特許第6208867号(P6208867)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アクゾ ノーベル ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208867
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】環状カルボナートアジド
(51)【国際特許分類】
   C07D 317/38 20060101AFI20170925BHJP
   C08F 8/30 20060101ALI20170925BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20170925BHJP
   C08L 9/06 20060101ALI20170925BHJP
   C08L 9/08 20060101ALI20170925BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   C07D317/38CSP
   C08F8/30
   C08K3/36
   C08L9/06
   C08L9/08
   B60C1/00 Z
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-526857(P2016-526857)
(86)(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公表番号】特表2016-538273(P2016-538273A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】EP2014073417
(87)【国際公開番号】WO2015067532
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2016年6月2日
(31)【優先権主張番号】13191971.4
(32)【優先日】2013年11月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509131443
【氏名又は名称】アクゾ ノーベル ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel Chemicals International B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ベーク,ワルド ジョゼフ エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】タルマ,アウケ ゲラルデュス
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−113379(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/116250(WO,A1)
【文献】 米国特許第04352938(US,A)
【文献】 米国特許第03991131(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 317/38
C08F 8/30
C08K 3/36
C08L 9/06
C08L 9/08
B60C 1/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式に従う構造を有する環状カルボナートアジド。
【化1】

式中、
、R、R及びRは水素であり;
は、水素、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基であり;
XはCHであり;
Tは−N(R)−又は−O−の構造を有し;
は、水素及びC1〜20アルキル基(これは場合によりヘテロ原子により置換される)からなる群から選択され;
kは、0又は1であり;
mは0又は1であり;
nは0又は1であり;
pは1又は2であり;
Zは、少なくとも1個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であって、場合によりヘテロ原子により置換され;かつ
Yは下記のいずれかである。
【化2】
【請求項2】
Tが構造−N(R)−を有する、請求項1に記載の環状カルボナートアジド。
【請求項3】
Tが構造−O−を有する、請求項1に記載の環状カルボナートアジド。
【請求項4】
k=0である、請求項1から3のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド。
【請求項5】
Zがアリール基である、請求項1から4のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド。
【請求項6】
p=1であり、n=m=0であり、かつ、Yが、
【化3】

である、請求項1から5のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド。
【請求項7】
p=1であり、n=m=1であり、RがHであり、Zがアリール基であり、かつ、Yが、
【化4】

である、請求項1から5のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド。
【請求項8】
p=2であり、n=m=0であり、RがHであり、XがCHであり、かつ、Yが、
