(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の様々な実施形態は、光ガイドなど低吸収光学層の出射面における全内部反射を支持する能力を有する、低屈折率光学フィルムを含む光学構造体を目的とする。低屈折率光学フィルムは、光ガイドと光方向転換フィルムとの間に配置されて、2段階の内部反射をもたらすことができる。低屈折率光学フィルムは、低吸収層と高吸収層との間に配置されて、低吸収層内の光の光閉じ込めを増大させることができる。
【0012】
開示された光学構造体を様々な光学又はディスプレイシステム、例えば液晶ディスプレイシステムに組み込むと、システム耐久性の向上、製造コストの削減、効率性の増大、及び/又はシステムの全体的厚さの減少をもたらすことができる。本明細書に記載の光学構造体は、ディスプレイ、携帯電話及び携帯情報端末(PDA)などのハンドヘルド用途、ノートブック及びデスクトップコンピュータのモニタ、看板、照明器具、投影システム、並びに/又はその他の用途で用いられ得る。
【0013】
本明細書に記載の実施形態は、高吸収材への露光を減少させるため、及び/又は多段階反射を用いて早期の光抽出を減少させるために、低屈折率を有する1つ以上の光学フィルムを用いることについて説明する。
【0014】
幾つかの構成では、低屈折率フィルムは、高吸収層と、低吸収層、例えば光ガイドとの間に配置されて、低吸収材内での光閉じ込めを増加させ、より高吸収層への大部分の露光を減少させる。光ガイドの縁部からの光輸送中に、主として光ガイドの低吸収材に露光され、高吸収材への露光は、光が表面に対して垂直に近い角度で短い経路の長さにわたって抽出されるまで発生しない。低吸収材への光閉じ込めが増大すると、高吸収材への露光が減少し、それにより、システム効率が向上する。
【0015】
幾つかの構成では、低屈折率を有するフィルムが光ガイドの主出射面に配置されて、光ガイド内で第1段階の全内部反射(TIR)をもたらす。それにもかかわらず、これらの構成では、光ガイド内の光の一部は、抽出、例えば光ガイドの抽出機構による抽出の前に光ガイドから漏れる(漏出する)ことがある。光漏れの程度は、光ガイドの屈折率と、低屈折率フィルムの屈折率との差に応じて異なる。Snellの法則により、高屈折率のガイドは、縁部に入射した光を低屈折のガイドよりも(屈折によって)平行化する。光が不十分に平行化されると、TIRの閉じ込め範囲内に収まらず、ガイドの主表面から漏出する。
【0016】
本明細書に記載の一部の光学構造体は、光ガイドの抽出機構によって抽出されるまで光学構造体内に閉じ込められる光量を増加させる、多段階TIRアプローチについて説明する。以下に詳述するように、第1段階のTIRは、光ガイド上に直接又は間接的に配置される低屈折率光学フィルムの表面における光の反射時にもたらされる。第2段階のTIRは、適切に配向された屈折構造体を有する光方向転換フィルムの表面において発生する。更なる段階のTIRも、追加層を組み込むことにより可能である。
【0017】
図1Aは、本発明の実施形態による光学構造体100Aの断面図を図示する。光学構造体100Aは、吸収率A1及び屈折率N1を有する低吸収層101を含む。低吸収層101は、例えば光ガイドを含んでよい。光学構造体100Aは、高吸収層103を含む。例えば偏光子、構造化フィルム、及び/又は光方向転換フィルムを含み得る高吸収層103は、吸収率A3及び屈折率N3を有する。高吸収層103の吸収率は、低吸収層101の吸収率よりも大きい。幾つかの実施形態では、高吸収層103の吸収率は、低吸収層101の吸収率の約2倍である。高吸収層103は、青色光又はUV用の耐候性吸収剤、吸収偏光子、反射偏光子、蛍光物質、構造化面用の微細複製樹脂、多層フィルム、及び/又はその他の層を含み得る。特に標識及びグラフィック用途では、高吸収層は、染料、顔料、及び酸化チタンインジウム(TIO2)などの散乱材料を含有する印刷用インク及び塗料を含み得る。
【0018】
低吸収層101と高吸収層103との間には、低屈折率光学フィルム120が配置される。低屈折率光学フィルム120は、吸収率A2及び屈折率N2を有し、N2<N1である。幾つかの実施形態では、N2は約1.10〜N1である。幾つかの実施形態では、N2は約1.35未満である。光学構造体100A内の隣接する2つの主表面の相当部分は、互いに物理的に接触している。例えば、隣接する層101及び120それぞれの隣接する主表面105及び106の相当部分は、互いに物理的に接触している。更に又は別の方法として、隣接する層120及び103それぞれの隣接する主表面107及び108の相当部分は、互いに物理的に接触している。「相当部分が物理的に接触している」又は「相当な物理的接触」という語句は、隣接する主表面の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%が互いに物理的に接触していることを意味する。
【0019】
幾つかの場合において、低屈折率光学フィルム120は、低吸収層101上に直接形成されるか、コーティングされる。幾つかの場合において、光学フィルム120は、高吸収層103上に直接形成されるか、コーティングされる。幾つかの場合において、1つ以上の層、例えば接着剤層は、低吸収層101と光学フィルム120との間、及び/又は高吸収層103と光学フィルム120との間に配置され得る。これらの構造体では、光学構造体内の隣接する2つの主表面の相当部分が、互いに物理的に接触している。例えば、光ガイド101と低屈折率光学フィルム120との間に配置された接着剤層を有する光学構造体では、相当な物理的接触が、接着剤層の第1の主表面と光ガイド101の表面105との間で発生する、及び/又は接着剤層の第2の主表面と低屈折率光学フィルム120の表面106との間で発生する。幾つかの場合において、ディフューザー層は、低屈折率層120と高吸収層103との間に配置されてよい。ディフューザー層は、マトリックス中に散乱粒子を含む任意の種類のディフューザー、又は同時係属中の特許出願で2009年4月15日に出願された、米国特許出願第61/169466号、発明の名称「Optical Film」(代理人整理番号65062US002)に記載されるものなど複数の空隙を含むディフューザー層であってよい。
【0020】
図1Bは、本発明の実施形態による光学構造体100Bの断面図を示す。光学構造体100Bは、光ガイド110と、光ガイド110上に配置された低屈折率光学フィルム120と、を含む。光方向転換フィルム130は、低屈折率光学フィルム120上に配置される。光ガイド110はN1の屈折率を有し、低屈折率光学フィルム120はN2の屈折率を有する。N2は<N1であるか、N2は、例えば1.35未満、又は1.30未満、又は1.25未満、又は1.20未満、又は1.15未満、又は約1.10〜N1である。光学構造体100B内の隣接する2つの主表面の相当部分は、互いに物理的に接触している。例えば、1つの実施態様では、隣接する層110及び120それぞれの隣接する主表面112及び121の相当部分は、互いに物理的に接触している、並びに/又は隣接する層120及び130それぞれの隣接する主表面122及び131の相当部分は、互いに物理的に接触している。
【0021】
幾つかの場合において、低屈折率光学フィルム120は、光ガイド110上に直接形成されるか、コーティングされる。幾つかの場合において、低屈折率光学フィルム120は、光方向転換フィルム130上に直接形成されるか、コーティングされる。幾つかの場合において、光方向転換フィルム130は、光ガイド110の吸収率よりも大きい吸収率を有し、屈折率は、例えば約1.5〜1.8である。
【0022】
幾つかの実施態様では、
図1Cの光学構造体100Cの断面図によって示されるように、光ガイド110と低屈折率光学フィルム120との間に1つ以上の追加層が配置されてよい。この例では、低屈折率光学フィルム120は、接着剤層115によって光ガイド110に接着される。低屈折率光学フィルム120は、接着剤層125によって光方向転換フィルム130に接着される。光学構造体100C内の隣接する層の隣接する主表面の相当部分は、互いに物理的に接触している。
【0023】
光学構造体100Cでは、光ガイド110の主表面112は、接着剤層115の主表面113と相当な物理的接触状態にあり、接着剤層115の主表面114は、低屈折率フィルム120の主表面121と相当な物理的接触状態にあり、低屈折率フィルム120の表面122は、接着剤層125の表面123と相当な物理的接触状態にあり、接着剤層125の表面124は、光方向転換フィルム130の表面131と相当な物理的接触状態にある。
【0024】
図1Dは、低屈折率光学フィルム120と光方向転換フィルム130との間に配置された1つ以上の高吸収層160を含む光学構造体100Dを図示する。高吸収層160は、例えば、吸収偏光子、反射偏光子、青色光又はUV光用の耐候性吸収剤、蛍光物質、構造化面を有する微細複製樹脂を含む層を含み得る。高吸収層160は、染料、顔料、及びTIO2など散乱材料を含む印刷用インク及び塗料も含み得る。これらの種類の吸収層は、標識及びグラフィックス用途で特に重要である。光学構造体100Cは、低屈折率層120の表面121に接着される取り外し可能な裏材層(図示せず)を有する接着剤層を含んで、接着性裏材の除去後すぐに光ガイドに接着的に取り付けられる光管理スタックをもたらすことができる。ある場合には、低屈折率光学フィルム120は高吸収層160上に形成されてよく、ある場合には、低屈折率光学フィルム120は高吸収層160に接着的に取り付けられてよい。
【0025】
図1Eは、光ガイド110上に配置された、
図1Dに図示する光学構造体100Dを含む光学構造体100Eを示す。光ガイド110は吸収率A1を有し、高吸収層160は吸収率A3を有するが、A1はA3よりも小さい。幾つかの場合において、A3は、A1の約2倍である。
【0026】
反射偏光子が高吸収層160として用いられる場合、反射偏光子160は、第1の偏光状態を有する光を実質的に反射し、第2の偏光状態を有する光を実質的に透過させ、2つの偏光状態は、相互に直交する。例えば、反射偏光子160によって実質的に反射される偏光状態に関する可視域における反射偏光子160の平均反射率は、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%である。別の例として、反射偏光子160によって実質的に透過される偏光状態に関する可視域における反射偏光子160の平均透過率は、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%である。幾つかの場合において、反射偏光子160は、第1の直線偏光状態を有する光を(例えば、x方向に沿って)実質的に反射し、第2の直線偏光状態を有する光を(例えば、y方向に沿って)実質的に透過する。
【0027】
反射偏光層160には、任意の好適な種類の反射偏光子、例えば、多層光学フィルム(MOF)反射偏光子、連続相及び分散相を有する拡散反射偏光フィルム(DRPF)(3M Company(St.Paul,Minnesota)から入手可能なVikuiti(商標)Diffuse Reflective Polarizer Film(「DRPF」)など)、例えば米国特許第6,719,426号に記載されるワイヤグリッド反射偏光子、繊維、配合物、又はコレステリック反射偏光子などを用いることができる。
【0028】
幾つかの場合において、反射偏光板子160は、異なるポリマー材料の交互層で形成されたMOF反射偏光子であるか、又はこれを含んだものでよく、ここで、交互層の組の1つは複屈折材料で形成され、異なる材料の屈折率は、1つの直線偏光状態に偏光された光に関しては一致しており、直交する直線偏光状態の光に関しては一致していない。そのような場合、一致する偏光状態にある入射光は、反射偏光子160を実質的に透過し、一致しない偏光状態にある入射光は、反射偏光子層160によって実質的に反射される。MOFは、コリメーティング又は非コリメーティング偏光子を含んでよく、広帯域偏光子であってよい。幾つかの場合において、MOF反射偏光子160は、無機誘電体層のスタックを含んでよい。
【0029】
別の例として、反射偏光子160は、通過状態で中間の軸上平均反射率を有する部分反射層であるか、又はこれを含んでよい。例えば、部分反射層は、x方向に沿って偏光された可視光に対して少なくとも約90%の軸上平均反射率を有し、y方向に沿って第2の平面にて偏光された可視光に対して約25%〜約90%の範囲の軸上平均反射率を有し得る。そのような部分反射層は、例えば、米国特許出願第2008/064133号に記載されており、当該特許の開示は参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。
【0030】
幾つかの場合において、反射偏光子160は、円反射偏光子であるか、これを含んでよく、ある観点(時計回り又は反時計回りの観点であってもよく、右円偏光又は左円偏光とも呼ばれる)では円偏光した光が優先的に透過され、反対の観点で偏光された光は優先的に反射される。円偏光子の1つのタイプには、コレステリック液晶偏光子が挙げられる。
【0031】
幾つかの場合において、反射偏光子160は、2009年11月19日に出願された米国特許仮出願第61/116132号、2008年11月19日に出願された同第61/116291号、2008年11月19日に出願された同第61/116294号、2008年11月19日に出願された同第61/116295号、2008年11月19日に出願された同第61/116295号、並びに2007年5月20日に出願された同第60/939085号、2009年10月24日に出願された「Light Source and Display System Incorporating Same」(代理人整理番号65782US002)、2009年10月24日に出願された「Gradient Low Index Article and Method」(代理人整理番号65716US002)、2009年10月24日に出願された「Process for Gradient Nanovoided Article」(代理人整理番号65766US002)、2009年10月24日に出願された「Immersed Reflective Polarizer with High Off−Axis Reflectivity」(代理人整理番号65809US002)、2009年10月24日に出願された「Immersed Reflective Polarizer With Angular Confinement in Selected Planes of Incidence」(代理人整理番号65900US002)、及び2008年5月19日に出願された「Voided Diffuser」(代理人整理番号65822US002)の優先権を主張する、2008年5月19日に出願された国際出願PCT/US 2008/064115号に記載されるもののように、光学干渉よって光を反射又は透過する多層光学フィルムであってよく、これらは参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0032】
