(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208954
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】塗装建築部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20170925BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20170925BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
E04F13/08 E
B05D1/26 Z
B05D7/00 L
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-36457(P2013-36457)
(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-163160(P2014-163160A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年12月7日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 智之
【審査官】
七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−060241(JP,A)
【文献】
特開2006−257676(JP,A)
【文献】
特開2004−025689(JP,A)
【文献】
特開2012−087504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/02−13/08
B05D 1/26− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜面と平坦面を備える基材を搬送しながらインクジェット塗装により塗装するにあたって、前記傾斜面は逃げ斜面と受け斜面とで構成されており、前記逃げ斜面は前記基材の搬送方向において前側に向かって上り傾斜するように形成されており、前記受け斜面は前記基材の搬送方向において後側に向かって上り傾斜するように形成されており、前記逃げ斜面での外観と前記受け斜面での外観とが略同等となるように色調データを調整し、
前記色調データは、ドット密度、ドット径、及びインク色の群から選ばれる少なくとも一つであり、
前記色調データは、前記逃げ斜面におけるインクの付着面積と前記受け斜面におけるインクの付着面積とが略同等になるように調整され、又は前記逃げ斜面と前記受け斜面とが呈する色を略同じになるように調整され、
前記ドット密度は、前記平坦面に塗装されるインクの噴射ドット密度よりも前記受け斜面に塗装されるインクの噴射ドット密度を密にし、更に前記受け斜面に塗装されるインクの噴射ドット密度よりも前記逃げ斜面に塗装されるインクの噴射ドット密度を密にすることで調整され、
前記ドット径は、前記平坦面に塗装されるインクのドット径よりも前記受け斜面に塗装されるインクのドット径を大きくし、更に前記受け斜面に塗装されるインクのドット径よりも前記逃げ斜面に塗装されるインクのドット径を大きくすることで調整され、
前記インク色は、前記平坦面に塗装されるインク色よりも前記受け斜面に塗装されるインクのインク色を濃くし、更に前記受け斜面に塗装されるインクのインク色よりも前記逃げ斜面に塗装されるインクのインク色を濃くすることで調整されて塗装を行うことを特徴とする塗装建築部材の製造方法。
【請求項2】
前記基材は窯業系基板であることを特徴とする請求項1に記載の塗装建築部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装材等として使用される塗装建築部材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクジェット塗装により化粧を施した塗装建築部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような塗装建築部材は、基材をインクジェット式塗装機で塗装することにより形成されている。
【0003】
インクジェット塗装するためのインクジェット式塗装機7としては、例えば、
図3に示すようなものを用いることができる。このインクジェット式塗装機7は、噴射ノズル8を設けた塗装ノズルヘッド9、塗装ノズルヘッド9の噴射ノズル8に水性インクを供給する塗料供給タンク10、塗装ノズルヘッド9の噴射ノズル8からの水性インクの噴射を制御する塗装制御システム11などを設けて形成されている。インクは、水性の他、油性、紫外線硬化型など一般的な物を用いることができる。
【0004】
