特許第6208857号(P6208857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6208857近接場スピーカベースのオーディオシステム用のサウンドステージコントローラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208857
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】近接場スピーカベースのオーディオシステム用のサウンドステージコントローラ
(51)【国際特許分類】
   H04S 7/00 20060101AFI20170925BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20170925BHJP
   B60R 11/02 20060101ALN20170925BHJP
【FI】
   H04S7/00 320
   H04R1/02 102B
   !B60R11/02 S
【請求項の数】16
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-516690(P2016-516690)
(86)(22)【出願日】2014年5月19日
(65)【公表番号】特表2016-526345(P2016-526345A)
(43)【公表日】2016年9月1日
(86)【国際出願番号】US2014038593
(87)【国際公開番号】WO2014193686
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2016年1月4日
(31)【優先権主張番号】13/906,997
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エス・ダブリン
(72)【発明者】
【氏名】トビー・ゼッド・バークスデイル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ディ・アイヒフェルト
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・オズワルド
【審査官】 菊池 充
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0292121(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/116839(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0014525(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0180625(US,A1)
【文献】 特開2006−273164(JP,A)
【文献】 特開2007−019940(JP,A)
【文献】 特開2008−270857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04S 1/00− 7/00
H04R 1/02
B60R 9/00−11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
聞き手の頭の意図された位置に近接して配置された少なくとも2つの近接場スピーカを有する自動車オーディオシステムにおいて信号を調整する方法であって、
前記近接場スピーカの実際の位置とは別の1組の指定された位置のそれぞれに関して、前記近接場スピーカのそれぞれによって生成されるサウンドに、前記聞き手の頭の前記意図された位置において、前記それぞれの指定された位置に配置されたサウンドソースによって生成されるサウンドの特性を与えるバイノーラルフィルタを決定するステップと、
少なくとも2つのチャネルを有する入力オーディオ信号から少なくとも3つのコンポーネントチャネル信号を生成するためのアップミックスのルールを決定するステップと、
前記それぞれの指定された位置において前記コンポーネントチャネル信号に適用するための重みの第1の組を決定して第1のサウンドステージを定義するステップと、
前記それぞれの指定された位置において前記コンポーネントチャネル信号に適用するための重みの第2の組を決定して第2のサウンドステージを定義するステップと、
前記オーディオシステムを、
前記重みの第1の組と前記重みの第2の組とを組み合わせて、組み合わされた重みの組を決定することであって、前記組み合わされた重みの組における前記重みの第1の組と前記重みの第2の組の相対的寄与が、可変のユーザ入力値によって決定される、ことと、
前記それぞれの指定された位置に対する前記組み合わされた重みの組に従う前記コンポーネントチャネル信号の組合せに対応するミックスされた信号を決定することと、
それぞれのミックスされた信号を前記対応するバイノーラルフィルタを使用してフィルタリングして1組のバイノーラル出力信号を生成することと、
前記フィルタリングされたバイノーラル信号を加算することと、
前記加算されたバイノーラル信号を、前記近接場スピーカを使用して出力することと
を行うように構成するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記ユーザ入力値を供給するユーザ入力がフェーダ入力であるとともに、フェーダ制御がより前方の設定であるときには、前記重みの第1の組の寄与がより大きく、前記フェーダ制御がより後方の設定であるときには、前記重みの第2の組の寄与がより大きい請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記近接場スピーカが自動車のヘッドレストに配置されている請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記近接場スピーカが自動車の車体構造に結合されている請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記組み合わされた重みの組における前記重みの第1の組と前記重みの第2の組の前記相対的寄与が、前記可変のユーザ入力値を前記相対的寄与にマッピングする所定の曲線に従って変化する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の曲線が線形ではない請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記組み合わされた重みの組における前記重みの第1の組と前記重みの第2の組の前記相対的寄与を、前記入力オーディオ信号の特性に基づいて自動的に決定するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
聞き手の頭の意図された位置に近接して配置された少なくとも2つの近接場スピーカを有する自動車オーディオシステムの信号を調整する方法であって、
前記近接場スピーカのそれぞれによって生成されるサウンドに、前記聞き手の頭の前記意図された位置において、前記近接場スピーカの実際の位置とは別の第1の指定された位置に配置されたサウンドソースによって生成されるサウンドの特性を与える第1のバイノーラルフィルタを決定するステップと、
前記近接場スピーカのそれぞれによって生成されるサウンドに、前記聞き手の頭の前記意図された位置において、前記近接場スピーカの実際の位置とは別の、前記第1の指定された位置とは異なる第2の指定された位置に配置されたサウンドソースによって生成されるサウンドの特性を与える第2のバイノーラルフィルタを決定するステップと、
少なくとも2つのチャネルを有する入力オーディオ信号から少なくとも3つのコンポーネントチャネル信号を生成するためのアップミックスのルールを決定するステップと、
1組の前記コンポーネントチャネル信号をミックスして第1のミックスされた信号を形成するステップと、
