特許第6208859号(P6208859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6208859デクスメデトミジン経皮送達デバイス及びその使用法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208859
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】デクスメデトミジン経皮送達デバイス及びその使用法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4174 20060101AFI20170925BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20170925BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   A61K31/4174
   A61K9/70 401
   A61P25/20
   A61K47/32
   A61K47/14
   A61K47/12
   A61K47/18
【請求項の数】22
【全頁数】52
(21)【出願番号】特願2016-520590(P2016-520590)
(86)(22)【出願日】2014年10月3日
(65)【公表番号】特表2016-532642(P2016-532642A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】US2014059050
(87)【国際公開番号】WO2015054058
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2016年5月31日
(31)【優先権主張番号】61/887,859
(32)【優先日】2013年10月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502346286
【氏名又は名称】テイコク ファーマ ユーエスエー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】ポンピーラパット,アドチャラ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン,アミット
(72)【発明者】
【氏名】バーナー,ブレット
(72)【発明者】
【氏名】ウェン,チャンイェー
(72)【発明者】
【氏名】シュドウ,ジュタロウ
【審査官】 伊藤 清子
(56)【参考文献】
【文献】 特表平05−503916(JP,A)
【文献】 特表平06−507888(JP,A)
【文献】 特開2012−158521(JP,A)
【文献】 特開平07−076526(JP,A)
【文献】 特表平11−501323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4174
A61K 9/70
A61K 47/12
A61K 47/14
A61K 47/18
A61K 47/32
A61P 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デクスメデトミジン組成物含む単層マトリクスとバッキング層とからなり
前記デクスメデトミジン組成物が、
デクスメデトミジン;
溶解度向上剤;及び
ペンダントヒドロキシル官能基を有するアクリレート感圧接着剤を含む、経皮送達デバイス。
【請求項2】
前記単層マトリクスが、長期間にわたって対象に非鎮静量のデクスメデトミジンを送達するように形成されている、請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項3】
前記単層マトリクスが、長期間にわたって対象に鎮静量のデクスメデトミジンを送達するように形成されている、請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項4】
前記単層マトリクスが、デクスメデトミジンを対象に6時間以上送達するように形成されている、請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項5】
前記単層マトリクスが、デクスメデトミジンを対象に1日以上送達するように形成されている、請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項6】
前記単層マトリクスが、デクスメデトミジンを対象に7日以上送達するように形成されている、請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項7】
前記組成物中のデクスメデトミジンの量が20% w/w以下である、請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項8】
前記組成物中のデクスメデトミジンの量が10% w/w以下である、請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項9】
前記デクスメデトミジン組成物が、飽和量のデクスメデトミジンを含む、請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項10】
前記デクスメデトミジン組成物が、過飽和量のデクスメデトミジンを含む、請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項11】
前記単層マトリクスデクスメデトミジン組成物が、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンK90(PVP K90)、レブリン酸、オレイン酸、プロピレングリコールモノラウレート(PGML)、乳酸ラウリル、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項12】
前記単層マトリクスが、デクスメデトミジン、溶解度向上剤及び前記感圧接着剤からなる、請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項13】
鎮静していない対象のための経皮送達デバイスの製造のためのデクスメデトミジン組成物の使用であって、該経皮送達デバイスは、請求項1〜12のいずれかに記載の経皮送達デバイスを含む使用
【請求項14】
前記溶解度向上剤が、乳酸ラウリル、プロピレングリコールモノラウレート、リノール酸、オレイン酸、リノレン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、レブリン酸、パルミチン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ステアリン酸、N−ラウロイルサルコシン、L−ピログルタミン酸、ラウリン酸、コハク酸、ピルビン酸、グルタル酸、セバシン酸、及びシクロペンタンカルボン酸からなる群から選択される化合物である、請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項15】
該化合物が乳酸ラウリルある、請求項14に記載の経皮送達デバイス。
【請求項16】
該化合物がレブリン酸である、請求項14に記載の経皮送達デバイス。
【請求項17】
アクリレートコポリマーが、アクリレート−酢酸ビニルコポリマーである、請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項18】
アクリレートコポリマーが、架橋剤を欠いているアクリレート−酢酸ビニルコポリマーである、請求項17に記載の経皮送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)項により、本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年10月7日に出願された米国仮特許出願第61/887,859号に対する利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
デクスメデトミジンは、集中治療室で鎮静剤として使用され、手術または短時間の処置のために鎮静を必要とする挿管し、若しくは挿管していない患者のために麻酔医によって使用される、メデトミジンのS−エナンチオマーであり、α−アドレナリン受容体のアゴニストである。α−アドレナリン受容体は、α2a、α2b及びα2c−アドレナリン受容体を含む、3種の非常に相同的なサブタイプを含むGヘテロ三量体G−タンパク質と結合したG−タンパク質結合受容体である。a−アドレナリン受容体のアゴニストは、中枢神経系への影響を介した、鎮静、筋弛緩及び鎮痛に関与している。
【0003】
デクスメデトミジンは、臨床環境において、非経口、静脈内及び経口投与を介し、鎮静剤として使用され、それ故、病院内の医療専門家によって厳重な管理を必要とする。デクスメデトミジンは、現在は、臨床(例えば、病院で)環境で、挿管し、または人工呼吸器を装着した患者の鎮静のために、並びに手術、X線検査、または診断法の際のモニタリングした麻酔の一部として、挿管していない対象の鎮静のために使用されている。デクスメデトミジンは、呼吸に悪影響を与えないので、挿管していない対象に連続静脈内注入をするためにも承認されている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様は、対象にデクスメデトミジンを送達するための経皮送達デバイスであって、該経皮送達デバイスが単層マトリクスデクスメデトミジン組成物を含む、経皮送達デバイスを含む。ある特定の実施形態による経皮送達デバイスは、単層製剤として提供される、デクスメデトミジン及び感圧接着剤を含む。また、デクスメデトミジンを対象に送達するための、本発明の経皮送達デバイスの使用法、並びに該経皮送達デバイスを含むキットも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】一実施形態による、ポリイソブチレン/ポリブテン及び架橋ポリビニルピロリドン接着剤を用いた、デクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図2図2Aは、一実施形態による、累積デクスメデトミジン送達量の例を時間とともに示す。図2Bは、一実施形態による、官能基化されていないアクリレート接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。図2Cは、一実施形態による、デクスメデトミジンの利用の例を時間とともに示す。
図3】一実施形態による、官能基化されていないアクリレート接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図4】一実施形態による、酢酸ビニルを含む、ヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図5】別の実施形態による、ヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図6】別の実施形態による、ヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤、及び酢酸ビニルを含む、ヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図7A】一実施形態による、ヒドロキシル官能基化されていないアクリレート接着剤、ヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤、及び酢酸ビニルを含むヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図7B】一実施形態による、ヒドロキシル官能基化されていないアクリレート接着剤、ヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤、及び酢酸ビニルを含むヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図8】別の一実施形態による、カルボン酸官能基化アクリレート接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図9】別の実施形態による、酢酸ビニルを含む官能基としてのカルボキシル基及びヒドロキシル基とともにアクリル接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図10】一実施形態による、カルボン酸官能基化アクリレート接着剤とともにポリイソブチレン/ポリブテン接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図11】一実施形態による、溶解度向上剤、レブリン酸とともにポリイソブチレン/ポリブテン接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図12】一実施形態による、溶解度向上剤、乳酸ラウリルとともにポリイソブチレン/ポリブテン接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図13】一実施形態による、溶解度向上剤、プロピレングリコールモノラウレートとともにポリイソブチレン/ポリブテン接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図14A】一実施形態による、レブリン酸とともに酢酸ビニルを含む、ヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図14B】一実施形態による、ポリビニルピロリドンとともに酢酸ビニルを含む、ヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図14C】一実施形態による、カルボン酸官能基化アクリレート接着剤とともに酢酸ビニルを含む、ヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図15】一実施形態による、レブリン酸、オレイン酸またはカルボン酸官能基化アクリレート接着剤の非存在下または存在下におけるアクリレート感圧接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図16】別の実施形態による、カルボン酸官能基化アクリレート接着剤とともに酢酸ビニルを含む、ヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図17】別の実施形態による、オレイン酸またはカルボン酸官能基化アクリレート接着剤とともに酢酸ビニルを含む、ヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図18】別の実施形態による、カルボン酸官能基化アクリレート接着剤、乳酸ラウリルまたはオレイン酸等の溶解度向上剤とともに酢酸ビニルを含む、ヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤を有するデクスメデトミジン経皮組成物の経皮送達デバイスの適用時間の関数としての、平均デクスメデトミジンフラックスのプロットの例を示す。
図19】種々の製剤からの時間に対する平均デクスメデトミジンのインビトロにおける皮膚フラックスを示す。
図20】種々の製剤からの2つの異なる皮膚サンプルのフラックスを示す。
図21】種々の製剤からの2つの異なる皮膚サンプルのフラックスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の態様は、対象にデクスメデトミジンを送達するための経皮送達デバイスであって、該経皮送達デバイスが単層マトリクスデクスメデトミジン組成物を含む、経皮送達デバイスを含む。ある特定の実施形態による経皮送達デバイスは、単層製剤として提供される、デクスメデトミジン及び感圧接着剤を含む。また、デクスメデトミジンを対象に送達するための、本発明の経皮送達デバイスの使用法、並びに該経皮送達デバイスを含むキットも提供される。
【0007】
本発明をより詳細に記載する前に、本発明は記載した特定の実施形態に限定されず、当然ながら変化し得ることを理解すべきである。本明細書において使用する用語は、特定の実施形態を記載することを目的とするのみであり、また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるのであるから、限定することを意図するものではないことをまた理解すべきである。
【0008】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限値と下限値との間の、文脈において別様に明記されない限り下限値の単位の10分の1までの介在する各値、及びその記載の範囲内の任意の他に記載されるかまたは介在する値が、本発明内に包含されることが理解される。これらのより狭い範囲の上限値及び下限値は独立して、これらのより狭い範囲内に含まれてもよく、また、記載の範囲内の任意の具体的に排除される限界値に従って、本発明内に含まれる。記載の範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界値のいずれかまたは両方を除く範囲もまた、本発明に含まれる。
【0009】
ある特定の範囲は、本明細書では、用語「約」が先行する数値を用いて表されている。用語「約」は、本明細書では、それが先行する正確な数値を文字通りに、並びにこの用語が先行する数値に接近または近似する数値を支援するために使用される。ある数値が、具体的に記述された数値に接近または近似しているか否かを決定する場合、接近または近似する記述されていない数値は、それが示されている文脈で、具体的に記述された数値の実質的な等価性を提供する数値であってもよい。
【0010】
別様に定義されていない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は全て、本開示が属する当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似する、または同等である任意の方法及び物質を、本発明の実施または試験に使用することもできるが、代表的で例示的な方法及び物質を以下に記述する。