塗装ノズルヘッド9は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色の水性インクを噴出する4種類の塗装ノズルヘッド9y,9c,9m,9kで形成され、フルカラー印刷による塗装を行うことができるものである。塗料供給タンク10も同様に4種類のものからなるものであり、イエローの水性インクを供給する塗料供給タンク10yは塗装ノズルヘッド9yに、シアンの水性インクを供給する塗料供給タンク10cは塗装ノズルヘッド9cに、マゼンタの水性インクを供給する塗料供給タンク10mは塗装ノズルヘッド9mに、ブラックの水性インクを供給する塗料供給タンク10kは塗装ノズルヘッド9kに、それぞれ接続されている。また、塗装ノズルヘッド9は、基材3の搬送方向と直交する方向(基材3の幅方向)と略平行に長く形成され、略水平に設置されている。各塗装ノズルヘッド9にはその長手方向に複数個の噴射ノズル8が並ぶようにして設けられている。さらに、塗装ノズルヘッド9y,9c,9m,9kは基材3の搬送方向と略平行に配列されている。
【0005】
塗装制御システム11は、各種のCPU、ROM、RAM等から構成されるものであり、印刷データ作成部、塗装制御部、噴射ノズル制御部等を備えて形成されている。塗装制御部は、塗装を行う基材3に応じた印刷データを印刷データ作成部から取り出し、この印刷データに基づいて、噴射ノズル制御部に制御信号を出力するものである。噴射ノズル制御部は、塗装ノズルヘッド9の各噴射ノズル8に接続されており、噴射ノズル制御部から入力される制御信号に基づいて各噴射ノズル8を制御するものである。各噴射ノズル8は例えばピエゾ制御方式により噴射を行ったり噴射を停止したりするようになっており、噴射ノズル制御部で各噴射ノズル8を制御することによって、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各水性インクの噴射と停止を個別に制御して、色柄パターンに対応したフルカラー印刷による塗装を行うことができるものである。
【0006】
また、インクジェット式塗装機7の下側には基材3を搬送するための搬送コンベア12が配置されており、この搬送コンベア12は例えばベルトコンベア等で形成することができるものである。
【0007】
基材3を塗装するにあたっては、基材3を搬送コンベア12上に導入し、インクジェット式塗装機7の塗装ノズルヘッド9の下方を順に通過させ、上記の印刷データに基づいて、塗装ノズルヘッド9の噴射ノズル8から水性インクを噴射させてインクジェット印刷することによって、塗装建築部材を製造することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−107471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、塗装される面が立体的に形成された基材を一般的なインクジェット式塗装機で塗装すると、むら無く塗装することが難しく、塗装建築部材の外観が低下する場合があった。例えば、塗装される面が凹凸面に形成された基材をインクジェット塗装する場合、傾斜面に、むら無く塗装することが難しかった。
【0010】
図4(a)(b)に、塗装される面が凹凸面に形成された基材3の一部を示す。この基材3は平面視で矩形板状に形成されている。基材3の表面(上面)は平坦面30と傾斜面31とで構成されている。平坦面30は高平坦面30a、30bと低平坦面30cとで構成されている。高平坦面30a、30bは低平坦面30cよりも基材3の上面側に近い位置に形成されている。一方の高平坦面30aは他方の高平坦面30bよりも前方に形成されている。高平坦面30a、30bと低平坦面30cは略同じ面積で形成されている。
【0011】
ここで、基材3の前後方向は基材3を塗装する際の搬送方向(矢印Xで示す)により決定される。すなわち、塗装時の基材3の搬送方向と同方向を「前方」あるいは「前側」とし、搬送方向と反対方向を「後方」あるいは「後側」とする。
【0012】
傾斜面31は高平坦面30a、30bと低平坦面30cとの間に形成されている。また傾斜面31は基材3の長手方向と直交する方向に長く形成されている。傾斜面31は逃げ斜面31aと受け斜面31bとで構成されている。逃げ斜面31aは基材3の前側に形成された高平坦面30aと低平坦面30cとの間に形成されている。逃げ斜面31aは基材3の前側に向かって上り傾斜するように形成されている。受け斜面31bは基材3の後側に形成された高平坦面30bと低平坦面30cとの間に形成されている。受け斜面31bは基材3の後側に向かって上り傾斜するように形成されている。逃げ斜面31aと受け斜面31bは略同じ面積で形成されている。なお、逃げ斜面31aと受け斜面31bは異なる傾斜角に形成されていても良く、この場合は面積も異なるものである。
【0013】
このような基材3をインクジェット塗装するにあたっては、搬送コンベア(図示省略)により基材3が塗装ノズルヘッド9の下側を通過する際に、塗装ノズルヘッド9の噴射ノズル(図示省略)から基材3に向けて水性インク等のインクiを噴射するようにする。これにより、インクiが基材3の表面に付着して塗装することができるものである。
【0014】
しかし、このようなインクジェット塗装では、平坦面30と逃げ斜面31aと受け斜面31bとで、インク密度を同等にすることが難しい。インクジェット塗装は、基材3に対してインクiを噴射することにより非接触で塗装するため、インクiが塗装ノズルヘッド9から噴射されてから基材3の塗装される面に到達するまでにタイムラグが発生する。また、基材3の塗装される面が凹凸面である場合、インクiが基材3の塗装される面に到達するまでの時間は、塗装ノズルヘッド9から基材3の塗装される面までの距離によって変動する。しかも、基材3は塗装時に一方向に搬送されているため、基材3に対するインクiの付着位置は、基材3の搬送の影響も受けることになる。
