(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ボルト保持体上に配置され、前記設置体を支持する本体部及び前記ボルト軸の挿通部を有する支持体が、前記設置体を支持した状態で、前記挟持体及び前記ナット体に前記設置体及び開口縁部とともに挟圧されることを特徴とする請求項1に記載の設置体の設置装置。
前記ボルト保持体は、前記底壁から立設した一対の側壁と、前記一対の側壁の先端側からそれぞれ折り返された一対のフランジ部と、を備えた中空のレール体であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の設置体の設置装置。
底壁と、前記底壁から立設した一対の側壁と、前記一対の側壁の先端側からそれぞれ折り返された一対のフランジ部と、前記一対のフランジ部の先端が形成する開口部を縁取ると共に前記底壁に対向する開口縁部とを有する中空のレール状のボルト保持体にボルト体を立設して、当該ボルト体を介して設置体を設置する方法であって、
ボルト先端を前記開口部から突出させ、ボルト基端を前記底壁に当接させ、且つ、ボルト軸に螺着したナット体及びボルト基端側を前記ボルト保持体の内部に配置するステップと、
前記ナット体を前記ボルト基端から離隔させるように前記ボルト体のボルト軸を回転させて、前記ナット体を前記開口縁部に圧接させることにより、前記ボルト基端及び前記ナット体を前記底壁と前記開口縁部との間で突っ張らせて前記ボルト体を仮立設させるステップと、
前記設置体を前記ボルト保持体上に配置し、前記設置体の上から挟持体をボルト先端に取着し、前記挟持体が有する挟圧ナットの雌ねじを利用して前記ボルト基端側へ向けて螺進させることで、前記ナット体を前記開口縁部に更に圧接して、前記ナット体及び前記挟持体で前記設置体及び前記開口縁部を挟圧して、前記設置体を前記ボルト保持体に固定するステップと、を含むことを特徴とする設置体の設置方法。
前記ナット体の前記開口縁部への圧接を緩めた状態で、前記ボルト体を前記開口縁部に沿ってスライドさせて、前記ボルト体の位置を調整するステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の設置体の設置方法。
底壁、及び、開口部を縁取ると共に前記底壁に対向する開口縁部を有するボルト保持体にボルト体を立設して、当該ボルト体を介して太陽光パネルを設置する方法であって、
ボルト先端を前記開口部から突出させ、ボルト基端を前記底壁に当接させ、且つ、ボルト軸に螺着したナット体を前記ボルト保持体の内部に配置するステップと、
前記ナット体を前記ボルト基端から離隔させるように前記ボルト体を回転させて、前記ナット体を前記開口縁部に圧接させることにより、前記ボルト基端及び前記ナット体を前記底壁と前記開口縁部との間で突っ張らせて前記ボルト体を立設させるステップと、
前記太陽光パネルのパネル外縁部を支持する本体部、当該本体部に穿設された前記ボルト軸が挿通される挿通部、及び、前記パネル外縁部が係合する係合部を有する支持体を、前記挿通部に前記ボルト軸を挿通して、前記ボルト保持体上に回動可能に配置するステップと、
前記支持体の回動を所定範囲に制限することにより、前記支持体の所定幅の遊動が許容された状態で、前記パネル外縁部を前記挿通部及び前記係合部の間の載置領域に載置するステップと、
前記太陽光パネルを前記ボルト保持体上に配置し、前記太陽光パネルの上から挟持体をボルト先端に取着することにより、前記ナット体及び前記挟持体で前記太陽光パネルのパネル外縁部及び前記開口縁部を挟圧して、前記パネル外縁部及び前記支持体を前記ボルト保持体に固定するステップと、を含み、
前記支持体は、前記本体部から延設された規制部をさらに有し、前記規制部が前記ボルト保持体に当接して前記支持体の回動を所定範囲に制限することを特徴とする太陽光パネルの設置方法。
底壁と、前記底壁から立設した一対の側壁と、前記一対の側壁の先端側からそれぞれ折り返された一対のフランジ部と、前記一対のフランジ部の先端が形成する開口部を縁取ると共に前記底壁に対向する開口縁部とを有する中空のレール状のボルト保持体と、
先端、基端及び軸を有し、前記ボルト保持体に立設保持されたボルト軸と、を備え、
前記ボルト軸に螺着されたナット体及びボルト基端側が前記ボルト保持体の内部に配置され、前記ボルト先端が前記開口部から突出するように前記ボルト軸が立設され、
前記立設したボルト軸の前記ボルト先端に雌ねじを有する挟圧ナットを備える挟持体が取着され、
前記ボルト保持体上に配置した設置体を前記挟持体が上方から圧接し、前記挟持体と前記ナット体のみによって、前記設置体及び前記開口縁部が挟圧されて、前記ボルト保持体に設置体が固定されていることを特徴とする設置構造。
底壁と、前記底壁から立設した一対の側壁と、前記一対の側壁の先端側からそれぞれ折り返された一対のフランジ部と、前記一対のフランジ部の先端が形成する開口部を縁取ると共に前記底壁に対向する開口縁部とを有する中空のレール状のボルト保持体と、
先端、基端及び軸を有し、前記ボルト保持体に立設保持されたボルト軸と、を備え、
前記ボルト軸に螺着されたナット体及びボルト基端側が前記ボルト保持体の内部に配置され、前記ボルト先端が前記開口部から突出するように前記ボルト軸が立設され、
前記設置体を支持する本体部及び前記ボルト軸の挿通部を有する支持体が、前記挿通部にボルト軸が挿通された状態で、前記ボルト保持体上に配置され、
前記立設したボルト軸の前記ボルト先端に雌ねじを有する挟圧ナットを備える挟持体が取着され、
前記ボルト保持体上に配置した設置体を前記挟持体が上方から圧接し、前記挟持体と前記ナット体のみによって、前記設置体及び前記開口縁部が挟圧されて、前記ボルト保持体に設置体が固定されていることを特徴とする設置構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のボルト体支持構造では、予め仮螺合状態の設置体(波付トラフ)を台座に対して仮配置して、ボルト体を所定位置に維持しながら、ボルト体の締結作業を行わなければならないため、設置体の作業が困難となる問題があった。より具体的には、ボルト軸を台座の上方開口に貫通配置させるべく、仮螺合状態の設置体を台座に仮配置する際、ナット体のみを台座内部に挿入させるように、(比較的大きい)設置体を把持して、台座の狭い側端口からボルト軸をスライドさせるため、当該作業には精密な動作が求められる。特に、ある程度の大きさ及び重量を有する太陽光パネル等が設置する対象である場合、設置体の取り扱いがより一層困難となるため、設置作業の効率が著しく低下する。また、設置体を仮配置した後においても、ボルト体が開口内で自由に動くことができるため、設置体の固定位置がずれないように設置体(又はボルト体)を手で所定位置に維持及び保持しながらボルト体及びナット体の締結を行わなければならなかった。すなわち、ボルト体及びナット体の締結作業も同様に困難であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ボルト体を立設状態で支持する、設置体の設置容易性を改善したボルト体支持構造、設置体の設置方法、及び、設置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の設置体の設置装置は、先端、基端及び軸を有するボルト体と、ボルト基端を支持する底壁、及び、ボルト軸が貫通する開口部を縁取ると共に底壁に対向する開口縁部を有するボルト保持体と、ボルト保持体の内部でボルト軸に螺着されたナット体と、雌ねじを有
する挟圧ナットを備え、ボルト基端に取着される挟持体と、を備え、ボルト保持体には、ボルト基端及びナット体が底壁と開口縁部との間で突っ張って、ボルト体が立設されており、ナット体の開口縁部への圧接を緩めた状態で、ボルト体が開口縁部に沿ってスライド可能であり、ボルト保持体に設置体を固定すべく、立設されたボルト体の先端側に取着された(、基端側へと螺進される)挟持体が、ボルト保持体上に配置した設置体の上方から圧接し、ボルト保持体内のナット体とともに、設置体及び開口縁部を挟圧することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の設置体の設置装置は、請求項1の設置体の設置装置において、ボルト保持体上に配置され、設置体を支持する本体部及びボルト軸の挿通部を有する支持体が、設置体を支持した状態で、挟持体及びナット体に設置体及び開口縁部とともに挟圧されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の設置体の設置装置は、請求項2の設置体の設置装置において、支持体は、ボルト軸を軸心として遊動可能に、ボルト保持体上に配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の設置体の設置装置は、請求項1から3のいずれかの設置体の設置装置において、ナット体は、開口部からボルト保持体の内部に挿通可能に形成された細幅部と、ナット体のボルト保持体内部での回動を規制する規制部とを備え、
