【実施例】
【0027】
次に、本発明によるトマト収穫機の実施例について、図面を参照しながら説明する。
本発明によるトマト収穫機は、掻き上げ助勢装置2を改良した点に特徴を有するものであるから、この掻き上げ助勢装置2について詳細に説明する。また、この他にトマト分離装置4と良否仕分け装置5についても改良しているので、これらについても以下に簡単に説明する。
【0028】
〔トマト収穫機の構成〕
先ず、本発明によるトマト収穫機の全体の構成について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図1はトマト収穫機の概略側面図であり、
図2はトマト収穫機の概略平面図である。
本発明によるトマト収穫機は、上述した従来のトマト収穫機と同様に、トマト枝葉の塊Pを掻き上げる「掻き上げ装置1」と、トマトの根元を切断し刈り取る「根元カッターC」と、上記掻き上げ装置1の掻き上げ作用を助勢する「掻き上げ助勢装置2」と、上記掻き上げ装置1により掻き上げられたトマト枝葉の塊Pを後方斜め上方へ搬送する「引き上げコンベヤ3」と、トマトの枝から実を分離する「トマト分離装置4」と、分離されたトマトから硬い良質のものを選別する「良否仕分け装置5」と、選別された良質のトマトから小玉のトマトを篩い落としながら搬送する「横送りコンベヤ6」と、色や形の良くないものと傷のあるものを選別するための目視検査用の「選別コンベヤ7」とを備えている。
そして、上記掻き上げ装置1、根元カッターC、掻き上げ助勢装置2、及び引き上げコンベヤ3は、油圧シリンダ(図示略)により昇降操作される可動フレーム(図示略)に支持されており、圃場間の移動や作業中の方向転換時に引き上げられる。さらに、上記掻き上げ装置1、根元カッターC、及び掻き上げ助勢装置2は、サブフレーム(図示略)に支持されており、当該サブフレームは上記可動フレーム上に別の油圧シリンダ(図示略)で高さ位置を調節可能なように支持されている。これにより、上記掻き上げ装置1の先端の地面からの高さを容易に調整することができる。
なお、上記引き上げコンベヤ3、横送りコンベヤ6、及び選別コンベヤ7は、それぞれの機能を有する通常のチェーンコンベヤを用いることができる。
【0029】
このような構成を有するトマト収穫機は、圃場に広がっているトマトの刈り取りから選別までの収穫作業を一貫して次のように行うものである。
圃場のトマト枝葉の塊Pは、掻き上げ装置1と掻き上げ助勢装置2とによって掻き上げられながら地面から持ち上げられて、その根元をバリカン式の根元カッターCで切断されて刈り取られる。刈り取られたトマト枝葉の塊Pは上記掻き上げ装置1と掻き上げ助勢装置2とによりさらに掻き上げられ、続いて引き上げコンベア3で引き上げられてその後端からトマト分離装置4の前端部分に落とされる。そして、落とされたトマト枝葉の塊Pは、後で説明するように、トマト分離装置4の分離棚41の上下及び前後方向の往復運動により繰り返し高く跳ね上げられながら(ジャンプを繰り返しながら)少しずつ後方へ送られ、このときの衝撃でトマトの実は枝から分離される。10回程度跳ね上げられるとトマトの実はほぼ完全に分離され、残ったトマトの茎や枝葉はトマト分離装置4の後端まで送られ後方へ放出される。
【0030】
上記トマト分離装置4で分離されたトマトは、良否仕分け装置5に落下する。落下したトマトのうち硬い良質のトマトは、良否仕分け装置5のコンベアチェーン51の上側面(搬送面)を下方前方に高速で転がり落ちるが、軟らかい不良のトマトは転がらないのでコンベアチェーン51で上方後方へ搬送されてその後端から放出される。
上記コンベアチェーン51の上側面を転がり落ちた硬い良質のトマトは、横送りコンベア6で受け止められて横方向へ搬送されながら、小玉のトマトが篩い落とされて除去される。小玉のトマトが除去された後の良質のトマトは側部の選別コンベア7まで搬送され、この選別コンベア7上で色、形、傷などについて目視による外観検査が行われ選別された後、引き上げコンベア8でシューター9まで引き上げられ、シューター9を経てコンテナに収納される。
