕捉軸は、満ち潮及び/又は引き潮の開始時の流れに一致する来たるべき主流の方向に対して、ほぼ平行となる。
【0028】
弾性戻し手段を備えた本発明の発電機は、「潮流配分図(current rose)」を描いたときに潮流の方向と大きさが変化する環境の中に、設置されるのに、特に適している。
【0029】
流れが方向をほとんど変えない場所での応用、例えば海流又は川の流れなどにおける応用、に関しては、操向手段は、比較的弱い弾性戻し特性を持つ弾性戻し手段、を備えればよい。従って、特定の実施形態において、弾性戻し手段の剛性、及び/又は弾性戻し手段のプレストレス値を、発電機が設置される場所の流れのタイプに応じて選択するように、配置を行うことができる。本発明の特定の実施形態において、調節手段を配置して、弾性手段の剛性、及び/又は弾性手段のプレストレス力、などの弾性戻し特性を、変えることができる。
【0030】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して非限定的に示す下記の説明から明確になる。