ボルト保持体の内部でナット体が螺着したボルト体を回動させることで、ボルト体及びナット体が共回動するとともに、規制部がボルト保持体と当接してナット体の所定以上の共回動を規制することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の設置体の設置装置は、請求項1から4のいずれかの設置体の設置装置において、ボルト保持体は、底壁から立設した一対の側壁と、一対の側壁の先端側からそれぞれ折り返された一対のフランジ部と、を備えた中空のレール体であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の設置体の設置装置は、請求項5の設置体の設置装置において、ナット体の圧接面には凹凸領域が形成され、一対のフランジ部から底壁に向かって垂下して形成された開口部を縁取る開口縁部の下端面には凹凸領域に係合可能な凹凸段部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の設置体の設置装置は、請求項1から6のいずれかの設置体の設置装置において、ボルト基端には、ボルト軸から張り出したボルト頭部が設けられ、
ボルト保持体の内部は、ボルト軸を軸心とするボルト頭部の回動を許容することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の設置体の設置方法は、底壁と、底壁から立設した一対の側壁と、一対の側壁の先端側からそれぞれ折り返された一対のフランジ部と、一対のフランジ部の先端が形成する開口部を縁取ると共に底壁に対向する開口縁部とを有する中空のレール状のボルト保持体にボルト体を立設して、当該ボルト体を介して設置体を設置する方法であって、ボルト先端を開口部から突出させ、ボルト基端を底壁に当接させ、且つ、ボルト軸に螺着したナット体及びボルト基端側をボルト保持体の内部に配置するステップと、ナット体をボルト基端から離隔させるようにボルト体のボルト軸を回転させて、ナット体を開口縁部に圧接させることにより、ボルト基端及びナット体を底壁と開口縁部との間で突っ張らせてボルト体を仮立設させるステップと、設置体をボルト保持体上に配置し、設置体の上から挟持体をボルト先端に取着し、挟持体が有する
挟圧ナットの雌ねじを利用してボルト基端側へ向けて螺進させることで、ナット体を開口縁部に更に圧接して、ナット体及び挟持体で設置体及び開口縁部を挟圧して、設置体をボルト保持体に固定するステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の設置体の設置方法は、請求項8の設置方法において、ナット体の開口縁部への圧接を緩めた状態で、ボルト体を開口縁部に沿ってスライドさせて、ボルト体の位置を調整するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の太陽光パネルの設置方法は、底壁、及び、開口部を縁取ると共に底壁に対向する開口縁部を有するボルト保持体にボルト体を立設して、当該ボルト体を介して太陽光パネルを設置する方法であって、ボルト先端を開口部から突出させ、ボルト基端を底壁に当接させ、且つ、ボルト軸に螺着したナット体をボルト保持体の内部に配置するステップと、ナット体をボルト基端から離隔させるようにボルト体を回転させて、ナット体を開口縁部に圧接させることにより、ボルト基端及びナット体を底壁と開口縁部との間で突っ張らせてボルト体を立設させるステップと、太陽光パネルのパネル外縁部を支持する本体部、当該本体部に穿設されたボルト軸が挿通される挿通部、及び、パネル外縁部が係合する係合部を有する支持体を、挿通部にボルト軸を挿通して、ボルト保持体上に回動可能に配置するステップと、支持体の回動を所定範囲に制限することにより、支持体の所定幅の遊動が許容された状態で、パネル外縁部を挿通部及び係合部の間の載置領域に載置するステップと、太陽光パネルをボルト保持体上に配置し、太陽光パネルの上から挟持体をボルト先端に取着することにより、ナット体及び挟持体で太陽光パネルのパネル外縁部及び開口縁部を挟圧して、パネル外縁部及び支持体をボルト保持体に固定するステップと、を含
み、支持体は、本体部から延設された規制部をさらに有し、規制部がボルト保持体に当接して支持体の回動を所定範囲に制限することを特徴とする。
【0017】
【0018】
請求項
11に記載の設置体の設置構造は、底壁、及び、開口部を縁取ると共に底壁に対向する開口縁部を有するボルト保持体に太陽光パネルが固定された設置構造であって、ボルト体のボルト先端が開口部から突出し、ボルト軸がボルト保持体の内部でナット体に螺合し、且つ、ナット体が開口縁部に圧接することによって、ボルト体が立設しており、太陽光パネルが保持体上に配置され、太陽光パネルの上からボルト先端に取着された挟持体がナット体と協働して太陽光パネル及び開口縁部を挟圧して、太陽光パネルがボルト保持体に固定されており、ボルト保持体上に配置されると共に太陽光パネルのパネル外縁部を下側から支持する本体部、及び、当該本体部に穿設されたボルト軸の挿通部を有する支持体をさらに備え、パネル外縁部及び支持体がナット体及び挟持体に挟圧されてボルト保持体に固定され
、支持体は、パネル外縁部が係合する係合部、及び、パネル外縁部を支持体上に載置するときに支持体の所定幅の遊動を許容するための規制部をさらに備えることを特徴とする。
【0019】
【0020】
請求項
12に記載の設置体の設置構造は、底壁と、底壁から立設した一対の側壁と、一対の側壁の先端側からそれぞれ折り返された一対のフランジ部と、一対のフランジ部の先端が形成する開口部を縁取ると共に底壁に対向する開口縁部とを有する中空のレール状のボルト保持体と、先端、基端及び軸を有し、ボルト保持体に立設保持されたボルト軸と、を備え、ボルト軸に螺着されたナット体及びボルト基端側がボルト保持体の内部に配置され、ボルト先端が開口部から突出するようにボルト軸が立設され、立設したボルト軸のボルト先端に雌ねじを有する
挟圧ナットを備える挟持体が取着され、ボルト保持体上に配置した設置体を挟持体が上方から圧接し、挟持体とナット体のみによって、設置体及び開口縁部が挟圧されて、ボルト保持体に設置体が固定されていることを特徴とする。
【0021】
請求項
13に記載の設置体の設置構造は、底壁と、底壁から立設した一対の側壁と、一対の側壁の先端側からそれぞれ折り返された一対のフランジ部と、一対のフランジ部の先端が形成する開口部を縁取ると共に底壁に対向する開口縁部とを有する中空のレール状のボルト保持体と、先端、基端及び軸を有し、ボルト保持体に立設保持されたボルト軸と、を備え、ボルト軸に螺着されたナット体及びボルト基端側がボルト保持体の内部に配置され、ボルト先端が開口部から突出するようにボルト軸が立設され、設置体を支持する本体部及びボルト軸の挿通部を有する支持体が、挿通部にボルト軸が挿通された状態で、ボルト保持体上に配置され、立設したボルト軸のボルト先端に雌ねじを有する
挟圧ナットを備える挟持体が取着され、ボルト保持体上に配置した設置体を挟持体が上方から圧接し、挟持体とナット体のみによって、設置体及び開口縁部が挟圧されて、ボルト保持体に設置体が固定されていることを特徴とする。
【0022】
請求項
14に記載の設置体の設置装置は、先端、基端及び軸を有するボルト体と、ボルト基端を支持する底壁と、ボルト軸が貫通する開口部を縁取ると共に底壁に対向する開口縁部を有するボルト保持体と、ボルト保持体の内部でボルト軸に螺着されたナット体と、雌ねじを有
する挟圧ナットを備え、ボルト先端に取着される挟持体と、を備え、ボルト保持体には、ボルト基端及びナット体が底壁と開口縁部との間で突っ張ってボルト体が立設されており、立設されたボルト体の先端側に取着されてボルト保持体上に配置した設置体の上方から圧接すべく基端側へと螺進された挟持体が、ボルト保持体内のナット体に、突っ張りによる開口縁部への圧接力よりも強い圧接力を付与して、ナット体とともに、設置体及び開口縁部を挟圧し、ボルト保持体に設置体を固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態によれば、ボルト体支持構造は、ナット体を開口縁部に圧接させ、ボルト基端及びナット体を底壁内面と開口縁部との間で突っ張らせてボルト先端を上向きにボルト体を立設させたことを特徴とする。すなわち、本発明のボルト体支持構造は、簡易な構造でボルト体を支持するものであり、簡単且つ迅速に構築可能である。そして、当該ボルト体支持構造は、ボルト体の立設状態において、ボルト先端を上向きで所定位置に支持するので、設置体をボルト体に対してボルト体支持構造の上方空間から簡単に配置することができる。さらに、設置体をボルト体支持構造に固定する(又はナット等で締結する)際、設置体の所望の設置位置でボルト体が突っ張り状態で立設しているため、従来のようにボルト体を手で所定位置に維持及び保持する工程を省略することができる。したがって、本発明のボルト体支持構造は、設置体を設置する作業の容易性及び効率を改善するものである。