(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
メントール以外の冷感剤が、乳酸メンチル、コハク酸メンチル、メントングリセリンアセタール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、メンチルエチルアミノシュウ酸、メンタンカルボニルグリシンエチルエステル、N−エチル−3−p−メンタンカルボキシアミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、イソプレゴール、メンチルピロリドンカルボン酸、メンチルアセテート、シネオール、ボルネオール、カンファー、チモール及びこれらの誘導体から選択される1種又は2種以上を含有する請求項1又は2に記載の冷涼感シート。
平均水接触角60°以上90°以下の繊維による不織布の厚さと、シート状吸水性材の吸水前の厚さとの比率(不織布/吸水性材)が、0.2以上10以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷涼感シート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の冷涼感シートは、シート状吸水性材が封入されてなるとともに、皮膚に当接する面を有する平袋体を備える冷涼感シートであって、
少なくとも皮膚に当接する面が、平均水接触角60°以上90°以下の繊維による不織布から形成され、かつシート状吸水性材が、メントール含有率50質量%以下である冷感剤を含んでなる。
【0011】
本発明の冷涼感シートは、皮膚に当接する面を有する平袋体を備え、かかる平袋体内にはシート状吸水性材が封入されてなるものであって、使用時に平袋体内に封入されたシート状吸水性材に水分を吸収させて用いるシートである。シート状吸水性材が水や汗などの水分を吸収して膨潤する、或いは使用時に本発明の冷涼感シートを水に浸漬することで平袋体内に封入されたシート状吸収性材が十分に水を吸収して膨潤すると、シート状吸水性材に含まれる冷感剤が水を介して平袋体へと移行し、平袋体における皮膚に当接する面から水が蒸散するとともに冷感剤も適度に皮膚へ作用して、水の気化熱で皮膚表面から効果的に皮膚熱を奪いつつ、冷感剤による優れた冷涼感を得ることができる。
【0012】
平袋体の皮膚に当接する面は、平均水接触角60°以上90°以下の繊維による不織布から形成される。60°以上90°以下の平均水接触角を有する繊維は、接触する皮膚へ過剰な水分の供給を抑制することのできる適度な親水性と、介在する水分が不足して冷感剤の作用が弱まるのを回避するとともに、使用感が減じられるのを抑制する適度な疎水性とを併せ持つ素材である。平袋体における皮膚に直接接触する面を、かかる繊維で形成された不織布とすることにより、水分を吸収したシート状吸水性材内から不織布へと冷感剤が容易に移行しながら、皮膚に当接する面から水が蒸散するのに伴ってすみやかに冷感剤を作用させることができる。また、シート状吸水性材から放出され得る過剰な水を不織布内に留めて皮膚に当接する面からの漏出を効果的に抑制しつつ、かかる面と皮膚との間に滞留しがちな水分の量を減じることができるので、皮膚に良好な使用感を与えることができる。さらに、このような適度な親水性と疎水性とを併せ持つ繊維による不織布を用いることにより、皮膚に当接する面から作用する冷感剤の量をも適度に制御して短時間に冷感剤が消耗されるのを抑制することができ、優れた冷涼感を持続させることが可能となる。したがって、冷感剤を穏やかに作用させながら水の気化熱による作用と相まって皮膚に優れた冷涼感をもたらすとともにその持続性にも優れ、また皮膚への過剰な水分の付着を効果的に抑制して皮膚に良好な感触をもたらすことができる。
【0013】
繊維の平均水接触角は、適度な親水性を保持して冷感剤を良好に作用させる観点から、60°以上であって、好ましくは65°以上であり、より好ましくは68°以上である。そして、同様の観点から、90°以下であって、好ましくは87°以下であり、より好ましくは85°以下である。また、繊維の平均水接触角は、60〜90°であって、好ましくは65〜87°であり、より好ましくは68〜85°である。なお、繊維の平均水接触角とは、次の方法で測定される値を意味する。測定装置として協和界面化学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用い、水として蒸留水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部から吐出される液量を20pLに設定して、水滴を繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析を行う観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピューターが望ましい。録画された映像において、繊維に水滴が着滴した最初の画像を付属ソフトにて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維のなす角度を算出し、水接触角とする。なお、不織布から取り出して得られる繊維は、不織布表面から繊維長約1mmで裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持し、該繊維1本につき異なる2箇所の位置で水接触角を測定する。1つの不織布につき繊維5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第1桁で四捨五入)を平均水接触角と定義する。
