特許第6208868号(P6208868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6208868有機EL部品の製造方法及び製造された有機EL部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208868
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】有機EL部品の製造方法及び製造された有機EL部品
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/10 20060101AFI20170925BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170925BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20170925BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20170925BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H05B33/10
   H05B33/14 A
   H05B33/26 Z
   H05B33/02
   H05B33/04
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-528816(P2016-528816)
(86)(22)【出願日】2013年11月26日
(65)【公表番号】特表2016-537772(P2016-537772A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】CN2013087881
(87)【国際公開番号】WO2015070484
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2016年5月13日
(31)【優先権主張番号】201310566264.9
(32)【優先日】2013年11月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】深▲せん▼市華星光電技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100080252
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 征四郎
(72)【発明者】
【氏名】韓佰祥
【審査官】 大竹 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−170110(JP,A)
【文献】 特開2008−243582(JP,A)
【文献】 特開2011−009415(JP,A)
【文献】 特開2003−168569(JP,A)
【文献】 特開2012−203121(JP,A)
【文献】 特開2008−135731(JP,A)
【文献】 特開2004−071558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/10
H05B 33/02
H05B 33/04
H05B 33/26
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、有機EL部品の製造方法であって、
工程1では、基板を用意し、
工程2では、基板上に第一金属層を形成するとともに、前記第一金属層をパターン化することで、第一電極を形成し、
工程3では、前記第一電極及び基板上にゲート絶縁層を形成し、
工程4では、前記ゲート絶縁層上に透明導電性層及び第二金属層を順に形成するとともに、前記第二金属層及び透明導電性層をパターン化することで、第二電極を形成し、
更に前記第二電極は、前記第二金属層と、前記第二金属層下方に位置する前記透明導電性層とからなり、
工程5では、前記第二電極及び前記ゲート絶縁層上に酸化物半導体層を形成し、且つ前記酸化物半導体層をパターン化し、
工程6では、前記酸化物半導体層及び第二電極上に有機平坦化層を形成するとともに、前記有機平坦化層をパターン化し、
工程7では、前記有機平坦化層をマスクとして前記第二電極の第二金属層をエッチングして、前記透明導電性層を露出させ
このとき、前記エッチングによって露出する前記透明導電性層は、その周囲が前記第二金属層で囲まれており、これによって周囲が前記第二金属層で囲まれた透明電極を形成し、

工程8では、前記有機平坦化層上に仕切り層を形成し、
工程9では、前記透明電極上に有機機能層を蒸着し、前記有機機能層上に陰極を蒸着し、
工程10では、封止用キャップを用意して、封止を行
