特許第6208877号(P6208877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208877
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】X線走査システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20060101AFI20170925BHJP
   G01N 23/10 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   G01N23/04
   G01N23/10
【請求項の数】29
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-540334(P2016-540334)
(86)(22)【出願日】2014年9月3日
(65)【公表番号】特表2016-529524(P2016-529524A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】US2014053852
(87)【国際公開番号】WO2015034893
(87)【国際公開日】20150312
【審査請求日】2016年5月13日
(31)【優先権主張番号】61/873,541
(32)【優先日】2013年9月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397008339
【氏名又は名称】ユナイテッド パーセル サービス オブ アメリカ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】United Parcel Service of America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】ヘイラー,ウェンディー・パトリシア
(72)【発明者】
【氏名】ラザフォード,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,マーカス・エイ
(72)【発明者】
【氏名】カーク,アンソニー・デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンオーダー,ギルバート・ウォルター,ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】ハドソン,ロイ・ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ターミニ,ジェイムズ
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−241452(JP,A)
【文献】 特開平07−063707(JP,A)
【文献】 特開2006−119113(JP,A)
【文献】 特開平11−211677(JP,A)
【文献】 特開2012−220348(JP,A)
【文献】 特開平10−267867(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0037070(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02345589(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/227
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の内容を決定するためのX線検出器システムであって、
X線放射を照射するように構成されたX線照射器と、
受信表面を備え、前記X線放射を受信し、前記受信表面上の複数の位置のそれぞれにおいて前記受信されたX線放射の強度を示す1つまたは複数の強度信号を生成するように構成された検出器と、
第1のグリッド構造を備えるX線透過グリッドであって、前記第1のグリッド構造は、
第1の主方向に配向されている少なくとも第1の辺を有する前記X線透過グリッドを囲む周縁部と、
第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第1の複数の平行グリッド部材と、
第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第2の複数の平行グリッド部材と
を備え、
前記第1の複数の平行グリッド部材は第1の平面と一致し、
前記第2の複数の平行グリッド部材は第2の平面と一致し、
前記第1の平面と前記第2の平面とは平行であり、
前記第1の平面は、前記第2の平面からある距離だけ離間されており、
前記第1の複数の平行グリッド部材のそれぞれの前記第1の端部および前記第2の端部は、前記第1の複数の平行グリッド部材が前記周縁部の前記第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で前記周縁部と交差し、
前記第2の複数の平行グリッド部材のそれぞれの前記第1の端部および前記第2の端部は、前記第2の複数の平行グリッド部材が前記周縁部の前記第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で前記周縁部と交差する、X線透過グリッドと、
前記物品および前記X線透過グリッドを、前記X線照射器と前記検出器との間の位置へと第2の主方向に搬送するように構成された搬送機構であって、前記第2の主方向は前記第1の主方向と実質的に同じである、搬送機構と
を備える、X線検出器システム。
【請求項2】
1つまたは複数のメモリおよび1つまたは複数のプロセッサを備えるユーザシステムを更に備え、前記ユーザシステムは、
前記1つまたは複数のプロセッサを介して前記1つまたは複数の強度信号を受信し、
表示デバイスを介して前記強度信号を表示させるように構成される、請求項1に記載のX線検出器システム。
【請求項3】
前記表示された強度信号は、
前記物品の現在の位置を示す信号と、
前記第2の主方向に対して少なくとも実質的に平行に延在するゴーストイメージを示すゴースト信号と
を更に含む、請求項2に記載のX線検出器システム。
【請求項4】
前記1つまたは複数のプロセッサを介して、ゴースト信号の存在を示す1つまたは複数の通知を生成するように更に構成された、請求項3に記載のX線検出器システム。
【請求項5】
前記第1の複数の平行グリッド部材のそれぞれが連続しており、前記第2の複数の平行グリッド部材のそれぞれが連続している、請求項に記載のX線検出器システム。
【請求項6】
前記第1の複数の平行グリッド部材のそれぞれの前記第1の端部が前記周縁部と交差する前記角度が、30度〜55度の間である、請求項1に記載のX線検出器システム。
【請求項7】
前記第1の複数の平行グリッド部材のそれぞれの前記第1の端部が前記周縁部と交差する前記角度が、45度である、請求項に記載のX線検出器システム。
【請求項8】
前記第1の複数の平行グリッド部材が、前記第2の複数の平行グリッド部材に対して垂直である、請求項に記載のX線検出器システム。
【請求項9】
前記第1の複数の平行グリッド部材は、互いの間に少なくとも実質的に均等な距離を有するように離間されており、
前記第2の複数の平行グリッド部材は、互いの間に少なくとも実質的に均等な距離を有するように離間されている、請求項1に記載のX線検出器システム。
【請求項10】
前記第1の複数の平行グリッド部材および前記第2の複数の平行グリッド部材は、直径6mmの細長鋼部材からなる、請求項1に記載のX線検出器システム。
【請求項11】
前記第1の複数の平行グリッド部材および前記第2の複数の平行グリッド部材は、放射線不透過性である、請求項1に記載のX線検出器システム。
【請求項12】
前記X線放射の一部は前記物品を通過し、前記物品を通過する前記X線放射の前記一部は、前記X線透過グリッドも通過する、請求項1に記載のX線検出器システム。
【請求項13】
前記周縁部は第2の辺を有し、前記第2の辺は、前記第1の主方向および前記第2の主方向に対して少なくとも実質的に垂直な第3の方向に配向されている、請求項1に記載のX線検出器システム。
【請求項14】
物品を走査するためのコンピュータ実装方法であって、
プロセッサを介して、検出器上で第1の走査時刻において複数の位置のそれぞれにおいて受信されたX線放射の第1の強度を示す1つまたは複数の第1の強度信号を受信するステップであって、
前記検出器は、X線照射器からX線放射を受信し、受信表面上の複数の位置のそれぞれにおいて前記受信されたX線放射の強度を示す前記1つまたは複数の強度信号を生成するように構成され、
前記X線放射は前記X線照射器から照射され、前記X線放射の少なくとも一部は前記検出器により受信される前に前記物品およびX線透過グリッドを通過し、
前記X線透過グリッドは第1のグリッド構造を備え、前記第1のグリッド構造は、
第1の主方向に配向されている少なくとも第1の辺を有する前記X線透過グリッドを囲む周縁部と、
第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第1の複数の平行グリッド部材と、
第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第2の複数の平行グリッド部材と
を備え、
前記第1の複数の平行グリッド部材は第1の平面と一致し、
前記第2の複数の平行グリッド部材は第2の平面と一致し、
前記第1の平面と前記第2の平面とは少なくとも実質的に平行であり、
前記第1の平面は、前記第2の平面からある距離だけ離間されており、
前記第1の複数の平行グリッド部材のそれぞれの前記第1の端部および前記第2の端部は、前記第1の複数の平行グリッド部材が前記周縁部の前記第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で前記周縁部と交差し、
前記第2の複数の平行グリッド部材のそれぞれの前記第1の端部および前記第2の端部は、前記第2の複数の平行グリッド部材が前記周縁部の前記第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で前記周縁部と交差し、
前記物品および前記X線透過グリッドは、第2の主方向に推進され、前記第2の主方向は前記第1の主方向と実質的に同じである、受信するステップと、
表示デバイスを介して前記1つまたは複数の第1の強度信号を表示させるステップと、
前記プロセッサを介して、前記物品のエッジから延在する1つまたは複数のゴーストイメージを示す1つまたは複数の第2の強度信号を受信するステップと、
前記表示デバイスを介して、前記1つまたは複数の第2の強度信号を表示させるステップであって、前記表示された第2の強度信号は前記1つまたは複数のゴーストイメージに少なくとも一部基づいた放射ゴーストからなる、表示させるステップと、
前記1つまたは複数のプロセッサを介して、前記第2の強度信号の少なくとも一部に基づいて放射ゴーストの存在を識別するステップと
を含む、物品を走査するためのコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記X線放射の第1の部分は前記物品を通過し、前記物品を通過する前記X線放射の前記第1の部分は、前記X線透過グリッドも通過する、請求項14に記載の物品を走査するためのコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記1つまたは複数のプロセッサを介して、前記物品の内容を決定するための追加の処理を要求する前記物品を示す通知を生成するステップを更に含む、請求項14に記載の物品を走査するためのコンピュータ実装方法。
【請求項17】
