(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
濾過手段を、エアリフト装置におけるエアリフト管の上端に接続した水平管より下方、かつ浄化槽内の水位より上方に配設し、前記エアリフト管より吸い上げたスラジを含む飼育水を、水平管より前記濾過手段に自然落下により供給し、前記濾過手段においてスラジが除去された飼育水を、浄化槽内に自然落下により供給するようにした請求項1または2記載の水産物の養殖装置。
浄化槽内におけるエアリフト管の下端より上方に、前記エアリフト管が貫通し、かつ外側方に向かって下向き傾斜する瀘材架台を配設し、前記瀘材架台の外端と浄化槽の内面との間に、フローティング瀘材が通過するのを阻止しうる程度の網目としたネットを架設した請求項1〜4のいずれかに記載の水産物の養殖装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているものにおいては、ポンプ等の動力により、飼育水槽内の飼育水を、浄化槽に循環させるようにしているので、多量の電力を必要とし、特許文献2および3に記載されているものにおいては、エアリフトにより汲み上げた固形分を含む飼育水をろ過装置に通して、固形分を除去するだけであるので、それだけでは、飼育水に溶け込んだアンモニア等の可溶性有害物質を除去することはできない。
因みに、引用文献3に記載されているものにおいては、懸濁物フィルタを通った海水を、第二生簀に供給し、これに、アンモニア等の可溶性有害物質を、海藻類の養分として吸着させるようにしている。
【0006】
特許文献4には、タワー槽内において、バイオフィルタを構成する流動担体瀘材をエアレーションにより流動させて、飼育水の浄化を図るようにした水処理装置が記載されているが、それだけでは浄化が十分でないため、養殖池の他に、表面に多数の小孔を有するガラス発泡濾過材を積層してなる生物濾過材を収容した補助濾過槽を設け、それによって浄化した飼育水を、エアリフト装置によって、養殖池に戻すようにしている。
因みに、この特許文献4に記載されているものにおいては、養殖池1の底部5近辺に漂う魚の残餌や糞などの浮遊物は、水の移動とともに徐々に傾斜下部に集まる(特許文献4の段落0021)とされているが、タワー槽10の外側には、第2エアー噴出器32が設置されているので(同段落0020)、タワー槽10の近くまで集まってきた上記浮遊物は、この第2エアー噴出器32より噴出するエアーにより上昇させられて、取水口8より取り出されることなく、養殖池1内を繰り返し循環させられるという問題がある。
【0007】
以上のように、従来、種々の飼育水の浄化装置が提供されているが、それら単独では、次の4つの要素をすべて満足しうるものはなかった。
(1)エア源以外の特別な動力を用いることなく、飼育水の循環を行う。
(2)効率よく飼育水の浄化を行う。
(3)飼育水に効率よく酸素供給を行う。
(4)飼育水の加温を効率よく行う。
【0008】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、エア源以外の動力を一切使用することなく、飼育水を効率よく循環させることができるとともに、飼育水の浄化、酸素供給、および飼育水の加温を、効率よく行うことができ、もって上記の4つの要素をすべて満足しうるようにした水産物の養殖装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)浄化槽と、底面が、前記浄化槽の底部に向かって下向き傾斜する育成槽と、
前記浄化槽と育成槽とを仕切り、かつ上下部に、両槽内の飼育水の流通を可能とする開口が設けられた仕切壁と、前記仕切壁の上下の開口に設けられたネットと、前記浄化槽内に配設された、前記ネットの目より粗いフローティング瀘材と、前記浄化槽内の下部にエアを供給することにより、前記浄化槽内の飼育水とフローティング瀘材とを上昇、攪拌させるとともに、前記飼育水を、前記仕切壁の上部の開口を通して、前記浄化槽から育成槽へ、また前記仕切壁の下部の開口を通して、前記育成槽から浄化槽へ循環させるエアレーション装置と、下端が前記浄化槽内の底部近くに達するようにして前記浄化槽内に配設されたエアリフト管、およびこのエアリフト管内の下端部または中間部よりエアをエアリフト管内に供給するエア供給手段を有し、前記エアリフト管内に供給したエアの上昇により、浄化槽内の飼育水とともに、飼育水に含まれるスラジをも上昇させるエアリフト装置と、前記エアリフト装置におけるエアリフト管より吸い上げられたスラジを含む飼育水からスラジを除去し、飼育水のみを前記浄化槽または育成槽に戻す濾過手段とを備えるものとする。
