【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様においては、
種々のタイプの携帯型パッド及び/又はカプセル保持器を受容するための空洞を定義する本体、及び前記空洞を開閉するための前記本体に接続された蓋、を備えた煎出ユニットと、
抽出可能な食品を封入する第1のタイプのパッド又はカプセルを受容するための第1の保持器と、
抽出可能な食品を封入する第2のタイプのパッド又はカプセルを受容するための第2の保持器と、
を有する飲料製造機であって、前記第1の保持器又は前記第2の保持器が、前記空洞に選択的に配置され、前記蓋は、前記第1の保持器が前記空洞に挿入された場合に、前記蓋と前記第1の保持器との間の第1の煎出室を封止するよう構成された第1の封止部材と、前記第2の保持器が前記空洞に挿入された場合に、前記蓋と前記第2の保持器との間の第2の煎出室を封止するよう構成された、前記第1の封止部材とは異なる第2の封止部材と、を有する、飲料製造機が提示される。
【0011】
本発明の第2の態様においては、上述した飲料製造機のための携帯型カプセル保持器であって、
抽出可能な食品を封入するカプセルを受容するための略カップ型のカプセル受容部を有する基部と、
前記カプセル受容部を開閉するための蓋と、
前記容器に受容されたカプセルを機械的に押し出す押し出し機構と、
を有する携帯型カプセル保持器が提示される。
【0012】
本発明の好適な実施例は、従属請求項に定義される。本発明の携帯型カプセル保持器は、従属請求項において定義された、本発明の飲料製造機と類似する及び/又は同一の好適な実施例を持ちその逆も成り立つことは、理解されるべきである。
【0013】
本発明の飲料製造機は、特にコーヒーマシン及び/又はエスプレッソコーヒーマシンとして実現されても良い。実際には、本発明は例えば、以下に更に詳細に説明されるように、柔らかいパッドのみならずカプセルもが内部で利用され得るように変更された、Senseo社の製造機において適用されても良い。該製造機は、該製造機内の空洞により定義された同一の容器に選択的に配置され得る少なくとも2つの別個の携帯型保持器を有する。
【0014】
第1の保持器は好適には、抽出可能な食品を伴う柔らかいパッドを受容するように構成され、第2の保持器は好適には、カプセルを受容するように構成される。斯かるパッドとカプセルとの異なる概念のため、このことは、同じ製造機を用いて、種々のタイプの「通常の」コーヒー及び/又はエスプレッソコーヒーを煎出することを可能とする。例えば、消費者が「通常の」コーヒーを飲みたい場合、該消費者は、柔らかいパッドを用いて、該パッドを第1の保持器とともに煎出ユニットに挿入しても良い。他方、消費者がエスプレッソコーヒーを飲みたい場合、該消費者はカプセルを利用して、該カプセルを第2の保持器とともに煎出ユニットに挿入しても良い。このことは、パッドを伴う第1の保持器か、又はカプセルを伴う第2の保持器が利用されることを意味する。
【0015】
最初のパラグラフで言及した先行技術文献(国際特許出願公開WO2013/079814A1及び米国特許出願公開US2013/0133522A1)で提示された製造機とは異なり、ここで提示される製造機は特に、改善された封止及び圧力分配の概念を提供するとともに、別個の部品の消費者にとって容易な取り扱いを可能とする。消費者は、適切な携帯型保持器を選び、該選択された携帯型保持器にパッド又はカプセルを挿入し、次いで該パッド又はカプセルと共に該携帯型保持器を、煎出ユニットの本体内の常に同じ容器に挿入して、最終的に接続ユニットの蓋を閉じ、煎出工程を開始する(例えばボタンを押下することによって)だけで良いため、ここで提示される製造機の取り扱いは消費者にとって容易である。
【0016】
上述した先行技術文献において示されたような製造機によるような、複数の部品のアダプタの複雑な予めの組み立ては必要とされない。ここで提示される製造機の重要な特徴のひとつは、種々のパッド/カプセル保持器自体が、上述した先行技術文献において示されたアダプタのような封止された室を形成するのではなく、煎出ユニットの本体に接続された蓋とあわせて封止された煎出室を形成することである。そのため該蓋は、異なる封止部材、即ち、第1の保持器が煎出ユニットの空洞に挿入された場合に、該蓋と第1の保持器との間の第1の煎出室を封止するよう構成された第1の封止部材と、第2の保持器が煎出ユニットの空洞に挿入された場合に、該蓋と第2の保持器との間の第2の煎出室を封止するよう構成された第2の封止部材と、を有する。