特許第6208969号(P6208969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208969
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】屋根用パネルの接続構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/366 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   E04D3/366 103A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-80210(P2013-80210)
(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-201996(P2014-201996A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄住金鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100136696
【弁理士】
【氏名又は名称】時岡 恭平
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】井口 龍美
【審査官】 富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−011741(JP,A)
【文献】 実公平05−032571(JP,Y2)
【文献】 特開2002−129708(JP,A)
【文献】 特開平11−270065(JP,A)
【文献】 特開平11−210174(JP,A)
【文献】 特開2007−040027(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01693527(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D1/00−3/40、13/00−15/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサンドイッチパネルが屋根勾配方向と屋根勾配方向に直交する方向とに接続された屋根用パネルの接続構造であって、
サンドイッチパネルの屋根勾配方向の接続部分が、屋根勾配方向に直交する方向に隣接する他のサンドイッチパネルの屋根勾配方向の接続部分に対して、屋根勾配方向にずれた位置に配置されている
ことを特徴とする屋根用パネルの接続構造。
【請求項2】
前記サンドイッチパネルの屋根勾配方向に直交する方向の接続部分は、
前記サンドイッチパネルの屋根勾配方向に直交する方向の一方の端部に設けられた被覆い部と、
屋根勾配方向に直交する方向に隣接する他のサンドイッチパネルの端部に設けられると共に前記被覆い部に重ねて接続される覆い片と
により構成されており、
前記サンドイッチパネルの屋根勾配方向の接続部分は、
前記サンドイッチパネルの屋根勾配方向の一方の端部に設けられた接続部と、
屋根勾配方向に隣接する他のサンドイッチパネルに設けられ、当該端部の裏面部が切除されると共にその表面板が前記接続部に重ねて接続される重ね接続部と
により構成されており、
前記複数のサンドイッチパネルが屋根勾配方向と屋根勾配方向に直交する方向とに接続され、屋根勾配方向に直交する方向に隣接するサンドイッチパネルの前記重ね接続部同士が重ならないように構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の屋根用パネルの接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根用パネルの接続構造に関し、特に屋根材として用いられるサンドイッチパネルの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の屋根用パネルの接続構造が開示されている。この特許文献1記載の屋根用パネルは、表側の金属外皮と裏側の金属外皮との間に芯材が充填されたサンドイッチパネルである。このサンドイッチパネルは、軒棟方向に直角な方向のうちの一方の端部に被覆片が設けられている。軒棟方向に直角な方向に隣接するサンドイッチパネル同士は、一方のサンドイッチパネルの端部に、他方のサンドイッチパネルの被覆片を重ねた状態で接続されている。
【0003】