【0010】
このような構成によると、エアレーション装置により浄化槽内に供給された空気により、フローティング瀘材は、浄化槽内において上昇、攪拌され、浄化槽内の飼育水は効率よく浄化され、またこのときに浄化槽内において上昇させられた清浄化された飼育水が、仕切壁の上部の開口より育成槽内の上部に流出し、そこから育成槽の対向壁に沿って下降した後、育成槽の傾斜した底面に沿って斜め下向きに流下し、仕切壁の下部の開口より浄化槽内に進入して、浄化槽内と育成槽内とを連続して効率よく循環させられる。この飼育水の循環は、エアレーション装置により供給される空気のみによって引き起こされ、エア源以外の特別な動力を用いる必要はない。
また、育成槽の底面に堆積した魚介類の糞や残餌等のスラジは、飼育水の循環によって、育成槽の傾斜した底面に沿って、浄化槽の底部まで斜め下向きに流下させられ、浄化槽の底部において、エアリフト装置により、飼育水とともに吸い上げられ、その後、濾過手段を通過する際に、飼育水から除去され、飼育水の浄化が促進される。濾過手段を通過することにより、スラジが除去されて清浄化された飼育水は、浄化槽内に戻される。
さらに、エアレーション装置とエアリフト装置とにより飼育水に供給される空気により、飼育水に酸素が供給されるとともに、それらの空気の熱によって、飼育水は、徐々に加温される。
より積極的に飼育水の温度を上昇させたい場合には、エアレーション装置およびエアリフト装置に供給する空気をヒータ(発明の構成要件外)により加熱するようにしてもよい。
【0011】
(2)上記(1)項において、濾過手段を、堆積したスラジが、傾斜に沿って落下するようにした傾斜式フィルタを備えるものとする。
【0012】
このような構成によると、特別な動力を用いることなく、飼育水やスラジの自然落下力のみを利用して、飼育水からスラジを連続的に除去することができる。
【0013】
(3)上記(1)または(2)項において、濾過手段を、エアリフト装置におけるエアリフト管の上端に接続した水平管より下方、かつ浄化槽内の水位より上方に配設し、前記エアリフト管より吸い上げたスラジを含む飼育水を、水平管より前記濾過手段に自然落下により供給し、前記濾過手段においてスラジが除去された飼育水を、浄化槽内に自然落下により供給するようにする。
【0014】
このような構成によると、特別な動力を用いることなく、飼育水の自然落下力のみを利用して、スラジが除去された飼育水を、浄化槽内に戻すことができる。
【0015】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、濾過手段に、スラジが除去された飼育水を殺菌する殺菌装置を設ける。
【0016】
このような構成によると、飼育水からスラジを除去するだけでなく、スラジが除去された飼育水を殺菌することができ、飼育する水産物の病気を予防することができる。
【0017】
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、浄化槽内におけるエアリフト管の下端より上方に、前記エアリフト管が貫通し、かつ外側方に向かって下向き傾斜する瀘材架台を配設し、前記瀘材架台の外端と浄化槽の内面との間に、フローティング瀘材が通過するのを阻止しうる程度の網目としたネットを架設する。
【0018】
このような構成によると、浄化槽内において浮遊するフローティング瀘材が沈降したとき、瀘材架台の傾斜面に沿って外下方に流下した後、その外側のネットを通って上昇する飼育水流によって上昇させられるので、フローティング瀘材が瀘材架台上に堆積することがない。
【0019】
(6)上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、浄化槽内および/または育成槽内に、槽内を複数の小室に区分する1枚または複数の仕切板を設ける。
【0020】
このような構成によると、水産物を、その種類や生育段階の相違によって区分して育成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、エア源以外の動力を一切使用することなく、飼育水を効率よく循環させることができるとともに、飼育水の浄化、酸素供給、および飼育水の加温を、効率よく行うことができ、もって上記の4つの要素をすべて満足しうるようにした水産物の養殖装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の水産物の養殖装置の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