ことを特徴とする有機EL部品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の有機EL部品の製造方法において、
更に、前記工程1は、基板を用意して洗浄した後、前記基板上に緩衝層を形成する工程を含
ことを特徴とする有機EL部品の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の有機EL部品の製造方法において、
更に、前記工程2において、前記第一金属層は前記緩衝層上に形成され
ことを特徴とする有機EL部品の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の有機EL部品の製造方法において、
更に、前記第一金属層及び第二金属層は、アルミニウム或はモリブデンの中の少なくとも一種からなり、
前記透明導電性層は、酸化インジウムスズ或は銀の中の少なくとも一種からなり、
前記基板及び封止用キャップは、いずれもガラス基板であ
ことを特徴とする有機EL部品の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の有機EL部品の製造方法において、
更に、前記有機機能層は、透明電極上に形成された正孔輸送層と、前記正孔輸送層上に形成された有機発光層と、前記有機発光層上に形成された電子輸送層とからな
ことを特徴とする有機EL部品の製造方法
【請求項6】
基板と、第一電極と、ゲート絶縁層と、第二電極と、酸化物半導体層と、有機平坦化層と、透明電極とからなる、有機EL部品であって、
前記第一電極は、前記基板上に形成され、
前記ゲート絶縁層は、前記第一電極及び基板上に形成され、
前記第二電極は、前記ゲート絶縁層上に形成され、
前記酸化物半導体層は、前記第二電極及びゲート絶縁層上に形成され、
前記有機平坦化層は、前記酸化物半導体層及び第二電極上に形成され、
前記透明電極は、前記ゲート絶縁層上に位置し、
前記第二電極は、第二金属層と、前記第二金属層下方に位置する透明導電性層とからなり、
前記透明電極は、前記透明導電性層によって形成されており、
前記透明電極は、前記第二電極の第二金属層をエッチングして前記透明導電性層を露出させたものであって、その周囲が前記第二金属層で囲まれている
ことを特徴とする有機EL部品。
【請求項7】
請求項6に記載の有機EL部品において、
更に、前記有機EL部品には、前記基板と第一電極の間に形成された緩衝層と、前記有機平坦化層上に形成された仕切り層と、前記透明電極上に形成された有機機能層と、前記有機機能層上に形成された陰極と、前記基板と貼合された封止用キャップが設けられ
ことを特徴とする有機EL部品。
【請求項8】
請求項7に記載の有機EL部品において、
更に、前記有機機能層は、透明電極上に形成された正孔輸送層と、前記正孔輸送層上に形成された有機発光層と、前記有機発光層上に形成された電子輸送層とからな
ことを特徴とする有機EL部品。
【請求項9】
請求項7に記載の有機EL部品において、
更に、前記第一電極及び第二金属層は、アルミニウム或はモリブデンの中の少なくとも一種からなり、
前記透明電極は、酸化インジウムスズ或は銀の中の少なくとも一種からなり、
前記基板及び封止用キャップは、いずれもガラス基板であ
ことを特徴とする有機EL部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面表示技術に関し、特に、有機EL部品の製造方法及び製造された有機EL部品に関する。
【背景技術】
【0002】
平面ディスプレイは、薄型ボディ・省エネ・放射線が無い等の多くの長所を備えており、幅広く応用されている。現在の平面ディスプレイは主に、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)、及び有機EL部品(Organic Electroluminescence Device、OELD)、或は有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、OLED)によるものがある。
【0003】
従来の液晶ディスプレイは、一般にバックライト型の液晶ディスプレイであり、ケース体と、ケース体内に設けられた液晶表示パネルと、ケース体内に設けられたバックライトモジュール(Backlight Module)とからなる。液晶表示パネルの動作原理は、平行する二枚のガラス基板の中に液晶分子が設けられるとともに、二枚のガラス基板上に駆動電圧を印加することで液晶分子の回転を制御し、これによりバックライトモジュールの光線が屈折照射されて画面を生成するというものである。
【0004】