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、開口縁部が一対のフランジ部から底壁に向かって垂下して形成されていることにより、本体がレール形状であっても、簡易な構造で、ボルト体を底壁と開口縁部との間で突っ張り固定することができる。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、ナット体が細幅部を有していることにより、ボルト保持体の開口部からナット体を挿入することができる。すなわち、ナット体(及びボルト体)を開口部上のボルト体の所望の支持位置に直接配置することができ、ボルト体支持構造の構築の手間が省ける。特に、開口部が長手に延びているとき、長手方向の途中で挿入可能であるため、例えば、ボルト保持体の開口端からナット体をスライドさせる工程を省略可能である。また、規制部がボルト保持体(例えば、その側壁内面)に当接してナット体の共回動を規制するため、ナット体を回転不能に手で保持することなく、ボルト体を簡単に仮立設させることができる。そして、設置体の設置前にナット体の姿勢を開口部から視認することができる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、ナット体には凹凸形状の圧接面が形成され、且つ、開口縁部にはナット体の圧接面に係合可能な凹凸段部が形成されていることにより、圧接時にナット体が開口縁部に沿って滑ることを防止するように、そのスライド移動を規制可能である。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、ボルト体が底壁に面当接可能なボルト頭部を備えていることにより、ボルト体が倒れたり、ボルト軸が傾いたりする虞を軽減させることができる。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、ナット体の開口縁部への圧接を緩めた状態で、ボルト体が開口縁部に沿ってスライド可能であることにより、設置体の所望の設置位置まで、ボルト体を立設する位置を簡単に調整することができる。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、設置体の設置方法は、ナット体を開口縁部に圧接させ、ボルト基端及びナット体を底壁と開口縁部との間で突っ張らせてボルト先端を上向きにボルト体を立設させることを特徴とする。すなわち、ボルト体及びナット体をボルト保持体内に配置してボルト体を回転させることにより、ボルト体をボルト保持体の所定位置(設置体の所望の設置位置)に簡単且つ迅速に立設させることができる。また、ボルト体の立設状態において、ボルト先端を上向きで所定位置に支持しているので、設置体をボルト体に対して上方空間から簡単に配置することができる。さらに、設置体をボルト保持体に固定する(又はナット等で締結する)際、設置体の所望の設置位置でボルト体を突っ張り状態で立設させることにより、従来のようにボルト体を手で所定位置に維持及び保持する工程を省略することができる。したがって、本発明の設置方法は、設置体の設置作業の容易性及び効率を改善するものである。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、ボルト軸を手で回転させることにより、ナット体を開口縁部に圧接させてボルト体を仮立設させることができる。すなわち、工具等を使用せずに手の力だけでボルト体を仮立設させて、設置体を固定可能な状態を簡単且つ迅速に構築することができる。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、開口縁部が一対のフランジ部から底壁に向かって垂下して形成されていることにより、ボルト保持体がレール形状であっても、簡易な構造で、ボルト体を底壁と開口縁部との間で突っ張り固定することができる。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、ナット体の開口縁部への圧接を緩めた状態で、ボルト体が開口縁部に沿ってスライド可能であることにより、設置体の所望の設置位置まで、ボルト体を立設する位置を簡単に調整することができる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、太陽光パネルをより迅速且つ簡単に設置することを可能とする。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、太陽光パネルのパネル外縁部を支持体上に載置するときに、規制部が支持体の所定幅の遊動を許容する。そのため、パネル外縁部を支持体上に載置するとき、パネル外縁部を支持体の係合部に当接させると支持体が所定幅で遊動し、支持体の係合部がパネル外縁部を受け入れ可能な向きに移動する。つまり、パネル外縁部を載置する向きがずれていたとしても、規制部が支持体の所定幅の遊動を許容し、パネル外縁部と支持体との間の相対的な位置関係を修正する。そして、パネル外縁部が係合部にガイドされて所定の載置領域に簡単に収容される。したがって、本発明の支持体は、パネル外縁部の載置作業を迅速且つ容易に実施することを可能とする。さらに、パネル外縁部を支持体上に載置した状態において、規制部が制限する範囲で支持体を遊動させることにより、パネル外縁部の姿勢及び締結(挟持)位置を簡単に微調整することができる。すなわち、本設置方法は、設置体(太陽光パネル)の設置を簡単且つ迅速に実施することに貢献する。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、設置体の設置構造は、ナット体を開口縁部に圧接させ、ボルト先端を上向きにボルト体を立設させたことを特徴とする。すなわち、本発明の設置構造は、簡易な構造でボルト体を支持するものであり、簡単且つ迅速にボルト体の支持状態を構築することができる。そして、当該設置構造は、ボルト先端が上向きで所定位置に支持された状態で、しっかりとボルト軸に挟持体が取着されている。つまり、ボルト体が設置体の所望の設置位置に支持及び固定された状態で、上方空間から挟持体がしっかりと取り付けられているため、ナット体及び挟持体が協働して設置体及び開口縁部をより一層、確実且つ強固に挟圧している。したがって、本発明の設置体の設置構造は、簡易であり、それ故に強固な構造を有している。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、ナット体と挟持体とで挟圧すると、挟持体の締結によってボルト体の基端が引き上げられ、ボルト体の基端がわずかに離間している。すなわち、この状態では、設置体がボルト保持体に強固に連結している。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、太陽光パネルをより迅速且つ簡単に設置することに貢献する。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、太陽光パネルのパネル外縁部を支持体上に載置するときに、規制部が支持体の所定幅の遊動を許容する。そのため、パネル外縁部を支持体上に載置するとき、パネル外縁部を支持体の係合部に当接させると支持体が所定幅で遊動し、支持体の係合部がパネル外縁部を受け入れ可能な向きに移動する。つまり、パネル外縁部を載置する向きがずれていたとしても、規制部が支持体の所定幅の遊動を許容し、パネル外縁部と支持体との間の相対的な位置関係を修正する。そして、パネル外縁部が係合部にガイドされて所定の載置領域に簡単に収容される。したがって、本発明の支持体は、パネル外縁部の載置作業を迅速且つ容易に実施することを可能とする。さらに、パネル外縁部を支持体上に載置した状態において、規制部が制限する範囲で支持体を遊動させることにより、パネル外縁部の姿勢及び締結(挟持)位置を簡単に微調整することができる。すなわち、設置体(太陽光パネル)の設置構造の構築を簡単且つ迅速に実施することに貢献する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0041】
図1は、本発明の一実施形態のボルト体支持構造100の斜視図である。このボルト体支持構造100は、長手状のレール体110と、当該レール体110の開口部113から立設したボルト体130と、当該ボルト体130に螺合したナット体134とを備える。
図2(a)、(b)及び(c)は当該ボルト体支持構造100の平面図、側面図及び正面図であり、
図4(a)(b)は当該ボルト体支持構造100の断面図である。これらを参照して、ボルト体支持構造100をより詳細に説明する。
【0042】
図1及び2に示すとおり、レール体110は、一端から他端に延びる長手形状に形成されており、設置体(本実施形態では、太陽光パネルPのパネル外縁部P1)の設置位置を当該レール体110の長手方向に亘って調整可能である。
【0043】