前記第1の複数の平行グリッド部材のそれぞれの前記第1の端部が前記周縁部と交差する前記角度が、30度〜55度の間である、請求項14記載の物品を走査するためのコンピュータ実装方法。
【請求項18】
前記第1の複数の平行グリッド部材のそれぞれの前記第1の端部が前記周縁部と交差する前記角度が、45度である、請求項17に記載の物品を走査するためのコンピュータ実装方法。
【請求項19】
前記第1の複数の平行グリッド部材が、前記第2の複数の平行グリッド部材に対して垂直である、請求項14に記載の物品を走査するためのコンピュータ実装方法。
【請求項20】
前記第1の複数の平行グリッド部材および前記第2の複数の平行グリッド部材は、直径6mmの細長鋼部材からなる、請求項14に記載の物品を走査するためのコンピュータ実装方法。
【請求項21】
前記第1の複数の平行グリッド部材および前記第2の複数の平行グリッド部材は、放射線不透過性である、請求項14に記載の物品を走査するためのコンピュータ実装方法。
【請求項22】
前記X線透過グリッドが第2のグリッド構造を更に備え、
前記第2のグリッド構造は、
少なくとも第1の辺を有する前記第2のグリッド構造を囲む第2の周縁部と、
第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第3の複数の平行グリッド部材と、
第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第4の複数の平行グリッド部材と
を備え、
前記第3の複数の平行グリッド部材は第3の平面と一致し、
前記第4の複数の平行グリッド部材は第4の平面と一致し、
前記第3の平面と前記第4の平面とは平行であり、
前記第3の複数の平行グリッド部材のそれぞれの前記第1の端部および前記第2の端部は、前記第3の複数の平行グリッド部材が前記第2の周縁部の前記第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で前記第2の周縁部と交差し、
前記第4の複数の平行グリッド部材のそれぞれの前記第1の端部および前記第2の端部は、前記第4の複数の平行グリッド部材が前記第2の周縁部の前記第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で前記周縁部と交差し、
前記第3の平面および前記第4の平面は、前記第1の平面および前記第2の平面に対して垂直であり、
前記X線放射の第2の部分は、前記X線放射の前記第2の部分が前記第1のグリッド構造を通過しないように、前記検出器により受信される前に前記物品および前記第2のグリッド構造を通過する、請求項14に記載の物品を走査するためのコンピュータ実装方法。
【請求項23】
第1のグリッド構造を備えるX線透過グリッドであって、
前記第1のグリッド構造は、
少なくとも第1の辺を有する前記グリッド構造を囲む周縁部と、
第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第1の複数の平行グリッド部材と、
第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第2の複数の平行グリッド部材と
を備え、
前記第1の複数の平行グリッド部材は第1の平面と一致し、
前記第2の複数の平行グリッド部材は第2の平面と一致し、
前記第1の平面と前記第2の平面とは平行であり、
前記第1の平面は、前記第2の平面からある距離だけ離間されており、
前記第1の複数の平行グリッド部材のそれぞれの前記第1の端部および前記第2の端部は、前記第1の複数の平行グリッド部材が前記周縁部の前記第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で前記周縁部と交差し、
前記第2の複数の平行グリッド部材のそれぞれの前記第1の端部および前記第2の端部は、前記第2の複数の平行グリッド部材が前記周縁部の前記第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で前記周縁部と交差する、X線透過グリッド。
【請求項24】
前記周縁部がフレームからなる、請求項23に記載のX線透過グリッド。
【請求項25】
前記周縁部が矩形である、請求項23記載のX線透過グリッド。
【請求項26】
前記フレームに連結された1つまたは複数のハンドルを更に備える、請求項24に記載のX線透過グリッド。
【請求項27】
前記第1の複数の平行グリッド部材のそれぞれの前記第1の端部が前記周縁部と交差する前記角度が、30度〜55度の間である、請求項23に記載のX線透過グリッド。
【請求項28】
前記第1の複数の平行グリッド部材が、前記第2の複数の平行グリッド部材に対して垂直である、請求項23に記載のX線透過グリッド。
【請求項29】
第2のグリッド構造を更に備え、
前記第2のグリッド構造は、
少なくとも第1の辺を有する前記第2のグリッド構造を囲む第2の周縁部と、
第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第3の複数の平行グリッド部材と、
第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第4の複数の平行グリッド部材と
を備え、
前記第3の複数の平行グリッド部材は第3の平面と一致し、
前記第4の複数の平行グリッド部材は第4の平面と一致し、
前記第3の平面と前記第4の平面とは平行であり、
前記第3の複数の平行グリッド部材のそれぞれの前記第1の端部および前記第2の端部は、前記第3の複数の平行グリッド部材が前記第2の周縁部の前記第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で前記第2の周縁部と交差し、
前記第4の複数の平行グリッド部材のそれぞれの前記第1の端部および前記第2の端部は、前記第4の複数の平行グリッド部材が前記第2の周縁部の前記第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で前記周縁部と交差し、
前記第3の平面および前記第4の平面は、前記第1の平面および前記第2の平面に対して垂直である、請求項23に記載のX線透過グリッド。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
X線走査デバイスは、医療およびセキュリティ産業の両方において歴史的に使用されてきた。セキュリティ用途では、X線走査デバイスは、検査対象物品を開梱および/または分解し、続いて更なる処理のために当該物品を再び梱包および/または再組立するという面倒な業務の実施を担当者に要求することなく、旅行手荷物、出荷物品等の内容を表示するために使用されてきた。X線ベースのセキュリティシステムは、手荷物、出荷される梱包物、出荷コンテナ等の物品内に存在し得る異なる種類の禁制品を検出するために、空港のセキュリティエンティティ(例えば、アメリカ運輸保安局)および一般的な運送業者(例えば、米国のユナイテッド・パーセル・サービス、フェデラル・エクスプレス等)により、歴史的に使用されてきた。
【0002】
処理では、X線放射が、手荷物、梱包物、コンテナ等の内部の物品を透過し、および/またはこれから散乱する。様々なシステムは、コンベヤベルト上に配置されたメッシュまたはグリッドを組み込んでおり、走査処理中、手荷物、梱包物、コンテナ等はこのコンベヤベルトに沿って進行する。特に高密度で梱包された手荷物、梱包物、コンテナ等については、X線走査デバイスにより照射されるX線放射が、走査される物品の全体を透過し、その中に禁制品が存在しないという所望の確度を提供することが重要である。従来のメッシュまたはグリッド構造は、このような隣接する手荷物、梱包物、コンテナ等をシステム内に含まれるX線走査デバイスの配向方向の反対に配置することにより、この点において役に立つことが分かっている。このようにして、このようなメッシュまたはグリッド構造は、例えばメッシュまたはグリッドが走査において可視である場合に、物品が認可されるかまたはそうでないかについての走査で十分に透過されるように、透過の基線インジケータを提供する。
【0003】
X線走査デバイスは、処理中の物品に関するセキュリティスクリーニング処理を容易にできるが、X線放射およびX線検出器の物理的なプロパティは、様々な状況において、物品走査において可視のオブジェクトまたは構成要素を不明瞭にすることがある。一般には、X線放射は、0.01〜10ナノメートルの波長を有する電磁波からなってよい。このような電磁波は、X線照射器から走査対象の物品を通って伝搬し、X線照射器から走査対象の物品の反対に位置する検出器により収集され、この検出器は、X線照射器から検出器要素へと投射される放射線に沿って透過される放射(即ち電磁波)の強度を測定するように構成された1つまたは複数の検出器要素を備える。様々な実施形態では、1つまたは複数の検出器要素は、一般にデジタル画像処理に利用される固体検出器からなってよい。固体検出器は、例えばシンチレータ(例えばヨウ化セシウムシンチレータ)等の発光変換層からなってよく、このシンチレータにおいて、固体検出器が受信した放射により、シンチレータが光パルスを生成し、この光パルスを、ユーザデバイスへと伝送して表示デバイスを介して表示してよいデジタル信号へと続いて変換してよい。
【0004】
様々な状況において、このような変換層は、放射を維持または捕捉する可能性があり、それにより、後の強度信号において「ゴースト(ghost)」イメージを生成させる。このような捕捉の影響は、例えば不完全な電荷散逸、または後の走査において更なる放射を受信する前に減衰しない低誘導エネルギーレベルにより生じ得る。先行するイメージのこれらの残留信号は、検出器の中に留まり、後に生成されるイメージに重ねられる。このような影響は、連続するイメージ間の時間が低減され、先行して捕捉された電荷の積算が減衰する時間が低減するに従って、より顕著になり得る。また、検出器要素により受信されるより強い電磁信号は、残留電磁信号がイメージ間で減衰するための追加の時間を要求し得る。
【0005】
走査対象の物品がX線走査デバイス内の走査位置へと移動すると、X線走査デバイスは生成されたイメージにゴーストを出現させる虞がある。このようなゴーストは、走査される物品内に存在する放射線不透過性のオブジェクトに似た実線として現れる場合がある。放射線不透過性のバーまたは他の放射線不透過性の細い物体が、物品の進行方向に対して少なくとも実質的に平行に配向されている場合、ゴーストは、放射線不透過性物体の長さを延ばすように現れ得る。このようなゴーストは、生成されたイメージを見ている担当者にX線ビームが放射線不透過性のオブジェクトを完全に透過したと信じさせ、担当者は、物品に対して完全な走査が実行されていないにも拘わらず、走査された物品が禁止品目に対して合格であると誤判定する虞がある。
【0006】
メッシュまたはグリッド構造と走査対象の物品とを関連付ける場合、上述のゴースト発生現象は、電磁波が物品を完全に透過していないにも拘わらず、メッシュまたはグリッド構造の少なくとも一部が、生成されたイメージにおいて可視化されて現れることを意図せずに引き起こし得る。例えば、ゴーストは、生成されたイメージにおいてグリッド要素の少なくとも一部を延ばすように現れる可能性があり、得られるイメージは従って、電磁波が物品を完全に透過していない場合でさえ、物品に亘って重ねられたこれらのゴーストを出現させ得る。よって、メッシュまたはグリッド構造は、走査されている物品が、従来のメッシュまたはグリッドの全ての部分を本当に検出するために実際には完全に(または十分に)透過されていない場合でさえ、得られた走査イメージにおいて「ゴースト(ghosted)」になり得る(出現しうる)。従って、生成されたイメージを見ている担当者は、物品全体を通した完全な走査が達成されたと信じる虞がある。この「ゴースト発生(ghosting)」現象は、本明細書において「ゴースト発生(ghosting)」、「ゴースト発生ライン(ghosting lines)」、「ゴーストライン(ghost lines)」、「ゴーストイメージ(ghost images)」、「ゴーストされたイメージ(ghosted images)」、「ゴースト放射(ghost radiation)」、「ゴースト信号(ghost signals)」、および/または「ゴーストされたライン(ghosted lines)」と呼ばれ、これら全ては、一般におよび相互交換可能にこの現象を説明するものであると理解されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
