特許第6208935号(P6208935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208935
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/16 20060101AFI20170925BHJP
   H01R 12/51 20110101ALI20170925BHJP
   H01R 12/52 20110101ALI20170925BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H01R9/16 101
   H01R12/51
   H01R12/52
   H05K3/46 N
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-240799(P2012-240799)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-93121(P2014-93121A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年10月1日
【審判番号】不服2017-1081(P2017-1081/J1)
【審判請求日】2017年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 信一
(72)【発明者】
【氏名】宇崎 文章
【合議体】
【審判長】 中村 達之
【審判官】 平田 信勝
【審判官】 小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/144326(WO,A1)
【文献】 特開平7−231165(JP,A)
【文献】 特開2005−259801(JP,A)
【文献】 特開2003−255017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/16
H01R 12/51
H01R 12/52
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁で区画される気密チャンバの内側及び外側を電気的に相互接続するために用いられ、隔壁に形成された、気密チャンバの内部と外部とを貫通する開口部を塞ぐコネクタであって、
前記開口部を塞ぐ多層基板を備え、
該多層基板は、平板状の第1基材と、該第1基材の内表面側に配置されて前記開口部を塞ぐ平板状の第2基材と、前記第1基材の外表面側に配置される平板状の第3基材とを備え、
前記第1基材は、該第1基材の内表面及び外表面との間を貫通する貫通孔の内周面に前記内表面と外表面との間を延びる第1導電めっきを施してなる第1スルーホールを有するとともに、前記第1基材の内表面に設けられた、前記第1導電めっきの内表面側に接続された第1導電層と、前記第1基材の外表面に設けられた、前記第1導電めっきの外表面側に接続された第2導電層とを備え、
前記第2基材は、該第2基材の内表面及び外表面との間を貫通する貫通孔の内周面に前記第2基材の内表面と外表面との間を延びる第2導電めっきを施してなる第2スルーホールを有するとともに、前記第2基材の内表面に設けられた、前記第2導電めっきの内表面側に接続された第3導電層を備え、
前記第3基材は、該第3基材の内表面及び外表面との間を貫通する貫通孔の内周面に前記第3基材の内表面と外表面との間を延びる第3導電めっきを施してなる第3スルーホールを有するとともに、前記第3基材の外表面に設けられた、前記第3導電めっきの外表面側に接続された第4導電層を備え、
前記第2基材の外表面を前記第1基材の内表面に接するように配置して前記第2基材によって前記第1スルーホールの内表面側を塞ぐとともに、前記第1導電層と前記第2導電めっきの外表面側とを接続し、
前記第3基材の内表面を前記第1基材の外表面に接するように配置して前記第3基材によって前記第1スルーホールの外表面側を塞ぐとともに、前記第2導電層と前記第3導電めっきの内表面側とを接続し
前記第1基材、前記第2基材及び前記第3基材は、ガラス入りエポキシ製であることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記第1スルーホールが、樹脂で充填されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隔壁で区画される気密チャンバの内側及び外側を電気的に相互接続するために用いられ、隔壁に形成された、気密チャンバの内部と外部とを貫通する開口部を塞ぐコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、隔壁で区画される気密チャンバの内側及び外側を電気的に相互接続する要請がある。例えば、集積回路を搭載した半導体チッププロセスにおいて内部を真空に近い状態にまで減圧することが可能な真空チャンバを用い、この真空チャンバの内部及び外部を電気的に接続することが行われる。また、隔壁で区画される気密チャンバの内部をHeガスのような分子量の少ないガスで充満させて減圧することも行われている。このような圧力が調整された気密チャンバの内部と外部との電気的接続に際しては、チャンバ内部の気密性を保持すると同時に、チャンバの内部と外部との確実な電気的接続性が求められる。