また、このサンドイッチパネルは、軒棟方向にも並設される。棟側のサンドイッチパネルの軒側の端部には重ね接続部が設けられている。この重ね接続部は、裏側の金属外皮および芯材が切除されて形成されている。重ね接続部は、軒側に隣接するサンドイッチパネルの棟側の端部に重ねて接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−40027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、この種の屋根は、図8(a)に示すように、複数のサンドイッチパネル1が、軒棟方向D1と、この軒棟方向D1に直角な方向D2とに接続されることで構成される。しかしながら、この屋根構造では、軒棟方向D1に接続された接続部分91が、軒棟方向D1とは直角な方向D2に隣接するサンドイッチパネル1の軒棟方向D1の接続部分92のすぐ隣に隣接配置される。
【0006】
このため、図8(b)に示すように、表面側の金属外皮が同じ部分で4枚重ね合わせられることになる(第一列の下方側の金属外皮92・第二列の下方側の金属外皮93・第一列の上方側の金属外皮94・第二列の上方側の金属外皮95が4枚重なる)。
【0007】
しかしながら、金属外皮が多数重ねられると、この重なり部分で隙間が生じやすいため、止水性を確保するためには熟練した施工者による施工が必要であるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熟練施工者による施工でなくても、止水性を確保しながら、屋根用のサンドイッチパネル同士を、長さ方向および幅方向に接続することができる屋根用パネルの接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の屋根用パネルの接続構造は、複数のサンドイッチパネルが屋根勾配方向と屋根勾配方向に直交する方向とに接続された屋根用パネルの接続構造であって、サンドイッチパネルの屋根勾配方向の接続部分が、屋根勾配方向に直交する方向に隣接する他のサンドイッチパネルの屋根勾配方向の接続部分に対して、屋根勾配方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする。
【0010】
またこの屋根用パネルの接続構造において、前記サンドイッチパネルの屋根勾配方向に直交する方向の接続部分は、前記サンドイッチパネルの屋根勾配方向に直交する方向の一方の端部に設けられた被覆い部と、屋根勾配方向に直交する方向に隣接する他のサンドイッチパネルの端部に設けられると共に前記被覆い部に重ねて接続される覆い片とにより構成されており、前記サンドイッチパネルの屋根勾配方向の接続部分は、前記サンドイッチパネルの屋根勾配方向の一方の端部に設けられた接続部と、屋根勾配方向に隣接する他のサンドイッチパネルに設けられ、当該端部の裏面部が切除されると共にその表面板が前記接続部に重ねて接続される重ね接続部とにより構成されており、前記複数のサンドイッチパネルが屋根勾配方向と屋根勾配方向に直交する方向とに接続され、屋根勾配方向に直交する方向に隣接するサンドイッチパネルの前記重ね接続部同士が重ならないように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の屋根用パネルの接続構造によれば、熟練施工者による施工でなくても、止水性を確保しながら、屋根用のサンドイッチパネル同士を、長さ方向および幅方向に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の屋根用パネルの接続構造を示す一部分解斜視図である。
図2】本実施形態のサンドイッチパネルの断面図である。
図3】本実施形態の第一列パネルの分解斜視図である。
図4】(a)は、本実施形態のサンドイッチパネルの長さ方向における接続部分の要部側断面図であり、(b)は塞ぎ板材の側面図である。
図5】(a)は、他例の塞ぎ板材を設置した要部側断面図であり、(b)は他例の塞ぎ板材の平面図であり、(c)は他例の塞ぎ板材の側面図である。
図6】(a)は、本実施形態の屋根の平面図であり、(b)は(a)におけるA−A線断面図であり、(c)は(a)におけるB−B線断面図である。
図7】本実施形態の屋根用パネルの表面板の重なった状態を示す断面図である。
図8】従来の屋根用パネルの接続構造を示す図であり(a)は斜視図であり(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0014】
本実施形態の屋根用パネルの接続構造は、屋根用のサンドイッチパネル1が複数接続された構造である。屋根は複数のサンドイッチパネル1が長さ方向と幅方向とに接続されることで構成されている。
【0015】
屋根は、屋根勾配を有している。屋根勾配方向は、例えば、軒棟方向に平行な方向である。屋根は、屋根勾配方向に長さを有する第一列パネル2、第二列パネル3、第三列パネル4、・・・を屋根勾配方向とは直角な方向(幅方向に平行な方向)に連結することで形成されている。屋根は、屋根下地8上に配置される。