【0014】
このような繊維の繊維径は、適度な親水性を保持して冷感剤を良好に作用させる観点から、好ましくは1dtex以上であり、より好ましくは1.5dtex以上である。そして、繊維の繊維径は、同様の観点から、好ましくは10dtex以下であり、より好ましくは5dtex以下である。また、繊維の繊維径は、好ましくは1〜10dtexであり、より好ましくは1.5〜5.0dtexである。
【0015】
このような繊維の素材としては、上記特定の平均水接触角を有するものであればよく、適度な親水性を保持して冷感剤を良好に作用させる観点から、綿、パルプ、麻、絹、羊毛等の植物繊維や動物繊維;高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン、アラミド等のポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維等の合成繊維;アセテート等の半合成繊維;リヨセル等の再生セルロース、パルプ等より得られるビスコースレーヨン、銅アンモニウムレーヨン等の再生繊維;ガラス、炭素等の無機繊維;及びこれらの複合繊維から選択される1種又は2種以上が好ましい。なかでも、上記平均水接触角を有する観点から、植物繊維、合成繊維、再生繊維、及びこれらの複合繊維から選択される1種又は2種以上がより好ましく、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維及びレーヨン繊維から選択される2種以上の複合繊維がさらに好ましく、ポリオレフィン繊維及びポリエステル繊維の複合繊維がまたさらに好ましい。
【0016】
上記繊維による不織布の目付量は、冷感剤を良好に作用させる観点、良好な通気性を保持しながらシート状吸水性材から放出され得る過剰な水を不織布内に良好に保持する観点、及び柔軟性を確保する観点から、好ましくは20g/m
2以上であり、より好ましくは25g/m
2以上である。そして、不織布の目付量は、同様の観点から、好ましくは200g/m
2以下であり、より好ましくは100g/m
2以下である。また、不織布の目付量は、好ましくは20〜200g/m
2であり、より好ましくは25〜100g/m
2である。
【0017】
上記繊維による不織布の厚さは、冷感剤を良好に作用させる観点、良好な通気性及び保形性を保持する観点、及びシート状吸水性材から放出され得る過剰な水分を不織布内に良好に保持する観点から、好ましくは0.4〜5mmであり、より好ましくは0.5〜3mmである。また、表面積を高めて冷感剤の皮膚への作用を促進させる観点、及び肌触りを良好にする観点から、不織布の表面にエンボス加工等を施してもよい。
【0018】
なお、平袋体に含まれる皮膚に当接する面以外の面は、上記と同様の不織布から形成されていてもよく、上記と同様の不織布以外の不織布、布や紙、金属箔や樹脂フィルム、又はこれらの複合体から形成されていてもよい。なかでも、本発明の冷涼感シートの通気性や柔軟性を確保する観点、及び製造工程の簡易化を図る観点から、皮膚に当接する面以外の面も不織布から形成するのが好ましい。
【0019】
平袋体内に封入されるシート状吸収性材は、冷感剤を含んでなる。本発明の冷涼感シートは、特定の平均水接触角を有する繊維による不織布から形成された皮膚に当接する面を含む平袋体を備えるため、シート状吸収性材に水分が浸透した際、冷感剤が水を介して平袋体内から皮膚に当接する面へと容易に移行し、次いでかかる面から皮膚へすみやかに作用することができるため、優れた冷感効果を得ることが可能である。
【0020】
本発明に用いる冷感剤は、メントール含有率50質量%以下である。メントールとしては、l−メントール、dl−メントール、またメントールを含有するハッカ油やペパーミント油等の精油を用いてもよい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、冷感効果の点から、l−メントールが好ましい。
【0021】
かかるメントールの含有率は、優れた冷感効果をもたらしつつ皮膚への刺激を低減する観点から、冷感剤全量中に50質量%以下であって、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、メントールを含有しないことが好ましい。
【0022】