従来のこの種の電気接続構造として、例えば、図10に示す特許文献1に記載の電気接続構造が知られている。図10は、従来例の、隔壁で区画される、圧力が調整された気密チャンバの内側及び外側を電気的に相互接続する電気接続構造の模式図である。
【0003】
図10に示す電気接続構造101は、隔壁(図示せず)で区画され内部の圧力が調整されるチャンバ(図示せず)の内部A側及び外部B側を電気的に相互接続するものである。
図10に示す電気接続構造101を使用するチャンバにおいて、隔壁には、チャンバの内部A側と外部B側とを貫通する開口部(図示せず)が形成されている。そして、この開口部は、コネクタ110によって塞がれている。
【0004】
ここで、コネクタ110の基材には、複数のバイアホール112が設けられている。各バイアホール112は、基材の内表面と外表面との間を貫通するスルーホールの内部に導電体を充填してなる。スルーホールは、基材の内表面と外表面との間を貫通する貫通孔の内周面に導電めっきを施して形成される。また、コネクタ110の内表面及び外表面には、バイアホール112の導電体によって相互接続された1対の導電パッド113a,113bが設けられている。
【0005】
そして、コネクタ110に対して内側に複数の第1コネクタ120Aが配置されると共に、コネクタ110に対して外側に複数の第2コネクタ120Bが配置されている。
各第1コネクタ120Aは、コネクタ110に対して直交する方向に延びるように配置され、コネクタ110の長手方向(図10における上下方向)に沿って配置されている。また、各第2コネクタ120Bは、コネクタ110に対して直交する方向に延びるように配置され、第1コネクタ120Aと対向するようにコネクタ110の長手方向に沿って配置されている。
【0006】
ここで、各第1コネクタ120Aは、コネクタ110に対して直交する方向に延びるように配置された第2基板121と、第2基板121の幅方向(図10において紙面に対して直交する方向)に沿って所定ピッチで配列された複数のコンタクト123とを備えている。第2基板121の表面(図10における上面)には、第2基板121の幅方向に沿って所定ピッチで複数の導電パターン124が設けられている。各コンタクト123は、各導電パターン124の一端側に接続される。また、各導電パターン124の他端側には、信号線122が接続されている。また、各第2コネクタ120Bは、各第1コネクタ120Aと同様の構成を有する。
【0007】
このような構成を有する電気接続構造101において、第1コネクタ120Aを図10における矢印F方向に前進させ、コンタクト123をコネクタ110の内表面に設けられた導電パッド113aに接触させる。一方、第2コネクタ120Bを図10における矢印F’方向に前進させ、コンタクト123をコネクタ110の外表面に設けられた導電パッド113bに接触させる。これにより、チャンバ内部A側及び外部B側の信号線122、122は、チャンバ内部A側の導電パターン124、コンタクト123、コネクタ110の内表面の導電パッド113a、バイアホール112、コネクタ110の外表面の導電パッド113b、コンタクト123、チャンバ外部B側の導電パターン124を経由して電気的に接続されるのである。
【0008】
また、図示はしないが、電極ピンとパッケージとの間の気密性を確保した気密端子として、例えば、特許文献2に記載されたものが知られている。
この特許文献2に記載された気密端子においては、パッケージに形成されたスルーホールの内周面に導電めっきが形成されている。また、スルーホール内に配置される電極ピンには、スルーホールの開口部を覆う蓋が形成されている。そして、この蓋が開口部を塞ぐように導電めっきに接合される。また、電極ピンが配置されているスルーホール内の電極ピンと導電めっきとの間の隙間をはんだで充填し封止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−349073号公報
【特許文献2】特開平11−40223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、この図10に示した特許文献1に記載の電気接続構造101及び特許文献2に記載の気密端子にあっては、以下の問題点があった。