前記第1のバイノーラルフィルタと前記第2のバイノーラルフィルタの組合せを用いて前記ミックスされた信号をフィルタリングしてバイノーラル出力信号を生成するステップと、
前記近接場スピーカを使用して前記バイノーラル出力信号を出力するステップとを含み、
前記バイノーラル出力信号における前記第1のバイノーラルフィルタと前記第2のバイノーラルフィルタの相対的重みが可変のユーザ入力値によって決定される方法。
【請求項9】
前記ユーザ入力値を供給するユーザ入力がフェーダ入力であるとともに、フェーダ制御がより前方の設定であるときには前記第1のバイノーラルフィルタの前記相対的重みがより大きく、前記フェーダ制御がより後方の設定であるときには前記第2のバイノーラルフィルタの前記相対的重みがより大きい請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記オーディオシステムが、少なくとも、前記聞き手の頭の前記意図された位置の前方の車両キャビンの左側コーナーの近くに配置された第1の固定スピーカと、前記聞き手の頭の前記意図された位置の前方の前記車両キャビンの右側コーナーの近くに配置された第2の固定スピーカとをさらに含み、前記方法が、
前記それぞれの固定スピーカに対する前記コンポーネントチャネル信号に適用するための重みの第1の組を決定して、第1のサウンドステージをさらに定義するステップと、
前記それぞれの固定スピーカに対する前記コンポーネントチャネル信号に適用するための重みの第2の組を決定して、第2のサウンドステージをさらに定義するステップと、
前記オーディオシステムを、
前記重みの第1の組と前記重みの第2の組とを組み合わせて、組み合わされた重みの組を決定することであって、前記組み合わされた重みの組における前記重みの第1の組と前記重みの第2の組の相対的寄与が、前記可変のユーザ入力値によって決定される、ことと、
前記それぞれの固定スピーカに対する前記組み合わされた重みの組に従う前記コンポーネントチャネル信号の組合せに対応するミックスされた信号を決定することと、
前記ミックスされた信号を、前記対応する固定スピーカを使用して出力することとを行うように構成するステップとをさらに含む請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記ユーザ入力値が変化するとき、空間認知を支配するスピーカの組が変化するように、第1のバイノーラルフィルタおよび重みの第1の組が、第2のバイノーラルフィルタおよび重みの第2の組とは別の固定スピーカと近接場スピーカの組にサウンドステージの空間認知を支配させる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
聞き手の頭の意図された位置に近接して配置された少なくとも2つの近接場スピーカを有する自動車オーディオシステムの信号を調整する方法であって、
第1のモードにおいて、オーディオ信号を、前記聞き手に広いサウンドステージを感知させる第1のフィルタに従って前記近接場スピーカに配信するステップと、
第2のモードにおいて、前記オーディオ信号を、前記聞き手に狭いサウンドステージを感知させる第2のフィルタに従って前記近接場スピーカに配信するステップと、
可変値のユーザ入力を受け取るステップと、
前記可変値を受け取るのに応答して、前記オーディオ信号の分布を前記第1のモードから前記第2のモードへ移行するステップであって、移行の程度は、前記ユーザ入力の値に基づいて可変である、ステップとを含む方法。
【請求項13】
前記オーディオ信号の前記分布を移行させるステップが、前記オーディオ信号に対して前記第1のフィルタと前記第2のフィルタの両方を加重和で適用するステップを含み、前記第1のフィルタと前記第2のフィルタの相対的重みが、前記ユーザ入力の値に基づくものである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
聞き手の頭の意図された位置に近接して配置された少なくとも2つの近接場スピーカと、
可変値を生成するユーザ入力と、
オーディオ信号プロセッサであって、
第1のモードでは、オーディオ信号を、前記聞き手に広いサウンドステージを感知させる第1のフィルタに従って前記近接場スピーカに配信し、
第2のモードでは、前記オーディオ信号を、前記聞き手に狭いサウンドステージを感知させる第2のフィルタに従って前記近接場スピーカに配信し、
前記ユーザ入力の値の変化に応答して、前記オーディオ信号の分布を前記第1のモードから前記第2のモードへ移行し、移行の程度は、前記ユーザ入力の値に基づいて可変であるように構成されたオーディオ信号プロセッサとを備える自動車オーディオシステム。
【請求項15】
前記オーディオ信号プロセッサがメモリを含み、前記メモリが、
前記それぞれの近接場スピーカによって生成されたサウンドに、前記聞き手の頭の前記意図された位置において、前記近接場スピーカの実際の位置とは別の1組の指定された位置のそれぞれにあるサウンドソースによって生成されたサウンドの特性を与えるバイノーラルフィルタの組と、
第1のサウンドステージを定義するために、前記指定された位置のそれぞれに対して1組のコンポーネントチャネル信号を適用するための重みの第1の組と、
第2のサウンドステージを定義するために、前記指定された位置のそれぞれに対して前記コンポーネントチャネル信号の組を適用するための重みの第2の組とを記憶し、
前記オーディオ信号プロセッサが、
アップミックスのルールを適用して、少なくとも2つのチャネルを有する入力オーディオ信号から少なくとも3つのコンポーネントチャネル信号を生成するステップと、
前記重みの第1の組と前記重みの第2の組とを組み合わせて、組み合わされた重みの組を決定するステップであって、前記組み合わされた重みの組における前記重みの第1の組と前記重みの第2の組の相対的寄与がユーザ入力の値によって決定される、ステップと、
前記指定された位置のそれぞれ向けに組み合わされた前記重みの組に従う前記コンポーネントチャネル信号の組合せに対応するミックスされた信号を決定するステップと、
それぞれのミックスされた信号を、前記対応するバイノーラルフィルタを使用してフィルタリングして、1組のバイノーラル出力信号を生成するステップと、
前記フィルタリングされたバイノーラル信号を加算するステップと、
前記加算されたバイノーラル信号を前記近接場スピーカに出力するステップとによって、前記オーディオ信号の分布を前記第1のモードから前記第2のモードへと移行させる請求項14に記載のオーディオシステム。
【請求項16】
前記オーディオ信号プロセッサがメモリを含み、前記メモリが、
前記近接場スピーカのそれぞれによって生成されるサウンドに、前記聞き手の頭の前記意図された位置において、前記近接場スピーカの実際の位置とは別の第1の指定された位置に配置されたサウンドソースによって生成されるサウンドの特性を与える第1のバイノーラルフィルタと、
前記近接場スピーカのそれぞれによって生成されるサウンドに、前記聞き手の頭の前記意図された位置において、前記近接場スピーカの前記実際の位置とは別の、前記第1の指定された位置とは異なる第2の指定された位置に配置されたサウンドソースによって生成されるサウンドの特性を与える第2のバイノーラルフィルタとを記憶し、
前記オーディオ信号プロセッサが、
アップミックスのルールを適用して、少なくとも2つのチャネルを有する入力オーディオ信号から少なくとも3つのコンポーネントチャネル信号を生成するステップと、
1組のコンポーネントチャネル信号をミックスして第1のミックスされた信号を形成するステップと、
前記第1のバイノーラルフィルタと前記第2のバイノーラルフィルタの組合せを用いて前記ミックスされた信号をフィルタリングしてバイノーラル出力信号を生成するステップと、