レール体110は、底壁111、当該底壁111の幅方向両端から略垂直に立設した側壁112、当該両側壁112上端から所定幅で内方に延びるフランジ部114と、当該フランジ部114先端から底壁111に向かって略直角に折り曲げられて形成された開口縁部115と、を備える。フランジ部114及び開口縁部115下端面は、底壁111に対して対向して延在しており、長手方向に延びる両側の開口縁部115の間で、一端から他端まで延びる開口部113が形成されている。換言すると、両側の開口縁部115に縁取られた開口部113が、底壁111の反対側で長手方向に延在している。なお、この長尺レール体110の長手方向に延びる開口部113は、少なくともボルト軸131よりも広く形成されている形成されているため(つまりビス孔形状ではない)、ボルト体130を支持する位置をより広範囲に選択可能である。そして、開口縁部115の下端には、鋸歯状の凹凸端面(凹凸段部)115aが形成されている。
【0044】
さらに、底壁111の中央から一端側にずれた位置で、長孔形状の固定孔116が穿設されている。当該固定孔116に、後述する固定具210の固定ボルト212が貫通し、固定ボルト212の軸に固定ナット213を締結することにより、レール体110が固定具210に固定される。なお、固定孔116の長軸の範囲で、レール体110と固定具210との連結位置を任意に調整可能である。
【0045】
そして、レール体110の中央から他端側にずれた位置で、ボルト体130がナット体134に支持されて立設配置されている。より詳細には、ボルト体130のボルト頭部131基端面がレール体110の底壁111内面に面当接し、ボルト基端から上方に延びるボルト軸132がレール体110の開口部113を貫通し、尚且つ、ボルト先端133が垂直上方向を向いて開口部113から所定長さで突出している。そして、ナット体134がボルト頭部131と開口縁部115との間(又はレール体110内部)でボルト軸132に螺着されている。
【0046】
当該ボルト体130は、その基端に所定厚の正六角形状のボルト頭部131と、ボルト基端から先端133まで延びるボルト軸132とからなる。そして、このボルト体130は、例えば先行技術文献で挙げたような従来の固定に使用されているボルト体よりも、比較的長いボルト軸132を備えている。つまり、本実施形態のボルト体130は、レール体110の高さよりも長いものが用いられている。例えば、この長尺のボルト体130を従来技術の設置構造(特開2003−333718号公報の波付きトラフ設置構造)に使用すると、ボルト体が底壁に干渉して使用することができない。反対に、従来の設置構造で使用される短いボルト体を本発明に採用しても、ボルト軸部をボルト保持体から十分に突出させることができない。つまり、本発明のボルト体と、従来の設置構造のボルト体とはその使用方法においても相違している。
【0047】
図3に示すとおり、このナット体134は、圧接面に凹凸領域134aが形成され、且つ、略中央にボルト孔134bが穿設された板ナットである。当該ナット体134は、矩形板の対角線上の2角を切り欠いて形成された六角形状を有している。また、ナット体134は、レール体110内部の側壁112間に配置可能であり、且つ、当該ナット体134を回り止めすべく、側壁112内面に当接可能な形状寸法で構成されている。
【0048】
ナット体134は、レール体110の開口部113から内部に挿通可能に形成された細幅部134cと、当該ナット体134のレール体110内部での回動を規制する規制部134dとを備える。この細幅部134cは、レール体110の開口縁部115間の幅よりも細幅で形成された箇所である。また、規制部134dは、ナット体134の回動時に側壁112内面に当接可能な箇所であり、対角線上の2角を切り欠いた箇所の角部に位置している。後述するとおり、レール体110の内部でナット体134が螺着したボルト体130を回転させることで、(ボルト体130と共に)ナット体134が共回動するとともに、規制部134dがレール体110側壁112内面と当接してナット体134の所定以上の共回動を規制する。なお、規制部は、ナット体の回動時にボルト保持体内面に係合可能であればよく、その形状は本実施形態の切り欠きの角部に限定されない。
【0049】
そして、ナット体134の圧接面には、ボルト孔134bの両側で短辺方向に延びる凹凸領域134aが形成されている。
図3(c)は、凹凸領域134aの断面図であり、ナット体134の圧接面に複数の三角形状の窪みが凹設されている。後述するとおり、当該凹凸領域134aは、レール体110の開口縁部115の凹凸端面115aに係合可能である。
【0050】
図4(a)は、
図2(a)のA−A断面図であり、ナット体134がレール体110の開口縁部115に圧接している状態の正面視を示している。他方、
図3(b)は、
図3(a)のB−B断面図であり、ナット体134がレール体110の開口縁部115に圧接している状態の側面視を示している。
【0051】
図4(a)に示すとおり、当該ナット体134は、ボルト軸132を中心に回転しないように側壁112の少なくとも一方(本実施例では両側壁112)の内面に当接していると共に、開口縁部115の下端面に下方から圧接している。すなわち、
図2のレール体110において、ボルト頭部131及びナット体134が底壁111と開口縁部115との間(つまり、レール体内面)で突っ張り固定され、ボルト体130が仮立設されている。
【0052】
図4(b)に示すとおり、開口縁部115の凹凸端面115aとナット体134の凹凸領域134aとが互いに噛み合うように係合しているので、圧接状態では、ナット体134が開口縁部115に対してスライドすることが抑えられている。つまり、この凹凸係合によって、ナット体134が所定位置に確実に固定され、ボルト体130が傾いたり、倒れたり、あるいは、長手方向に位置ずれしたりすることが効果的に防止されている。したがって、当該レール体110では、ボルト体130が安定的に仮立設されている。
【0053】
図5は、ボルト体支持構造100の分解斜視図である。
図5に示すとおり、レール体110、ボルト体130及びナット体134は、それぞれ別体であり、互いに組み合わされることにより、ボルト体支持構造100を構築する。
【0054】
なお、本実施形態のレール体110は、板状のSUS材を屈曲(又はプレス)加工及び穿設加工することにより得られたが、その製法、材質及び形状に限定されるものではない。例えば、金属板の代わりに、硬質樹脂等の他素材を使用してもよい。また、ナット体134は、板状のSUS材を加工することにより得られたが、その製法、材質及び形状に限定されるものではない。例えば、ナット体は、ボルト保持体内で回り止め可能であれば、任意の形状寸法で設計することができる。さらに、上記説明では、1組のボルト体130及びナット体134が使用されているが、複数組のボルト体130及びナット体134をレール体110から立設させることも可能である。
【0055】
また、本実施形態では、開口縁部115が底壁111に向かって垂下して形成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、垂下壁を省略してフランジ部113の下面を開口縁部としてナット体を圧接させることも可能である。あるいは、後述する変形例のように挿通孔を縁取る頂壁下面を開口縁部とすることもできる。つまり、開口縁部とは、底壁と協働してボルト基端及びナット体をボルト保持体内に突っ張って支持可能であれば、当業者の想定し得る限り、いかなる形態とすることもできる。
【0056】
次に、
図6を参照して、このボルト体支持構造100を構築する方法を説明する。
【0057】
第1に、ナット体134の圧接面(又は凹凸領域134a)がボルト先端133側を向くように、ボルト軸132にナット体134を螺着する。次に、
図6(a)に示すとおり、ボルト頭部131と共にナット体134をレール体110の内部に挿入する。なお、ボルト体130(ボルト頭部131及びナット体134)をレール体110の端部から内部に挿入してもよい。あるいは、ナット体134の細幅部134bを開口部113に挿通させるように、ナット体134がフランジ部114に当接しない姿勢で開口部113からレール体110の内部に挿入してもよい。本実施形態のような長手状の開口部113にボルト体130及びナット体134を配置する場合、後者の工程では、レール体110の長手方向の途中でこれらを挿入したことにより、レール体110の側端から所望の支持位置までボルト体130及びナット体134をスライドさせる工程を省略している。
【0058】
そして、ボルト先端133を開口部113から突出させる共にボルト頭部131の基端面をレール体110の底壁111内面(又は上面)に当接させて載置し、ナット体134をボルト基端と開口縁部115との間に配置する。このとき、ボルト頭部131がボルト軸132から張り出しており、所定面積の六角形状の基端面を形成しているので、ボルト体131が倒れたり、ボルト軸132が傾いたりすることが抑えられる。
【0059】
そして、ボルト軸132に螺着したナット体134をレール体110内部に配置した後、