【化5】

である、請求項1から5のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド。
【請求項9】
k=1である、請求項1から3又は5から8のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド。
【請求項10】
ポリマーを改質するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジドの使用。
【請求項11】
前記ポリマーがエマルション型スチレンブタジエンゴム(e−SBR)又は溶液型スチレンブタジエンゴム(s−SBR)である、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
ポリマーを改質するための方法であって、請求項1から9のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド及び前記ポリマーをブレンドし、当該ブレンド物を100℃〜220℃の範囲の温度で加熱することによって、前記アジドが前記ポリマーにグラフト化される、方法。
【請求項13】
前記ポリマーがエマルション型スチレンブタジエンゴム(e−SBR)又は溶液型スチレンブタジエンゴム(s−SBR)である、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状カルボナート官能性を有する新規なアジド化合物に関連する。本発明はまた、ポリマーを改質するためのその使用に関連する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー(例えば、エラストマー)は非常に無極性であることが公知である。この無極性により、極性化合物(例えば、フィラーなど)の取り込みが制限され、また、オイル及び燃料のような無極性化合物における膨潤に対する抵抗性が制限される。
ポリマー−フィラーの相互作用を強化するためのポリマーの改質が現在、官能化されたモノマーにおける構築によって重合反応の期間中に行われている。このインシチュー改質の欠点が、重合期間中に存在する官能基が重合系全体に影響を及ぼすことであり、これにより、相補的な非官能性ポリマーと比較して種々の分子量及び分岐レベルがもたらされることである。このインシチュー取り組みの別の欠点が、官能性のレベルを変化させることができないことである。
【0003】
したがって、エクスシチュープロセスを介して、すなわち、所望されるポリマーを調製した後でポリマーを改質するためのプロセスを提供することが、本発明の目的である。これにより、より広範囲のポリマーの改質及び種々のレベルの改質が可能になる。このことは、配合者に、最適な材料を選択するための、また、官能性のレベルをその必要性に合わせて最適化するためのより大きな自由度を与えることになる。
【0004】
官能化されたアジドによるポリマーの改質が米国特許第4,352,938号から公知である。この文書には、ポリマーと基体との間の結合を改善するための、エポキシ−アジドホルマートによるポリマーの改質が開示される。
【0005】
エポキシ官能性の欠点が、エポキシ官能性は極性表面(例えば、フィラー及び基体の極性表面)との相互作用が不良であるということである。エポキシ改質天然ゴム(ENR)に基づくトラック用トレッド配合物の製造のためには、エポキシドが25%超であるか、又は50%でさえある改質レベルが要求される。エポキシの別の欠点が、エポキシは自己重合する傾向があり、これにより、堅い構造をもたらすことである。そのうえ、エポキシ官能性樹脂は従来的にはアミンにより硬化させられており、この場合、アミンは、モノアミンの場合でさえ、2つ以上のエポキシ基と反応する傾向があり、これにより、早すぎる架橋が引き起こされる。加えて、エポキシ−アミン架橋は、思った以上に柔軟性がない。
【0006】
いわゆるグリーンタイヤ(カテゴリーAラベルのタイヤ)では、シリカが、少ない燃費消費、少ない騒音発生及び耐久性の安全なタイヤを達成するためにウェットグリップ及び転がり抵抗のような特性を強化するための強化用フィラーとして使用される。このシリカフィラーとゴムとの間における相互作用は非常に重要である。これらのグリーンタイヤ配合表において、エポキシ化ゴムは、加工が困難であるために使用することができない。その代わり、ゴム−シリカ相互作用が、様々な添加物によって、例えば、Si69、すなわち、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(二官能性の硫黄含有有機シラン)によって改善される。これらの添加物が、ゴムへのシリカの配合の期間中に、100のゴムあたりの部(phr)で5phr〜10phrの量で加えられる。
【0007】
この取り組みの欠点がいくつか認められている。第一に、有機シランが、配合工程の期間中に、いわゆるシラン化反応を介してシリカ表面のヒドロキシ基と反応する。これにより、(Si69の場合には)エタノール又はそれどころか(他のシランの場合には)メタノールのような揮発物の放出が引き起こされる。第二に、有機シランとシリカ表面との間での大きい反応性により、加工上の問題が、シリカをゴムに混合している期間中に、また、シリカをゴムに混合した後で引き起こされる。このことは配合物の加工を時間がかかるものにし、また、非常に熟練した者だけがこれらのグリーンタイヤ配合物を製造することができる。最後に、シラン化反応が、DPG(ジフェニルグアニジン)と呼ばれる促進剤によって促進させられ、しかし、DPGは、アニリン(グループIIIの発ガン物質)を放出するために毒性であると見なされており、近い将来には使用制限に直面するかもしれない。