図1を参照する。従来の液晶表示パネルは一般に、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)基板302と、薄膜トランジスタ基板302と相対して貼合されたカラーフィルタ(Color Filter、CF)基板304と、薄膜トランジスタ基板302とカラーフィルタ基板304の間に設けられた液晶層306とからなる。薄膜トランジスタ基板302によって液晶層306内の液晶分子を駆動して回転させ、これにより対応する画面が表示される。
【0005】
有機EL部品は、自発光・高輝度・広視野角・高コントラスト・可撓性を有する・低エネルギー消費である等の特性を備えているため、幅広い注目を集めるとともに、新世代の表示方式として既に従来の液晶表示装置に徐々に取って代わってきており、携帯電話用表示パネル・パソコン用ディスプレイ・フルカラーテレビ等の分野に幅広く応用されている。有機EL部品は、従来の液晶ディスプレイと異なりバックライトを必要とせず、直接ガラス基板上に極薄い有機材料塗布層が設けられることで、電流が流れた時に前記有機材料塗布層が発光する。
【0006】
従来の有機EL部品を駆動方式によって分類すると、パッシブマトリクス型有機発光ダイオード(Passive−matrix organic light emitting diode、PMOLED)と、アクティブマトリクス型有機発光ダイオード(Active−matrix organic light emitting diode、AMOLED)に大別される。このうち、図2に示した従来のアクティブマトリクス型有機発光ダイオードの断面図を参照する。従来のアクティブマトリクス型有機発光ダイオードは、基板100と、基板100上に形成されたゲート101と、ゲート101上に形成されたゲート絶縁層102と、ゲート絶縁層102上に形成されたソース/ドレイン103と、ソース/ドレイン103上に形成された酸化物半導体層104と、酸化物半導体層104上に形成された第一有機平坦化層105と、第一有機平坦化層105上に形成された透明電極106と、第一有機平坦化層105及び透明電極106上に形成された第二有機平坦化層107とからなる。このうち、透明電極106は有機発光ダイオードの陽極であり、チャネルを通してソース/ドレイン103と電気的に接続されるとともに、透明電極106上には有機発光層(図示せず)及び陰極(図示せず)が蒸着され、且つ封止用キャップ(図示せず)によって封止されることで、アクティブマトリクス型有機発光ダイオードが製造される。この製造工程は、一般に8〜9回のフォトマスクが必要で工程が複雑なため、相対的にコストが高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、本発明は、製造工程が簡単で、効果的に生産コストを削減することが可能な、有機EL部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
また本発明は、製造工程が簡単で、厚さが薄く、生産コストが低い、有機EL部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明が提供する有機EL部品の製造方法は、以下の工程を含む。
【0010】
工程1では、基板を用意する。
【0011】
工程2では、基板上に第一金属層を形成するとともに、前記第一金属層をパターン化することで、第一電極を形成する。
【0012】
工程3では、第一電極及び基板上にゲート絶縁層を形成する。
【0013】
工程4では、ゲート絶縁層上に透明導電性層及び第二金属層を順に形成するとともに、前記第二金属層及び透明導電性層をパターン化することで、第二電極を形成する。前記第二電極は、第二金属層と、第二金属層下方に位置する透明導電性層とからなる。
【0014】
工程5では、第二電極及びゲート絶縁層上に酸化物半導体層を形成し、且つ前記酸化物半導体層をパターン化する。
【0015】
工程6では、酸化物半導体層及び第二電極上に有機平坦化層を形成するとともに、前記有機平坦化層をパターン化する。
【0016】
工程7では、有機平坦化層をマスクとして第二電極の第二金属層をエッチングして、透明導電性層を露出させることで、透明電極を形成する。
【0017】
更に以下の工程を含む。
【0018】
工程8では、有機平坦化層上に仕切り層を形成する。
【0019】
工程9では、透明電極上に有機機能層及び陰極を蒸着させる。
【0020】
工程10では、封止用キャップを用意して、封止をする。
【0021】
前記工程1は、基板を用意して洗浄した後、基板上に緩衝層を形成する工程を含む。
【0022】
前記工程2において、前記第一金属層は前記緩衝層上に形成される。
【0023】
前記第一金属層及び第二金属層は、アルミニウム或はモリブデンの中の少なくとも一種からなる。前記透明導電性層は、酸化インジウムスズ或は銀の中の少なくとも一種からなる。前記基板及び封止用キャップは、いずれもガラス基板である。
