特許第6208905号(P6208905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6208905-スキャン用治具 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6208905
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】スキャン用治具
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   A61C8/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-22304(P2017-22304)
(22)【出願日】2017年2月9日
【審査請求日】2017年5月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517044384
【氏名又は名称】株式会社E−Joint
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】藤川 知
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−142528(JP,A)
【文献】 特開2012−115668(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0141951(US,A1)
【文献】 特表2012−517308(JP,A)
【文献】 特表2015−530907(JP,A)
【文献】 特表2016−533824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用インプラントと連結可能な連結部(3)と,スキャン領域となるヘッド部(5)と,前記連結部(3)と前記ヘッド部(5)とを接続する軸部(7)とを有するスキャン用治具であって,
前記ヘッド部(5)は,頂上面(11)と,複数の側面(13)を有し,
前記複数の側面(13)は,
3つの内角がそれぞれ異なる三角形,及び
4つの内角が全て異なる四角形を含む
スキャン用治具。
【請求項2】
請求項1に記載のスキャン用治具であって,前記三角形の内角は全て45°以上であり,及び前記四角形の内角は,全て60°以上である,スキャン用治具。
【請求項3】
請求項1に記載のスキャン用治具であって,前記複数の側面(13)は,それぞれ形状が異なる,スキャン用治具。
【請求項4】
請求項1に記載のスキャン用治具であって,前記複数の側面(13)は,それぞれの面積が異なる少なくとも6つの側面を有する,スキャン用治具。
【請求項5】
請求項1に記載のスキャン用治具であって,前記頂上面(11)は,頂上面(11)上の全ての線について線対称ではなく,回転対称でもない,スキャン用治具。
【請求項6】
請求項1に記載のスキャン用治具であって,前記ヘッド部(5)は,コーティング層を有する,スキャン用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,例えば,歯科用インプラントの位置や方向を求めるためのスキャン用治具に関する。スキャン用治具は,スキャンボディともよばれる治具である。
【背景技術】
【0002】
特開2012−115668号公報には,スキャンボディが記載されている。このスキャンボディは,スキャン領域に,異なる形状の複数のスキャン輪郭部分を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−115668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の公報に記載されたスキャンボディ(スキャン用治具)は,複数のスキャン輪郭部分を有しており,サイズが大きくなるという問題がある。また,その治具は,形状が単純なのでスキャン領域の正確な位置や方向がわかりにくいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は,基本的には,スキャン領域を複数の非対称形状を有する平面からなる立体構造とすることで,比較的スキャン用治具の形状を小さくしつつ,スキャン精度を向上させることができるという知見に基づく。
【0006】
本発明のスキャン用治具は,口腔内で用いられ,例えば,歯科用インプラントの位置や方向を求めるために用いられる治具である。この治具は,歯科用インプラントと連結可能な連結部3と,スキャン領域となるヘッド部5と,連結部3とヘッド部5とを接続する軸部7とを有する。
そして,ヘッド部5は,頂上面11と,複数の側面13を有する。複数の側面13の少なくも一つは,3つの内角がそれぞれ異なる三角形,又は4つの内角のうち少なくとも2つが異なる四角形である。
【0007】
本発明のスキャン用治具は,三角形の内角が全て45°以上であってもよいし,四角形の内角が,全て60°以上であってもよい。
【0008】
本発明のスキャン用治具は,複数の側面13が,それぞれ形状が異なるものであってもよい。
【0009】
本発明のスキャン用治具は,複数の側面13が,それぞれの面積が異なる少なくとも6つの側面を有してもよい。
【0010】