【0008】
グリーンタイヤにおいて使用されるための好ましいタイプのポリマーがSBR(スチレンブタジエンゴム)である。2つの主要なタイプのSBRが存在する:溶液型SBR(s−SBR)、すなわち、スチレンとブタジエンとの間におけるアニオンリビング重合反応によって調製されるポリマー、及び、エマルション型SBR(e−SBR)、すなわち、スチレンとブタジエンとの間におけるラジカル重合によって調製されるポリマーである。
【0009】
s−SBRとシリカとの間での相互作用を重合期間中の官能性における構築によって改善することができる(これはリアクター改質と呼ばれる)。しかしながら、そのような改質sSBR規格品は広範囲に入手することができず、また、利用することができない。s−SBRのこのリアクター改質のさらなる欠点が、リアクター改質では、配合者又はタイヤ製造者が配合物の配合表をその必要性に従って設計することができないことである。
【0010】
e−SBRは一般に、構造及び官能性に関して改変できないと見なされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,352,938号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、配合者又はタイヤ製造者が配合物の配合表をその必要性に従って設計することを可能にしながら、かつ、シリカ表面をシラン化することを必要とすることなくポリマー−フィラー相互作用を改善するためにポリマーを改質するためのプロセスを提供することが、本発明の目的である。
【0013】
さらなる目的が、e−SBRを改質するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの目的が、ポリマーを新規な化合物により、すなわち、環状カルボナートアジドにより改質することによって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
したがって、本発明は、下記の式に従う構造を有する環状カルボナートアジドに関連する。
【化1】
式中、
〜Rは独立して、水素、C6〜20アリール基、C7〜36アラルキル基及びC1〜30アルキル基からなる群から選択され、但し、前記アリール基、アラルキル基及びアルキル基は場合によりヘテロ原子により置換される場合がある;
Xは、少なくとも1個の炭素原子を有する炭化水素基である;
Tは−N(R)−又は−O−の構造を有する;
は、水素及びC1〜20アルキル基(これは場合によりヘテロ原子により置換される)からなる群から選択される;
kは、0、1又は2である;
mは0又は1である;
nは0又は1である;
pは1又は2である;
Zは、少なくとも1個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基(これは場合によりヘテロ原子により置換される)である;かつ
Yは下記のいずれかである。
【化2】
【0016】
本発明はまた、ポリマーを改質するための本発明のアジドの使用に関連する。本発明のアジドにより改質されるポリマーは、増大した極性を有することになり、このことは、シリカ、カーボンブラック及び粘土のようなフィラーにおける極性基との強化された相互作用をもたらすことになるであろう。本発明のアジドにより改質されるポリマーはまた、エチレン−ビニルアセタート(EVA)、(水素化)ニトリルブタジエンゴム及びポリアミド(例えば、PA66タイプのポリアミドなど)などのような極性ポリマーとの非極性官能化ポリマーの相容性を高めることができる。
【0017】
本発明のアジドにより改質されるポリマーはまた、その後の塗装層との相互作用を改善する場合があり、ポリマーのレオロジー(例えば、メルトフロー、溶融強度)における改善をもたらすことさえある場合がある。
【0018】
エポキシ官能性樹脂のように、環状カルボナート官能性ポリマーもまた、アミンにより硬化させられる。環状カルボナートは、第一級アミンとのみ反応することが公知であり、したがって、アミンとの反応においてより選択的である。このことの明らかな利点が、アミン系硬化剤を用いた改質ポリマーの加工の期間中において、エポキシと比較したとき、増大したスコーチ時間(硬化開始時間)が認められることである。さらなる利点が、環状カルボナートのより選択的な反応性により、より良好に規定された反応生成物がもたらされることであり、すなわち、反応生成物はさらに反応することができず、このことは選択的な官能化を可能にするということである。さらには、ビスアミン及びポリアミンとの反応により、エポキシ−アミン架橋と比較したとき、より柔軟な架橋の形成がもたらされる。
【0019】
環状カルボナートアジドの上記構造において、Xは最も好ましくは、メチレン基、すなわち、CHである。
【0020】
環状カルボナートアジドの上記構造において、kは好ましくは0又は1であり、最も好ましくは0である。
【0021】
上記環状カルボナートアジド構造におけるRは最も好ましくは水素である。
【0022】
上記環状カルボナートアジドにおけるRは最も好ましくは水素である。
【0023】
k≠0であり、したがって、環状カルボナートアジドがR基及びR基を含有するならば、これらの基は最も好ましくは水素である。
【0024】