歴史的には、ゴースト発生の影響を低減するための努力が、改善された検出器要素を作製すること、またはゴースト発生の影響を最小限にするために利用される複雑なアルゴリズムを組み込むことに注がれてきた。しかしながら、このような解決策は、受信された信号における電磁ノイズおよび他の欠陥に少なくとも一部起因するエラーを生じやすい。例えば、グリッドが使用される場合でさえ、このようなグリッドはグリッドラインが進行方向に対して平行になるように配向されると、一定の歪を含み得るが、ゴーストラインが現れ得る。ユーザがこのような歪をおそらくは識別できたとしても、ユーザが特定の歪を見逃すリスクがいたるところに残る。よって、「ゴースト発生」の影響を実質的に最小化し、二次的な物品処理等に頼ることなく全ての走査された物品の十分な透過を保証する、改善されたメッシュまたはグリッド構造に対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の様々な実施形態は、検査対象物品の内容を決定するためのX線検出器システムに関する。X線検出器システムは、(1)X線放射を照射するように構成されたX線照射器と、(2)受信表面を備えた検出器であって、X線放射を受信し、受信表面上の複数の位置のそれぞれにおいて受信されたX線放射の強度を示す1つまたは複数の強度信号を生成するように構成された検出器と、(3)第1のグリッド構造を備えるX線透過グリッドであって、第1のグリッド構造は、第1の主方向に配向されている少なくとも第1の辺を有するX線透過グリッドを囲む周縁部と、第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第1の複数の平行グリッド部材と、第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第2の複数の平行グリッド部材と、を備え、第1の複数の平行グリッド部材は第1の平面と一致し、第2の複数の平行グリッド部材は第2の平面と一致し、第1の平面と第2の平面とは平行であり、第1の複数の平行グリッド部材のそれぞれの第1の端部および第2の端部は、第1の複数の平行グリッド部材が周縁部の第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で周縁部と交差し、第2の複数の平行グリッド部材のそれぞれの第1の端部および第2の端部は、第2の複数の平行グリッド部材が周縁部の第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で周縁部と交差するようなX線透過グリッドと、(4)検査対象物品およびX線透過グリッドを、X線照射器と検出器との間の位置へと第2の主方向に搬送するように構成された搬送機構であって、前記第2の主方向は第1の主方向と実質的に同じである、搬送機構とを備える。
【0009】
本発明の他の実施形態は、検査対象物品を走査するためのコンピュータ実装方法に関する。コンピュータ実装方法は、(1)プロセッサを介して、検出器上で第1の走査時刻において複数の位置のそれぞれにおいて受信されたX線放射の第1の強度を示す1つまたは複数の第1の強度信号を受信するステップであって、検出器は、X線照射器からX線放射を受信し、受信表面上の複数の位置のそれぞれにおいて受信されたX線放射の強度を示す1つまたは複数の強度信号を生成するように構成され、X線放射はX線照射器から照射され、X線放射の少なくとも一部は検出器により受信される前に物品およびX線透過グリッドを通過し、X線透過グリッドは第1のグリッド構造を備え、第1のグリッド構造は、第1の主方向に配向されている少なくとも第1の辺を有するX線透過グリッドを囲む周縁部と、第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第1の複数の平行グリッド部材と、第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第2の複数の平行グリッド部材とを備え、第1の複数の平行グリッド部材は第1の平面と一致し、第2の複数の平行グリッド部材は第2の平面と一致し、第1の平面と第2の平面とは少なくとも実質的に平行であり、第1の複数の平行グリッド部材のそれぞれの第1の端部および第2の端部は、第1の複数の平行グリッド部材が周縁部の第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で周縁部と交差し、第2の複数の平行グリッド部材のそれぞれの第1の端部および第2の端部は、第2の複数の平行グリッド部材が周縁部の第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で周縁部と交差し、検査対象物品およびX線透過グリッドは、第2の主方向に推進され、前記第2の主方向は第1の主方向と実質的に同じである、受信するステップと、(2)表示デバイスを介して、1つまたは複数の第1の強度信号を表示させるステップと、(3)プロセッサを介して、物品のエッジから延在する1つまたは複数のゴーストイメージを示す1つまたは複数の第2の強度信号を受信するステップと、(4)表示デバイスを介して、1つまたは複数の第2の強度信号を表示させるステップであって、表示された第2の強度信号は1つまたは複数のゴーストイメージに少なくとも一部基づいた放射ゴーストからなる、表示させるステップと、(5)1つまたは複数のプロセッサを介して、第2の強度信号の少なくとも一部に基づいて放射ゴーストの存在を識別するステップと、を含む。
【0010】
本発明の代替の実施形態は、第1のグリッド構造を備えるX線透過グリッドに関し、第1のグリッド構造は、(1)少なくとも第1の辺を有するグリッド構造を囲む周縁部と、(2)第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第1の複数の平行グリッド部材と、(3)第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第2の複数の平行グリッド部材とを備え、第1の複数の平行グリッド部材は第1の平面と一致し、第2の複数の平行グリッド部材は第2の平面と一致し、第1の平面と第2の平面とは平行であり、第1の複数の平行グリッド部材のそれぞれの第1の端部および第2の端部は、第1の複数の平行グリッド部材が周縁部の第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で周縁部と交差し、第2の複数の平行グリッド部材のそれぞれの第1の端部および第2の端部は、第2の複数の平行グリッド部材が周縁部の第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で周縁部と交差する。様々な実施形態では、X線透過グリッドは第2のグリッド構造を追加で備えてよく、第2のグリッド構造は、(1)少なくとも第1の辺を有する第2のグリッド構造を囲む第2の周縁部と、(2)第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第3の複数の平行グリッド部材と、(3)第1の端部および第2の端部をそれぞれが有する第4の複数の平行グリッド部材とを備え、第3の複数の平行グリッド部材は第3の平面と一致し、第4の複数の平行グリッド部材は第4の平面と一致し、第3の平面と第4の平面とは平行であり、第3の複数の平行グリッド部材のそれぞれの第1の端部および第2の端部は、第3の複数の平行グリッド部材が第2の周縁部の第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で第2の周縁部と交差し、第4の複数の平行グリッド部材のそれぞれの第1の端部および第2の端部は、第4の複数の平行グリッド部材が第2の周縁部の第1の辺に対して平行でも垂直でもない角度で周縁部と交差し、第3の平面および第4の平面は、第1の平面および第2の平面に対して垂直である。
【0011】
ここで添付の図面を参照するが、図面は必ずしも縮小比で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】種々の実施形態に係るシステムのブロック図である。
図2A】種々の実施形態に係るサーバの概略ブロック図である。
図2B】種々の実施形態に係る例示的な可搬装置の概略ブロック図である。
図3A】種々の実施形態のX線透過グリッドである。
図3B】種々の実施形態のX線透過グリッドである。
図3C】種々の実施形態のX線透過グリッドである。
図4】種々の実施形態に係る別のX線透過グリッドである。
図5A】種々の実施形態のX線走査器および対応する画像表示と共に使用されるX線透過グリッドの概略図である。
図5B】種々の実施形態のX線走査器および対応する画像表示と共に使用されるX線透過グリッドの概略図である。
図6A】種々の実施形態のX線走査器および対応する画像表示と共に使用されるX線透過グリッドの概略図である。
図6B】種々の実施形態のX線走査器および対応する画像表示と共に使用されるX線透過グリッドの概略図である。
図7A】種々の実施形態のX線走査器および対応する画像表示と共に使用されるX線透過グリッドの概略図である。
図7B】種々の実施形態のX線走査器および対応する画像表示と共に使用されるX線透過グリッドの概略図である。
図8A】種々の実施形態のX線走査器および対応する画像表示と共に使用されるX線透過グリッドの概略図である。
図8B】種々の実施形態のX線走査器および対応する画像表示と共に使用されるX線透過グリッドの概略図である。
図9A】種々の実施形態のX線走査器および対応する画像表示と共に使用されるX線透過グリッドの概略図である。
図9B】種々の実施形態のX線走査器および対応する画像表示と共に使用されるX線透過グリッドの概略図である。
図10A】種々の実施形態のX線透過グリッドを用いる方法のブロック図である。
図10B】本発明の種々の実施形態の図2Aにも示されるような可視化モジュール、分析モジュール、および通知モジュールを介して実装され得る、処理フローの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、いくつかのしかし全てではない本発明の実施形態を示す、添付の図面を参照して以下に本発明をより完全に説明する。実際、本発明を多数の異なる形態で実装してよく、本明細書中で述べる実施形態に限定されるものと考えられるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的必要条件を満たすことになるように提供される。類似の番号は通して類似の要素を示す。
【0014】
概観