前記近接場スピーカを使用して前記バイノーラル出力信号を出力するステップとによって、前記オーディオ信号の分布を前記第1のモードから前記第2のモードへと移行させ、
前記バイノーラル出力信号における前記第1のバイノーラルフィルタと前記第2のバイノーラルフィルタの相対的重みが、前記ユーザ入力の値によって決定される請求項14に記載のオーディオシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、近接場スピーカベースのオーディオシステム用のサウンドステージコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの自動車オーディオシステムでは、全体システムの電気的応答および音響応答、すなわちスピーカ自体の応答およびスピーカによって生成された音声に対する車両キャビンの応答に基づいて、それぞれのスピーカに供給されるオーディオ信号に対して処理が適用される。そのようなシステムは、それぞれのスピーカの位置と、とりわけシート、ガラス、および自動車の他の構成要素の吸収特性および反射特性とを考慮に入れて、特定の自動車モデルおよびトリムレベルに合わせた高度に個別的な配慮がなされる。そのようなシステムは、一般に、車両の製品開発プロセスの一部分として設計され、対応するイコライゼーションおよび他のオーディオシステムパラメータは、製造または組立てのときオーディオシステムにロードされる。
【0003】
前席乗客の前後にステレオスピーカを有する従来型の自動車オーディオシステムは、一般にフェードおよびバランスと称される制御を含む。同一のステレオ信号が前後両方のスピーカに送られ、フェード制御が前後の信号の相対的信号レベルを制御し、バランス制御が左右の信号の相対的信号レベルを制御する。これらの制御方式は、乗客の背後の固定位置ではなく乗客の頭の近くに配置された近接場スピーカを使用する個人用のサウンドシステムでは適合性を失う傾向がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般に、一態様では、聞き手の頭の意図された位置の近くに配置された少なくとも2つの近接場スピーカを有する自動車オーディオシステムにおいて信号を調整するステップは、近接場スピーカの実際の位置とは別の1組の指定された位置のそれぞれに関して、近接場スピーカのそれぞれによって生成されるサウンドに、聞き手の頭の意図された位置において、それぞれの指定された位置に配置されたサウンドソースによって生成されるサウンドの特性を与えるバイノーラルフィルタを決定するステップを含む。アップミックスのルールが、少なくとも2つのチャネルを有する入力オーディオ信号から少なくとも3つのコンポーネントチャネル信号を生成する。それぞれの指定された位置においてコンポーネントチャネル信号に適用するための重みの第1の組が、第1のサウンドステージを定義する。それぞれの指定された位置においてコンポーネントチャネル信号に適用するための重みの第2の組が、第2のサウンドステージを定義する。オーディオシステムは、重みの第1の組と重みの第2の組とを組み合わせて、組み合わされた重みの組を決定し、組み合わされた重みの組における重みの第1の組と重みの第2の組の相対的寄与は、可変のユーザ入力値によって決定される。ミックスされた信号は、指定された位置のそれぞれ向けに組み合わされた重みの組に従うコンポーネントチャネル信号の組合せに対応するものである。それぞれのミックスされた信号が対応するバイノーラルフィルタを使用してフィルタリングされて1組のバイノーラル出力信号を生成し、これらが加算され、近接場スピーカを使用して出力される。
【0005】
実施態様には、任意の組合せにおいて、以下のことの1つまたは複数が含まれ得る。ユーザ入力値を供給するユーザ入力はフェーダ入力でよく、フェーダ制御がより前方の設定であり得るときには、重みの第1の組の寄与がより大きくてよく、フェーダ制御がより後方の設定であり得るときには、重みの第2の組の寄与がより大きくてよい。オーディオシステムは、聞き手の頭の意図された位置の前方の車両キャビンの左側コーナーの近くに配置された第1の固定スピーカと、聞き手の頭の意図された位置の前方の車両キャビンの右側コーナーの近くに配置された第2の固定スピーカとを少なくとも含み得、それぞれの固定スピーカに対するコンポーネントチャネル信号に適用するための重みの第3の組が、第1のサウンドステージを定義し、それぞれの固定スピーカに対するコンポーネントチャネル信号に適用するための重みの第4の組が、第2のサウンドステージを定義し、オーディオシステムは、重みの第3の組と重みの第4の組とを組み合わせて、
組み合わされた重みの第2の組を決定し、組み合わされた重みの第2の組における重みの第3の組と重みの第4の組の相対的寄与は、可変のユーザ入力値によって決定され、ミックスされた信号が、固定スピーカのそれぞれ向けに組み合わされた重みの第2の組に従うコンポーネントチャネル信号の組合せに対応し、ミックスされた信号が、対応する固定スピーカによって出力される。ユーザ入力値が変化し得るとき、空間認知を支配するスピーカの組が変化するように、重みの第1および第3の組は、第2および第4の組とは別の固定スピーカと近接場スピーカの組にサウンドステージの空間認知を支配させてよい。
【0006】
近接場スピーカは自動車のヘッドレストに配置されてよい。近接場スピーカは自動車の車体構造に結合されてよい。組み合わされた重みの組における重みの第1の組と重みの第2の組の相対的寄与は、可変のユーザ入力値を相対的寄与にマッピングする所定の曲線に従って変化し得るものである。所定の曲線は線形でなくてもよい。組み合わされた重みの組における重みの第1の組と重みの第2の組の相対的寄与は、入力オーディオ信号の特性に基づいて自動的に決定されてよい。
【0007】
一般に、一態様では、聞き手の頭の意図された位置の近くに配置された少なくとも2つの近接場スピーカを有する自動車オーディオシステムにおいて信号を調整するステップは、近接場スピーカのそれぞれによって生成されるサウンドに、聞き手の頭の意図された位置において、近接場スピーカの実際の位置とは別の第1の指定された位置に配置されたサウンドソースによって生成されるサウンドの特性を与える第1のバイノーラルフィルタを決定するステップと、近接場スピーカのそれぞれによって生成されるサウンドに、聞き手の頭の意図された位置において、近接場スピーカの実際の位置とは別の、第1の指定された位置とは異なる第2の指定された位置に配置されたサウンドソースによって生成されるサウンドの特性を与える第2のバイノーラルフィルタを決定するステップと、少なくとも2つのチャネルを有する入力オーディオ信号から少なくとも3つのコンポーネントチャネル信号を生成するためのアップミックスのルールを決定するステップと、1組のコンポーネントチャネル信号をミックスして第1のミックスされた信号を形成するステップと、第1のバイノーラルフィルタと第2のバイノーラルフィルタの組合せを用いて、ミックスされた信号をフィルタリングして、バイノーラル出力信号を生成するステップと、近接場スピーカを使用してバイノーラル出力信号を出力するステップとを含む。バイノーラル出力信号における第1のバイノーラルフィルタと第2のバイノーラルフィルタの相対的重みは、可変のユーザ入力値によって決定される。
【0008】