この水産物の養殖装置は、上面が開口する左右方向に長い直方体状をなし、底面1aの中央に、左右方向に連続するスラジ溜り用の凹溝2が設けられた浄化槽1と、浄化槽1の前後に配設され、底面3aが、浄化槽1の底面1aに向かって下向き傾斜する前後1対の育成槽3、3とを備えている。
【0024】
浄化槽1と、各育成槽3との間には、左右方向を向く仕切壁4が設けられ、浄化槽1内には、前後方向を向く1枚または複数の仕切板5が、また各育成槽3内には、前後方向を向く1枚または複数の仕切板6が、それぞれ設けられている。
仕切板5と仕切板6の数および配置は、互いに対応させることが多いが、必ずしも対応させる必要はない。
【0025】
仕切板5、6は、水産物の種類や生育段階の相違によって区分して育成するために、浄化槽1および育成槽3を複数の小室に区分するためのものであり、液密性の材料により形成してあるが、目的によっては、ネット等の通水性の材料により形成することもある。
【0026】
各仕切壁4における各仕切板6によって区分された部分ごとの上部と下部には、浄化槽1と各育成槽3との間の飼育水7の流通を可能とする開口8、9が設けられている。
下部の開口9の下端は、浄化槽1の底面1aと育成槽3の底面3aとが同一面となって連続する部分まで到達し、育成槽3の底面3a上に堆積した魚の残餌や糞などのスラジ10が、開口9を通って、浄化槽1の底面1aへ円滑に流下するようにするのが好ましい。
各開口8、9には、ネット11がそれぞれ設けられている。
【0027】
浄化槽1内における下部の開口9より上方の部分における前後方向の中央部には、 左右方向に延び、かつ中央部から前後両側方に下向き傾斜する上向き凸型の円弧状、または山形とした瀘材架台12が配設され、この瀘材架台12の前端および後端と、それに対向する浄化槽1の内面、すなわち仕切壁4の内面との間には、ネット13が張設されている。
【0028】
浄化槽1内における仕切板5によって区分された各小室ごとの前後のネット13、13の下方には、エアレーション装置14の主要部をなす、左右方向を向く2本の散気管15、15が設けられている。
各散気管15は、エア供給管16を介して、エア源17に接続されている。
【0029】
浄化槽1内における仕切板5によって区分された各小室ごとの瀘材架台12より上方の領域には、ネット11、13の目より粗いフローティング瀘材18が、飼育水7内に浮遊するようにして収容されている。
フローティング瀘材18は、例えば、株式会社アイ・エム・ティー社(東京都新宿区三栄町8番地)の製品番号LSB2.5〜LSB35-2、または上記特許文献4に記載されているバイオフィルタのように、微生物が付着し易いように表面に多数の突起を設けた小型軽量の合成樹脂材料からなる流動担体瀘材、またはその他の公知のフローティング瀘材とすることができる。
【0030】
仕切板5によって区分された浄化槽1における各小室の中央部には、エアリフト装置19がそれぞれ設けられている。
各エアリフト装置19は、
図4に示すように、瀘材架台12の中央部を貫通するようにして、浄化槽1の底面1a上に立設された保護筒20と、この保護筒20の内面より求心方向を向く複数の腕杆21をもって、保護筒20の中央に位置するように保持され、かつ下端が浄化槽1の底面1aにおける凹溝2内に嵌合されるか、または底面1a近くに達するようにしたエアリフト管22と、エアリフト管22の下端より上方の中間部(またはエアリフト管22の下端部)の外周に円環状に設けられ、内部の空気溜まり23に導入されたエアを、エアリフト管22に設けたエア噴出口24よりエアリフト管22内に噴出させるエア供給部材25と、エア源17とエア供給部材25とを接続するエア供給管26とを備えている。
エア噴出口24、エア供給部材25、エア供給管26およびエア源17により、エアリフト管22内にエアを供給するエア供給手段27が形成されている。
【0031】
各エアリフト管22の下端には、スラジ10の吸い込みを容易にするための山形の切欠き22aが設けられている。
各エアリフト管22の上端は、浄化槽1の上方に水平に支持された水平管28にそれぞれ接続されている。
【0032】