図6(b)に示すとおり、ボルト軸132を手で一方向に回転させる。ナット体134が僅かに共回動した後、規制部134dがレール体110の側壁112内面に係止されるため、ナット体134の回動のみが規制され、ボルト軸132の回転でナット体134がボルト軸132に沿って上昇する。そして、ナット体134をレール体110の開口縁部115下端に圧接するまで上昇させることにより、ボルト体130を仮立設させることができる。当該ボルト体130の仮支持状態では、設置体の設置前にナット体130の姿勢を開口部113から視認することができる。
【0060】
なお、ここでは、手の力でボルト体130を仮立設させているが、工具等を用いてボルト軸132を回転させることで、ボルト体130をレール体110に対して強く圧接させて本固定することも可能である。
【0061】
他方、ボルト軸132を反対方向に回転させ、ナット体134と開口縁部115との圧接を緩めることにより、ボルト体130をナット体134と共にレール体110の長手方向に沿ってスライドさせて、設置体を取り付ける位置をレール体110の全長に亘って調整することができる。
【0062】
以下、本発明に係る一実施形態のボルト体支持構造100(及びその構築方法)の作用効果について説明する。
【0063】
本発明に係る一実施形態のボルト体支持構造100によれば、ナット体134(凹凸領域134a)を開口縁部115の下端面(凹凸端面115a)に圧接させ、ボルト頭部131及びナット体134を底壁111と開口縁部115との間で突っ張らせてボルト先端133を上向きにボルト体130を仮立設させたことを特徴とする。当該ボルト体支持構造100では、ボルト体130及びナット体134をレール体110(ボルト保持体)内に配置してボルト体130を手で回転することで、レール体側壁内面に当接した規制部134dがナット体134の共回動を規制した状態でナット体134を手で保持することなく開口縁部115に圧接させるまで上昇させて、ボルト体130をレール体110に対して突っ張り状態で仮固定することができる。つまり、当該ボルト体支持構造100は、設置体を上方から取り付けるようにボルト先端133を上向きにした状態で、ボルト体130をレール体110の所定位置(設置体の所望の設置位置)に簡単且つ迅速に仮立設することができる。そして、仮立設させるための圧接は、手の力だけで十分であり、ボルト体支持構造100の構築に工具等が不要であり、凹凸段部の係合関係によりボルト体130がスライドしたり、倒れたりすることが防止される。したがって、ボルト体支持構造100は、レール体110内面にボルト体130及びナット体134を突っ張り固定するという簡易な構造でボルト体130を安定的に立設するものであり、尚且つ、簡単且つ迅速に構築可能である。そして、当該ボルト体支持構造100では、所望の設置位置でボルト先端133が上を向いているため、設置体をボルト体支持構造100の上方空間から簡単に設置することができる。さらに、設置体をボルト体支持構造100に固定する(又はナット等で締結する)際、設置体の所望の設置位置でボルト体130が突っ張り状態で仮固定されているため、従来のようにボルト体130を手で所定位置に維持及び保持する工程を省略することができる。したがって、本発明のボルト体支持構造100は、設置体を設置する作業容易性及び作業効率を改善するものである。
【0064】
(実施例1)
以下、ボルト体支持構造100を用いて設置体(太陽光パネルP)を被設置部(折板屋根Q)に設置した一例として、太陽光パネルPの設置構造及び太陽光パネルPの設置方法を説明する。以下の説明において、太陽光パネルPを設置するための装置(設置前の構造)を太陽光パネル設置装置と定め、太陽光パネルPを設置した構造を太陽光パネル設置構造と定める。また、太陽光パネル設置構造は、少なくとも1組の部材で太陽光パネルの一部を支持した構造、及び、複数組の部材で太陽光パネル全体を支持した構造のいずれをも含む包括的な概念である。
【0065】
図7は、本発明の一実施形態の太陽光パネルの設置構造10(又は太陽光パネル設置装置10’)の斜視図である。
図7に示すとおり、太陽光パネル設置装置10’は、固定具210上に固定されたボルト体支持構造100(レール体110)と、当該レール体110上に載置された支持体120と、当該支持体120を貫通するボルト体130と、該支持体120上に配置された太陽光パネルPと、該ボルト体130に取着されて、太陽光パネルPのパネル外縁部P1を挟持する挟持体140と、を備える。すなわち、ボルト体支持構造100は、固定具210を介して折板屋根Qに間接的に固定され、太陽光パネルP(設置体)を折板屋根Q(被設置部)に設置すべく、太陽光パネル設置構造10及び太陽光パネル設置装置10’の一構成要素として機能する。
【0066】
図8は、
図7の太陽光パネル設置構造10の分解斜視図である。
図8に示すとおり、屋根等に固定された固定具210上に固定ボルト212及び固定孔116を介してレール体110が配置されて、当該レール体110上にボルト軸132及び挿通部122を介して支持体120が配置される。そして、当該支持体120上の挿通部122(ボルト軸132)と係合部123との間の載置領域121aに太陽光パネルPのパネル外縁部P1が配置されて、当該支持体120上にボルト軸132及び貫通孔144を介して挟持体140が配置される。以下、
図9〜12を参照して太陽光パネル設置構造10の各構成部材を詳細に説明する。
【0067】
図9は、
図7及び8の固定具210の分解斜視図である。当該固定具210は、一対の分割体211a、211bからなる固定具本体211、当該固定具本体211から上向きで立設される固定ボルト212、及び、当該固定ボルト212の軸部に螺着される固定ナット213を備える。一対の分割体211a、211bの対面壁上端には、それぞれ保持部214が切り欠き形成されている。各分割体211a、211bの対面壁が互いに近接して両保持部214が接合することによって、固定ボルト212の頭部を収容して固定ボルト212を上向きに立設状態で支持する。また、一対の分割体211a、211bの対面壁下端には、挟持部215がそれぞれ凹凸形成されている。分割体211a、211bが接合した状態で当該挟持部215は折板屋根Qのハゼ部Q1を挟持するように機能する(
図15参照)。
【0068】
本実施形態の固定具210は、板状のSUS材を屈曲(又はプレス)加工及び穿設加工することにより得られたが、その製法、材質及び形状に限定されるものではない。例えば、金属板の代わりに、硬質樹脂等の他素材を使用してもよい。
【0069】
図10(a)及び(b)は、
図7及び8の支持体120の平面図及び正面図である。
図10に示すとおり、支持体120は、矩形平板形状の本体部121と、当該本体部121の略中央に穿設された挿通部122と、本体部121の両側端(
図10の左右両側)から略垂直に所定の高さで立設した一対の係合部123と、当該係合部123に隣接する辺の略中央で本体部121から下方に垂下した規制部124と、を備える。
図7及び
図8に示したとおり、挿通部122はボルト軸132が挿通可能に穿設されており、且つ、係合部123は太陽光パネルPのパネル外縁部P1が係合可能な立設壁として構成されている。そして、本体部121上の挿通部122(又はボルト軸132)と係合部123との間の領域は、太陽光パネルPのパネル外縁部P1を載置するための載置領域121aとして定められている。
【0070】
また、規制部124は、本体部121の一辺の略中央で、レール体110の開口部113に遊挿可能な幅及び長さで折り曲げ形成されている。すなわち、規制部124の幅が開口部113の幅(両開口縁部115間の距離)よりも短く、且つ、規制部124の垂下長さがレール体110の高さよりも短い垂下壁として規制部124が形成されている。後述するとおり、レール体110上に支持体120を回動可能に載置し、当該支持体120上にパネル外縁部P1を配置するとき、規制部124がレール体110上に載置された支持体120の回動を所定範囲に制限するように機能する。すなわち、規制部124が開口部113の開口縁部115間で回動可能であるため、支持体120の所定幅の遊動が許容される。
【0071】
本実施形態の支持体120は、板状のSUS材を屈曲(又はプレス)加工及び穿設加工することにより得られたが、その製法、材質及び形状に限定されるものではない。例えば、金属板の代わりに、硬質樹脂等の他素材を使用してもよい。また、支持体120は、本体部121上に一対の載置領域121aを有し、挿通部122の両側の領域で、2つの太陽光パネル外縁部P1を支持可能に形成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、支持体は、一方側のみに係合部を形成し、片側に太陽光パネル外縁部P1を支持すべく、1つの載置領域だけを有してもよい。
【0072】
図11(a)及び(b)は、