【0016】
なお、以下においては、第一列パネル2と第二列パネル3との接続構造は、他のパネル同士の接続構造(例えば、第二列パネル3と第三列パネル4との接続構造)と同じ構造であるため、第一列パネル2と第二列パネル3との接続構造についてのみ説明する。
【0017】
第一列パネル2は、複数のサンドイッチパネル1を屋根勾配方向に接続することで形成されている。サンドイッチパネル1は、長さと幅とを有している。サンドイッチパネル1の長さ方向は、屋根勾配方向に平行となっている。サンドイッチパネル1の幅方向は、屋根勾配方向に直交している。第一列パネル2は、サンドイッチパネル1同士が、当該サンドイッチパネル1の長さ方向に接続されることで構成されている。
【0018】
サンドイッチパネル1は、図2に示すように、表面板11と、裏面板12と、芯材13とを備えている。サンドイッチパネル1は、表面板11と裏面板12との間に芯材13を充填することで構成されている。
【0019】
表面板11は、金属板により構成されている。表面板11は、サンドイッチパネル1の上面を構成する。金属板としては、例えば、ステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、塗装鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)などが用いられる。表面板11は、ロール成形等の曲げ加工によって形成されている。
【0020】
裏面板12も、表面板11と同様、金属板により構成されている。裏面板12は、サンドイッチパネル1の下面を構成する。金属板としては、例えば、ステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、塗装鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)などが用いられる。
【0021】
芯材13は、表面板11と裏面板12との間に充填されている。芯材13は、断熱材または耐火材により構成される。芯材13としては、例えば、ロックウールやグラスウールなどの無機繊維板、あるいはフェノールフォームやウレタンフォームやイソシアヌレートフォームなどの樹脂発泡体などが用いられる。
【0022】
サンドイッチパネル1には、複数の山部14が設けられている。山部14は、サンドイッチパネル1の上面から上方に向かって突出している。山部14は、サンドイッチパネル1の長さ方向の全長に亙って設けられている。サンドイッチパネル1の幅方向に並設される各山部14は、互いに平行となるように形成されている。
【0023】
第一列パネル2は、図1,3に示すように、長さ方向に複数の(本実施形態では2つの)サンドイッチパネル1を接続することで形成されている。以下においては、屋根勾配方向の下流側(水下側)のサンドイッチパネル1を第1のパネル21とし、この第1のパネル21の屋根勾配方向の上流側(水上側)に隣り合うサンドイッチパネル1を第2のパネル22として定義する。なお、第一列パネル2として、3つ以上のサンドイッチパネル1を接続した構成であってもよいが、以下の説明においては、第1のパネル21と第2のパネル22との接続構造についてのみ説明する。
【0024】
第一列パネル2は、図3に示すように、第一接続部分27を介して、第1のパネル21と第2のパネル22とが長さ方向に接続されている。第一接続部分27は、第1のパネル21の水上側の端部に設けられた接続部5と、第2のパネル22の水下側の端部に設けられた重ね接続部6とにより構成されている。
【0025】
接続部5は、重ね接続部6に重ね合わせられる部分である。接続部5は、第1のパネル21の水上側の端部に設けられており、言い換えると、サンドイッチパネル1の長さ方向の一方の端部に設けられている。接続部5は、第1のパッキン51と、第2のパッキン52と、第3のパッキン53とを備えている。第1のパッキン51及び第2のパッキン52及び第3のパッキン53は、それぞれ、第1のパネル21の幅方向に連続している。第1のパッキン51と、第2のパッキン52と、第3のパッキン53とは、互いに平行であり、第1のパネル21の長さ方向にそれぞれ隔設されている。また、第1のパッキン51と第2のパッキン52との間には、シーリング材が配設される。第3のパッキン53と第1のパネル21の水上側の端縁との間にもシーリング材が配設される。
【0026】
各パッキン51,52,53は、例えば、EPDMや、ブチルゴム等により構成されるが、重ね接続部6との馴染み性や止水性を考慮すると、ブチルゴムが用いられることが好ましい。
【0027】