光学構造体100D及び100E内の隣接する主表面の相当部分は、互いに物理的に接触している。幾つかの場合において、低屈折率光学フィルム120は、高吸収層160の表面144上に直接コーティングされるか、又は低屈折率光学フィルム120は、光ガイド110上にコーティングされるか、形成されてよい。
【0033】
構造体1Eの高吸収層160と低吸収光学フィルム120との間、及び/又は光ガイド110と低吸収光学フィルム120との間に配置される1つ以上の追加層が存在してよい。例えば、
図1Fは、光学フィルム120と高吸収層160との間に配置される光学接着剤層162、例えば光学フィルム120を偏光子層160に接着するための偏光子層を含む、光学構造体100Fの概略側面図である。
図1Fは、光方向転換フィルム130と高吸収層160との間に配置される光学接着剤166、及び光ガイド110と低屈折率光学フィルム120との間に配置される光学接着剤115も図示する。光学構造体100Fの、隣接する層のそれぞれの隣接する主表面の相当部分は、互いに物理的に接触している。接着剤層115、162、及び166の全てが光学構造体に用いられる必要はない。
【0034】
光学接着剤層115、162、166(
図1F)及び125(
図1C)は、ある用途において望ましい及び/又は使用可能であり得る任意の光学接着剤を含んでよい。例示的な光学接着剤には、感圧接着剤(PSA)、感熱接着剤、溶媒揮発性接着剤、及びNorland Products,Inc.から入手可能なUV硬化性光学接着剤などのUV硬化性接着剤が挙げられる。例示的なPSAとしては、天然ゴム、合成ゴム、スチレンブロックコポリマー、(メタ)アクリルブロックコポリマー、ポリビニルエーテル、ポリオレフィン、及びポリ(メタ)アクリレートをベースにするものが挙げられる。本明細書で使用される場合、(メタ)アクリル(又はアクリレート)は、アクリル種及びメタクリル種の両方を指す。他の例示的なPSAとしては、(メタ)アクリレート、ゴム、熱可塑性エラストマー、シリコーン、ウレタン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの場合において、PSAは、(メタ)アクリルPSA又は少なくとも1つのポリ(メタ)アクリレートに基づくものである。例示的なシリコーンPSAには、ポリマー又はゴム、及び任意選択による粘着付与樹脂が挙げられる。他の例示的なシリコーンPSAとしては、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド及び任意選択による粘着付与剤が挙げられる。接着剤は、例えば、米国特許第6,197,397号、米国特許出願公開第2007/0000606号、及び国際公開第00/56556号に記載されるものなど再使用可能及び/又は再配置可能な接着剤であっても、これらを含んでもよく、これらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。フィルムを基材に接着するための「再使用可能な接着剤」又は「再配置可能な接着剤」という語句は、(a)基材を損傷せずに又はフィルムから基材への過度な粘着剤の転写を呈さずに、基材からのフィルムの便利な手による除去を可能にした状態で、基材へのフィルムの一時的でしっかりとした取り付けを提供し、(b)次に、例えば、別の基材上でのフィルムのその後の再使用を可能にする接着剤を意味する。例えば、接着剤115が再配置可能な接着剤の場合、低屈折率フィルム120を光ガイド110に再配置できるため、低屈折率フィルム120は再配置可能である。
【0035】
光学構造体100Gが、
図1Gに図示される。光学構造体100Gは、直接的に、又は1つ以上の追加介在層(
図1Gには図示せず)を介して間接的に光ガイド110上に配置された光学フィルム120を有する光ガイド110を含む。光学構造体100Gの、隣接する層のそれぞれの隣接する主表面の相当部分は、互いに物理的に接触している。光は、
図1Gに図示されるように光ガイド110の入射縁部173付近に配向されることができるか、光ガイド110から離れていてよい(光は光ファイバ又は空洞などの送達手段を通じて光ガイド110に送達される)1つ以上の光源192によって生成される。光線は、入射縁部173において光ガイド110に入射し、全内部反射(TIR)によって光伝搬方向175に沿って伝搬される。入射縁部173は、平坦な入射縁部、構造化面を含んでよく、及び/又は光源用の凹部を含んでもよい。
【0036】
光ガイド110の主表面111、112は、
図1Gに図示されるように実質的に平行であってよく、又は光ガイド110は楔形であってもよい。光ガイド110は、平坦であっても湾曲していてもよい。
【0037】
バックライトは、例えば光学構造体100Gなど1つ以上の光学構造体を含んでよい。バックライト100Gは、例えば光学構造体100Gの光方向転換フィルムの上に配置された液晶ディスプレイ(LCD)パネルに光を供給することができる。
【0038】
バックライトは、1つ以上の光ガイド及び/若しくは1つ以上の光源を含んでよく、並びに/又は光源及び/若しくは他のバックライト素子の動作を集合的に若しくは個別に制御する制御システムを含み得る。
【0039】
例えば、バックライトは、改善されたコントラスト及びエネルギー効率をもたらす、タイル状システム支援ダイナミックバックライティングであり得る。タイル状バックライトは、重なる光ガイドタイルを有してよい。各光ガイド又は光ガイドの群は、個別に制御可能な光源と対になってよい。ディフューザーは、重なるタイルの境界面において不連続性を一体化するために用いられることができる。
【0040】
別の実施例では、バックライトは、バックライトが立て続けに赤色、緑色、青色のパルスを発するフィールド順次システムを含んでよく、LCDのピクセルシャッターは、バックライトのパルスと同期して開閉する。バックライトから所与の色パルスが発せられるときに開放されるピクセルは、表示される画像に応じて異なる。
【0041】
更に別の実施例では、バックライトは区画化されたシステムであってよい。区画化されたシステムは、バックライトの一部分を選択的に暗くして、省電力化と改善されたコントラストの両方をもたらす。この減光は、ゾーニングと呼ばれるが、これは、バックライトが光の1つの大きなパネルではなく、空間的区画で制御されるからである。区画は、1次元又は2次元であってよい。1次元の区画は、通常、バックライト全体を水平に走るストライプである。
【0042】
光ガイド110は、1つの主発光面を有するが、幾つかの実施形態では、光ガイドは、両方の主表面から発光して、例えば両面ディスプレイ用に光を供給することができる。光ガイド110の出射面の一部分は、反射材料で被覆されてよい。反射光の一部は、光ガイド110に戻され(リサイクルされ)、反射材料で被覆されていない光ガイド110の部分を通して出射する。したがって、この部分の輝度が増大する。また、1つ以上の光ガイドの縁部は、光ガイド110の縁部に隣接した又は接着された反射体を有して、縁部から透過された光を光ガイド110に戻すことができる。光ガイド110は、1つ以上のはす縁を有して、例えば前述のタイル状システムで有用である入れ子を形成しやすくすることができる。
【0043】
光ガイドの組成は、アクリル、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、又はこれらのコポリマーなどの物質を含み得る。光ガイドは、接着性光ガイドを含み得る。光抽出機構199は、光ガイド110の1つ又は両方の主表面に配置されることができる。光抽出は、光がTIRの臨界角未満の角度で光抽出機構199によって反射されるときに起こり、したがって、光は光ガイドの表面から漏出できる。光抽出機構199は、例えば、構造化された機構、塗装された機構、印刷された機構、エッチングされた機構、及び/又はレーザで作製された機構を含み得る。UV吸収剤、帯電防止剤、及び/又は脱酸素剤などの選択的な吸収剤は、光ガイド110の任意の素子の中又は上に組み込まれてよい。
【0044】
図1Gに描かれる光源192は、本明細書に記載の光学構造体のいずれかと共に用いられることができる。簡略化するために、
図1Gには光源が1つしか図示されていないが、多数の光源を用いることができる。例えば、1つの光ガイド縁部のみに光を供給する1つの光源だけが用いられてもよく、1つの光ガイド縁部のみに光を供給する多数の光源が用いられてもよく、多数の光ガイド縁部のそれぞれに光を供給する1つの光源だけが用いられてもよく、又は多数の光ガイド縁部に光を供給する多数の光源が用いられてもよい。例えば、矩形の光ガイドは、2つの主表面と、4つの縁部とを有する。4つの縁部のいずれか1つ又は全ては、入射縁部として用いられることができる。
【0045】
光は、1つの光ガイド縁部以外の光ガイドの領域から光ガイドに入射してよい。
図4Cは、多数のチャネル520を含む光ガイド510を図示する。側面発光LED 530はチャネル520に凹設され、入射領域550において光ガイド510の内部に光540を放射する。
【0046】
別の実施態様では、
図4Dに図示するように、光ガイド上の1つ以上のレリーフ形状を用いて、光ガイド面から入射した光を方向転換することができる。この例では、LED 630は前方放射型であり、光ガイド620の上面611は、レリーフ形状620を含む。レリーフ形状620が、底面612から入射した光をTIRの角度内まで方向転換する。表面のレリーフ形状620において起こるこの方向転換反射は、TIRによって機能するように選択されることができるか、あるいは銀などの反射コーティングが、表面のレリーフ形状620のコーティングに用いられることができる。
【0047】
図1Gを再び参照すると、光源192は任意の好適な種類であってよく、1つ以上の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)、及び/又は赤色、緑色、青色(RGB)、(赤色、緑色、青色、シアン、黄色(RGBCY)、ダウンコンバート光(例えば、ダウンコンバートされたUV光、青色光、若しくは紫色光)を放射するLEDを含む、1つ以上の発光ダイオード(LED)を含み得る。光源192は、1つ以上のII〜VI発光装置、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、レーザ、フォトニック格子構造体(ダウンコンバータつき又はダウンコンバータなし)などの半導体レーザを含み得る。光源192は、様々な種類の光源、例えば光ガイド110に連結された、及び/又は光ガイド110内に組み込まれたLED光源を含み得る。
【0048】
蛍光物質は、光源192に組み込まれてよく、及び/又は光ガイド110の光入射領域若しくは出射領域付近の遠隔構成要素として含まれてよい。1つ以上の光センサを制御システムと共に用いて、例えば1つ以上の光源192によって放射された光の強度など、放射された光を集合的に又は個別に制御してよい。
【0049】
反射体109は、光ガイド110の表面、及び/又は1つ以上の縁部に沿って配置され得る。多数の光源が用いられる場合、反射体109は、入射縁部付近に配置された多数の光源の間など、多数の光源の間に配置されてよい。反射体は、反射鏡、半反射鏡、又はディフューザー(diffuse)であってよい。幾つかの場合において、光ガイド110は反射体109に接着されている。かかる場合には、高鏡面反射体(enhanced specular reflector)(ESR)が用いられてよい。漏れが生じる鏡による損失を制御するには、光ガイド110と反射体109との間に低屈折率層を用いてESRを光ガイド110に接着できる。幾つかの場合において、反射体/光ガイド構造体は、良好な構造的安定性をもたらし、かつ光学構造体及び/又は他のディスプレイ構成要素の熱変形を防止する、ノートブックコンピュータ又は他の装置のシャーシに組み込まれてよい。
【0050】
光学構造体100Gは、この実施例ではピークが光ガイド110から離れて配向されている(プリズムは上向き)線状プリズムとして図示される、構造化機構171を有する光方向転換フィルム170を含む。構造化機構は、プリズム及び/又はレンチキュラーを含む、TIRを促進する任意の複製表面構造体であってよい。これらの表面構造体は、連続的、区分的に連続的であってよく、機構の寸法は、無秩序な変化を有してよい。主として線状構造体が用いられるが、面内のS字状の変化、及び/又はピーク172に沿った若しくは線状構造体のピーク間での高さの変化が付与されてもよい。構造化機構171は、光ガイドから漏出するために必要な臨界角未満であるが、光方向転換層170の構造化面におけるTIRの臨界角よりも大きい角度で光ガイドを出射する光線を反射するように配向される。これらの光線は、光方向転換フィルム170の自由表面から出射しないが、光学構造体100G内での第2段階の反射を受ける。線状プリズムの場合、第2段階のTIRをもたらす構造化機構の配向は、光ガイド110内の光伝搬方向175に対して実質的に平行である。
【0051】
プリズムが光ガイド110の主出射面112から離れて配向されている光学フィルムは、光リサイクルフィルムとして機能して、所望の範囲内の光出射角で光源の輝度を向上できる。線状プリズム171のピーク172の振幅は、プリズムごとに異なってよいか、特定のプリズム171のピーク172に沿って異なってよい。幾つかの実施例においては、第1の群のピーク172は、第2の群のピーク172よりも大きい高さを有してよい。これらの変化は、ウエットアウト又はモアレ効果など視覚上の欠陥を低減するために望ましいことがある。
【0052】
光方向転換層170は、例えば、好適なポリマー、アクリル、ポリカーボネート、UV硬化アクリレートなどの物質で作製され得る。バルク拡散物質を光方向転換層170に組み込んでよいが、多くの場合、これにより光学フィルムの性能が低下する。アクリル及びポリカーボネートの一体押出層を用いてよい。あるいは、光方向転換層は、2部分からなる構造体であってよく、これらによる構造化面は、基材上で鋳造され硬化される。例えば、ポリエステル基材上に鋳造された紫外線硬化性アクリルを使用することができる。ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terphthalate)(「PET」)は、その上で構造化機構が硬化される基材として用いられることができる。2軸配向PETは、多くの場合、その機械的及び光学的特性のために好ましい。基材として使用され得る平滑なポリエステルフィルムは、ICI Americas Inc.(Hopewell,Va.)からMELINEX 617の商標名で市販されている。基材として使用されるフィルムに塗布され得る艶消し仕上げコーティングは、Tekra Corporation(New Berlin,Wis.)からMARNOT.75 GUの商標名で市販されている。艶消し仕上げコーティングを使用すると、本明細書に記載の技術を用いて達成可能な輝度の向上をもたらし得るが、艶消し仕上げは、それ以外の特定の用途にとって望ましい場合がある。光方向転換層170の屈折率は、層の組成を変えることにより調整されることができる。
【0053】
前述したように、1つ以上の介在層(1つ以上の光方向転換層など)は、光方向転換フィルム170と低屈折率光学フィルム120との間に配置されてよい。
【0054】