冷感剤には、上記メントール以外の冷感剤を含有する。かかるメントール以外の冷感剤としては、乳酸メンチル、コハク酸メンチル、メントングリセリンアセタール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、メンチルエチルアミノシュウ酸、メンタンカルボニルグリシンエチルエステル、N−エチル−3−p−メンタンカルボキシアミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、イソプレゴール、メンチルピロリドンカルボン酸、メンチルアセテート、シネオール、ボルネオール、カンファー、チモール及びこれらの誘導体から選択される1種又は2種以上が好ましい。なかでも、適度な親水性と疎水性とを併せ持つ繊維による不織布と併用することで皮膚に優れた冷涼感をもたらす観点から、乳酸メンチル及びメントングリセリンアセタールから選択される1種又は2種が好ましく、乳酸メンチルがより好ましい。かかるメントール以外の冷感剤の合計含有量は、高い冷感効果を保持しつつ皮膚への刺激を効果的に抑制する観点から、冷感剤全量中に、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。また、メントール以外の冷感剤の合計含有量は、冷感剤全量中に、好ましくは50〜100質量%であり、より好ましくは60〜100質量%であり、さらに好ましくは80〜100質量%である。
【0023】
上記冷感剤の含有量は、冷感効果を十分に高めつつその持続性を向上させる観点から、本発明の冷涼感シート1cm
2あたり、好ましくは0.1mg以上であり、より好ましくは0.5mg以上であり、さらに好ましくは0.8mg以上である。そして、冷感剤の含有量は、同様の観点から、好ましくは10mg以下であり、より好ましくは5mg以下であり、さらに好ましくは3mg以下である。また、冷感剤の含有量は、好ましくは0.1〜10mgであり、より好ましくは0.5〜5mgであり、さらに好ましくは0.8〜3mgである。
【0024】
シート状吸収性材は、上記冷感剤のほか、香料、保湿剤、防腐剤、乳化剤、溶剤、油剤、pH調整剤、着色剤、UV吸収剤等を含有することができる。
【0025】
シート状吸収性材は、使用時に水に浸漬した際、水を効果的に吸収して膨潤しつつ良好な保形性を保持する観点から、吸収性ポリマーを親水性繊維からなる繊維集合体で挟み込んでなるのが好ましい。かかる吸収性ポリマーとしては、冷感剤を良好に作用させる観点から、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、(でんぷん−アクリル酸)グラフト共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸から選択される1種又は2種以上が好ましい。
【0026】
上記シート状吸収性材の水吸収量は、冷感剤を良好に作用させる観点や、十分な水分量を保持して冷感剤の作用を十分に促進する観点から、好ましくはシート状吸収性材の自重の7倍以上であり、より好ましくはシート状吸収性材の自重の10倍以上である。
【0027】
また、上記シート状吸収性材の吸水前の厚さは、シート状吸収性材の水分保持性を高める観点、及び冷感剤による冷感作用を促進する観点から、好ましくは0.2〜2mmであり、より好ましくは0.3〜1.5mmである。なお、上記厚さを確保するため、シート状吸収性材は複数枚重ねて平袋体内に封入してもよい。
【0028】
また、吸収性ポリマーを挟み込む親水性繊維からなる繊維集合体としては、不織布を形成する上記繊維の素材と同様のもののほか、紙や織布及びこれらを混在させた繊維からなる集合体が挙げられる。なかでも、水分を吸収する前においてシート状吸収性材中に良好に冷感剤を保持する観点、及び水分を吸収した後においてシート状吸収性材から不織布への冷感剤の移行を阻害しない観点から、パルプが好ましい。また、上記繊維集合体の厚さは、同様の観点から、好ましくは0.05〜0.8mmであり、より好ましくは0.1〜0.6mmである。
【0029】
本発明の冷涼感シートの水を吸収させる前の厚さは、皮膚に高い冷却効果をもたらしつつその持続性を十分に高める観点から、好ましくは1〜5mmであり、より好ましくは1.5〜3.5mmである。
【0030】
ここで、本発明の皮膚に当接する面を形成する平均水接触角60°以上90°以下の繊維による不織布の厚さと、シート状吸水性材の吸水前の厚さとの比率(不織布/吸水性材)は、シート状吸収性材の水分保持性とシート状吸水性材から放出され得る過剰な水分を不織布内に良好に保持するバランスの観点、及び冷感剤による冷感作用を促進する観点から、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.5以上であり、好ましくは10以下であり、より好ましくは5以下である。また、シート状吸水性材の吸水前の厚さとの比率(不織布/吸水性材)は、0.2〜10であり、より好ましくは0.5〜5である。
【0031】
なお、本発明の冷涼感シートを使用する際、身体の所望の部位に平袋体の皮膚に当接する面が直接接するよう密着させたり、固定したりするのがよい。かかる部位としては、頭、首、眼球、背中、腰、腕、足及びその関節が挙げられる。本発明の冷涼感シートを固定して用いる際、その利便性を考慮して、さらに平袋体に装着具を連結させてもよい。かかる装着具を連結させることにより、平袋体における皮膚に当接する面を皮膚に密着させたまま、身体の動作に追従させながら冷涼感シートを長時間保持することが容易となる。また、本発明の冷涼感シートのサイズや形態は、使用する所望の部位に応じて適宜選択すればよい。