重ね接続部6は、第2のパネル22の水下側の端部に設けられており、言い換えると、第1のパネル21の長さ方向に隣接する他のサンドイッチパネルの一方の端部に設けられている。重ね接続部6は、第2のパネル22の裏面部(すなわち、裏面板12の一部及び芯材13の一部)が切除され、残された表面板11の一部により構成される。重ね接続部6は、第1のパネル21の接続部5に上方から重ねられるようにして接続される。接続部5と重ね接続部6とが接続されると、第1のパネル21の水上側の端面と、第2のパネル22の芯材13の水下側の端面とが当接または近接対向する。
【0028】
重ね接続部6は、例えば、第2のパネル22の水下側の端部から水上側に向かう方向の長さが(つまり、表面板の水下側の端縁から芯材の水下側の端縁までの寸法が)400mm程度の長さで形成される。なお、本実施形態の重ね接続部6は、裏面板12の一部および芯材13の一部が現場施工によって切除されるが、工場出荷時から予め加工されたものであってもよい。
【0029】
第1のパネル21と第2のパネル22との間には、図4に示すように、塞ぎ板材7が配置される。塞ぎ板材7は、第1のパネル21と第2のパネル22との接続部分27の裏面側に配置される。塞ぎ板材7は、サンドイッチパネル1同士の接続部分27において、断熱性を補強するために設けられている。塞ぎ板材7は、屋根下地8となる母屋81同士の間に架設される。
【0030】
なお、母屋81は、屋根勾配方向とは直角な方向に長さを有している、母屋81は、屋根勾配方向に複数隔設されている。母屋81は、例えば、リップ付き溝型鋼や、C型鋼などにより構成される。
【0031】
塞ぎ板材7は、屋根勾配方向に長さを有し、屋根勾配方向とは直角な方向に幅を有している。塞ぎ板材7は、第1のパネル21および第2のパネル22の幅と同じ幅を有している。塞ぎ板材7は、固定部71と、塞ぎ部72とを備えている。固定部71は、母屋81とサンドイッチパネル1との間に介装され、これにより第1のパネル21及び第2のパネル22に対して固定される。固定部71は、金属板により形成される。固定部71は、第2のパネル22と母屋81との間に固定される水上側固定部73と、第1のパネル21と母屋81との間に固定される水下側固定部74とを有している。塞ぎ部72は、水上側固定部73と水下側固定部74との間に設けられている。塞ぎ部72は、断熱性を有しており、例えば、ウレタンパッキンにより構成される。塞ぎ部72は、第1のパネル21の裏面板12と、第2のパネル22の裏面板12との両方に圧接された状態で配置される。
【0032】
塞ぎ板材7としては、例えば、図5に示すようなものであってもよい。この塞ぎ板材7は、固定部71と、塞ぎ部72とを備えている。固定部71は、第2のパネル22と母屋81との間に固定される水上側固定部73と、第1のパネル21の芯材13に固定される水下側固定部74とを有している。水下側固定部74は、図5に示すように、複数の爪部を有している。各爪部は、断面逆L字状に形成されており、その先端が、平面視で先細り形状となっている。水下側固定部74は、先端が芯材13に差し込まれて、第1のパネル21に固定される。塞ぎ部72は、水下側固定部74の下端から水下側に向かって延出し、その水下側の先端から水上側に向かって折り返された部分である。この塞ぎ板材7が第1のパネル21と第2のパネル22との間に設置されると、塞ぎ部72は、第1のパネル21の水上側の端部の裏面板12に沿って配置される。
【0033】
第一列パネル2を形成するには、例えば、次のようにして行なう。施工者は、図6(a)(c)に示すように、第一接続部分27に対応する箇所に塞ぎ板材7を配置する。次いで、施工者は、屋根下地8の水下側の端部に第1のパネル21を配置する。そして、施工者は、第1のパネル21の水上側に第2のパネル22を隣接配置する。このとき、第1のパネル21の水上側の端部の接続部5に、第2のパネル22の水下側の端部の重ね接続部6を重ねるようにして接続する。その後、施工者は、第2のパネル22の表面板11の上方から固着具を打入し、固着具を介して、第1のパネル21及び第2のパネル22を屋根下地8に固定する。
【0034】
第二列パネル3は、図1に示すように、長さ方向に複数のサンドイッチパネル1を接続することで形成されている。以下においては、水下側のサンドイッチパネル1を第3のパネル31とし、この第3のパネル31の水上側に隣り合うサンドイッチパネル1を第4のパネル32として定義する。また、第二列パネル3として、3つ以上のサンドイッチパネル1を接続したものであってもよいが、以下の説明においては、第3のパネル31と第4のパネル32との接続構造についてのみ説明する。
【0035】