即ち、図10に示す特許文献1に記載の電気接続構造101の場合、コネクタ110の基材にバイアホール112を形成するに際して、基材に形成されたスルーホールの内部に導電体を充填する工程が必要となる。この導電体の充填工程は、基材にスルーホールを形成する通常の工程に対して付加的な工程であると共に、導電体の充填に際して特別な設備も必要となり、生産性の悪いものであった。
【0011】
また、特許文献2に記載の気密端子の場合にも、内周面に導電めっきが形成されたスルーホール内に、付加的工程であるはんだを充填する工程が必要であった。
従って、本発明はこれら問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、基材に形成されたスルーホールの内部にはんだ等の導電体を充填しなくてもチャンバ内部の気密性を保持すると同時に、チャンバの内部と外部との確実な電気的接続性が得られるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のうちある形態に係るコネクタは、隔壁で区画される気密チャンバの内側及び外側を電気的に相互接続するために用いられ、隔壁に形成された、気密チャンバの内部と外部とを貫通する開口部を塞ぐコネクタであって、前記開口部を塞ぐ多層基板を備え、該多層基板は、平板状の第1基材と、該第1基材の内表面側に配置されて前記開口部を塞ぐ平板状の第2基材と、前記第1基材の外表面側に配置される平板状の第3基材とを備え、前記第1基材は、該第1基材の内表面及び外表面との間を貫通する貫通孔の内周面に前記内表面と外表面との間を延びる第1導電めっきを施してなる第1スルーホールを有するとともに、前記第1基材の内表面に設けられた、前記第1導電めっきの内表面側に接続された第1導電層と、前記第1基材の外表面に設けられた、前記第1導電めっきの外表面側に接続された第2導電層とを備え、前記第2基材は、該第2基材の内表面及び外表面との間を貫通する貫通孔の内周面に前記第2基材の内表面と外表面との間を延びる第2導電めっきを施してなる第2スルーホールを有するとともに、前記第2基材の内表面に設けられた、前記第2導電めっきの内表面側に接続された第3導電層を備え、前記第3基材は、該第3基材の内表面及び外表面との間を貫通する貫通孔の内周面に前記第3基材の内表面と外表面との間を延びる第3導電めっきを施してなる第3スルーホールを有するとともに、前記第3基材の外表面に設けられた、前記第3導電めっきの外表面側に接続された第4導電層を備え、前記第2基材の外表面を前記第1基材の内表面に接するように配置して前記第2基材によって前記第1スルーホールの内表面側を塞ぐとともに、前記第1導電層と前記第2導電めっきの外表面側とを接続し、前記第3基材の内表面を前記第1基材の外表面に接するように配置して前記第3基材によって前記第1スルーホールの外表面側を塞ぐとともに、前記第2導電層と前記第3導電めっきの内表面側とを接続し、前記第1基材、前記第2基材及び前記第3基材は、ガラス入りエポキシ製であることを特徴としている。
また、このコネクタにおいて、前記第1スルーホールが、樹脂で充填されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るコネクタによれば、気密チャンバの内部と外部とを貫通する開口部を塞ぐ多層基板を備え、この多層基板において、第2基材の外表面を第1基材の内表面に接するように配置して第2基材によって、第1基材に形成された第1スルーホールの内表面側を塞ぎ、かつ、第3基材の内表面を第1基材の外表面に接するように配置して第3基材によって第1スルーホールの外表面側を塞ぐので、多層基板を構成する第2基材及び第3基材により、第1基板の第1スルーホールの内表面側及び外表面側を塞ぐことができ、チャンバ内部の気密性を保持することができる。
【0014】
また、第1基材が、第1基材の内表面に設けられた、第1スルーホールの第1導電めっきの内表面側に接続された第1導電層と、第1基材の外表面に設けられた、第1導電めっきの外表面側に接続された第2導電層とを備え、第2基材が、第2基材の内表面に設けられた、第2スルーホールの第2導電めっきの内表面側に接続された第3導電層を備え、第3基材が、第3基材の外表面に設けられた、第3スルーホールの第3導電めっきの外表面側に接続された第4導電層を備え、第1導電層と第2導電めっきの外表面側とを接続し、第2導電層と第3導電めっきの内表面側とを接続したので、多層基板において、内表面側から外表面側に向けて、第3導電層、第2導電めっき、第1導電層、第1導電めっき、第2導電層、第3導電めっき、及び第4導電層の順に接続される。このため、チャンバの内部と外部との確実な電気的接続性を得ることができる。