は好ましくは、水素、アルキル基及びヒドロキシルアルキル基(すなわち、−C2xOH)から選択され、より好ましくは、H、−CH、−C又は−CHOHから選択され、最も好ましくはHである。
【0025】
より好ましい実施形態において、p=1であり、n=m=0であり、かつ、Yは下記のものである。
【化3】
【0026】
そのような化合物の特に好ましい例が(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルカルボンアジドであり、この場合、k=0であり、XがCHであり、かつ、R=R=R=Hである。
【0027】
さらに別のより好ましい実施形態において、p=1であり、n=m=1であり、T=−N(H)であり、Zがアリール基であり、かつ、Yが下記のものである。
【化4】
【0028】
そのような化合物の特に好ましい例が4−(アジドスルホニル)フェニル((2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)カルボナートであり、この場合、k=0であり、XがCHであり、かつ、R=R=R=Hである。
【0029】
別のより好ましい実施形態において、p=1であり、n=m=1であり、T=−O−であり、Zがアリール基であり、かつ、Yが下記のものである。
【化5】
【0030】
そのような化合物の特に好ましい例が4−(アジドスルホニル)フェニル((2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)カルボナートであり、この場合、k=0であり、XがCHであり、かつ、R=R=R=Hである。
【0031】
さらなる実施形態において、p=2であり、n=m=0であり、かつ、Yが下記のものである。
【化6】
【0032】
そのような化合物の特に好ましい例が、k=0であり、XがCHであり、かつ、R=R=R=Hである化合物である。
【0033】
別の実施形態において、k=1であり、R=R=R=R=Hであり、かつ、Rがアルキル基(最も好ましくは−C)である。
【0034】
本発明による環状カルボナートアジドは、ジオール又はトリオール(例えば、グリセロール又は1,2−グリコール)をジメチルカルボナート又は二酸化炭素と反応させ、続いて、得られた生成物を、i)クロロホルマートを形成させるためにトリホスゲンと反応させ、そして、アジドホルマートを調製するためにアジ化ナトリウムと反応させること、ii)クロロホルマートを形成させるためにトリホスゲンと反応させ、そして、クロロホルマートと反応する官能基(例えば、アミン)を有するアジドと反応させること、iii)アジドホルマートを調製するためにトリホスゲンと反応させ、その後、クロロホルマートと反応することができる官能基を有し、かつ、さらなる工程において反応してアジドにすることができる官能基を有する分子と反応させること、iv)イソシアナート官能化アジドと反応させること、又は、v)さらなる工程においてアジドに転換することができるさらなる官能基を有するイソシアナート官能化分子と反応させることのいずれかによって調製することができる。同様に、逆の手順も可能であり、この場合には、アジド部分が最初に調製され、環状カルボナートが後の段階で調製される。
【0035】
本発明による環状カルボナートアジドは、ポリマーを改質するために使用することができる。アジド官能基がポリマーと反応し、それにより、所定の官能基をポリマー鎖上に提供する。アジドは、アジドのタイプ及びポリマーのタイプに依存して、アジドがポリマーと反応することができる様式をいくつか有する。アジドは一般には、2つのタイプのニトレンに、すなわち、一重項(多数成分)及び三重項(少数成分)のニトレンに熱分解する。ニトレンの一重項状態が(EPMのような)完全飽和ポリマー鎖と反応すると、ポリマー鎖内へのアジドの挿入(グラフト化)がもたらされる。一重項及び三重項のニトレンがSBRのような不飽和ポリマーと反応すると、炭素−炭素の二重結合への付加反応が生じ、これもまたグラフト化を引き起こす。不飽和ポリマー、及び、不飽和成分を有するポリマーでは、1つのさらなる反応が同様に生じる。すなわち、二重結合へのアジドの挿入が、アジドがニトレンに分解する前に生じる。この挿入は、ニトレンへのアジドの分解温度よりも低い温度で一般には生じ、「クリック」反応と一般には呼ばれている。一般に、窒素以外の揮発物が何ら、これらのグラフト化工程によって放出されない。
【0036】
上記改質は、ポリマー及びアジドを、使用されるアジド及びポリマーのタイプに依存して100℃から220℃にまで及ぶ温度でブレンドすることによって行うことができる。ブレンドを、溶融ブレンディング、二本ロールミルでの混合、押出し、共通溶媒からの混合などを含めて種々の方法で行うことができる。アジドを配合済みポリマーに、すなわち、オイル、フィラー及び必要に応じた他の添加物(例えば、劣化防止剤、着色剤など)と既にブレンドされているポリマーに混合することもまた可能である。
【0037】
好ましい実施形態において、酸化防止剤がグラフト化工程の期間中に存在する。酸化防止剤は、早すぎるゲル形成を防止するために役立つ。好適な酸化防止剤の例として、立体障害型多核フェノール(例えば、Vulkanox(登録商標)SKF、Vulkanox(登録商標)DS、Vulkanox(登録商標)BKF、Irganox(登録商標)1010)、アミン系酸化防止剤(例えば、Flectol(登録商標)TMQ)、ジフェニルジアミン型酸化防止剤(例えば、Santonox(登録商標)6PPD)及びホスフィト系酸化防止剤(例えば、Weston TNPP)が挙げられる。酸化防止剤は好ましくは、0〜5phr(=100重量部のゴムあたりの重量部)の量で、より好ましくは0.1phr〜3phrの量で、最も好ましくは0.5phr〜2.5phrの量でグラフト化工程の期間中に存在する。