図1Hは光学構造体100Hを図示しており、ここで光方向転換フィルム180は、光ガイド110の主光出射面112に向かって配向されている(プリズムは下向き)構造化機構181を含む。光学構造体100Hの、隣接する層のそれぞれの隣接する主表面の相当部分は、互いに物理的に接触している。プリズムが光ガイド110の主出射面112に向かって配向されている光学フィルムは、光ガイド110から出射する光を平行化する転向フィルムとして機能できる。構造化機構、例えば線状プリズム181は、光伝搬軸175に対して実質的に垂直に配置される。光学構造体100Hでは、光学フィルム120の材料は転向フィルム180のプリズム間に配置され、光ガイド110の主出射面112上に直接配置されるか、1つ以上の介在層(
図1Hに図示せず)を介して光ガイド110の主表面112上に間接的に配置されるかのいずれかである、平面182を有する。
【0055】
図1Iは、第2の低屈折率フィルム150が光方向転換フィルム130の表面上に配置されている、光学構造体100Iを図示する。光学構造体100Iは、光ガイド110と、第1の低屈折率光学フィルム120と、光方向転換フィルム130と、を含む。光学構造体100Iの層間には、1つ以上の追加層を配置してよく、例えば、第1の低屈折率光学フィルム120と光方向転換フィルム130との間に高吸収層を配置し、並びに/又は光ガイド110と第1の低屈折率光学フィルム120との間及び/若しくは第1の低屈折率光学フィルム120と光方向転換フィルム130との間に1つ以上の接着剤層を配置してよい。第2の低屈折率光学フィルム150は、光方向転換フィルムの構造化機構171間に配置され、光学構造体100Iの表面を平坦化する。光学構造体100Iは、塵埃感度の低下及び高角度光の低減という利点を有する。更に、低屈折率フィルム150では、例えば携帯電話用のLCDパネルに構造体を直接接着できる。この構造体は、小型で薄い、内蔵型照明/画像生成モジュールを提供するために用いられ得る。
【0056】
幾つかの実施形態、例えば、両面ディスプレイ又は標識では、
図1Jに図示されるように、光ガイドは両方の主表面から発光してよい。光学構造体100Jは、2つの主出射面197、196を有する光ガイド198を含む。低屈折率フィルム120A、120Bは、それぞれ光ガイド198の2つの主出射面197、196上に直接又は間接的に配置される。両面光ガイドの抽出機構は、例えば両方の表面197、198上に不透明の低屈折率コーティングを含んでよい。高吸収層及び/又は光方向転換フィルム130A、130Bは、低屈折率フィルム120A、120B上に直接又は間接的に配置される。光学構造体100Jの、隣接する層のそれぞれの隣接する主表面の相当部分は、互いに物理的に接触している。光学構造体100Jは、例えば両面標識又はディスプレイ用に両面照明を提供するのに有用である。光学接着剤層が、
図1Jに図示される光学構造体100Jの1つ以上の層間で所望により用いられて、隣接する層同士を接着する。
【0057】
図2は、本発明の実施形態による光学構造体内で起こる光の2段階反射を図示する。光は、光源290によって生成され、光入射縁部212において光ガイド210に結合される。光ガイド210は、屈折率N1及び吸収率A1を有する。
【0058】
光学構造体200は、屈折率N2及び吸収率A2を有し、かつ光ガイド210上に直接又は間接的に配置される、低屈折率光学フィルム220を含み、N2<N1である。例えば、幾つかの実施態様では、光ガイド210はアクリルであり、1.49の屈折率を有する。低屈折率光学フィルム220は、1.49未満、例えば1.35未満、又は約1.10〜約1.35の範囲の屈折率を有し得る。反射偏光子240は、屈折率光学フィルム220上に直接又は間接的に配置される。反射偏光子240は、光ガイド210の吸収率A1及び低屈折率光学フィルム220の吸収率A2よりも高い吸収率A3を有する。光方向転換フィルム230は、反射偏光子240上に直接又は間接的に配置される。光学構造体200の隣接する層の隣接する主表面の相当部分は、互いに物理的に接触している。
【0059】
光学構造体200は、2段階の光反射をもたらして光源から漏れた光を減少させるため、効率を向上させ、光学的欠陥を低減する。第1段階の反射は、光ガイド210の主光出射面213において起こる。低屈折率光学フィルム220の屈折率N2は、光ガイド210の屈折率N1より小さい。屈折率N1とN2との差異が原因で、光ガイド210に入射する光の大部分は、光ガイドの表面213において起こるTIRによって光ガイド210内で伝搬される。しかし、光ガイド210に結合された光は、TIRの臨界角未満の入射角で表面213へと伝搬し得る。この光は、表面213において反射されず、早期に、即ち光抽出機構211によって抽出される前に光ガイドから漏れ出す。光学構造体200から漏出されれば、早期に抽出された光は、視覚的歪み及び不均一性を生み出すであろう。視覚的歪み及び不均一性の程度は、光ガイド210の屈折率と低屈折率光学フィルム220の屈折率との差異に応じて異なるであろう。しかし、この潜在的問題は、光方向転換フィルム230によってもたらされる第2段階のTIRによって緩和される。
【0060】
第1段階のTIRは、入射縁部212において光ガイドに入射する光線281の光路によって図示される。光ガイド210の主光出射面213における光線281の初期入射角θ
0はTIRの臨界角よりも大きいので、スネルの法則により光線281は表面213において反射される。反射後、光線281は、抽出機構211に達するまで光ガイド210を通って伝搬し続ける。光線281は、抽出機構211によって反射され、再び主光出射面213に達する。しかし、抽出機構212によって反射された後には、表面213における光線281の入射角は臨界角よりも小さいので、光線281は光ガイド210から漏出できる。光線281は、光線281が光学構造体200を出射する際に、光方向転換フィルム230によって屈折され得る。
【0061】
第2段階のTIRは、光線282の光路によって図示される。光ガイド210の表面213における光線282の初期入射角はTIRの臨界角よりも小さいので、光線282を光ガイド210から漏出させる。光線282は低屈折率フィルム220及び偏光子240を通って進み続け、光方向転換フィルム230に入射する。光方向転換フィルム230の構造化機構は、光方向転換層130の構造化表面における臨界角よりも小さい角度で光ガイドから漏出する光を反射するように配向される。光方向転換層の屈折構造体上での光線282の入射角は、光方向転換フィルム230の表面におけるTIRの臨界角よりも小さく、光線282は光方向転換フィルム230によって反射されて、光ガイド210に再入射し、抽出構造体211に達するまで伝搬し続け、光方向転換フィルム230によるTIRを受けない角度で光ガイド210を出射する。
【0062】
2段階の光反射は
図2に図示されるが、1つ以上の更なる段階の光反射は、1つ以上の追加層を追加することにより達成できることが理解されるであろう。
【0063】
低屈折率フィルムのより詳細な図を、
図3に図示する。低屈折率フィルム300Aは、低屈折率フィルム300A内に空隙320の網状組織が存在することで多孔性内部を有する。低屈折率フィルム300Aはまた、結合剤310中に分散された複数の粒子340を含む。一般に、低屈折率フィルム300Aは、相互接続した細孔又は空隙の1つ以上の網状組織を含むことができる。例えば、空隙320の網状組織は、相互接続した空隙又は細孔320A〜320Cを含むと考えることができる。空隙320は、中空のトンネル又は中空のトンネル様通路を介して相互に連結され得る。空隙320は、必ずしも物質及び/又は微粒子を全く含んでいないわけではない。例えば、幾つかの場合において、空隙は、例えば、結合剤及び/又はナノ粒子を含む1つ以上の小さい繊維状又は紐状の物体を含んでもよい。幾つかの構成では、低屈折率フィルム300Aは、多数の相互接続した複数の空隙又は多数の空隙の網状組織を含み、複数の又は網状組織のそれぞれの中の空隙は相互接続されている。幾つかの場合において、多数の相互接続した複数の空隙に加えて、低屈折率フィルム300Aは、複数の閉鎖した、つまり連続していない空隙を含み、即ち、空隙はトンネルを介して他の空隙に接続されていない。
【0064】
低屈折率光学フィルム300Aは、複数の空隙を含むことで全内部反射(TIR)を支持する。光学的に透明な非多孔性媒体の中を進行する光が、高い多孔性を有する層に入射すると、この入射光の反射率は、垂直入射よりも入射角が斜めのときにはるかに高くなる。ヘイズなし又は低ヘイズの空隙を有するフィルムの場合、臨界角を超える斜角における反射率は、約100%に近い。そのような場合、入射光は全内部反射(TIR)を受ける。
【0065】
低屈折率光学フィルム内の空隙は、屈折率n
v及び誘電率ε
vを有し、ここでn
v2=ε
vであり、結合剤は、屈折率n
b及び誘電率ε
bを有し、n
b2=ε
bである。一般に、光学フィルムに入射する又は光学フィルム内を伝播する光などの光との光学フィルムの相互作用は、例えば、フィルムの厚さ、結合剤の屈折率、空隙又は孔の屈折率、孔の形状及び寸法、孔の空間分布、並びに光の波長など、多数のフィルム特性に依存する。幾つかの場合において、光学フィルムに入射する又は光学フィルム内を伝搬する光は、有効誘電率ε
eff及び有効屈折率n
effを「見る」、つまり「体験し」、ここでn
effは、空隙の屈折率n
v、結合剤の屈折率n
b、及びフィルムの多孔率、つまり空隙の体積分率「f」で表現され得る。そのような場合、光が単一の又は単離した空隙の形状及び機構を変化させることができないように、光学フィルムは十分に厚く、空隙は十分に小さい。そのような場合、空隙の少なくとも60%、又は70%、又は80%、又は90%といった少なくとも大多数の空隙の寸法は、約λ/5以下、又は約λ/6以下、又は約λ/8以下、又は約λ/10、又は約λ/20であり、ここでλは光の波長である。
【0066】
幾つかの場合において、光学フィルムに入射する光は可視光であり、つまり、その光の波長は、電磁スペクトルの可視域にある。そのような場合、可視光は、約380nm〜約750nm、又は約400nm〜約700nm、又は約420nm〜約680nmの範囲の波長を有する。そのような場合、空隙の少なくとも60%、又は70%、又は80%、又は90%といった少なくとも大多数の空隙の寸法が、約70nm以下、又は約60nm以下、又は約50nm以下、又は約40nm以下、又は約30nm以下、又は約20nm以下、又は約10nm以下である場合、光学フィルムは、適度に有効屈折率を与えられ得る。
【0067】
幾つかの場合において、光学フィルムが、空隙及び結合剤の屈折率、並びに空隙又は孔の体積分率又は多孔率で表現され得る有効屈折率を適度に有することができるように、低屈折率光学フィルムは十分に厚い。そのような場合、低屈折率光学フィルムの厚さは、約100nm以上、又は約200nm以上、又は約500nm以上、又は約700nm以上、又は約1000nm以上である。
【0068】
低屈折率光学フィルム中の空隙が十分に小さく、光学フィルムが十分に厚い場合、光学フィルムは、以下のように表現され得る有効誘電率ε
effを有する。
【0069】
ε
eff=fε
v+(1−f)ε
b (1)
そのような場合、光学フィルムの有効屈折率n
effは以下のように表わされ得る。
【0070】
n
eff2=fn
v2+(1−f)n
b2 (2)
孔の屈折率と結合剤の屈折率との差が十分に小さい場合など、場合によっては、光学フィルムの有効屈折率は、以下の式で近似され得る。
【0071】
n
eff=fn
v+(1−f)n
b (3)
そのような場合、低屈折率光学フィルムの有効屈折率は、空隙及び結合剤の屈折率の体積加重平均となる。例えば、空隙の体積分率が約50%である光学フィルム及び屈折率が約1.5である結合剤は、約1.25の有効屈折率を有する。
【0072】
幾つかの場合において、低屈折率光学フィルム300Aの光学ヘイズは、約5%以下、又は約4%以下、又は約3.5%以下、又は約4%以下、又は約3%以下、又は約2.5%以下、又は約2%以下、又は約1.5%以下、又は約1%以下である。そのような場合、低屈折率光学フィルムの有効屈折率は、約1.35以下、又は約1.3以下、又は約1.25以下、又は約1.2以下、又は約1.15以下、又は約1.1以下、又は約1.05以下である。そのような場合において、低屈折率光学フィルム300Aの厚さは、約100nm以上、又は約200nm以上、又は約500nm以上、又は約700nm以上、又は約1,000nm以上、又は約1500nm以上、又は約2000nm以上である。
【0073】
相互接続した空隙の局所体積分率、例えば、相互接続した空隙の第1の局所体積分率370A及び相互接続した空隙の第2の体積分率375Aは、低屈折率光学フィルム300A内で厚さt
1方向に沿って変化し得る。相互接続した空隙の局所体積分率、及び空隙サイズ分布は、例えば、別の箇所に記載される
図3B〜
図3Gに示されるようないくつかの様式で、厚さ方向に沿って変化し得る。幾つかの場合において、勾配光学フィルムは多孔性フィルムである。即ち、空隙320の網状組織は、第1の主表面330と第2の主表面332との間に1つ以上の通路を形成する。
【0074】
空隙320の網状組織は、複数の相互接続した空隙を含んでいると考えることができる。一部の空隙は光学フィルム300Aの表面にあってよく、表面空隙であると考えることができる。例えば、例示的な光学フィルム300Aでは、空隙320D及び320Eは、低屈折率光学フィルムの第2の主表面332にあり、表面空隙320D及び320Eであると考えることができ、また、空隙320F及び320Gは、光学フィルム300Aの第1の主表面330にあり、表面空隙320F及び320Gであると考えることができる。例えば空隙320B及び320Cなどのような幾つかの空隙は、光学フィルムの内部にあり、光学フィルムの外面から離れており、例えば、他の空隙を介して主表面に連結され得るとしても、内部空隙320B及び320Cと考えることができる。
【0075】
空隙320は寸法d
1を有し、この寸法は、通常、好適な組成物及び作製技術(例えば、コーティング条件、乾燥条件、及び硬化条件など)を選択することによって制御され得る。一般に、d
1は、任意の所望の値の範囲のうちの任意の所望の値であってよい。例えば、幾つかの場合において、空隙の少なくとも60%、又は70%、又は80%、又は90%、又は95%といった少なくとも大多数の空隙は、所望の範囲にある寸法を有する。例えば、幾つかの場合において、空隙の少なくとも60%、又は70%、又は80%、又は90%、又は95%といった少なくとも大多数の空隙は、約10マイクロメートル以下、又は約7マイクロメートル以下、又は約5マイクロメートル以下、又は約4マイクロメートル以下、又は約3マイクロメートル以下、又は約2マイクロメートル以下、又は約1マイクロメートル以下、又は約0.7マイクロメートル以下、又は約0.5マイクロメートル以下である寸法を有する。
【0076】
幾つかの場合において、複数の相互接続した空隙320は、約5マイクロメートル以下、又は約4マイクロメートル以下、又は約3マイクロメートル以下、又は約2マイクロメートル以下、又は約1マイクロメートル以下、又は約0.7マイクロメートル以下、又は約0.5マイクロメートル以下である平均空隙サイズ又は孔径を有する。
【0077】