実施態様には、任意の組合せにおいて、以下のことの1つまたは複数が含まれ得る。オーディオシステムは、聞き手の頭の意図された位置の前方の車両キャビンの左側コーナーの近くに配置された第1の固定スピーカと、聞き手の頭の意図された位置の前方の車両キャビンの右側コーナーの近くに配置された第2の固定スピーカとを少なくとも含み得、それぞれの固定スピーカに対するコンポーネントチャネル信号に適用するための重みの第1の組が、第1のサウンドステージを定義し、それぞれの固定スピーカに対するコンポーネントチャネル信号に適用するための重みの第2の組が、第2のサウンドステージを定義する。オーディオシステムは、重みの第1の組と重みの第2の組とを組み合わせて、組み合わされた重みの組を決定し、組み合わされた重みの組における重みの第1の組と重みの第2の組の相対的寄与は、可変のユーザ入力値によって決定される。固定スピーカのそれぞれ向けに組み合わされた重みの組に従うコンポーネントチャネル信号の組合せに対応するミックスされた信号が、対応する固定スピーカを使用して出力される。ユーザ入力値が変化するとき、空間認知を支配するスピーカの組が変化するように、第1のバイノーラルフィルタおよび重みの第1の組は、第2のバイノーラルフィルタおよび重みの第2の組とは別の固定スピーカと近接場スピーカの組にサウンドステージの空間認知を支配させてよい。
【0009】
一般に、一態様では、聞き手の頭の意図された位置の近くに配置された少なくとも2つの近接場スピーカを有する自動車オーディオシステムの信号は、第1のモードでは、聞き手に広いサウンドステージを感知させる第1のフィルタに従って近接場スピーカに配信され、第2のモードでは、聞き手に狭いサウンドステージを感知させる第2のフィルタに従って近接場スピーカに配信されるように調整される。可変値のユーザ入力が受け取られ、これに応答してオーディオ信号の分布が第1のモードから第2のモードへ移行し、移行の程度はユーザ入力の値に基づいて可変である。
【0010】
実施態様には、任意の組合せにおいて、以下のことの1つまたは複数が含まれ得る。オーディオ信号の分布を移行させるステップは、オーディオ信号に対して第1のフィルタと第2のフィルタの両方を加重和で適用するステップを含み得、第1のフィルタと第2のフィルタの相対的重みは、ユーザ入力の値に基づくものである。
【0011】
一般に、一態様では、自動車オーディオシステムは、聞き手の頭の意図された位置の近くに配置された少なくとも2つの近接場スピーカと、可変値を生成するユーザ入力と、オーディオ信号プロセッサであって、オーディオ信号を、第1のモードでは、聞き手に広いサウンドステージを感知させる第1のフィルタに従って近接場スピーカに配信し、第2のモードでは、聞き手に狭いサウンドステージを感知させる第2のフィルタに従って近接場スピーカに配信し、ユーザ入力の値の変化に応答して、オーディオ信号の分布を第1のモードから第2のモードへとユーザ入力の値に基づく程度に移行させるように構成されたオーディオ信号プロセッサとを含む。
【0012】
実施態様には、任意の組合せにおいて、以下のことの1つまたは複数が含まれ得る。オーディオ信号プロセッサがメモリを含み得、メモリは、それぞれの近接場スピーカによって生成されたサウンドに、聞き手の頭の意図された位置において、近接場スピーカの実際の位置とは別の1組の指定された位置のそれぞれにあるサウンドソースによって生成されたサウンドの特性を与えるバイノーラルフィルタと、第1のサウンドステージを定義するために、指定された位置のそれぞれに対して1組のコンポーネントチャネル信号を適用するための重みの第1の組と、第2のサウンドステージを定義するために、指定された位置のそれぞれに対して上記コンポーネントチャネル信号の組を適用するための重みの第2の組とを記憶する。オーディオ信号プロセッサは、アップミックスのルールを適用して、少なくとも2つのチャネルを有する入力オーディオ信号から少なくとも3つのコンポーネントチャネル信号を生成するステップと、重みの第1の組と重みの第2の組とを組み合わせて、組み合わされた重みの組を決定するステップであって、組み合わされた重みの組における重みの第1の組と重みの第2の組の相対的寄与がユーザ入力の値によって決定されるステップと、指定された位置のそれぞれ向けに組み合わされた重みの組に従うコンポーネントチャネル信号の組合せに対応するミックスされた信号を決定するステップと、それぞれのミックスされた信号を、対応するバイノーラルフィルタを使用してフィルタリングして、1組のバイノーラル出力信号を生成するステップと、フィルタリングされたバイノーラル信号を加算するステップと、加算されたバイノーラル信号を近接場スピーカに出力するステップとによって、オーディオ信号の分布を第1のモードから第2のモードへと移行させてよい。オーディオ信号プロセッサがメモリを含み得、メモリは、近接場スピーカのそれぞれによって生成されるサウンドに、聞き手の頭の意図された位置において、近接場スピーカの実際の位置とは別の第1の指定された位置に配置されたサウンドソースによって生成されるサウンドの特性を与える第1のバイノーラルフィルタと、近接場スピーカのそれぞれによって生成されるサウンドに、聞き手の頭の意図された位置において、近接場スピーカの実際の位置とは別の、第1の指定された位置とは異なる第2の指定された位置に配置されたサウンドソースによって生成されるサウンドの特性を与える第2のバイノーラルフィルタとを記憶する。オーディオ信号プロセッサは、アップミックスのルールを適用して、少なくとも2つのチャネルを有する入力オーディオ信号から少なくとも3つのコンポーネントチャネル信号を生成するステップと、1組のコンポーネントチャネル信号をミックスして第1のミックスされた信号を形成するステップと、第1のバイノーラルフィルタと第2のバイノーラルフィルタの組合せを用いて、ミックスされた信号をフィルタリングして、バイノーラル出力信号を生成するステップと、近接場スピーカを使用してバイノーラル出力信号を出力するステップとによって、オーディオ信号の分布を第1のモードから第2のモードへと移行させてよく、バイノーラル出力信号における第1のバイノーラルフィルタと第2のバイノーラルフィルタの相対的重みは、ユーザ入力の値によって決定される。利点には、従来のフェーダ制御よりも実体験のように感じるやり方で可変サウンドステージ制御に応答するユーザ体験が提供されること、およびサウンドステージの広大さのユーザ制御が提供されることが含まれる。
【0013】
前述の例および特徴のすべてが、任意の技術的に可能なやり方で組み合わされ得る。他の特徴および利点が、説明および特許請求の範囲から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】自動車内のヘッドレストベースのオーディオシステムの概略図である。
図2図1のシステムのスピーカのそれぞれからのサウンドが聞き手の耳に到達する経路を示す図である。
図3】仮想スピーカ位置と実際のスピーカ位置の間の関係を示す図である。
図4】仮想スピーカ位置と実際のスピーカ位置の間の関係を示す図である。
図5】オーディオ信号をアップミックスする処理およびリミックスする処理を概略的に示す図である。
図6A】可能なサウンドステージ構成を示す図である。
図6B】可能なサウンドステージ構成を示す図である。
図7図6Aのサウンドステージ構成と図6Bのサウンドステージ構成の間の移行と、これらのサウンドステージ構成のミックスとに関するフェーダプロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
参照によってここで組み込まれる米国特許出願第13/888927号は、乗客の頭の近くに配置された近接場スピーカを使用するオーディオシステムと、それぞれの乗客によって感知されるサウンドステージを制御するためにそのオーディオシステムを構成する方法とを説明するものである。
【0016】