【0011】
本明細書に引用される出版物及び特許は全て、個々の出版物または特許の各々が、具体的に及び個々に参照により組み込まれることが示されているがごとく、参照により本明細書に組み込まれ、出版物の引用と関連する方法及び/または物質を開示及び記述するために参照により本明細書に組み込まれる。あらゆる出版物の引用は、出願日前にそれを開示するためのものであり、本発明が、事前開示により、そのような出版物に先行する資格がないことを承認するものと解釈されるべきでない。更に、提供された公開の日付は、実際の公開日とは異なる場合があり、独立して確認される必要がある場合がある。
【0012】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈において別様に明記されない限り、複数の参照対象を含むことが留意される。更に、特許請求の範囲は、あらゆる随意の要素を除外するように立案してもよいことが留意される。そのため、この記述は、特許請求の要素の記載または「否定的」限定の使用に関して、「単に」及び「のみ」等の排他的な用語を用いるための先行詞的な役割を果たすことが意図されている。
【0013】
本明細書に記述及び示されている個々の実施形態のそれぞれは、当業者であれば本開示を読むと明白であるように、本開示の範囲または趣旨から逸脱せずに、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離することができるかまたは組み合わせることができる個別の構成要素及び特徴を有する。任意の記載された方法は、記載された事象の順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で実施することができる。
【0014】
本発明の種々の実施形態を更に記載するに際し、デクスメデトミジン組成物の単層マトリクスを有する経皮送達デバイスの態様を最初に詳細に概説し、次いで対象にデクスメデトミジンを送達するための経皮送達システムを用いる実施形態を詳細に説明し、次いで本発明の持続性経皮送達デバイスを含むキットを概説する。
【0015】
単層マトリクスデクスメデトミジン組成物を含むデクスメデトミジン経皮送達デバイス
上記に要約したように、本発明の態様は、ある量のデクスメデトミジンを対象に送達するためのデクスメデトミジン経皮送達デバイスを含む。経皮送達デバイスは、デクスメデトミジン及び感圧接着剤を有する単層マトリクス組成物を含む。デクスメデトミジンは、以下の式:
【化1】

により記載されるメデトミジンのS−エナンチオマーである。
【0016】
本発明の実施形態によるデクスメデトミジンは、遊離塩基、塩、溶媒和物、水和物または複合体の形態であってもよい。例えば、デクスメデトミジンは、メシレート、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、エシレート、p−トルエンスルホン酸塩、安息香酸塩、酢酸塩、リン酸塩及び硫酸塩を含むが、これらに限定されない、薬学的に許容される塩の形態であってもよい。いくつかの実施形態による、デクスメデトミジンは遊離塩基であってもよい。他の例では、デクスメデトミジンは錯体を形成する場合がある。
【0017】
本発明の実施形態では、経皮送達デバイスは単層マトリクスデクスメデトミジン組成物で形成される。「単層」とは、経皮送達デバイスが経皮送達デバイスの基材(substrate)の表面に配置されたデクスメデトミジン組成物の単層のみを含み、感圧接着剤、経皮デクスメデトミジン組成物、または存在するとすればいずれかの透過促進剤のための別個の層を含まないことを意味する。同様に、本発明の単層経皮送達デバイスが感圧接着剤とは別個のデクスメデトミジンリザーバ(すなわち、有効薬剤リザーバ)を更に含むこともない。このように、本発明の単層経皮送達デバイスは、単一マトリクス中に、以下に詳細に説明するように、本発明の方法を実施するのに必要な経皮デクスメデトミジン組成物のある量の各成分を含有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、目的とする単層経皮送達デバイスは、対象に非鎮静量のデクスメデトミジンを送達するように形成された、デクスメデトミジン及び感圧接着剤の単層マトリクスを含む。別の実施形態では、目的とする単層経皮送達デバイスは、対象に非鎮静量のデクスメデトミジンを送達するように形成された、デクスメデトミジン、感圧接着剤及び溶解度向上剤の単層マトリクスを含む。別の実施形態では、目的とする単層経皮送達デバイスは、対象に非鎮静量のデクスメデトミジンを送達するように形成された、デクスメデトミジン、感圧接着剤及び脂肪酸エステルの単層マトリクスを含む。ある特定の実施形態では、目的とする単層経皮送達デバイスは、デクスメデトミジン及び感圧接着剤のみを有する単層マトリクスを含む。投与間隔の長さ及び所望の目標用量に応じて、目的とする単層マトリクスの厚さは多様であってよく、いくつかの例では、厚さ10〜260ミクロン、例えば15〜250ミクロン、例えば25〜225ミクロン、例えば50〜200ミクロン、例えば75〜175ミクロンにおよび、20〜130ミクロン、例えば35〜110ミクロンを含む。
【0018】
適用部位及び対象の生理機能(例えば、体重)に依存し、目的とする組成物中のデクスメデトミジンの量は変化し得、ある例では、デクスメデトミジンの量は、0.001mg〜50mg、例えば0.005mg〜40mg、例えば0.01〜30mg、例えば0.05〜20mgにおよび、0.1mg〜10mgを含む。いくつかの実施形態では、経皮組成物中のデクスメデトミジンの量は、0.1%〜20% w/w、例えば0.5%〜18% w/w、例えば1%〜15% 、例えば2%〜12.5% w/wにおよび、3%〜10% w/wを含む。他の実施形態では、本発明の経皮組成物中のデクスメデトミジンの量は、経皮組成物の全重量の10重量%以下、例えば9重量%以下、例えば8重量%以下、例えば7重量%以下、例えば6重量%以下、例えば5重量%以下であり、経皮組成物の全重量の3重量%以下であることを含む。ある特定の実施形態では、デクスメデトミジン組成物は、デクスメデトミジンの飽和点未満の量を含む。他の実施形態では、デクスメデトミジン組成物は飽和量のデクスメデトミジンを含む。更に他の実施形態では、デクスメデトミジン組成物は過飽和量のデクスメデトミジンを含む。
【0019】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されたデクスメデトミジン組成物は、非鎮静的であるように製剤化されている。「非鎮静」は、エクスメデトミジン組成物が、対象の鎮静化を完全に引き起こさないある量のデクスメデトミジンを対象に送達するように製剤化されていることを意味する。言い換えると、対象は、目的とするデクスメデトミジンが対象に経皮投与される全ての時間を通して意識があり反応性があるままである。ある特定の例では、デクスメデトミジン経皮組成物の投与を通じて、対象は協調性があり、見当識が保たれ、静かな状態なままである。他の例では、デクスメデトミジン経皮組成物の投与を通じて、対象は覚醒状態にあり、命令(例えば、口頭または書面による命令)に反応し得る。更に他の例では、デクスメデトミジン経皮組成物の投与を通じて、対象は覚醒状態にあり、協調性があり、見当識が保たれ、静かな状態であり、命令(例えば、口頭または書面による命令)に反応し得る。
【0020】
以下に詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、目的とするデクスメデトミジン経皮組成物は、経皮投与を通じて、対象がラムゼイ鎮静スケールに従って評価され、対象に1のラムゼイスコアが割り当てられている場合を含むように、対象を、4以下のラムゼイスコア、例えば3以下のラムゼイスコア、例えば2以下のラムゼイスコアが割り当てられるように、製剤化されている。ある特定の例では、デクスメデトミジンの経皮組成物の投与を通じて、対象は眉間を軽くたたくか大声での呼びかけに対してすばやい反応を示す。他の例では、デクスメデトミジン経皮組成物の投与を通じて、対象は口頭による命令に反応する。更に他の例では、デクスメデトミジン経皮組成物の投与を通じて、対象は協調性があり、見当識が保たれ、静かな状態である。更に他の例では、デクスメデトミジン経皮組成物の投与を通じで、対象は不安が強く、興奮しているか、またはそわそわして落ち着きがない。
【0021】
本発明の実施形態では、経皮デクスメデトミジン組成物は、感圧接着剤も含む。感圧接着剤としては、ポリイソブテン接着剤、ポリイソブチレン接着剤、ポリイソブテン/ポリイソブチレン接着剤混合物、カルボキシル化ポリマー、アクリル若しくはアクリレートコポリマー、例えばカルボキシル化アクリレートコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
感圧接着剤がポリブテンを含む場合、ポリブテンは飽和ポリブテンであってもよい。また、ポリブテンは不飽和ポリブテンであってもよい。更に、ポリブテンは、飽和ポリブテンと不飽和ポリブテンとの混合物または組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、Indopol(登録商標)L−2、Indopol(登録商標)L−3、Indopol(登録商標)L−6、Indopol(登録商標)L−8、Indopol(登録商標)L−14、Indopol(登録商標)H−7、Indopol(登録商標)H−8、Indopol(登録商標)H−15、Indopol(登録商標)H−25、Indopol(登録商標)H−35、Indopol(登録商標)H−50、Indopol(登録商標)H−100、Indopol(登録商標)H−300、Indopol(登録商標)H−1200、Indopol(登録商標)H−1500、Indopol(登録商標)H−1900、Indopol(登録商標)H−2100、Indopol(登録商標)H−6000、Indopol(登録商標)H−18000、Panalane(登録商標)L−14E、Panalane(登録商標)H−300Eの組成物及びそれらの組み合わせであるか、またはそれらと実質的に同一である組成物を含んでいてもよい。ある特定の実施形態では、ポリブテン感圧接着剤はIndopol(登録商標)H−1900である。他の実施形態では、ポリブテン感圧接着剤はPanalane(登録商標)H−300Eである
【0023】
目的とするアクリレートコポリマーとしては、種々のモノマー、例えば「軟質」モノマー、「硬質」モノマーまたは「機能性」モノマーのコポリマーが挙げられる。アクリレートコポリマーは、バイポリマー(すなわち、2種類のモノマーで製造されたもの)、ターポリマー(すなわち、3種類のモノマーで製造されたもの)もしくはテトラポリマー(すなわち、4種類のモノマーで製造されたもの)を含むコポリマー、またはより多数のモノマーを含むコポリマーから構成できる。アクリレートコポリマーは架橋していてもよく、架橋していなくてもよい。ポリマーを既知の方法により架橋させて所望のポリマーを得ることができる。アクリレートコポリマーのモノマーには、アクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、共重合性二次モノマー、または官能基を備えたモノマーを含む群から選択される少なくとも2種類以上の代表的成分を含めることができる。モノマー(「軟質」及び「硬質」モノマー)は下記のものであってもよい:アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルブチル、メタクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソオクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリロニトリル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチルなど。アクリル系接着剤モノマーのさらなる例は、Satas,“Acrylic Adhesives”,Handbook of Pressure−Sensitive Adhesive Technology,第2版pp.396−456(D.Satas,ed.),Van Nostrand Reinhold,New York(1989)に記載され、その開示内容は、参照により本明細書に組み入れられる。いくつかの実施形態では、感圧接着剤はアクリレート−酢酸ビニルコポリマーである。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は下記の組成物またはそれらと実質的に同一の組成物を含んでもよい:Duro−Tak(登録商標)87−9301、Duro−Tak(登録商標)87−200A、Duro−Tak(登録商標)87−2353、Duro−Tak(登録商標)87−2100、Duro−Tak(登録商標)87−2051、Duro−Tak(登録商標)87−2052、Duro−Tak(登録商標)87−2194、Duro−Tak(登録商標)87−2677、Duro−Tak(登録商標)87−201A、Duro−Tak(登録商標)87−2979、Duro−Tak(登録商標)87−2510、Duro−Tak(登録商標)87−2516、Duro−Tak(登録商標)87−387、Duro−Tak(登録商標)87−4287、Duro−Tak(登録商標)87−2287、及びDuro−Tak(登録商標)87−2074、並びにそれらの組み合わせ。本明細書で用いられる場合、「実質的に同一」は、有機溶剤溶液中のアクリレート−酢酸ビニルコポリマーである組成物を意味する。ある特定の態様において、アクリル系感圧接着剤はDuro−Tak(登録商標)87−2054である。
【0024】
ある特定の実施形態では、感圧接着剤は、官能基化されていないアクリレート、ヒドロキシル官能基化アクリレート、または酸官能基化アクリレートである、アクリレート接着剤である。例えば、アクリレート接着剤は、1つ以上の−OH官能基を有するアクリル接着剤であってもよい。アクリル接着剤が1つ以上の−OH官能基を有する場合、ある例では、感圧接着剤は、Duro−Tak(登録商標)87−4287、Duro−Tak(登録商標)87−2287、Duro−Tak(登録商標)87−2510、及びDuro−Tak(登録商標)87−2516、並びにそれらの組み合わせの組成物であるか、それらと実質的に同一であってもよい。アクリレート接着剤は、また1つ以上の−COOH官能基を有するアクリル接着剤であってもよい。アクリル接着剤が1つ以上の−COOH官能基を有する場合、ある例では、感圧接着剤は、Duro−Tak(登録商標)87−387、Duro−Tak(登録商標)87−2979、及びDuro−Tak(登録商標)87−2353、並びにそれらの組み合わせの組成物であるか、それらと実質的に同一であってもよい。更に、アクリレート接着剤は、官能基化されていないアクリル接着剤であってもよい。アクリル接着剤が官能基化されていない場合、ある例では、感圧接着剤は、Duro−Tak(登録商標)87−9301の組成物であるか、それらと実質的に同一であってもよい。
【0025】
目的とする経皮デクスメデトミジン組成物中の感圧接着剤の量は変化し得、感圧接着剤の量は、0.1mg〜2000mg、例えば0.5mg〜1500mg、例えば1〜1000mg、例えば10〜750mgにおよび、10mg〜500mgを含む。このように、経皮組成物中の感圧接着剤の量は、1%〜99% w/w、例えば5%〜95% w/w、例えば10%〜95% 、例えば15%〜90% w/wにおよび、20%〜85% w/wを含む。他の実施形態では、本発明の経皮組成物中の感圧接着剤の量は、経皮組成物の全重量の、70重量%以上、例えば75重量%以上、例えば80重量%以上、例えば85重量%以上、例えば90重量%以上、例えば95重量%であり、経皮組成物の全重量の97重量%以上を含む。
【0026】
本発明の組成物中のデクスメデトミジンに対する感圧接着剤の重量比は、1:2〜1:2.5;1:2.5〜1:3;1:3〜1:3.5、1:3.5〜1:4;1:4〜1:4.5;1:4.5〜1:5;1:5〜1:10;1:10〜1:25;1:25〜1:50;1:50〜1:75;及び1:75〜1:99におよび得、それらの範囲であってもよい。例えば、目的とする組成物中のデクスメデトミジンに対する感圧接着剤の重量比は、1:1〜1:5;1:5〜1:10;1:10〜1:15;1:15〜1:25;1:25〜1:50;1:50〜1:75、または1:75〜1:99におよび得る。また、本発明の組成物中の感圧接着剤に対するデクスメデトミジンの重量比は、2:1〜2.5:1;2.5:1〜3:1;3:1〜3.5:1;3.5:1〜4:1;4:1〜4.5:1;4.5:1〜5:1;5:1〜10:1;10:1〜25:1;25:1〜50:1;50:1〜75:1;及び75:1〜99:1またはそれらの範囲におよぶ。例えば、目的とする組成物中の感圧接着剤に対するデクスメデトミジンの比は、1:1〜5:1;5:1〜10:1;10:1〜15:1; 15:1〜25:1;25:1〜50:1;50:1〜75:1;または75:1〜99:1におよび得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、経皮デクスメデトミジン組成物は、1種以上の架橋化親水性ポリマーを更に含んでいてもよい。例えば、架橋化ポリマーは、アミン含有親水性ポリマーであってもよい。アミン含有ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、アミン末端ポリエチレンオキシド、アミン末端ポリエチレン/ポリプロピレンオキシド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルのポリマー、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル、並びにビニルピロリドンのコポリマーが挙げられ得るが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、架橋ポリマーは架橋されたポリビニルピロリドン、例えばPVP−CLMである。
【0028】