幾つかの場合において、一部の空隙は、その主要な光学的効果が有効屈折率を低下させることであるように十分に小さくてよく、一部のその他の空隙は、有効屈折率を低減し、光を散乱させることができ、更に一部のその他の空隙は、その主要な光学的効果が光を散乱させることであるように十分に大きくてよい。
【0078】
粒子340は、任意の所望の値の範囲のうちの任意の所望の値であり得る寸法d
2を有する。例えば、幾つかの場合において、粒子の少なくとも60%、又は70%、又は80%、又は90%、又は95%といった少なくとも大多数の粒子は、所望の範囲にある寸法を有する。例えば、幾つかの場合において、粒子の少なくとも60%、又は70%、又は80%、又は90%、又は95%といった粒子の少なくとも大多数は、約5マイクロメートル以下、又は約3マイクロメートル以下、又は約2マイクロメートル以下、又は約1マイクロメートル以下、又は約700nm以下、又は約500nm以下、又は約200nm以下、又は約100nm以下、又は約50nm以下である寸法を有する。
【0079】
幾つかの場合において、複数の粒子340は、約5マイクロメートル以下、又は約3マイクロメートル以下、又は約2マイクロメートル以下、又は約1マイクロメートル以下、又は約700nm以下、又は約500nm以下、又は約200nm以下、又は約100nm以下、又は約50nm以下である平均粒径を有する。
【0080】
幾つかの場合において、一部の粒子は、それらが主に有効屈折率に影響を与えるように十分に小さくてよく、一部の他の粒子は、有効屈折率に影響を与え、光を散乱させることができ、尚且つ一部の他の粒子は、それらの主要な光学的効果が光を散乱させることであるように十分に大きくてよい。
【0081】
幾つかの場合において、d
1及び/又はd
2は、空隙及び粒子の主要な光学的効果が低屈折率フィルム300Aの有効屈折率に影響を与えることであるように、十分に小さい。例えば、そのような場合、d
1及び/又はd
2は約λ/5以下、又は約λ/6以下、又は約λ/8以下、又は約λ/10以下、又は約λ/20以下であり、ここでλは光の波長である。別の例として、そのような場合には、d
1及びd
2は、約70nm以下、又は約60nm以下、又は約50nm以下、又は約40nm以下、又は約30nm以下、又は約20nm以下、又は約10nm以下である。そのような場合、空隙及び粒子は光を散乱させ得るが、空隙及び粒子の主な光学的影響は、有効屈折率を有する光学フィルムにおける有効な媒質を規定することである。有効屈折率は、ある程度、空隙、結合剤、及び粒子の屈折率に依存する。幾つかの場合において、有効屈折率は低減された有効屈折率であり、即ち、有効屈折率は、結合剤の屈折率及び粒子の屈折率よりも小さい。
【0082】
空隙及び/又は粒子の主要な光学的効果が屈折率に影響を与えることである場合には、空隙320及び粒子340の少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%といった相当な部分が有効屈折率を低減するという主要な光学的効果を有するように、d
1及びd
2は十分に小さい。そのような場合には、空隙及び/又は粒子の少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%といった相当な部分は、約1nm〜約200nm、又は約1nm〜約150nm、又は約1nm〜約100nm、又は約1nm〜約50nm、又は約1nm〜約20nmの範囲の寸法を有する。
【0083】
幾つかの場合において、粒子340の屈折率n
1は、結合剤310の屈折率n
bに十分に近くてよく、その結果、有効屈折率は、粒子の屈折率に依存しないか、又はほとんど依存しない。そのような場合、n
1とn
bとの差は、約0.01以下、又は約0.007以下、又は約0.005以下、又は約0.003以下、又は約0.002以下、又は約0.001以下である。場合によっては、粒子340は十分に小さく、それらの屈折率は結合剤の屈折率に十分に近く、そのため、粒子は基本的には光を散乱させない又は屈折率に影響を与えない。そのような場合、粒子の主要な効果は、例えば低屈折率フィルム300Aの強度を高めることであり得る。幾つかの場合において、粒子340は、低屈折率光学フィルムの製造プロセスを改善することができるが、粒子を有さずに低屈折率光学フィルム300Aを製造することが可能である。
【0084】
空隙320の網状組織及び粒子340の主要な光学的効果が有効屈折率に影響を与えることであり、例えば光を散乱させることではない場合には、空隙320及び粒子340に起因する低屈折率フィルム300Aの光学ヘイズは、約5%以下、又は約4%以下、又は約3.5%以下、又は約4%以下、又は約3%以下、又は約2.5%以下、又は約2%以下、又は約1.5%以下、又は約1%以下である。そのような場合、低屈折率光学フィルム300Aの有効媒質の有効屈折率は、約1.35以下、又は約1.3以下、又は約1.25以下、又は約1.2以下、又は約1.15以下、又は約1.1以下、又は約1.05以下である。
【0085】
低屈折率光学フィルムの厚さは、約100nm以上、又は約200nm以上、又は約500nm以上、又は約700nm以上、又は約1,000nm以上、又は約1500nm以上、又は約2000nm以上であってよい。
【0086】
低屈折率光学フィルム300Aに垂直入射する光について、本明細書で使用される場合、光学ヘイズは、垂直方向から4度を超えて偏向している透過光と全透過光との比として定義される。本明細書で開示されるヘイズ値は、ASTM D1003に記載されている手順に従って、Haze−guard Plusヘイズ計(BYK−Gardiner,Silver Springs,Md)を使用して測定したものである。
【0087】
低屈折率フィルム300Aは、低屈折率フィルム300Aの表面で全内部反射を受ける光線のエバネセントテールが、低屈折率フィルムの厚さにわたって光学的に結合しないか、又はほとんど光学的に結合しないように、十分に厚い。そのような場合、低屈折率フィルム300Aの厚さt
1は、約1マイクロメートル以上、又は約1.1マイクロメートル以上、又は約1.2マイクロメートル以上、又は約1.3マイクロメートル以上、又は約1.4マイクロメートル以上、又は約1.5マイクロメートル以上、又は約1.7マイクロメートル以上、又は約2マイクロメートル以上である。十分に厚い低屈折率フィルム300Aは、低屈折率光学フィルムの厚さにわたって、光学モードのエバネセントテールの望ましくない光結合を防止又は低減することができる。
【0088】
一般的に、低屈折率フィルム300Aは、ある用途で望しいものとなり得る任意の多孔率又は空隙の体積分率を有することができる。場合によっては、低屈折率光学フィルム300A中の複数の空隙320の体積分率は、約20%以上、又は約30%以上、又は約40%以上、又は約50%以上、又は約60%以上、又は約70%以上、又は約80%以上、又は約90%以上である。
【0089】
幾つかの場合において、低屈折率フィルム300Aは、結合剤310中に分散された複数の粒子340を含む。粒子340は、ある用途で望しいものとなり得る任意の寸法を有することができる。例えば、幾つかの場合において、粒子の少なくとも60%、又は70%、又は80%、又は90%、又は95%といった少なくとも大多数の粒子は、所望の範囲にある寸法を有する。例えば、幾つかの場合において、粒子の少なくとも60%、又は70%、又は80%、又は90%、又は95%といった少なくとも大多数の粒子は、約5マイクロメートル以下、又は約3マイクロメートル以下、又は約2マイクロメートル以下、又は約1マイクロメートル以下、又は約700nm以下、又は約500nm以下、又は約200nm以下、又は約100nm以下、又は約50nm以下である寸法を有する。
【0090】
幾つかの場合において、複数の粒子340は、約5マイクロメートル以下、又は約3マイクロメートル以下、又は約2マイクロメートル以下、又は約1マイクロメートル以下、又は約700nm以下、又は約500nm以下、又は約200nm以下、又は約100nm以下、又は約50nm以下である平均粒径を有する。
【0091】
幾つかの場合において、粒子340は、粒子の主要な光学的効果が低屈折率フィルム300Aの有効屈折率に影響を及ぼすことであるように、十分に小さい。例えば、そのような場合、粒子は、約λ/5以下、又は約λ/6以下、又は約λ/8以下、又は約λ/10以下、又は約λ/20以下の平均粒径を有し、ここでλは光の波長である。別の例として、平均粒径は、約70nm以下、又は約60nm以下、又は約50nm以下、又は約40nm以下、又は約30nm以下、又は約20nm以下、又は約10nm以下である。
【0092】
例示的な低屈折率フィルム300Aでは、粒子340A及び340Bなどの粒子340は、固体粒子である。幾つかの場合において、低屈折率光学フィルム300Aは、複数の中空又は多孔性粒子350を追加的又は代替的に含んでもよい。
【0093】
粒子340は、ある用途で望しいものとなり得る任意のタイプの粒子であってよい。例えば、粒子340は、有機粒子でも無機粒子でもよい。例えば、粒子340は、シリカ、酸化ジルコニウム、又はアルミナ粒子であってよい。
【0094】
粒子340は、ある用途で望ましい可能性がある又は使用可能である任意の形状を有することができる。例えば、粒子340は、規則的な形状又は不規則な形状を有し得る。例えば、粒子340は、ほぼ球形であってよい。別の例として、粒子340は細長いものであってもよい。そのような場合には、低屈折率光学フィルム300Aは、複数の細長粒子320を含む。幾つかの場合において、細長粒子は、約1.5以上、又は約2以上、又は約2.5以上、又は約3以上、又は約3.5以上、又は約4以上、又は約4.5以上、又は約5以上の平均アスペクト比を有する。幾つかの場合において、粒子340は、真珠のネックレスの形態若しくは形状(例えばNissan Chemical(Houston,TX)から入手可能なSnowtex−PS粒子)、又は、例えばヒュームドシリカのような球形若しくは非晶質粒子の集合した鎖状であり得る。
【0095】
粒子340は、機能化されていてもされていなくてもよい。幾つかの場合において、粒子340は機能化されていない。幾つかの場合において、粒子340は機能化されており、それにより、凝集することなく、又は凝集することがほとんどなく、所望の溶媒又は結合剤310に分散させることができる。幾つかの場合において、粒子340は更に機能化されて結合剤310に化学結合することができる。例えば、粒子340Aなどの粒子340は、結合剤310に化学結合するように、表面修飾することができ、また、反応性官能基又は反応性基360を有することができる。そのような場合には、粒子340の少なくともかなりの割合は、結合剤に化学結合する。幾つかの場合において、粒子340は、結合剤310に化学結合するための反応性官能基を有さない。そのような場合には、粒子340は結合剤310に物理的に結合することができるか、又は結合剤310は粒子340を封入することができる。
【0096】
幾つかの場合において、粒子340の一部は反応性基を有し、他の粒子は反応性基を有さない。例えば、いくつかの例において、粒子の約10%は反応基を有し、粒子の約90%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約15%は反応基を有し、粒子の約85%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約20%は反応基を有し、粒子の約80%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約25%は反応基を有し、粒子の約75%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約30%は反応基を有し、粒子の約60%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約35%は反応基を有し、粒子の約65%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約40%は反応基を有し、粒子の約60%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約45%は反応基を有し、粒子の約55%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約50%は反応基を有し、粒子の約50%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約55%は反応基を有し、粒子の約45%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約60%は反応基を有し、粒子の約40%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約65%は反応基を有し、粒子の約35%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約70%は反応基を有し、粒子の約30%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約75%は反応基を有し、粒子の約25%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約80%は反応基を有し、粒子の約20%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約85%は反応基を有し、粒子の約15%は反応基を有さないか、あるいは、粒子の約90%は反応基を有し、粒子の約10%は反応基を有さない。
【0097】
幾つかの場合において、一部の粒子は、同じ粒子上の反応性基及び非反応性基の両方によって機能化されてもよい。
【0098】
粒子の集合は、寸法を混ぜたもの、反応性及び非反応性の粒子並びに異なるタイプの粒子、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、シリコーンなどのポリマー粒子を含む有機粒子、又は例えば、シリカ及び酸化ジルコニウムなどのガラス若しくはセラミックスを含む無機粒子を含んでもよい。
【0099】
結合剤310は、ある用途で望ましいものとなり得る任意の材料であってもよく又はこれを含んでもよい。例えば、結合剤310は、架橋ポリマーなどのポリマーを形成する硬化性材料であってもよい。一般に、結合剤310は任意の重合性材料(例えば、UV硬化性材料などの放射線硬化性である重合性材料など)であってもよい。
【0100】
一般に、結合剤310と複数の粒子340との重量比は、ある用途で望ましいものとなり得る任意の比であってよい。いくつかの例において、結合剤と複数の粒子との重量比は、約1:1以上、又は約1.5:1以上、又は約2:1以上、又は約2.5:1以上、又は約3:1以上、又は約3.5:1以上、又は約4:1以上である。
【0101】
幾つかの場合において、低屈折率光学フィルム300Aは、結合剤と、ヒュームドシリカ又はアルミナなどのヒュームド金属酸化物と、複数の又は網状の相互接続した空隙と、を含む。そのような場合、ヒュームド金属酸化物と結合剤との重量比は、約2:1〜約6:1の範囲内、又は約2:1〜約4:1の範囲内である。ある場合には、ヒュームド金属酸化物と結合剤との重量比は、約2:1以上、又は約3:1以上である。ある場合には、ヒュームド金属酸化物と結合剤との重量比は、約8:1以下、又は約7:1以下、又は約6:1以下である。