従来型の車載用オーディオシステムは4つ以上のスピーカの組に基づくものであり、2つがダッシュボード上または前部ドア内にあり、2つは、一般にセダンおよびクーペでは後部パッケージ棚に、またはワゴンおよびハッチバックでは後部のドアもしくはウォールにある。しかしながら、いくつかの車両では、図1に示されるように、スピーカは、運転者の背後の従来の位置ではなく、ヘッドレストまたは他の近い位置に設けられることがある。これは車両後部のスペースを節約し、また、後部座席にサウンドを供給するエネルギーを浪費せず、このサウンドは、あったとしても恐らく乗客のために利用されることのないものである。図1に示されるオーディオシステム100は、組み合わせたソース/処理/増幅のユニット102を含む。いくつかの例では、様々な機能が複数の構成要素に割り当てられ得る。具体的には、ソースは増幅器から分離されることが多く、処理は、ソースまたは増幅器のいずれかによってなされるが、処理は個別の構成要素によってなされることもある。処理は、ソースおよび/または増幅器の機能をもたらす汎用コンピュータにロードされたソフトウェアによってなされることもある。何らかの特定のシステムのアーキテクチャまたは技術が指定されるのではなく、一般に「システム」によってもたらされる信号処理および増幅が参照される。
【0017】
図1に示されるオーディオシステムは、車両構造に恒久的に取り付けられた2つのスピーカの組104、106を有する。これらは「固定」スピーカと称される。図1の例では、固定スピーカのそれぞれの組が、一般に、高音専用スピーカ108、110および低域から中域のスピーカ要素112、114の2つのスピーカ要素を含む。別の一般的な機構では、より小さいスピーカが中間から高周波数のスピーカ要素であり、より大きいスピーカがウーファすなわち低周波数のスピーカ要素である。2つ以上の要素が単一の囲壁の中に組み合わされてよく、または別個に組み込まれてもよい。それぞれの組のスピーカ要素が、増幅器からの単一の増幅信号によって駆動されてよく、パッシブなクロスオーバ回路(スピーカの一方または両方に組み込まれてよい)が、様々な周波数範囲の信号を適切なスピーカ要素に分配する。あるいは、増幅器が、帯域制限された信号をそれぞれのスピーカ要素に直接供給してもよい。他の例では全帯域スピーカが使用され、さらに別の例では1組当り2つよりも多くのスピーカが使用される。示されたそれぞれの個別のスピーカがスピーカの配列として実施されてもよく、これによって、サウンドのより精巧な波形整形が可能になり得、または単純に所与のサウンド圧力レベルを伝えるのに、スペースおよび材料のより経済的な使用が可能になり得る。
【0018】
図1の運転者のヘッドレスト120に含まれる2つのスピーカ122、124が、再び抽象的に示され、事実上、それぞれがスピーカ要素の配列であってもよい。2つのスピーカ122、124は(個別のスピーカであろうと配列であろうと)、それら自体が、聞き手の耳へのサウンドの分配を制御するために配列として協力的に動作し得るものである。これらのスピーカは聞き手の耳の近くに配置され、近接場スピーカと称される。いくつかの例では、これらのスピーカは、物理的にヘッドレストの内部に配置される。ヘッドレストのどちらの終端にも1つずつ、2つのスピーカが配置されてよく、運転者の耳の予期された離隔距離にほぼ相当し、ヘッドレストのクッション(これはもちろんヘッドレストの主要な役割である)のためのスペースが残る。いくつかの例では、スピーカが、ヘッドレストの後ろに、より接近して一緒に配置され、サウンドは、クッションを取り巻く囲壁を通ってヘッドレストの前部に伝えられる。これらのスピーカは、ヘッドレストの機械的要求およびシステムの音響の目標に依拠して、互いに対して、またヘッドレスト構成要素に対して、様々なやり方で配向されてよい。参照によってここで組み込まれる同時係属の米国特許出願第13/799,703号は、ヘッドレストの安全機能を損なうことなくヘッドレストの中にスピーカを実装するいくつかの設計を説明している。図1に示される近接場スピーカは、シートを通り抜けるケーブル130によってソース102に接続されているが、ケーブルが電力のみを供給する状況では、ソース102とワイヤレスで通信してもよい。別の機構では、1対のワイヤが、シートまたはヘッドレストに組み込まれた増幅器に対してデジタルデータと電力の両方を供給する。
【0019】
バイノーラル応答および補正
図2が示す2人の聞き手の頭は、図1のスピーカに対して配置されていると期待されるものである。運転者202は左耳204および右耳206を有し、乗客208の耳には210および212とラベルが付けられている。破線の矢印は、以下で説明されるように、スピーカから聞き手の耳へのサウンドの様々な経路を示すものである。これらの矢印は「信号」または「経路」と称されるが、実際には、スピーカが、それらが放射するサウンドの方向を制御することができるとは(可能かもしれないが)想定されていない。それぞれのスピーカに割り当てられた複数の信号が重ねられて最終的な出力信号が生成され、それぞれのスピーカからのエネルギーのいくらかが、周波数およびスピーカの音響設計に依拠して全方向に進み得る。矢印は、容易な参照のためのスピーカおよび耳の様々な組合せを単に概念的に示すものである。配列または他の指向性スピーカの技術が用いられる場合、何らかの方向制御をもたらすために、スピーカの様々な組合せに対して信号が供給されてよい。これらの配列は、示されるようにヘッドレストの中にあってよく、または聞き手の前の位置を含めて聞き手に比較的近い他の位置にあってよい。
【0020】
近接場スピーカは、適切な信号処理を伴って、聞き手が感知するサウンドの広大さを拡張するために、より正確には前面のサウンドステージを制御するために使用され得る。オーディオ信号の別々のコンポーネントに対して別々の効果が望まれることがあり、たとえば中心信号はしっかりと集束されてよく、一方、サラウンド信号は意図的に拡散されてよい。広大さを制御するやり方の1つには、近接場スピーカに送られる信号を調節することによって聞き手の耳における目標のバイノーラル応答を達成するものがある。図2に、より明確には図3に示されるように、運転者の耳204および206のそれぞれに、それぞれの局在近接場スピーカ122および124によって生成されたサウンドが聞こえる。乗客には、同様に、乗客の頭の近くのスピーカのサウンドが聞こえる。それぞれのスピーカとそれぞれの耳の間の距離による差に加えて、それぞれの耳にそれぞれのスピーカから聞こえるものは、信号が到達する角度および聞き手の外耳構造の組織(聞き手の左耳と右耳に関して同一ではない可能性がある)によって一様でないはずである。サウンドソースの方向および距離の体感は、左右の耳の間の到着時間の差と、左右の耳の間の信号レベルの差と、異なる方向から左右の耳に入る音波に対して聞き手の解剖学的構造が有する特定の効果との組合せに基づくものであり、それらのすべてに周波数依存性もある。所与の位置におけるソースに関して、両方の耳におけるこれらの係数の組合せは、その位置に関するバイノーラル応答と称される。ある位置のスピーカにおいて再生されることになるサウンドを、別の位置から生じたサウンドのように聞こえるように成形するために、バイノーラル信号フィルタが使用される。
【0021】
システムを、未知の将来のユーザの固有の解剖学的構造を考えるように先験的に設計することはできないが、バイノーラル応答の他の態様は測定して操作することができる。図3は、サラウンドスピーカを車両の中で理想的に配置した位置に対応する2つの「事実上の」サウンドソース222および226を示すものである。しかしながら、実際の車両では、そのようなスピーカは、恐らく示された位置にあることができない車両構造の中に配置されなければならないはずである。これらのバーチャルソースの位置を所与として、それらのスピーカからのサウンド経路を示す矢印は、近接場スピーカ122および124からのサウンド経路とはわずかに異なる角度でユーザの耳に到達する。バイノーラル信号フィルタは、近接場スピーカにおいて再生されたサウンドを、聞き手が、フィルタリングされたサウンドを、実際の近接場スピーカからではなくバーチャルソースから来るかのように感知するように修正する。いくつかの例では、運転者が、サウンドを、個別の仮想スピーカ位置からではなく、空間の拡散した領域から来るかのように感知するのが望ましい。以下で論じられるように、バイノーラルフィルタに対する適切な変更が、この効果をもたらすことができる。
【0022】