マトリクスは、使用する接着剤に依存し、他の添加剤を含んでいてもよい。例えば、薬剤の結晶化を阻害し、摩耗の持続時間を改善する湿度特性を有し、接着剤の低温流れ、タック、結合力等の物性を改善する、PVP−CLM、PVP K17、PVP K30、PVP K90等の物質。
【0029】
目的とするデクスメデトミジン組成物中の架橋ポリマーの量は変化し得、架橋ポリマーの量は、0.1mg〜500mg、例えば0.5mg〜400mg、例えば1〜300mg、例えば10〜200mgにおよび、10mg〜100mgを含む。このように、経皮組成物中の架橋ポリマーの量は、2%〜30% w/w、例えば4%〜30% w/w、例えば5%〜25%、例えば6%〜22.5% w/wにおよび、10%〜20% w/wを含む。他の実施形態では、本発明の経皮組成物中の架橋ポリマーの量は、経皮組成物の全重量の8重量%以上、例えば10重量%以上、例えば12重量%以上、例えば15重量%以上、例えば20重量%以上、例えば25重量%以上であり、経皮組成物の全重量の30重量%以上を含む。
【0030】
ある特定の実施形態では、本発明の経皮デクスメデトミジン組成物は、デクスメデトミジン溶解度向上剤を更に含む。「溶解度向上剤」は、例えば、組成物中のデクスメデトミジンのあらゆる所望でない結晶化を防止するために、本発明の組成物中のデクスメデトミジンの溶解度を向上させる化合物または組成物を意味する。デクスメデトミジン溶解度向上剤は、デクスメデトミジン組成物中に、0.01%〜20%(w/w)、例えば0.05%〜15%(w/w)、例えば0.1%〜10%(w/w)、例えば0.5%〜8%(w/w)(1%〜5%(w/w)を含む)で導入される。
【0031】
例示的な溶解度向上剤としては、リノール酸、オレイン酸、リノレン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、レブリン酸、パルミチン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸(すなわち、ステアリン酸)、N−ラウロイルサルコシン、L−ピログルタミン酸、ラウリン酸、コハク酸、ピルビン酸、グルタル酸、セバシン酸、シクロペンタンカルボン酸を含む酸;アシル化アミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。他の目的とする溶解度向上剤としては、限定されないが、脂肪族アルコール、例えば12〜22個の炭素原子をもつ飽和または不飽和高級アルコール(例えば、オレイルアルコールまたはラウリルアルコール);脂肪酸エステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、乳酸ラウリル、ラウリン酸プロピル、オレイン酸エチル及びパルミチン酸イソプロピル;アルコールアミン、例えばトリエタノールアミン、トリエタノールアミン塩酸塩、及びジイソプロパノールアミン;多価アルコールアルキルエーテル、例えばグリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジグリセロール、ポリグリセロール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールモノラウレート、ソルビタン、ソルビトール、イソソルビド、メチルグルコシド、オリゴ糖、及び還元オリゴ糖などの多価アルコールのアルキルエーテル(その際、多価アルコールアルキルエーテル中のアルキル基部分の炭素原子数は好ましくは6〜20である);ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばアルキル基部分の炭素原子数が好ましくは6〜20であり、ポリオキシエチレン鎖中の反復単位(例えば、−O−CHCH−)の数が1〜9である、ポリオキシエチレンアルキルエーテル:例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、及びポリオキシエチレンオレイルエーテルであるが、これらに限定されない;グリセリド(すなわち、グリセロールの脂肪酸エステル)、例えば6〜18個の炭素原子をもつ脂肪酸のグリセロールエステル(その際、グリセリドはモノグリセリド(すなわち、1つの脂肪酸鎖にエステル結合により共有結合したグリセロール分子)、ジグリセリド(すなわち、2つの脂肪酸鎖にエステル結合により共有結合したグリセロール分子)、トリグリセリド(すなわち、3つの脂肪酸鎖にエステル結合により共有結合したグリセロール分子)、またはその組み合わせであってもよく、グリセリドを形成する脂肪酸成分には下記のものが含まれる:オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸(すなわち、ステアリン酸)及びオレイン酸);多価アルコールの中鎖脂肪酸エステル;乳酸アルキルエステル;二塩基酸アルキルエステル;アシル化アミノ酸;ピロリドン;ピロリドン誘導体、並びにその組み合わせ。更に他のタイプの溶解度向上剤には、乳酸、酒石酸、1,2,6−ヘキサントリオール、ベンジルアルコール、ラノリン、水酸化カリウム(KOH)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、モノオレイン酸グリセロール(GMO)、モノラウリン酸ソルビタン(SML)、モノオレイン酸ソルビタン(SMO)、ラウレス−4(laureth−4)(LTH)、並びにその組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、溶解度吸収性向上剤は、レブリン酸、乳酸ラウリルまたはプロピレングリコールモノラウレートである。
【0032】
本発明の経皮デクスメデトミジン組成物の配合物は多様であってよい。例えば、本発明の組成物は経皮送達デバイスにより投与するための液剤若しくは懸濁液剤、シロップ剤、ゲル剤、発泡製剤またはそのいずれかの組み合わせの形態であってもよい。
【0033】
本発明の経皮送達デバイスのサイズは多様であってよく、いくつかの例では、対象の適用部位全体を覆うサイズである。このように、経皮送達デバイスは、1〜100cm、例えば1〜60cmの長さ、及び1〜100cm、例えば1〜60cmの幅を有することができる。このように、経皮送達デバイスの面積は、4cm〜10,000cm、例えば5cm〜1000cm、例えば10cm〜100cm、例えば15cm〜50cmにおよび、20cm〜40cmを含む。ある特定の実施形態では、経皮送達デバイスは30cmの面積を有するサイズである。ある特定の場合、経皮送達デバイスは水に不溶性である。水に不溶性とは、その経皮送達デバイスを1日間以上、1週間以上(1か月以上を含む)の期間、水に浸漬することができ、もし溶解するとしてもほとんど溶解を示さず、例えば認められる溶解が全くないことを意味する。
【0034】
ある特定の実施形態では、前述の経皮送達デバイスは、更にオーバーレイバッキング層を含む。オーバーレイバッキングは、対象の所望の適用部位と緊密に接触させることができるように、可撓性であってもよい。オーバーレイバッキングは、デクスメデトミジンを吸収せずデクスメデトミジンをマトリクスから漏出させない材料から製造することができる。目的とするオーバーレイバッキング層としては、不織布、織布、フィルム(シートを含む)、多孔体、発泡体、紙、フィルムを不織布または織布に積層することにより得られる複合材料、及びその組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
不織布としては、ポリオレフィン樹脂、例えばポリエチレン及びポリプロピレン;ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート;レーヨン、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリウレタン、ポリアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、及びスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマー;並びにその組み合わせが挙げられる。織布としては、木綿、レーヨン、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、及びその組み合わせが挙げられる。フィルムとしては下記のものを挙げることができる:ポリオレフィン樹脂、例えばポリエチレン及びポリプロピレン;ポリアクリル樹脂、例えばポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチル;ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート;並びにその他、セロファン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、フッ素樹脂、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリアミド、及びポリスルホン;並びにその組み合わせ。紙としては、含浸紙、コート紙、上質紙、クラフト紙、和紙、グラシン紙、合成紙、及びその組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0036】
投与間隔及び所望の目標用量に応じて、オーバーレイバッキングのサイズは多様であってよく、ある例では、対象の適用部位全体を覆うサイズである。このように、バッキング層は2〜100cm、例えば4〜60cm範囲の長さ、及び2〜100cm、例えば4〜60cmの範囲の幅を有する。ある特定の例では、オーバーレイバッキング層は水に不溶性であってもよい。水に不溶性とは、バッキング層を1日間以上、例えば1週間以上(1か月以上を含む)の期間、水に浸漬することができ、もし溶解するとしてもほとんど溶解を示さず、例えば認められる溶解は全く無いことを意味する。
【0037】
本発明の実施形態によるデクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスは、適用部位で、対象の皮膚に対して非刺激性である。皮膚の刺激は、皮膚に対する有害作用、変色または損傷、例えば、赤み、痛み、腫れまたは乾燥を意味するものとして、その一般的な意味において本明細書で言及されている。このように、本発明の経皮送達デバイスを用いる方法の実施においては、皮膚の質は正常なままであり、経皮送達は、全投与間隔を通して一貫している。
【0038】
いくつかの実施形態では、皮膚刺激は、適用部位の皮膚の質及び色を判定するため、またあらゆる損傷、痛み腫れまたは乾燥が、経皮組成物の対象との接触状態を維持することに起因するかどうかを判定するため、評価される。皮膚は、任意の好都合なプロトコル、その開示が参照により本明細書に組み入れられる、Draize,J.H.,Appraisal of the Safety of Chemicals in Foods,Drugs and Cosmetics,pp.46−49,The Association of Food and Drug Officials of the United States:Austin,Texasに開示されたような、Draizeスケールの使用によって、炎症について評価することができる。特に、皮膚は、紅斑または浮腫について、経皮適用部位で評価することができる。例えば、紅斑及び浮腫の程度は、目視観察または触診に基づいて割り当てることができる:
紅斑:0=赤みが全く認められない;1=非常にわずかな赤み(ちょうど認識できる);2=わずかであるが、明確な赤み;3=中程度の激しい赤み;4=重篤な紅斑(皮膚の暗赤色の変色);5=痂皮形成
浮腫:0=可視反応または腫れが認められない;1=非常に軽度の浮腫(ちょうど認識できる腫れ);2=軽度の浮腫(領域の端が腫れのために十分に明確である);3=中程度の浮腫(1mm以下の腫れ);4=重篤な浮腫(1mm超の腫れ)。
【0039】
本発明の方法の際の任意の時点で、皮膚刺激について、適用部位を評価することができる。ある例では、皮膚は、定期的な間隔で、例えば0.25時間ごと、0.5時間ごと、1時間ごと、2時間ごと、4時間ごと、12時間ごと、24時間ごと(72時間ごとを含む)、またはいくつかの他の間隔で、皮膚の観察または触診により、経皮送達デバイスを対象と接触状態に保持しながら、刺激について評価することができる。例えば、適用部位は、経皮送達デバイスを対象に適用15分後、経皮送達デバイスの適用30分後、経皮送達デバイスの適用1時間後、経皮送達デバイスの適用2時間後、経皮送達デバイスの適用4時間後、経皮送達デバイスの適用8時間後、経皮送達デバイスの適用12時間後、経皮送達デバイスの適用24時間後、経皮送達デバイスの適用48時間後、経皮送達デバイスの適用72時間後、経皮送達デバイスの適用76時間後、経皮送達デバイスの適用80時間後、経皮送達デバイスの適用84時間後、経皮送達デバイスの適用96時間後、経皮送達デバイスの適用120時間後、(経皮送達デバイスの適用168時間後を含む)、経皮送達デバイスを対象と接触状態の保持しながら皮膚刺激について評価することができる。
【0040】
他の実施形態では、経皮適用部位は、経皮送達デバイスが対象との接触から取り除かれた後に皮膚刺激について評価される。例えば、適用部位は、経皮送達デバイスの除去30分後、例えば経皮送達デバイスの除去1時間後、例えば経皮送達デバイスの除去2時間後、例えば経皮送達デバイスの除去4時間後、例えば経皮送達デバイスの除去8時間後、例えば経皮送達デバイスの除去12時間後、例えば経皮送達デバイスの除去24時間後、例えば経皮送達デバイスの除去48時間後、例えば経皮送達デバイスの除去72時間後に、皮膚刺激について評価することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、経皮適用部位は、経皮送達デバイスが対象に適用される前に、例えば、投与間隔を開始する前に皮膚の色及び手触りを記録することで皮膚刺激について評価される。例えば、経皮送達デバイスの適用5分前、例えば10分、例えば30分、例えば60分、例えば120分、例えば240分前(経皮送達デバイスの適用480分前を含む)に、皮膚刺激について評価することができる。方法が、連続的に適用される複数の投与間隔を含む場合、適用部位は、各経皮送達デバイスが取り除かれた後、及び次の経皮送達デバイスが適用される前に、皮膚刺激について評価することができる。例えば、最初の経皮送達デバイスが取り除かれると、除去の2時間、24時間及び48時間後、並びに第2の経皮送達デバイスの適用前に、適用部位を皮膚刺激について評価することができる。皮膚刺激について評価した直後に、前の適用部位に、次の経皮送達デバイスを適用してもよく、または刺激について皮膚を評価した所定時間後、例えば、刺激について皮膚を評価した4時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間または168時間後に、適用してもよい。
【0042】
適用部位は、投与間隔の前、最中または後に、1回以上、例えば2回以上、例えば3回以上(投与間隔の前、最中または後に5回以上を含む)、皮膚刺激について評価することができる。投与間隔の前、最中または後の皮膚刺激について評価し得る、適用部位の回数の上限は、ある例では、10回以下、例えば7回以下、例えば5回以下、例えば3回以下であり、2回以下を含む。ある特定の実施形態では、投与間隔の前、最中または後に適用部位を皮膚刺激について評価し得る回数は、2回〜10回、例えば3回〜9回、例えば4回〜8回におよび得、5回〜7回を含む。ある特定の実施形態では、皮膚刺激は、例えばビデオ監視により、経皮送達デバイスの対象との接触状態が保持される全ての時間を通して監視することができる。
【0043】
単層デクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスの適用法
本発明の態様は、デクスメデトミジンを対象に投与するように形成されている単層デクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスを対象に適用する方法をも含む。「経皮」という用語は、それの一般的な意味で用いられ、有効薬剤(すなわち、薬物)を全身に分布させるために皮膚を越えて(例えば、局所投与)または粘膜を越えて送達する投与経路を意味する。したがって、本明細書に記載する経皮デクスメデトミジン組成物としては、皮下組織、真皮及び表皮(角質層、胚芽層、有棘層及び基底層を含む)のうち1以上を通して対象に送達される組成物が挙げられる。したがって、経皮デクスメデトミジン組成物を含有する持続性経皮送達デバイスは、いずれか好都合な位置、例えば腕、足、臀部、腹部、背部、頸部、陰嚢、膣部、顔面、耳の後ろ、頬部、及び舌下に適用される。本発明の方法を記述する際、用語「対象」は、それに経皮組成物を適用して接触状態を保持する、人または生物を意味する。よって、本発明の対象には哺乳動物、例えばヒト及び他の霊長類、例えばチンパンジー及び他の類人猿及びサルの種などを含めることができるが、これらに限定されず、ある特定の態様において、対象はヒトである。対象という用語は、あらゆる年齢、体重若しくは身体特性の人若しくは生物を含むことをも意味し、対象は、成人、子供、または新生児であってもよい。
【0044】
デクスメデトミジンの経皮投与は受動的であっても能動的であってもよい。「受動的な」輸送は、デクスメデトミジン組成物が、エネルギー(例えば、摩擦または加熱)を加えることなく、皮膚または粘膜を横切って送達されることを意味し、主に、障壁(例えば、皮膚または粘膜)の透過性及び送達のエントロピーに依存する。しかし、ある特定の実施形態による経皮投与は、デクスメデトミジン組成物の皮膚または粘膜を横切る能動的輸送をも含む。能動的輸送は、加えたエネルギーとともに、皮膚または粘膜を通って組成物を輸送するのに十分な任意の好都合なプロトコルであってもよく、数あるプロトコルの中でもマイクロニードル送達、促進拡散、電気化学的に生じる勾配、イオントフォレーシスシステムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