【0038】
改質後、ポリマーは、(i)フィラーとの相互作用を改善する極性基、(ii)オイル及び燃料のような無極性溶媒における膨潤に対する抵抗性を改善する極性基、並びに/或いは、(iii)いくつかの異なる化学物質(例えば、ジアミン、トリアミン又はポリアミン、ジチオール、トリチオール又はポリチオール、ジオール、トリオール又はポリオール、及び、ダイマー酸、トリマー酸又はポリマー酸)に対して反応性である極性基を含有する。いくつかの異なる化学物質に対する反応性は、従来の過酸化物硬化プロセス又は硫黄加硫プロセスとは異なる他の方法によって改質ポリマーが架橋されることを可能にする。
【0039】
このようにして改質することができるポリマーの例には、鎖状飽和ポリマー、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィン、エチレン−プロピレンコポリマー(EPM)、エチレンオクテンコポリマー(POE)のようなポリオレフィンエラストマー、エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(EPDM)、水素化ニトリルゴム(HNBR)並びにエチレンビニルアセタートコポリマー(EVA)など;スチレン−ブタジエンコポリマー(SBR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、並びに、NR、IR及びSBRのラテックスのような不飽和ポリマーが含まれる。このようにして改質することができる他のポリマーとして、飽和ポリエステル及び不飽和ポリエステルの両方を含めて、例えば、被覆、粉末被覆及び熱硬化樹脂において使用される様々なポリエステルが挙げられる。
【0040】
改質される好ましいタイプのポリマーがs−SBR及びe−SBRである。本発明によるプロセスは、これらのゴムのポストリアクター改質、これらのゴムと、シリカのようなフィラーとの間でのより良好な相互作用、及び、ビスアミンによる前記ゴムの架橋を可能にする。
【0041】
上記で説明されるように、シリカとe−SBR又はs−SBRとの間での良好な相互作用が、いわゆる「グリーンタイヤ」におけるSBRの使用(この場合、シリカとSBRとの組合せが、ウェットグリップ及び低い転がり抵抗のようなタイヤ特性を最適化するために使用される)のためには不可欠である。現在、そのような相互作用は、特定の溶液型SBRを表面修飾されたシリカとの組合せで使用することによって達成されるだけである。本発明は今回、e−SBR及び標準的s−SBRを非修飾シリカとともに使用することを可能にする。
【0042】
SBRを二官能性アミンにより架橋することができることは、過酸化物又は硫黄/硫黄系促進剤システムを用いない架橋を可能にし、また、SBRを二官能性アミンにより架橋することができることを、揮発物を伴うことなく行うことができる。環状カルボナート改質SBRのアミン架橋を、ビスアミン又はポリアミンを使用して高い温度で、すなわち、100℃〜180℃で行うことができる。より低い温度では、環状カルボナートに対するアミンの反応性が十分に高くない。架橋時において、ビスアミン又はポリアミンが網状構造に組み込まれ、したがって、ビスアミン又はポリアミンは架橋ポリマーの機械的特性に寄与する。非常に類似している他の架橋システムでは、チオール官能性、アルコール官能性又は酸官能性がアミンの代わりに利用される。酸及びアルコールを用いた反応は塩基により触媒される。アミン及びチオールを用いた環状カルボナートの反応が典型的には、アルコール及び酸を用いた反応よりも低い温度で行われる。
【実施例】
【0043】
実施例1−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルカルボンアジドの調製
70mlのTHFにおける26グラムのトリホスゲン及び18グラムの炭酸ナトリウムの混合物を0℃に冷却し、この温度で30分間撹拌した。その後、70mlのTHFにおける20グラムの4−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オンを30分の期間にわたってゆっくり加えた。反応混合物を夜間の間、室温で撹拌した。形成された塩をろ過によって除き、溶媒を減圧下で除いて、工業的に純粋な2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルカルボノクロリダートである27グラムの無色のオイルを得た。
【化7】
【0044】
2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルカルボノクロリダート(2g、11.08mmol)を7mlのアセトンに溶解し、−10℃に冷却した。8mlの水における0.791gのアジ化ナトリウムの溶液をこの冷却された溶液に15分かけて滴下して加えた。混合物を0℃〜−10℃の間の温度で2時間撹拌した。白色固体が形成された。氷水(50g)を混合物に加え、白色固体をろ過し、水により洗浄し、空気中で乾燥し、これにより、1グラムの環状カルボナートアジドを得た。
【化8】
【0045】