【0031】
次に、トマト収穫機の掻き上げ装置1と掻き上げ助勢装置2について、
図3〜
図5を参照しながら説明する。
図3は掻き上げ装置と掻き上げ助勢装置の斜視図であり、
図4は掻き上げ装置の動作を説明する動作分解図であり、
図5は掻き上げ助勢装置のコンベヤチェーンの概略図である。
本発明は、上述したようにトマト収穫機の掻き上げ助勢装置2について改良したものであり、掻き上げ装置1は従来のものと同じであるが、上記掻き上げ助勢装置2の動作と密接に関係を有するものであるから、この掻き上げ装置1についてもここで詳細に説明する。
【0032】
〔掻き上げ装置1〕
掻き上げ装置1は、
図3及び
図4に示されるように、前後方向に延びる多数のロッド11から成る掻き上げユニット1A(ロッド11a〜11jを有する)と、掻き上げユニット1B(ロッド11k〜11sを有する)が組み合わされ、それぞれの掻き上げユニット1A、1Bの各ロッドは交互に配列されて構成されている。各掻き上げユニット1A、1Bのそれぞれのロッド11a〜11j、11k〜11sは全体が前下がりに傾斜され、その先端部分がトマト枝葉の塊Pを掬い上げられるように少し上向きに起こされている。そして、各掻き上げユニット1A、1Bは、位相が180度異なるクランク機構12A、12Bにより駆動され、同速度で180度の位相ずれをもって上下及び前後方向にクランク運動をする。
【0033】
上記掻き上げユニット1A、1B(ここでの説明では、ユニット1A、1Bという。)のクランク運動について、
図4の(1)〜(4)を参照しながら説明する。
図4の(1)に示す最初の状態では、ユニット1Aがユニット1Bの上方位置にあり、この位置から各クランク機構12A、12Bが時計回りに90度回転すると、ユニット1Aは下降しながら後退しユニット1Bは上昇しながら前進する(
図4の(2))。さらに90度回転すると、ユニット1Aは下降しながら前進しユニット1Bは上昇しながら後退して、ユニット1Aがユニット1Bの下方位置になる(
図4の(3))。この位置からさらに各クランク機構12A、12Bが時計回りに90度回転すると、ユニット1Aは上昇しながら前進しユニット1Bは下降しながら後退する(
図4の(4))。さらに90度回転すると、ユニット1Aは上昇しながら後退しユニット1Bは下降しながら前進して、ユニット1Aがユニット1Bの上方位置になり最初の状態に戻る(
図4の(1))。
以上のような動作を繰り返すことによって、掻き上げ装置1は掻き上げ作用を行う。
【0034】
上記掻き上げ装置1は、トマト収穫機の走行によりゆっくりと前進しながら、各掻き上げユニット1A、1Bのクランク運動によって、地面に這っているトマト枝葉の塊Pをマルチフィルムの下から掬い上げ、かつ後方に送る動作を繰り返してトマト枝葉の塊Pを地面から少し浮かせる。
上記掻き上げ装置1の前方下側には刈り取り用のバリカン式根元カッターCがあり、トマト枝葉の塊Pを浮かせた状態でトマトの根元を根元カッターCで切断して刈り取る。
【0035】
(掻き上げ装置1の具体例)
掻き上げ装置1の具体例を示すと、その全幅は950mm、全長は700mmであり、各ロッド11のロッド径はφ16mm、ロッドピッチは40mmである。また、クランク機構12A、12Bの回転速度は毎分300回転であり、上下方向のストロークは16mmで、前後方向のストロークも16mmである。
【0036】
〔掻き上げ助勢装置2〕
掻き上げ助勢装置2は、掻き上げ装置1と引き上げコンベヤ3の上方に設けられており、上記掻き上げ装置1のロッド11と引き上げコンベヤ3との上側面(搬送面)に対して、掻き上げ助勢装置2の下側面(搬送面)が所定の間隔をあけて配置され、上記掻き上げ装置1による掻き上げ作用を助勢するものであって、刈り取られたトマト枝葉の塊Pを上記掻き上げ装置1との間に引き込んで挟み付けて後方へ送り、さらに上記引き上げコンベヤ3へ引き渡すものである。