様々な実施形態は、X線走査デバイスを用いて走査される物品内に存在する放射線不透過性のオブジェクトを識別するためのシステムに関する。システムは、X線照射器および検出器を備えたX線走査デバイス、搬送機構、ならびにX線透過グリッドを備えてよい。X線透過グリッドは、放射線不透過性のグリッド要素が搬送機構の進行方向に対して平行にも垂直にもならないように配向された放射線不透過性のグリッドからなってよい。使用時、走査対象の物品は、物品およびX線透過グリッドがX線照射器と検出器との間に位置する場合、X線照射器が生成する走査対象の物品を通過するX線波が、検出器に到達する前にX線透過グリッドも通過しなければならないように、X線透過グリッドに対して配向される。放射線不透過性のグリッド要素は均等に離間されており、搬送機構の進行方向に対して平行でも垂直でもないので、ゴーストのグリッド要素が生成されたイメージにおいて見えず、これにより走査された物品に含まれている放射線不透過性のオブジェクトが生成されたイメージにおいて容易におよび/または正確に識別される。
【0015】
また、様々な実施形態は、X線走査デバイスを用いて走査される物品内に存在する放射線不透過性のオブジェクトを識別するための方法に関する。検査対象物品は、X線透過グリッドと共に搬送機構に配置され、X線走査デバイスへと推進される。物品およびX線透過グリッドが走査されると、検出器は、物品およびX線透過グリッドを透過する放射の相対強度に対応するX線照射器から照射される放射を受信し、検出器上の様々な位置において受信された放射の相対強度を示す強度信号を生成する。続いて検出器は、受信された放射の相対強度を示す信号を可視信号へと変換し、ネットワークを介して1つまたは複数の演算デバイスへとこれを伝送してよい。特定の実施形態では、X線走査デバイスを、走査される物品の長さ(走査される物品の長さは進行方向に平行である)に沿った異なる位置に対応する、それぞれの走査される物品の複数のスライスを走査するように構成してよい。1つまたは複数の演算デバイスは続いて、物品の個別のスライスを継ぎ合わせることによりX線走査デバイスを監視しているユーザに対して可視信号を表示する。少なくとも一部は放射線不透過性のグリッド要素は均等に離間され、搬送機構の進行方向に対して平行でも垂直でもないので、ゴーストラインは実質的に、特定の実施形態では完全に排除され、これにより事実上ゴーストラインは表示される可視画像において見えなくなる。
【0016】
例示的な装置、方法、システム、コンピュータプログラム製品、および演算エンティティ
本発明の実施形態は、コンピュータプログラム製品として含む様々な方法で実装してよい。コンピュータプログラム製品は、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、プログラムコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイル済みコード、翻訳済みコード、機械コード、実行可能な命令(本明細書中では実行可能な命令、実行用の命令、プログラムコード、および/または本明細書中で相互交換可能に使用される同様の用語としても呼ばれる)等を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含んでよい。このような非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、(揮発性および不揮発性の媒体を含む)全てのコンピュータ可読媒体を含む。
【0017】
一実施形態では、不揮発性コンピュータ可読記憶媒体としては、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、(例えば固体ドライブ(SSD)、固体カード(SSC)、固体モジュール(SSM)である)固体記憶装置(SSS)、エンタープライズフラッシュドライブ、磁気テープ、またはいずれの他の非一時的磁気媒体等を挙げることができる。不揮発性コンピュータ可読記憶媒体としては、パンチカード、紙テープ、光学マークシート(または孔もしくは他の光学的に認識可能な印のパターンを用いるいずれの他の物理的な媒体)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD−ROM)、コンパクトディスク、書き換え可能コンパクトディスク(CD−RW)、デジタル多目的ディスク(DVD)、ブルーレイディスク(BD)、いずれの他の非一時的光学媒体等も挙げることができる。このような不揮発性コンピュータ可読記憶媒体としては、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、(例えばシリアル、NAND、NOR等の)フラッシュメモリ、マルチメディアメモリカード(MMC)、セキュアデジタル(SD)メモリカード、スマートメディアカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)カード、メモリスティック等も挙げることができる。更に、不揮発性コンピュータ可読記憶媒体としては、導電性ブリッジランダムアクセスメモリ(CBRAM)、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)、強誘電体ランダムアクセスメモリ(FeRAM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)、抵抗ランダムアクセスメモリ(RRAM(登録商標))、Silicon−Oxide−Nitride−Oxide−Siliconメモリ(SONOS)、浮遊接合ゲートランダムアクセスメモリ(FJG RAM)、ミリピードメモリ、レーストラックメモリ等も挙げることができる。
【0018】
一実施形態では、揮発性コンピュータ可読記憶媒体としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、高速ページモードダイナミックランダムアクセスメモリ(FPM DRAM)、拡張データ出力ダイナミックランダムアクセスメモリ(EDO DRAM)、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダブルデータレート同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDR SDRAM)、ダブルデータレート2型同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDR2 SDRAM)、ダブルデータレート3型同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDR3 SDRAM)、ランバスダイナミックランダムアクセスメモリ(RDRAM)、ツイントランジスタRAM(TTRAM)、サイリスタRAM(T−RAM)、ゼロキャパシタ(Z−RAM)、ランバスインラインメモリモジュール(RIMM)、デュアルインラインメモリモジュール(DIMM)、シングルインラインメモリモジュール(SIMM)、ビデオランダムアクセスメモリVRAM、(様々なレベルを含む)キャッシュメモリ、フラッシュメモリ、レジスタメモリ等を挙げることができる。実施形態がコンピュータ可読記憶媒体を使用するように説明される場合、他の種類のコンピュータ可読記憶媒体を上述のコンピュータ可読記憶媒体と置換するか、またはこれに加えて使用してよいことを理解されたい。
【0019】
理解されるように、本発明の様々な実施形態は、方法、装置、システム、演算デバイス、演算エンティティ等として実装してもよい。このように、本発明の実施形態は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶された命令を実行して特定のステップまたは処理を実行する装置、システム、演算デバイス、演算エンティティ等の形態をとってよい。しかしながら、本発明の実施形態は、特定のステップまたは処理を実行する完全にハードウェアの実施形態の形態をとってもよい。
【0020】
装置、方法、システムおよびコンピュータプログラム製品のブロック図およびフローチャートの図を参照しながら、以下に様々な実施形態を説明する。ブロック図およびフローチャートの図のうちのいずれかの各ブロックを、それぞれ、例えば演算システム内のプロセッサ上で実行する論理ステップまたは処理としてコンピュータプログラム命令により一部実装してよいことを理解されたい。これらのコンピュータプログラム命令を、特定用途コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置等のコンピュータ上にロードして、具体的に構成された装置を提供してよく、これによりコンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置上で実行する命令は、フローチャートの1つまたは複数のブロックに規定される機能を実装する。
【0021】
これらのコンピュータプログラム命令を、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置を特定の様式で機能させることができるコンピュータ可読メモリに記憶してもよく、これによりコンピュータ可読メモリに記憶された命令は、フローチャートの1つまたは複数のブロックに規定される機能性を実装するためのコンピュータ可読命令を含む製造物品を提供する。一連の処理ステップがコンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置上で実行されるように、コンピュータプログラム命令をコンピュータまたは他のプログラマブル装置上にロードし、コンピュータまたは他のプログラマブル装置上で実行する命令が、フローチャートの1つまたは複数のブロックに規定される機能性を実装するための処理を提供するようにコンピュータ実装処理を提供してよい。
【0022】
従って、ブロック図およびフローチャートの図のブロックは、規定の機能を実行するための様々な組み合わせ、規定の機能を実行するための処理と規定の機能を実行するためのプログラム命令との組み合わせをサポートする。ブロック図およびフローチャートの図の各ブロック、ならびにブロック図およびフローチャートの図のブロックの組み合わせを、規定の機能または処理を実行する特定用途向けハードウェアベースのコンピュータシステム、または特定用途向けハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせにより実装できることも理解されたい。
【0023】
システム20の例示的なアーキテクチャ
図1は、本発明の様々な実施形態と共に使用することができるX線透過システム20のブロック図である。少なくとも図示した実施形態では、システム20は1つまたは複数の中央演算デバイス110、1つまたは複数の分散型演算デバイス120、1つまたは複数の分散型ハンドヘルドもしくはモバイルデバイス300、ならびに少なくとも1つの搬送機構140およびX線透過グリッド150を備えてよく、全ては1つまたは複数のネットワーク130を介して中央サーバ200と通信するように構成されている。図1は様々なシステムエンティティを別個のスタンドアロンのエンティティとして示しているが、様々な実施形態はこの特定のアーキテクチャに限定されない。
【0024】