【0024】
前記有機機能層は、透明電極上に形成された正孔輸送層と、正孔輸送層上に形成された有機発光層と、有機発光層上に形成された電子輸送層とからなる。
【0025】
また、本発明が提供する有機EL部品の製造方法は、以下の工程を含む。
【0026】
工程1では、基板を用意する。
【0027】
工程2では、基板上に第一金属層を形成するとともに、前記第一金属層をパターン化することで、第一電極を形成する。
【0028】
工程3では、第一電極及び基板上にゲート絶縁層を形成する。
【0029】
工程4では、ゲート絶縁層上に透明導電性層及び第二金属層を順に形成するとともに、前記第二金属層及び透明導電性層をパターン化することで、第二電極を形成する。前記第二電極は、第二金属層と、第二金属層下方に位置する透明導電性層とからなる。
【0030】
工程5では、第二電極及びゲート絶縁層上に酸化物半導体層を形成し、且つ前記酸化物半導体層をパターン化する。
【0031】
工程6では、酸化物半導体層及び第二電極上に有機平坦化層を形成するとともに、前記有機平坦化層をパターン化する。
【0032】
工程7では、有機平坦化層をマスクとして第二電極の第二金属層をエッチングして、透明導電性層を露出させることで、透明電極を形成する。
【0033】
更に以下の工程を含む。
【0034】
工程8では、有機平坦化層上に仕切り層を形成する。
【0035】
工程9では、透明電極上に有機機能層及び陰極を蒸着させる。
【0036】
工程10では、封止用キャップを用意して、封止をする。
【0037】
前記工程1は、基板を用意して洗浄した後、基板上に緩衝層を形成する工程を含む。
【0038】
前記工程2において、前記第一金属層は前記緩衝層上に形成される。
【0039】
前記第一金属層及び第二金属層は、アルミニウム或はモリブデンの中の少なくとも一種からなる。前記透明導電性層は、酸化インジウムスズ或は銀の中の少なくとも一種からなる。前記基板及び封止用キャップは、いずれもガラス基板である。
【0040】
前記有機機能層は、透明電極上に形成された正孔輸送層と、正孔輸送層上に形成された有機発光層と、有機発光層上に形成された電子輸送層とからなる。
【0041】
また本発明が提供する有機EL部品は、基板と、基板上に形成された第一電極と、第一電極及び基板上に形成されたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に形成された第二電極と、第二電極及びゲート絶縁層上に形成された酸化物半導体層と、酸化物半導体層及び第二電極上に形成された有機平坦化層と、ゲート絶縁層上に位置する透明電極とからなる。前記第二電極は、第二金属層と、第二金属層下方に位置する透明導電性層とからなる。前記透明電極は、透明導電性層によって形成される。
【0042】
前記有機EL部品には、更に、基板と第一電極の間に形成された緩衝層と、有機平坦化層上に形成された仕切り層と、透明電極上に形成された有機機能層と、有機機能層上に形成された陰極と、基板と貼合された封止用キャップが設けられる。
【0043】
前記有機機能層は、透明電極上に形成された正孔輸送層と、正孔輸送層上に形成された有機発光層と、有機発光層上に形成された電子輸送層とからなる。
【0044】
前記第一電極及び第二金属層は、アルミニウム或はモリブデンの中の少なくとも一種からなる。前記透明電極は、酸化インジウムスズ或は銀の中の少なくとも一種からなる。前記基板及び封止用キャップは、いずれもガラス基板である。
【発明の効果】
【0045】
以上の構造によってなる本発明は、以下の有益な効果を備える。即ち、本発明の有機EL部品の製造方法及び製造された有機EL部品において、第二金属層と透明導電性層が第二電極を形成することにより、効果的に第二電極の経路におけるインピーダンスを低下させて、有機EL部品の品質を向上することが出来る。加えて、有機平坦化層をマスクとして第二電極の第二金属層をエッチングして透明導電性層を露出させることで、透明電極を形成するため、従来の製造工程と比べて、本発明の製造方法は効果的に工程を簡略化して、生産コストを削減することが出来る。更に、第二平坦化層を形成する必要がないため、有機EL部品の厚さを効果的に削減して、薄型化の実現を利することが可能である。
【0046】
本発明の特徴と技術内容の詳細については、以下の詳説と図を参照されたい。尚、図はあくまで参考及び説明用であり、これにより本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
下記の図を参照しつつ本発明の具体的実施例について詳述することで、本発明の技術手法及びその他の有益な効果を詳らかにする。
図1】従来の液晶表示パネルの構造を示した概略図である。