各エアリフト管22におけるエア噴出口24よりエアが供給されることにより、エアリフト管22内においては、気泡とともに飼育水7が上昇させられ、それに伴って、浄化槽1の底面1a、特にその凹溝2内に堆積したスラジ10も吸い上げられて、水平管28に供給される。
【0033】
水平管28の左右方向の中央部下面には、複数の排出孔29が左右方向に適宜の間隔をもって設けられており、ここから、各エアリフト管22より汲み上げられた飼育水7とスラジ10が、その下方に配設された濾過手段30に、自然落下により供給されるようになっている。
【0034】
濾過手段30は、水平管28より下方、かつ浄化槽1内の水位より上方に配設した濾過槽31と、濾過槽31内を、後方の清浄室32と前方のスラジ室33とに仕切る仕切壁34と、清浄室32の上方において、スラジ室33に向かって下向き傾斜するようにして、濾過槽31の後壁の上部から仕切壁34の上端にかけて架設され、上面に堆積したスラジ10が、傾斜に沿ってスラジ室33に落下するようにした傾斜式フィルタをなすスクリーンネット35と、上端がスラジ室33内の所要の高さに開口するようにして濾過槽31に設けられ、スラジ室33内に溜まったスラジ10を濾過槽31外に排出するスラジ排出管36と、清浄室32の底部に設けられ、スクリーンネット35によりスラジ10が除去されて、清浄室32内に溜まった清浄な飼育水7が、一端部上面に設けた取入れ口37aより内部に侵入することにより、内部に設けたUV管37bにより殺菌し、出口管37cより濾過槽31外に排出するようにした紫外線殺菌装置37と、出口管37cに接続され、出口管37cより排出される清浄な飼育水7を、自然落下により、浄化槽1内の各小室に分配するようにした分配管38とを備えている。
【0035】
この濾過手段30により、水平管28から供給された飼育水7から、スラジ10を、特別な動力を使用することなく、連続的に除去することができるとともに、紫外線殺菌装置37により殺菌し、さらに、それを飼育水の自然落下力のみにより、浄化槽1内に戻すことができる。
【0036】
浄化槽1における仕切板5によって区分された各小室に配設した各エアレーション装置14における散気管15に空気を供給する各エア供給管16と、各エアリフト装置19における各エアリフト管22の上端部と、各エア供給管26と、分配管38の各排出口には、それぞれ、開閉弁16a、22b、26a、38aが設けられている。
【0037】
この水産物の養殖装置は、例えば、サーモン、マス、スズキ等の魚類の養殖に好適に使用することができるが、魚類だけでなく、甲殻類、貝類、その他の水産物の養殖にも使用することができる。
【0038】
次に、この水産物の養殖装置の作用および取り扱いについて説明する。
最初の作用の説明においては、開閉弁16a、22b、26a、38aはすべて開いているものとして説明する。
浄化槽1内の下部において、エアレーション装置14における散気管15、15より空気が供給されると、気泡がネット13を通して上昇し、そのときの浄化槽1内の飼育水7の上昇流により、フローティング瀘材18は上昇、攪拌され、浄化槽1内の飼育水7は効率よく浄化され、またこのときの浄化槽1内において上昇させられ、かつ清浄化された飼育水7は、仕切壁4の上部の開口8より、育成槽3内の上部に流出し、そこから育成槽3の対向壁に沿って下降した後、育成槽の傾斜した底面3aに沿って斜め下向きに流下し、次いで仕切壁4の下部の開口9より浄化槽1内に進入し、浄化槽1内と育成槽3内とを連続して効率よく循環させられる。
この飼育水7の循環は、エアレーション装置14により供給される空気のみによって引き起こされ、エア源17以外の特別な動力を用いる必要はない。
【0039】
フローティング瀘材18は、ネット11、13の目より粗いので、浄化槽1から育成槽3へ流出したり、浄化槽1内のネット13より下方の領域に侵入したりすることはない。
また、瀘材架台12上に沈降したフローティング瀘材18は、瀘材架台12の下向き傾斜に沿って、ネット13に向かって流下させられるので、瀘材架台12上に堆積することはない。
【0040】
各育成槽3内の底面3a上に堆積したスラジ10は、その底面3aの傾斜に沿って、浄化槽1に向かって流下し、開口9を通って、浄化槽1の底面1a、特にその凹溝2に堆積する。
この浄化槽1の底部に堆積したスラジ10は、仕切板5によって区分された浄化槽1における各小室ごとに設けられた各エアリフト装置19により、飼育水7とともに吸い上げられる。
【0041】