本発明の様々な実施形態によると、1つまたは複数のネットワーク130は、多数の第2世代(2G)、2.5G、第3世代(3G)、および/または第4世代(4G)のモバイル通信プロトコル等のうちのいずれかによる通信をサポート可能であってよい。より詳細には、1つまたは複数のネットワーク130は、2G無線通信プロトコルIS−136(TDMA)、GSM(登録商標)、およびIS−95(CDMA)による通信をサポート可能であってよい。また例えば、1つまたは複数のネットワーク130は、2.5G無線通信プロトコルGPRS、強化データGSM(登録商標)環境(EDGE:Enhanced Data GSM Environment)等による通信をサポート可能であってよい。加えて例えば、1つまたは複数のネットワーク130は、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))無線アクセス技術を採用したユニバーサル携帯電話システム(UMTS)ネットワーク等の3G無線通信プロトコルによる通信をサポート可能であってよい。いくつかの狭帯域AMPS(NAMPS)、ならびにTACSのネットワークも、デュアルモードまたは更に多元モードの移動局(例えば、デジタル/アナログまたはTDMA/CDMA/アナログ電話)のように、本発明の実施形態から利益を得てよい。また別の例としては、システム5の構成要素のそれぞれを、例えば無線周波数(RF)、Bluetooth(登録商標)、赤外線(IrDA)、または、有線もしくは無線のパーソナルエリアネットワーク(PAN:Personal Area Network)、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN:Metropolitan Area Network)、ワイドエリアネットワーク(WAN:Wide Area Network)等を含む多数の異なる有線もしくは無線のネットワーク技術のいずれかの技術により、互いに通信するように構成してよい。
【0025】
図1においてデバイス110〜300は、同一のネットワーク130を通じて互いに通信しているように描かれているが、これらのデバイスは同様に、複数の、別個のネットワークを通じて通信してよい。
【0026】
一実施形態によると、サーバ200からデータを受信するのに加え、分散型デバイス110、120、140および/または300を、これら単独でデータを収集および送信するように更に構成してよい。様々な実施形態では、デバイス110、120、140および/または300は、キーパッド、タッチパッド、バーコードスキャナ、無線周波数識別(RFID)リーダ、(例えばモデム等の)インターフェースカードもしくは受信機等の1つまたは複数の入力ユニットもしくはデバイスを介してデータを受信可能であってよい。デバイス110、120、140、および/または300は更に、1つまたは複数の揮発性もしくは不揮発性のメモリモジュールにデータを記憶し、例えばデバイスを操作しているユーザに対してデータを表示することにより、または例えば1つまたは複数のネットワーク130を通じてデータを送信することにより、1つまたは複数の出力ユニットまたはデバイスを介してこのデータを出力可能であってよい。
【0027】
例示的なサーバ200
様々な実施形態では、サーバ200は、本明細書中でより詳細に示されるおよび説明されるようなものを含む、本発明の様々な実施形態による1つまたは複数の機能を実行するための様々なシステムを含む。しかしながら、サーバ200は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、1つまたは複数の同様の機能を実行するための種々の代替のデバイスを含み得ることを理解されたい。例えば特定の実施形態では、サーバ200の少なくとも一部は、特定の用途にとって望ましくなり得るように、分散型デバイス110、120、140および/またはハンドヘルドもしくはモバイルデバイス300上に位置してよい。以下に更に詳細に説明するように、少なくとも1つの実施形態では、ハンドヘルドまたはモバイルデバイス300は、サーバ200と通信するためのユーザインターフェースを提供するように構成してよい、1つまたは複数のモバイルアプリケーション330を含んでよく、全ては以下に更に詳細に説明されるようなものである。
【0028】
図2Aは、様々な実施形態によるサーバ200の概略図である。サーバ200は、システムインターフェースまたはバス235を介してサーバ内の他の要素と通信するプロセッサ230を含む。また、データを受信および表示するための表示/入力デバイス250もサーバ200内に含まれる。この表示/入力デバイス250は、モニタと併せて使用される例えばキーボードまたはポインティングデバイスであってよい。サーバ200は、メモリ220を更に含み、このメモリ220は、読み取り専用メモリ(ROM)226およびランダムアクセスメモリ(RAM)222の両方を含むのが好ましい。サーバのROM226は、サーバ200内の要素間で情報を転送するのに役立つ基本ルーチンを含む、基本入力/出力システム224(BIOS)を記憶するのに使用される。様々なROMおよびRAM構成は、本明細書中に前述した。
【0029】
加えて、サーバ200は、ハードディスク、消去可能な磁気ディスクもしくはCD−ROMディスク等の様々なコンピュータ可読媒体上に情報を記憶するための、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、CDロムドライブもしくは光学ディスクドライブ等の少なくとも1つの記憶デバイスまたはプログラム記憶装置210を含む。これらの記憶デバイス210のそれぞれは、適切なインターフェースによりシステムバス235に接続されていることは、当業者には理解されるだろう。記憶デバイス210およびこれらの関連するコンピュータ可読媒体は、パーソナルコンピュータ用の不揮発性記憶装置を提供する。上述のコンピュータ可読媒体を、当該分野で知られるいずれの他の種類のコンピュータ可読媒体により置き換えることができることは、当業者には理解されるだろう。このような媒体としては例えば、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、およびベルヌーイカートリッジが挙げられる。
【0030】
図示していないが、一実施形態によると、サーバ200の記憶デバイス210および/またはメモリは、データ記憶デバイスの機能を更に提供してよく、このデータ記憶デバイスは、サーバ200がアクセスできる過去のおよび/または現在の送達データおよび送達条件を記憶してよい。この関連で、記憶デバイス210は1つまたは複数のデータベースを備えてよい。用語「データベース(database)」は、リレーショナルデータベース、階層データベースまたはネットワークデータベース等を介してコンピュータシステムに記憶されたレコードまたはデータの構造化された収集物を指すが、これらは限定するものとして考えられるべきではない。
【0031】
例えばプロセッサ230が実行可能な1つまたは複数のコンピュータ可読プログラムコードの一部からなる、多数のプログラムモジュール400、425、450を、様々な記憶デバイス210により、RAM222内に記憶してよい。このようなプログラムモジュールとしては、オペレーティングシステム280を挙げることもできる。これらのおよび他の実施形態では、様々なモジュール400、425、450は、プロセッサ230およびオペレーティングシステム280の助けを借りて、サーバ200の処理の特定の態様を制御する。例えば、可視化モジュール400を、X線走査デバイス140から受信された信号を表示/入力デバイス250を介して表示されることになる可視信号へと変換するように構成してよく、分析モジュール425を、可視ゴースト現象を識別するように構成してよく、通知モジュール450を、画像表示におけるゴースト現象の存在を担当者に通知するように構成してよい。また他の実施形態では、本発明の範囲および本質から逸脱することなく、1つまたは複数の追加のおよび/もしくは代替のモジュールを設けてよいことを理解されたい。
【0032】
様々な実施形態では、プログラムモジュール400、425、450は、サーバ200により実行され、1つまたは複数のグラフィカルユーザインターフェース、報告、命令および/または通知/警告を生成するように構成され、これらは全てシステム20の様々なユーザにアクセス可能および/または送信可能である。特定の実施形態では、ユーザインターフェース、報告、命令および/または通知/警告は、1つまたは複数のネットワーク130を介してアクセス可能であってよく、このネットワーク130としては、前述したようにインターネットまたは他の見込みのある通信ネットワークを挙げることができる。
【0033】
様々な実施形態では、1つまたは複数のモジュール400、425、450を、代替的におよび/または追加的に(例えば複製で)、1つまたは複数のデバイス110、120、140および/もしくは300上に局所的に記憶してよく、上記デバイスの1つまたは複数のプロセッサにより実行してよいことも理解されたい。様々な実施形態によると、モジュール400、425、450は、1つまたは複数のデータベースへとデータを送出する、これからデータを受信する、これに含まれるデータを利用してよく、このデータベースは、1つまたは複数の別個の、リンクされたおよび/もしくはネットワーク接続されたデータベースからなってよい。
【0034】
1つまたは複数のネットワーク130の他の要素とインターフェース接続し、通信するネットワークインターフェース260もサーバ200内に位置する。1つまたは複数のサーバ200の構成要素を、他のサーバ構成要素から地理的に遠隔に配置してよいことは、当業者には理解されるだろう。更に、1つまたは複数のサーバ200の構成要素を組み合わせてよく、および/または本明細書に記載の機能を実行する追加の構成要素をサーバ内に含めてもよい。
【0035】
上記に単一のプロセッサ230について述べたが、当業者には分かるように、サーバ200は、本明細書に記載の機能性を実行するために互いに関連して動作する複数のプロセッサを備えてよい。メモリ220に加えて、プロセッサ230を、少なくとも1つのインターフェースもしくはデータ、コンテンツ等を表示、送信および/または受信するための他の手段に接続することもできる。この関連で、インターフェースは、以下により詳細に説明されるように、少なくとも1つの通信インターフェースもしくはデータ、コンテンツ等を送信および/または受信するための他の手段、ならびに、ディスプレイおよび/またはユーザ入力インターフェースを含むことができる少なくとも1つのユーザインターフェースを含むことができる。次にユーザ入力インターフェースは、キーパッド、タッチディスプレイ、操作レバーまたは他の入力デバイス等の、エンティティがユーザからのデータを受信できるようにする多数のデバイスのうちのいずれかからなってよい。
【0036】
また更に、「サーバ(server)」200を参照すると、当業者には理解されるように、本発明の実施形態は、元来定義されたサーバアーキテクチャに限定されない。また更に、本発明の実施形態のシステムは、単一のサーバ、または同様のネットワークエンティティもしくはメインフレームコンピュータシステムに限定されない。本発明の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の機能性を提供するために互いに関連して動作する1つまたは複数のネットワークエンティティを含む他の同様のアーキテクチャを、同様に使用してよい。例えば、本発明の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、サーバ200と共に本明細書に記載の機能性を提供するために互いに協働する2つ以上のパーソナルコンピュータ(PC)のメッシュネットワーク、同様の電子デバイス、またはハンドヘルドの携帯デバイスを、同様に使用してよい。
【0037】
様々な実施形態によると、多数の個別の処理ステップは、本明細書に記載のコンピュータシステムおよび/またはサーバの利用を実施してもしなくてもよく、コンピュータ実装の程度は、望ましいものであり得るようにおよび/または1つもしくは複数の特定のアプリケーションにとって有益であり得るように、可変であってよい。
【0038】
分散型ハンドヘルド(またはモバイル)デバイス300