図2】従来のアクティブマトリクス型有機発光ダイオードの断面図である。
図3】本発明の有機EL部品の製造方法のフロー図である。
図4】本発明の有機EL部品の製造方法の工程を示した概略図である。
図5】本発明の有機EL部品の製造方法の工程を示した概略図である。
図6】本発明の有機EL部品の製造方法の工程を示した概略図である。
図7】本発明の有機EL部品の製造方法の工程を示した概略図である。
図8】本発明の有機EL部品の製造方法の工程を示した概略図である。
図9】本発明の有機EL部品の製造方法の工程を示した概略図である。
図10】本発明の有機EL部品の画素配置を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の技術手法とその効果を詳らかにするために、以下で本発明の実施例と図を参照しつつ詳述する。
【0049】
(実施例1)
図3から図9までを参照する。本発明が提供する有機EL部品の製造方法は、以下の工程を含む。
【0050】
工程1では、基板20を用意する。
【0051】
基板20は透明基板であり、ガラス基板・プラスチック基板等であることが可能である。尚、本実施例において、基板20はガラス基板である。
【0052】
工程2では、基板20上に第一金属層を形成するとともに、前記第一金属層をパターン化することで、第一電極21を形成する。
【0053】
本実施例において、前記第一金属層は、アルミニウム或はモリブデンの中の少なくとも一種からなる。前記第一電極21は、ゲートである。具体的には、以下の工程によって形成することが可能である。まず、基板20上にスパッタリングによって第一金属層を形成する。第一金属層上に一層の感光(photo−sensitive)素材を設ける。前記一層の感光素材とは、フォトレジストである。続いて、光線をフォトマスクを通してフォトレジスト上に照射することで前記フォトレジストを露光する。フォトマスク上には第一電極21のパターンが設けられているため、光線がフォトマスクを通過してフォトレジスト上に照射された時、フォトレジストの露光には選択性が備わるようになり、これによりフォトマスク上のパターンがフォトレジスト上に完全に複写される。更にこの後、適切な現像液(developer)を用いて一部のフォトレジストを除去することで、フォトレジストが必要なパターンを具現化する。
【0054】
工程3では、第一電極21及び基板20上にゲート絶縁層22を形成する。
【0055】
ゲート絶縁層22は、単層或は多層構造をなすことが可能であるとともに、酸化ケイ素層・窒化ケイ素層のいずれか一つ或はこれらの組合せによってなる。
【0056】
工程4では、ゲート絶縁層22上に透明導電性層222及び第二金属層224を順に形成するとともに、第二金属層224及び透明導電性層222をパターン化することで、第二電極23を形成する。第二電極23は、第二金属層224と、第二金属層224下方に位置する透明導電性層222とからなる。
【0057】
本実施例において、透明導電性層222は、酸化インジウムスズ或は銀の中の少なくとも一種或はこれらの組合せからなる。第二金属層224は、アルミニウム或はモリブデンの中の少なくとも一種からなる。第二電極23はソース/ドレインであるとともに、第二電極23は第二金属層224及び透明導電性層222によって共同で形成される。これにより、全て第二金属層によって形成される従来のソース/ドレインと比較して、経路のインピーダンスが小さくなる。よって、本発明の有機EL部品の品質を効果的に向上させることが出来る。
【0058】
工程5では、第二電極23及びゲート絶縁層22上に酸化物半導体層24を形成して、酸化物半導体層24をパターン化する。
【0059】
酸化物半導体層24の形成方法は、上述した第一電極21の形成方法と相似しているため、ここで重複叙述はしない。
【0060】
工程6では、酸化物半導体層24及び第二電極23上に有機平坦化層25を形成するとともに、有機平坦化層25をパターン化する。
【0061】
有機平坦化層25は、アクティブ型薄膜トランジスタの画素配列構造全体を平坦化するために用いられる。これにより後工程の作業を行い易くする。
【0062】
工程7では、有機平坦化層25をマスクとして第二電極23の第二金属層224をエッチングして、透明導電性層222を露出させることで、透明電極26を形成する。
【0063】
本実施例において、透明電極26は、本発明の有機EL部品の陽極であるとともに、有機機能層を触発して必要な光線を発出させるために用いられ、これにより画面が表示される。
【0064】
従来技術と比較して、本発明は単独で透明電極26を製作する必要が無く、少なくとも一回のフォトマスク工程を削減することが出来る。加えて、第二有機平坦化層を形成する必要が無いため、更に製造工程を簡略化して、効果的に生産コストを削減することが可能である。