図7及び8の挟持体140の平面図及び正面図である。挟持体140は、底板141と、該底板141から略垂直に立設した両側板142と、両側板142先端で外方に略直角に折り曲げ形成された一対の挟圧部143と、を備える。底板141の略中央には貫通孔144が穿設されており、当該貫通孔144をボルト軸132が貫通可能である。当該挟圧部143は、支持体120の載置領域121a上に所定長さで延在するように配置され、載置領域121aに載置されるパネル外縁部P1を上方から押圧可能に形成されている。
【0073】
また、当該挟持体140は、一対の挟圧部143を有し、レール体110の両側で2つの太陽光パネルPのパネル外縁部P1を支持可能に形成されている。しかし、レール体110の一方側のみで太陽光パネルPを設置する場合、代替的に
図7(c)及び(d)の挟持体140’を使用することも可能である。この挟持体140’は、その片側に側板142’及び挟圧部143’を有している。
【0074】
本実施形態の挟持体140は、板状のSUS材を屈曲(又はプレス)加工及び穿設加工することにより得られたが、その製法、材質及び形状に限定されるものではない。例えば、金属板の代わりに、硬質樹脂等の他素材を使用してもよい。
【0075】
図12は、
図7及び8の太陽光パネルPの斜視図及び平面図である。この太陽光パネルPは、長辺及び短辺を有する平板形状で構成され、外枠であるパネル外縁部P1と、その内側に支持された矩形状のパネル体P2とを備える。
図12(b)に示すとおり、当該パネル外縁部P1は、太陽光パネルPの外周を縁取る外周壁P1aと、当該外周壁P1a上端から内方に突出する上壁P1bと、当該上壁P1bから離間して延びる中壁P1cと、外周壁P1下端から内方に突出する下壁P1dとから形成された矩形状の枠体である。パネル外縁部P1の上壁P1bと中壁P1cとがパネル体P2を枠内に把持し、且つ、その下壁P1dが支持体120の係合部123に係合可能な幅で突出している。パネル外縁部P1は、係合部123と挟持体側板142との間の空間に嵌り込み可能な形状を有しており、後述するとおり、挿通部122と係合部123との間の載置領域121aに配置される。なお、ここで説明した太陽光パネルPは例示の形態にすぎず、本発明の技術的思想の下で、他形状の太陽光パネルを太陽光パネル設置装置10’で設置することも可能である。
【0076】
以上の各部材の説明を踏まえて、本発明の一実施形態において、太陽光パネルPを設置した太陽光パネル設置構造10の構成を
図7、13及び14を参照してより詳細に説明する。
【0077】
図13(a)及び(b)は、太陽光パネル設置構造10の平面図及び側面図である。
図14は、レール体110、支持体120、太陽光パネルP及び挟持体140の堆積構造を示した太陽光パネル設置構造10の正面視におけるC−C断面図である。
【0078】
レール体110は、その一端側(
図13の左側)で固定具210に固定されている。すなわち、固定具本体211から立設する固定ボルト212が、レール体110の底壁111に穿設された固定孔116を貫通し、固定ナット213が固定ボルト212に螺着することにより、レール体110が固定具210に固定されている。このレール体110は、その長手方向が太陽光パネルPのパネル外縁部P1の一辺(本実施形態では長辺)と平行になるように固定されている(
図13(a)及び(b)参照)。
【0079】
また、レール体110の他端側(
図13の右側)では、ボルト先端133が上向きに突出すると共にボルト軸132が開口部113を貫通するようにボルト体130が立設されている。このボルト軸132が支持体120の挿通部122を貫通した状態で、支持体120がレール体110の両フランジ部114上に積み重ねられている(
図13(b)及び
図14参照)。このとき、当該支持体120の本体部121の一端から垂下した規制部124が、レール体110の開口部113内に配置されている。この規制部124は、開口部113の幅方向の略中央に配置されており、両方の開口縁部115から所定距離で離間している。また、一方の係合部123が、太陽光パネル外縁部P1に実質的に係合(又は当接)した状態で、レール体110の長手方向に沿って延在している(
図13(a)及び
図14参照)。
【0080】
そして、支持体120の挿通部122(ボルト軸132)と係合部123との間の載置領域121aにパネル外縁部P1が載置されている。さらに、当該挟持体140の貫通孔144をボルト軸132が貫通するように、挟持体140が支持体120の本体部121略中央に配置されている。当該挟持体140を貫通するボルト軸132に挟圧ナット145が締結することにより、ボルト体130を介して、挟持体140が支持体120と共にレール体110に固定されている(
図13(a)及び
図14参照)。
【0081】
図14に示すとおり、当該太陽光パネル設置構造10では、パネル外縁部P1が載置領域121a上で係合部123と挟持体側板142との間に嵌り込んでおり、尚且つ、挟圧部143がパネル外縁部P1を上方から押圧している。つまり、この挟持体140(又は挟圧ナット145)の締結力により、ナット体134及び挟持体140が支持体120、開口縁部115及びパネル外縁部P1を挟持している。また、パネル外縁部P1は、(レール体110の)幅方向において係合部123及び側板142に当接(又は係合)しており、当該パネル外縁部P1の幅方向の移動が規制されている。この支持形態をより詳細に表すと、パネル外縁部P1の外周壁P1aと挟持体側板142とが当接し、上壁P1b上面と挟圧部143とが当接し、下壁P1d下面と支持体本体部121とが当接し、且つ、下壁P1d先端面と係合部123とが当接している。つまり、パネル外縁部P1が支持体120及び挟持体140に包囲及び挟圧されて水平及び垂直方向に動かないように支持されている。
【0082】
なお、挟持体140上で挟圧ナット145を締め付けると、ボルト体130が上方に引き寄せられる。
図14に示していないが、ボルト軸131に螺着するナット体134とレール体110開口縁部115下端面との間の圧接が不十分である場合、ナット体134とレール体110とを圧接させるように、ボルト頭部131が僅かに底壁111から浮上する。すなわち、ボルト頭部131が僅かに底壁111から浮上した状態においても、ナット体134及び挟圧ナット145が各部材を強固に挟持している。
【0083】
図15は、複数の太陽光パネル設置装置10’を用いて、折板屋根Q上に太陽光パネルPを設置した太陽光パネル設置構造10を示している。
図15(a)及び(b)に示すとおり、折板屋根Qには、凸条のハゼ部Q1が等間隔で並設されている。当該ハゼ部Q1には、固定具210が所定間隔で固定されている。
図16に示すように、各固定具210は、挟持部215でハゼ部Q1の根元を挟圧することにより、ハゼ部Q1に固定されている。そして、各固定具210に太陽光パネル設置装置10’(レール体110)が上述した手段でそれぞれ固定されている。本実施形態では、6つの太陽光パネル設置装置10’で1枚の太陽光パネルPを支持している。より詳細には、各列3つの2列に整列した太陽光パネル設置装置10’が太陽光パネルPのパネル外縁部P1の長辺を両側から挟持している。このパネル外縁部P1の長辺は、ハゼ部Q1の延在方向に対して直交配列している。また、折板屋根Qの内方に配置された3つの太陽光パネル設置装置10’は、その両側で2枚の太陽光パネルPを支持している。
【0084】
しかしながら、本発明は、この実施形態の設置構造10に限定されることはない。例えば、1枚の太陽光パネルPを3点支持し、又は、短辺を支持する太陽光パネル設置装置を追加して8点で支持するように、太陽光パネル設置装置の数を増減可能である。あるいは、その配列を、太陽光パネルの形状(例えば湾曲した外縁部を含む)に応じて直線配列から任意に変更することも可能である。
【0085】
次に、
図17〜19を参照して、本実施形態の太陽光パネル設置構造10において太陽光パネルPを設置する方法を説明する。なお、
図17では、説明を明確にするために、固定具を省略している。
【0086】
図17に示すとおり、固定具210(図示せず)に固定されたレール体110(ボルト体支持構造100)から上方に突出するボルト軸132に挿通部122を貫通させ、且つ、規制部124を開口部113に遊挿するように、支持体120をレール体110の開口部113の両フランジ部114上に載置する。さらに、支持体120上にパネル外縁部P1及び挟持体140を配置して、挟圧ナット145をボルト軸132に螺着して締結することにより、太陽光パネルPの一部が1つの太陽光パネル設置装置10’に支持される。以下、太陽光パネルPのパネル外縁部P1を(複数の)支持体120上の載置領域121aに配置する工程をより詳細に説明する。
【0087】