これら2つの異なる封止部材は、好適には該蓋に組み込まれる。ここで「第1の煎出室」及び「第2の煎出室」なる用語は単に、煎出ユニットの蓋とあわせて2つの保持器の一方により形成される、2つの異なるサイズ及び形状の煎出室を区別するために用いられる。換言すれば、第1の保持器が煎出ユニットに挿入された場合には、当該第1の保持器が、制御ユニットの蓋と協働して、該蓋が閉じられるとすぐに、第1の煎出室を形成する。第2の保持器が煎出ユニットに挿入された場合には、該第2の保持器が、制御ユニットの蓋と協働して、該蓋が閉じられるとすぐに、第2の煎出室を形成する。このことは、2つの保持器のうちどちらが煎出ユニットに挿入されたかに依存して、2つの異なるサイズ及び形状の煎出室に帰着することを意味する。第1の煎出室は、第1の封止部材により封止され、第2の煎出室は、第1の封止部材とは異なる第2の封止部材により封止される。
【0017】
更に換言すれば、第1の保持器が前記空洞に挿入された場合には、該蓋、第1の保持器及び第1の封止部材の間に第1の煎出室が形成され、第2の保持器が前記空洞に挿入された場合には、該蓋、第2の保持器及び第2の封止部材の間に第2の煎出室が形成される。
【0018】
該製造機の好適な実施例によれば、第1の封止部材及び第2の封止部材は、該蓋の底側に配置され、第1の封止部材が、第2の封止部材よりも該底側の大きな領域を囲む。いずれの封止部材も、好適には閉じたループを形成する。第1の封止部材と第2の封止部材とは、好適には異なるサイズの円形の封止環、即ち異なる直径を持つ封止環として実現される。しかしながら、これら封止部材は、例えば長方形又は二次的な形状のような、他の形状を持っていても良い。
【0019】
前記第1の封止部材が第2の封止部材よりも大きな領域を囲む場合、このことは、第1の保持器が挿入されたときに該第1の封止部材により封止される第1の煎出室が、第2の保持器が煎出ユニットに挿入されたときに該第2の封止部材により封止される第2の煎出室よりも大きい又は該第2の煎出よりも大きな直径を持つことを意味する。これにより、好適にはパッドのために利用される第1の保持器が、好適にはカプセルのために利用される第2の保持器よりも大きい又は該第2の保持器よりも大きな直径を持つこととなる。これら異なるサイズとされた煎出室は、どのタイプの携帯型保持器が煎出ユニットに挿入されるかに依存して、煎出室内の(第2の煎出室に対する第1の煎出室の)圧力が、いわば自動的に適合させられるという利点に導く。斯くして、パッドのために設計された第1の保持器は好適には、約1.2乃至1.9barの低い圧力が利用される、「通常の」コーヒーを煎出するために利用されても良い。通常はパッドよりも小さな直径を持つカプセルのために設計された、小さな第2の保持器は好適には、約5乃至19barの高い圧力が利用される、エスプレッソコーヒーを煎出するために利用されても良い。
【0020】
通常柔らかいパッドのために利用される大きな煎出室内の5乃至19barの高い圧力が、蓋にかかる力を著しく増大させるため、異なるサイズを持つようにされた煎出室に起因する上述した圧力の差は特に必要である。斯かる力は、機械的な不安定性、漏れ、又は煎出ユニットの破壊にさえも導き得る。しかしながら、煎出室がより小さくなるよう選択されるため、より小さな第2の保持器が挿入された場合に煎出ユニットにかかる全体の力は、より大きな第1の保持器が煎出ユニットに挿入された場合と略同じとなる。換言すれば、第2の煎出室に比較して第1の煎出室に異なる圧力が生成されるが、より小さな第2の保持器が煎出ユニットに挿入される場合、煎出ユニットの蓋にかかる圧力が過度に増大しない。
【0021】
種々のサイズの煎出室により、液体の流れの挙動も、第2の煎出室に比べて第1の煎出室においては非常に異なる。柔らかいパッドの外にコーヒーを抽出するための液体の流れの挙動は、カプセルの外にエスプレッソを抽出するために必要とされる液体の流れの挙動とは異なるべきであるため、このことも有利である。エスプレッソのカプセルが柔らかいパッドのための煎出室と同じくらい大きい煎出室に置かれ、エスプレッソのために必要とされる少ない体積の水が利用されたとすると、大きな熱損失に帰着し、冷たいエスプレッソに帰着してしまうこととなる。
【0022】