第二列パネル3は、第一列パネル2の幅方向の第二列パネル3側の端部に接続される。第二列パネル3は、第二接続部分37を介して、第3のパネル31と第4のパネル32とが長さ方向に接続されている。第二接続部分37は、第3のパネル31の水上側の端部に設けられた接続部5と、第4のパネル32の水下側の端部に設けられた重ね接続部6とにより構成されている。第3のパネル31の長さは、第1のパネル21の長さよりも短く形成されている。
【0036】
なお、第3のパネル31の接続部5の構造は、第1のパネル21の接続部5の構造と同じ構造であり、第4のパネル32の重ね接続部6の構造は、第2のパネル22の重ね接続部6の構造と同じ構造であるため、説明を省略する。また、第二列パネル3の第二接続部分37の構造は、第一列パネル2の第一接続部分27の構造と同じ構造であるため、説明を省略する。
【0037】
第一列パネル2と第二列パネル3とは、図1に示すように、連結部23と被連結部33とを介して接続される。
【0038】
第一列パネル2の幅方向の第二列パネル3側の端部(第一端部26)には、連結部23が設けられている。連結部23は、図2に示すように、折曲部28と、当接部24と、被覆い部25とを備えている。折曲部28は、当接部24から第一列パネル2側に向かって突出している。折曲部28は、裏面板12を上方に屈曲した後に反対側に折り返すことで形成されている。
【0039】
当接部24は、第二列パネル3の端面(第二端部38の端面)に当接する。当接部24は、鉛直面により構成されている。なお、当接部24と、第二列パネル3の第二端部38の端面との間には、パッキン241が配設される。
【0040】
被覆い部25は、山部14の一部に(頂部に)形成されている。被覆い部25には、後述の覆い片36が重ねられて接続される。
【0041】
第二列パネル3の第二端部38には、被連結部33が設けられている。なお、本実施形態のサンドイッチパネル1は、図2に示すように、幅方向の一端(第一端部26)に連結部23が設けられ、幅方向の他端(第二端部38)に被連結部33が設けられている。つまり、第一列パネル2の被連結部33の構造と、第二列パネル3の被連結部33の構造とは同じ構造であるため、第二列パネル2の被連結部33については、図2を参照して説明する。
【0042】
被連結部33は、凹没部34と、被当接部35と、覆い片36が設けられている。凹没部34の内部には、折曲部28が配置される。凹没部34は、裏面板12が上方に凹曲され、断面横倒しL字状となるように形成された部分である。被当接部35は、第一列パネル2の当接部24に当接する。
【0043】
覆い片36は、被当接部35から第一列パネル2側に向かって延出している。覆い片36は、重ね接続部6の幅方向の端部からも第一列パネル2側に向かって延出しており、つまり、サンドイッチパネル1の長さ方向の全長に亙って設けられている。覆い片36は、表面板11の第二端部38側の端縁により構成されている。覆い片36は、被覆い部25に上方から重ねて接続される。なお、第一列パネル2の被覆い部25と、第二列パネル3の覆い片36との間には、パッキンやシーリングテープ等が介装されることが好ましい。
【0044】
第一列パネル2と第二列パネル3とは、連結部23と被連結部33とを介して、接続される。連結部23と被連結部33とが接続されると、図1に示すように、凹没部34内に折曲部28が配置され、被当接部35と当接部24とがパッキン241を介して当接し、被覆い部25が覆い片36に重ねられて接続される。
【0045】
このとき、第一接続部分27は、第二接続部分37に対して、サンドイッチパネル1の長さ方向に(具体的には、水上側に)ずれて位置している。つまり、第一接続部分27の重ね接続部6は、第二接続部分37の重ね接続部6とは重ならないように配置されている。
【0046】
この点について従来の屋根構造は、図8(a)に示すように、第一接続部分27のすぐ隣に第二接続部分37が配置された構造となっている。従来の屋根構造では、第一接続部分27で、第1のパネル21の表面板11と、第2のパネル22の表面板11とが重なり、第二接続部分37で、第3のパネル31の覆い片36と、第4のパネル32の覆い片36とが重なる。このため、図8(b)に示すように、計4枚の表面板11が重なり合ってしまう。
【0047】
これに対し、本実施形態の屋根構造のように、第一接続部分27が、第二接続部分37に対して、サンドイッチパネル1の長さ方向にずれて配置されると、第一接続部分27に、第3のパネル31の表面板11または第4のパネル32の表面板11のいずれかのみが重ねられるため、図7に示すように、計3枚の表面板11の重なりとすることができる。
【0048】
これにより、重なり合う金属板の枚数を極力減らすことができ、熟練した施工者でなくても、止水性を確保した施工を行なうことができる。
【0049】