図18に示すとおり、支持体120をレール体110の開口部113上に載置した状態では、支持体120がボルト軸132を中心に回動可能であり、且つ、規制部124が開口縁部115間に遊嵌されている。そして、支持体120の回動に合わせて、規制部124がボルト軸132を支点として開口縁部115に当接するまで回動可能である。つまり、規制部124が支持体120の回動を所定範囲に制限することにより、支持体120の所定幅の遊動が許容されている。ここで、レール体110の幅方向中間で、ボルト軸132と直交すると共に長手方向(パネル外縁部の整列方向)に延びる軸を中間軸cと定める。本実施形態では、この中間軸cを基準として、支持体120が回動可能な範囲(又は角度)が規制されている。すなわち、中間軸cの一方側(
図18(a)の下側)の係合部123が、中間軸cの他方側(
図18(a)の上側)の領域に進入しない範囲で、支持体120の回動が規制されていることが好ましい。換言すると、本実施形態のような矩形状の支持体120では、当該支持体120の角部が中間軸cの一方側の領域のみで回動可能であることが好ましい。後述するパネル外縁部P1の載置工程において、規制部124が回動範囲を規制していることにより、支持体120がパネル外縁部P1の載置を妨げる角度まで回動することを防止する。例えば、本実施形態とは対照的に、上述の好適な範囲を越えて、支持体120が長手方向と略直交するまで回動すると、パネル外縁部P1をレール体110の長手方向に沿って載置する際、係合部123上端がパネル外縁部P1に干渉して、パネル外縁部P1を載置領域121aに載置しにくいという不具合を生じる。しかしながら、ここで規定した回動範囲は、本発明の技術範囲を限定するものではない。
【0088】
次に、
図19を参照して、複数(2列×3個)の太陽光パネル設置装置10’に太陽光パネルPのパネル外縁部P1を架け渡して載置する工程を説明する。なお、本説明では、
図15で示した実施形態のように、太陽光パネルPの長辺を3つの太陽光パネル設置装置10’で支持し、且つ、対向する他辺をさらに3つの太陽光パネル設置装置10’で支持する場合を想定している。しかしながら、以下の説明は、太陽光パネル設置装置10’を任意に配列した場合も同様に応用可能である。
【0089】
まず、パネル外縁部P1の一端側を第1の太陽光パネル設置装置10’(
図19の左側)に対して近接させる。そして、パネル外縁部P1を一方の第1の太陽光パネル設置装置の支持体120上の載置領域121aに上方から載置する。ここでは、
図19(a)のように、パネル外縁部P1の長辺を設置方向から傾いた姿勢で太陽光パネル設置装置10’に近接させて載置する場合を想定する。このとき、
図18で説明したとおり、各支持体120は、所定幅で遊動可能に配置されている。
【0090】
パネル外縁部P1をレール体110の長手方向から傾斜した姿勢で支持体120の上方から近接させると、
図19(b)に示すとおり、パネル外縁部P1外面(下壁P1d先端縁)が係合部123内面に当接し、係合部123がパネル外縁部P1の姿勢に沿うように支持体120が遊動し、係合部123がパネル外縁部P1を受け入れ可能な向きに回動する。そして、係合部123にガイドされつつ、本体部121上にパネル外縁部P1を載置して、係合部123とパネル外縁部P1(下壁P1d)とを係合(又は当接)させる。このとき、係合部123及びボルト軸132が、パネル外縁部P1の載置領域121a外への水平移動を規制している。つまり、パネル外縁部P1が載置領域121aから水平方向に離脱することが防止されている。そのため、急傾斜面に太陽光パネルPを設置する場合でも、パネル外縁部P1が支持体120によって落下しないように仮支持されている。
【0091】
次に、第1の太陽光パネル設置装置10’の支持体120にパネル外縁部P1の一端側を実質的に載置した状態で、当該第1の支持体120を支点として、パネル外縁部P1の他端側を第2の太陽光パネル設置装置10’(
図19の右側)に近接させる方向(
図19(b)の矢印方向)に回動させる。そして、パネル外縁部P1の他端側を第2の支持体120に載置する際、第2の支持体120を同様に遊動させて、パネル外縁部P1の他端側を受け入れ可能な向きに回動させることにより、パネル外縁部P1の他端側を第2の支持体120の載置領域121aに載置することができる(
図19(c)参照)。なお、第1の支持体120を支点としてパネル外縁部P1の他端側を回動させるとき、パネル外縁部P1下面が第1の支持体120の本体部121上面から僅かに浮き上がることがある。しかし、所定高さを有する係合部123(立設壁)がパネル外縁部P1に係合することにより、パネル外縁部P1が第1の載置領域121aから離脱することが抑止されている。
【0092】
さらに、パネル外縁部P1が第1及び第2の太陽光パネル設置構造10の各支持体120上に実質的に載置された状態において、
図19(c)の矢印方向に両支持体120が遊動可能であり、且つ、パネル外縁部P1が載置領域121a(係合部123とボルト軸132との隙間)内で遊動可能である。そのため、第3の太陽光パネル設置装置(図示せず)の載置領域にパネル外縁部P1のさらなる他端側(図示せず)を把持して載置するとき、第1及び第2の支持体121内にパネル外縁部P1が規制された状態でパネル外縁部P1を遊動させることにより、同様の工程を経て、第3の載置領域にパネル外縁部P1を載置することができる。上述のとおり、パネル外縁部P1の一辺を一列(3つ)の太陽光パネル設置装置10’の載置領域121aに載置した。
【0093】
そして、パネル外縁部P1の一辺を一列に並んだ3つの太陽光パネル設置装置10’の載置領域121aに載置した状態において、太陽光パネルPが各支持体120と共に所定の範囲で遊動可能である。同様に、パネル外縁部P1の一辺を一方の列の太陽光パネル設置装置10’(第1〜3)に仮配置したまま、パネル外縁部P1の対向する他辺を把持して遊動させ、且つ、他列の太陽光パネル設置装置10’の支持体120をそれぞれ所定幅で遊動させることにより、他列の太陽光パネル設置装置10’の載置領域121aにパネル外縁部P1の他辺を載置することができる。
【0094】
パネル外縁部P1を対向する2列6つの太陽光パネル設置装置10’の各支持体120の載置領域121aに載置した状態においても、同様に太陽光パネルPが各支持体120と共に所定の範囲で遊動可能である。各太陽光パネル設置装置10’ の載置領域121a内でパネル外縁部P1を遊動させつつ、各支持体120及びパネル外縁部P1の向きを微調整して、太陽光パネルPのパネル外縁部P1の長辺をレール体110の長手方向(ハゼ部Qの直交方向)に沿って整列させる。太陽光パネルPの位置調整した後、各太陽光パネル設置装置10’において、挟持体140を支持体120及びパネル外縁部P1上にボルト軸132を介して配置する。すなわち、挟持体140の底板141を支持体120の本体部121上面に載置し、且つ、挟持部143をパネル外縁部P1の上壁P1b上に載置する。そして、各太陽光パネル設置装置10’のボルト軸132に挟圧ナット145を螺着して締め付けることにより、パネル外縁部P1をナット体134及び狭圧ナット145で挟持して、太陽光パネルPを屋根上に設置することができる。
【0095】
なお、当初より、パネル外縁部P1の長辺をレール体110の長手方向に沿って整列させた姿勢で、パネル外縁部P1を載置領域121aに載置することも可能であることは言うまでもない。この場合、支持体120及び太陽光パネルPを遊動させずとも、太陽光パネル設置装置10’で屋根上に設置することができる。つまり、上記説明は、当該実施形態の設置方法で、太陽光パネルPを傾斜姿勢のままで支持体120上に容易に載置可能となることを示すものである。
【0096】
(実施例2)
次に、一実施形態のボルト体支持構造100を用いて、波付きトラフR1及びその固定具R2(設置体)を配設部(被設置部)Sに設置した波付きトラフ設置構造20を説明する。
【0097】
図20は、波付きトラフ設置構造20の側面図である。波付きトラフR1の両側に一対の波付きトラフ用固定具R2が連結されている。当該波付きトラフR1及びその固定具R2は、先行技術文献(特開2003−333718号公報)に開示されており、その詳細な説明を本文に援用する。
【0098】
図20に示すとおり、本実施例ではボルト体支持構造100が配設部(被設置部)Sに固定されている。当該ボルト体支持構造100は、2組のボルト体130及びナット体134を備え、2本のボルト体130がレール体110から仮立設している。ボルト体支持構造100の両フランジ部114(又は開口部113)上に設置体としての波付きトラフR1及びその固定具R2が載置されている。波付きトラフR1は、左右一対の波付きトラフ用固定具R2でレール体110上に固定されている。すなわち、各固定具R2に穿設された取付孔を、各ボルト軸132が貫通しており、その上から挟持体(ナット)140”がボルト先端133からボルト軸132に螺着している。そして、ナット体134と挟持体140”とで、設置体の一部である波付きトラフ用固定具R2と開口縁部115とを挟圧することにより、設置体(波付きトラフR1及びその固定具R2)がボルト保持体(レール体110)に固定されている。また、
図20は、挟持体140”の締結により、ボルト頭部131の基端面がレール体110の底壁110から引き上げられて僅かに浮き上がっている様子を模式的に表している。