バーチャルソースからの局在化するように意図された信号は、近接場スピーカから耳への応答を含めてバーチャルソースのバイノーラル応答の目標に近い近似を達成するように修正される。数学的には、周波数領域のバイノーラル応答をバーチャルソースV(s)と称し、また実際のスピーカからの応答を聞き手の耳R(s)と直接称することができる。バーチャルソースの位置においてサウンドS(s)が再生される場合、ユーザにはS(s)×V(s)が聞こえることになる。近接場スピーカにおいて再生された同一のサウンドに関して、補正がなければ、ユーザにはS(s)×R(s)が聞こえることになる。理想的には、第1のフィルタリングによって、フィルタリングを伴う信号はV(s)/R(s)と同等の伝達関数を有し、サウンドS(s)×V(s)/R(s)が近接場スピーカによって再生されて、ユーザにはS(s)×V(s)×R(s)/R(s)=S(s)×V(s)が聞こえることになる。これが聞こえる距離には限界があり、バーチャルソースの位置が実際の近接場スピーカの位置から遠すぎると、たとえば、安定したフィルタを生成するやり方で応答を組み合わせることが不可能になるか、または頭の移動の影響を非常に受けやすくなる可能性がある。制約要因の1つにはクロストーク消去フィルタがあり、これは、一方の耳を意図した信号が他方の耳に到達するのを防止するものである。
【0023】
コンポーネント信号の分布
車両の調整によって制御されるオーディオ体験の一態様には、サウンドステージがある。「サウンドステージ」は、聞き手の、サウンドがどこから来るかという知覚を指すものである。具体的には、サウンドステージは、一般に、広く(サウンドが聞き手の両側から聞こえる)、深く(サウンドが近傍と遠方の両方から聞こえる)、正確である(聞き手が、特定のサウンドが聞こえる方向を識別することができる)ことが望まれる。理想的なシステムでは、レコード音楽を聞く人は眼を閉じ、生演奏を聞いていると想像して、それぞれの演奏家がどこにいるのか指摘することができる。関連する概念に「包み込み」があり、これは、サウンドを正確に局在化可能かどうかということとは無関係に、聞き手の背後を含むすべての方向からサウンドが聞こえるという知覚を指すものである。サウンドステージおよび包み込み(および一般にサウンド位置)の知覚は、聞き手の両方の耳に到達するサウンドのレベルと、その間の到着時間(位相)の差に基づくものであり、サウンドステージは、これらの相互の聴覚レベルおよび時間差を制御するように、スピーカによって生成されるオーディオ信号を操作することによって制御することができる。参照によってここで組み込まれる米国特許第8,325,936号に説明されているように、近接場スピーカばかりでなく固定スピーカも、空間認知を制御するために協力的に使用され得る。
【0024】
近接場スピーカベースのシステムが単独で使用される場合、サウンドは、スピーカが実際にある、聞き手の背後から来るように感知されるはずである。バイノーラルフィルタリングは、サウンドをいくぶん前方に持って来ることができるが、聞き手の真に前方から来るサウンドのバイノーラル応答を再生するのには不十分である。しかしながら、近接場スピーカは、ダッシュボード上またはドアの中などの従来の固定位置における運転者の前方のスピーカと適切に組み合わせたときには、フロントスピーカから来るサウンドのステージングを改善するのに使用され得る。すなわち、近接場スピーカは、「後部」サウンドをもたらすために後部座席スピーカを置換することに加えて、車両の前部から来るサウンドの聞き手の知覚に的を絞って制御するのに使用される。これは、単独のフロントスピーカよりも、より広い、またはより深い、より制御されたサウンドステージをもたらすことができる。近接場スピーカは、ソースオーディオの異なる部分に対して異なる効果をもたらすためにも使用され得る。たとえば、近接場スピーカは、固定された左右のスピーカが単独でもたらすことができるよりも正確な中心音像をもたらして中心音像を引き締め、同時に、従来型の後部スピーカよりも拡散して包み込むサラウンド信号をもたらすように使用され得る。
【0025】
いくつかの例では、オーディオソースは2チャネルすなわち左右のステレオオーディオのみを供給する。その他の一般的な選択肢には、4チャネルすなわち前部と後部のどちらにも左右のチャネルを有するものと、サラウンドサウンドソースのための5チャネルを有するもの(通常、低周波数効果のための第6の「ポイント1」チャネルを伴う)との2つがある。4チャネルは、通常は、標準的な自動車のヘッドユニットが使用されるときに見られ、この場合、2つの前部チャネルと2つの後部チャネルが通常は同一のコンテンツを有するが、ヘッドユニットにおける「音量調節器の」設定によって異なるレベルを有し得る。本明細書で説明されたようにシステム向けにサウンドを適切にミックスするために、入力オーディオの2つ以上のチャネルが、サウンドが来るように聞こえる様々な方向に対応するコンポーネントの中間の数へとアップミックスされ、次いで、図4および図5を参照しながら説明されたように、システムにおけるそれぞれの特定のスピーカを意味する出力チャネルへとリミックスされる。そのようなアップミックスおよびリミックスの例の1つが、参照によってここで組み込まれる米国特許第7,630,500号に説明されている。
【0026】
本システムの利点は、ソース材料からアップミックスされたコンポーネント信号のそれぞれが、オーディオシステムで演奏するように別々の仮想スピーカに配信されることである。図3に関して説明されたように、近接場スピーカは、様々な位置の仮想スピーカからサウンドが聞こえるように使用され得る。図4に示されるように、聞き手の後部半球を取り巻く配列の仮想スピーカ224iが生成され得る。5つのスピーカ224-1、224-d、224-m、224-n、および224-pには、便宜上の理由のみからラベルが付けられている。仮想スピーカの実際の数は、仮想スピーカを生成するのに使用されるシステムの処理能力またはシステムの音響の必要性に依拠するものでよい。仮想スピーカは、左側の複数の仮想スピーカ(たとえば224-1および224-d)、右側の複数の仮想スピーカ(たとえば224-nおよび224-p)、および中心の1つ(224-m)として示されているが、複数の仮想中心スピーカがあってもよく、仮想スピーカは、高さならびに左、右、前、および後に分配されてよい。
【0027】
所与のアップミックスされたコンポーネント信号は、1つまたは複数の任意の仮想スピーカに配信されてよく、これによって、コンポーネント信号が感知される位置の再配置が可能になるばかりでなく、所与のコンポーネントを、仮想スピーカのうちの1つからのしっかりと集束されたサウンド、または数個の仮想スピーカから同時に来る拡散サウンドのいずれかとして演奏する能力も提供される。これらの効果を達成するために、各コンポーネントの一部分が各出力チャネルへとミックスされる(いくつかのコンポーネント出力チャネルの組合せについては、その一部分はゼロであり得る)。たとえば、右側コンポーネントのオーディオ信号は、右側に固定されたスピーカFR 106に主として配信されることになるが、各仮想音像224-iを224-nおよび224-pなどのヘッドレストの右側に配置するためには、目標とする仮想音像のバイノーラル応答とクロストークの消去の両方のために、右側コンポーネント信号の各部分が、右側近接場スピーカおよび左側近接場スピーカにも配信される。中心コンポーネント向けのオーディオ信号は、対応する右側の固定スピーカ104および左側の固定スピーカ106に配信されることになり、いくらかの部分が、右側の近接場スピーカ122と左側の近接場スピーカ124の両方にも配信され、聞き手が仮想中心コンポーネントの起源と感知する、たとえば224-mといった位置が制御される。システムが適切に調整されていれば、聞き手は中心コンポーネントを実際に背後から来るように感知するわけではなく、前部固定スピーカから来る中心コンポーネントのコンテンツが、感知される位置を前方へ引っ張ることになり、仮想の中心は、中心コンポーネント音像が感知される、集束または拡散の度合いと、前方への距離との制御を単純に支援することに留意されたい。出力チャネルに対するコンポーネントのコンテンツの特定の配信は、組み込まれている近接場スピーカおよびその数に基づいて変化することになる。近接場スピーカ向けにコンポーネント信号をミックスするステップは、図3を参照しながら述べたように、コンポーネントが実際のスピーカから来る場合のコンポーネントに対するバイノーラル応答と、近接場スピーカのバイノーラル応答との間の差を説明する(account for)ために信号を変更するステップを含む。