実施例2−(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(4−アジドスルホニル)フェニル)カルバマートの調製
40.0gの4−アセトアミドベンゼンスルホニルアジド(Sigma Aldrichから得られる)を160mlの濃塩酸に溶解した。この溶液を撹拌し、80℃に最大で30分間加熱した。この透明な溶液を室温に冷却した。70℃で、沈殿物が形成した。冷却された混合物を、すべての成分を溶解するために氷水(200g)に加え、得られた溶液を1000グラムの20%炭酸ナトリウム水溶液に加えた。生成物を150mlのジクロロメタンにより2回抽出し、一緒にした抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空濃縮し、最後に空気中で乾燥して、すべての揮発物を除いた。これにより、30グラムの固体の4−アミドベンゼンスルホニルアジドが得られた。
【化9】
【0046】
2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルカルボノクロリダート(0.50g)を5mlのアセトンに溶解し、5mlのアセトン及び0.438gのピリジンにおける0.549gの4−アミドベンゼンスルホニルアジドの溶液に5℃の温度で滴下して加えた。添加時間が約10分であった。反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応完了後、混合物を50mlの冷水に加え、これにより、白色沈殿物が生じた。混合物を2時間撹拌し、沈殿物を水により洗浄し、空気中で乾燥し、これにより、0.95gの(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(4−アジドスルホニル)フェニル)カルバマートをわずかにピンク色の固体として得た。
【化10】
【0047】
実施例3−ポリマーの改質
47グラムのエマルション型スチレンブタジエンゴム(Buna SE1500、eSBR)及び0.93グラムの実施例1の(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルカルボンアジドを二本ロールミルでブレンドし、均質に混合した。47.93グラムのこのブレンド物を130℃〜160℃で内部Banbury型ミキサーにおいて処理して、SBRへのアジドのグラフト化が生じるようにした。このグラフト化工程の期間中に、混合物の温度が15分で160℃にまで上昇した。
【0048】
実施例4−ポリマーの改質
47グラムの溶液型スチレンブタジエンゴム(Buna VSL 4720−0−HN、スチレン含有量:19.5%;ビニル含有量:47.5%)及び0.94グラムの実施例1の(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルカルボンアジドを二本ロールミルでブレンドし、均質に混合した。47.94グラムのこのブレンド物を130℃で内部Banbury型ミキサーにおいて処理して、SBRへのアジドのグラフト化が生じるようにした。このグラフト化工程の期間中に、混合物の温度が15分で160℃にまで上昇した。
【0049】
実施例5−ポリマーの改質
47グラムの溶液型スチレンブタジエンゴム(Buna VSL 4526−0HM、スチレン含有量:26%;ビニル含有量:44.5%)及び0.94グラムの実施例1の(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルカルボンアジドを二本ロールミルでブレンドし、均質に混合した。47.94グラムのこのブレンド物を130℃で内部Banbury型ミキサーにおいて処理して、SBRへのアジドのグラフト化が生じるようにした。このグラフト化工程の期間中に、混合物の温度が15分で160℃にまで上昇した。
【0050】
実施例6−ポリマーの改質
47グラムの溶液型スチレンブタジエンゴム(Buna VSL VP PBR4045;スチレン含有量:25.7%;ビニル含有量:22.2%)及び0.94グラムの実施例1の(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルカルボンアジドを二本ロールミルでブレンドし、均質に混合した。47.94グラムのこのブレンド物を130℃で内部Banbury型ミキサーにおいて処理して、SBRへのアジドのグラフト化が生じるようにした。このグラフト化工程の期間中に、混合物の温度が15分で160℃にまで上昇した。
【0051】
実施例7−改質されたeSBRポリマーの架橋
実施例3の改質eSBRゴムを、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンを使用して架橋した。このトリアミンは、2つの第一級アミン基と、1つの第二級アミン基とを有する。これら2つの第一級アミンが改質eSBRの環状カルボナート基と反応し、架橋を形成する。
【0052】
上記アミン及び上記改質ゴムを混合し、150℃の温度に加熱して、架橋させた。架橋形成が、MonsantoレオメーターMDR2000Eを使用して認められた。表1には、異なるレベルのアミンによる3回の実験が示される。架橋時間が、90%の加硫のために要求される時間(t90)として示される;架橋密度が、レオメーターによって測定されたときのトルクにおける増大(ΔS)として示される。
【0053】
【表1】
【0054】