図2Bは、本発明の様々な実施形態と共に使用することができるモバイルデバイス300を表す概略図である。モバイルデバイス300は、様々なパーティにより動作することができる。図2Bに示すように、モバイルデバイス300は、アンテナ312、(例えば無線)送信機304、(例えば無線)受信機306、ならびに送信機304へと信号を提供し、受信機306から信号を受信する処理要素308を含んでよい。
【0039】
送信機304へと提供され、受信機306から受信される信号は、サーバ200、分散型デバイス110、120、140等の様々なエンティティと通信するために、適用可能な無線システムのエアインターフェース標準に従ったシグナリングデータをそれぞれ含んでよい。この関連で、モバイルデバイス300は、1つまたは複数のエアインターフェース標準、通信プロトコル、変調型およびアクセス型で動作可能であってよい。より詳細には、モバイルデバイス300は、多数の無線通信標準およびプロトコルのうちのいずれかに従って動作してよい。特定の実施形態では、モバイルデバイス300は、GPRS、UMTS、CDMA2000、1xRTT、WCDMA(登録商標)、TD−SCDMA、LTE、E−UTRAN、EVDO、HSPA、HSDPA、Wi−Fi、WiMAX、UWB、IRプロトコル、Bluetooth(登録商標)プロトコル、USBプロトコル、および/またはいずれの他の無線プロトコル等のマルチ無線通信標準ならびにプロトコルに従って動作してよい。
【0040】
これらの通信標準およびプロトコルを介して、モバイルデバイス300は、様々な実施形態によると、非構造付加サービスデータ(USSD)、ショートメッセージサービス(SMS)、マルチメディアメッセージングサービス(MMS)、デュアルトーン多周波数シグナリング(DTMF)、および/または加入者識別モジュールダイヤラ(SIMダイヤラ)等のコンセプトを用いた様々な他のエンティティと通信してよい。モバイルデバイス300は、例えば変更、アドオンおよび更新を、そのファームウェア、(例えば実行可能な命令、アプリケーション、プログラムモジュールを含む)ソフトウェアおよびオペレーティングシステムにダウンロードすることもできる。
【0041】
一実施形態によると、モバイルデバイス300は、位置決定デバイスおよび/または機能性を含んでよい。例えば、モバイルデバイス300は、例えば緯度、経度、高度、ジオコード、進路および/または速度データを取得するように適合されたGPSモジュールを含んでよい。一実施形態では、GPSモジュールは、ビューで多数の衛星およびこれらの衛星の相対位置を識別することにより、データ(時にはエフェメリスデータとして知られる)を取得する。
【0042】
モバイルデバイス300は、(処理要素308に連結されたディスプレイ316を含んでよい)ユーザインターフェースおよび/または(処理要素308に連結された)ユーザ入力インターフェースも備えてもよい。ユーザ入力インターフェースは、モバイルデバイス300がデータを受信できるようにする、(ハードまたはソフトの)キーパッド318、タッチディスプレイ、音声もしくは動作インターフェース、または他の入力デバイス等の多数のデバイスのうちのいずれかを備えることができる。キーパッド318を含む実施形態では、キーパッドは、従来の数(0〜9)、関連キー(#、*)およびモバイルデバイス300を操作するために使用される他のキーを含む(または表示される)ことができ、英字キーのフルセットまたは英数字キーのフルセットを提供するために活性化してよいキーのセットを含んでよい。入力を提供することに加えて、スクリーンセーバーおよび/もしくはスリープモード等の特定の機能を例えば活性化するまたは非活性化するために、ユーザ入力インターフェースを使用できる。
【0043】
モバイルデバイス300は、揮発性の記憶装置もしくはメモリ322および/または不揮発性の記憶装置もしくはメモリ324も含むことができ、これらは埋め込むことができおよび/または取り外し可能であってよい。例えば不揮発性メモリは、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM、RRAM(登録商標)、SONOS、レーストラックメモリ等であってよい。揮発性メモリは、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリ等であってよい。揮発性および不揮発性の記憶装置またはメモリは、データベース、データベースのインスタンス、データベースマッピングシステム、データ、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイル済みコード、翻訳済みコード、マシンコード、実行可能な命令等を記憶し、モバイルデバイス300の機能を実装できる。
【0044】
モバイルデバイス300は、1つまたは複数のカメラ326およびモバイルアプリケーション330も含んでよい。カメラ326を、様々な実施形態により追加のおよび/または代替のデータ収集特性として構成してよく、これによりモバイルデバイス300はカメラを介して1つもしくは複数の物品を読み込み、記憶し、および/または送信してよい。モバイルアプリケーション330は、ある特性を更に提供してよく、この特性を介してモバイルデバイス300を用いて様々なタスクを実行してよい。モバイルデバイス300およびシステム20全体の1つまたは複数のユーザにとって望ましいものであり得るように、様々な構成を提供してよい。
【0045】
X線透過グリッド(XPG)
図3A〜3Cは、様々な実施形態による例示的なXPG150である。図中に示すように、XPG150は、フレーム151、第1の複数のグリッド部材152、および第2の複数のグリッド部材153を備えてよい。様々な実施形態では、XPG150の移送を容易にするために、1つまたは複数のハンドル154をフレーム151に連結してよい。様々な実施形態では、XPG150は、4つ以上のハンドル154を備えてよい。このようなハンドル154は、少なくとも実質的にXPG150の各辺の中点の付近に位置してよい。あるいは、このようなハンドルは、少なくとも実質的にXPG150の各角の付近に位置してよい。望ましいものであり得るいずれの種々の構成およびハンドル位置が可能である。
【0046】
図3Aは、様々な実施形態によるXPG150の上面図である。図面に示すように、フレーム151は、実質的にいずれの形状を利用してよいが、少なくとも実質的に矩形であってよく、少なくとも実質的に正方形の形状であってよい。非限定的な例として、XPG150の辺は平行または垂直である必要はなく、平行四辺形の形状を有してよい。様々な実施形態では、XPG150が、走査対象の物品10と共にX線走査デバイス140を通って進行する搬送機構141上に、パレット上に、トレイラー上に、または他の担体上に適合するように、XPG150をサイズ決めしてよい。非限定的な例としては、XPG150の辺は、少なくとも実質的に長さ800mm、または少なくとも実質的に長さ516mmであってよい。
【0047】
様々な実施形態では、第1の複数のグリッド部材152および第2の複数のグリッド部材153はそれぞれ、実質的に均等な間隔(例えば1インチ)だけ離間された複数の少なくとも実質的に平行なグリッド部材からなってよい。あるいは、第1の複数のグリッド部材152は、異なる間隔だけ離間された複数の少なくとも実質的に平行なグリッド部材からなってよい。同様に、第2の複数のグリッド部材153は、異なる間隔だけ離間された複数の少なくとも実質的に平行なグリッド部材からなってよい。また、第1の複数のグリッド部材152は、得られるグリッド部材間の間隔が異なる辺の長さを有するように、第2の複数のグリッド部材153の離間間隔とは異なる間隔だけ離間されていてよい。非限定的な例として、グリッド部材152、153の間の間隔は、矩形の形状であってよく、複数の辺の長さを有してよい。
【0048】
第1の複数のグリッド部材152は、第2の複数のグリッド部材153が属する第2の平面に対して平行であり、これから離間されている第1の平面に属してよい。あるいは、第1の平面および第2の平面は一致していてよく、これにより第1の複数のグリッド部材152と第2の複数のグリッド部材153とが単一の平面に属することになる。
【0049】
様々な実施形態では、グリッド部材152、153は、いずれの種々の断面形状(例えば、正方形、矩形、三角形、円形等)を利用してよいが、(本明細書に記載のように)円形の断面を有する細長ロッドであってよい。1つまたは複数の留め具を用いて、第1の複数のグリッド部材152および第2の複数のグリッド部材153を、XPG150のフレーム151に連結してよい。非限定的な例として、このような留め具は、溶接、超音波溶接、接着剤、ねじ、ボルト等からなってよい。同様に、上述したような1つまたは複数の留め具を用いて、第1の複数のグリッド部材152のうちの1つまたは複数を、第2の複数のグリッド部材153のうちの1つまたは複数と連結してよい。様々な実施形態では、第1の複数のグリッド部材152のうちの1つが第2の複数のグリッド部材153のうちの1つと接触しているXPG150内の各位置として画定される1つまたは複数の交点において、第1の複数のグリッド部材152のうちの1つまたは複数を、第2の複数のグリッド部材153のうちの1つまたは複数と連結(例えば溶接)してよい。非限定的な例として、第1の複数のグリッド部材152は、各交点において第2の複数のグリッド部材153に連結(例えば溶接)されている。
【0050】
図3Aに示すように、第1の複数のグリッド部材152は、角度γで第2の複数のグリッド部材153と交差する。様々な実施形態では、角度γは、少なくとも実質的に90度が好ましいが、75度〜105度の間である。様々な実施形態では、第1の複数のグリッド部材152および第2の複数のグリッド部材153は、少なくとも実質的に均等な間隔を有してよく、これによりグリッドまたはメッシュ構造内の得られる間隙は、少なくとも実質的に正方形(例えば1インチの正方形)になる。また、第1の複数のグリッド部材152は、フレーム151と角度αで、第2の複数のグリッド部材153は角度βでそれぞれ交差する。様々な実施形態では、角度αおよび角度βは、少なくとも実質的に45度が好ましいが、30度〜55度の間である。角度γが90度である様々な実施形態では、角度αおよび角度βは、均等であってよい。図3Aに示すように、XPG150は、長さlおよび幅wを有してよい。様々な実施形態では、長さlおよび幅wは、XPG150は正方形の形状となるように、少なくとも実質的に均等であってよい。非限定的な例として、長さlおよび幅wは、800mmまたは516mmであってよい。しかしながら、長さlおよび幅wは、均等である必要はない。
【0051】
図3Bは、様々な実施形態によるXPG150の側面図である。図3Bに示すように、フレーム151は、厚さtframeが、第1の複数のグリッド部材152および第2の複数のグリッド部材153を合わせた直径、幅、厚さ、高さまたは本明細書で使用される他の表現と少なくとも同じ大きさになるようにサイズ決めされた厚さtframeを有してよい。様々な実施形態では、第1の複数のグリッド部材152および第2の複数のグリッド部材153は、第1の複数のグリッド部材152が第2の複数のグリッド部材153に実質的に隣接できるように、ならびにXPG150が水平に配置された場合に第1の複数のグリッド部材が第2の複数のグリッド部材の上になるように、別個の平行な平面に存在してよい。あるいは、第1の複数のグリッド部材152および第2の複数のグリッド部材153は、第2の複数のグリッド部材のそれぞれの区分が第1の複数のグリッド部材のそれぞれの間に属するように、または逆もまた同様になるように、同一平面に存在してよい。非限定的な例として、第2の複数のグリッド部材153は、第2の複数のグリッド部材のそれぞれの区分が第1の複数のグリッド部材152の連続するグリッド部材間に属するように、不連続な要素であってよい。第1の複数のグリッド部材152および第2の複数のグリッド部材153が異なる平面に属する場合、複数のグリッド部材152、153のそれぞれは、連続する要素であってよい。