【0102】
ある場合には、低屈折率光学フィルム300Aは、Celanese Separation Products(Charlotte,N.C.)から入手可能なCELGARDフィルムなどの多孔質ポリプロピレン及び/又はポリエチレンフィルムであっても、それらを含むものであってもよい。例えば、低屈折率光学フィルム300Aは、約25マイクロメートルの厚さ及び55%の多孔率を有するCELGARD 2500フィルムであっても、CELGARDフィルムを含むものであってもよい。別の例としては、低屈折率光学フィルム300Aは、約12マイクロメートルの厚さ及び38%の多孔率を有するCELGARD M824フィルムであっても、CELGARDフィルムを含むものであってもよい。
図5は、CELGARDフィルムの例示的な光学画像である。
【0103】
幾つかの場合において、低屈折率光学フィルム300Aは、米国特許第4,539,256号及び同第5,120,594号の教示内容に従って作製されたものなど、熱誘起相分離(TIPS)によって作製された多孔質フィルムであっても、その多孔質フィルムを含むものであってもよい。TIPSフィルムは、広範囲に及ぶ微視的孔径を有し得る。
図6は、TIPSフィルムの例示的な光学画像である。
【0104】
幾つかの場合において、低屈折率光学フィルム300Aは、溶媒誘起相分離(SIPS)によって作製された多孔質フィルムであっても、その多孔質フィルムを含むものであってもよく、この多孔質フィルムの例示的な光学顕微鏡写真が
図7に示されている。幾つかの場合において、光学フィルム120は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)多孔質フィルムであっても、ポリフッ化ビニリデン多孔質フィルムを含むものであってもよい。
【0105】
低屈折率光学フィルム300Aは、同時係属中の出願で2009年4月15日に出願された、米国特許出願第61/169466号、「Optical Film」(代理人整理番号65062US002)、同時係属中の出願で2009年10月24日に出願された、同第61/254673号、「Gradient Low Index Article and Method」(代理人整理番号65716US002)、同時係属中の出願で2009年4月15日に出願された、「Retroreflecting Optical Construction」(代理人整理番号65355US002)に記載の光学フィルムを含んでよく、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0106】
低屈折率光学フィルム300Aは、ある用途で望しいものとなり得る任意の方法を用いて作製することができる。幾つかの場合において、光学フィルム300Aは、同時係属中の出願で2009年4月15日に出願された、「PROCESS AND APPARATUS FOR A NANOVOIDED ARTICLE」(代理人整理番号65046US002、)、同時係属中の出願で2009年4月15日に出願された、「PROCESS AND APPARATUS FOR COATING WITH REDUCED DEFECTS」(代理人整理番号65185US00)、及び同時係属中の出願で2009年10月24日に出願された、「PROCESS FOR GRADIENT NANOVOIDED ARTICLE」(代理人整理番号65766US002)に記載されているプロセスによって作製することができ、これらの開示は参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。
【0107】
例えば、低屈折率光学フィルムは、「Optical Film」(代理人整理番号65062US002)に記載のゲル状フィルムを含み、「PROCESS AND APPARATUS FOR A NANOVOIDED ARTICLE」(代理人整理番号65046US002)に記載のプロセスによって作製され得る。低屈折率光学フィルムは、「Retroreflecting Optical Construction」(代理人整理番号65355US002)に記載のヒュームドシリカフィルムを含んでよい。
【0108】
一般に、1つのプロセスでは、まず、ナノ粒子などの複数の粒子と、溶媒に溶解した重合性材料と、を含む溶液を調製し、この場合、この重合性材料は、例えば、1種類以上のモノマーを含むことができる。次に、重合性材料を、例えば、熱又は光を適用することによって重合して、溶媒中に不溶性のポリマーマトリックスを形成する。ある特定の実施形態では、重合は、表面の一方に隣接して高いレベルの酸素を有することで、この表面近くの重合を抑制する環境で起こり、勾配光学フィルムを形成する。ある特定の実施形態では、表面の一方付近の光開始剤の濃度を別の表面と比べて増加させて、勾配光学フィルムを形成する。
【0109】
幾つかの場合においては、重合工程の後、溶媒は重合性材料のいくらかを依然として含み得るが、濃度は低い。次に、溶液を乾燥又は蒸発させることによって溶媒を除去して、ポリマー結合剤310の中に分散された空隙320の網状組織、又は複数の空隙320を含む低屈折率光学フィルム300Aを得る。勾配光学フィルムは、ポリマー中に分散された複数の粒子340を更に含む。粒子は、結合剤に結合(その場合、結合は物理的であっても化学的であってもよい)、又は結合剤によって封入されることができる。
【0110】
低屈折率光学フィルム300Aは、結合剤310及び粒子340に加えて他の材料を有することができる。例えば、低屈折率光学フィルム300Aは、例えば、カップリング剤などの1種以上の添加剤を含んで、その上に勾配光学フィルムが形成される基材の表面を湿潤するのを助けることができる。別の例として、低屈折率光学フィルム300Aは、低屈折率光学フィルム300Aに黒色などの色を付与するために、カーボンブラックなどの1種以上の着色剤を含むことができる。低屈折率光学フィルム300A中の他の例示的な材料としては、1つ以上の光開始剤などの開始剤、帯電防止剤、UV吸収剤、及び剥離剤が挙げられる。幾つかの場合において、低屈折率光学フィルム300Aは、ダウンコンバート材料を含むことができ、この材料は、光を吸収しより長い波長の光を再放出することができる。例示的なダウンコンバート材料としては、蛍光物質が挙げられる。
【0111】
一般に、低屈折率光学フィルム300Aは、結合剤310と複数の粒子340との任意の重量比にとって望ましい多孔性を有することができる。したがって、一般に、重量比は、ある用途で望しいものとなり得る任意の値であってよい。幾つかの場合において、結合剤310と複数の粒子340との重量比は、約1:2.5以上、又は約1:2.3以上、又は約1:2以上、又は約1:1以上、又は約1.5:1以上、又は約2:1以上、又は約2.5:1以上、又は約3:1以上、又は約3.5:1以上、又は約4:1以上、又は約5:1以上である。幾つかの場合において、重量比は、約1:2.3〜約4:1の範囲である。
【0112】
幾つかの場合において、低屈折率光学フィルム300Aの上部主表面332を処理して、例えば、他層への低屈折率光学フィルムの接着を改善することができる。例えば、上面をコロナ処理することができる。
【0113】
幾つかの実施形態では、低屈折率光学フィルムは、厚さ方向に沿って実質的に一定の多孔性を有する。他の実施形態では、低屈折率光学フィルムは、低屈折率光学フィルムの厚さ方向に沿って変化する局所的多孔性を示す。本明細書において、厚さ方向に沿って局所的多孔性の変化を示す光学フィルムは、勾配フィルム又は勾配低屈折率フィルムと呼ばれる。幾つかの場合において、局所的多孔性は、局所空隙体積分率によって、又は局所孔径分布として表わされ得る。例えば、勾配光学フィルムは、第1の局所体積分率及び第2の局所体積分率を有し得、複数の空隙の第2の体積分率は、第1の体積分率の50%未満、20%未満、10%未満、又は1%未満である。
【0114】
図3B〜
図3Gは、本開示の異なる態様による勾配低屈折率光学フィルム300B〜300Gそれぞれの概略側面図である。明確にするために、
図3Aに関して説明される番号付けされた要素310〜360及び寸法d
1〜d
3は、
図3B〜
図3Gには示されていないが、
図3Aの低屈折率光学フィルム300Aに関して提供される説明のそれぞれは、
図3B〜
図3Gそれぞれの勾配光学フィルム300B〜300Gにも該当する。勾配光学フィルム300B〜300Gを作製するための技術は、例えば、同時係属中の出願で発明の名称「PROCESS FOR GRADIENT NANOVOIDED ARTICLE」(代理人整理番号65766US00)に記載されている。
【0115】
図3Bでは、勾配低屈折率光学フィルム300Bは、厚さ方向に沿って、例えば、図のように単調に変化する相互接続した空隙の局所体積分率390Bを含む。ある特定の実施形態では、勾配低屈折率光学フィルム300Bの第1の表面330Bに近接した相互接続した空隙の第1の局所体積分率370Bは、勾配低屈折率光学フィルム300Bの第2の表面332Bに近接した相互接続した空隙の第2の局所体積分率375Bよりも低い。
【0116】
勾配低屈折率光学フィルム300Bは、他の箇所で記載されるように、様々な技術を用いて調製され得る。ある特定の実施形態では、勾配低屈折率光学フィルム300Bは、例えば、吸光度ベースの技術を用いて調製することができ、その場合、重合の光の強度は、第1の表面330Bから第2の表面332Bに向かって減少する。
【0117】
図3Cでは、勾配低屈折率光学フィルム300Cは、厚さ方向に沿って、例えば、図のように階段状に変化する相互接続した空隙の局所体積分率390Cを含む。ある特定の実施形態では、勾配光学フィルム300Cの第1の表面330Cに近接した相互接続した空隙の第1の局所体積分率370Cは、勾配光学フィルム300Cの第2の表面332Cに近接した相互接続した空隙の第2の局所体積分率375Cよりも低い。例えば、
図1Cに示される幾つかの場合において、相互接続した空隙の第1の局所体積分率370Cは、相互接続した空隙の第2の局所体積分率375Cへと急激に(即ち、階段状に)移行する。場合によっては、相互接続した空隙375Cの第2の体積分率の厚さt
2は、全厚さt
1の小さな割合、例えば、全厚さt
1の約1%〜約5%、又は〜約10%、又は〜約20%、又は〜約30%、又はそれ以上であり得る。
【0118】
勾配低屈折率光学フィルム300Cは、他の箇所で記載されるように、様々な技術を用いて調製され得る。ある特定の実施形態では、勾配低屈折率光学フィルム300Cは、例えば、第1及び第2の表面(330C、332C)に近接して、重合開始剤濃度の差又は重合阻害物質濃度の差を用いて調製することができる。
【0119】
図3Dでは、勾配低屈折率光学フィルム300Dは、厚さ方向に沿って、例えば、図のように相互接続した空隙の最小局所体積分率377Dを有して変化する相互接続した空隙の局所体積分率390Dを含む。ある特定の実施形態では、勾配光学フィルム300Dの第1の表面330Dに近接した相互接続した空隙の第1の局所体積分率370Dは、勾配低屈折率光学フィルム300Dの第2の表面332Dに近接した相互接続した空隙の第2の局所体積分率375Dとほぼ同じである。例えば、
図3Dに示される幾つかの場合において、相互接続した空隙の第1の局所体積分率370Dは、相互接続した空隙の最小局所体積分率377Dへと急激に(即ち、階段状に)移行する。場合によっては、相互接続した空隙377Dの最小体積分率の厚さt
2は、全厚さt
1の小さな割合、例えば、全厚さt
1の約1%〜約5%、〜約10%、〜約20%、〜約30%、又はそれ以上であってよい。幾つかの場合において、相互接続した空隙の最小局所体積分率377Dの相対位置は、どこにでも、例えば、勾配光学フィルム300D内の第1の表面330Dから厚さt
3の位置に位置することができる。
【0120】
勾配低屈折率光学フィルム300Dは、他の箇所で記載されるように、様々な技術を用いて調製され得る。ある特定の実施形態では、勾配光学フィルム300Dは、
図3Cに示される一対の勾配光学フィルム300Cを、第2の表面332Cに沿って互いに積層することによって調製することができる。
【0121】
図3Eでは、勾配低屈折率光学フィルム300Eは、厚さ方向に沿って、例えば、図のように、第1及び第2の表面330E、332Eに近接して相互接続した空隙の階段状に変化する局所体積分率を有して変化する、相互接続した空隙の局所体積分率390Eを含む。ある特定の実施形態では、勾配光学フィルム300Eの第1の表面330Eに近接した相互接続した空隙の第1の局所体積分率370Eは、勾配光学フィルム300Eの第2の表面332Eに近接した相互接続した空隙の第2の局所体積分率375Eとほぼ同じである。例えば、
図3Eに示される幾つかの場合において、相互接続した空隙の第1の局所体積分率370Eは、相互接続した空隙の最大局所体積分率377Eへと急激に(即ち、階段状に)移行する。場合によっては、相互接続した空隙の第1及び第2の局所体積分率370E及び375Eそれぞれの厚さt
2及びt
3は、全厚さt
1の小さな割合、例えば、全厚さt
1の約1%〜約5%、又は〜約10%、又は〜約20%、又は〜約30%、又はそれ以上であってよい。幾つかの場合において、相互接続した空隙の第1及び第2の局所体積分率370E及び375Eのそれぞれは、階段状ではない(図示していないが、
図3Bに示される単調変化と同様の)移行を有することができる。
【0122】
勾配低屈折率光学フィルム300Eは、他の箇所で記載されるように、様々な技術を用いて調製され得る。ある特定の実施形態では、勾配光学フィルム300Eは、例えば、
図3Cに示される一対の勾配光学フィルム300Cを、第1の表面330Cに沿って互いに積層することによって調製することができる。
【0123】
図3Fでは、勾配低屈折率光学フィルム300Fは、厚さ方向に沿って、例えば、図のように、相互接続した空隙の勾配最小局所体積分率377Fを有して変化する相互接続した空隙の局所体積分率390Fを含む。ある特定の実施形態では、勾配光学フィルム300Fの第1の表面330Fに近接した相互接続した空隙の第1の局所体積分率370Fは、勾配光学フィルム300Fの第2の表面332Fに近接した相互接続した空隙の第2の局所体積分率375Fとほぼ同じである。例えば、
図3Fに示される幾つかの場合において、相互接続した空隙の第1の局所体積分率370Fは、相互接続した空隙の最小局所体積分率377Fへと徐々に(即ち、単調勾配で)移行し、相互接続した空隙の第2の体積分率375Fへと再度徐々に移行する。
【0124】
勾配低屈折率光学フィルム300Fは、他の箇所で記載されるように、様々な技術を用いて調製され得る。ある特定の実施形態では、勾配光学フィルム300Fは、例えば、
図3Bに示される一対の勾配光学フィルム300Bを、第2の表面332Bに沿って互いに積層することによって調製することができる。
【0125】