それ故、第1の保持器(パッド保持器)は、煎出ユニットに挿入されたときに大きな第1の封止要素にのみ係合し、第2の保持器(カプセル保持器)は好適には、煎出ユニットに挿入されたときに小さな第2の封止要素にのみ係合することが、明らかであろう。しかしながら、2つの異なる封止要素は既に蓋に組み込まれているので、消費者はそれぞれの保持器を挿入して蓋を閉めるだけで良いため、消費者はこの事実を認識さえせずに、適切な封止要素が自動的にそれぞれの保持器に自動的に係合することできる。
【0023】
更なる実施例によれば、第1の封止部材と第2の封止部材とは、互いに同心に配置される。同心の配置は、第1及び第2の保持器の対称的な設計を実現し、従って第1及び第2の煎出室の対称的な設計を実現する。このことは、最適な力の配分に導く。
【0024】
更なる実施例によれば、前記蓋は、前記第2の封止部材により囲まれた少なくとも1つの液体供給開口を有する。好適には、複数の液体供給開口が、該蓋の当該領域に備えられる。第1の封止部材と第2の封止部材との間の領域においては、液体供給開口は備えられない。このことは、どの保持器が煎出ユニットに挿入されるかにかかわらず、それぞれの煎出室に液体(好適には熱水)を注入するために、同じ液体供給開口が利用されることを意味する。大きな第1の保持器が煎出ユニットに挿入されたときには、第2の封止部材は封止機能を持たないため、注入される液体は斯くして広い領域に分配され、「通常の」コーヒーを煎出するのに適した低い圧力に導く。小さな第2のカプセル保持器が挿入された場合には、第2の煎出室は、小さな第2の封止部材によって封止されることとなり、そのため注入される液体は、小さな領域にのみ分配され、エスプレッソコーヒーを煎出するのに適した高い圧力に導く。
【0025】
前記第1の封止部材及び前記第2の封止部材は、好適には前記蓋の底側に配置され、当該底側には前記少なくとも1つの液体供給開口が配置され、少なくとも前記第1の封止部材と前記第2の封止部材との間における前記底側に、複数の突出部が配置される。
これら突出部は、換言すれば、液体供給開口が配置されていない、第1の封止部材と第2の封止部材との間に配置される。該突出部は、前記蓋の底側から突出する小さなニップルとして実現されても良い。蓋の「底側」との用語は、蓋が閉じられたときに煎出室に向く、該蓋の側を示す。該突出部は主に、コーヒーの調製の後に蓋が開けられたときに、第1の保持器に挿入された柔らかいパッドが該蓋の底側にくっつくのを防ぐ、離隔要素として機能する。このことは、柔らかいパッドを取り外すことを容易化する。また、パッドがコーヒーを煎出するために利用されるときに、注入される液体が第1の煎出室に亘って均等に分配されることを可能とする。
【0026】
該蓋自体は好適には、ヒンジを介して煎出ユニットの本体に接続される。斯くして、該蓋は容易に開閉されることができる。
【0027】
以上のパラグラフは、主に蓋の設計、煎出ユニット及び種々の封止部材に挿入され得る種々の保持器に焦点を当てたが、一般的に該飲料製造機は更に、第1又は第2の煎出室に液体を供給するための液体供給部と、煎出室に供給される前に液体を加熱するための加熱器と、該液体供給部及び/又は該加熱器を制御するためのコントローラと、を有することは明らかであろう。望ましい製法に依存して、該コントローラは特に、液体の量、液体の流量、及び/又は加熱器の加熱パワーを制御しても良い。
【0028】
更なる実施例によれば、該飲料製造機は更に、第1の保持器及び第2の保持器のうちどちらのタイプの保持器が煎出ユニットの空洞に挿入されたかを検出するための検出器を有しても良い。この場合には、該コントローラは、検出された保持器のタイプに依存して、液体供給部及び/又は加熱器のパラメータを変更するよう構成されても良い。
【0029】
既に上述したように、好適にはパッドのために設計された第1の保持器はコーヒーを煎出するのに適し、好適にはカプセルのために設計された第2の保持器はエスプレッソコーヒーを煎出するのに特に適している。また上述したように、「通常の」コーヒーを煎出することは、エスプレッソコーヒーを煎出する場合とは違う(より低い)圧力を必要とする。異なるサイズの封止部材及び煎出室による自動的な圧力の適合に加え、前記コントローラが、選択された製法のタイプに応じて圧力及び/又は液体の流量を能動的に変更しても良い。例えば、コーヒーが煎出されるべき場合であり、パッドを含む第1の保持器が挿入された場合には、該コントローラは、より高い流量で、より多くの量の液体を供給するよう、液体供給部を制御しても良い。エスプレッソが煎出されるべき場合であり、カプセルを含む第2の保持器が煎出ユニットに挿入された場合には、該コントローラは、より低い流量で、より少ない量の液体を供給するよう、液体供給部を制御しても良い。