【0052】
図3Cは、第1の複数のグリッド部材152および第2の複数のグリッド部材153のような、グリッド部材の例示的な断面図である。図面に示すように、グリッド部材152、153は、いずれの種々の断面形状(例えば、正方形、矩形、三角形、円形等)を利用してよいが、少なくとも実質的に円形の断面を有してよい。
【0053】
また、第1の複数のグリッド部材152および第2の複数のグリッド部材153は、放射がグリッド部材を通過しないように、放射線不透過性であってよい。非限定的な例として、グリッド部材152、153は、X線放射がグリッド部材を通過することを回避するように構成された直径6mmの中実の鋼棒からなってよい。あるいは、いずれの種々の放射線不透過性の材料(例えば鉛)および構成(例えば中空の棒)を利用してよい。
【0054】
図4は、様々な実施形態によるXPGアセンブリ550の図である。図4に示すように、XPGアセンブリ550は、第1のグリッド部分551、第2のグリッド部分552、および1つまたは複数の支持部553からなってよい。様々な実施形態では、第1のグリッド部分551および第2のグリッド部分552は、垂直配置であってよく、この垂直配置を維持するように支持部553を構成してよい。様々な実施形態では、上述したような1つまたは複数の留め具を用いて、支持部553の第1の端部を第1のグリッド部分551に連結してよく、上述したような1つまたは複数の留め具を用いて、支持部の第2の端部を第2のグリッド部分552に連結してよい。非限定的な例として、1つまたは複数の留め具は、溶接、超音波溶接、接着剤、ねじ、ボルト等からなってよい。また、図4に示すように、XPGアセンブリ550を、支持構造554または他の移送担体に連結してよい。非限定的な例として、このような移送担体は、木製パレット、プラスチック製パレット、トレイラー、コンテナ、クレート、箱、ケージ、手荷物、ケース等からなって。様々な実施形態では、支持構造554を、別個のパレットを用いずにフォークトラックを介してXPGアセンブリ550の移動を容易にするように構成してよい。
【0055】
前述のように、本明細書に記載の様々な実施形態は、走査される物品10の全体の内容が透過されることを保証するようにX線走査デバイス140に対して配向してよい唯一のXPG150を提供する。ゴースト発生現象を実質的に回避するまたは最小化するように配向された放射線不透過性のグリッド要素を備えるのに加えて、グリッド要素は、測定の単位を示す基準を提供してよい。例えば、グリッド要素は、その間に1インチの正方形の間隔を形成するように離間されていてよく、走査されている物品10の長さの基準として利用してよい。
【0056】
メッシュまたはグリッド構造において使用される材料の密度は更に、走査されている物品10を透過するX線放射を吸収するのに十分に濃く(即ち、放射線不透過性であり)、これにより、物品が取り付けられたX線放射145により完全に透過された場合のみ、メッシュまたはグリッド構造はいずれの得られた走査済みイメージに正確に、信頼性高く現れる。様々な実施形態では、いずれの放射線不透過性の材料を利用してよいが、メッシュまたはグリッド構造において使用される材料は軟鋼(普通炭素鋼)である。メッシュまたはグリッド構造において使用される軟鋼は、約7.85g/cmの密度を有してよく、約0.05重量%〜0.3重量%の炭素を含んでよい。シャドウイングまたは「ゴースト発生」の問題は、旅客機用の高密度な雑誌および新聞紙のスクリーニングの非限定的な例を参照することで理解されるだろう。スクリーニング会社は、雑誌および新聞を透けてみることができないことを適切な権限に証明できなかった。実際、このような高密度な物品を含む、梱包物、コンテナ等に隣接して配置された部分的なグリッドまたはメッシュ構造のみを用いて検査すると、X線撮像結果は、完全なグリッドまたはメッシュ構造の存在を示した。換言すると、前述のように、X線撮像結果は、存在しないグリッドの残部のシャドウイングまたは「ゴースト発生」であり、よって、レンダリング走査および/または透過は不明瞭かつ不十分なものとなる。このようなゴーストイメージは、進行方向に対して少なくとも実質的に平行に整列された1つまたは複数のグリッド要素のエッジから延在し得、生成されたイメージにおいて高密度な物品に亘って重なるように現れ得る。
【0057】
実践的な観点からは、シャドウイングまたは「ゴースト発生」は、少なくとも一部はこのようなメッシュまたはグリッド構造150において形成されるグリッド要素の相対的な配向のせいで存在するものと理解されたい。例えば、このようなグリッド要素が物品10の進行方向に対して実質的に平行に整列された場合、ゴーストイメージは、メッシュまたはグリッド構造の延長部を含むように現れ、これにより走査された物品内の放射線不透過性のオブジェクトは不明瞭となり得る。解決策は、グリッドまたはメッシュ構造内のグリッド要素を、梱包物の進行方向に対して0または90度以外の角度に配向することである。角度45度に対してプラス/マイナス15度の範囲の角度も有益であり得るが、最適な角度は少なくとも実質的に45度である。また他の角度の配向は、特定の用途にとって正確な結果を提供し得る。前述したように、進行方向に対するこのような角度は、グリッド部材とフレーム151との間の角度αおよびβが少なくとも実質的に45度であるように配向された第1の複数のグリッド部材152および第2の複数のグリッド部材153を有するXPGを利用して達成してよい。このようなXPGを、フレームの第1の辺が進行方向に対して少なくとも実質的に平行になるように配置してよい。
【0058】
ゴーストイメージの影響は、第1の複数のグリッド部材152および第2の複数のグリッド部材153が進行方向に対して平行にも垂直にならないように(例えば、進行方向に対して実質的に45度に)XPGを配向した場合、緩和されるかまたは実質的に回避され得、これによりグリッド部材152、153のエッジは進行方向に対して実質的に平行にならない。非限定的な例として、第1の複数のグリッド部材152および第2の複数のグリッド部材153が進行方向に対して平行にならないように(例えば、進行方向に対して実質的に45度に)XPGを配向した場合、グリッドまたはメッシュ構造のゴーストイメージは、実質的に、特定の実施形態では完全に排除され、これにより事実上ゴーストイメージは生成されたイメージ内に見えなくなる。また、様々な状況では、グリッド部材152、153が進行方向に対して平行にも垂直にもならないようにこれらを配向することにより、ゴースト発生は最小化されるかまたは実質的に回避され得る。このような配向により、グリッド要素152、153のエッジが進行方向に対して少なくとも実質的に平行にならないことが保証され、従って、得られるイメージは、1つまたは複数のグリッド要素の延長部に似たゴーストイメージを含まない。グリッド部材152、153が進行方向に対して平行にも垂直にもならないようにこれらを配向することにより、物品およびXPGの走査位置への移動により引き起こされ得るいずれの潜在的なゴーストイメージは最小化されるかまたは実質的に回避され得る。
【0059】
X線走査デバイスに対するXPGの配向
図5Aおよび5B〜図9Aおよび9Bは、本発明の様々な実施形態によるXPGを用いた例示的な方法の概略図である。
【0060】
図5Aに示すように、本発明の様々な実施形態による搬送機構141の上部に位置するX線照射器142を利用したX線走査デバイス140と共に、XPG150を利用してよい。図5に示すように、X線放射(電磁波)145は、X線照射器142から照射され、検出器143により受信されてよい。検出器143は、単一の構成要素として示したが、複数の検出器からなる検出器アレイからなってよく、複数の検出器のそれぞれは、X線放射を受信し、受信した放射を受信した放射の相対強度に対応した可視信号へと変換するために構成された変換層を備える。よって、物品が搬送機構141により推進される間に、1つまたは複数の物品10を走査するように、X線走査デバイス140を構成してよい。コンベヤベルトとして示したが、搬送機構は、例えばスライド、シュート、ボトルコンベヤ、開放型または封鎖型トラックコンベヤ、アイビームコンベヤ、滑り止め付コンベヤ等の複数の搬送機構のうちのいずれかからなってよい。
【0061】
図5Bは、走査されているXPG150上に配置された物品10の例示的な画像表示600である。図示したように、走査されている物品10に直接的に隣接する(例えば上または下の)位置のグリッドまたはメッシュ構造の少なくとも一部は、まだ画像表示600において見える。しかしながら、物品10内に特に高密度なオブジェクトが含まれていると、高密度なオブジェクトに隣接する位置のグリッドまたはメッシュ構造の一部は、可視ディスプレイ600において見えなくなる。
【0062】
図5Aを再び参照すると、XPG150を利用するために、フレームの少なくとも一辺が搬送機構141の進行方向に対して平行になるようにXPGを配向する。従って、第1の複数のグリッド部材152および第2の複数のグリッド部材153を、進行方向に対して90度または0度以外の角度(例えば少なくとも実質的に45度)で配向する。走査対象の物品10は、放射145が、検出器143により受信される前に物品およびXPG150の両方を通過するように配置される。非限定的な例として、物品10をXPG150の上に配置してよい。
【0063】
図6Aおよび7Aは、代替の構成を有するX線走査デバイス140により走査されている物品10の概略図である。具体的には、図6Aおよび7Aに示されるX線照射器142は、X線走査デバイス140の第1の辺に位置し、物品10の進行方向に対して垂直な方向にX線放射145を照射する。図6Aに示すように、第1のグリッド部分551および第2のグリッド部分552のうちの少なくとも1つが可視ディスプレイ600において見えるように、XPGアセンブリ550を利用してよい。様々な実施形態では、第1のグリッド部分551および第2のグリッド部分552のそれぞれは、XPG150と実質的に同様の構成を有してよい。
【0064】
図6Aに示す配向を有する走査される物品10に対応する例示的な画像表示600を示す、図6Aおよび対応する図6Bをここで参照すると、走査される物品の(放射ライン145aと放射ライン145bとの間に位置する)少なくとも一部は、XPG550の対応する部分なしで走査される。放射ライン145bと145cとの間に位置する物品10の一部(図6Bでは部分600bとして示される)のみが、基準として使用可能なXPGアセンブリ550の対応する部分で走査される。従って、XPG550は、物品が、放射ライン145aと放射ライン145bとの間に位置する物品の一部(図6Bでは部分600aとして示される)に亘って物品10の完全な深さまで全て走査されたかどうかを決定するための基準を提供しない。よって、物品10のこの一部内に位置する高密度のオブジェクトは、X線走査デバイス140を操作する担当者により識別されないことがある。
【0065】
図7Aに示される配向を有する走査される物品10に対応する例示的な画像表示600を示す、図7Aおよび対応する図7Bをここで参照すると、物品の全体が基準として使用可能なXPGアセンブリ550の対応する一部で走査される。図7Bに示すように、XPGアセンブリ550の少なくとも一部を、走査される物品10の全体の基準として使用してよい。
【0066】
図8Aおよび9Aは、また別の構成を有するX線走査デバイス140により走査されている物品10の例示的な概略図である。具体的には、図8Aおよび9Aに示されたX線照射器142は、走査対象の物品10の上部、かつ走査対象の物品の第1の辺の上に位置する。