【0028】
図4は、図1からの実際のスピーカのレイアウトも示す。実際のスピーカには、それらが再生する信号に関する記号を有するラベル、すなわち左前(LF)、右前(FR)、左側運転者ヘッドレスト(H0L)、および右側運転者ヘッドレスト(H0R)が付けられている。出力信号FLとFRは、運転者および助手席の両方に関して究極的に平衡を保たれるとしても、近接場スピーカにより、運転者および乗客は、左側および右側の周辺のコンポーネントと中心コンポーネントとを、理想位置のより近くに感知することができる。近接場スピーカは、前方ステージのコンポーネントを独力で生成することができなければ、前部固定スピーカと組み合わせて、左側コンポーネントおよび右側コンポーネントを外部へ移動させ、かつユーザが中心コンポーネントを感知する位置を制御するために使用され得る。聞き手の頭の前方に近接してスピーカの配列を追加すると、聞き手の前方の仮想位置に第2の半球を生成することが可能になる。
【0029】
「コンポーネント」という用語は、元のソース材料がアップミックスされる中間の指向性の割当てのそれぞれを指すのに用いられる。図5に示されるように、ステレオ信号は、任意数Nのコンポーネント信号へとアップミックスされる。一例では、右側と左側のそれぞれについて前部コンポーネントおよびサラウンドコンポーネントがあり、中心コンポーネントを加えて合計5つのコンポーネントがあり得る。そのような例では、主要な左側コンポーネントおよび右側コンポーネントは、対応する元の左側ステレオ信号または右側ステレオ信号にのみ見いだされる信号から導出され得る。中心コンポーネントを構成し得る信号は、左側ステレオ信号と右側ステレオ信号の両方に関連しており、互いに同相である。サラウンドコンポーネントは、関連付けられ得るが、左側ステレオ信号と右側ステレオ信号の間で異相である。用いられる処理能力およびソース材料のコンテンツに依拠して、任意数のアップミックスされたコンポーネントが可能であり得る。2つ以上の信号を任意数のコンポーネント信号へとアップミックスするのに、様々なアルゴリズムを用いることができる。そのようなアップミックスの例の1つが、参照によってここで組み込まれる米国特許第7,630,500号に説明されている。別の例にはDolby(登録商標)のPro Logic IIzアルゴリズムがあり、これは、入力オーディオストリームを、高さチャネルを含めて9つものコンポーネントに分割するものである。一般に、コンポーネントは、左側、右側、または中心に関連しているものとして扱われる。左側コンポーネントは、好ましくは車両の左側に関連付けられるが、前部、後部、高部、または低部に配置されてよい。同様に、右側コンポーネントは、好ましくは車両の右側に関連付けられ、前部、後部、高部、または低部に配置されてよい。中心コンポーネントは、好ましくは車両の中心線に関連付けられるが、これも前部、後部、高部、または低部に配置されてよい。図5は、任意数N個のアップミックスされたコンポーネントを示すものである。
【0030】
全体的にC1〜CNのコンポーネント信号と、仮想音像信号V1〜VPと、出力信号FL、FR、H0L、およびH0Rとの間の関係が図5に示されている。ソース402によって供給される2つ以上の元のチャネルが、LおよびRとして示されている。アップミックスモジュール404が、入力信号LおよびRをN個のコンポーネント信号C1〜CNに変換する。個別の中心コンポーネントはなくてもよいが、中心コンポーネントは、1つまたは複数の左側コンポーネントと右側コンポーネントの組合せを含み得る。次いで、バイノーラルフィルタ406-1〜406-Pが、アップミックスされたコンポーネント信号の重み付きの合計を、図4に示された仮想スピーカ224-iに対応している仮想音像位置V1〜VPから来るサウンドに対応するバイノーラル信号に変換する。図5は、すべてのコンポーネント信号を受け取るそれぞれのバイノーラルフィルタを示しているが、実際には、各仮想スピーカ位置は、恐らく車両の対応する側に関連した信号などのコンポーネント信号のサブセットのみからのサウンドを再生するはずである。コンポーネント信号と同様に、仮想中心信号は、実際には左側仮想音像と右側仮想音像の組合せでよい。リミックスステージ418(1つだけ示されている)が、アップミックスされたコンポーネント信号を再結合して、前部固定スピーカに配信するための出力信号FLおよびFRを生成し、バイノーラルミックスステージ420が、バイノーラル仮想音像信号を組み合わせて、2つのヘッドレスト出力チャネルH0LおよびH0Rを生成する。乗客のヘッドレストおよび何らかの追加のヘッドレストまたは他の近接場バイノーラルスピーカの配列向けの出力信号を生成するために同一の処理が用いられ、何らかの追加の固定スピーカに対する出力信号を生成するために追加のリミックスステージが用いられる。コンポーネント信号が組み合わされるとき、また、それらがバイノーラル信号に変換されるときには、様々な接続形態が可能であり、たとえばフィルタを実施するために使用されるシステムの処理能力または車両の調整を定義するのに用いられる処理に基づいて選択されてよい。前述の米国特許出願第13/888927号は、近接場のミックスステージ420および周辺スピーカのリミックスステージ418の範囲内の信号流れを説明している。
【0031】
フェーダおよびサウンドステージの制御
前述のシステムが含み得る別の特定の特徴には、従来の「フェーダ」制御に対する置換がある。1組の前部ステレオスピーカと別の組の後部ステレオスピーカが同一信号のスケーリングされたバージョンを再生する一般的な車両オーディオシステムでは、フェーダ制御が、前部スピーカと後部スピーカ間のサウンドエネルギーのバランスを調整する。完全な前部設定についてはフロントスピーカのみが信号を受け取り、完全な後部設定についてはリヤスピーカのみが信号を受け取る。前述のシステムでは、ヘッドレストスピーカが後部スピーカを置換することを想定すると、前部スピーカへ行く信号とヘッドレストスピーカへ行く信号とが、同一のコンテンツを含んでおらず同一の帯域幅のサウンドを再生するわけではないので、これは望ましくないであろう。その代わりに、フェーダの新規の解釈が提供され、これは、コンポーネントのコンテンツの仮想音像位置および固定スピーカの信号へのミックスを扱うものである。上記で論じたように、仮想位置から来る信号と実際のスピーカ位置から来る信号の間のバイノーラル知覚における差を占めるようにそれぞれの仮想信号を調整するバイノーラルフィルタが設計される。それぞれの仮想信号が受け取る重み付きコンポーネント信号の混合が、聞き手がそれぞれのコンポーネント信号が生じるものと感知する位置を決定する。このミックスは、サウンドエネルギーを前部と後部の間で単純にシフトするのではなく、それぞれの仮想音像位置について、それぞれのコンポーネントの精密さおよび位置と、仮想音像によってもたらされる包み込みの量とを変更するように変化され得る。
【0032】