本発明のスキャン用治具は,頂上面が,頂上面11上の全ての線について線対称ではなく,回転対称でもないものであってもよい。
【0011】
本発明のスキャン用治具は,ヘッド部5はコーティング層を有するものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は,基本的には,スキャン領域を複数の非対称形状を有する平面からなる立体構造とすることで,比較的スキャン用治具の形状を小さくしつつ,スキャン精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は,本発明のスキャン用治具の例を示す概念図である。
図2図2は,頂上面を示す概念図である。
図3図3は,本発明のスキャン用治具の例を示す概念図である。
図4図4は,実施例1におけるスキャン用治具の6面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0015】
図1は,本発明のスキャン用治具の例を示す概念図である。スキャン用治具は,口腔内で用いられ,例えば,歯科用インプラントの位置や方向を求めるために用いられる治具である。図1に示されるように,この治具は,歯科用インプラントと連結可能な連結部3と,スキャン領域となるヘッド部5と,連結部3とヘッド部5とを接続する軸部7とを有する。軸部7は,中空円筒状であってもよい。スキャン用治具自体は公知であるので,本発明のスキャン用治具においても公知のスキャン用治具の構成を適宜採用できる。歯科用インプラント(歯科用インプラントを構成する一部分を含む)は,ヒトの口腔内に埋入されているものであってもよいし,模型上に埋入されたものであってもよい。
【0016】
連結部3は,歯科用インプラントの上側又は歯科用インプラントのアダプタ内に挿入し,固定することができる部位である。
【0017】
ヘッド部5は,スキャン領域となる部位である。そして,ヘッド部5は,頂上面11と,複数の側面13を有する。頂上面には,連結部3に向かう穴が設けられていてもよい。複数の側面13は,多角形からなる平面を複数有している。多角形の例は三角形,四角形,五角形,六角形,七角形,八角形,及び十二角形である。この多角形は,正多角形でないものが好ましく,内角が全て異なるものが好ましい。内角が異なるので,スキャニングした際に,位置を把握しやすくなる。例えば,複数の側面13の少なくも一つは,3つの内角がそれぞれ異なる三角形,又は4つの内角のうち少なくとも2つが異なる四角形である。本発明のスキャン用治具は,三角形の内角が全て45°以上であってもよいし,四角形の内角が,全て60°以上であってもよい。頂角として,鋭角(例えば45°以下の角度)が存在した場合,スキャン精度が低くなるので,全ての多角形について,45°以下の頂角を有さない形状とすることが好ましい。
【0018】
本発明のスキャン用治具は,複数の側面13が,それぞれ形状が異なるものであってもよい。特に,複数の側面13を構成する多角形の角数が異なるものが好ましい。複数の側面の形状が異なるので,スキャン領域をスキャニングした際に,多角形の位置や角度を把握しやすくなる。
【0019】
図1の例では,ヘッド部5は,ヘッド部5の下部位にステージ15が存在し,そのステージ15と頂上部11との間に複数の側面13が存在する。ステージ15の形状は任意である。図1の例では,ステージはある一定の厚みを有し,側面13の下部分の形状に合わせた形状を有している。
【0020】
本発明のスキャン用治具は,複数の側面13が,それぞれの面積が異なる少なくとも6つの側面を有してもよい。側面を構成する多角形の面積が異なるので,頂点を構成する部位をスキャニングした後に,各頂点によって形成される領域の面積を求めることにより,多角形の位置や角度(奥行等)を把握することができることとなる。図1の例では,図2に示されるように,複数の側面は,6角形の頂上面11のそれぞれの辺を一辺とする6つの台形によって構成されている。6角形の頂上面11の頂点のいずれかを頂点とする三角形が1つ又は2つ以上存在してもよい。頂上面11の角部分がスキャンポイントとなる可能性が高いので,頂上面11の角部分を頂点とする側面の角が鈍角であることが好ましい。このため,側面が台形の場合,頂上面に存在する辺に比べてステージ15に存在する辺の長さが長いものが好ましい。頂上面に存在する辺を1とした場合に,ステージ15に存在する辺の長さは,1.01以上2以下が好ましく,1.05以上1.5以下でもよく,1.1以上1.3以下でもよい。
【0021】
本発明のスキャン用治具は,頂上面が,頂上面11上の全ての線について線対称ではなく,回転対称でもないものであってもよい。
【0022】
本発明のスキャン用治具は,ヘッド部5にコーティング層が設けられてもよい。例えば,ヘッド部5に隣接する連結部3にはコーティング層を設けないようにすることで,連結層3とヘッド部5との物性を変え,それによりヘッド部をより正確にスキャニングできることとなる。
【0023】