【0067】
図8Aに示される配向を有する走査される物品10に対応する例示的な画像表示600を示す、図8Aおよび対応する図8Bをここで参照すると、走査される物品の(放射ライン145aと放射ライン145bとの間に位置する)少なくとも一部は、基準として使用可能なXPGアセンブリ550の対応する一部なしで走査され、走査される物品の(放射ライン145cと放射ライン145dとの間に位置する)少なくとも一部は、XPGの2つの対応する部分で走査され、これにより走査される領域はXPGにより不明瞭となる。放射ライン145bと放射ライン145cとの間の物品10の一部(図8Aでは部分600bとして示される)のみが、基準として使用可能なXPGアセンブリ550の単一の部分で走査される。放射ライン145aと放射ライン145bとの間の物品10の一部(図8Bでは部分600aとして示される)に位置する高密度のオブジェクトは、X線走査デバイス140を操作する担当者により識別されないことがある。放射ライン145cと放射ライン145dとの間の物品10の一部(図8Bでは部分600cとして示される)に位置する高密度のオブジェクトは、放射がX線照射器142と検出器143との間を通過するXPG550の2つ部分により不明瞭となり得る。
【0068】
図9Aに示される配向を有する走査される物品10に対応する例示的な画像表示600を示す、図9Aおよび対応する図9Bをここで参照すると、物品の全体が基準として使用可能なXPGアセンブリ550の単一の対応する一部で走査される。図9Bに示すように、XPGアセンブリ550の少なくとも一部を、走査される物品10の全体の基準として使用してよい。
【0069】
使用方法
図10Aは、種々の実施形態のXPG150(またはXPGアセンブリ550)を使用する方法の例示的なフローチャートである。図面に示すように、方法はブロック1001から開始し、このブロック1001では、物品10およびXPG150(またはXPGアセンブリ550)は、グリッド部材152、153が搬送機構141の進行方向に対して平行にならないように搬送機構141に対して配向される。前述したように、物品10を、X線照射器142からの放射が、検出器に到達する前に物品およびXPGの両方を通過するように、XPG150(またはXPGアセンブリ550)に対して配向してよい。好ましくは、物品10は、放射145がXPGも通過することなく物品のいずれの部分を通ることができないように、XPG150(またはXPGアセンブリ550)に対して配置される。よって、XPG150(またはXPGアセンブリ550)を、走査される物品10の全体に亘る走査深さ基準として使用してよい。
【0070】
図10Aを再び参照すると、ブロック1002において、物品10およびXPG150(またはXPGアセンブリ550)は、X線走査デバイス140へと搬送される。物品10およびXPG150(またはXPGアセンブリ550)を、物品がX線走査デバイス内に存在する間にX線走査デバイス140が各物品の複数の走査を記録できるような速度で推進するように搬送機構141を構成してよい。非限定的な例として、X線走査デバイス140を、各物品10の複数のスライスを走査するように構成してよい。それぞれの連続するスライスは、進行方向に対して少なくとも実質的に垂直であってよく、走査領域を推進される物品10の一部として走査されてよい。様々な実施形態では、搬送機構141は、特定の速度で連続的に稼働してよいか、またはX線走査デバイス140が各物品10を走査する間、一時的に移動停止するように構成されてよい。物品10およびXPG150(またはXPGアセンブリ550)がX線走査デバイス140内に位置する間、X線照射器142は、X線放射145を物品10およびXPG150(またはXPGアセンブリ550)を通して照射する。様々な実施形態では、X線照射器142は、X線照射器142が放射パルスを照射して、(例えば、10秒毎、5秒毎、1秒毎、500ミリ秒毎、250ミリ秒毎、100ミリ秒毎、10ミリ秒毎等)少なくとも周期的にX線イメージを生成するように、X線走査デバイス140が稼働している間、常に稼働していてよい。
【0071】
X線照射器142から照射される放射145は、ブロック1004において、検出器143により受信される。ブロック1005では、検出器143は、検出器143の表面上の複数の位置のそれぞれで受信された放射145の相対強度を決定する。複数の位置のそれぞれで受信された放射145の相対強度は、物品10内の異なる密度を有する様々なオブジェクトの位置を示してよい。XPG150(またはXPGアセンブリ550)のグリッド部材152、153は、放射線不透過性であってよく、これにより検出器143は、グリッド部材に対応する位置において無視できるまたは存在しない放射145の強度を検出できる。その結果、検出器143が受信した放射145の相対強度は、XPG150(またはXPGアセンブリ550)のグリッドまたはメッシュ構造内の間隔を通過したいずれの放射に加えて、放射線不透過性のグリッドまたはメッシュ構造を示すことができる。
【0072】
ブロック1006において、検出器143が受信した放射145の相対強度を示す強度データが生成される。様々な実施形態では、1つまたは複数のネットワーク130を介して、1つもしくは複数の中央演算デバイス110、中央サーバ200、1つもしくは複数のモバイルデバイス300、および/または1つもしくは複数の分散型演算デバイス120へと、強度データを送信してよい。
【0073】
前に示したように、検出器143は、放射が続く放射の照射を受信する前に散逸しないように、検出器内で先行する照射42から受信した放射145の一部を捕捉してよい。その結果、少なくとも一部は検出器143により受信された放射145の相対強度に基づいて生成される強度データは、検出器に存在する捕捉された放射により増幅され得る。簡略化された非限定的な例として、X線照射器142による第1の放射照射の結果、検出器143は、物品がXPG150(またはXPGアセンブリ550)上に配置されていないことを決定する。検出器143により生成される強度データは、放射線不透過性のグリッド部材152、153に対応する位置で放射が受信されなかったこと、および最大量の放射が全て他の位置(例えば、グリッド部材間の間隔に対応する位置)で受信されたことを示す。第1の放射照射の直後(例えば、第1の照射の完全な減衰に基づいて検出器応答が生成される前)に発生するX線照射器142による第2の放射照射の結果として、検出器143は、XPG150(またはXPGアセンブリ550)上に位置する放射線不透過性のオブジェクトを示す相対強度の放射を受信する。従って、放射線不透過性のオブジェクトに対応する全ての位置において、検出器は実質的に放射145を受信しない。しかしながら、先行する検出器応答が完全に減衰していないので、第2の照射に対応して生成された強度データは、放射線不透過性のオブジェクトの位置にも対応するこれらの検出器の位置を含む、グリッド部材152、153間の間隔に対応する全ての位置において「ゴースト」放射が受信されたことを示す。その結果、強度データは、放射線不透過性のオブジェクトが少量の放射145を通過させたことを示すように現れてよい。
【0074】
前に提示された例は、搬送機構141が物品10およびXPG150(またはXPGアセンブリ550)をX線走査デバイス140へと推進するにつれ、放射145の受信し、ゴースト放射を含む強度データを生成する処理を簡略化するが、検出器143の複数の位置のそれぞれは、変化する放射145の強度を受信してよい。従って、(放射145のより強い強度を低密度の体積に通過させる)低密度の体積が放射線不透過性の体積から下流に位置するように物品10が配向されている場合、ゴースト発生現象は、放射線不透過性の体積を通過する照射に対応する得られる強度データに影響し得る。
【0075】
図10Bは、様々なモジュール400〜450の概略図である。特に、図10Bは、可視化モジュール400、分析モジュール425、および通知モジュール450の関係を示す。様々な実施形態では、様々なモジュール400〜450は、図10Aに示す、本明細書に記載の様々なステップの実装を容易にしてよい。
【0076】
様々な実施形態では、中央サーバ200の可視化モジュール400は、各X線イメージに関して受信された強度データ401を、図10Aのブロック1007において表示デバイスを介した表示対象の可視信号からなる各X線イメージに関する可視データ403へと変換するように構成された可視化変換ツール402を備えてよい。しかしながら、当業者には理解されるように、いずれの種々の演算デバイスを、強度データを可視信号へと変換するように構成してよい。ブロック1008において、得られる可視信号を、表示デバイスを介して表示する。
【0077】
図10Bに示すように、可視化モジュール400は、更なる処理のために、可視データ403を分析モジュール425へと送信してよい。分析モジュール425を、各X線イメージについて、可視データ403内のゴースト放射信号の存在を識別するように構成してよい。非限定的な例として、分析モジュール425は、X線イメージ内のゴースト信号の存在を示すゴースト存在データ427を生成するように構成されたゴースト分析ツール426を備えてよい。
【0078】
グリッド部材152、153は、進行方向に対して平行ではないので、ゴーストイメージは強度データ内に存在し得ない。しかしながら、放射線不透過性のグリッド部材の少なくとも1つのエッジが進行方向に対して実質的に平行になるように、少なくとも1つのグリッド部材を配向する場合、ゴーストイメージは可視データ403内に現れ得る。従って、進行方向に対するグリッド部材152、153の配向は、走査される物品10内の放射線不透過性のオブジェクトの識別を容易にできる。非限定的な例として、分析モジュール425を、X線イメージの一部に亘って現れるゴーストグリッドラインの存在に基づいて、X線イメージ内の放射線不透過性のオブジェクトを識別するように構成してよい。様々な実施形態では、ゴースト信号がX線イメージ内に存在することを決定すると、ゴースト存在データを通知モジュール450へと送信するように分析モジュール425を構成してよい。通知モジュール450は、X線イメージ内のゴースト存在データ427の存在を示す1つまたは複数の通知452を生成して、担当者へと送信するように構成された通知生成ツール451を備えてよい。非限定的な例として、X線イメージデータを表示するように構成された画像表示に近接して位置するインジケータライトを照明するように、または通知メッセージを画像表示上に表示するように通知モジュール450を構成してよい。このような通知の受信に応じて、X線走査デバイス140を監視している担当者は、検査対象物品10に対して追加の二次スクリーニングを実行してよい。例えば、このような二次スクリーニングは、X線走査デバイス140を利用した追加の走査のために物品10を再配向するステップ、物品の内容の手動検索のために物品を開封するステップ等を含んでよい。
【0079】
結論
本明細書で述べた本発明の多数の変更および他の実施形態は、前述の説明および関連する図面において提示された教示の利益を有する、これらの発明が属する当業者に想起されるであろう。従って、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるべきではないこと、ならびに変更および他の実施形態は、添付の請求項の範囲内に含まれることを意図したものであることを理解されたい。本明細書で特定の用語を採用したが、これらは限定の目的ではなく一般的で説明的な意味でのみ使用される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B