【0015】
これにより、基材に形成されたスルーホールの内部にはんだ等の導電体を充填しなくてもチャンバ内部の気密性を保持すると同時に、チャンバの内部と外部との確実な電気的接続性を得ることができる。従って、基材にスルーホールを形成する通常の工程に対して付加的な工程である半田等の導電体の充填工程が不要となり、コネクタの生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るコネクタを用いた電気接続構造の概略模式図である。
図2図1に示すコネクタを用いた電気接続構造において、コネクタの周辺を詳細に示す断面図である。
図3図1に示すコネクタの平面図である。
図4図3における4−4線に沿う断面図である。
図5図1に示すコネクタに用いられる多層基板の平面図である。
図6図5における6−6線に沿う断面図である。
図7】多層基板の第1変形例の主要部の断面図である。
図8】多層基板の第2変形例の主要部の断面図である。
図9】多層基板の第3変形例の主要部の断面図である。
図10】従来例の、隔壁で区画される、圧力が調整された気密チャンバの内側及び外側を電気的に相互接続する電気接続構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る電気接続構造の実施形態を図面を参照して説明する。
図1に示す電気接続構造において、隔壁90で区画され内部が気密に保たれる気密チャンバCの内側及び外側をコネクタ1を用いて電気的に相互接続する。気密チャンバCの内部は、真空に近い状態であってもよいし、Heガスのような分子量の少ないガスで充満させて外気圧よりも低い圧力の状態に減圧してもよい。また、気密チャンバCの内部は、外気圧よりも高い圧力の状態であってもよい。
【0018】
ここで、隔壁90には、図1に示すように、気密チャンバCの内部と外部とを貫通する開口部91が形成されている。また、隔壁90には、隔壁90の気密チャンバC内にガスを注入する(又は気密チャンバCからガスを排出する)ためのガス注入・排出用開口部92が形成されている。この隔壁90は、金属製である。
そして、隔壁90の開口部91は、図1及び図2に示すように、コネクタ1によって塞がれる。
【0019】
コネクタ1は、図2に示すように、開口部91を塞ぐ多層基板(本実施形態においては、4層基板)10を備えている。
この多層基板10は、図2乃至図6によく示すように、平板状の第1基材20と、第1基材20の内表面20a側に配置されて開口部91を塞ぐ平板状の第2基材30と、第1基材20の外表面20b側に配置される平板状の第3基材40とを備えている。
【0020】
ここで、第1基材20は、図5に示すように、幅方向(図5における左右方向)及び長手方向(図5における上下方向)に延びる略矩形形状の平板状部材である。なお、第1基材20は円形であってもよい。第1基材20は、図2乃至図6に示すように、気密チャンバCの内部側に位置する内表面20aと外表面20bとを有する。そして、第1基材20の内表面20aには、第1基材20の外周に沿って連続的に無端状に延びる所定幅の切欠20cが形成されている。第1基材20は、例えば、ガラス入りエポキシ製である。
【0021】
また、第1基材20には、図6に示すように、第1基材20の内表面20a及び外表面20b間を電気的に相互接続する複数の第1スルーホール23が形成されている。複数の第1スルーホール23は、第1基材20の幅方向において2列状に形成されている。図示はしないが、各列の第1スルーホール23は、前後方向に沿って所定ピッチで形成されている。そして、各第1スルーホール23は、第1基材20の内表面20aと外表面20bとの間を貫通する貫通孔21の内周面に、第1基材20の内表面20aと外表面20bとの間を延びる環状の第1導電めっき22を施してなる。第1導電めっき22は、例えば、すずめっきあるいは金めっきで形成される。また、環状の第1導電めっき22の中央の空間には、樹脂26が充填されている。この空間には、樹脂26ではなく、導電体を充填してもよいし、また、図7に示すように、空間27に何も充填しなくてもよい。そして、第1基材20の内表面20aには、第1導電めっき22の内表面20a側に接続された複数の第1導電層24が設けられている。各第1導電層24は、第1導電めっき22の周囲を囲む部分と、この部分から幅方向外側に延びる部分とを含むように形成されている。また、第1基材20の外表面20bには、第1導電めっき22の外表面20b側に接続された複数の第2導電層25が設けられている。各第2導電層25も、第1導電めっき22の周囲を囲む部分と、この部分から幅方向外側に延びる部分とを含むように形成されている。