図1のスキャン用治具は,頂上面11に穴17が設けられている。この穴は,軸部7内の穴と連続したものでもよい。そして,さらにこの穴は,連結部3に存在する穴と連続したものであってもよい。穴部分には,ネジ溝が適宜設けられていてもよい。特に連結部3に穴部分が存在する場合,埋入インプラント体や模型とスキャン用治具を接続するためのネジ穴として機能することが好ましい。スキャン用治具の大きさは,対象となる患者の口腔内の大きさを考慮して適切なものとすればよい。側面13の高さ,ステージ15の上部から頂上面11までの垂直距離の例は,0.5mm以上1.5cm以下であり,2mm以上8mm以下でもよいし,3mm以上8mm以下でもよいし,4mm以上7mm以下でもよい。軸部7及び連結部3の大きさも公知のスキャン用治具を考慮して適宜調整すればよい。スキャン用治具全体の高さは,3cm以下であることが好ましく,2.5cm以下でもよく,2cm以下でもよいし,1.5cm以下でもよい。
【0024】
図3は,発明のスキャン用治具の例を示す概念図である。この例では,5角形の頂上面11の頂点を頂点とする三角形が2つ存在し,その下部にあるステージ15には,スキャン用治具の中心軸(軸部7の中心)に垂直なサポート19が存在する。図3の例ではサポートは円柱状である。サポートの大きさは,側面13の高さの0.1倍から1倍が好ましく,0.2倍〜0.7倍であってもよいし,0.3倍から0.5倍であってもよい。
【0025】
以下,本発明のスキャン用治具を製造する方法について説明する。
本発明のスキャン用治具は,プラスチック,セラミックス及び金属のいずれを用いても製造できる。本発明のスキャン用治具の好ましい素材は,金属であり,金属の中でもアルミニウム,バナジウム,チタン又はこれらを含む合金が好ましい。
【0026】
本発明のスキャン用治具は,3次元モデリングを行い,そのモデリングに従って金属を切削することにより製造できる。また,スキャン用治具がプラスチック製の場合は,スキャン用治具の形状を有する鋳型を用いて,公知の成形方法(射出成型など)を用いて成形することによりスキャン用治具を製造できる。得られたスキャン用治具は,例えば,スキャン領域以外をマスキングし,塗布,CVD又はスパッタリングを用いて,スキャン領域にコーティング層を形成してもよい。この場合,コーティング層には,金属が含まれていることが好ましい。このようなコーティング層を有することで,スキャン精度を向上させることができる。また,スキャン領域以外をマスキングしたうえで,スキャン領域を粗面化してもよい。粗面化の方法は,公知であり,例えばサンドブラストを用いることができる。サンドブラストとして,アパタイト又はフルオロアパタイトを用いることが好ましい。これらを用いることで,ブラスト成分がスキャン用治具に残留した場合であっても,生体親和性に優れており,かえってスキャン精度も向上することとなる。
【0027】
以下,本発明のスキャン用治具の使用方法について説明する。
ヒト又は模型に歯科用インプラントのインプラント体又は中間構造体が埋入されている。その歯科用インプラントに,連結部3を連結する。このようにして,歯科用インプラントに,スキャン用治具を装着する。そのうえで,スキャナ,レントゲン撮影やCT等を用いて,スキャン用治具を撮影する。撮影した情報は,コンピュータへ送信され,そのコントラスト等から,スキャン領域の頂点部分が求められる。すると,コンピュータには,あらかじめヘッド部の各側面に関する情報(例えば,側面を構成する多角形の形状,隣接する側面,面積,位置,及び角度)が記憶されている。コンピュータは,求めた頂点位置の情報から,撮影した画像に含まれる頂点がヘッド部分のどの頂点であるかを求める。そのうえで,適宜,各頂点によって形成される多角形の面積を比較し,頂点の解析が正しいことを確認する。コンピュータは,頂点の位置に関する情報から,スキャン用治具の位置や方向を求めるとともに,それと連結されている歯科用インプラントの位置や方向を求める。
【実施例】
【0028】
以下,実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
図4は,本実施例で製造されたスキャン用治具の6面図である。設計図に基づいて金属チタンを削りだし,スキャン用治具を製造した。このスキャン用治具を用いてスキャン作業を行った。スキャン画像を処理するコンピュータには,あらかじめスキャン用治具の側面形状などスキャン領域の情報や側面の面積比といった情報を記憶させておいた。すると,このスキャン用治具を用いることで,スキャニングポイントが明確になり,また各側面の形状が大きく異なっていることから,スキャニングポイントのチェックも容易であった。さらに,スキャンポイントの形状やスキャン領域の面積情報を合わせて用いることで,スキャン用治具の位置や角度も正確に求めることができた。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は歯科用のスキャン用治具に関するので医療機器の分野で使用されうる。
【符号の説明】
【0030】
3連結部
5 ヘッド部
7 軸部
11 頂上面
13 側面




【要約】      (修正有)
【課題】精度良いスキャン用治具を提供する。
【解決手段】歯科用インプラントと連結可能な連結部3と,スキャン領域となるヘッド部5と,連結部3とヘッド部5とを接続する軸部7とを有するスキャン用治具であって,ヘッド部5は,頂上面11と,複数の側面13を有し,複数の側面13の少なくも一つは,3つの内角がそれぞれ異なる三角形,又は4つの内角のうち少なくとも2つが異なる四角形である,スキャン用治具。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4