図3Gでは、勾配低屈折率光学フィルム300Gは、厚さ方向に沿って、例えば、図のように、相互接続した空隙の一対の階段状に変化した局所体積分率377G、378Gを有して変化する相互接続した空隙の局所体積分率390Gを含む。ある特定の実施形態では、勾配光学フィルム300Gの第1の表面330Gに近接した相互接続した空隙の第1の局所体積分率370Gは、勾配光学フィルム300Gの第2の表面332Gに近接した相互接続した空隙の第2の局所体積分率375Gとほぼ同じである。例えば、
図3Gに示される幾つかの場合において、相互接続した空隙の第1の局所体積分率370Gは、相互接続した空隙の最小局所体積分率377Gへと急激に(即ち、階段状に)移行し、相互接続した空隙の最大局所体積分率380Gへと再度急激に移行し、相互接続した空隙の最小局所体積分率378Gへと再度急激に移行し、最後に、相互接続した空隙の第2の局所体積分率375Gへと再度急激に移行する。場合によっては、相互接続した空隙の局所体積分率のそれぞれは、階段状ではない(図示していないが、
図3Bに示される単調変化と同様の)移行を有することができる。
【0126】
勾配低屈折率光学フィルム300Gは、他の箇所で記載されるように、様々な技術を用いて調製され得る。ある特定の実施形態では、勾配光学フィルム300Gは、例えば、異なる光開始剤濃度を、最大局所空隙体積分率390Gに対応する層ではなく、最小局所空隙体積分率(377G、378G)に対応する層で用いることができる多層コーティング技術によって調製することができる。
【0127】
図8Aは、本開示の一態様による、基材810上にコーティングされた勾配低屈折率光学フィルム800の断面顕微鏡写真である。勾配光学フィルム800は、基材810に隣接する第1の主表面830と、第1の主表面830に近接する相互接続した空隙の第1の局所体積分率870と、を含む。勾配光学フィルムは、第2の主表面832と、第2の主表面832に近接する相互接続した空隙の稠密化された第2の局所体積分率875と、を更に含む。
図8Bは、
図8Aの顕微鏡写真のより高倍率の写真であり、相互接続した空隙の第1の局所体積分率870は、相互接続した空隙の稠密化された第2の体積分率875よりも大きいことをより明確に示している。
【0128】
本明細書に記載の光学構造体は、ディスプレイバックライト、例えばLCDディスプレイにおいて有用である。バックライト内の領域に光を閉じ込めることは、幾つかの用途において重要な機能である。そうすることによって、動的減光が可能になり、バックライトは、ディスプレイの内容に応じて輝度が能動的かつ局所的に低減される。これは、ディスプレイの電力を大幅に低減するという利点を有し、コントラストを強化できる。更に、フィールド順次方式はゾーニングから利益を得ることができ、適切なピクセル切り替え速度により、動きの速い画像でも少ない画像ぶれで表示できる。
【0129】
本明細書に記載の光学構造体は、数十〜数百の光ガイドのアレイ状の要素として配置して、区画化されたシステムを形成することができる。アレイの各要素は、1つ以上の光源と、1つの光ガイドと、1つ以上の光学層、例えば、低屈折率光学フィルム、偏光子、及び光方向転換フィルムと、を含み得る。これらの構成において、各要素の輝度は、個々に制御可能である。幾つかの場合において、LED及び光ガイドの一部が隣接する光ガイドの下に配置されるように光ガイドを入れ子にする及び/又はタイル状にすることによって、均一性が向上される。この交互に配置された、つまり鋸歯状のパターンは、ディスプレイ全体に複製される。以下の
図4A及び4Bには、2つの状況が示される。これらの実施態様で用いられる光ガイドのサイズは小さくてよく(約1〜数cmの対角線)、又は各要素がTVのサイズであり得る大型の壁掛けディスプレイでは数百cmであってよい。
【0130】
図4Aは、入れ子状の光学構造体410、415を図示する。光学構造体410、411のそれぞれは、光ガイド411、416、光源490、491、及び1つ以上の光学層412、417を含み、この光学層は、低屈折率フィルム、光方向転換フィルム、及び/又は偏光子を含み得る。液晶ディスプレイ(LCD)パネル480は、入れ子状の光学構造体410、415の上に配置される。
【0131】
図4Aに図示されるように、光源491及び光ガイド416の一部は、隣接する光学構造体410の下に配置される。隣接する光ガイド411の下に光源491及び光ガイド416を配置することは、タイル間に間隙がほとんど存在しないか、全く間隙が存在しないように、タイルを共に滑動させることを伴う。光源490、491の真上に配置された反射ストリップなどのシールドが存在して、LCDパネル480に向かって光が直接漏出するのを制限してよい。
【0132】
図4Bは、タイル状の光学構造体420、425、及び430を図示する。光学構造体420、425、及び430のそれぞれは、光ガイド421、426、431、光源492、493、494、及び1つ以上の光学層422、427、432を含み、この光学層は、低屈折率フィルム、光方向転換フィルム、及び/又は偏光子を含み得る。
【実施例】
【0133】
1.実施例の調製に用いられる物質及び頭字語。
【0134】
10ミル(0.25mm)のポリカーボネート上のプリズムフィルム(本明細書ではPC−BEFとして表示される)−線状プリズムの構造化表面を有する硬化性層を、10ミル(0.25mm)のポリカーボネート基材上にコーティングし、硬化した。未硬化物質は、1.55を超える屈折率を有していた。線状プリズム構造体は、90°の夾角、50マイクロメートルのピッチ、及び7マイクロメートルの先端半径を有していた。プリズムフィルムは、10ミル(0.25mm)のポリカーボネートフィルム上で米国特許第6,280,063号に記載の通りに作製した。
【0135】
接着剤(本明細書では、PSAとして表示される)−0.1%のビスアミド架橋剤をSK Dyne 2003K湿潤接着剤(Soken Chemicals(Tokyo,Japan)から入手可能)に加え、この混合物を従来型スロットダイを使用して2ミル(0.051mm)のポリエステルシリコーン剥離ライナ(CP Films(St.Louis,MO)から入手可能なT50)にコーティングし、溶媒を乾燥させて厚さ1ミル(0.025mm)の接着剤コーティングとした。第2の剥離ライナ(別の剥離剤を有する2ミル(0.051mm)のポリエステルシリコーン剥離ライナ(やはりCP Filmsから入手可能なT10))を乾燥した接着剤の表面に積層した。
【0136】
反射偏光子A(本明細書ではDBEF−Qとして表示される)−DBEF−Qは反射偏光子(3M Company(St.Paul,Minnesota)から入手可能なVikuiti DBEF−Q)である。DBEF−Qは、厚さ約93マイクロメートルであった。
【0137】
2ミル(0.051mm)PET上の低屈折率フィルム(ULI)−凝縮器と温度計とを備えた2リットルの三つ口フラスコ内で、960グラムのIPA−ST−UP有機シリカ細長粒子(Nissan Chemical Inc.(Houston,TX)から入手可能)と、19.2グラムの脱イオン水と、350グラムの1−メトキシ−2−プロパノールとを高速攪拌して混合した。この細長粒子は、約9nm〜約15nmの範囲の直径及び約40nm〜約100nmの範囲の長さを有していた。これらの粒子を、15.2重量%のIPA中に分散させた。次に、22.8gのSilquest A−174シラン(GE Advanced Materials(Wilton,CT)から入手可能)をフラスコに加えた。得られた混合物を30分間攪拌した。この混合物を16時間81℃に保った。次に、この溶液を室温に冷却した。次に、40℃の水浴下でロータリーエバポレータを使用して、溶液中の約950グラムの溶媒を除去し、その結果、1−メトキシ−2−プロパノール中に42.1重量%のA−174改質細長シリカの透明な分散液を得た。次に、この透明分散液47.5グラム、16グラムのSR 444(Sartomer Company(Exton,PA)から入手可能)、4グラムのCN2261(Sartomer Company(Exton,PA)から入手可能)、30グラムのイソプロピルアルコール、30グラムの酢酸エチル、0.6グラムの光開始剤Irgacure 184及び0.1グラムの光開始剤Irgacure 819(両方ともCiba Specialty Chemicals Company(High Point NC)から入手可能)を混合及び攪拌し、結果として固形分31.3重量%の均質なコーティング溶液を得た。次に、以下のコーティング方法を用いてこのコーティング溶液を厚さ2ミル(0.051mm)のPET基材上にコーティングした。コーティング溶液は、6cc/分の速度で、20.3cm(8インチ)幅のスロットタイプのコーティングダイ内にシリンジポンプで送り込んだ。スロットコーティングダイは、10フィート/分(152cm/分)で移動する基材上に20.3cm幅のコーティングを均一に分配した。次に、コーティングされた基材をUV−LED硬化チャンバ(紫外線放射を通す石英窓が含まれている)の中に通すことによってコーティングを重合させた。UV−LEDバンクは、ダウンウェブ方向に16個、クロスウェブ方向に22個(およそ20.3cm×20.3cmの範囲を占める)の352個のUV−LEDの長方形アレイを含むものであった。このUV−LEDを、2つの水冷式ヒートシンクの上に置いた。これらのLED(Cree,Inc.(Durham NC)から入手可能)は、395nmの公称波長で動作し、45ボルト、13アンペアで駆動され、その結果、UVA線量は1平方センチメートル当たり0.1352ジュールとなった。UV−LEDアレイは、TENMA 72−6910(42VI/1OA)電力供給装置(Tenma(Springboro OH)より入手可能)によって給電及びファン冷却した。
【0138】
UV−LEDを、基板から約2.54cmの距離を置いて硬化チャンバの石英窓の上に配置した。UV−LED硬化チャンバには、1時間当たり46.7リットル/分(100立方フィート)の流量で窒素流を供給し、これにより硬化チャンバ内の酸素濃度は約150ppmとなった。
【0139】
UV−LEDによる重合後、コーティングを150°F(65.6℃)で動作する乾燥炉に2分間にわたり10フィート/分(152cm/分)のウェブ速度で移送することにより硬化コーティング内の溶媒を除去した。次に、Hバルブを装着したFusion System Model I300P(Fusion UV Systems(Gaithersburg MD)から入手可能)を用いて、乾燥コーティングを後硬化した。
【0140】
UV Fusionチャンバに窒素流を供給し、チャンバ内の酸素濃度は約50ppmとなった。結果として得られた光学フィルムは、全光透過率約94.9%、光学的ヘイズ1.1%、屈折率1.155、及び厚さ約6マイクロメートルを有していた。
【0141】
反射偏光子B(2xTOP)−多層反射偏光子は国際特許出願第2009/123928号に記載の通りに作製した。
【0142】
厚さは29マイクロメートルであった。多層反射偏光子は国際公開第2009/123928号に記載の通りに作製した。反射帯域は、400〜1200nmであった。このフィルムの2層をPSA接着剤を用いて共に積層させて、2XTOP構造体を得た。
【0143】
光ガイド板(LGP)−LGPは、Coretronic Company(Hsinchu,Taiwan 300,R.O.C.)から型式AUT1982T32を入手した。LGPはポリ(メチルメタクリレート)で作製され、底面に白い印刷ドットを有し、厚さ6mm、幅385mm、長さ306mmであった。
【0144】
白色の背面反射体(WBR)−WBRは、Viewsonic 22インチ(55.9cm)モニタ(型式番号:VLED221wm、Viewsonic Company(Walnut,CA,USA)より入手可能)から得た。
【0145】
バックライト−22インチ(55.9cm)Viewsonicモニタ(型式番号VLED221wm)を分解して、パネルからバックライトを分離した。バックライトは、およそ幅473mm×長さ306mmに寸法設定された。バックライトは、バックライトの各473mm縁部に沿って〜6mmのピッチで78個のLEDの列を収容し、後壁はWBRで裏打ちされていた。実施例では、各縁部上に63個のLEDのみを使用した。
【0146】
実施例1〜4は、LGPに積層された多層反射偏光子を含み、反射偏光子の通過軸は385mmの長さに揃っている。次に、多層反射偏光子の通過軸がLEDの列と平行になるように、偏光LGPをバックライト内でWBRの上に設置する。
【0147】
実験を簡略化し、材料を入手可能にし、かつ解釈を容易にするために、実験実施例1〜4には、比較的多数の層を含む構造体を用いる。実験構造体は、全ての実施例において同一の低屈折率フィルムコーティングを塗布し、必要に応じてプリズムの配向を変更できるように作製した。光学構造体は、PET層及びPETに必要な追加の接着剤層を用いずに作製できた。更に、MOF上に直接プリズムを鋳造できたため、プリズム基材は不要であった。低屈折率コーティング及びプリズムは、MOF上に直接コーティングできて積層する必要がないため、簡略かつ実用的な構造体となる。
【0148】
1〜4の全ての実験実施例において、MOFは、光エンジンが取り付けられた固体LGPの長手側に対してMOFの通過軸が平行になるように配置した。
【0149】
実施例1(実験):別個の白色の背面反射体及びLGP上の従来の抽出機構と共に、PC−BEF(LGP内での光伝搬方向に対して垂直のプリズム)、DBEF−Q、及び透明な低屈折率フィルムコーティング(指定されたULI)を有する光学構造体900(
図9Aを参照)を作製し、試験した。この実施例は、低屈折率光学コーティングが施されても、LGP内での光伝搬方向に対して垂直に走るプリズムを有する概念が、多数のLED画像の鏡の間効果を呈したことを示すが、これは、一定量の光がLGPの表面における全内部反射(TIR)を通じて誘導されず、PC−BEFの配向が十分な第2段階のTIRをもたらさなかったためである。
【0150】
光学構造体900の概略側面図は
図9Aに示される。この光学構造体は、WBRと、LGPと、LEDランプと、プリズムフィルムと、DBEF−Qと、低屈折率光学コーティング(ULI)と、を含んでいた。63個のLEDをLGPの各縁部近くに設置し、LGPの幅(385mm)に沿って一定の間隔で配置した。
【0151】
光学構造体の表面に対して垂直から約60°で、LEDの電源が入った状態の光学構造体900の写真をデジタルカメラ(Canon S550)で撮影した。この写真は、
図9Bに示される。LEDの多数の画像の出現(鏡の間)は、LGP内での光伝搬方向に対して垂直に走るプリズムによって生じる。
【0152】
実施例2a(実験):別個の白色の背面反射体及び従来の抽出機構と共に、PC−BEF(LGP内での光伝搬方向に対して平行に配向されたプリズム)、DBEF−Q、及び透明な低屈折率フィルムコーティング(ULI)を使用する光学構造体1000(
図10A)を作製し、試験した。この実施例では、鏡の間(LEDの多数の画像)は実質的に除去された。
【0153】
実施例2aで試験された光学構造体1000の概略側面図は、
図10Aに示される。光学構造体1000は、光学構造体1000のプリズムが、LGP内での光伝搬方向に対して平行に走ることを除いて、実施例1の光学構造体900に類似していた。
【0154】