およそ0.2Nmに達するΔSレベルの飽和は、ほんの0.5モル当量の上記アミンが、架橋形成を完了させるために要求されることを示している。このことは、1モルの上記アミンが2モルの環状カルボナート基と反応することを示している。アジドによる改質がない場合、表1の最初の項目において認められ得るように、アミンに対する反応性が何ら認められない。
【0055】
実施例8−改質されたsSBRポリマーの架橋
実施例4、実施例5及び実施例6の改質sSBRゴムの47グラムを、実施例7において最適であると見出されるように0.5モル等量(1.15phr)のビス(ヘキサメチレン)トリアミンを使用して170℃で架橋させた。架橋形成が、MonsantoレオメーターMDR2000Eを使用して認められた。結果が表2に示される。
【0056】
【表2】
【0057】
すべてのsSBRタイプが、(ΔSとして示される)増大したトルクレベルを示す。すべてのsSBRタイプが、(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルカルボンアジドによる改質の後、アミンによって架橋が形成されることを示す。参照用の未改質ゴムは、ここではBuna VSL 4720について示されるが、ΔSにおける無視できるほどの増大のみを示すだけである。
【0058】
実施例9−フィラーゴム相互作用の改善
sSBRであるBuna VSL 4720−0HMを、1phrのVulkanox(登録商標)SKFをさらに存在させることにより、実施例4に記載されるように改質した。その量が表3に示される。
【0059】
【表3】
【0060】
改質ゴム及び比較用ゴムから、サンプルを採取し、表4に述べられるような量で上記成分と内部Banbury型ミキサーにおいて混合した。シリカ(Ultrasil(商標)7000GR)を2回に分けて、温度が130℃にまで上昇することを許しながら、80℃で、最大で8分間にわたってゴムに加えた。比較実験2では、Si69(Evonicから得られる)を加えた。
【0061】
【表4】
【0062】
シリカ及び他の添加物をSBRに加えた後、硫黄及び硫黄系促進剤に基づく硬化剤パッケージを二本ロールミルにおいて上記シリカ充填ゴムの一部に加えた。加硫パックが表5に示される。
【0063】
【表5】
【0064】
表6は全体的な配合表を示す。
【0065】
【表6】
【0066】
得られた調合物を、The science and technology of rubber, 3rdedition(J.E.Mark, 2005, page 388)に記載されるように、いわゆるペイン効果試験を使用して比較した。この試験では、フィラー充填系のペイン効果が、動的粘弾性測定を使用して測定される。この実験によれば、フィラー充填SBRゴムのサンプルが100℃及び0.7Hzにおける周期的剪断ひずみに供される。ひずみが0.3%から100%にまで変化させられる。測定が、ゴム分析装置、すなわち、Gottfertから得られる「Visco Elastograph」で行われる。この試験では、サンプルの弾性係数と、サンプルに対する受けたひずみとの間における関係が測定され、それにより、ゴムとフィラーとの間の相互作用が、フィラー粒子間の相互作用を測定することによって評価される。フィラー−フィラー相互作用がフィラー−ゴム相互作用についての良好な目安である:大きいフィラー−フィラー相互作用は低いフィラー−ゴム相互作用を示しており、逆に、低いフィラー−フィラー相互作用は大きいフィラー−ゴム相互作用を示している。
【0067】
表7には、未加硫配合物に対するペイン試験の結果が示され、比較実験1は、低いひずみ値における大きい弾性係数(G’)、及び、大きいひずみにおける低いG’値に対する速い破壊を示すことを示している。この破壊はフィラー網状構造の破壊を示しており、強いフィラー−フィラー相互作用及び不良なフィラー−ゴム相互作用を示す。本発明発明による実験は、低いひずみ値における低いG’、及び、比較実験1のG’値よりも大きいG’値に対する大きい誘導ひずみにおける緩やかな分解を示す。この実験は、本発明による環状カルボナートアジドを用いた改質はより低いフィラー−フィラー相互作用及びより大きいフィラー−ゴム相互作用をもたらすことの証拠である。このことが、大きいひずみおける弾性率値がより大きいこと(これは、結合したゴムの存在を示している)から特に推測される。結合したゴムは、フィラー粒子に不可逆的に結合するゴムの一部である。
【0068】
【表7】
【0069】
加硫配合物のフィラー−ゴム相互作用がタイヤの最終的特性のために極めて重要であるので、この相互作用はまた、150℃における配合物の加硫の後でも評価されている(表8を参照のこと)。未加硫配合物の場合と同じ結論を引き出すことができる:フィラー−ゴム相互作用が、本発明によるアジド改質sSBRの場合、はるかに強くなっている。
【0070】
【表8】
【0071】
このようなより良好なフィラー−ゴム相互作用はフィラーのより良好な分散及びより少ないフィラー−フィラー相互作用をもたらす。このことを、加硫データが表6からの配合物について比較される表9において認めることができる。これらの加硫データは、シリカ充填SBR配合物の完全な架橋のために十分である条件(150℃、1時間)のもとでゴム分析装置を使用して、すなわち、Gottfertから得られる「Visco Elastograph」を使用して記録されている。
【0072】
【表9】
【0073】