【0022】
そして、第2基材30は、図5に示すように、幅方向(図5における左右方向)及び長手方向(図5における上下方向)に延びる略矩形形状の平板状部材である。第2基材30は、切欠かれている第1基材20の内表面20aと同一の幅及び長さを有する。そして、第2基材30は、図2図4及び図6に示すように、気密チャンバCの内部側に位置する内表面30aと外表面30bとを有する。第2基材30は、例えば、ガラス入りエポキシ製である。図5及び図6に示すように、第1基材20の切欠20cの部分と、第2基材30の外周端面の部分と、第2基材30の内表面30aの外周部分とに、連続的に無端状に延びる半田付け層11が形成されている。半田付け層11は、例えば、すずめっきあるいは金めっきで形成される。
【0023】
また、第2基材30には、図6に示すように、第2基材30の内表面30a及び外表面30b間を電気的に相互接続する複数の第2スルーホール33が形成されている。複数の第2スルーホール33は、第2基材30の幅方向において第1スルーホール23よりも外側の位置に2列状に形成されている。各列の第2スルーホール33は、前後方向に沿って所定ピッチで形成されている。そして、各第2スルーホール33は、第2基材30の内表面30aと外表面30bとの間を貫通する貫通孔31の内周面に、第2基材30の内表面30aと外表面30bとの間を延びる第2導電めっき32を施してなる。第2導電めっき32は、図6に示すように、貫通孔31の内部をすべて埋め尽くすように形成されている。但し、図7に示すように、第2導電めっき32を内表面30aと外表面30bとの間を延びる環状に形成し、中央に空間35を形成するようにしてよい。第2導電めっき32は、例えば、すずめっきあるいは金めっきで形成される。そして、第2基材30の内表面30aには、第2導電めっき32の内表面側に接続された複数の第3導電層34が設けられている。各第3導電層34は、図5及び図6に示すように、第2導電めっき32の内表面側端部を覆いかつ幅方向内側に延びる長方形状に形成されている。
【0024】
更に、第3基材40は、幅方向(図5における左右方向)及び長手方向(図5における上下方向)に延びる略矩形形状の平板状部材である。第3基材40は、第1基材20の外表面20bと同一の幅及び長さを有する。そして、第3基材40は、図2図4及び図6に示すように、気密チャンバCの内部側に位置する内表面40aと外表面40bとを有する。第3基材40は、例えば、ガラス入りエポキシ製である。
【0025】
また、第3基材40には、図6に示すように、第3基材40の内表面40a及び外表面40b間を電気的に相互接続する複数の第3スルーホール43が形成されている。複数の第3スルーホール43は、第3基材40の幅方向において第1スルーホール23よりも外側の位置に2列状に形成されている。各列の第3スルーホール43は、前後方向に沿って所定ピッチで形成されている。そして、各第3スルーホール43は、第3基材40の内表面40aと外表面40bとの間を貫通する貫通孔41の内周面に、第3基材40の内表面40aと外表面40bとの間を延びる第3導電めっき42を施してなる。第3導電めっき42は、図6に示すように、貫通孔41の内部をすべて埋め尽くすように形成されている。但し、図7に示すように、第3導電めっき42を内表面40aと外表面40bとの間を延びる環状に形成し、中央に空間45を形成するようにしてよい。第3導電めっき42は、例えば、すずめっきあるいは金めっきで形成される。そして、第3基材40の外表面40bには、第3導電めっき42の外表面側に接続された複数の第4導電層44が設けられている。各第4導電層44は、第3導電めっき42の表面側端部を覆いかつ幅方向内側に延びる長方形状に形成されている。
【0026】
そして、図6に示すように、第2基材30の外表面30bが第1基材20の内表面20aに接するように配置されて、第2基材30によって第1基材20に形成された第1スルーホール23の内表面側が塞がれる。また、第1導電層24と第2導電めっき32の外表面側とが接続される。
更に、第3基材40の内表面40aが第1基材20の外表面20bに接するように配置されて、第3基材40によって第1基材20に形成された第1スルーホール23の外表面側が塞がれる。また、第2導電層25と第3導電めっき42の内表面側とが接続される。
【0027】
この多層基板10において、内表面側から外表面側に向かう第2基材30、第1基材20、及び第3基材40の層方向に、第3導電層34、第1導電層24、第導電層25、及び第4導電層44の4個の導電層が配置されている。このため、多層基板10は、4層基板を構成している。