上述したように、単層マトリクスデクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスは、経皮送達デバイスの基材表面に配置された1層のみのデクスメデトミジン組成物を含み、感圧接着剤、デクスメデトミジン組成物、または存在すれば溶解度向上剤などのための分離された別個の層を含まない。このように、いくつかの実施形態による方法は、単層デクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスを対象に適用し、対象にデクスメデトミジンを送達するのに十分な時間、単層デクスメデトミジン組成物の対象との接触状態を保持することを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、方法は、対象へのデクスメデトミジンの持続性経皮送達を含む。「持続性経皮送達」は、経皮投与が長期間にわたって、例えば数時間、数日間(数週間を含む)、1時間以上、例えば2時間以上、例えば4時間以上、例えば8時間以上、例えば12時間以上、例えば24時間以上、例えば48時間以上、例えば72時間以上、例えば96時間以上、例えば120時間以上、例えば144時間以上(168時間以上を含む)、デクスメデトミジン組成物の送達を供給するように、製剤化されていることを意味する。上記範囲について、時間の上限は、ある例では、168時間以下、例えば144時間以下、例えば120時間以下、例えば96時間以下、例えば72時間以下、例えば48時間以下であり、24時間以下を含む。ある特定の実施形態では、持続性経皮送達は、0.5時間〜168時間、例えば1時間〜144時間、例えば1.5時間〜120時間、例えば2時間〜96時間、例えば2.5時間〜72時間、例えば3時間〜48時間、例えば3.5時間〜24時間、例えば4時間〜12時間におよび、5時間〜8時間を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、デクスメデトミジン組成物の持続放出経皮投与には、対象の皮膚に適用する治療的有効量のデクスメデトミジン有効薬剤の複数日間送達が含まれる。複数日間送達とは、1日以上である長期間、例えば2日以上、例えば4日以上、例えば7日以上、例えば14日以上(30日以上を含む)の期間、経皮送達デバイスが対象の皮膚に適用されたとき、対象に治療的有効量を供給するように経皮組成物を製剤化することを意味する。ある特定の実施形態では、経皮送達デバイスは、治療的有効量のデクスメデトミジンを、10日間以上、対象に供給する。複数日送達については、期間の上限は、ある例では、30日以下、例えば28日以下、例えば21日以下、例えば14日以下、例えば7日以下であり、3日以下を含む。ある特定の実施形態では、複数日経皮送達は、例えば2日〜30日、例えば3日〜28日、例えば4日〜21日、例えば5日〜14日におよび、6日〜10日を含む。
【0048】
ある特定の実施形態では、プロトコルは複数の投与間隔を含んでいてもよい。「複数投与間隔」は、2以上の経皮送達デバイスが適用され、逐次的な方法で、対象との接触状態が維持されることを意味する。このように、経皮送達デバイスを対象との接触状態から取り除き、新たな送達デバイスを対象に再度適用する。本発明の方法の実施では、治療計画には2以上の投与間隔、例えば3以上の投与間隔、例えば4以上の投与間隔、例えば5以上の投与間隔(10以上の投与間隔を含む)を含んでいてもよい。
【0049】
複数投与間隔の治療プロトコルにおける投与間隔の持続時間は、対象の生理機能に依存し、またはヘルスケアの専門家により判断される治療プロトコルにより多様であってよい。例えば、複数投与処置計画における投与区間の持続時間は事前に決定でき、規則的間隔に従う。このように、投与間隔間の時間は多様であり、1日以上、例えば、2日以上、例えば3日以上、例えば4日以上、例えば5日以上、例えば6日以上、例えば7日以上、例えば10日以上であってもよく、30日以上を含む。投与間隔間の期間の上限は、ある例では、30日以下、例えば28日以下、例えば21日以下、例えば14日以下、例えば7日以下であり、3日以下を含む。ある特定の実施形態では、投与間隔間の時間は、例えば2日〜30日、例えば、3日〜28日、例えば4日〜21日、例えば5日〜14日におよび、6〜10日を含む。
【0050】
ある特定の実施形態では、投与間隔間の期間は、投与間隔間の経皮送達デバイスが対象と接触していない間の、デクスメデトミジンの血漿濃度に依存し得る。例えば、デクスメデトミジンの血漿濃度が特定の閾値以下に達した時に、その後の投与間隔を開始することができる。
【0051】
ある特定の実施形態では、経皮送達デバイスは、治療的有効量のデクスメデトミジンを、10日間、対象に供給する。
【0052】
本発明の方法による、デクスメデトミジン組成物を対象と接触させた状態で適用して保持する方法は、経皮投与したデクスメデトミジンが対象に有益であると思われるあらゆる用途、例えば、α−アドレナリン受容体アゴニスト活性の刺激により治療することのできる病弊、疾患、病気または病状において有用である。例えば、単層マトリクスデクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスは、非鎮静量のデクスメデトミジンによりα−アドレナリン受容体アゴニスト活性の刺激から対象が利益を受ける数ある病気及び病状の中でも特に、神経因性疼痛、特発性疼痛、急性疼痛、交感神経介在疼痛、複合性局所疼痛、慢性疼痛、例えば、がん疼痛、手術後疼痛、ヘルペス後神経痛、過敏性大腸症候群、及び他の内蔵痛、糖尿病性神経障害、筋痙直関連疼痛、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、交感神経依存性疼痛、偏頭痛を含む頭痛、異痛症、炎症性疼痛、例えば関節に関連する疼痛、胃腸痛、例えば過敏性大腸症候群(IBS)及びクローン病、を含む疼痛症候群、オピオイド依存、注意欠陥多動性障害、及び関連疾患、例えば下肢静止不能症候群、高血圧、トウレット症候群、うつ病、及び他の精神障害、例えば統合失調症及び双極性障害、高眼圧症、緑内障、痙直、非定型うつ病、パニック障害、社会恐怖症、幼児の夜尿症、脅迫性障害、過食症、過眠症、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、及び多発性硬化症、虚血、てんかん、ニューロパシー、例えば糖尿病性及び虚血性網膜症を治療または管理するためにある特定の実施形態に従って使用することができる。ある特定の実施形態では、単層デクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスは、オピオイド依存等の離脱症候群を治療するための本発明の実施形態に従って使用することができる。他の実施形態では、単層デクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスは疼痛を管理するために使用することができる。更に他の実施形態では、単層デクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスは、注意欠陥多動障害または不眠症を治療するために使用することができる。
【0053】
「治療」という用語は、対象が苦しむ状態と関連する症状の少なくとも改善を意味するために、従来の意味において本明細書で使用され、改善は、パラメータ、例えば治療すべき病状と関連する症状の規模を少なくとも低減することを意味するために広い意味において使用される。このように、治療は、対象が、病状または少なくともその病状を特徴づける症状に苦しまなくなるように、病理学的状態、または少なくともそれに関連する症状が完全に排除される状態をも含む。「管理」という用語は、対象を苦しませる病状と関連する症状が、少なくとも制御下に保持されている(すなわち、症状の規模が所定のレベル内に保持されている)ことを意味するために、従来の意味において本明細書で使用され、いくつかの例では、症状は基礎疾患を排除することなく改善される。
【0054】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、同じか、または無関係の病状を治療するための他の治療薬の前に、同時に、または後に投与することができる。他の治療薬と同時に投与する場合、本発明のデクスメデトミジン組成物は、同じまたは異なる組成物で投与することができる。したがって、目的とするデクスメデトミジン組成物及び他の治療薬は、併用療法により対象に投与することができる。「併用療法」は、治療を受けている対象において、物質の組み合わせの治療効果が引き起こされるように対象に投与することを意図する。例えば、併用療法は、本発明のデクスメデトミジン組成物を、少なくとも1種の他の薬剤、例えば、種々のタイプの治療薬のうち、併用して、特定の投与計画に従って、治療的有効用量を構成する、鎮痛薬(オピオイド等)、麻酔薬、降圧薬、化学療法薬を有する医薬組成物とを投与することにより達成することができる。別個の医薬組成物の投与は、治療を受けている対象において、これらの物質の併用による治療効果が引き起こされる限り、同時、または別々の時間に(すなわち、逐次的に、いずれかの順序で、同日に、または別の日に)実施することができる。
【0055】
同じ病状を治療するための第2の治療薬と同時に、デクスメデトミジンを投与する場合、第2の治療薬に対するデクスメデトミジンの重量比は、1:2〜1:2.5;1:2.5〜1:3;1:3〜1:3.5;1:3.5〜1:4;1:4〜1:4.5;1:4.5〜1:5;1:5〜1:10;及び1:10〜1:25におよび得、またはそれらの範囲であってもよい。例えば、第2の薬剤に対するデクスメデトミジンの重量比は、1:1〜1:5;1:5〜1:10;1:10〜1:15;または1:15〜1:25におよび得る。また、デクスメデトミジンに対する第2の治療薬の重量比は、2:1〜2.5:1;2.5:1〜3:1;3:1〜3.5:1;3.5:1〜4:1;4:1〜4.5:1;4.5:1〜5:1;5:1〜10:1;及び10:1〜25:1におよび、またはそれらの範囲である。例えば、デクスメデトミジンに対する第2の治療薬の重量比は、1:1〜5:1;5:1〜10:1;10:1〜15:1;または15:1〜25:1におよび得る。
【0056】
使用する特定のプロトコル、及び治療される病状に依存し、方法は1以上の治療投与間隔を含んでいてもよい。投与間隔は、約0.5時間以上、例えば1時間以上、例えば2時間以上、例えば4時間以上、例えば8時間以上、例えば12時間以上、例えば16時間以上、例えば20時間以上、例えば24時間以上、例えば48時間以上、例えば約72時間以上、例えば96時間以上、例えば120時間以上、例えば144時間以上持続し得、約168時間以上を含む。投与間隔の持続期間の上限は、ある例では、168時間以下、例えば、144時間以下、例えば120時間以下、例えば96時間以下、例えば72時間以下、例えば48時間以下であり、24時間以下を含む。ある特定の実施形態では、投与間隔の持続は、例えば、0.5時間〜168時間、例えば、1時間〜144時間、例えば1.5時間〜120時間、例えば2時間〜96時間、例えば2.5時間〜72時間、例えば3時間〜48時間、例えば3.5時間〜24時間、例えば4時間〜12時間におよび、5時間〜8時間を含む。
【0057】
治療プロトコルは、所望の通り、1回以上の投与間隔、例えば2回以上の投与間隔、例えば5回以上の投与間隔を含んでいてもよく、10回以上の投与間隔を含む。対象の生理機能及び所望の治療効果に依存し、本発明の実施形態による投与間隔の期間及び治療プロトコルは、後述のように変化し得る。
【0058】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のデクスメデトミジン組成物は非鎮静的であるように製剤化されている。「非鎮静」は、デクスメデトミジン組成物が、対象の鎮静化を完全に引き起こさないある量のデクスメデトミジンの量を対象に送達するように製剤化されている。言い換えると、対象は、デクスメデトミジンが対象に経皮投与される全ての時間を通して意識があり反応性があるままである。ある特定の例では、デクスメデトミジン経皮組成物の投与を通じて、対象は協調性があり、見当識が保たれ、静かな状態なままである。他の例では、デクスメデトミジン経皮組成物の投与を通じて、対象は覚醒状態にあり、命令(例えば、口頭または書面による命令)に反応し得る。更に他の例では、デクスメデトミジン経皮組成物の投与を通じて、対象は覚醒状態にあり、協調性があり、見当識が保たれ、静かな状態であり、命令(例えば、口頭または書面による命令)に反応し得る。
【0059】
鎮静のレベルを判定するための適切なプロトコルとしては、鎮静のレベルを判定するのに好都合なプロトコルのうち、Ramsay Sedation Scale、the Vancouver Sedative Recovery Scale、Cook及びPalmaにより修正されたthe Glasgow Coma Scale、the Comfort Scale、the New Sheffield Sedation Scale、the Sedation−Agitation Scale、及びthe Motor Activity Assessment Scaleが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
いくつかの実施形態では、本発明の方法(以下に更に詳細に説明する)は、反応性、認知または運動能におけるいくらかの低下が、非鎮静量のデクスメデトミジンを送達するために製剤化された経皮送達デバイスの投与に起因するのかどうかを判断するために、対象の鎮静のレベルを評価することを更に含む。鎮静のレベルは、任意の好都合なプロトコル、例えば上述したようなものにより評価することができる。ある特定の実施形態では、鎮静のレベルは、ラムゼイ鎮静スケール(その記載が参照として本明細書に組み入れられる、Ramsayら、Controlled sedation with alphaxalone−alphadolone,British Med Journal1974;2:656−659に開示されているような)を用いて評価される。例えば、各対象は、資格のあるヘルスケアの専門家により評価され、以下に要約する、ラムゼイ鎮静スケールによる鎮静のレベルに対してスコアを割り当てることもできる。
【0061】
【数1】
【0062】
いくつかの実施形態では、デクスメデトミジンの経皮組成物の対象への投与の間、対象の鎮静のレベルを評価し、対象に1のラムゼイスコアが割り当てられている場合を含むように、対象に、4以下のラムゼイスコア、例えば3以下のラムゼイスコア、例えば2以下のラムゼイスコアを割り当てる。ある特定の例では、デクスメデトミジンの経皮組成物の投与を通じて、対象は眉間を軽くたたくか大声での呼びかけに対してすばやい反応を示す。他の例では、デクスメデトミジン経皮組成物の投与を通じて、対象は口頭による命令に反応する。更に他の例では、デクスメデトミジン経皮組成物の投与を通じて、対象は協調性があり、見当識が保たれ、静かな状態である。更に他の例では、デクスメデトミジン経皮組成物の投与を通じて、対象は不安が強く、興奮しているか、またはそわそわして落ち着きがない。
【0063】
対象の鎮静のレベルは、方法の際、任意の時点で評価することができる。いくつかの例では、鎮静のレベルは、規則的な間隔、例えば0.25時間ごと、0.5時間ごと、1時間ごと、2時間ごと、4時間ごと、または他の間隔で持続性経皮送達デバイスを対象との接触状態を保持しながら評価する。例えば、鎮静のレベルは、例えば、経皮送達デバイスを対象に適用して15分後、経皮送達デバイスを適用して30分後、経皮送達デバイスを適用して1時間後、経皮送達デバイスを適用して2時間後、経皮送達デバイスを適用して4時間後、(経皮送達デバイスを適用して8時間後を含む)に、経皮送達デバイスを対象との接触状態を保持しながら評価することができる。
【0064】
対象の鎮静のレベルは、投与間隔の間に1回以上、例えば2回以上、例えば3回以上(投与間隔の前、最中または後に5回以上を含む)、評価することができる。投与間隔の間に対象を評価することができる回数の最大限は、いくつかの例では、10回以下、例えば7回以下、例えば5回以下、例えば3回以下であり、2回以下を含む。ある特定の実施形態では、投与間隔の間に対象を評価することができる回数は、例えば2〜10回、例えば3〜9回、例えば4〜8回であり、5〜7回を含む。
【0065】
ある特定の実施形態では、鎮静レベルは、経皮送達デバイスの対象との接触状態を保持する間、例えば、心拍数モニター、呼吸モニターにより、またはビデオモニターを用いることを含む目視観測により、監視することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、治療される対象は非鎮静状態であり、起きており、覚醒状態にあり、見当識が保たれ、理路整然としており、質問または依頼を含む口頭または書面による命令に反応することができる。例えば、対象は投与開始時には非鎮静状態であってもよい。他の実施形態では、対象は投与開始時に非鎮静状態であり、1回以上の投与間隔(すなわち、目的とするデクスメデトミジン経皮送達デバイスを対象と接触させている時間)を通じて非鎮静状態である。更に他の実施形態では、対象は投与開始時に非鎮静状態であり、全体の治療プロトコルの間、非鎮静状態のままである。
【0067】
上述したように、本発明の態様は、単層デクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスを対象に適用し、対象にデクスメデトミジンが送達されるのに十分な時間、単層デクスメデトミジン組成物の対象との接触状態を保持することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、例えば、総計の薬剤暴露、または平均的な一日の薬物暴露により決定される標的投与量を送達することで、対象に標的用量のデクスメデトミジンを送達するのに十分な方法で対象との接触状態を保持することを含む。経皮デクスメデトミジン組成物の所望の治療効果、治療プロトコル及び対象の生理的機能に依存して標的薬剤の暴露は変化し得る。ある特定の実施形態では、デクスメデトミジンの標的薬剤暴露は、対象の治療ウインドウ(therapeutic window)内にある量である。本発明の実施形態では、治療有効量は、所望の治療を可能にする全身量を提供する。例えば、対象における離脱症候群の治療において、標的とするデクスメデトミジンの非鎮静投与量は、投与間隔の過程(例えば、168時間の投与間隔)にわたり、25μg/日〜500μg/日、例えば50μg/日〜475μg/日、例えば75μg/日〜450μg/日、例えば100μg/日〜425μg/日、例えば125μg/日〜400μg/日、例えば150μg/日〜375μg/日、例えば175μg/日〜350μg/日、例えば200μg/日〜325μg/日、におよび得、200μg/日〜300μg/日を含む。ある特定の実施形態では、デクスメデトミジンの標的投与量は、投与間隔の過程(例えば、168時間以上の投与間隔)にわたり、147μg/日〜290μg/日におよぶ。