フィラーのより良好な分散を、M値(すなわち、加硫温度で測定される最小トルクで、フィラー充填配合物の粘度の良好な指標)によって示されるように配合物の柔らかさによって認めることができる。同じシリカ含有量(40phr)において、本発明によるプロセスによって調製される組成物は比較用組成物よりも低い粘度を有する。比較用組成物のより大きい粘度は、いわゆる凝集(すなわち、分散されたシリカ粒子の集塊化)のためである。この集塊化は、高い温度では特に、堅い構造の増加をもたらし、これにより、配合物の増大した粘度を増大させる。このことはまた、増大したM(Visco Elastographで測定される最大トルク)及びΔS(=M−M)によって示されるように結局は架橋密度における明らかに増大となり、また、加硫エラストマーの硬化を引き起こす。加硫後のゴムのこの硬化がIRHD硬度(国際ゴム硬さ、ISO48)によって測定され、IRHD硬度により、増大した硬度が表9の比較実験1について明瞭に示される。凝集はさらに、シリカ配合物の加工をより困難にし、シリカ充填配合物の貯蔵寿命を低下させ、かつ、最終生成物の望まれない予測不能な機械的特性を引き起こす。
【0074】
本発明に従って調製される配合物は、ゴムにおけるシリカの改善された分散に起因して、また、低下したフィラー−フィラー相互作用を生じさせる、ゴムとシリカとの間の増大した相互作用に起因して、凝集が全くないか、又はほんのわずかである。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
下記の式に従う構造を有する環状カルボナートアジド。
【化1】
式中、
〜Rは独立して、水素、C6〜20アリール基、C7〜36アラルキル基及びC1〜30アルキル基からなる群から選択され、但し、前記アリール基、アラルキル基及びアルキル基は場合によりヘテロ原子により置換される場合があり;
Xは、少なくとも1個の炭素原子を有する炭化水素基であり;
Tは−N(R)−又は−O−の構造を有し;
は、水素及びC1〜20アルキル基(これは場合によりヘテロ原子により置換される)からなる群から選択され;
kは、0、1又は2であり;
mは0又は1であり;
nは0又は1であり;
pは1又は2であり;
Zは、少なくとも1個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であって、場合によりヘテロ原子により置換され;かつ
Yは下記のいずれかである。
【化2】
項2.
Tが構造−N(R)−を有する、項1に記載の環状カルボナートアジド。
項3.
Tが構造−O−を有する、項1に記載の環状カルボナートアジド。
項4.
k=0である、項1から3のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド。
項5.
XがCHである、項1から4のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド。
項6.
Zがアリール基である、項1から5のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド。
項7.
p=1であり、n=m=0であり、かつ、Yが、
【化3】
である、項1から6のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド。
項8.
p=1であり、n=m=1であり、RがHであり、Zがアリール基であり、かつ、Yが、
【化4】
である、項1から6のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド。
項9.
p=2であり、n=m=0であり、RがHであり、XがCHであり、かつ、Yが、
【化5】
である、項1から6のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド。
項10.
k=1である、項1から3又は5から9のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド。
項11.
、R、R及びRが水素である、項1から10のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド。
項12.
が水素又はヒドロキシアルキル基である、項1から11のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド。
項13.
ポリマーを改質するための、項1から12のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジドの使用。
項14.
前記ポリマーがエマルション型スチレンブタジエンゴム(e−SBR)又は溶液型スチレンブタジエンゴム(s−SBR)である、項13に記載の使用。
項15.
ポリマーを改質するための方法であって、項1から12のいずれか一項に記載の環状カルボナートアジド及び前記ポリマーをブレンドし、当該ブレンド物を100℃〜220℃の範囲の温度で加熱することによって、前記アジドが前記ポリマーにグラフト化される、方法。
項16.
前記ポリマーがエマルション型スチレンブタジエンゴム(e−SBR)又は溶液型スチレンブタジエンゴム(s−SBR)である、項15に記載の方法。
項17.
項15又は16に記載の方法によって得ることができるポリマー。
項18.
項17に記載のポリマーとシリカとを含むポリマー組成物。
項19.
タイヤを製造するための、項17に記載のポリマー又は請求項18に記載のポリマー組成物の使用。