また、コネクタ1は、図3及び図4に示すように、第2基材30の内表面30a側に配置される第1コネクタ50と、第3基材40の外表面40b側に配置される第2コネクタ60とを備えている。
【0028】
ここで、第1コネクタ50は、図4に示すように、絶縁性のハウジング51と、ハウジング51に収容される複数の電気コンタクト52とを備えている。複数の電気コンタクト52は、第2基材30に形成された第2スルーホール33及び第3導電層34に対応して、図3に示すように、ハウジング51の幅方向において2列状に配置されている。各列の電気コンタクト52は、前後方向に沿って所定ピッチで配置されている。
そして、各電気コンタクト52は、第2基材30に形成された第3導電層34に半田接続される接続部52aと、弾性接触部52bとを備えている。
【0029】
一方、第2コネクタ60は、図4に示すように、絶縁性のハウジング61と、ハウジング61に収容される複数の電気コンタクト62とを備えている。複数の電気コンタクト62は、第3基材40に形成された第3スルーホール43及び第4導電層44に対応してハウジング61の幅方向において2列状に配置されている。各列の電気コンタクト62は、前後方向に沿って所定ピッチで配置されている。
そして、各電気コンタクト62は、第3基材40に形成された第4導電層44に半田接続される接続部62aと、弾性接触部62bとを備えている。
【0030】
次に、気密チャンバCの内側及び外側をコネクタ1を用いて電気的に相互接続する際には、先ず、図1に示すように、第1回路基板70を気密チャンバC内に配置しておく。そして、図2に示すように、コネクタ1を構成する第2基材30の内表面30aを隔壁90側にして開口部91側に向ける。そして、半田付け層11を半田Sによって隔壁90に接続する。これにより、コネクタ1が隔壁90に固定されると共に、開口部91がコネクタ1によって塞がれる。また、第1コネクタ50の電気コンタクト52における弾性接触部52bが第1回路基板70に接触する。
そして、図1に示すように、第2回路基板80を、第2コネクタ60における電気コンタクト62の弾性接触部62cに接触させる。これにより、第1回路基板70及び第2回路基板80がコネクタ1を介して電気的に相互接続される。
【0031】
ここで、本実施形態に係るコネクタ1によれば、気密チャンバCの内部と外部とを貫通する開口部91を塞ぐ多層基板10を備えている。そして、この多層基板10において、第2基材30の外表面30bを第1基材20の内表面20aに接するように配置して第2基材30によって、第1基材20に形成された第1スルーホール23の内表面側を塞ぐ。また、第3基材40の内表面40aを第1基材20の外表面20bに接するように配置して第3基材40によって第1スルーホール23の外表面側を塞ぐ。このため、多層基板10を構成する第2基材30及び第3基材40により、第1基板20の第1スルーホール23の内表面側及び外表面側を塞ぐことができ、チャンバCの内部の気密性を保持することができる。
【0032】
また、第1基材20が、第1スルーホール23の第1導電めっき22の内表面側に接続された第1導電層24と、第1導電めっき22の外表面側に接続された第2導電層25とを備える。また、第2基材30が、第2スルーホール33の第2導電めっき32の内表面側に接続された第3導電層34を備える。更に、第3基材40が、第3スルーホール43の第3導電めっき42の外表面側に接続された第4導電層44を備える。そして、第1導電層24と第2導電めっき32の外表面側とを接続し、第2導電層25と第3導電めっき42の内表面側とを接続した。このため、多層基板10において、内表面側から外表面側に向けて、第3導電層34、第2導電めっき32、第1導電層24、第1導電めっき22、第2導電層25、第3導電めっき42、及び第4導電層44の順に接続される。このため、チャンバCの内部と外部との確実な電気的接続性を得ることができる。
【0033】
これにより、基材(第1基材20)に形成されたスルーホール(第1スルーホール23)の内部にはんだ等の導電体を充填しなくてもチャンバCの内部の気密性を保持すると同時に、チャンバCの内部と外部との確実な電気的接続性を得ることができる。従って、基材にスルーホールを形成する通常の工程に対して付加的な工程である半田等の導電体の充填工程が不要となり、コネクタ1の生産性を向上させることができる。
【0034】
次に、図7を参照して第1変形例の多層基板10を、図8を参照して第2変形例の多層基板10を、図9を参照して第3変形例の多層基板10を説明する。図7図8及び図9において、図6に示す多層基板10と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