【0068】
いくつかの実施形態では、標的投与量は、治療の際の特定の時点で、デクスメデトミジンの所望の平均血漿濃度を与える、デクスメデトミジンの全身量を提供する量である。他の実施形態では、標的投与量は、対象に適用した時に、投与間隔または治療プロトコルを通じて、デクスメデトミジンの定常状態の平均血漿濃度を提供する量である。他の実施形態では、標的投与量は、対象に適用した時に、インビボで対象にデクスメデトミジンの送達の特定の速度を提供する量である。
【0069】
いくつかの実施形態では、単層デクスメデトミジン組成物を含む経皮送達デバイスを適用し、対象との接触状態を保持することは、デクスメデトミジンの標的量、例えば、投与間隔(例えば、7日以上)の過程にわたって送達されるデクスメデトミジン平均累積量の送達を含む。「標的累積量」という用語は、皮膚を通して対象に送達され、皮膚または粘膜の透過性及び適用部位の代謝活性のために変化する場合がある、デクスメデトミジンの総量を意味する。いくつかの実施形態では、デクスメデトミジンの平均累積量は、7日間の送達間隔にわたり、5μg/cm以上、例えば25μg/cm以上、例えば50μg/cm以上であり、投与間隔にわたり、例えば、75μg/cm以上、例えば100μg/cm以上、例えば125μg/cm以上であってもよく、200μg/cm以上を含む。投与間隔にわたる、デクスメデトミジン送達の平均累積量については、上限は、いくつかの例では、500μg/cm以下、例えば400μg/cm以下、例えば300μg/cm以下、例えば200μg/cm以下、例えば、100μg/cm以下であり、50μg/cm以下を含む。ある特定の実施形態では、投与間隔に渡る、デクスメデトミジンの平均累積量は、例えば5μg/cm〜500μg/cm、例えば25μg/cm〜400μg/cmにおよび、50μg/cm〜300μg/cmを含む。
【0070】
ある特定の実施形態による方法は、単層デクスメデトミジン組成物を含む経皮送達デバイスを対象に適用し、投与間隔の過程にわたり、0.05ng/mL〜0.5ng/mL、例えば0.1ng/mL〜0.45ng/mL、例えば0.15ng/mL〜0.4ng/mL、例えば0.2ng/mL〜0.35ng/mL(0.25ng/mL〜0.3ng/mLを含む)におよぶ平均血漿濃度を与えるのに十分な方法で対象と接触するように経皮デクスメデトミジン組成物を維持することを含んでいてもよい。例えば、経皮送達デバイスは、投与間隔の過程にわたり、0.16ng/mL〜0.36ng/mL(例えば168時間以上の投与間隔)におよぶ、平均血漿濃度を与えるのに十分な方法で対象との接触状態を保持することができる。他の実施形態では、方法は、全体の治療プロトコル(すなわち、1以上の投与間隔にわたり)の過程にわたり、0.05ng/mL〜0.5ng/mL、例えば、全体の治療プロトコルの過程にわたり、0.1ng/mL〜0.45ng/mL、例えば0.15ng/mL〜0.4ng/mL、例えば0.2ng/mL〜0.35ng/mL(0.25ng/mL〜0.3ng/mLを含む)におよぶ平均血漿濃度を与えるのに十分な方法で、単層デクスメデトミジン経皮組成物を対象との接触状態を保持することを含む。例えば、経皮送達デバイスは、全体の治療プロトコルの過程にわたり、0.16ng/mL〜0.36ng/mLにおよぶ平均血漿濃度を与えるのに十分な方法で対象との接触状態を保持することができる。
【0071】
ある特定の実施形態では、方法は、対象のデクスメデトミジンの血漿濃度を測定することを含んでいてもよい。血漿濃度は、任意の好都合なプロトコル、例えば、液体クロマトグラフィー−質量スペクトル分析(LCMS)等を用いて測定することができる。デクスメデトミジンの血漿濃度は、所望の任意の時点で測定することができる。いくつかの実施形態では、デクスメデトミジンの血漿濃度は、例えば、リアルタイムデータ収集により、経皮送達デバイスが対象との接触状態を保持している全時間にわたって監視することができる。他の例では、デクスメデトミジンの血漿濃度は、定期的な間隔でデータを収集することにより、例えば、データを、0.25時間ごと、0.5時間ごと、1時間ごと、2時間ごと、4時間ごと、12時間ごと、24時間ごと(72時間ごとを含む)にデータを収集することにより、経皮送達デバイスの対象との接触状態を保持している間、血漿濃度を監視する。更に他の例では、デクスメデトミジンの血漿濃度は、経皮送達デバイスを対象に適用した後、特定の日程に従ってデータを収集することにより、経皮送達デバイスを対象との接触状態を保持しながら監視される。例えば、デクスメデトミジンの血漿濃度は、経皮送達デバイスを対象に適用して15分後、経皮送達デバイスを対象に適用して30分後、経皮送達デバイスを対象に適用して1時間後、経皮送達デバイスを対象に適用して2時間後、経皮送達デバイスを対象に適用して4時間後、経皮送達デバイスを対象に適用して8時間後、経皮送達デバイスを対象に適用して12時間後、経皮送達デバイスを対象に適用して24時間後、経皮送達デバイスを対象に適用して48時間後、経皮送達デバイスを対象に適用して72時間後、経皮送達デバイスを対象に適用して76時間後、経皮送達デバイスを対象に適用して80時間後、経皮送達デバイスを対象に適用して84時間後、経皮送達デバイスを対象に適用して96時間後、経皮送達デバイスを対象に適用して120時間後(経皮送達デバイスを対象に適用して168時間後を含む)に測定することができる。
【0072】
ある特定の実施形態では、デクスメデトミジンの血漿濃度は、例えば、デクスメデトミジンの基礎的血漿濃度を測定するために、経皮送達デバイスを対象に適用する前に、デクスメデトミジンの血漿濃度を測定する。例えば、血漿濃度は、経皮送達デバイスを適用する、5分前、例えば10分前、例えば30分前、例えば60分前、例えば120分前、例えば240分前(経皮送達デバイスを適用する480分前を含む)に測定することができる。後述するように、方法は、経皮送達デバイスを対象に適用し、接触状態を保持することを繰り返すことができる、複数の投与間隔を含んでいてもよい。これらの実施形態では、血漿濃度は、最初の経皮送達デバイスが除去され、第二の経皮送達デバイスが適用される前に、測定することができる。
【0073】
デクスメデトミジンの血漿濃度は、所定の任意の期間に、各測定期間で1回以上、例えば2回以上、例えば3回以上(5回以上を含む)測定することができる。所定の任意の期間にデクスメデトミジンの血漿濃度を測定する回数の上限は、ある例では、10回以下、例えば7回以下、例えば5回以下、例えば3回以下であり、2回以下を含む。ある特定の実施形態では、所定の任意の期間にデクスメデトミジンの血漿濃度を測定する回数は、例えば2回〜10回、例えば3回〜9回、例えば4回〜8回であり、5回〜7回を含む。
【0074】
ある特定の実施形態による方法は、単層デクスメデトミジン組成物を含む経皮送達デバイスを対象に適用し、経皮フラックスがピークに達した後、経皮デクスメデトミジンのピークフラックスの30%以上の範囲内である、経皮デクスメデトミジンフラックスを維持するのに十分な方法で、経皮デクスメデトミジン組成物を対象との接触状態を保持することを含んでもよい。このように、目的とする経皮送達デバイスが経皮送達フラックスのピークに達すると、経皮送達デバイスは、対象に対してデクスメデトミジンのフラックスを、所定の任意の投与間隔の過程の間、ピーク経皮デクスメデトミジンフラックスの少なくとも30%、例えば、少なくとも35%、例えば、少なくとも40%((所定の任意の投与間隔の過程の間、ピークの少なくとも50%を含む))を維持するよう形成される。言い換えると、これらの特定の実施形態による経皮送達デバイスにより、ピークフラックスに達すると、対象に対する、デクスメデトミジンの経皮フラックスは、投与間隔の間のあらゆる時点においても、ピークフラックスの30%以下には低下しない。
【0075】
例えば、経皮フラックスがピークに達した後、単層経皮デクスメデトミジンフラックスがピーク経皮デクスメデトミジンフラックスの80%以上の範囲、例えば85%以上の範囲、例えば90%以上の範囲、例えば95%以上の範囲(ピーク経皮デクスメデトミジンフラックスの99%の範囲を含む)を維持するのに十分な方法で、経皮デクスメデトミジン組成物を対象との接触状態を保持することができる。ある特定の実施形態では、経皮デクスメデトミジンフラックスは、ピークフラックスに達した後には、全く減少せず、それがピークフラックスに達した瞬間から所定の投与間隔の終わりまでデクスメデトミジンフラックスピークの100%の率を維持する。
【0076】
経皮投与による活性剤のフラックスは、対象の皮膚または粘膜を介した活性剤の透過率である。ある例では、デクスメデトミジンのフラックスは下記式により決定することができる:
(1)Jskin flux=PxC
式中、Jは皮膚フラックスであり、Cは皮膚または粘膜を隔てた濃度勾配であり、Pは透過係数である。皮膚フラックスは、時間に対する皮膚または粘膜を通過する、身体に入った薬物の累積量の変化である。
【0077】
いくつかの例では、経皮デクスメデトミジン組成物は、0.05μg/cm/時以上、例えば、0.1μg/cm/時以上、例えば0.5μg/cm/時以上、例えば1μg/cm/時、例えば2μg/cm/時、例えば3μg/cm/時以上、例えば5μg/cm/時以上、例えば7.5μg/cm/時以上のピークフラックスを与えるのに十分な方法で、対象との接触状態を保持され、単層経皮デクスメデトミジン組成物を、10μg/cm/時以上のピークフラックスを与えるのに十分な方法で、対象との接触状態を保持することを含む。デクスメデトミジン送達のピークフラックスについては、上限は、ある例では、10μg/cm/時以下、例えば9μg/cm/時以下、例えば8μg/cm/時以下、例えば7μg/cm/時以下、6μg/cm/時以下、例えば5μg/cm/時以下であり、2μg/cm/時以下を含む。ある特定の実施形態では、経皮デクスメデトミジン送達のピークフラックスは、例えば0.05μg/cm/時〜10μg/cm/時、例えば1μg/cm/時〜9μg/cm/時におよび、2μg/cm/時〜8μg/cm/時を含む。
【0078】
このように、単層経皮デクスメデトミジン組成物が、ピーク経皮デクスメデトミジンフラックスの少なくとも30%の範囲内である、経皮デクスメデトミジンフラックスを与えるのに十分な方法で対象との接触状態を保持する場合、単層経皮組成物は、0.5μg/cm//時のピーク経皮フラックスに達した後、0.15μg/cm/時以上、例えば0.6μg/cm/時のピーク経皮フラックスに達した後、0.18μg/cm/時以上、例えば0.75μg/cm/時のピーク経皮フラックスに達した後、0.225μg/cm/時以上、例えば0.9μg/cm/時のピークフラックスに達した後、0.27μg/cm/時以上、例えば1.0μg/cm/時のピークフラックスに達した後、0.3μg/cm/時以上、例えば5μg/cm/時以上のピークフラックスに達した後、1.5μg/cm/時のフラクスを与えるのに十分な方法で対象との接触状態を保持することができ、10.0μg/cm/時のピークフラックスに達した後、3.0μg/cm/時以上のフラックスを与えるのに十分な方法で、単層経皮デクスメデトミジン組成物と対象との接触状態を保持することを含む。
【0079】
単層経皮組成物中に存在するデクスメデトミジンの量、対象の生理機能、適用の標的部位に依存し、ピークデクスメデトミジンフラックスに達するのに必要な時間は変化し得る。いくつかの例では、ピークデクスメデトミジンフラックスは、経皮送達デバイスの対象への適用後、2時間以上、例えば4時間以上、例えば6時間以上、例えば12時間以上、例えば18時間以上で達し、経皮送達デバイスの対象への適用後、24時間以上を含む。他の例では、ピークデクスメデトミジンフラックスは、168時間以内、例えば144時間以内、例えば120時間以内、例えば96時間以内、例えば72時間以内、例えば48時間以内、例えば24時間以内、例えば12時間以内、例えば8時間以内、例えば4時間以内に達し、2時間以内を含む。いくつかの実施形態では、ピークデクスメデトミジンフラックスは、経皮送達デバイスの対象への適用後、24時間で達する。
【0080】
ある特定の実施形態では、単層経皮組成物は、対象へのデクスメデトミジンの定常状態の平均フラックスを与えるのに十分なように、対象との接触状態を保持する。このように、目的とする経皮送達デバイスからのフラックスは、経皮送達デバイスが、対象との接触状態を保持しているあらゆる時にも30%以下、例えば20%以下、例えば15%以下、例えば12%以下、例えば10%以下、例えば6%以下、例えば5%以下、例えば4%以下で上昇または低下し、経皮送達デバイスが、対象との接触状態を保持しているあらゆる時にも1%以下で上昇または低下することを含む。
【0081】
単層デクスメデトミジン経皮組成物が、デクスメデトミジンの定常状態平均フラックスを与えるのに十分なように対象との接触状態を保持している場合、定常状態平均デクスメデトミジンフラックスは、0.5時間以上、例えば1時間以上、例えば2時間以上、例えば3時間以上、例えば4時間以上、例えば8時間以上、例えば12時間以上、例えば24時間以上、例えば36時間以上、例えば48時間以上、例えば72時間以上、例えば96時間以上、例えば120時間以上、例えば144時間以上保持することができ、168時間以上を含む。定常状態平均デクスメデトミジンフラックスを維持するために、上限は、ある例では、168時間以下、例えば144時間以下、例えば120時間以下、例えば96時間以下、例えば72時間以下、例えば48時間以下、例えば24時間以下、例えば12時間以下、例えば8時間以下、例えば4時間以下であり、2時間以下を含む。これらの実施形態では、経皮送達デバイスは、皮膚または粘膜を横切る濃度勾配を導入し、または過剰量のデクスメデトミジン投与量を提供することにより、一定のフラックスを提供するように形成されている。例えば、単層デクスメデトミジン経皮組成物は、通常の投与量の5%以上、例えば10%以上、例えば15%以上、例えば20%以上過剰のデクスメデトミジン用量を含み得、通常の投与量の25%以上過剰を含む。一定のフラックスを提供するために経皮送達デバイス中に存在する過剰のデクスメデトミジンの量については、上限は、ある例では、50%以下の過剰、例えば45%以下の過剰、例えば25%以下の過剰、例えば20%以下の過剰であり、通常の投与量の10%以下の過剰を含む。単層デクスメデトミジン経皮組成物は、一定のフラックスを提供するため、過剰量を含んでいてもよいが、過剰投与量は、投与間隔の一部として吸収されない。このように、一定のフラックスを提供するのに十分な方法で単層経皮デクスメデトミジン組成物を維持する、いくつかの実施形態では、経皮組成物中の利用できるデクスメデトミジンの25%以下、例えば20%以下、例えば15%以下、例えば10%以下、例えば5%以下(経皮組成物中の利用できるデクスメデトミジンの1%以下を含む)は、投与間隔の間に利用することができない可能性がある。
【0082】
ある特定の実施形態による方法は、単層デクスメデトミジン組成物を含む経皮送達デバイスを対象に適用し、経皮デクスメデトミジン組成物を、経皮送達デバイスを適用後、あらゆる時点で、約0.005〜約5μg/cm・時、例えば約0.01〜約4μg/cm・時、例えば約0.02〜約3μg/cm・時、例えば約0.05〜約2.5μg/cm・時、例えば約0.1〜約2μg/cm・時(約0.1〜約1μg/cm・時を含む)の、インビボにおける平均デクスメデトミジンフラックスを与えるのに十分な方法で対象と接触状態を保持することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、方法は、単層経皮デクスメデトミジン組成物を対象に適用し、適用後、24時間で、約0.005〜約2.0μg/cm・時、例えば、適用後、24時間で、約0.01〜約1.75μg/cm・時、例えば約0.02〜約1.5μg/cm・時、例えば約0.05〜約1.25μg/cm・時(約0.1〜約1μg/cm・時を含む)の、インビボにおける、平均デクスメデトミジンフラックスを与えるのに十分な方法で単層経皮組成物の対象との接触状態を保持することを含む。更に他の実施形態では、単層経皮デクスメデトミジン組成物を対象に適用し、適用後168時間で、約0.005〜約2.0μg/cm・時、例えば、適用後168時間で、約0.01〜約1.75μg/cm・時、例えば約0.02〜約1.5μg/cm・時、例えば約0.05〜約1.25μg/cm・時(約0.1〜約1μg/cm・時を含む)の、インビボにおける、平均デクスメデトミジンフラックスを与えるのに十分な方法で単層経皮組成物の対象との接触状態を保持することを含む。
【0083】