【0099】
図21は、本設置構造20の分解側面図である。
図21に示すとおり、レール体110上に波付きトラフR1及び一対の波付きトラフ用固定具R2をボルト軸132が貫通するように載置し、そして、その上から各挟持体140”を各ボルト軸132に締結することにより、波付きトラフ設置構造20が構築される。
【0100】
実施例1及び2によってボルト体支持構造100を介した設置体の設置方法及び設置構造を説明した。これら説明を踏まえると、本発明のボルト体支持構造は、立設したボルト体に多種多様の設置体を直接的又は間接的に設置することが可能であり、上述した実施例1、2の設置構造の形態に限定されないことは明らかである。
【0101】
(変形例)
本発明のボルト体支持構造は、上述した実施形態のボルト体支持構造100に限定されない。例えば、
図22のボルト体支持構造100Aは、筺状のボルト保持体110Aと、ボルト体130Aと、ナット体134Aとを備える。
【0102】
図22に示すとおり、ボルト保持体110Aは、底壁111A、側壁112A及び頂壁114Aを備え、一端及び他端に開口を有する中空筺体として形成されている。また、当該ボルト保持体110Aの頂壁114Aには、挿通孔として形成された開口部113Aが設けられている。すなわち、該開口部113Aを縁取っている頂壁114Aの一部が開口縁部115Aに該当する。さらに、当該ボルト体支持構造100Aを固定具等の被設置部に固定するための固体部116Aが両側壁112Aから延設されている。
【0103】
また、本実施例では、ボルト体130Aは、ボルト頭部が張り出しておらず、ボルト基端131A及びボルト先端133Aの両端から螺子部が形成されたボルト軸132Aを有している。当該ボルト体130Aは所謂スタッドボルトである。
【0104】
当該ボルト体支持構造100Aにおいて、ボルト基端131Aが底壁111Aに配置され、ボルト軸132Aが開口部(挿通孔)113Aを貫通し、ボルト保持体110A内部でナット体134Aがボルト軸132Aに螺合している。そして、ナット体134Aが開口縁部115A(頂壁114Aの下面)に圧接して、ボルト体130Aが仮立設している。すなわち、当該ボルト体支持構造100Aは、上述した一実施形態のボルト体支持構造100と同様に設置体を設置可能であり、同様の作用効果を発揮することができる。
【0105】
なお、当該ボルト体支持構造100Aを構築する際、ナット体134Aをボルト保持体110A内部に予め配置し、次に、開口部113Aからボルト基端131Aを挿入することにより、ボルト基端131Aにナット体134Aを螺着することができる。すなわち、本発明の設置方法は、上述の実施形態に限定されることなく、状況に応じて細部を任意に変更することができる。
【0106】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
[付記]
[形態1]
設置体を取り付けるべくボルト体を立設したボルト体支持構造であって、
先端、基端及び軸を有するボルト体と、
前記ボルト基端を支持する底壁、及び、前記ボルト軸が貫通する開口部を縁取ると共に前記底壁に対向する開口縁部を有するボルト保持体と、
前記ボルト保持体の内部で前記ボルト軸に螺着されたナット体と、を備え、
前記ナット体が前記開口縁部に圧接し、前記ボルト基端及び前記ナット体が前記底壁と前記開口縁部との間で突っ張って、前記ボルト体が立設していることを特徴とするボルト体支持構造。
[形態2]
前記ボルト保持体は、前記底壁から立設した一対の側壁と、前記一対の側壁の先端側からそれぞれ折り返された一対のフランジ部と、当該一対のフランジ部から前記底壁に向かって垂下して形成されて前記開口部を縁取る開口縁部と、を備えた中空のレール体であることを特徴とする形態1に記載のボルト体支持構造。
[形態3]
前記ナット体は、前記開口部から前記ボルト保持体の内部に挿通可能に形成された細幅部と、前記ナット体の前記ボルト保持体内部での回動を規制する規制部とを備え、
前記ボルト保持体の内部で前記ナット体が螺着した前記ボルト体を回動させることで、前記ボルト体及び前記ナット体が共回動するとともに、前記規制部が前記ボルト保持体と当接して前記ナット体の所定以上の共回動を規制することを特徴とする形態1又は2に記載のボルト体支持構造。
[形態4]
前記ナット体の圧接面には凹凸領域が形成され、且つ、前記開口縁部の下端面には前記凹凸領域に係合可能な凹凸段部が形成されていることを特徴とする形態1から3のいずれか一項に記載のボルト体支持構造。
[形態5]
前記ボルト基端には、前記底壁に面当接可能に前記ボルト軸から張り出したボルト頭部が設けられていることを特徴とする形態1から4のいずれか一項に記載のボルト体支持構造。
[形態6]
前記ナット体の前記開口縁部への圧接を緩めた状態で、前記ボルト体が前記開口縁部に沿ってスライド可能であることを特徴とする形態1から5のいずれか一項のボルト体支持構造。
[形態7]
底壁、及び、開口部を縁取ると共に前記底壁に対向する開口縁部を有するボルト保持体にボルト体を立設して、当該ボルト体を介して設置体を設置する方法であって、
ボルト先端を前記開口部から突出させ、ボルト基端を前記底壁に当接させ、且つ、ボルト軸に螺着したナット体を前記ボルト保持体の内部に配置するステップと、
前記ナット体を前記ボルト基端から離隔させるように前記ボルト体を回転させて、前記ナット体を前記開口縁部に圧接させることにより、前記ボルト基端及び前記ナット体を前記底壁と前記開口縁部との間で突っ張らせて前記ボルト体を立設させるステップと、
前記設置体を前記ボルト保持体上に配置し、前記設置体の上から挟持体をボルト先端に取着することにより、前記ナット体及び前記挟持体で前記設置体及び前記開口縁部を挟圧して、前記設置体を前記ボルト保持体に固定するステップと、を含むことを特徴とする設置体の設置方法。
[形態8]
前記ボルト体のボルト軸を手で回転させて前記ボルト体を仮立設させることを特徴とする形態7に記載の設置体の設置方法。
[形態9]
前記ボルト保持体は、前記底壁から立設した一対の側壁と、前記一対の側壁の先端側からそれぞれ折り返された一対のフランジ部と、当該一対のフランジ部から前記底壁に向かって垂下して形成されて前記開口部を縁取る開口縁部と、を備えた中空のレール体であることを特徴とする形態7又は8に記載の設置体の設置方法。
[形態10]
前記ナット体の前記開口縁部への圧接を緩めた状態で、前記ボルト体を前記開口縁部に沿ってスライドさせて、前記ボルト体の位置を調整するステップをさらに含むことを特徴とする形態7から9のいずれか一項に記載の設置体の設置方法。
[形態11]
前記設置体は、太陽光パネルであり、前記ナット体及び前記挟持体で前記開口縁部と共に前記太陽光パネルのパネル外縁部を挟圧することを特徴とする形態7から10のいずれか一項に記載の設置体の設置方法。
[形態12]
前記太陽光パネルのパネル外縁部を支持する本体部、当該本体部に穿設された前記ボルト軸が挿通される挿通部、前記パネル外縁部が係合する係合部、及び、前記本体部から延設された規制部を有する支持体を、前記挿通部に前記ボルト軸を挿通して、前記ボルト保持体上に回動可能に配置するステップと、
前記規制部が前記ボルト保持体に当接して前記支持体の回動を所定範囲に制限することにより、前記支持体の所定幅の遊動が許容された状態で、前記パネル外縁部を前記挿通部及び前記係合部の間の載置領域に載置するステップと、をさらに含み、
前記ナット体及び前記挟持体で挟圧して、前記パネル外縁部及び前記支持体を前記ボルト保持体に固定することを特徴とする形態11に記載の設置体の設置方法。
[形態13]
底壁、及び、開口部を縁取ると共に前記底壁に対向する開口縁部を有するボルト保持体に設置体が固定された設置構造であって、
ボルト体のボルト先端が前記開口部から突出し、ボルト軸が前記ボルト保持体の内部でナット体に螺合し、且つ、前記ナット体が前記開口縁部に圧接することによって、前記ボルト体が立設しており、
前記設置体が前記保持体上に配置され、前記設置体の上から前記ボルト先端に取着された挟持体が前記ナット体と協働して前記設置体及び前記開口縁部を挟圧して、前記設置体が前記ボルト保持体に固定されたことを特徴とする設置構造。
[形態14]
前記ボルト基端が前記底壁からわずかに離間していることを特徴とする形態13に記載の設置構造。
[形態15]
前記設置体は、太陽光パネルであり、前記ナット体及び前記挟持体で前記開口縁部と共に前記太陽光パネルのパネル外縁部を挟圧することを特徴とする形態13又は14に記載の設置構造。
[形態16]
前記ボルト保持体上に配置されると共に前記太陽光パネルのパネル外縁部を下側から支持する本体部、当該本体部に穿設された前記ボルト軸の挿通部、前記パネル外縁部が係合する係合部、及び、前記パネル外縁部を前記支持体上に載置するときに前記支持体の所定幅の遊動を許容するための規制部を有する支持体をさらに備え、
前記パネル外縁部及び前記支持体が前記ナット体及び前記挟持体に挟圧されて前記ボルト保持体に固定されていることを特徴とする形態15に記載の設置構造。