このような基本的な機能については、
図9に示される従来の掻き上げ助勢装置2aと同様のものである。
【0037】
本発明による掻き上げ助勢装置2は、
図3及び
図5に示されるように、左右両側のリンクチェーン22、22と、これらのリンクチェーン22、22の間に取り付けられた多数の横ロッド23、23…によって構成されたコンベヤチェーン21を用いるチェーンコンベヤである。この多数の横ロッド23、23…は細い高弾性の金属棒から成り、それらの両端は上記リンクチェーン22の各リンクの連結ピンを兼ねている。なお、
図3において、符号25a〜25cはチェーンコンベヤのスプロケットを示している。
そして、コンベヤチェーン21には、その幅方向の左右両側と中央において交互に爪24が設けられている。この爪24は、隣接する2本の横ロッド23、23に跨って等間隔(例えば、横ロッド23の5〜6本置き)に取り付けられており、コンベヤチェーン21の搬送面全体に均等に配置されている。
【0038】
トマト枝葉の塊Pが根元カッターCで刈り取られて掻き上げ装置1と掻き上げ助勢装置2の間に引き込まれると、このトマト枝葉の塊Pは掻き上げ助勢装置2の多数の横ロッド23、23…の弾力によって軽く押さえ付けられると共に、当該横ロッド23、23…に設けられた爪24に引っかかって、掻き上げユニット1A、1Bの一群のロッド11a〜11j、11k〜11sに沿って掻き上げられる。この時、高弾性の横ロッド23、23…は当該掻き上げユニット1A、1Bの一群のロッドによる押し上げ力に応じて、またトマト枝葉の塊Pの大きさに応じて上側に撓み、これによってトマト枝葉の塊Pに対する押圧力が緩和される。
【0039】
そして、上記コンベヤチェーン21は、既に説明したとおり、左右両側のリンクチェーン22、22と多数の横ロッド23、23…によって構成されているので、トマト枝葉の塊Pは横ロッド23、23…で押さえられてトマトの茎や枝が多数の横ロッド23、23…の間に侵入することは殆どなく、また侵入したとしてもその長さは短く横ロッド23やリンクチェーン22に絡み付くことはないから、トマト枝葉の塊Pが掻き上げ助勢装置2の上部のスプロケット25aまで引き上げられてこれに巻き付くことはない。
【0040】
トマト枝葉の塊Pが大きいときは、それに応じて横ロッド23、23…が大きく撓み、当該横ロッド23、23…による掻き上げ装置1への押圧力がそれに応じて強くなるので、トマト枝葉の塊Pへの引き上げ力も強くなる。これとは逆に、トマト枝葉の塊Pが小さいときは、それに応じて横ロッド23、23…の弾力で軽く押さ付けられる。
このように、トマト枝葉の塊Pが大きくても比較的柔らかく押さえ付けられた状態になるので、掻き上げ装置1と掻き上げ助勢装置2の間に詰まることなくスムーズに掻き上げることができる。また逆に、トマト枝葉の塊Pが小さくても掻き上げ動作が助勢されるので、掻き上げ装置1上で滑って停滞することなくスムーズに掻き上げることができる。
【0041】
(掻き上げ助勢装置2の具体例)
上記掻き上げ助勢装置2の具体例を示すと、その全幅は950mm、全長は1,000mmであり、掻き上げ装置1と完全に重なる前部分と、引き上げコンベヤ3の先端部分と重なる後部分とを備えている。
上記コンベヤチェーン21の横ロッド23、23…は細い高弾性の金属棒(高弾性鋼材)であり、その径はφ8mm、ピッチは40mmであって、隣接する横ロッド23、23に跨って設けられる爪24の高さは40mmである。
また、掻き上げ助勢装置2は吊り下げられていて、上下方向に150mm程度ハンドル操作等で調節できるようになっており、掻き上げ装置1との間隔、即ち、トマト枝葉の塊Pの取り込み口の高さは160mmであるが、トマトの繁茂状況により掻き上げ助勢装置2の掻き上げ装置1に対する固定位置を調節して取り込み口の高さを変えることができる。