また、本発明の冷涼感シートの外面のうち、皮膚に直接当接する面とは反対側の面を構成する外面に、さらに粘着層を形成してもよい。かかる粘着層を形成することにより、本発明の冷涼感シートの外面を覆う下着や襟等の衣服との密着性を高めることができるので、所望の部位が衣服に覆われた場合においても、身体の動作への追従性を向上させることが可能である。
【0032】
本発明の冷涼感シートを使用する際、予めシート状吸収性材に水分を浸透させてもよく、また予め水分を浸透させることなくそのまま使用してもよい。予めシート状吸収性材に水分を浸透させることなく本発明の冷涼感シートを使用した場合、汗の吸収性能を十分に発揮することもできるので、所望の部位において効果的に皮膚上の汗を吸収しつつ優れた冷涼感をもたらすことが可能である。
【0033】
本発明の冷涼感シートを製造するには、例えば、親水性繊維からなる繊維集合体2枚の間に吸収性ポリマーを挟み込んでシート状に成形し、シート状吸収性材を製造して、これに冷感剤を含浸させる。次いで、別途上記特定の平均水接触角を有する繊維で不織布を製造し、少なくとも皮膚に当接する面側にこの不織布を配し、他方の面側に同一、又は別の不織布又はその他の材を配する。そして、シート状吸収性材の端部でこれら不織布等を接着又は圧着等することにより、シート状吸収性材を封入した平袋体を形成して冷涼感シートを得る。
【0034】
このようにして得られる本発明の冷涼感シートの一実施態様を、
図1の模式図に示す。
図1に示す冷涼感シート1では、皮膚に当接する面Aを不織布2により形成するとともに、他方の面も不織布2により形成したものであり、これらを接合部Bで接着することによってシート状吸収性材3を封入してなる平袋体が形成されている。封入されたシート状吸収性材3は、吸収性ポリマー4を親水性繊維からなる繊維集合体5で被覆されてなる。
【0035】
上述した実施態様に関し、本発明はさらに以下の冷涼感シートを開示する。
[1]シート状吸水性材が封入されてなるとともに、皮膚に当接する面を有する平袋体を備える冷涼感シートであって、
少なくとも皮膚に当接する面が、平均水接触角60°以上90°以下の繊維による不織布から形成され、かつシート状吸水性材が、メントール含有率50質量%以下である冷感剤を含んでなる冷涼感シート。
[2]不織布が、平均水接触角60°以上90°以下の繊維によるものであって、平均水接触角は、好ましくは65°以上であり、より好ましくは68°以上であり、好ましくは87°以下であり、より好ましくは85°以下である上記[1]の冷涼感シート。
【0036】
[3]不織布を構成する繊維の繊維径は、好ましくは1dtex以上であり、より好ましくは1.5dtex以上であり、好ましくは10dtex以下であり、より好ましくは5dtex以下である上記[1]又は[2]の冷涼感シート。
[4]不織布を構成する繊維の素材は、好ましくは植物繊維、動物繊維、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、無機繊維及びこれらの複合繊維から選択される1種又は2種以上であり、より好ましくは植物繊維、合成繊維、再生繊維及びこれらの複合繊維から選択される1種又は2種以上であり、さらに好ましくはポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維及びレーヨン繊維から選択される2種以上の複合繊維である上記[1]〜[3]の冷涼感シート。
【0037】
[5]不織布の目付は、好ましくは20g/m
2以上であり、より好ましくは25g/m
2以上であり、好ましくは200g/m
2以下であり、より好ましくは100g/m
2以下である上記[1]〜[4]の冷涼感シート。
[6]不織布の厚さは、好ましくは0.4〜5mmであり、より好ましくは0.5〜3mmである上記[1]〜[5]の冷涼感シート。
【0038】
[7]冷感剤が、メントール含有率50質量%以下であるものであって、メントール含有率は、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である上記[1]〜[6]の冷涼感シート。
[8]冷感剤の含有量が、冷涼感シート1cm
2あたり、好ましくは0.1mg以上であり、より好ましくは0.5mg以上であり、さらに好ましくは0.8mg以上であり、好ましくは10mg以下であり、より好ましくは5mg以下であり、さらに好ましくは3mg以下である上記[1]〜[7]の冷涼感シート。
[9]メントール以外の冷感剤が、好ましくはさらに乳酸メンチル、コハク酸メンチル、メントングリセリンアセタール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、メンチルエチルアミノシュウ酸、メンタンカルボニルグリシンエチルエステル、N−エチル−3−p−メンタンカルボキシアミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、イソプレゴール、メンチルピロリドンカルボン酸、メンチルアセテート、シネオール、ボルネオール、カンファー、チモール及びこれらの誘導体から選択される1種又は2種以上を含有し、より好ましくは乳酸メンチル及びメントングリセリンアセタールから選択される1種又は2種を含有し、さらに好ましくは乳酸メンチルを含有する上記[1]〜[8]の冷涼感シート。