上記のように、第一列パネル2と第二列パネル3とが、屋根勾配方向とは直角な方向に(つまり、サンドイッチパネルの幅方向に)接続されるが、これに次いで、第二列パネル3と第三列パネル4とも同じように接続される。
【0050】
第三列パネル4の接続部分(第三接続部分40)は、上記のように、第二列パネル3の第二接続部分37に対して、サンドイッチパネル1の長さ方向にずれて位置している。具体的に、第三接続部分40は、屋根勾配方向に直角な方向にみて、第一接続部分27と同位置に配置されている。言い換えると、平面視において、第一接続部分27と第二接続部分37と第三接続部分40とは、千鳥状に配置される。
【0051】
この場合、屋根下地8は、図6に示すように配置される。屋根下地8として、第1のパネル21の水上側の端部の下方に配置された第一横架材82と(図6(c)参照)、第2のパネル22の芯材13の水下側の端部の下方に配置された第二横架材83と(図6(c)参照)、第4のパネル32の芯材13の水下側の端部の下方とに配置された第三横架材84と(図6(b)参照)が設けられている。
【0052】
第一横架材82は、主に第1のパネル21の水上側の端部を支持する。第二横架材83は、主に第2のパネル22の水下側の端部と、第3のパネル31の水上側の端部とを支持する。第三横架材84は、主に第4のパネル32の水下側の端部を支持する。
【0053】
このように屋根下地8を配置することで、屋根下地8の数量を最小限にしながら屋根用のサンドイッチパネル1を効果的に支持することができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の屋根用パネルの接続構造は、サンドイッチパネル1の長さ方向の接続部分27が、幅方向に隣接する他のサンドイッチパネル1の長さ方向の接続部分37に対して、長さ方向にずれた位置に配置されている。
【0055】
このため、本実施形態の屋根用パネルの接続構造によれば、サンドイッチパネル1の接続部分27において、金属板同士を重ねて接続する構造を採用した場合であっても、表面板11同士が重なる枚数を極力減らすことができる。これにより、熟練した施工者でなくても、止水性を確保してサンドイッチパネル1の施工を行なうことができる。
【0056】
また、本実施形態の屋根用パネルの接続構造は、第一接続部分27と第二接続部分37とが、直線状に並ばずに千鳥状に配置される。このため、従来のように第一接続部分27と第二接続部分37とが直線状に並設されたものに比べて、多少の施工誤差が生じた場合であっても、見栄えの低下を抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態のサンドイッチパネル1の幅方向の接続部分は、一方のサンドイッチパネル1に設けられた被覆い部25と、そのサンドイッチパネル1の幅方向に隣接するサンドイッチパネル1に設けられた覆い片36とにより構成されている。覆い片36は、被覆い部25に重ねて接続される。また、サンドイッチパネル1の長さ方向の接続部分27,37は、サンドイッチパネル1の長さ方向の一方の端部に設けられた接続部5と、そのサンドイッチパネル1の長さ方向に隣接するサンドイッチパネル1に設けられた重ね接続部6とにより構成されている。重ね接続部6は、サンドイッチパネル1の端部の裏面部の一部が切除されると共に、その表面板11が接続部5に重ねて接続される。そして、複数のサンドイッチパネル1が長さ方向と幅方向とに接続されても、幅方向に隣接するサンドイッチパネル1の重ね接続部6同士が重ならないように接続されている。
【0058】
このため、サンドイッチパネル1同士を長さ方向に接続するために、金属板同士が馴染むように裏面部の一部を切除した施工方法においても、金属板同士の重なり枚数を極力少なくすることができる。
【0059】
なお、本実施形態の屋根用パネルの接続構造は、縦葺き屋根の構造に基づいて説明したが、本発明においては、横葺き屋根構造に適用してもよい。また、サンドイッチパネル1の施工手順については、本実施形態のものに限定されない。
【符号の説明】
【0060】
1 サンドイッチパネル
11 表面板
12 裏面板
13 芯材
14 山部
2 第一列パネル
21 第1のパネル
22 第2のパネル
23 連結部
24 当接部
25 被覆い部
26 第一端部
27 第一接続部分
28 折曲部
3 第二列パネル
31 第3のパネル
32 第4のパネル
33 被連結部
34 凹没部
35 被当接部
36 覆い片
37 第二接続部分
38 第二端部
4 第三列パネル
40 第三接続部分
5 接続部
6 重ね接続部
7 塞ぎ板材
71 固定部
72 塞ぎ部
73 水上側固定部
74 水下側固定部
8 屋根下地
81 母屋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8