【0030】
煎出ユニットに挿入された保持器のタイプを検出するための検出器は、例えば光学的、誘導的又は機械的な検出器のような、複数の異なる方法で実現され得る。最も容易な方法は、より大きな第1の保持器が挿入されたときにのみ作動させられる小型のボタンを備えることであろう。
【0031】
本発明はまた、カプセル保持器(以上において一般的に第2の保持器と示されている)に関する。当該カプセル保持器は、抽出可能な食品を有するカプセルを受容するための、略カップ状のカプセル受容部を備えた基部を有する。該カプセル保持器は更に、本体に接続されたハンドル部を有する。該ハンドル部は、ユーザが手でカプセル保持器を把持することを容易化するため、把持部の形で設計されても良い。該カプセル保持器は更に、カプセル受容部を開閉するための保持器の蓋を有し、カプセル受容部と保持器の蓋とがあわせて封止された室を定義する。それ故、カプセル保持器の蓋は、ここではスタッド板とも示される。更に、本発明のカプセル保持器は、カプセル受容部に受容されたカプセルを機械的に押し出す押し出し機構を有する。
【0032】
該押し出し機構は、使用済みのカプセルをユーザが容易に取り出すことを可能とする。このことは、以下の利点を持つ。煎出工程の間に生じ得る高い圧力のため、カプセルはカプセル受容部のなかで僅かに変形又は伸張し得るため、カプセルはカプセル受容部のなかに詰まり、手で取り出すことは困難となり得る。更に、ユーザの手とカプセルとの直接の接触が回避され得る。このことは、容易で衛生的なカプセル保持器の取り扱いを実現する。
【0033】
本発明によるカプセル保持器は、携帯型の、ハンドヘルド型保持器、即ち非内蔵型の保持器であることは、留意されるべきである。換言すれば、本発明による携帯型のカプセル保持器は、温かい飲料(コーヒー)の製造機に内蔵されたものではなく、交換可能なものである。それ故、該携帯型のカプセル保持器は、一種のアダプタとみなされ得る。該携帯型のカプセル保持器の外面形状、特に基部及び保持器の蓋の外面形状は、該飲料製造機の保持器受容部に受容されるよう構成される。
【0034】
一実施例によれば、該携帯型のカプセル保持器の押し出し機構は、レバーと該レバーを動かすための作動要素とを有し、該レバーは、カプセルを押し出すためカプセルのフランジ部と係合するよう構成される。斯くして、コーヒー又はエスプレッソコーヒーが煎出された後に、使用済みのカプセルを取り出すためには、ユーザは作動要素を作動させるだけで良い。該作動要素は、好適にはボタンを有する。実用的には、このことは、コーヒーが煎出された後に、ユーザは、携帯型のカプセル保持器を取り出し、ボタンを押すか又は引き、それにより例えばビンの上にカプセルを押し出す。次いで、新たなカプセルが、該携帯型のカプセル保持器のカプセル受容部に挿入される。押しボタンが作動させられるとすぐにカプセルのフランジ部に係合する上述したレバーは、該ボタンに対して、直接に結合されていても良いし、又は間接的に結合されていても良い。例えば、ボタンの動きをレバーの動きへと伝達するギアを、これら2つの部分の間に配置することも想到可能である。しかしながら、該ボタンが該レバーに直接に結合されていても良い。
【0035】
更なる実施例によれば、該保持器の蓋は、ヒンジを介して基部に接続され、押し出し機構は、カプセルを押し出すよう構成されるのみならず、作動要素の作動に応じて保持器の蓋を開くようにも構成される。この場合には、押し出し機構のレバーは、2つの機能、即ち、カプセルのフランジに係合して、該フランジを保持器の受容部から押し出す機能と、押しボタンの作動に応じて蓋を開ける機能と、を持ち得る。カプセル保持器の基部と蓋/スタッド板とを2つの別個の部品として実現することも想到され得るが、斯かる一体化された構成は、ユーザにとっての取り扱いを更に容易化する。
【0036】