【0015】
従って、上記のような平坦面30と傾斜面31を有する基材3の場合、平坦面30は高平坦面30a、30b及び低平坦面30cのいずれもが略同等のインク密度で塗装することができる。しかし、
図6(a)に示すように、傾斜面31のうち、受け斜面31bはその傾斜の影響で平坦面30よりもインク密度が低くなる。また、逃げ斜面31aはその傾斜の影響に加えて基材3の搬送の影響も受け、受け斜面31bよりもさらにインク密度が低くなる。よって、基材3を視野Aから平面視すると、
図6(b)に示すように、受け斜面31bの色が濃く、逃げ斜面31aは色が薄く見え、狙いとする外観から色ずれが生じることがあった。また、受け斜面31bと直交する視野Bから受け斜面31bを見た場合は平坦面30よりも色が薄く見え、逃げ斜面31aと直交する視野Cから逃げ斜面31aを見た場合も平坦面30よりも色が薄く見える場合があった。
【0016】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、逃げ斜面と受け斜面との外観の差を小さくして外観
の低下を抑えることができる塗装建築部材の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る塗装建築部材の製造方法は、
傾斜面と平坦面を備える基材を搬送しながらインクジェット塗装により塗装するにあたって、前記傾斜面は逃げ斜面と受け斜面とで構成されており、前記逃げ斜面は前記基材の搬送方向において前側に向かって上り傾斜するように形成されており、前記受け斜面は前記基材の搬送方向において後側に向かって上り傾斜するように形成されており、前記逃げ斜面での外観と前記受け斜面での外観とが略同等となるように色調データを調整し、
前記色調データは、ドット密度、ドット径、及びインク色の群から選ばれる少なくとも一つであり、
前記色調データは、前記逃げ斜面におけるインクの付着面積と前記受け斜面におけるインクの付着面積とが略同等になるように調整され、又は前記逃げ斜面と前記受け斜面とが呈する色を略同じになるように調整され
、
前記ドット密度は、前記平坦面に塗装されるインクの噴射ドット密度よりも前記受け斜面に塗装されるインクの噴射ドット密度を密にし、更に前記受け斜面に塗装されるインクの噴射ドット密度よりも前記逃げ斜面に塗装されるインクの噴射ドット密度を密にすることで調整され、
前記ドット径は、前記平坦面に塗装されるインクのドット径よりも前記受け斜面に塗装されるインクのドット径を大きくし、更に前記受け斜面に塗装されるインクのドット径よりも前記逃げ斜面に塗装されるインクのドット径を大きくすることで調整され、
前記インク色は、前記平坦面に塗装されるインク色よりも前記受け斜面に塗装されるインクのインク色を濃くし、更に前記受け斜面に塗装されるインクのインク色よりも前記逃げ斜面に塗装されるインクのインク色を濃くすることで調整されて塗装を行うことを特徴とするものである。
【0019】
本発明にあっては、前記基材は窯業系基板であることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、逃げ斜面の外観と受け斜面の外観とが略同等となるように色調データを調整して塗装を行うので、逃げ斜面と受け斜面との外観の差を小さくして外観を低下を抑えることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態の一例を示し、(a)〜(c)は断面図である。
【
図2】同上の噴射ドット密度を調整した場合を示す概略図である。
【
図3】インクジェット式塗装機の一例を示す概略図である。
【
図4】基材の一例を示し、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【
図5】(a)は本発明の実施の形態の一例を概略図、(b)は従来例を示す概略図である。
【
図6】従来例を示し、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0023】
基材3は、セメントを主成分とする窯業系基板を用いることができる。基材3の材質は特に限定されるものではなく、木材や金属、樹脂などの従来から建築部材に用いられているものをそのまま使用することができる。基材3の上面(塗装される表面)にはインクの定着性や発色性を向上させるために受理層を設けることができる。基材3は、
図4(a)(b)に示すものと同様の形状に形成することができる。
【0024】
また本実施の形態では
図3に示すインクジェット式塗装機を用いることができる。
【0025】
そして、基材3を塗装するにあたっては、搬送コンベア12により基材3を塗装ノズルヘッド9の下方で一方向に搬送することによって行うことができる。すなわち、基材3は、塗装ノズルヘッド9y,9c,9m,9kの下方を通過する際に、塗装ノズルヘッド9y,9c,9m,9kからイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各水性インクが噴射されて塗装されるものである。そして基材3の一部を見た場合、基材3は、その搬送方向に対して、前側の高平坦面30a、逃げ斜面31a、低平坦面30c、受け斜面31b、後側の高平坦面30bの順で塗装される。
【0026】