ある特定の実施形態では、方法は、経皮デクスメデトミジンフラックスを測定することを含む。経皮デクスメデトミジンフラックスは、任意の好都合なプロトコル、例えば、互いにクランプで留めたドナー側とレセプター側及びリン酸緩衝液を含有するレセプター溶液を含むフランツセルにおいて上皮層(角質層及び表皮)を含むヒト死体皮膚を使用するプロトコルにより、測定することができる。更に、透過するデクスメデトミジンの量は、液体クロマトグラフィーにより特徴づけることができる。経皮送達デクスメデトミジンフラックスは、本発明の方法の際の任意の時点で測定することができる。いくつかの実施形態では、経皮デクスメデトミジンフラックスは、単層経皮デクスメデトミジン組成物が、透過バリア(例えば、ヒト死体の皮膚)との接触状態を保持している間中、リアルタイムデータ収集によって監視してもよい。他の例では、経皮デクスメデトミジンフラックスは、定期的な間隔でデータを収集することにより、例えば0.25時間ごと、0.5時間ごと、1時間ごと、2時間ごと、4時間ごと、12時間ごと、24時間ごと(72時間ごとを含む)、またはいくつかの他の定期的若しくは不定期な間隔でデータを収集することによって監視される。更に他の例では、経皮デクスメデトミジンフラックスは、特定の日程に従ってデータを収集することによって監視される。例えば、経皮デクスメデトミジンフラックスは、経皮送達デバイスの適用の15分後、経皮送達デバイスの適用の30分後、経皮送達デバイスの適用の1時間後、経皮送達デバイスの適用の2時間後、経皮送達デバイスの適用の4時間後、経皮送達デバイスの適用の8時間後、経皮送達デバイスの適用の12時間後、経皮送達デバイスの適用の24時間後、経皮送達デバイスの適用の48時間後、経皮送達デバイスの適用の72時間後、経皮送達デバイスの適用の76時間後、経皮送達デバイスの適用の80時間後、経皮送達デバイスの適用の84時間後、経皮送達デバイスの適用の96時間後、経皮送達デバイスの適用の120時間後(経皮送達デバイスの適用の168時間後を含む)に測定することができる。
【0084】
経皮デクスメデトミジンフラックスは、所定の任意の測定期間に、1回以上、例えば、各測定期間に2回以上、例えば3回以上(5回以上を含む)測定することができる。経皮デクスメデトミジンフラックスを測定する回数の上限は、ある例では、10回以下、例えば7回以下、例えば5回以下、例えば3回以下であり、2回以下を含む。ある特定の実施形態では、経皮デクスメデトミジンフラックスを測定する回数は、2回〜10回、例えば3回〜9回、例えば4回〜8回におよび、5〜7回を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、単層デクスメデトミジン経皮組成物の対象との接触状態の保持において、透過デクスメデトミジンの平均累積量は、投与間隔の過程にわたり、実質的に線形速度で増大する(例えば、7日以上)。「実質的に線形」は、単層経皮組成物から遊離するデクスメデトミジンの累積量が一定速度で増加すること(すなわち、ゼロ次速度過程により定義される)を意味する。このように、透過するデクスメデトミジンの速度の変化は、経皮組成物の対象との接触を保持する間、所定の任意の時間で、10%以下、例えば8%以下、例えば7%以下、例えば6%以下、例えば5%以下、例えば3%以下、例えば2.5%以下、例えば2%以下で上昇または低下し、単層経皮組成物の対象との接触を保持する間、所定の任意の時間で、1%以下で上昇または低下することを含む。
【0086】
上述したように、本発明の態様は、単層デクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスを対象に適用し、対象に、デクスメデトミジンを送達するのに十分な時間、単層デクスメデトミジン組成物を対象と接触状態に保持することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、所定量のデクスメデトミジンを対象に送達するのに十分な方法で、単層デクスメデトミジン経皮組成物の対象との接触状態を保持することを含んでいてもよい。プロトコルが、所定量のデクスメデトミジンを対象に送達することを含む場合、目的とする単層組成物中のデクスメデトミジンの量は、0.001mg〜50mg、例えば0.005〜40mg、例えば0.01mg〜30mg、例えば0.05〜20mg、例えば0.1mg〜15mg、例えば0.5mg〜12.5におよび得、0.5mg〜10mgを含む。
【0087】
ある特定の実施形態では、対象に送達されるデクスメデトミジンの所定量は、単層組成物中に存在するデクスメデトミジンの総量の割合であってもよい。例えば、対象に送達されるデクスメデトミジンの所定量は、単層組成物中に存在するデクスメデトミジンの総量の1%以上、例えば2%以上、例えば5%以上、例えば10%以上、例えば25%以上であってもよく、単層組成物中に存在するデクスメデトミジン経皮組成物中に存在するデクスメデトミジンの総量の50%以上であることを含む。言い換えると、方法は、1回の投与間隔の過程にわたり、対象に、単層デクスメデトミジン組成物中のデクスメデトミジンの5%以上を送達するのに十分な方法で、単層デクスメデトミジン経皮組成物の対象との接触状態を保持することを含んでいてもよい。これらの実施形態では、デクスメデトミジンの利用率は、経皮送達デバイスが対象との接触状態を保持している間、5%以上である。このように、デクスメデトミジンの元の量の95%以下は、投与間隔後の単層経皮デクスメデトミジン組成物中に残留している。以下に詳細に説明するように、本発明の経皮送達デバイスは、高い利用率を可能とする。言い換えると、本発明の経皮送達デバイスは、所定の投与間隔後に、経皮送達デバイス中にデクスメデトミジンをほとんど残留させずに、デクスメデトミジンを対象に送達することができる。利用率は、投与間隔の過程にわたり、5%以上、例えば10%以上、例えば25%以上、例えば40%以上、例えば45%以上であってもよく、投与間隔の過程にわたり、デクスメデトミジンの50%以上であることを含む。利用率について、投与間隔の過程にわたる上限は、ある例では、90%以下、例えば50%以下、例えば25%以下であり、投与間隔の過程にわたり、5%以下であることを含む。
【0088】
例えば、単層経皮デクスメデトミジン組成物が1mgのデクスメデトミジンを含む場合、方法は、投与間隔(例えば、7日以上)の過程にわたり、単層経皮組成物中の0.05mg以上、例えば0.1mg以上、例えば0.25mg以上、例えば0.4mg以上、例えば0.45mg以上のデクスメデトミジンを送達するのに十分な方法で対象との接触状態を保持することを含んでいてもよく、単層経皮組成物中の0.5mg以上を送達するのに十分な方法で、経皮送達デバイスの対象との接触状態を保持することを含む。このように、7日以上後に、単層経皮デクスメデトミジン組成物中に、0.95mg以下、例えば0.9mg、例えば0.75mg、例えば0.6mg以下のデクスメデトミジンが残留しており、投与間隔後に単層経皮デクスメデトミジン組成物中に0.5mg以下のデクスメデトミジンが残留していることを含む。
【0089】
ある特定の実施形態では、以下に詳細に説明する本発明の方法のそれぞれは、投与間隔の終わりに、対象との接触から経皮送達デバイスを取り除くステップを更に含んでもよい。例えば、経皮送達デバイスと対象との接触状態を、0.5時間以上、例えば1時間以上、例えば2時間以上、例えば4時間以上、例えば8時間以上、例えば12時間以上、例えば24時間以上、例えば36時間以上、例えば48時間以上、例えば60時間以上、例えば72時間以上、例えば96時間以上、例えば120時間以上(144時間以上を含み、168時間以上を含む)、保持した後、経皮送達デバイスを取り除くことができる。経皮送達デバイスを取り除くまでに対象との接触状態を保持する時間の量の上限は、ある例では、168時間以下、例えば144時間以下、例えば120時間以下、例えば96時間以下、例えば72時間以下、例えば48時間以下、例えば24時間以下、例えば12時間以下、例えば8時間以下、例えば4時間以下(2時間以下を含む)である。
【0090】
経皮送達デバイスを、対象との接触状態から「取り除く」とは、対象と接触している経皮組成物からのデクスメデトミジンの量が残留していないことを意味し、経皮送達デバイスを適用した時に、皮膚または粘膜表面に取り残されたデクスメデトミジンの残量がないことを含む。言い換えると、経皮送達デバイスが取り除かれた時、適用部位の皮膚または粘膜表面に、もはや微量のデクスメデトミジンもなく、対象へのデクスメデトミジンのゼロ経皮フラックスが得られる。
【0091】
上述したように、投与間隔は、経皮デクスメデトミジン組成物を対象の皮膚または粘膜に適用して開始し、対象との接触から経皮送達デバイスを取り除くことで終了する、経皮送達デバイスを適用し、対象との接触状態を保持する1回の投与である。ある特定の実施形態では、プロトコルは複数の投与間隔を含んでいてもよい。「複数投与間隔」は、2以上の経皮送達デバイスが適用され、逐次的な方法で、対象との接触状態が維持されることを意味する。このように、経皮送達デバイスを対象との接触状態から取り除き、新たな送達デバイスを対象に再度適用する。本発明の方法の実施では、治療計画には2以上の投与間隔、例えば3以上の投与間隔、例えば4以上の投与間隔、例えば5以上の投与間隔(10以上の投与間隔を含む)を含んでいてもよい。
【0092】
複数投与治療計画における連続的経皮送達デバイスの再適用のための対象の位置は、前の送達デバイスを取り除いた、対象の位置と同じであっても異なっていてもよい。例えば、最初の経皮送達デバイスを、対象の脚に適用及び保持した場合、1以上のそれに続く経皮送達デバイスを、対象の脚の同じ位置に再度適用してもよい。一方、最初の経皮送達デバイスを、対象の脚に適用及び保持した場合、1以上のそれに続く経皮送達デバイスを異なる位置、例えば対象の腹部または背中に再度適用してもよい。複数投与間隔において適用される逐次的投与は、デクスメデトミジンの同じ処方または異なる処方を有していてもよい。ある特定の例では、治療計画における逐次的投与間隔は、前の投与間隔よりも高濃度または低濃度のデクスメデトミジンを含んでいてもよい。例えば、デクスメデトミジンの濃度は、後に続く投与間隔において、10%以上、例えば20%以上、例えば50%以上、例えば75%以上、例えば90%以上(100%以上を含む)上昇していてもよい。後に続く投与間隔のデクスメデトミジンの濃度の上昇の上限は、いくつかの例では、10倍以下、例えば5倍以下、例えば2倍以下、例えば1倍以下、例えば0.5倍以下であり、0.25倍以下を含む。
【0093】
一方、後に続く投与間隔で、デクスメデトミジンの濃度は、例えば10%以上、例えば20%以上、例えば50%以上、例えば75%以上、例えば90%以上(100%以上を含む)、低下してもよい。後に続く投与間隔におけるデクスメデトミジンの濃度の低下の上限は、10倍以下、例えば5倍以下、例えば2倍以下、例えば1倍以下、例えば0.5倍以下であり、0.25倍以下を含む。
【0094】
他の例では、後に続く投与間隔は、上述したような、異なる感圧接着剤、または透過促進剤の有無等の、前の投与間隔とは異なる処方のデクスメデトミジンを含んでいてもよい。
【0095】
本発明による単層マトリクスデクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスを対象に適用し、接触状態を保持する方法は、経皮投与したデクスメデトミジンが対象に有益であると思われるあらゆる用途、例えば、α−アドレナリン受容体アゴニスト活性の刺激で治療することのできる病弊、疾患、病気又は病状において有用である。例えば、単層デクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスは、ある量のデクスメデトミジンを用いたα−アドレナリン受容体アゴニスト活性の刺激から対象が利益を受ける他のタイプの病気及び病状の中でも特に、神経因性疼痛、特発性疼痛、急性疼痛、交感神経仲介性疼痛、複合性局所疼痛、慢性疼痛、たとえば癌性疼痛、術後疼痛、帯状疱疹後神経痛、過敏性腸症候群及び他の内臓痛、糖尿病性神経障害、筋痙縮に付随する疼痛、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、交感神経性持続性疼痛、偏頭痛を含めた頭痛、異痛、炎症性疼痛、たとえば関節炎に付随する疼痛、胃腸痛、たとえば過敏性腸症候群(IBS)及びクローン病が挙げられるが、これらに限定されない疼痛症候群、オピオイド依存、注意欠陥多動性障害、及び下肢静止不能症候群等の関連疾患、高血圧、トゥレット症候群、うつ病並びに統合失調症及び双極性障害等の他の精神障害、高眼圧症、緑内障、痙縮性、非定型うつ病、パニック障害、社会恐怖症、幼児の夜尿症、脅迫性障害、過食症、ナルコレプシー、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、及び多発性硬化症、虚血、てんかん、ニューロパシー、例えば糖尿病性及び虚血性網膜症を治療又は管理するための、ある特定の実施形態により使用することができる。目的とする、他の適応症及び適用としては、その開示が全体として参照として組み入れられる、米国特許出願公開第2005/0058696号、米国特許出願公開第2005/0059664号、米国特許出願公開第2010/0196286号、及び国際特許出願公開WO 2011/085162に記載された適応症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
ある特定の実施形態では、単層マトリクスデクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスは、その開示が全体として参照により本明細書に組み入れられる、2013年10月7日に出願された、「Methods and Compositions for Managing Pain Comprising Non−Sedative Dexmedetomidine Transdermal Compositions」と標題のついた、米国仮特許出願第61/887,870号(代理人整理番号TEIK−067PRV)に、より十分に記載されたような疼痛を管理するために使用することができる。
【0097】
他の実施形態では、単層マトリクスデクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスは、その開示が全体として参照により本明細書に組み入れられる、2013年10月7日に出願された、「Methods and Compositions for Treating Withdrawal Syndromes Comprising Non−Sedative Dexmedetomidine Transdermal Compositions」と標題のついた、米国仮特許出願第61/887,871号(代理人整理番号TEIK−068PRV)に記載されたような離脱症候群を治療するための本発明の実施態様に従い、使用することができる
【0098】
更に他の実施形態では、単層マトリクスデクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスは、その開示が全体として参照により本明細書に組み入れられる、2013年10月7日に出願された、「Methods and Compositions for Treating Attention Deficit Hyperactivity Disorder, Anxiety and Insomnia Comprising Dexmedetomidine Transdermal Compositions」(代理人整理番号 TEIK−065PRV)と標題のついた、米国仮特許出願第61/887,862号に、より十分に記載されたような、注意欠陥多動性障害又は不眠症を治療するために使用することができる。
【0099】
キット
本明細書に記載されるある特定の方法を実施する際に使用するためのキットも提供される。ある特定の実施形態では、キットは上記のようにある量のデクスメデトミジン及び感圧接着剤を含む単層マトリクスデクスメデトミジン組成物を含有する1以上の経皮送達デバイスを収容している。ある特定の実施形態において、キットは上記のように接着性オーバーレイを含む。2以上の本発明の経皮送達デバイスを収容した特定のキットにおいて、組成物は個別にパッケージされていてもよく、あるいは共通の容器内にあってもよい。ある特定の実施形態において、キットは更に、本発明の方法を実施するための指示書またはそれを入手するための手段(例えば、その指示書を提供するウェブページへユーザーを導くウェブサイトURL)を含むであろう;その際、これらの指示書は基材にプリントされていてもよく、その際、基材はパッケージインサート、パッケージング、試薬容器などのうち1以上であってもよい。本発明のキットにおいて、これら1以上の構成要素は都合の良いようにまたは希望に従って同一の容器または異なる容器内にある。
【0100】
以下の実施例は説明のために提示され、限定のためのものではない。具体的には、以下の実施例は本発明を実施するための具体的実施形態である。実施例は説明のためのものにすぎず、決して本発明の範囲を限定するためのものではない。用いた数値(例えば、量、温度など)に関して正確さを保証する努力を行なったが、もちろん若干の実験誤差及び偏差を許容すべきである。
【0101】
実験法
材料及び方法
デクスメデトミジン経皮製剤例の調製
有機溶媒中で、デクスメデトミジン及び感圧接着剤(例えば、30〜60重量%の固形分;酢酸エチル、イソプロピルアルコール、ヘキサンまたはヘプタン中)を混和し、次いで混合することにより、製剤を調製した。均一な混合物が形成されると、その溶液を剥離ライナー(シリコン処理したポリエステルまたはフルオロポリマーでコートしたポリエステルシート;2〜3ミル)上にキャスティングし、60℃〜80℃で10〜90分間乾燥させた。次いで、この単層粘着フィルムをPETバッキングに積層し、希望サイズに切断し、袋詰めした。ある例では、架橋ポリビニルピロリドン(PVP−CLM)、ポリビニルピロリドンK90(PVP K90)、レブリン酸(LA)、オレイン酸(OA)、乳酸ラウリル(LL)、及びプロピレングリコールモノラウレート(PGML)を、接着剤組成物に添加した。
【0102】
経皮フラックス試験
ヒト死体皮膚を用い、上皮層(角質層及び生表皮)を全厚皮膚から皮膚膜として分離した。アーチパンチで約2.0cmの最終直径に試料を打ち抜いた。剥離ライナーを取り除き、この系をデクスメデトミジン接着剤層が角質層の外面に面した状態で上皮/角質層上に配置した。接着剤層及び角質層を良好に接触させるために穏やかに圧力をかけた。フランツセルのドナー側とレセプター側を互いにクランプで留め、pH6.5のリン酸緩衝液及び0.01%のゲンタマイシンを含有するレセプター溶液をフランツセルに添加した。実験期間中、セルを32℃〜35℃に保持した。レセプター溶液の試料を規則的間隔で採取し、有効薬剤濃度をHPLCにより測定した。シンク状態を維持するために、取り出したレセプター溶液の代わりに新鮮な溶液を入れた。時間に対するレセプターコンパートメント内に透過した薬物累積量のプロットの傾きからフラックスを計算した。
【実施例】