視角に応じた光学構造体の輝度は、Autronic Conoscope Conostage 3(Autronic−Melchers GmbH(Karlsruhe,Germany)から入手可能)を用いて測定した。測定を行う前に、線状吸収偏光子(
図10Aには明示的に図示せず)を、光学構造体(その通過軸はLGPの長手側に対して平行)の上に設置した。
図10Bは、視角に応じて測定した輝度のグレースケール画像であり、
図10Cは、水平方向に沿って視角に応じて測定した輝度のグラフである。
図10Dは、垂直方向に沿って視角に応じて測定した輝度のグラフである。PC−BEFは著しく偏光を解消しないため、光方向転換フィルムとしてこれを選択した。
【0155】
この実施例は、バックライト用途に関して複数の改善点、つまり(1)鏡の間効果の大幅な低減、(2)プリズムフィルムでの光の平行化、(3)偏光出力を実証した。
【0156】
実施例2b(実験):別個の白色の背面反射体(WBR)及び従来の抽出機構と共に、PC−BEF(LGP内での光伝搬方向に対して平行のプリズム)、2 X TOP、及び透明な低屈折率フィルムコーティング(ULI)を使用する光学構造体1100(
図11A)を作製し、試験した。
【0157】
光学構造体1100は、DBEFの代わりに2xTOPを用いたことを除いて、実施例2aの光学構造体1000に類似していた。光学構造体1100の概略側面図は、
図11Aに示される。
図11Bは、視角に応じて測定した輝度のグレースケール画像であり、
図11Cは、水平方向に沿って視角に応じて測定した輝度のグラフである。
図11Dは、垂直方向に沿って視角に応じて測定した輝度のグラフである。光学構造体1100は、光学構造体1000内のDBEF−Q(実施例2a)と比較して、2xTOPの平行化によるより良好な平行化を示す。
【0158】
実施例3(実験):別個の白色の背面反射体及び従来の抽出機構と共に、PC−BEF(LGP内での光伝搬方向に対して垂直のプリズム)、及びDBEF−Qを使用する光学構造体1200(
図12A)を作製し、試験した。
【0159】
この実施例は、LGP内での伝搬方向に対して垂直に走るプリズムを備える光学構造体1200が、LGP内での全内部反射を通じて誘導されない光を原因とする鏡の間効果(多数のLED画像)を生成することを示す。
【0160】
図12Aに概略側面図が示される光学構造体1200を作製した。実施例3の光学構造体1200は、PET上の低屈折率光学コーティング(ULI)が用いられなかったことを除いて、実施例1の光学構造体900に類似していた。面法線から約60°でデジタルカメラ(Canon S550)を用いて撮影した、LEDの電源が入った状態の光学構造体1200の写真を
図12Bに示すが、この写真は、LEDの多数の画像(鏡の間)を示している。
【0161】
実施例4(実験):別個の白色の背面反射体及び従来の抽出機構と共に、PC−BEF(LGP内での光伝搬方向に対して平行のプリズム)、及びDBEF−Qを使用する光学構造体1300(
図13A)を作製し、試験した。プリズムフィルムは、低屈折率コーティングが施されていないために、効果的に光を平行化できなかった。
【0162】
実施例2aに記載した測定と類似の測定を行い、視野角に応じて測定した輝度のグレースケール画像を(
図13Bに)図示する。水平方向及び垂直方向に沿った断面図が、それぞれ
図13C及び13Dに示される。
【0163】
実施例5〜12はシミュレーションに基づいたものである。シミュレーション5〜12は、Optical Research Associates(CA,USA)から市販されているレイトレーシングソフトウェアLightTools 6.0を用いて行った。
【0164】
実施例5(モデリング):シミュレーションした光学構造体は、プリズムがLGP内での光伝搬方向に対して垂直であるように配向されている光方向転換層と、屈折率(RI)が1.0である低屈折率フィルム(ULI)と、抽出機構を備えないLGPと、を含んでいた。
【0165】
ランバート発光プロファイルを有し、高さ3mm×幅3mm、ピッチ10mmである9個のLEDを、屈折率(RI)が1.49である固体光ガイド板(LGP)(PMMA)の左縁部に近接して設置した。LGPは、厚さ6mm(y方向)、幅90mm(z方向)、及び長さ300mm(x方向)であった。RIが1.567であり夾角が90°であるプリズムフィルムをLGPの上面に接着し、これらの間に低屈折コーティングを施した。このプリズムは、LGP内での光伝搬方向に対して垂直に配向した。
図14は、実施例5についての構造体及びレイトレーシングモデリングの結果を示す。このモデリングでは、合計100の光線がLEDから放射された。低屈折率フィルムのRIが1.0(空気に相当)の場合、LEDから放射され、左縁部からLGPに入射した光の全ては、全内部反射(TIR)によってLGPの底面とLGP/低屈折率の境界面との間に誘導される。
【0166】
実施例6(モデリング):シミュレーションした光学構造体は、プリズムがLGP内での光伝搬方向に対して垂直であるように配向されている光方向転換層と、屈折率(RI)が1.109である低屈折率フィルム(ULI)と、抽出機構を備えないLGPと、を含んでいた。
【0167】
低屈折率フィルムのRIが1.109に増加したことを除いて実施例5と同じ構造体では、LEDから放射され、左縁部からLGPに入射した光の全ては、TIRによってLGPの底面とLGP/低屈折率の境界面との間に誘導される。シミュレーションによると、RIが1.109を超える低屈折率フィルムは、LGP/低屈折率フィルムの境界面を通して光を漏出させた。
図15は、実施例6についての構造体及びレイトレーシングモデリングの結果を示す。
【0168】
実施例7(モデリング):シミュレーションした光学構造体は、プリズムがLGP内での光伝搬方向に対して垂直であるように配向されている光方向転換層と、屈折率(RI)が1.20である低屈折率フィルム(ULI)と、抽出機構を備えないLGPと、を含んでいた。
【0169】
低屈折率フィルムのRIが1.2に増加したことを除いて実施例5と同じ構造体では、LEDから放射され、左縁部からLGPに入射した光の大部分は、TIRによってLGPの底面とLGP/低屈折率フィルムの境界面との間に誘導され、約5%の光がLGP/低屈折率フィルムの境界面を通って漏出し、
図16に示されるように、TIRによって誘導されない。これが鏡の間(LEDの多数の画像)の原因である。
図16は、実施例7についての構造体及びレイトレーシングモデリングの結果を示す。
【0170】
実施例8(モデリング):シミュレーションした光学構造体は、プリズムがLGP内での光伝搬方向に対して平行であるように配向されている光方向転換フィルムと、屈折率(RI)が1.0である低屈折率フィルム(ULI)と、抽出機構を備えないLGPと、を含んでいた。
【0171】
光方向転換フィルムが、プリズムがLGP内での光伝搬方向に対して平行に走るように配向されていることを除いて実施例5と同じ構造体では、LEDから放射され、左縁部からLGPに入射した光の全ては、TIRによってLGPの底面とLGP/低屈折率フィルムの境界面との間に誘導される。
図17は、実施例8についての光学構造体及びレイトレーシングモデリングの結果を示す。
【0172】
実施例9(モデリング):シミュレーションした光学構造体は、プリズムが光ガイド内での光伝搬方向に対して平行であるように配向されている光方向転換フィルムと、屈折率(RI)が1.109である低屈折率フィルム(ULI)と、抽出機構を備えないLGPと、を含んでいた。
【0173】
低屈折率フィルムのRIが1.109に増加したことを除いて実施例8と同じ構造体では、LEDから放射され、左縁部からLGPに入射した光の全ては、TIRによってLGPの底面とLGP/低屈折率フィルムの境界面との間に誘導される。モデリングでは、1.109という低屈折率フィルムのRIが、この値を超えるとLGP/低屈折率フィルムの境界面を通して光が漏出し始める値であることが示される。
図18は、実施例9についての構造体及びレイトレーシングモデリングの結果を示す。
【0174】
実施例10(モデリング):シミュレーションした光学構造体は、プリズムがLGP内での光伝搬方向に対して平行であるように配向されている光方向転換フィルムと、屈折率(RI)が1.20である低屈折率フィルム(ULI)と、抽出機構を備えないLGPと、を含んでいた。
【0175】
低屈折率フィルムのRIが1.2に増加したことを除いて実施例8と同じ構造体では、LEDから放射され、左縁部からLGPに入射した光の大部分は、TIRによってLGPの底面とLGP/低屈折率の境界面との間に誘導され、約5%の光がLGP/低屈折率フィルムの境界面を通って漏出し、
図19に示されるように、TIRで光方向転換フィルムの上面によって再反射される。
【0176】
実施例11(モデリング):低屈折率フィルムの屈折率(ULIのRI)に対する光方向転換プリズムフィルムを備える場合と備えない場合の光輸送を測定し、異なるLGP屈折率に対する一群の曲線をプロットした。シミュレーションを用いて、光学構造体内での光輸送に対する低屈折率フィルムのRI及びLGPのRIの影響を予測した。
【0177】
光方向転換プリズムフィルムを除去したことを除いて、実施例5に類似の光学構造体をモデル化した。低屈折率フィルムのRIは、1.0(空気)〜1.5の範囲であった。LGPのRIは、1.49(PMMA)〜1.60(ポリカーボネート)の範囲であった。LGP/低屈折率フィルムの境界面とLGPの底面との間に誘導された光量は、
図20Aにプロットした。
【0178】
A、B、及びCの3点が
図20Aに示されている。1.49のRIを有するPMMAでLGPが作製されており、1.25のRIを有する低屈折率フィルムと組み合わされる場合、点Aで示されるように、全光の約90%がTIRによって誘導され、他の10%は誘導されない。1.60のRIを有するポリカーボネートでLGPが作製されている場合、点Bで示されるように、1.25のRIを有する低屈折率フィルムを有していても、光の100%がTIRによって誘導されることができる。PMMA(RIは1.49)で作製されたLGPでは、点Cに示されるように、全ての光がTIRによって誘導されるようにするためには、低屈折率フィルムのRIは1.10のように低い必要がある。
【0179】
実施例5に類似の光学構造体(光方向転換フィルムを含む)をモデル化した。低屈折率フィルムの屈折率(ULIのRI)は、1.0(空気)〜1.5の範囲であった。LGPのRIは、1.49(PMMA)〜1.6(ポリカーボネート)の範囲であった。光方向転換フィルムの上面とLGPの底面との間に誘導された光量は、
図20Bにプロットした。
図20Aの結果と比較すると、この実施例は、LGP内での光伝搬方向に対して垂直に走るプリズムを有する光方向転換フィルムは、TIRによって誘導される光量にほとんど影響を及ぼさないことを示す。
【0180】
実施例8に類似の光学構造体をモデル化した。低屈折率フィルムの屈折率(ULIのRI)は、1.0(空気)〜1.5の範囲であった。LGPのRIは、1.49(PMMA)〜1.60(ポリカーボネート)の範囲であった。プリズムの上面とLGPの底面との間に誘導された光量は、
図20Cにプロットした。この実施例は、LGP内での光伝搬方向に対して平行に走るプリズムを有する光方向転換フィルムでは、大部分の光がTIRによって誘導されることができ、低屈折率フィルムのRI及びLGPのRIとは比較的無関係であることを示す。しかし、
図19Aに示されるように、LGP/低屈折率フィルムの境界面対プリズム/空気の境界面において誘導される光の比率は、LGPのRI及び低屈折率フィルムのRIに応じて異なる。
【0181】
実施例12(モデリング):低吸収領域(LGP)と高吸収領域(最上部のフィルム)との間の低屈折率光学層は、高吸収層への露光の大部分を減少させる。MOFは、通常、LGPよりも高い吸収率を有する。したがって、光が抽出されるまではMOFへの露光を低減させることが望ましく、これにより、光が面法線に近い角度でMOFを通過する短横断路を取るようになり、システム効率を最大化する。この実施例は、高吸収領域がLGPに接着されている場合に低屈折率フィルムのRIがシステム効率に与え得る影響の程度を実証する。
【0182】
シミュレートされた構造体は、
図21Aに示される。ランバート発光プロファイルを有し、高さ3mmのLEDを、RIが1.49であるLGPの照明された縁部に近接して設置した。LGPは、厚さ6mm、幅90mm、及び長さ300mm(照明された縁部から末端縁部まで)であった。DBEF−Qなど光学フィルムのシミュレーションに用いた吸収領域をLGPの上に設置し、低屈折率フィルム(ULI)をその間に設置した。吸収領域は厚さ0.05mm(透過率は95%/分)であり、入射光を均等に分割した(50%吸収及び50%透過)。直径0.75mm及びランバート反射100%の円形ドットを光抽出用にLGPの底面に配置した。
【0183】
LightTools 6.0によってもたらされるベジエ配置を用いて、妥当な空間的均一性を達成するためにドット密度を変化させた。LGPの前縁部及び後縁部は、完全鏡として設定された。白色の背面反射体をLGPの下に設置し、反射体は100%のランバート反射を有していた。高吸収領域による抽出効率及び吸収率は、最初に長さ300mmのLGPを用いて計算し、次に32インチ(81.3cm)(16インチ(40.6cm)×27.7インチ(70.4cm))及び52インチ(132.1cm)の対角線(26インチ(66.0cm)×45インチ(114.3cm))のバックライト用に拡大した。32インチ(81.3cm)及び52インチ(132.1cm)のバックライトに関して高吸収領域によって吸収された光量は、
図21Bで低屈折率のRIに対してプロットした。各サイズについて、長縁部又は短縁部から光が入射したという2種類の状況について計算し、プロットした。点Aで示されるように、RIが1.47である光学層を用いた場合、短縁部(通常、左及び右縁部)にLEDが配置された52インチ(132.1cm)のTVでは、高吸収領域による吸収率は55%であろう。点Bで示されるように、RIが1.2である低屈折率層を用いた場合、吸収率はわずか14%であろう。
【0184】
アイテム1は光学構造体であって、
第1の表面と、光ガイドの主光出射面を構成する第2の表面と、を有する光ガイドと、
光方向転換フィルムと、
光ガイドと光方向転換フィルムとの間に配置され、1.35以下の屈折率を有し、光ガイドの第2の表面及び光方向転換フィルムに接着された低屈折率層と、を含む。
【0185】
アイテム2はアイテム1の光学構造体であって、低屈折率層の第1の表面が、接着剤層によって光ガイドの主光出射面に接着されている。
【0186】
アイテム3はアイテム1の光学構造体であって、低屈折率層の第1の表面が、光ガイドの主光出射面上に低屈折率層を形成することによって光ガイドの主光出射面に接着されている。
【0187】
アイテム4はアイテム1の光学構造体であって、低屈折率層が、低屈折率層と光ガイドとの間に配置された1つ以上の介在層を通じて光ガイドの主光出射面に接着されている。
【0188】
アイテム5はアイテム1の光学構造体であって、低屈折率層が、接着剤層によって光方向転換フィルムに接着されている。
【0189】
アイテム6はアイテム1の光学構造体であって、低屈折率層が、光方向転換フィルム上に低屈折率層を形成することによって光方向転換フィルムに接着されている。