すなわち、各エアリフト管22におけるエア噴出口24よりエアが供給されることにより、エアリフト管22内においては、気泡とともに飼育水7が上昇させられ、それに伴って、浄化槽1の底面1a、特にその凹溝2内に堆積したスラジ10も吸い上げられて、水平管28に供給される。
【0042】
水平管28に供給された飼育水7とスラジ10は、水平管28中央部下面に設けられた複数の排出孔29から、濾過手段30に、自然落下により供給される。
【0043】
濾過手段30においては、飼育水7とスラジ10は、スクリーンネット35上に自然落下し、飼育水7のみがスクリーンネット35を通過して、清浄室32に貯留され、スラジ10は、スクリーンネット35の傾斜に沿って、スラジ室33に向かって漸次押し流され、スラジ室33にスラジ10がある程度溜まると、スラジ10は、スラジ排出管36の上端よりスラジ排出管36内に自然落下し、濾過槽31外に排出される。
【0044】
清浄室32に貯留された飼育水7の液位がある程度上昇すると、飼育水7は、紫外線殺菌装置37の取入れ口37aより紫外線殺菌装置37内に自然落下し、そこでUV管37bの照射を受けて殺菌され、その後、出口管37cより、分配管38を経て、浄化槽1内の各小室に自然落下により分配される。
【0045】
このエアリフト装置19によるスラジ10とその周辺の飼育水7の吸い上げから、その後の濾過手段30におけるスラジ10の除去および殺菌の工程においても、エア源17以外の動力を何ら使用することなく(より正確には、UV管37bの点灯のための電力を使用するだけで)、飼育水7やスラジ10の自然落下を利用して、作業を連続して行うことができる。
【0046】
さらに、エアレーション装置14とエアリフト装置19とにより飼育水7に供給される空気により、飼育水7に酸素が供給されるとともに、それらの空気の熱によって、飼育水7は、徐々に加温される。従って、寒冷地において好適に実施することができる。
より積極的に飼育水7の温度を上昇させたい場合は、エアレーション装置14およびエアリフト装置19に供給する空気をヒータにより加熱するようにしてもよい。
【0047】
以上の説明では、開閉弁16a、22b、26a、38aはすべて開いているものとして説明したが、これらを開閉制御することにより、浄化槽1における仕切板5によって区分された各小室に、個別に浄化処理を行うこともできる。
【0048】
例えば、各エアレーション装置14における散気管15に空気を供給する各エア供給管16に設けた開閉弁16aを互いに独立して開閉することによって、各小室のエアレーション装置14による浄化および飼育水7の循環を、選択的に休止したり、作動させたりすることができる。
【0049】
また、各エアリフト装置19における各エアリフト管22の上端と、各エア供給管26と、各分配管38のそれぞれに設けた開閉弁22b、26a、38aを互いに独立して開閉することによって、各小室のエアリフト装置19の作動を休止させたり、その小室への濾過手段30により浄化された飼育水7の供給を休止させたりすることができる。
【0050】
さらに、これらの開閉弁22b、26a、38aを開閉制御することにより、浄化槽1における各小室のスラジ除去および殺菌作業を、1個ずつバッチ方式で行うこともできる。
【0051】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、例えば、次のような幾多の変形した態様での実施が可能である。
(1) 浄化槽1の両側方に配設した育成槽3、3のいずれか一方を省略して実施する。
(2) 仕切板5によって区分された浄化槽1内の各小室毎の上方に濾過手段30をそれぞれを設け、各小室に設けたエアリフト装置19におけるエアリフト管22の上端を倒立L字状または倒立U字状に折曲して、その先端から各濾過手段30における瀘過槽31内にスラジ10と飼育水7とを供給するようにし、その濾過手段30における紫外線殺菌装置37の出口管37cから流下する浄化された飼育水7をその小室に直接供給するようにして、各小室を互いに独立して浄化するようにする。
(3) 濾過手段30により瀘過されて清浄化された飼育水7を、浄化槽1ではなく、育成槽3に戻すようにする。
(4) 仕切板5、6をすべて省略する。
(5) エアレーション装置14および/またはエアリフト装置19に供給するエア源17からの空気を、ヒータ(図示略)により加熱する。すなわち、エア供給管16および/またはエア供給管26の途中に、ヒータを設ける。
(6) 殺菌装置として、紫外線殺菌装置37以外の公知の殺菌装置を採用する。