【0103】
実施例1
PIB/PBポリマー中のデクスメデトミジン経皮組成物製剤から得られるインビトロにおけるフラックス
本実施例で使用される感圧接着剤は、ポリイソブチレン/ポリブテン(PIB/PB)接着剤である。PIB/PB接着剤は、高分子量PIB(5% Oppanol B100)、低分子量PIB(25% Oppanol B12)及びポリブテン粘着付与剤、例えば、ヘプタン(50%)等の有機溶媒中のIndopol H1900またはPanalane H−300e(20%)の混合物である。上記配合を、混合物が均質になるまで、約3日間混合した。例示的なデクスメデトミジン経皮組成物製剤を表1及び2に示す。
【0104】
インビトロにおける皮膚フラックス試験は、表1に示すような種々の濃度のデクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスを用いて上述したようにして実施した。時間に対する、デクスメデトミジンのインビトロにおける皮膚フラックスの平均を図1に示す。図1に示すように、デクスメデトミジンのインビトロにおける皮膚フラックスは、より高い薬剤装填のもの(製剤2及び3))と比較し、1%製剤(製剤1)の場合には、初期の時間において高かった。製剤2及び3はデクスメデトミジンの針様結晶を含んでいることが認められ、その結果、フラックスプロファイルが一定であり、薬剤の装填によって変化しなかった。しかし、製剤1では結晶は観察されなかった。製剤1は、飽和または過飽和量のデクスメデトミジンを含んでいる。
【0105】
また、表2に示すように、Indopol H1900から製造されたPIBを用いて、デクスメデトミジン経皮製剤を製造した。PIB/PB接着剤中の20%PVP−CLMを用いて製造した1%デクスメデトミジン製剤(製剤4)からの、異なる皮膚透過性を有する皮膚を通した、デクスメデトミジンのインビトロにおける透過の結果を図2に示す。図2(A)は、送達されたデクスメデトミジンの累積量を時間とともに示す。デクスメデトミジンのインビトロにおける透過は、皮膚の透過性に依存して偏向した。インビトロにおけるデクスメデトミジンの送達量は、8時間で4〜35μg/cm2、24時間で15〜67μg/cm2に変化しうる。図2(B)は、時間に対する、フラックス、または累積薬剤送達量の微分を示す。製剤2からのデクスメデトミジンの送達量は約5〜7時間で最大に達し、その後少なくとも24時間、一定量が維持される。高透過性の皮膚(皮膚#14)の場合、フラックスは枯渇のために低下した。図2(C)は、パッチ内の残留薬物の割合を時間とともに示す。図2(C)に示すように、製剤4から得られるデクスメデトミジンの利用は、パッチの適用後24時間で20〜70%であった。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
実施例2
官能基化されていないアクリレートポリマー中でのデクスメデトミジン経皮組成物製剤から得られるインビトロにおけるフラックス
デクスメデトミジンのインビトロにおけるフラックスを、官能基化されていないアクリレート接着剤を用いて測定した。実験において使用した官能基化されていないアクリレート接着剤の例としては、官能基化されていないアクリレートポリマーDuro−Tak 87−9301が挙げられる。インビトロにおける皮膚フラックス試験を、官能基化されていないDuro−Tak 87−9301中で、種々の濃度のデクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスを用い、上述したようにして実施した。デクスメデトミジン経皮組成物製剤を表3に示す。時間に対する、デクスメデトミジンのインビトロによるフラックスの平均を図3に示す。図3に示すように、高いデクスメデトミジンの装填により、インビトロにおける皮膚フラックスの増大が示された。
【0109】
【表3】
【0110】
実施例3
ヒドロキシル(−OH)官能基化アクリレートポリマー中でのデクスメデトミジン経皮組成物製剤から得られるインビトロにおけるフラックス
デクスメデトミジンのインビトロにおけるフラックスを、ヒドロキシル(−OH)官能基化アクリレート接着剤を用いて測定した。実験で使用したヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤には、ヒドロキシル官能基化アクリレートポリマーが挙げられ、例えば、Duro−Tak 87−4287、Duro−Tak 387/87−2510、Duro−Tak 387/87−2287及びDuro−Tak 387/87−2516が挙げられる。インビトロにおける皮膚フラックス試験を、種々のヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤を用い、種々の濃度のデクスメデトミジン組成物を有する経皮送達デバイスを用い、上述したようにして実施した。
【0111】
表4及び5は、Duro−Tak 87−4287(アクリレート−酢酸ビニルポリマー)またはDuro−Tak 387/87−2510(アクリレートポリマー)中で、種々の濃度のデクスメデトミジンを有するデクスメデトミジン経皮組成物製剤を示す。デクスメデトミジンのインビトロにおけるフラックスの平均を図4及び5に示す。図4及び5に示すように、製剤中へのデクスメデトミジンの装填により、インビトロにおけるデクスメデトミジンフラックスの増大が示された。
【0112】
【表4】
【0113】
【表5】
【0114】
表6は、酢酸ビニルを含む、別のヒドロキシル官能基化アクリレートポリマー、例えばDuro−Tak 87−2287(架橋剤を加えていないポリマー)及びDuro−Tak 87−2516(架橋剤を加えたポリマー)中での、1%デクスメデトミジンを含むデクスメデトミジン経皮組成物製剤を示す。デクスメデトミジンのインビトロにおけるフラックスの平均を図6に示す。図6に示すように、Duro−Tak 387/87−2287から得られるインビトロにおけるフラックスは、Duro−Tak 387/87−2516からのものよりもわずかに高く、これは、おそらくDuro−Tak 387/87−2516と比較し、Duro−Tak 387/87−2287の、より高い接着特性に起因する。
【0115】
【表6】
【0116】
実施例4
官能基化されていないか、またはヒドロキシル(−OH)官能基化されたアクリレートポリマー中での1%デクスメデトミジン経皮組成物製剤から得られるインビトロにおけるフラックス
デクスメデトミジン経皮組成物の別の一連の例は、1%w/wのデクスメデトミジン及び官能基化されていないアクリレートポリマー(Duro−Tak 87−9301、製剤5)、ヒドロキシル官能基化アクリレートポリマー(Duro−Tak 387/87−2510、製剤11)、及び酢酸ビニルを含むヒドロキシル官能基化アクリレートポリマー(Duro−Tak 87−4287、製剤8)を含む経皮組成物である。インビトロにおけるフラックス実験は、3日間、及び1日間実施し、その結果を、それぞれ図7A及び7Bに示す。図7A及び7Bに示すように、デクスメデトミジンのインビトロにおけるフラックスは、同じ薬剤を搭載した、ヒドロキシル官能基化接着剤と比較し、官能基化されていない接着剤において低かった。
【0117】
実施例5
酸(−COOH)官能基化、または酸/ヒドロキシル(−COOH/OH)官能基化アクリレートポリマー中でのデクスメデトミジン経皮組成物製剤から得られるインビトロにおけるフラックス
デクスメデトミジンのインビトロにおけるフラックスを、酸(−COOH)官能基化、または酸/ヒドロキシル(−COOH/OH)官能基化アクリレート接着剤を用いて測定した。本試験で使用した酸(−COOH)官能基化アクリレート接着剤の例は、Duro−Tak 387/87−2353(架橋剤を加えていないアクリレートポリマー)である。本試験で使用した酸/ヒドロキシル(−COOH/OH)官能基化アクリレート接着剤は、Duro−Tak 87−2979(架橋剤を加えたアクリレート−酢酸ビニルポリマー)である。
【0118】
表7及び8は、種々の酸(−COOH)官能基化、または酸/ヒドロキシル(−COOH/OH)官能基化アクリレートポリマーを有するデクスメデトミジン経皮組成物製剤を示す。製剤中のデクスメデトミジンの濃度は、各接着剤中のデクスメデトミジンの溶解度に基づいて選択した。Duro−Tak 387/87−2353中におけるデクスメデトミジンの溶解度は約10〜15%であることが認められた、Duro−Tak 87−2979では2%未満であることが認められた。酸官能基化アクリレート接着剤中の薬剤の溶解度は、官能基化されていない、またはヒドロキシル官能基化アクリレート接着剤中よりも高かった。
【0119】
インビトロにおける皮膚フラックス試験を上述のようにして実施した。インビトロにおける平均デクスメデトミジンフラックスを図8及び9に示す。
【0120】
【表7】
【0121】
【表8】
【0122】
実施例6
PVP−CLM及びDuro−Tak 387/87−2353を含むPIB/PBポリマー中でのデクスメデトミジン経皮組成物製剤から得られるインビトロにおけるフラックス
デクスメデトミジン経皮組成物製剤の別の例を表9に示す。PIB/PB(例えば、Indopol H−1900)接着剤中における薬剤の溶解度を上昇させるため、PVP−CLM及び酸(−COOH)官能基化アクリレートポリマー(Duro−Tak 387/87−2353)を使用した。製剤18〜21を、Duro−Tak 387/87−2353の種々の装填を用いて調製した。
【0123】
図10に示すように、酸(−COOH)官能基化アクリレートポリマー(Duro−Tak 387/87−2353)を含む製剤、製剤19、20及び21は、Duro−Tak 2353を含まない製剤(製剤18)と比較し、初期フラックスが低いと思われる。デクスメデトミジンのインビトロにおけるフラックスは、酸官能基化接着剤の3%及び6%で変化がなかったが、9%の酸官能基化接着剤では、インビトロフラックスにおけるわずかな減少が観察される。
【0124】
【表9】
【0125】
実施例7
PVP−CLM及びレブリン酸を含むPIB/PBポリマー中でのデクスメデトミジン経皮組成物製剤から得られるインビトロにおけるフラックス
デクスメデトミジン経皮組成物製剤の別の例を表10に示す。20% PVP−CLM存在下でのPIB/PB(例えば、Indopol H−1900)接着剤中における薬剤の溶解度を上昇させるため、上昇したデクスメデトミジンの溶解度を試験するために、種々の濃度の酸を使用した。レブリン酸の種々の装填を用い、製剤22〜25を調製した。
【0126】
【表10】
【0127】
図11に示すように、デクスメデトミジンのインビトロにおけるフラックスは、製剤が6.9%のレブリン酸を含む場合に劇的に低下した。しかし、1.75%のレブリン酸濃度では、インビトロにおけるフラックスは、低濃度レブリン酸(すなわち、0.6%及び0.9%)と同等であった。レブリン酸を含む製剤(製剤22、23、24及び25)から得られた初期フラックスは、レブリン酸を含まない製剤(製剤18)から得られたものより低かった。しかし、24時間後、レブリン酸を含む製剤(製剤22、23、24及び25)から得られたフラックスは、レブリン酸を含まない製剤(製剤17)から得られたものより高くなったように思われる。1.75%以下の濃度のレブリン酸で、デクスメデトミジンの結晶が観察された。
【0128】
実施例8
PVP−CLM及び乳酸ラウリルまたはプロピレングリコールモノラウレートを含むPIB/PBポリマー中でのデクスメデトミジン経皮組成物製剤から得られるインビトロにおけるフラックス
デクスメデトミジン経皮組成物製剤の別の例を表11及び12に示す。デクスメデトミジンは、乳酸ラウリル及びプロピレングリコールモノラウレート中で5〜10%の溶解度を有する。乳酸ラウリル及びプロピレングリコールモノラウレートのそれぞれは、本発明の製剤中のPIB/PB接着剤中でデクスメデトミジンの溶解度を上昇させる。製剤26〜28のインビトロにおけるフラックスプロファイルを図12に示す。製剤29〜31のインビトロにおけるフラックスプロファイルを図13に示す。製剤26〜31は、デクスメデトミジンの針様結晶を有していることが認められた。
【0129】
【表11】
【0130】
【表12】
【0131】
実施例9
レブリン酸、PVP K90またはDuro−Tak 387/87−2353を含むDuro−Tak 387/87−2287ポリマー中でのデクスメデトミジン経皮組成物製剤から得られるインビトロにおけるフラックス
デクスメデトミジン経皮製剤の別の一連の例は、組成物の物理的安定性を向上させるための可溶化剤とともに1% w/wのデクスメデトミジンを有する経皮組成物を含む。これらの製剤では、レブリン酸、PVP K90及びDuro−Tak 87−2353が使用された。製剤の組成を表13、14及び15に示す。0.3%及び0.6%のレブリン酸とともに1%デクスメデトミジンを有する経皮組成物のインビトロにおけるフラックスプロファイルを図14(A)に示す。5%及び10% PVP K90とともに1%デクスメデトミジンを有する経皮組成物のインビトロにおけるフラックスプロファイルを図14(B)に示す。2%または3% Duro−Tak 387/87−2353とともに1%デクスメデトミジンを有する経皮組成物のインビトロにおけるフラックスプロファイルを図14(C)に示す。インビトロにおけるフラックスプロファイルから、レブリン酸は、適用後15時間、透過性を向上させ、PVP K90はデクスメデトミジンの経皮フラックスを遅延させたが、 Duro−Tak 2353は、経皮フラックスをわずかに低下させた。
【0132】
【表13】
【0133】
【表14】
【0134】
【表15】
【0135】
実施例10
レブリン酸、オレイン酸またはDuro−Tak 387/87−2353を含むDuro−Tak 87−9301ポリマー中でのデクスメデトミジン経皮組成物製剤から得られるインビトロにおけるフラックス
デクスメデトミジン経皮製剤の別の一連の例は、3.3%レブリン酸、5%オレイン酸または15% Duro−Tak 387/87−2353と一緒に、3% w/wのデクスメデトミジン及び官能基化されていないアクリレートポリマーDuro−Tak 87−9301を有する経皮組成物を含む。製剤の組成を表16に示す。添加剤を含まない、官能基化されていないアクリレートポリマーDuro−Tak 87−9301中の3%デクスメデトミジン(製剤7)と比較した、これらの製剤(製剤38、39及び40)についてのインビトロにおけるフラックスプロファイルを図15に示す。3%デクスメデトミジン及び官能基化されていないアクリレートポリマーDuro−Tak 87−9301だけを含む組成物は過飽和されていた。可溶化剤及び透過促進剤としてレブリン酸及びオレイン酸を使用し、インビトロフラックスの開始時にフラックスが上昇したが、時間とともに低下した。1%デクスメデトミジン組成物と同様に、Duro−Tak 87−2353はフラックスを低下させた。
【0136】
【表16】
【0137】
実施例11
接着剤(Duro−Tak 2287中の15%Duro−Tak2353 )混合物中での、1%、2%、3%及び4%デクスメデトミジンから得られるデクスメデトミジンのインビトロにおける透過性
ヒドロキシル官能基化アクリレートポリマー(例えば、Duro−Tak 87−2287)及び酸官能基化アクリレートポリマー(例えば、Duro−Tak 87−2353)の混合物を含むデクスメデトミジン経皮組成物製剤を表17に要約する。製剤41〜44は、デクスメデトミジンの異なる装填により調製した。
【0138】
【表17】
【0139】
図16に示すように、デクスメデトミジンのインビトロにおけるフラックスは、デクスメデトミジン搭載の割合の増加に伴って増加した。
【0140】
実施例12
オレイン酸を含むデクスメデトミジン製剤から得られるデクスメデトミジンのインビトロにおける透過性
デクスメデトミジン経皮組成物の別の例を表18に要約する。ヒドロキシル官能基化アクリレートポリマー(例えば、Duro−Tak 87−2287)中でデクスメデトミジンの溶解度を上昇させるためにオレイン酸を使用した。製剤45〜47は、オレイン酸及びデクスメデトミジンの異なる装填により調製した。
【0141】
【表18】
【0142】
図17に示すように、オレイン酸を含む製剤中のデクスメデトミジンは、オレイン酸を含まないデクスメデトミジン組成物(例えば、製剤43)よりも高いフラックスを有している。オレイン酸は、デクスメデトミジンの皮膚を通した透過性を向上させた。オレイン酸の5%〜7%への増加(例えば、製剤46)は、5%オレイン酸を含む製剤(例えば、製剤45)と比較し、増強効果を示さなかった。これは、組成物中のデクスメデトミジンの溶解度の上昇におけるオレイン酸の寄与の結果である可能性がある。製剤45及び製剤47の比較により、インビトロにおけるフラックスが薬剤装填割合の上昇に伴って上昇することが示される。
【0143】
実施例13
レブリン酸を含むデクスメデトミジン製剤から得られるデクスメデトミジンのインビトロにおける透過性
また、デクスメデトミジン経皮製剤は、レブリン酸を用いて調製した。組成を表19に示す。
【0144】
【表19】
【0145】
図18に示すように、レブリン酸を含む製剤(製剤48及び49)中のデクスメデトミジンのインビトロにおけるフラックスは、搭載するデクスメデトミジンの割合の増加に伴い、上昇した。デクスメデトミジンの皮膚を通した透過性におけるレブリン酸の増進効果はオレイン酸より高かった。
【0146】
パッチ内のデクスメデトミジンの量に対する、製剤43、45及び48中のデクスメデトミジンのインビトロにおける透過性割合の結果を表20に要約する。レブリン酸及びオレイン酸を含む製剤45及び48は、インビトロ条件下における、デクスメデトミジンの透過性における相当な増強を示す。
【0147】
【表20】
【0148】
ヒドロキシル官能基化アクリレートポリマー中のデクスメデトミジンの溶解度は1%未満であった。デクスメデトミジンを増加させるため、酸官能基化アクリレートポリマー(例えば、Duro−Tak2353)、オレイン酸及びレブリン酸を使用した。Duro−Tak2353、オレイン酸及びレブリン酸中のデクスメデトミジンの溶解度は、それぞれ約10〜15%、40%及び60%であった。製剤中に加えた酸の量は、製剤中の各成分の溶解度により調節した