本実施の形態では、平坦面30と逃げ斜面31aと受け斜面31bとで色調データを変えて塗装を行うものである。ここで、色調データとは塗装ノズルヘッド9から噴射されるインクiのドット径とドット密度とインク色を指す。本実施の形態では、ドット密度とドット径とインク色の一つあるいは複数を調整して塗装するものである。色調データの調整は塗装制御システム11で行うことができる。
【0027】
具体的には、
図1(a)に示すように、ドット密度を調整する場合は、平坦面30に塗装されるインクi
Hの噴射ドット密度よりも受け斜面31bに塗装されるインクi
Uの噴射ドット密度を密にし、受け斜面31bに塗装されるインクi
Uの噴射ドット密度よりも逃げ斜面31aに塗装されるインクi
Nの噴射ドット密度を密にする。これにより、逃げ斜面31aにおけるインクi
Nの付着面積と受け斜面31bにおけるインクi
Uの付着面積を略同等にすることができる。ドット密度の調整は、塗装制御システム11の制御により、噴射ノズル8からインクiを噴出するタイミングを平坦面30と逃げ斜面31aと受け斜面31bで変えるように制御することにより行うことができる。例えば、噴射ノズル8からインクiを噴出するタイミングHを逃げ斜面31aと受け斜面31bとで同じにすると、
図5(b)に示すように、逃げ斜面31aに塗装されるインクi
Nのドット密度が受け斜面31bに塗装されるインクi
Uのドット密度よりも小さくなる(粗になる)。そこで、
図5(a)に示すように、逃げ斜面31aをインクi
Nで塗装する場合のタイミングNが、受け斜面31bをインクi
Uで塗装する場合のタイミングUよりも短くなるように制御する。これにより、逃げ斜面31aにおけるインクi
Nの付着面積と受け斜面31bにおけるインクi
Uの付着面積を略同等にすることができる。
【0028】
ここで、タイミングの制御方法としては、基材3の搬送方向に並ぶ噴射ノズル同士の噴射の間隔を変化させることも可能であるが、より簡易に行うには、一つの噴射ノズルでみた場合に、噴射する時と噴射しない時の組み合わせを調整することでタイミングを制御することができる。
【0029】
そして、このようにドット密度を調整して塗装した場合は、平坦面30と傾斜面31とで噴射ドット密度を異ならせることができる。例えば、黒インクを用いて、平坦面30と傾斜面31とで同様の色合いを表現する場合は、
図2に示すように、高平坦面30a及び低平坦面30cのインクi
Hの噴射ドット密度に比べて、逃げ斜面31aのインクi
Nの噴射ドット密度を高く(密に)することで基材3に塗装された際の各表面(例えば、平坦面30や傾斜面31)におけるインクのドット密度を略同一とすることができる。
【0030】
また、
図1(b)に示すように、ドット径を調整する場合は、平坦面30に塗装されるインクi
Hのドット径よりも受け斜面31bに塗装されるインクi
Uのドット径を大きくし、受け斜面31bに塗装されるインクi
Uのドット径よりも逃げ斜面31aに塗装されるインクi
Nのドット径を大きくする。これにより、逃げ斜面31aにおけるインクi
Nの付着面積と受け斜面31bにおけるインクi
Uの付着面積とを略同等にすることができる。ドット径の調整は、例えば、噴射するインクiのドット径が異なる複数の噴射ノズル8を塗装ノズルヘッド9に設けておき、塗装制御システム11の制御により、平坦面30と逃げ斜面31aと受け斜面31bを塗装する際に使用する噴射ノズル8を切り替えるようにすることができる。
【0031】
また、
図1(c)に示すように、インク色を調整する場合は、平坦面30に塗装されるインクi
Hのインク色よりも受け斜面31bに塗装されるインクi
Uのインク色を濃くし、受け斜面31bに塗装されるインクi
Uのインク色よりも逃げ斜面31aに塗装されるインクi
Nのインク色を濃くする。これにより、逃げ斜面31aのドット密度が受け斜面31bのドット密度よりも低くても(粗であっても)、逃げ斜面31aと受け斜面31bが呈する色を略同じにすることができる。すなわち、逃げ斜面31aと受け斜面31bは、受理層の色(ほとんどの場合、白色)とインク色とが混ざり合ったような色(インク色が黒色の場合は灰色)の外観にすることができ、それらは略同等色に見えるものである。インク色の調整は、例えば、インクiの色の濃さが異なる複数の塗料供給タンク10を設けておき、塗装制御システム11の制御により、平坦面30と逃げ斜面31aと受け斜面31bを塗装する際に、塗料供給タンク10から噴射ノズル8に供給されるインクiの色の濃さを切り替えるようにすることができる。
【0032】
このようにして外壁材などとして使用される平板状の塗装建築部材を形成することができる。そして、この塗装建築部材では、平坦面30(特に、低平坦面30c)に対して垂直となるから見た場合に、逃げ斜面31aにおける外観と受け斜面31bにおける外観とが略同等となるように色調データを調整して塗装を行うので、逃げ斜面と受け斜面との外観の差を小さくして外観を低下を抑えることができるものである
尚、逃げ斜面31a及び受け斜面31bは一つの基材3に複数形成されていてもよい。
【0033】
また、平坦面や傾斜面には、石目、石割、木目などの細かな凹凸模様が形成されていてもよい。また、平坦面と傾斜面が連続する波形状となってもよい。
【符号の説明】
【0034】
3 基材
31 傾斜面
31a 逃げ斜面
31b 受け斜面