そして、トマト収穫機の作業時の前進速度は0.05m/秒であり、掻き上げ助勢装置2のコンベヤチェーン21の送り速度は、上記前進速度に合わせて0.05〜0.08m/秒である。
【0042】
〔トマト分離装置4〕
次に、トマト分離装置4について、
図6及び
図7を参照しながら説明する。
図6はトマト分離装置4、良否仕分け装置5、及び横送りコンベヤ6の斜視図であり、
図7はトマト分離装置4の分離棚41のクランク運動を説明する動作分解説明図である。
このトマト分離装置4は、従来のトマト分離装置と同様に、多数の縦ロッド(前後方向のロッド)41a、41a…の両端を前後の支持部材41b、41bで一体化した分離棚41を備えているが、この分離棚41の前後の支持部材41b、41bは、前後に設けたクランク機構42、42によって支持されている。このとき、当該分離棚41は少し前下がりに傾斜した状態で支持されている。
【0043】
上記トマト分離装置4において、前後のクランク機構42、42が、駆動スプロケット44aと伝動チェーン45と従動スプロケット44bにより駆動されると、分離棚41は上下及び前後方向にクランク運動するので、分離棚41上のトマト枝葉の塊Pは繰り返し高く跳ね上げられながら(ジャンプを繰り返しながら)少しずつ後方へ送られ、このときの衝撃でトマトの実は枝から分離される。そして、実が分離された後のトマトの茎や枝葉は、トマト分離装置4の後端部から後方へ放出される。
上記分離棚41のクランク運動による1回の跳ね上がりでトマト枝葉の塊Pが後方へ送られる距離は、分離棚41の前下がりの傾斜角度を増減することによって調節することが可能であるので、トマトをほぼ完全に分離するのに必要な回数だけトマト枝葉の塊Pをジャンプさせるように、分離棚41の傾斜角度を設定することができる。通常のトマトの成熟状態では、10回程度のジャンプでほぼ完全に分離することができる。
【0044】
〔良否仕分け装置5〕
次に、良否仕分け装置5について、
図6及び
図8を参照しながら説明する。
図6はトマト分離装置4、良否仕分け装置5、及び横送りコンベヤ6の斜視図であり、
図8は良否仕分け装置5のコンベヤチェーン51の斜視図である。
この良否仕分け装置5は、従来の良否仕分け装置におけるベルトコンベヤをチェーンコンベヤに替えることにより、クッション性を大幅に増大させると共に、トマトが転がり易い搬送面を確保したものである。
上記良否仕分け装置5を構成するチェーンコンベヤは、左右両側のチェーン52、52と高弾性の金属棒からなる多数の横ロッド53、53…から構成されたコンベヤチェーン51を採用しており、当該多数の横ロッド53、53…は間隔(ロッドピッチ)を十分小さくしてトマトが転がり易い搬送面を形成している。上記コンベヤチェーン51の搬送面は、従来のベルトコンベヤの平ベルトと同様に、前下がりに傾斜していて搬送方向が後方になっている。
【0045】
上記良否仕分け装置5では、コンベヤチェーン51が高弾性の多数の横ロッド53、53…から構成されていて、トマト分離装置4から落下するトマトは緩衝作用をもって受け止められ、必要以上に傷付けられたり潰されることがないので、硬い良質のトマトが影響を受けることはない。そして、良否仕分け装置5のコンベヤチェーン51の搬送面上に落下したトマトのうち、硬い良質のトマトはコンベアチェーン51の搬送面で傷付けられたり潰されることなく、傾斜面を前方へ(搬送方向と反対方向へ)高速で転がり落ちて、横送りコンベヤ6上に移動する。一方、全体又は一部が軟かい不良のトマトは傾斜面を高速で転がり落ちることができないので、コンベアチェーン51によって後方に搬送されて放出される。
このようにして、硬い良質のトマトは、傷付くことなく全て横送りコンベヤ6上に転がり落ちるが、全部又は一部が軟らかい不良のトマトは後方へ引き上げられて放出されるので、硬い良質のトマトと軟らかい不良のトマトを精度良く仕分けることができる。