【0065】
更に、本発明の有機EL部品の製造方法は、以下の工程を含む。
【0066】
工程8では、有機平坦化層25上に仕切り(PS)層を形成する(図示せず)。
【0067】
工程9では、透明電極26上に有機機能層(図示せず)及び陰極(図示せず)を蒸着する。
【0068】
前記有機機能層は、透明電極26上に形成された正孔輸送層(Hole Transport Layer、HTL)と、正孔輸送層上に形成された有機発光層(Emissive Layer、EML)と、有機発光層上に形成された電子輸送層(Electron Transport Layer、ETL)とからなる。
【0069】
工程10では、封止用キャップ(図示せず)を用意して、封止する。
【0070】
本実施例において、前記封止用キャップは、ガラス基板であるとともに、UV樹脂、或はガラス接着剤によって基板20と貼合され、且つUV硬化によって有機EL部品の封止を行う。
【0071】
ここで特筆すべき点は以下の通りである。前記工程1は更に、基板20を用意して洗浄した後、基板20上に緩衝層(図示せず)を形成する工程を含むことが可能である。また前記工程2において、前記第一金属層は前記緩衝層上に形成される。
【0072】
更に、酸化物半導体層24上には保護層(図示せず)が形成されるとともに、前記保護層は酸化ケイ素層・窒化ケイ素層のいずれか一つ或はこれらの複合層であることが可能である。
【0073】
(実施例2)
図9及び図10を参照する。本発明が提供する有機EL部品は、基板20と、基板20上に形成された第一電極21と、第一電極21及び基板20上に形成されたゲート絶縁層22と、ゲート絶縁層22上に形成された第二電極23と、第二電極23及びゲート絶縁層22上に形成された酸化物半導体層24と、酸化物半導体層24及び第二電極23上に形成された有機平坦化層25と、ゲート絶縁層22上に位置する透明電極26とからなる。第二電極23は、第二金属層224と、第二金属層224下方に位置する透明導電性層222とからなる。透明電極26は、透明導電性層222によって形成される。このうち、第一電極21はゲートであり、第二電極23はソース/ドレインである。前記ゲート・ゲート絶縁層22・ソース/ドレイン・酸化物半導体層24は、薄膜トランジスタを形成するとともに、有機EL部品を駆動するために用いられる。
【0074】
更に、本発明の有機EL部品には、基板20と第一電極21の間に形成された緩衝層と、有機平坦化層25上に形成された仕切り層と、透明電極26上に形成された有機機能層と、有機機能層上に形成された陰極と、基板20と貼合された封止用キャップが設けられる。
【0075】
具体的に述べると、前記有機機能層は、透明電極上に形成された正孔輸送層と、正孔輸送層上に形成された有機発光層と、有機発光層上に形成された電子輸送層とからなる。
【0076】
本実施例において、第一電極21及び第二金属層224は、アルミニウム或はモリブデンの中の少なくとも一種からなる。透明電極26は、酸化インジウムスズ或は銀の中の少なくとも一種からなる。基板20及び封止用キャップは、いずれもガラス基板である。
【0077】
上述を総じて言えば、本発明の有機EL部品の製造方法及び製造された有機EL部品において、第二金属層と透明導電性層が第二電極を形成することにより、効果的に第二電極の経路におけるインピーダンスを低下させて、有機EL部品の品質を向上することが出来る。加えて、有機平坦化層をマスクとして第二電極の第二金属層をエッチングして透明導電性層を露出させることで、透明電極を形成するため、従来の製造工程と比べて、本発明の製造方法は効果的に工程を簡略化して、生産コストを削減することが出来る。更に、第二平坦化層を形成する必要がないため、有機EL部品の厚さを効果的に削減して、薄型化の実現を利することが可能である。
【0078】
以上の記述により、関連領域の一般的な技術員は、本発明の技術手法と構想に基づいて各種の変更と変形を加えることが可能であり、これらの変更と変形は、いずれも本発明の権利要求の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0079】
(従来技術)
100 基板
101 ゲート
102 ゲート絶縁層
103 ソース/ドレイン
104 酸化物半導体層
105 第一有機平坦化層
106 透明電極
107 第二有機平坦化層
302 薄膜トランジスタ基板
304 カラーフィルタ基板
306 液晶層
(本発明)
20 基板
21 第一電極
22 ゲート絶縁層
222 透明導電性層
224 第二金属層
23 第二電極
24 酸化物半導体層
25 有機平坦化層
26 透明電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10