【0190】
アイテム7はアイテム1の光学構造体であって、低屈折率層が、低屈折率層と光ガイドとの間に配置された1つ以上の介在層を通じて光方向転換フィルムに接着されている。
【0191】
アイテム8はアイテム7の光学構造体であって、1つ以上の介在層が高吸収層を含む。
【0192】
アイテム9はアイテム7の光学構造体であって、1つ以上の介在層が偏光子を含む。
【0193】
アイテム10はアイテム7の光学構造体であって、1つ以上の介在層がディフューザーを含む。
【0194】
アイテム11はアイテム10の光学構造体であって、ディフューザーが複数の空隙を含む。
【0195】
アイテム12はアイテム1の光学構造体であって、光方向転換フィルムが、第1の表面と、構造化機構を有する第2の表面と、を含む。
【0196】
アイテム13はアイテム12の光学構造体であって、光方向転換フィルムの第2の表面が、光ガイドから離れて配向される。
【0197】
アイテム14はアイテム12の光学構造体であって、光方向転換フィルムの第2の表面が、光ガイドに向かって配向される。
【0198】
アイテム15はアイテム1の光学構造体であって、
光ガイドが吸収率A1を有し、
光方向転換フィルムが、A1よりも大きい吸収率を有する。
【0199】
アイテム16はアイテム1の光学構造体であって、低屈折率層と光方向転換フィルムとの間に配置された高吸収層を更に含み、高吸収層が光ガイドの吸収率よりも大きい吸収率を有する。
【0200】
アイテム17はアイテム1の光学構造体であって、光方向転換フィルムが、光ガイドの吸収率よりも大きい吸収率を有する。
【0201】
アイテム18はアイテム1の光学構造体であって、低屈折率層が再配置可能である。
【0202】
アイテム19は光学構造体であって、
屈折率Nuliを有し、Nuliが約1.35以下である、低屈折率層と、
高吸収層と、
光方向転換フィルムと、を含み、光学構造体内の隣接する2つのフィルムのそれぞれの相当部分が、互いに物理的に接触している。
【0203】
アイテム20はアイテム19の光学構造体であって、低屈折率層が約1.2以下の屈折率を有する。
【0204】
アイテム21はアイテム19の光学構造体であって、低屈折率層が約1.1以下の屈折率を有する。
【0205】
アイテム22はアイテム19の光学構造体であって、低屈折率層が約5%未満のヘイズを有する。
【0206】
アイテム23はアイテム19の光学構造体であって、高吸収層が多層光学フィルムを含む。
【0207】
アイテム24はアイテム19の光学構造体であって、低屈折率層の厚さが約2マイクロメートル以上である。
【0208】
アイテム25はアイテム19の光学構造体であって、低屈折率層の厚さが約1マイクロメートル以上である。
【0209】
アイテム26はアイテム19の光学構造体であって、低屈折率層が複数の空隙を含む。
【0210】
アイテム27はアイテム26の光学構造体であって、空隙が相互接続している。
【0211】
アイテム28はアイテム26の光学構造体であって、複数の空隙の体積分率が約20%以上である。
【0212】
アイテム29はアイテム26の光学構造体であって、複数の空隙の体積分率が約40%以上である。
【0213】
アイテム30はアイテム26の光学構造体であって、複数の空隙の局所体積分率が、低屈折率層の厚さ方向に沿って変化する。
【0214】
アイテム31はアイテム26の光学構造体であって、低屈折率層の第1の表面における複数の空隙の第1の局所体積分率が、低屈折率層の第2の表面における複数の空隙の第2の局所体積分率よりも大きい。
【0215】
アイテム32はアイテム26の光学構造体であって、低屈折率層が、
結合剤と、
複数の粒子と、を更に含み、結合剤と複数の空隙との重量比が約1:2以上である。
【0216】
アイテム33はアイテム32の光学構造体であって、複数の粒子が約100nm未満の平均サイズを有する。
【0217】
アイテム34はアイテム19の光学構造体であって、光学構造体内の隣接する2つのフィルムのそれぞれの50%超が互いに物理的に接触している。
【0218】
アイテム35はアイテム19の光学構造体であって、高吸収層が反射偏光子を含む。
【0219】
アイテム36は光学構造体であって、
第1の表面と、第2の表面と、屈折率N1と、を有し、第2の表面が光ガイドの主光出射面である、少なくとも1つの光ガイドと、
屈折率Nuliを有し、NuliがN1未満である、低屈折率層と、
光方向転換フィルムと、を含み、光学構造体内の隣接する2つのフィルムのそれぞれの相当部分が、互いに物理的に接触している。
【0220】
アイテム37はアイテム36の光学構造体であって、低屈折率層が、光ガイド内で伝搬する光の光閉じ込めを増加させる。
【0221】
アイテム38はアイテム36の光学構造体であって、低屈折率層と光方向転換フィルムとの間に高吸収層を更に含み、高吸収層が光ガイドの吸収率の約2倍である吸収率を有する。
【0222】
アイテム39はアイテム38の光学構造体であって、
光ガイドが光抽出機構を含み、
低屈折率層が、低屈折率層を備えない光学構造体と比較して、光抽出機構によって光が抽出されるまでは高吸収層に入射する光量を減少させるように構成されている。
【0223】
アイテム40はアイテム38の光学構造体であって、高吸収層が反射偏光子を含む。
【0224】
アイテム41はアイテム36の光学構造体であって、光方向転換フィルムが第1の表面と、第2の表面と、を含み、光方向転換フィルムの第2の表面が、その上に配置された屈折構造体を有し、光方向転換フィルムの第2の表面が光ガイドから離れて配置されている。
【0225】
アイテム42はアイテム36の光学構造体であって、光方向転換フィルムが第1の表面と、第2の表面と、を含み、光方向転換フィルムの第2の表面が、その上に配置された屈折構造体を有し、光方向転換フィルムの第2の表面が光ガイドに向かって配置され、低屈折率層が少なくとも部分的に屈折構造体間の間隙を埋めている。
【0226】
アイテム43はアイテム36の光学構造体であって、低屈折率層が、接着剤によって光ガイドの主出射面に接着されている。
【0227】
アイテム44はアイテム36の光学構造体であって、光ガイドが、光ガイドの第1の表面上に抽出機構を含む。
【0228】
アイテム45はアイテム36の光学構造体であって、
光ガイドが光輸送軸に沿って光を輸送し、
光方向転換フィルムが、光輸送軸に対して実質的に平行に配向されている屈折構造体を含む。
【0229】
アイテム46はアイテム45の光学構造体であって、屈折構造体が、プリズム、線状プリズム、区分的線状プリズム、及びレンチキュラー構造体のうちの1つ以上を含む。
【0230】
アイテム47はアイテム36の光学構造体であって、高吸収層を更に含み、光ガイドが吸収率A1を有し、高吸収層が吸収率A2を有し、A2がA1よりも大きい。
【0231】
アイテム48はアイテム36の光学構造体であって、光ガイドが多数の光ガイドを含む。
【0232】
アイテム49はアイテム48の光学構造体であって、多数の光ガイドがタイル状である。
【0233】
アイテム50はアイテム48の光学構造体であって、多数の光ガイドがアレイ状に配置されている。
【0234】
アイテム51はアイテム48の光学構造体であって、多数の光ガイドにそれぞれ関連付けられている多数の光源を更に含む。
【0235】
アイテム52はアイテム48の光学構造体であって、多数の光源を更に含み、多数の光源からの光出力が個別に制御可能である。
【0236】
アイテム53はアイテム48の光学構造体であって、多数の光ガイドにそれぞれ関連付けられている多数の光源を更に含み、特定の光ガイドに関連付けられている光源が、隣接する光ガイドの下に配置される。
【0237】
アイテム54はアイテム36の光学構造体であって、ダウンコンバート要素を更に含む。
【0238】
アイテム55はアイテム36の光学構造体であって、光ガイドが平坦な入射縁部、構造化表面、及びチャネルのうちの1つ以上を含む入射領域を有する。
【0239】
アイテム56はアイテム36の光学構造体であって、光ガイドの第1の面に配置された抽出機構を更に含む。
【0240】
アイテム57はアイテム36の光学構造体であって、低屈折率層が、第1の組の出射角で光ガイドから出射する光を反射するように構成されており、光方向転換フィルムが、第2の組の出射角で光ガイドから出射する光を反射するように構成されている。
【0241】
アイテム58はアイテム36の光学構造体であって、鏡面反射体、半鏡面反射体、高鏡面反射体、広帯域高鏡面反射体、及び拡散反射体のうちの1つ以上を更に含む。
【0242】
アイテム59はアイテム36の光学構造体であって、N1が約1.49である。
【0243】
アイテム60はアイテム36の光学構造体であって、Nuliが約1.10〜約1.35の範囲である。
【0244】
アイテム61はアイテム36の光学構造体であって、低屈折率層が1%以下のヘイズを有する。
【0245】
アイテム62はアイテム36の光学構造体であって、低屈折率層が最大約10%のヘイズを有する。
【0246】
アイテム63はアイテム36の光学構造体であって、低屈折率層がゲル又はヒュームドシリカを含む。
【0247】
アイテム64はアイテム36の光学構造体であって、低屈折率層の厚さが約2マイクロメートル以上である。
【0248】
アイテム65はアイテム36の光学構造体であって、低屈折率層の厚さが約1マイクロメートル以上である。
【0249】
アイテム66はアイテム36の光学構造体であって、低屈折率層が複数の空隙を含む。
【0250】
アイテム67はアイテム66の光学構造体であって、空隙が相互接続している。
【0251】
アイテム68はアイテム66の光学構造体であって、複数の空隙の体積分率が約20%以上である。
【0252】
アイテム69はアイテム66の光学構造体であって、複数の空隙の体積分率が約40%以上である。
【0253】
アイテム70はアイテム66の光学構造体であって、複数の空隙の局所体積分率が、低屈折率層の厚さ方向に沿って変化する。
【0254】
アイテム71はアイテム66の光学構造体であって、低屈折率層の第1の表面における複数の空隙の第1の局所体積分率が、低屈折率層の第2の表面における複数の空隙の第2の局所体積分率よりも大きい。
【0255】
アイテム72はアイテム66の光学構造体であって、低屈折率層が、
結合剤と、
複数の粒子と、を更に含み、結合剤と複数の空隙との重量比が約1:2以上である。
【0256】
アイテム73はアイテム36の光学構造体であって、偏光子が光方向転換フィルムと低屈折率層との間に配置されている。
【0257】
アイテム74はアイテム73の光学構造体であって、偏光子が多層光学フィルム(MOF)を含む。
【0258】
アイテム75はアイテム74の光学構造体(optical constriction)であって、MOFが広帯域反射偏光子を含む。
【0259】
アイテム76はアイテム36の光学構造体であって、光方向転換フィルムが第1の高さを有する第1の組のプリズムと、第1の高さとは異なる第2の高さを有する第2の組のプリズムと、を含む。
【0260】
アイテム77はアイテム36の光学構造体であって、光方向転換フィルムが、1つ以上のプリズムの長さに沿って可変の高さを有する、1つ以上の線状又は区分的線状プリズムを含む。
【0261】
アイテム78はアイテム36の光学構造体であって、光方向転換フィルムが約1.5〜約1.8の範囲の屈折率を有する。
【0262】
アイテム79は光学構造体であって、
第1及び第2の主表面と、屈折率N1と、を有する光ガイドと、
第1及び第2の主表面を有し、屈折率Nuliを有し、NuliはN1未満であり、低屈折率層の第1の主表面の相当部分が、光ガイドの第2の主表面と物理的に接触している、低屈折率層と、
第1の主表面と、第2の主表面と、を有し、高吸収層の第1の主表面の相当部分が、低屈折率層の第2の主表面と物理的に接触している、高吸収層と、
第1の主表面と、第2の主表面と、を有し、第1の主表面が線状プリズムを含み、光方向転換フィルムの第1の主表面の相当部分が、高吸収層の第2の主表面と物理的に接触している、プリズムフィルムと、を含み、低屈折率層が第1の組の出射角で光ガイドから出射する光を反射し、光方向転換フィルムが第2の組の出射角で光ガイドから出射する光を反射するように構成されている。
【0263】
先に引用した全ての特許、特許出願、及び他の刊行物は、完全に再現されたものとして参照により本願に組み込まれる。本発明の様々な実施形態及び実施例の説明を容易にするために本発明の特定の実施例を上記に詳細に説明したが、本発明は、それら実施例の詳細に限定されるものではないことを理解すべきである。むしろ、その意図は、添付の「特許請求の範囲」で定義される本発明の範囲に包含される全ての修正物、等価物、及び代替物を網羅することである。
本明細書に記載の実施態様の一部を項目[1]−[10]に記載する。
[項目1]
光学構成体であって、
少なくとも1つの光ガイドであって、第1の表面と、第2の表面と、屈折率N1と、を有し、前記第2の表面が前記光ガイドの主光出射面である、少なくとも1つの光ガイドと、
屈折率Nuliを有し、NuliがN1未満である、低屈折率層と、
光方向転換フィルムと、
を含み、
前記光学構造体内の隣接する2つのフィルムのそれぞれの相当部分が、互いに物理的に接触している、光学構造体。
[項目2]
前記低屈折率層と前記光方向転換フィルムとの間に高吸収層を更に含み、前記高吸収層が、前記光ガイドの吸収率の約2倍である吸収率を有する、項目1に記載の光学構造体。
[項目3]
前記光ガイドが光抽出機構を含み、
前記低屈折率層が、前記低屈折率層を備えない光学構造体と比較して、光抽出機構によって光が抽出されるまでは前記高吸収層に入射する光量を減少させるように構成されている、項目2に記載の光学構造体。
[項目4]
前記高吸収層が反射偏光子を含む、項目2に記載の光学構造体。
[項目5]
前記光方向転換フィルムが、第1の表面と、第2の表面と、を含み、前記光方向転換フィルムの前記第2の表面が、その上に配置された屈折構造体を有し、前記光方向転換フィルムの前記第2の表面が前記光ガイドから離れて配置される、項目1に記載の光学構造体。
[項目6]
高吸収層を更に含み、前記光ガイドが吸収率A1を有し、前記高吸収層が吸収率A2を有し、A2がA1よりも大きい、項目1に記載の光学構造体。
[項目7]
ダウンコンバート要素を更に含む、項目1に記載の光学構造体。
[項目8]
Nuliが約1.10〜約1.35の範囲である、項目1に記載の光学構造体。
[項目9]
前記低屈折率層の厚さが、約2マイクロメートル以上である、項目1に記載の光学構造体。
[項目10]
前記低屈折率層が、複数の相互接続した空隙を含み、前記複数の空隙の体積分率が約40%以上であり、前記複数の空隙の局所体積分率が前記低屈折率層の厚さ方向に沿って変化する、項目1に記載の光学構造体。
【解決手段】光学構造体は、低吸収層(101)と高吸収層(103)との間に配置された低屈折率層(120)を用いて、光学構造体の低吸収領域への光閉じ込めを増加させる。低屈折率層は、多段階の光閉じ込めを有する光学構造体で用いられてよい。これらの構造体では、第1段階の反射は、光ガイド(110)上に直接又は間接的に配置される低屈折率光学フィルムの表面における光の反射時にもたらされる。第2段階の反射は、適切に配向された屈折構造体を有する光方向転換フィルムの表面において発生する。