更なる実施例によれば、前記作動要素は、第1のばね要素によりばね荷重をかけられており、前記作動要素は、押しボタン、スライダ、又は、前記携帯型のカプセル保持器のハンドル部において配置され互いに向かって押されることができる2本の梁を有する。ここで「第1のばね要素」なる用語は単に、以下に更に説明される他の(第2及び第3の)ばね要素と当該ばね要素を区別するために用いられる。第1のばね要素は好適には、押しボタン、スライダ、又は2本の梁(それぞれ)及びレバーを、作動されていない位置へと戻すよう押すものであり、該位置は、挿入されたカプセルが取り出されない、及び保持器の蓋/スタッド板が閉位置にある位置を意味する。本実施例は、ユーザがボタンを押すか、スライダを動かすか、又は2本の梁を互いに向けて押すだけで、カプセルを押し出す及び/又は保持器の蓋を開くことができ、保持器の蓋は、該ボタン、スライダ又は2本の梁(それぞれ)を離した後に自動的に閉じるため、ユーザにとっての取り扱いを更に容易化する。上述した2本の梁は、携帯型のカプセル保持器のハンドル部に組み込まれても良い。一実施例によれば、これら2本の梁は、該ハンドル部の両側に配置され、これら2本の梁が、両側から横向きに該ハンドル部を押すことによって互いに向けて押され得るようにされる。斯かる作動要素の「横向き」の構成は、保持器の蓋/スタッド板が、より人間工学的な態様で開かれることができ、新たなカプセルを入れるために携帯型のカプセル保持器を逆さまに保持する必要があるときに特に有利であるという利点を提供する。
【0037】
更なる実施例によれば、前記基部は2つの部分、即ち、第2のばね要素を介して互いに接続された、第1の基部部分と第2の基部部分とを有する。それ故、これら2つの基部は、互いに相対的に移動可能である。該第2のばね要素は、これら2つの基部を、予め定義された機械的床止めまで、互いから離れるよう押す拡大要素として機能する。該第2のばね要素はまた、複数の別個のばね要素を有しても良い。このことは、携帯型のカプセル保持器が煎出ユニットに挿入され、蓋が閉じられたときに、保持器の蓋が僅かに予め負荷をかけられるという主な利点を持つ。このことは特に、蓋が閉じられたときに基部が僅かに圧縮され、それにより初期の封止をもたらすのに十分な初期の力がかけられるため、保持器の蓋とカプセル保持器の基部との間の封止を改善する。このことは、注入された液体が、接触面を通して漏れることを防止する。
【0038】
携帯型のカプセル保持器の更なる実施例によれば、前記基部は、第1の基部部分と第2の基部部分との間に配置された封止要素を有する。当該封止要素は、一種の圧力補償器として機能する。液体がカプセルに注入されるとすぐに、煎出室内の圧力は著しく上昇する。カプセル保持器の基部の2つの部分、即ち第1の基部部分及び第2の基部部分は、互いから離れるよう僅かに動く。このとき、上述した封止要素は、第2の基部部分に対する第1の基部部分の動きを補償し、封止が維持されるようにする。
【0039】
更なる実施例によれば、前記携帯型のカプセル保持器は更に、前記カプセルに穿孔するための1つ以上の穿孔要素を有する。これら穿孔要素は、カプセルを破裂させるため、及びカプセルの底側に1つ以上の穴を開けるため、利用されても良い。このことは、底側に予め開けられた穴を有さないカプセルを利用することを可能とする。斯かる穿孔要素は、カプセル内部への流体の進入を改善させ得る。
【0040】
斯かる穿孔要素が備えられる場合、該穿孔要素は、該携帯型のカプセル保持器の基部をカバーするスクリーン板に配置されることが好適である。該スクリーン板は、保持器の蓋の反対側に配置される。換言すれば、該スクリーン板は、保持器の基部の上側に配置され、保持器の蓋は、保持器の基部の底側に配置される。該穿孔要素に加えて、該スクリーン板は、1つ以上の開口を有し、該開口を通して、液体がカプセル受容部に挿入され次いでカプセルに挿入される。
【0041】
前記基部は好適には、第3のばね要素を介して前記スクリーン板に接続された、第2の基部部分を有する。換言すれば、該スクリーン板はばね荷重をかけられており、煎出ユニットの蓋が閉じられ、該スクリーン板に押し付けられるとすぐに、該スクリーン板が下向きに動くこととなる。このスクリーン板の下向きの動きは、前記1つ以上の穿孔要素を、カプセルの底側に押し付ける。斯くして、煎出ユニットの蓋が閉じられるとすぐに、カプセルが穿孔される。第3のばね要素はまた、該スクリーン板の予張力を提供し、該携帯型のカプセル保持器と煎出ユニットの蓋との間に、好適な封止効果が確立されるようにする。このことは、該スクリーン板に備えられた1つ以上の開口を介して液体が直接にカプセル保持器に入ることを確実にし、また液体がカプセルに入らずにカプセルのまわりを流れることを防止する。
【0042】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施例を参照しながら説明され明らかとなるであろう。