[10]メントール以外の冷感剤の合計含有量は、冷感剤全量中に、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である上記[1]〜[9]の冷涼感シート。
【0039】
[11]シート状吸水性材は、好ましくは吸収性ポリマーを親水性繊維からなる繊維集合体で挟み込んでなるものである上記[1]〜[10]の冷涼感シート。
[12]吸収性ポリマーは、好ましくはポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、(でんぷん−アクリル酸)グラフト共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸から選択される1種又は2種以上である上記[11]の冷涼感シート。
[13]シート状吸水性材の水吸収量は、好ましくはシート状吸収性材の自重の7倍以上であり、より好ましくはシート状吸収性材の自重の10倍以上である上記[1]〜[12]の冷涼感シート。
[14]平均水接触角60°以上90°以下の繊維による不織布の厚さと、シート状吸水性材の吸水前の厚さとの比率(不織布/吸水性材)は、好ましくは0.2〜10であり、より好ましくは0.5〜5である上記[1]〜[13]の冷涼感シート。
[15]水を吸収させる前の冷涼感シートの厚さは、好ましくは1〜5mmであり、より好ましくは1.5〜3.5mmである上記[1]〜[14]の冷涼感シート。
【実施例1】
【0040】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。
[実施例1〜15、比較例1〜16]
化学パルプ2枚(何れも厚さ0.2mm)の間に吸収性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム)を挟み込んでシート状に成形し、表1〜2に示す処方の冷感剤を含浸させたシート状吸収性材(厚さ0.6mm)を得た後、表1に示す不織布によってシート状吸収性材を両面から挟んで接着して平袋体を形成し、冷涼感シートを製造した。得られた冷涼感シートを水道水に1分間浸漬して吸水性ポリマーを膨潤させた後に、頸部の皮膚に装着する使用方法と、得られた冷涼感シートをそのまま頸部の皮膚に装着する使用方法について、28℃以上の条件下、各評価を行った。
なお、繊維の平均接触角は、協和界面化学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用い、上述した方法にしたがって、繊維5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均して求めた。
結果を表1〜3に示す。
【0041】
《冷感の強さ》
得られた冷涼感シートの装着開始から30分後の皮膚に感じる冷感の強さについて、5人の専門パネラーにより下記基準にしたがって官能評価し、結果は5人の平均値とした。
1:弱い冷感を感じる
2:やや弱い冷感を感じる
3:適度な冷感を感じる
4:やや強い冷感を感じる
5:強い冷感を感じる
6:痛みを伴うほどの強い冷感を感じる
【0042】
《冷感の持続性》
得られた冷涼感シートの装着開始から180分後の皮膚に感じる冷感の強さについて、5人の専門パネラーにより下記基準にしたがって官能評価し、結果は5人の平均値とした。
1:弱い冷感を感じる
2:やや弱い冷感を感じる
3:適度な冷感を感じる
4:やや強い冷感を感じる
5:強い冷感を感じる
6:痛みを伴うほどの強い冷感を感じる
【0043】
《装着時の快適性》
得られた冷涼感シートの装着開始から装着終了に至るまでの皮膚にもたらされる快適性について、5人の専門パネラーにより下記基準にしたがって官能評価し、最も多い評価を結果とした。
AA:皮膚がさらさらで快適である
A:皮膚がほぼさらさらで、まあまあ快適である
B:皮膚にわずかなべたつきを感じ、少し不快である
C:皮膚にべたつきを感じ、不快である
【0044】
《衣類へのウェットバック》
得られた冷涼感シートの装着開始から装着終了に至るまでの平袋体における皮膚に当接する面と皮膚との間に滞留する水分量について、5人のパネラーにより衣類が濡れたか否かにより評価し、最も多い評価を結果とした。
AA:衣類がほとんど濡れない
A:衣類があまり濡れない
B:衣類が少し濡れる
C:衣類が濡れる
【0045】
《汗の吸収性能》
得られた冷涼感シートの装着開始から装着終了に至るまでの頸部の皮膚にかいた汗の吸収性能について、5人のパネラーにより衣類が濡れたか否かにより評価し、最も多い評価を結果とした。
AA:汗をよく吸収する
A:汗をまあまあ吸収する
B:汗をあまり吸収しない
C:汗を吸収しない
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
表1〜3の結果によれば、実施例1〜15は、比較例1〜16に比して、優れた冷感効果を持続して発揮するとともに、良好な使用感が得られ、また予め吸水性ポリマーを膨潤させることなくそのまま皮膚に装着する使用方法を採用した場合、優れた汗吸収性能を発揮することもわかる。