先ず、図7に示す第1変形例の多層基板10は、図6に示す多層基板10と異なり、前述したように、環状の第1スルーホール23の第1導電めっき22の中央の空間27には何も充填されていない。また、前述したように、第2導電めっき32を第2基材30の内表面30aと外表面30bとの間を延びる環状に形成し、中央に空間35を形成している。更に、第3導電めっき42を第3基材40の内表面40aと外表面40bとの間を延びる環状に形成し、中央に空間35を形成している。
【0035】
この第1変形例の多層基板10によっても、基材(第1基材20)に形成されたスルーホール(第1スルーホール23)の内部にはんだ等の導電体を充填しなくてもチャンバCの内部の気密性を保持することができる。また同時に、チャンバCの内部と外部との確実な電気的接続性を得ることができる。
なお、図6に示す多層基板10のように、環状の第1導電めっき22の中央の空間に樹脂26を充填したり、あるいは当該空間に導電体を充填すると、チャンバCの内部の気密性保持効果を高めることができる。また、図6に示す多層基板10のように、第2導電めっき32を、貫通孔31の内部をすべて埋め尽くすように形成しても、チャンバCの内部の気密性保持効果を高めることができる。更に、同様に、第3導電めっき42を、貫通孔41の内部をすべて埋め尽くすように形成しても、チャンバCの内部の気密性保持効果を高めることができる。
【0036】
次に、図8に示す第2変形例の多層基板10は、図6に示す多層基板10と異なり、複数の第2スルーホール33が第2基材30の幅方向において第1スルーホール23と同一の位置に形成されている。また、複数の第3スルーホール43も第3基材40の幅方向において第1スルーホール23と同一の位置に形成されている。即ち、第1スルーホール23、第2スルーホール33、及び第3スルーホール43が、多層基板10の内側から外側に向けて直線状に配置されている。
【0037】
そして、図8に示す第2変形例の多層基板10は、図6に示す多層基板10と異なり、第1導電層24が、環状に形成された第1導電めっき22の内表面側端部を覆うように第1導電めっき22と同心に形成されている。また、第2導電層25が、環状に形成された第1導電めっき22の外表面端部を覆うように第1導電めっき22と同心に形成されている。
【0038】
この第2変形例の多層基板10によっても、基材(第1基材20)に形成されたスルーホール(第1スルーホール23)の内部にはんだ等の導電体を充填しなくてもチャンバCの内部の気密性を保持することができる。また同時に、チャンバCの内部と外部との確実な電気的接続性を得ることができる。
なお、図8に示す多層基板10のように、複数の第2スルーホール33及び複数の第3スルーホール43を、第2基材30の幅方向において第1スルーホール23と異なる位置に形成した方が、チャンバCの内部の気密性保持効果を高めることができる。
【0039】
更に、図9に示す第3変形例の多層基板10は、図8に示す多層基板10と基本構成は同一であるが、図8に示す多層基板10と異なり、第2導電めっき32を内表面30aと外表面30bとの間を延びる環状に形成し、中央に空間35を形成してある。また、第3導電めっき42を内表面40aと外表面40bとの間を延びる環状に形成し、中央に空間45を形成してある。
【0040】
この第3変形例の多層基板10によっても、基材(第1基材20)に形成されたスルーホール(第1スルーホール23)の内部にはんだ等の導電体を充填しなくてもチャンバCの内部の気密性を保持することができる。また同時に、チャンバCの内部と外部との確実な電気的接続性を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、種々の変更、改良を行うことができる。
【0041】
例えば、第1基材20、第2基材30、及び第3基材40は、それぞれ単層で構成されているが、複数の層で構成するようにしてもよい。
また、多層基板10は、4層で構成される場合のみならず、5層、6層など、4層以上で構成されればよい。
更に、コネクタ1は、第1コネクタ50及び第2コネクタ60を必ずしも備えている必要はない。
【符号の説明】
【0042】
1 コネクタ
10 多層基板
20 第1基材
20a 内表面
20b 外表面
21 貫通孔
22 第1導電めっき
23 第1スルーホール
24 第1導電層
25 第2導電層
30 第2基材
30a 内表面
30b 外表面
31 貫通孔
32 第2導電めっき
33 第2スルーホール
34 第3導電層
40 第3基材
40a 内表面
40b 外表面
41 貫通孔
42 第3導電めっき
43 第3スルーホール
44 第4導電層
90 隔壁
91 開口部
C 気密チャンバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10