従来のフェーダ機能の代わりにサウンドステージ制御を提供するために、2つの異なるサウンドステージ表現に基づいて、コンポーネントをミックスする重みの2つの別々の組が設計される。いくつかの例では、図6Aおよび図6Bに示されるように、異なるコンポーネントに対して異なるタイプの変更がなされる。サウンドステージ制御に関連した、ミックスする重みの第1の組については、その範囲の第1の限度にあって図6Aに示されており、仮想中心音像は運転者の前のポイント502にしっかりと集束され、一方、仮想サラウンド音像504-1から504-nも、運転者に近接してしっかりと集束されており、左側音像506および右側音像508は中心に近く、そのためサウンドステージは狭くなる。仮想音像のそれぞれの組に対して、適切なミックスする重みが生成される。サウンドステージ制御に関連した、ミックスする重みの第2の組については、その範囲のもう一方の限度にあり、引き続き中央にあるものの、幅と、場合によっては高さまたは深さとにおいて、より大きい中心音像522は、運転者からさらに遠く離れている、より包絡的なサラウンド音像524-1から524-nと組み合わされる。左側音像526および右側音像528は、車両において利用できる実際の幅が不足しているので、より広いサウンドステージを提供するために中心から後方へさらに移動される。サウンドステージのマッピングにおける位置を制御するための他の選択肢が、システム設計者の要求および実際に使用されているスピーカの数に依拠して可能である。バイノーラル仮想音像信号を生成するバイノーラルフィルタに入力されるコンポーネントに加えて、前部固定スピーカに対するリミックスステージ418におけるコンポーネントの重みも修正され、フロントスピーカへのコンポーネントの混合を変更する。
【0033】
ユーザが制御を調整するとき、2つのサウンドステージ構成の間の移行を達成するために、重みの両方の組が同時に適用され、重みのそれぞれの組の相対的寄与は、図7に示されるように、サウンドステージ制御の位置に基づいて設定される。図7が示す2つの曲線602および604は、重みの2つの組の寄与をサウンドステージの制御位置の関数として表すものである。横軸606は、開始位置608から終了位置610に及ぶ制御位置である。制御の開始位置および終了位置は、ほんの少し例を挙げれば、狭いものから広いもの、前方から後方(たとえば従来の「フェーダ」制御が再度意図される場合)、またはソロからオーケストラなど、所与の用途における様々なものにラベルを付けられてよい。縦軸612は、重みのそれぞれの組の寄与であり、0から1の範囲にある。このグラフは完全に抽象的なものであり、実際の値は、たとえば実際にこの制御方式を実施するために使用されるフィルタのタイプに依拠して0と1ではない可能性があることに留意されたい。
【0034】
サウンドステージ制御が完全に開始位置608にある場合、重みの第1の組の寄与(曲線602)は1に設定され、重みの第2の組の寄与(曲線604)は0である。フェーダが中央に移動され、次いで終了位置610へ完全に移動されるとき、完全な終了位置まで第1の組の寄与が低下して第2の組の寄与が増加し、完全な終了位置では、第1の組の寄与が0になって第2の組の寄与が1になる。曲線には「狭い」および「広い」とラベルが付いているが、所与の用途では、前述の制御位置のラベルによく似て、重みの効果の実際の説明が変化するので、これは単に便宜上の表記法である。したがって、ユーザは、狭くかつ前方から、広くかつ包絡的へと、または所与のシステムが提供する選択肢のすべての間で、サウンドステージのサイズを調整することができる。これらの設定は、ソースオーディオ信号のコンテンツに基づいて自動的にも適用され得、たとえばトークラジオは、狭くかつ前方のサウンドステージを有する重みの第1の組を用いて再生されてよく、一方、音楽は、より広くかつより包絡的な全体のサウンドステージを有する重みの第2の組を用いて演奏されてよい。示された曲線の形状は単に説明のためのものであり、システム設計者の要求およびオーディオシステムの能力に依拠して、直線を含む他の曲線も用いられ得る。
【0035】
別の実施形態では、コンポーネント信号をミックスする重みを変更するのではなく、または変更するのに加えて、仮想音像位置を移動させるようにバイノーラルフィルタを変化させることができる。バイノーラルフィルタの2つの組が、どちらのバイノーラルフィルタが主要かということ、したがって仮想音像がどこにあるかということがフェーダ制御によって決定されるように、フェーダ入力制御から導出された重みに基づいて組み合わされ得る。固定スピーカは、出力信号を形成するようにミックスされるコンポーネント信号の重みを変化させることによって、引き続き変化され得る。
【0036】
前述のシステムおよび方法の実施形態が含み得るコンピュータ構成要素とコンピュータで実施されるステップとは、当業者には明白であろう。たとえば、コンピュータで実施されるステップは、たとえばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、フラッシュROM、不揮発性ROM、およびRAMなどのコンピュータ可読媒体にコンピュータ実行可能命令として記憶され得ることが当業者には理解されるはずである。さらに、コンピュータ実行可能命令は、たとえばマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、ゲートアレイなどの様々なプロセッサ上で実行され得ることが当業者は理解されるはずである。説明の容易さのために、本明細書では、前述のステップまたはシステムおよび方法の要素のすべてがコンピュータシステムの一部分であると説明されているわけではないが、当業者なら、それぞれのステップまたは要素が、対応するコンピュータシステムまたはソフトウェアコンポーネントを有し得ることを認識するであろう。したがって、そのようなコンピュータシステムおよび/またはソフトウェアコンポーネントは、それらが対応するステップまたは要素(すなわちそれらの機能)を記述することによって有効になり、本開示の範囲内に入るものである。
【0037】
複数の実施態様が説明されてきた。しかしながら、本明細書で説明した発明概念の範囲から逸脱することなくさらなる修正形態が製作され得、したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内であることが理解されよう。
【符号の説明】
【0038】
100 オーディオシステム
102 ソース/処理/増幅のユニット
104 スピーカの組
106 スピーカの組
108 高音専用スピーカ
110 高音専用スピーカ
112 低域から中域のスピーカ要素
114 低域から中域のスピーカ要素
120 運転者のヘッドレスト
122 スピーカ
124 スピーカ
126 乗客のヘッドレスト
128 スピーカ
130 ケーブル
132 低音ボックス
202 運転者
204 左耳
206 右耳
208 乗客
210 乗客の耳
212 乗客の耳
222 サウンドソース
224-i 仮想スピーカ
224-1 スピーカ
224-d スピーカ
224-m スピーカ
224-n スピーカ
224-p スピーカ
226 サウンドソース
402 ソース
404 アップミックスモジュール
406-1 バイノーラルフィルタ
406-P バイノーラルフィルタ
418 リミックスステージ、周辺スピーカのリミックスステージ
420 バイノーラルミックスステージ、近接場のミックスステージ
FL 出力信号
FR 出力信号
H0L 出力信号
H0R 出力信号
C1 コンポーネント信号
CN コンポーネント信号
V1 仮想音像信号
VP 仮想音像信号
502 運転者の前のポイント
504-1 仮想サラウンド音像
504-n 仮想サラウンド音像
506 左側音像
508 右側音像
522 より大きい中心音像
524-1 より包絡的なサラウンド音像
524-n より包絡的なサラウンド音像
526 左側音像
528 右側音像
602 曲線
604 曲線
606 横軸
608 開始位置
610 終了位置
612 縦軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7