【0149】
調製後、顕微鏡を用いて結晶の存在を調べた。この顕微鏡試験から得られた結果によれば、全ての製剤(製剤41〜48)は結晶を含んでいなかった。
【0150】
実施例14
種々のバッキングから得られる、インビトロにおけるフラックス
本実施例で用いた感圧接着剤はポリイソブチレン/ポリブチレン/ポリブテン(PIB/PB)接着剤である。PIB/PB接着剤は、有機溶媒、例えばヘプタン(50%)中の高分子量PIB(5% Oppanol B100)、低分子量PIB(25% Oppanol B12)及びポリブテン粘着付与剤、例えばIndopol H1900またはPanalane H−300e (20%)の混合物である。配合物を、混合物が均質になるまで、約3日間混合した。例となるデクスメデトミジン経皮組成物製剤を表21に示す。同じ製剤は、剥離ライナー上にコーティングしたが、3つの異なるバッキング材料とともに積層した:バッキング1は約10のMVTR値(g/m/24時)を有し、バッキング2は約50のMVTR値(g/m/24時)を有し、バッキング3は約150のMVTR値(g/m/24時)を有している。時間に対する、インビトロにおける平均デクスメデトミジン皮膚フラックスを図19に示す。図19に示すように、インビトロにおけるデクスメデトミジン皮膚フラックスは、バッキング1及び2について類似していた。しかし、バッキング3については著しく低い。
【0151】
【表21】
【0152】
実施例15
エンハンサーとして乳酸ラクターゼを用いる製剤から得られるインビトロにおけるフラックス
デクスメデトミジン経皮組成物の別の一連の例は、皮膚透過性を向上させるために、エンハンサーとともに2〜4% w/wのデクスメデトミジンを有する経皮組成物を含む。これらの製剤では、乳酸ラウリル(LL)及びDuro−Tak 87−2287が使用された。製剤の組成を表22に示す。経皮組成物についてのインビトロにおけるフラックスプロファイル。図20及び21は、2つの異なる皮膚試料におけるフラックスを示す。インビトロにおけるフラックスプロファイルから、LLは、その皮膚透過性増大効果を示す。フラックスはまた、APIの負荷に対し釣り合いがとれている。
【0153】
【表22】
【0154】
全ての製剤(製剤41〜48)のフラックスプロファイルは、最初の24時間の間に、時間とともにフラックスの明確な上昇傾向を示した(図16〜18)。これに続き、時間とともにフラックスは徐々に低下する。このように、ある特定の例では、最初の24時間のフラックスの上昇は、体内で急速に高い初期治療濃度を達成するのに有用である可能性がある。時間とともにフラックスが低下する場合、フラックスの低下は、パッチ吸収された水によって誘発される接着剤中の薬物の結晶化に起因する可能性がある。
【0155】
添付された項目に関係なく、本明細書中に述べる開示内容は下記の項目によっても定められる定義される:
1.デクスメデトミジン組成物を含む単層マトリクスとバッキング層とを含む経皮送達デバイスであって、
前記デクスメデトミジン組成物が、
デクスメデトミジン;及び
感圧接着剤を含む、経皮送達デバイス。
2.前記単層マトリクスが、長期間にわたって対象に非鎮静量のデクスメデトミジンを送達するように形成されている、項目1に記載の経皮送達デバイス。
3.前記単層マトリクスが、長期間にわたって対象に鎮静量のデクスメデトミジンを送達するように形成されている、項目1に記載の経皮送達デバイス。
4.前記単層マトリクスが、デクスメデトミジンを対象に6時間以上送達するように形成されている、項目1に記載の経皮送達デバイス。
5.前記単層マトリクスが、デクスメデトミジンを対象に1日以上送達するように形成されている、項目1に記載の経皮送達デバイス。
6.前記単層マトリクスが、デクスメデトミジンを対象に7日以上送達するように形成されている、項目1に記載の経皮送達デバイス。
7.前記組成物中のデクスメデトミジンの量が20% w/w以下である、項目1に記載の経皮送達デバイス。
8.前記組成物中のデクスメデトミジンの量が10% w/w以下である、項目1に記載の経皮送達デバイス。
9.前記デクスメデトミジン組成物が、飽和量のデクスメデトミジンを含む、項目1に記載の経皮送達デバイス。
10.前記デクスメデトミジン組成物が、過飽和量のデクスメデトミジンを含む、項目1に記載の経皮送達デバイス。
11.前記経皮送達デバイスが、約10μg/日〜約1000μg/日の範囲の速度で、非鎮静量のデクスメデトミジンを対象に送達するように形成されている、項目1に記載の経皮送達デバイス。
12.前記経皮送達デバイスが、約145μg/日〜約300μg/日の範囲の速度で、非鎮静量のデクスメデトミジンを対象に送達するように形成されている、項目1に記載の経皮送達デバイス。
13.前記経皮送達デバイスが、対象におけるデクスメデトミジンの平均血漿濃度を約0.01ng/mL〜約0.4ng/mLに維持するのに十分な方法で、デクスメデトミジンを送達するように形成されている、項目1に記載の経皮送達デバイス。
14.前記経皮送達デバイスが、対象において、2または3以下のラムゼイスコアの割り当てを維持するのに十分な方法で、デクスメデトミジンを前記対象に送達するように形成されている、項目1に記載の経皮送達デバイス。
15.前記経皮送達デバイスが、2以下のラムゼイスコアの割り当てを維持するのに十分な方法で、デクスメデトミジンを前記対象に送達するように形成されている、項目14に記載の経皮送達デバイス。
16.前記経皮送達デバイスが、3以下のラムゼイスコアの割り当てを維持するのに十分な方法で、デクスメデトミジンを対象に送達するように形成されている、項目14に記載の経皮送達デバイス。
17.前記経皮送達デバイスが、長期間にわたって、単層マトリクス中の30%以上のデクスメデトミジンを前記対象に送達するように形成されている、項目1に記載の経皮送達デバイス。
18.前記経皮送達デバイスが、長期間にわたって、単層マトリクス中の90%以上のデクスメデトミジンを前記対象に送達するように形成されている、項目1に記載の経皮送達デバイス。
19.前記感圧接着剤がビニルポリマーを含む、項目1〜18のいずれかに記載の経皮送達デバイス。
20.前記ビニルポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、及びオルガノシリコーンからなる群から選択される、項目19に記載の経皮送達デバイス。
21.前記感圧接着剤がポリイソブチレンまたはポリブテンを含む、項目20に記載の経皮送達デバイス。
22.前記感圧接着剤が飽和ポリブテンを含む、項目21に記載の経皮送達デバイス。
23.前記感圧接着剤が不飽和ポリブテンを含む、項目21に記載の経皮送達デバイス。
24.前記感圧接着剤が、アクリルポリマー、アクリレートコポリマー、アクリレート−酢酸ビニルコポリマーもしくはポリアクリロニトリル、またはそれらの組み合わせを含む、項目1〜18のいずれかに記載の経皮送達デバイス。
25.前記感圧接着剤が、官能基化されていないポリマーを含む、項目24に記載の経皮送達デバイス。
26.前記感圧接着剤が、官能基化されていないアクリレートポリマーを含む、項目25に記載の経皮送達デバイス。
27.前記感圧接着剤が、カルボン酸またはヒドロキシル官能基化ポリマーを含む、項目24に記載の経皮送達デバイス。
28.前記感圧接着剤がカルボン酸官能基化ポリマーを含む、項目27に記載の経皮送達デバイス。
29.前記感圧接着剤がカルボン酸官能基化アクリレートポリマーを含む、項目28に記載の経皮送達デバイス。
30.前記感圧接着剤が、ヒドロキシル官能基化ポリマーを含む、項目27に記載の経皮送達デバイス。
31.前記感圧接着剤が、ヒドロキシル官能基化アクリレートポリマーを含む、項目30に記載の経皮送達デバイス。
32.前記感圧接着剤が、ヒドロキシル官能基化ポリマー及びカルボン酸官能基化ポリマーの混合物を含む、項目24に記載の経皮送達デバイス。
32.前記感圧接着剤が、ヒドロキシル官能基化アクリレートポリマー及びカルボン酸官能基化アクリレートポリマーの混合物を含む、項目24に記載の経皮送達デバイス。
33.前記感圧接着剤が、Duro−Tak(登録商標)87−9301、Duro−Tak(登録商標)87−2353、Duro−Tak(登録商標)87−2510、Duro−Tak(登録商標)87−2516、Duro−Tak(登録商標)87−4287、Duro−Tak(登録商標)87−2287、Duro−Tak(登録商標)87−2052、Duro−Tak(登録商標)87−2194、Duro−Tak(登録商標)87−2677、Duro−Tak(登録商標)87−201A、Duro−Tak(登録商標)87−2979、及びDuro−Tak(登録商標)87−2074と実質的に同じであるか、またはそれらからなる群から選択される、項目1に記載の経皮送達デバイス。
34.前記感圧接着剤が、架橋ポリビニルピロリドンまたは架橋ポリアクリル酸を含む、項目1に記載の経皮送達デバイス。
35.前記単層マトリクスデクスメデトミジン組成物が、ポリビニルピロリドン、PVP K90、レブリン酸、オレイン酸、PGML、乳酸ラウリル、またはそれらの混合物を含む、項目1に記載の経皮送達デバイス。
36.前記単層マトリクスが、デクスメデトミジン及び前記感圧接着剤からなる、項目1に記載の経皮送達デバイス。
37.鎮静していない対象の皮膚表面に、デクスメデトミジン組成物を含む単層マトリクスとバッキング層とを含有する経皮送達デバイスを適用することを含む方法であって、前記デクスメデトミジン組成物が、
デクスメデトミジン;及び
感圧接着剤を含む、方法。
38.デクスメデトミジンを前記対象に1日間以上送達することを含む、項目37に記載の方法。
39.デクスメデトミジンを前記対象に3日間以上送達することを含む、項目37に記載の方法。
40.デクスメデトミジンを前記対象に7日間以上送達することを含む、項目37に記載の方法。
41.デクスメデトミジンを、前記対象において3以下のラムゼイスコアを維持するのに十分な方法で前記対象に送達することを含む、項目37に記載の方法。
42.デクスメデトミジンを、前記対象において2以下のラムゼイスコアを維持するのに十分な方法で前記対象に送達することを含む、項目37に記載の方法。
43.前記対象が覚醒状態にあり、口頭による命令に反応し得る、項目37に記載の方法。
44.前記対象の疼痛を治療することを含む、項目37に記載の方法。
45.前記対象の手術後の疼痛を治療することを含む、項目37に記載の方法。
46.前記対象の偏頭痛を治療することを含む、項目37に記載の方法。
47.前記対象のオピオイド依存を治療することを含む、項目37に記載の方法。
48.デクスメデトミジンが、前記経皮送達デバイスを用いて、約5μg/日〜約500μg/日の範囲の速度で前記対象に送達されることを含む、項目37に記載の方法。
49.デクスメデトミジンが、前記経皮送達デバイスを用いて、約145μg/日〜約300μg/日の範囲の速度で前記対象に送達されることを含む、項目48に記載の方法。
50.前記対象において、約0.01ng/mL〜約0.4ng/mLのデクスメデトミジンの平均血漿濃度を維持するのに十分な方法で、デクスメデトミジンが前記対象に送達されることを含む、項目37に記載の方法。
51.前記感圧接着剤がビニルポリマーを含む、項目37に記載の方法。
52.前記ビニルポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、及びオルガノシリコーンからなる群から選択される、項目51に記載の方法。
53.前記感圧接着剤が、ポリイソブチレン又はポリブテンを含む、項目51に記載の方法。
54.前記感圧接着剤が飽和ポリブテンを含む、項目53に記載の方法。
55.前記感圧接着剤が不飽和ポリブテンを含む、項目53に記載の方法。
56.前記感圧接着剤が、アクリルポリマー、アクリレートコポリマー、アクリレート−酢酸ビニルコポリマーまたはポリアクリロニトリルを含む、項目37に記載の方法。
57.前記感圧接着剤が、官能基化されていないポリマーを含む、項目37に記載の方法。
58.前記感圧接着剤が、官能基化されていないアクリレートポリマーを含む、項目57に記載の方法。
59.前記感圧接着剤が、カルボン酸またはヒドロキシル官能基化ポリマーを含む、項目37に記載の方法。
60.前記感圧接着剤が、カルボン酸官能基化ポリマーを含む、項目59に記載の方法。
61.前記感圧接着剤が、カルボン酸官能基化アクリレートポリマーを含む、項目59に記載の方法。
62.前記感圧接着剤が、ヒドロキシル官能基化ポリマーを含む、項目59に記載の方法。
63.前記感圧接着剤が、ヒドロキシル官能基化アクリレートポリマーを含む、項目59に記載の方法。
64.前記感圧接着剤が、ヒドロキシル官能基化ポリマー及びカルボン酸官能基化ポリマーの混合物を含む、項目37に記載の方法。
65.前記感圧接着剤が、ヒドロキシル官能基化アクリレートポリマー及びカルボン酸官能基化アクリレートポリマーの混合物を含む、項目64に記載の方法。
66.前記感圧接着剤が、Duro−Tak(登録商標)87−9301、Duro−Tak(登録商標)87−2353、Duro−Tak(登録商標)87−2510、Duro−Tak(登録商標)87−2516及びDuro−Tak(登録商標)87−4287、Duro−Tak(登録商標)87−2052、Duro−Tak(登録商標)87−2194、Duro−Tak(登録商標)87−2677、Duro−Tak(登録商標)87−201A、Duro−Tak(登録商標)87−2979、及びDuro−Tak(登録商標)87−2074と実質的に同じであるか、またはそれらからなる群から選択される、項目37に記載の方法。
67.前記感圧接着剤が、架橋ポリビニルピロリドンまたは架橋ポリアクリル酸を含む、項目37に記載の方法。
68.前記デクスメデトミジン組成物が、デクスメデトミジン及び感圧接着剤からなる、項目37に記載の方法。
69.前記経皮送達デバイスが、長期間にわたって25%以上のデクスメデトミジンを送達するように形成されている、項目37に記載の方法。
70.前記経皮送達デバイスが、長期間にわたって50%以上のデクスメデトミジンを送達するように形成されている、項目37に記載の方法。
71.前記組成物中のデクスメデトミジンの量が3% w/w以下である、項目37に記載の方法。
72.前記組成物中のデクスメデトミジンの量が1% w/w以下である、項目37に記載の方法。
73. 2つ以上の経皮送達デバイスを有するキットであって、各経皮送達デバイスが、デクスメデトミジン組成物を含む単層マトリクス及びバッキング層を含み、前記デクスメデトミジン組成物が、デクスメデトミジン、及び感圧接着剤を含む、キット。
【0156】
理解を明確にするため、上記に本発明を説明及び実施例によってかなり詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなくそれらに対しある特定の変更及び改変をなしうることは本発明の教示からみて当業者に容易に認識される。
【0157】
本発明の態様
態様1
デクスメデトミジン組成物含む単層マトリクスとバッキング層とを有し、
前記デクスメデトミジン組成物が、
デクスメデトミジン;及び
感圧接着剤を含む、経皮送達デバイス。
態様2
前記単層マトリクスが、長期間にわたって対象に非鎮静量のデクスメデトミジンを送達するように形成されている、態様1に記載の経皮送達デバイス。
態様3
前記単層マトリクスが、長期間にわたって対象に鎮静量のデクスメデトミジンを送達するように形成されている、態様1に記載の経皮送達デバイス。
態様4
前記単層マトリクスが、デクスメデトミジンを対象に6時間以上送達するように形成されている、態様1に記載の経皮送達デバイス。
態様5
前記単層マトリクスが、デクスメデトミジンを対象に1日以上送達するように形成されている、態様1に記載の経皮送達デバイス。
態様6
前記単層マトリクスが、デクスメデトミジンを対象に7日以上送達するように形成されている、態様1に記載の経皮送達デバイス。
態様7
前記組成物中のデクスメデトミジンの量が20% w/w以下である、態様1に記載の経皮送達デバイス。
態様8
前記組成物中のデクスメデトミジンの量が10% w/w以下である、態様1に記載の経皮送達デバイス。
態様9
前記デクスメデトミジン組成物が、飽和量のデクスメデトミジンを含む、態様1に記載の経皮送達デバイス。
態様10
前記デクスメデトミジン組成物が、過飽和量のデクスメデトミジンを含む、態様1に記載の経皮送達デバイス。
態様11
前記単層マトリクスデクスメデトミジン組成物が、ポリビニルピロリドン、PVP K90、レブリン酸、オレイン酸、PGML、乳酸ラウリル、またはそれらの混合物を含む、態様1に記載の経皮送達デバイス。
態様12
前記単層マトリクスが、デクスメデトミジン及び前記感圧接着剤からなる、態様1に記載の経皮送達デバイス。
態様13
鎮静していない対象の皮膚表面に、態様1〜12のいずれかに記載の経皮送達デバイスを適用することを含む方法。
態様14
態様1から12のいずれかに記載の、2以上の経皮送達デバイスを含む、キット。
したがって、上記は本発明の原理を説明するにすぎない。本明細書に明確に記載または提示されていないが本発明の原理を具体化した多様なアレンジメントを当業者が考案でき、それらが本発明の精神及び範囲に含まれることは、認識されるであろう。更に、本明細書に列記した全ての例及び条件付き言語は、主として本発明の原理及び本発明者らが技術の発展に貢献した概念を読者が理解するのを補助するためのものであり、そのような具体的に列記した例及び条件に限定されないと解釈すべきである。更に、本発明の原理、態様及び実施形態並びにその具体例を列記した本明細書中の記述は全て、本発明の構造均等物及び機能均等物を共に包含することが意図される。更に、そのような均等物は、現在既知の均等物、及び将来開発される均等物、すなわち開発されるいずれかの要素であって構造に関係なく同じ機能を果たすものを共に含むことが意図される。したがって、本発明の範囲は本明細書に提示され、記載された代表的実施形態に限定されないものとする。むしろ、本発明の範囲及び精神は特許請求の範囲によって具体化される。
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